近年、「障がい」や「難病」「介護」「福祉」等をモチーフにしたドキュメンタリー作品が発表される機会が増えてきました。映画では、旧作が見直される機会や継続的な自主上映会が増え、 テレビでは、かつては考えられないようなタブーに挑む番組が放送されています。一方で 、2016年7月26日には神奈川県相模原市で入所者19人が刺殺される事件が起こり、「いのちの価値」の問題が、あらためて問われています。
誰もが当事者となりうるこの時代に「いのち」の問題と向きあうとき、ドキュメンタリーには、さまざまな「いのち」を記録し、映しだしてきた歴史がありました。
時には静かに、時には熱い、しかし確かな、たたかいの歴史。
多くのドキュメンタリーに描かれた「いのちの記録」から一体何がみえるのか、
読者の皆さんと一緒に考えていけたら幸いです。
[編集部より]
出版社|neoneo編集室
定 価|1000円+税
判 型|A5判
頁 数|144
ISBN|978-4-906960-08-8
刊 行|2017年7月
Contents
[ 作家特集 柳澤壽男 ]
講演録 柳澤壽男 福祉映画づくり、いってこいの関係 解題 菊井崇史
エッセイ 過ぎし日の柳澤壽男監督 伏屋博雄
論考 『夜明け前の子どもたち』論 堤拓哉
[ 身体障がい ]
作品ガイド
エッセイ 彼らがカメラを持つときは〜当事者のセルフ・ドキュメンタリー〜 佐藤寛朗
論考 『さようならCP』が映したもの 荒井裕樹
作品論 『ねむの木の詩がきこえる』論 山下研
論考 『典子は、今』をめぐって 藤田修平
論考 『Murder Ball』から考える障害者スポーツの世界 渡正
[ 視覚・聴覚障がい ]
作品ガイド
レポート『LISTEN リッスン』と東京ろう映画祭の覚書 大久保渉
論考 手話とろう運動の世界 加藤晃生
[ 知的障がい ]
作品ガイド
論考 佐藤真による生の芸術 金子遊
エッセイ 伊勢真一さんのこと 飯田光代
論考 弱さを肯定するまなざし —— 伊勢真一論 東志津
[ 精神・発達障がい ]
作品ガイド
エッセイ 『かけがえの前進』江端一起とのこと 長岡野亜
論考 監視と観察 ——『チチカット・フォーリーズ』論序説 萩野亮
[ 高齢者・介護 ]
作品ガイド
インタビュー “人間の老い”と“ケアのシステム”を見つめ続けて 羽田澄子
エッセイ 「視線の病」に気づく —— 認知症を撮るということ —— 川村雄次
インタビュー 私にとっての『毎アル』シリーズ 関口祐加
エッセイ 誰が心血を注いでケアをするのか 大宮浩一
[ 福祉 ]
作品ガイド
エッセイ 羽田澄子監督の福祉ドキュメンタリー 山石幸雄
エッセイ きっかけは『街の灯』 平塚千穂子
論考 障害とセックス、あるいはその融和におけるあくなき葛藤 若林良
エッセイ 希望のありか 茂木薫
[ 難病 ]
作品ガイド
エッセイ テレビ・ドキュメンタリーと難病 若木康輔
論考 国立ハンセン病資料館の映像資料をめぐって 橋本一径
[ 児童福祉・教育 ]
作品ガイド
エッセイ ドキュメンタリーが発見した子どもたち 佐藤奈緒子
インタビュー こども映画教室の活動について 土肥悦子
[ 資料 ]
いのちの記録 代表的作品リスト+関連年表
新商品やキャンペーンなどの最新情報をお届けいたします。