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斜め論
¥2,420
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ケアは、どうひらかれたのか? 「生き延び」と「当事者」の時代へと至る「心」の議論の変遷を跡付ける。垂直から水平、そして斜めへ。時代を画する、著者の新たな代表作。 自己実現や乗り越えること、あるいは精神分析による自己の掘り下げを特徴とする「垂直」方向と、自助グループや居場所型デイケアなど、隣人とかかわっていくことを重視する「水平」方向。 20世紀が「垂直」の世紀だとすれば、今世紀は「水平」、そしてそこに「ちょっとした垂直性」を加えた「斜め」へと、パラダイムがシフトしていく時代と言える。 本書は、ビンスワンガー、中井久夫、上野千鶴子、信田さよ子、当事者研究、ガタリ、ウリ、ラカン、ハイデガーらの議論をもとに、精神病理学とそれにかかわる人間観の変遷を跡付け、「斜め」の理論をひらいていこうとする試みである。 著者は、2015年のデビュー作『人はみな妄想する』でラカン像を刷新し、國分功一郎、千葉雅也の両氏に絶賛された気鋭の精神医学者。デビューから10年、新たな代表作がここに誕生する。 [出版社より] 著 者|松本卓也 出版社|筑摩書房 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-84333-3 発 行|2025年08月 Contents 第一章 水平方向の精神病理学に向けて──ビンスワンガーについて 第二章 臨床の臨界期、政治の臨界期──中井久夫について 第三章 「生き延び」の誕生──上野千鶴子と信田さよ子 第四章 当事者研究の政治 第五章 「自治」する病院──ガタリ、ウリ、そしてラカン 第六章 ハイデガーを水平化する──『存在と時間』における「依存忘却」について 補論1 精神分析とオープンダイアローグ 補論2 依存症臨床の空間──平準化に抗するために Author 松本 卓也 Takuya Matsumoto 1983 年、高知県生まれ。2008 年3 月、高知大学医学部医学科卒。2015 年3 月、自治医科大学大学院医学研究科修了、博士(医学)。2016 年4 月より、京都大学大学院人間・環境学研究科総合人間学部准教授。研究分野は、精神病理学、精神分析学、精神医学史、病跡学、フランス現代思想。 著作に『人はみな妄想する』(青土社)、『心の病気ってなんだろう?』(平凡社)、『創造と狂気の歴史――プラトンからドゥルーズまで』(講談社)、『享楽社会論――現代ラカン派の展開』(人文書院)、翻訳に『現実界に向かって――ジャック=アラン・ミレール入門』(人文書院)、共訳にダリアン・リーダー『ハンズーー手の精神史』(左右社)、ヤニス・スタヴラカキス『ラカニアン・レフト―ラカン派精神分析と政治理論』(岩波書店)、共編著に『コモンの「自治」論』(集英社)など。
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ピアノを弾く哲学者——サルトル、ニーチェ、バルト[OUTLET]
¥1,320
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いっこうに上達しないショパンを弾くサルトル、驚くほど美しく繊細な手で弾くニーチェ、ピアノを弾いていると「何かが勃起する」バルト——。 ピアノ演奏をこよなく愛した三人の思想家の知られざる側面を浮き彫りにする 哲学と音楽が豊かに共演したエッセイ。 三人の思想家、サルトル、バルト、ニーチェ。彼らはともにアマチュアのピアニストで、ピアノをこよなく愛していた。とくに、彼ら三人の哲学者=ピアノ奏者には、三者ともに同時代の現象を論じていながらも、ショパンやシューマンといった19世紀ロマン派のピアノ曲を好んで演奏していたという共通点がある。本書は、彼らのピアノ演奏、音楽体験を取りあげながら、哲学的思考、時間性、家族・友人関係と演奏がいかに交錯していたのかを明らかにする。 [出版社より] 「著者は、三人の思想家の音楽に関する考えを整理分析するのではなく、むしろ、彼らの知られざる相貌を、音楽、ことにピアノとの関わりをとおして描く。サルトルはメロディーに、ニーチェは音色に、バルトはリズムに敏感だったと、それぞれの個性を見極めながら、哲学者とピアノとの具体的な関わりを、豊富なエピソードとともに示してくれる。 