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奴隷の文学誌[バーゲンブック]

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法律で読み書きが禁止されるという体験を強いられた奴隷制以来、アフリカン・アメリカンにとって識字を得ることは自由と同義だった――文学と声の緊張関係を問い直すために、奴隷体験記から現代作家にいたるアフリカン・アメリカン文学の150年を照らし出す。



ボブ・ディランやトニ・モリスンのノーベル文学賞受賞によって、声としての文学が再評価されつつある。本書は、文学と声の関係性を問い直すために、奴隷体験記から現代作家にいたるアフリカン・アメリカン文学の150年を描き出す。

法律で読み書きが禁止されるという体験を強いられた奴隷制以来、アフリカン・アメリカンにとって識字を得ることは自由と同義だった。南北戦争と1930年代のニューディール期の奴隷体験記を歴史的・社会的な視点から読み解き、文字文化の重要性を浮き彫りにする。

そのうえで、20世紀後半のアフリカン・アメリカンの文学を丁寧にたどり、現代の作家たちが元奴隷の声を文学として「いま」にどうよみがえらせてきたのかを明らかにして、今日的な文学の可能性をも照らし出す。
[出版社より]


著 者|峯真依子
出版社|青弓社
定 価|3,000円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|330

ISBN|978-4-7872-9248-3
初 版|2018年04月


Contents
はじめに――ボブ・ディランのノーベル文学賞と黒人霊歌から考える

第1部 声から文字へ

第1章 十九世紀の奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)
 1 読み書き禁止法というトラウマ
 2 演説が活字になる過程
 3 奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)の定型と「声」が成熟する過程
 4 フレデリック・ダグラスの奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)

第2章 二十世紀の連邦作家計画(ルビ:FWP)スレイヴ・ナラティヴ
 1 ニューディール政策による連邦作家計画(ルビ:FWP)
 2 ガイドブック
 3 オーラル・ヒストリー
 4 元奴隷の声が記録されるまで
 5 読み書き禁止法の証言

第2部 文字から声へ

第3章 ラルフ・エリスンとヴァナキュラーな声
 1 十九世紀奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)と『見えない人間』
 2 リテラシーと自由の神話
 3 声を求める旅
 4 エリスンの未完のプロジェクト
 5 FWPインタビューと『見えない人間』
 6 奴隷小屋からのストーリーテリング
 7 プレ・テクストとしての奴隷制度
 8 ニューヨークに現れる南部
 9 「ラインハート」という未知なる可能性
 10 声と文字をめぐる三つの文学評論

第4章 アーネスト・J・ゲインズと復活した奴隷たちの声
 1 新・奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)
 2 再燃した奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)の代筆の問題
 3 再評価されるFWPスレイヴ・ナラティヴ
 4 FWPスレイヴ・ナラティヴを擬装すること
 5 言い間違い、同じ言葉の繰り返し
 6 話の脱線、時間軸の混乱
 7 読者に話しかけてくる奇妙な本
 8 百十歳の無敵のヒロイン
 9 『グラマトロジーについて』と声と文字の問題

第5章 トニ・モリスン作品の声と文字の問題
 1 『ソロモンの歌』の奇妙な名前をめぐる描写
 2 ユニークな名前に隠された意味
 3 名前と識字
 4 最小の声の物語としての名前
 5 『ビラヴィド』の亡霊はなぜ肉体をもたなければならなかったか
 6 亡霊は行間から現れる
 7 声と肉体
 8 妹と文字文化
 9 おびただしい数の奴隷の復活
 10 言葉にならない怒りを文字にすること

むすびにかえて


Author
峯 真依子 Maiko Mine
1974年、大分県生まれ。中央学院大学現代教養学部助教。専攻はアメリカ文学・文化。共著に『衣装が語るアメリカ文学』(金星堂)、『亡霊のアメリカ文学――豊穣なる空間』(国文社)、『バード・イメージ――鳥のアメリカ文学』(金星堂)など。

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