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スマートフォンやパソコン、タブレットPC、プロジェクション・メディア……。「スクリーンの遍在」と「映像の多様化」という現代のメディアをめぐる状況を理解するためには、テレビや映画ではなく、むしろ写し絵や幻燈、連鎖劇やキネオラマといった19世紀転換期の忘れられた映像文化に光を当てることが重要である――。
過去の映像メディアを同時代の社会制度や科学技術、大衆文化の連関のなかに位置づけることで、日本近代の豊かな視覚文化を照らし出す。歴史と現在を対置し、19世紀の多彩な映像文化こそが現代の映像環境を準備したことを示す、メディア研究の重要な成果。第15回日本社会学会奨励賞を受賞。
[出版社より]
著 者|大久保遼
出版社|青弓社
定 価|4,000円+税
判 型|A5判/上製
頁 数|336
ISBN|978-4-7872-7369-7
初 版|2015年2月
Contents
序章 映像文化へのアプローチ
1 スクリーンの遍在
2 本書の視座
3 本書の構成
第1章 写し絵と眼の機構――視覚理論・光学装置の伝来と映像文化
1 阿蘭陀ヱキマン鏡
2 眼の機構
3 写し絵の空間
4 物見の構造
第2章 教育幻燈と眼の規律――物理学・生理学的な視覚理論と実物教授
1 開化の言説と新事物
2 レンズと網膜
3 観察の論理
4 教育幻燈会における実践
5 一八九〇年の観客性
第3章 磐梯山噴火と映像の流通――新聞報道、写真幻燈、芝居小屋
1 磐梯山の噴火
2 新聞「写真」の掲載
3 写真幻燈会
4 歌舞伎における上映
5 情報と物語
第4章 戦争幻燈と感覚の動員――アトラクション、声の文化、スペクタクル
1 幻燈会の変容
2 教育と興行のはざまで
3 国家教育と感覚理論
4 日清戦争幻燈会
5 シネマトグラフ伝来前夜
第5章 感覚の統御と影像の論理――十九世紀末における感覚の再編
1 断片的な影像=イメージ
2 実験心理学における感覚理論
3 感覚の統御と注意の練習
4 影像の論理
5 イメージの近代
第6章 連鎖劇とキネオラマ――活動写真の一九一〇年代
1 シネマトグラフの伝来
2 連鎖劇
3 キネオラマ
4 映画の幼年期
終章 映像のアルケオロジー
1 情報化の初期微動
2 一八九〇仮説の転回
3 未現像の風景
参考文献一覧
あとがき
年表
索引
Author
大久保 遼 Ryo Okubo
1983年、東京都生まれ。東京藝術大学社会連携センター教育研究助手、早稲田大学演劇博物館招聘研究員。専攻はメディア論、社会学、映像文化史。博士(学際情報学)。共著に『メディア技術史――デジタル社会の系譜と行方』(北樹出版)、『日本映画の誕生』(森話社)、『1985/写真がアートになったとき』(青弓社)、論文に「キノドラマとキネオラマ――旅順海戦と近代的知覚」(「映像学」第80号)など。
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