哲学者にとって音楽を実践する(演奏する)ことの意味が、彼らの哲学的実践と照らし合わせながら、問われるのだ。この名人芸的な節回しに身を任せることで、読者は、敷居の高い哲学者たちの内面に難なく招じ入れられることになる。本書の魅力は、このように肩肘張ることなく、哲学と音楽の共演を楽しめる点にある」 ——澤田 直(フランス哲学・文学者) 著 者|フランソワ・ヌーデルマン 訳 者|橘明美 解 説|澤田直 出版社|太田出版 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/仮フランス装 頁 数|232 ISBN|9784778314156 発 行|2014年11月 Contents プロローグ 直観 オフビートのピアノ――サルトルの場合 なぜわたしはこんなにすばらしいピアニストなのか――ニーチェの場合 ピアノがわたしに触れる――バルトの場合 エピローグ 共鳴 Author フランソワ・ヌーデルマン François Noudelmann フランスを代表するサルトル研究者。パリ第8大学教授。ジョン・ホプキンス大学やニューヨーク大学の客員教授、全— 世界学院のコーディネーターなどを歴任。ドキュメンタリー映画でサルトルがショパンを弾くところを見て「新たなサルトル」を発見し、それを機に思想家とピアノの関係を探求、本書の上梓につながった。自らも優れたピアノ演奏者である。2002年以来、ラジオ・フランス・キュルチュールで哲学番組のパーソナリティを務め、哲学・文学・芸術について幅広く語り、人気を博している。著書多数。
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魂の形式 コレット・マニー論
¥2,420
没後約四半世紀、今なお熱狂的なファンを持つフランス音楽史上最も偉大な歌手コレット・マニーの評伝、入門書にして世界初の研究書。 コレット・マニーとは誰か——。歌詞、インタビュー、著述等のテクストを考察し、一人の人間がいかにしてほかならぬその人となったのかを明らかにする。社会的強者が作り出す基準から著しく逸脱するコレット・マニーの声は、「鉱山労働者、移民労働者、第三世界の民衆、黒人奴隷、女性、性的少数者、知的障害の子、家畜化された動物や無数の海鳥が形成する無名の共同体の声」となり、周縁的存在の集合が音楽的自由に直結する稀有な芸術形式、魂を揺さぶるマイナー音楽となる。 コレット・マニー Colette Magny (1926-1997) 1926年フランスのパリ生まれの歌手。36歳でプロ・デビューし、フランス初の「真のブルーズ歌手」として注目を集める。1963年にCBSからリリースした〈メロコトン(Melocoton)〉がヒットし一躍スター歌手の座へ登りつめるが、すぐに商業主義と決別してル・シャン・デュ・モンドへ移籍。「シャンソン・アンガジェ(政治参加の歌)」の代表的歌手となる。その後ディエゴ・マッソンやアンドレ・アルミュロなどの現代音楽作曲家、フランソワ・テュスクやグループ・ダーマなどのフリージャズ・ミュージシャンとの共同作業によって、実験性と政治性を兼ねたアルバムを発表していく。歌、語り、叫び、呻きを混ぜ合わせた唯一無二のスタイルで、アントナン・アルトー、チェ・ゲバラからルイス・キャロルまで、ジャズ、ブルーズから子守唄までを自家薬籠中のものとした。1997年没。 [出版社より] 「ウーム・カルスーム? ビリー・ホリデイ? 美空ひばり? マリア・カラス?……そう、たしかに彼女らは偉大だったかもしれない。しかし、それはそれぞれの限られたジャンルの中での表現のレヴェルにおいて、たかだか歌い手として偉大だったにすぎない。だが、コレット・マニーは決定的に違う。それは、歌の表現云々以前の、音楽をする行為自体において、既に全く違う次元にあるのだ。」 ——大里俊晴 著 者|中村隆之 出版社|カンパニー社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-910065-07-6 発 行|2021年12月 Contents ●序章 コレット・マニー研究とは何か 問題の所在 方法論 先行研究と資料 本書の構成 ●第一章 フランスのブルーズ歌手 (1926–63年) テレビのなかの「スター歌手」 歌手を目指すまで デビュー――オーディション、ミレイユとの出会い オランピア劇場 最初のEP盤《メロコトン》 ショービジネス界からの訣別の意味するもの ●第二章 政治的シャンソンはフリーを目指す (1963–67年) 政治的シャンソンの時代へ 最初の政治的EP盤《キューバ万歳》 《チュイルリー宮》に仕掛けられた爆弾 フランス最初期のフリージャズ・レコード《すべて終わり》 さらなる表現の前衛へ――ビュラビュラ、アルトー、ジャバウォッキー ●第三章 「六八年五月」からブラックパンサー党との共闘へ (1967–72年) 孤独と連帯 ベトナムとの連帯 マニーの〈六八年五月〉 《火とリズム》と黒人差別への怒り ブラックパンサー党に捧げたアルバム《レプレッション》 ルポルタージュとしての歌――フランス北部の炭鉱労働者とスペイン・バスク地方の神父のために ●第四章 政治主義の彼方へ (1972–79年) 政治的であるよりも人間的であること 北アフリカの移民労働者に捧げたアルバム《ペニャ・コンガ》 チリ支援のためのヌエバ・カンシオン 政治主義との訣別とフリージャズを通じた再生 マニー作品の極点《顔゠村》 イスラエル/パレスチナ問題に捧げた音楽劇 障害を抱える子たちの声、この子たちの呟きを歌にすること ●第五章 自由であり続ける、最後の日まで (1979–92年) 妥協なき表現の探究 「わが兄」アルトーへの愛 スタンダード・ナンバーに託されたカミングアウト 《ケヴォーク》あるいは馴致不能のホロホロ鳥 いくつかの断片 アンコールとしてのラストアルバム《未発表曲集 九一年》 ●終章 魂の形式 ●あとがき ●ディスコグラフィー ●主要参考文献 ●人名索引 Author 中村 隆之 Takayuki Nakamura 早稲田大学法学学術院准教授。東京外国語大学大学院博士後期課程修了。フランス語圏を中心とする環大西洋文学、広域アフリカ文化研究、批評と翻訳。著書に『野蛮の言説』(春陽堂書店)、『エドゥアール・グリッサン』(岩波書店)、『カリブ-世界論』(人文書院)、訳書に『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社)、エドゥアール・グリッサン『痕跡』(水声社)、解説にオレリア・ミシェル『黒人と白人の世界史』(明石書店)などがある。
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建築と触覚——空間と五感をめぐる哲学
¥3,300
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すべてが視覚情報化され消費されていくかのような昨今、建築が本来もつ「五感を統合する」という役割を今こそ見直すべきである。 メルロ=ポンティ、バシュラールらの議論を踏まえながら、建築における触覚、聴覚、味覚、嗅覚の重要性を再考し、あるべき本流の空間とは何かを問う。 ラスムッセン、クリスチャン・ノルベルグ=シュルツらの精神を継承する、北欧の最重要建築理論家による著、待望の邦訳。世界的建築情報サイトArchiDailyが選ぶ、名建築書ベスト150に選出。 [出版社より] 「パッラスマーは単なる理論家ではない。現象学的に洞察する力をもつすぐれた建築家だ。分析不可能な諸感覚の建築を実践に移し、その現象学的な性質でもって自身が建築哲学について著してきたものを具象化している」 ——スティーブン・ホール 著 者|ユハニ・パッラスマー 訳 者|百合田香織 出版社|草思社 定 価|3,000円+税 判 型|四六判/並製・函入 頁 数|208 ISBN|9784794226167 発 行|2022年12月 Contents 前書き 「薄氷」スティーブン・ホール 序論 世界に触れる 第一部 視覚と知識 視覚中心主義への批判 ナルシストの眼とニヒリストの眼 声の空間と視覚の空間 網膜の建築、立体感の喪失 視覚イメージとしての建築 物質性と時間 「アルベルティの窓」の拒絶 視覚と感覚の新たなバランス 第二部 身体中心 複数の感覚による経験 陰影の重要性 聴覚の親密さ 静寂、時間、孤独 匂いの空間 触覚の形状 石の味 筋肉と骨のイメージ 行為のイメージ 身体的同化 身体の模倣 記憶と想像の空間 多感覚の建築 建築の役割 Author ユハニ・パッラスマー Juhani Palllasmaa 代のフィンランドを代表する建築家、建築思想家。ヘルシンキ工芸大学学長、フィンランド建築博物館館長、ヘルシンキ工科大学建築学部教授・学部長を歴任。 Translator 百合田 香織 Kaori Yurita 神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了。専攻は建築/建築史研究室。公務員として公共プロジェクトに従事し英国赴任同行を機に退職。建築を巡りつつ翻訳スクールに通い翻訳者として活動を始める。
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個人空間の誕生——食卓・家屋・劇場・世界
¥1,430
広間での雑居から個室住まいへ。回し食いから個々人用食器の成立へ。多様なかたちで起った「空間の分節化」を通覧し、近代人の意識の発生をみる。 人間と環境の関係を追い続ける地理学者トゥアン。本書では、個人の自由を求めつつ共同体にあこがれてきた人間による、“空間の分節化と再統合”の過程を追う。 大騒ぎの食卓から用途別の食器とテーブルマナーが確立した食事へ、広間での雑居から個室への引きこもりへ、観客と役者が一体化した劇から純粋に見る劇へ——。 豊富な事例で浮かびあがるのは、ヨーロッパ近代における個人意識の発生だ。中国等の事例に照らし、「部分」に目をこらしつつ「全体」を求める「自己」は、一地域の歴史的産物であることを解明。人間社会を、空間の分節と統合という二つの運動の均衡状態として読み直す。 [出版社より] 著 者|イーフー・トゥアン 訳 者|阿部一 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,300円+税 判 型|文庫判 頁 数|368 ISBN|978-4-480-09886-3 発 行|2018年09月 Contents 全体 分節化・意識・自己 結合体 部分 飲食とマナー 家屋と家庭 劇場と社会 環境と視覚 自己 自己 自己と再構成された全体 Author イーフー・トゥアン Yi-Fu Tuan 1930年中国で生れる。中国系アメリカ人。オックスフォード大学で修士号、カリフォルニア大学バークレー校で博士号取得。現在、ウィスコンシン大学マディソン校名誉教授。70年代に現象学的地理学の旗手として颯爽と登場し、今日では、世界的な第一人者として知られている。本書のほか『空間の経験』『トポフィリア』『愛と支配の博物誌』『コスモポリタンの空間』『感覚の世界』『モラリティと想像力の文化史』などがある。 Translator 阿部 一 Hajime Abe 1961年生れ。東洋学園大学教授。
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働き方改革の人類史[OUTLET]
¥880
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なぜ、日本型組織は「時代遅れ」になったのか? なぜ、ビジネスパーソンに「自己啓発」が求められるのか? 「イノベーション」は労苦を軽減するのか? 古今東西の歴史知識を収集する著者が、いちビジネスパーソン(労働者)の視点で ¥働き方の歴史を読み解きます。 [出版社より] 著 者|尾登雄平 出版社|イースト・プレス 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|264 ISBN|9784781621388 発 行|2022年11月 Contents 第1章 働き方の世界史:労働者たちの歩み ◇勤勉な労働者の誕生 ■古代ギリシア人にとっての労働 ■オフィスワーカー=恥だった? ■「働いて稼ぐ」が美徳になるまで ■労働者が「勤勉」になった理由 ◇搾取と戦う労働者 ■産業革命後の過酷な「苦汗労働」 ■共済団体から労働組合へ ■労働組合の合法化 ■労働時間規制と最低賃金の制定 ■熟練工が支配していた工場労働 ■強い経営者の誕生 ■私生活に介入する経営者たち ◇「労働者のための国家」の失敗 ■国家と労働組合の対決 ■階級のない社会を目指して ■「働かざる者食うべからず」からの脱却 ■福祉国家イギリスのはじまり ■戦後の経済発展と福祉国家体制 ◇市場価値を求められる労働者 ■「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代 ■「メンバーシップ型」から「ジョブ型」へ ■働き方の未来はどうなる? 第2章 労働時間:「1日8時間労働」はどう普及したか ◇日本の労働時間はなぜ長い? ■波平さんの勤め先はホワイト企業? ■日本人が残業をする理由 ◇「労働時間」の概念が生まれるまで ■「時間」感覚が普及するまで ■日が昇ってから落ちるまで働く ■現代的な「労働時間」の誕生 ◇長時間労働という搾取 ■古代ローマ人の労働時間が短かった理由 ■ブラックだった農村の底辺労働 ◇労働時間の短縮を目指して ■ギルドが残業を禁じた理由 ■長時間労働よりも深刻な問題 ■「標準労働時間」を求める運動 ■労働時間の短縮が社会に繁栄をもたらす ■8時間労働の普及 第3章 生産性:イノベーションは労苦を軽減するのか ◇人間が働かなくていい時代はやってくるのか ■ソサエティ5・0 ■ディストピアかユートピアか ◇農業革命がもたらしたもの ■時間がかかった農業革命 ■国家システムが民を搾取する ■三国時代の引き金となった経済格差 ■「均田制」の失敗 ■中世ヨーロッパの「農業革命」 ■ヨーロッパ的な田園風景の誕生 ■時代に適応できた人とできなかった人の差 ◇産業革命がもたらしたもの ■産業革命のはじまり ■工業化の先に待っていたもの ◇情報革命への期待と絶望 ■世界をインターネットで結びつけた情報革命 ■フェイクニュース、社会の分断、寡占的プラットフォーマー ◇「働き方改革」は私たちの生活を良くしたのか ■労働生産性の低い日本 ■技術は人の負担を軽くするか? 第4章 やりがい:人類はどう働かされてきたのか ◇「働きたくない!」という思い ■労働を忌み嫌った人類 ■「働きたくない」労働者をいかに働かせるか ◇人を働かせる方法 ■ロボットのように働け ■人間性を加味したマネジメント ■労働者にモチベーションを持たせる ■戦略的マネジメントを担う労働者 ■「合理的経営」による疲弊 ■イノベーションを生む柔軟な組織とは ■イノベーティブへの求道 ◇労働から幸福を得ることはできるのか ■労働を幸福に感じる社会を目指して ■幸福格差の時代 Author 尾登雄平 Yuhei Oto 1984年福岡県生まれ。出版社にて勤務する傍ら、世界史の面白いネタを収集するブログ「歴ログ-世界史専門ブログ-」、YouTubeチャンネル「歴ログ-世界史専門チャンネル-」を運営。歴史ライターとしても活動し、ビジネス雑誌、企業オウンドメディア、会報誌などに寄稿する。著書に『あなたの教養レベルを劇的に上げる 驚きの世界史』(KADOKAWA)がある。
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決闘のヨーロッパ史[OUTLET]
¥1,293
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「決闘」はいかに生まれ、なぜ衰退したのか——。 男も、女も、ゲーテもニーチェもマルクスも、なぜあれほど熱狂したのか。命がけの一騎打ちはいかにしてスポーツに変わったのか? ヨーロッパ精神の根底に流れる「決闘」の歴史を辿る、はじめての書。ルール、社会的背景、使われた武器など、あらゆる角度から決闘の奥深い歴史を追う。 [出版社より] 著 者|浜本隆志・菅野瑞治也 出版社|河出書房新社 定 価|2,350円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|200 ISBN|9784309228297 発 行|2021年09月 Contents プロローグ ドイツにおける決闘体験記 第1章 決闘のヨーロッパ史 第2章 ヨーロッパの決闘禁止令 第3章 ドイツの学生と将校の決闘 第4章 決闘からスポーツへ 第5章 劇場型スポーツと観客 エピローグ 決闘の美学・スポーツの美学 Author 浜本 隆志 Takashi Hamamoto 1944年、香川県生まれ。関西大学文学部教授を経て、名誉教授。ヴァイマル古典文学研究所、ジーゲン大学留学。専攻はヨーロッパ文化論、比較文化論。著作多数。 菅野 瑞治也 Michinari Sugano 富山県生まれ。京都外国語大学教授。文学博士。ドイツのマンハイム大学留学中に学生結社「コーア・レノ・ニカーリア」の正会員となり、決闘を体験。現在は同会OB会員。専攻は決闘文化論、ドイツ語圏の社会文化史。
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人類50万年の闘い——マラリア全史[OUTLET]
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「人類はそれを厄介払いできない。もっとも冷酷な寄生生物——。50万年の長きにわたって人類と蚊とを手玉に取り続ける、マラリア原虫の驚異的な生存戦略。その進化の秘密を解き明かす」 本書の魅力は、「もっとも冷酷な寄生生物のひとつ」が、二つの敵(蚊と人類)を籠絡してきた進化の秘密を解き明かすことにあります。病原体の解明と治療法の解説が目的ではなく、マラリアと人類が、いわば「共進化」してきたことを教えてくれます。ミクロ(マラリア原虫)がマクロ(人類やその歴史)を引きずり回してきたことが活写されるので、アフリカの風土病くらいにしか考えていない人にも、共生系をなす地球に住むかぎり、人類には安全地帯はない、ということが分かってくる仕掛けです。 「50万年の長きにわたって人類と蚊とを手玉に取り続ける、マラリア原虫の驚異的な技です。抗マラリア剤をたちまち無力化し、私たちの防御機能——免疫を巧みにすり抜けて、微塵も衰えることなく人類集団の中に居座り続ける様を見れば、薬剤耐性細菌の脅威などは単純なものに思えるくらいです。ことマラリアに関しては化学療法剤や殺虫剤などは一時的な気休めに過ぎず、人類は進化のレースにおいて原虫に取り返しがつかないほど遅れをとってしまっているのではないかとさえ思われます」——訳者あとがきより抜粋。 [出版社より] 著 者|ソニア・シャー 訳 者|夏野徹也 出版社|太田出版 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|424 ISBN|9784778314385 発 行|2015年03月 Contents 1 戸口にせまるマラリア 2 殺人鬼の誕生 3 激流の真っ只中へ 4 マラリアの生態学 5 薬物療法のつまずき 6 マラリアは宿命 7 科学的解決法 8 消えたマラリア──西洋からいなくなったわけ 9 スプレーガン戦争 10 新時代の闘い 訳者あとがき 原注 索引 Author ソニア・シャー Sonia Shah 1969年、インド系移民の子としてニューヨーク市に生まれる。合衆国東北部と、親族が住むインドとの間を行き来しているうちに、両者間ならびにそれぞれの国家内に存在する不平等に対して強い関心を持つことになる。科学、人権、国際政治に関する著書はいずれも好評を博し、多国語に翻訳されているものもいくつかある。Crudeは『石油の呪縛と人類』として邦訳出版されている(集英社)。多くの大学で講演をするかたわら、テレビ番組にも多数出演。本書はカメルーン、マラウィ、パナマなどの5年間にわたる取材を基に纏めたもので、『ニューヨーク・タイムズ』をはじめ、各方面から絶賛を浴びている。
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遺言——対談と往復書簡
¥1,045
未曽有の大災害の後、言葉を交わしあうことを強く望んだ作家と染織家。残された時間を自覚する中で実現した対談と往復書簡。 東日本大震災後、自らの仕事の根本が揺らぐように感じた染織家・志村ふくみが、長年交流のあった作家・石牟礼道子へ手紙を送って始まった往復書簡。折しも、石牟礼は生涯最後の作品として新作能を構想しているところだった。作家と染織家が新しいよみがえりを祈って紡いだ次世代へのメッセージ。往復書簡と二度の対談、遺作となった「沖宮」を収録。解説=志村洋子、志村昌司。 [出版社より] 著 者|石牟礼道子・志村ふくみ 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|950円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-480-43531-6 発 行|2018年09月 Contents 二〇一一(平成二十三)年 書簡 二〇一二(平成二十四)年 書簡 第一回対談(四月二十二日) 沖宮 二〇一三(平成二十五)年 書簡 第二回対談(五月三十一日) Author 石牟礼 道子 Michiko Ishimure 1927-2018年。作家。熊本県天草郡に生まれ水俣市に育つ。69年『苦海浄土――わが水俣病』を刊行。73年マグサイサイ賞、86年西日本文化賞を受賞。93年に本作『十六夜橋』で紫式部文学賞受賞。2001年度朝日賞受賞。02年『はにかみの国――石牟礼道子全詩集』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。他の著書に『アニマの鳥』『椿の海の記』『石牟礼道子全集 不知火』などがある。 志村 ふくみ Fukumi Shimura 1924年滋賀県近江八幡生まれ。55年植物染料による染色を始め、57年第四回日本伝統工芸展に初出品で入選。83年『一色一生』で大佛次郎賞受賞。86年紫綬褒章受賞。90年国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。93年『語りかける花』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書に『色を奏でる』『小裂帖』『ちよう、はたり』『つむぎおり』など。
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新装版 苦海浄土 わが水俣病
¥836
人の尊厳とは何か——。いまこそ心打つ<声>を聞いてください。 文字が大きく読みやすくなった新装版。 工場廃水の水銀が引き起こした文明の病・水俣病。この地に育った著者は、患者とその家族の苦しみを自らのものとして、壮絶かつ清冽(せいれつ)な記録を綴った。本作は、世に出て30数年を経たいまなお、極限状況にあっても輝きを失わない人間の尊厳を訴えてやまない。末永く読み継がれるべき<いのちの文学>の新装版。 [出版社より] 著 者|石牟礼道子 出版社|講談社[講談社文庫] 定 価|760円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|416 ISBN|9784062748155 発 行|2004年07月 Contents 第1章 椿の海 第2章 不知火海沿岸漁民 第3章 ゆき女きき書 第4章 天の魚 第5章 地の魚 第6章 とんとん村 第7章 昭和四十三年 Author 石牟礼 道子 Michiko Ishimure 1927年、熊本県天草郡に生まれる。’69年、『苦海浄土』を刊行、水俣病の現実を伝え、魂の文学として描き出した作品として絶賛される。’70年、第1回大宅壮一賞に選ばれるが受賞辞退。’73年、マグサイサイ賞受賞。’93年、『十六夜橋』(ちくま文庫)で紫式部文学賞受賞。2002年、朝日賞受賞。同年、新作能「不知火」を発表。’03年、『はにかみの国―石牟礼道子全詩集』(石風社)で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
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到来する女たち——石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学
¥2,640
不揃いなままで「わたし」が「わたしたち」になる──。 1958年に創刊された雑誌『サークル村』に集った石牟礼道子、中村きい子、森崎和江が聞書きなどの手法で切り拓いた新たな地平を、『中上健次論』が話題を呼んだ著者が「思想文学」の視点で読み解く。 「『サークル村』を通して、彼女たちが手に入れたのは、儚い「わたし」(たち)の小さな「声」を顕すための言葉であったにちがいない。この新しい集団の言葉は、異質なものと接触し遭遇することで自らを鍛え、異質な他者とともに葛藤を抱えながらも不透明な現実を生きようとする言葉でなければならなかった。支配や権力、垂直的な位階制や序列的な差別から自由で、不揃いなままで水平的に「わたし」は「わたしたち」になる。 三人の女たちは、そのような「わたし」と「わたしたち」を創造/想像し、「わたし」と「わたしたち」とを表現しうる言葉を発明しようとしたのではなかったか」 ・石牟礼道子(1927-2018)【熊本】……熊本県天草生まれ。詩人、作家。生後すぐに水俣へ。著書に『苦海浄土』『椿の海の記』『西南役伝説』ほか。 ・中村きい子(1928-1996)【鹿児島】……鹿児島生まれ。小説家、作家。母をモデルにした小説『女と刀』は大きな話題を呼び、木下恵介監督によりドラマ化もされた。 ・森崎和江(1927-2022)【福岡】……朝鮮大邱生まれ。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、58年筑豊炭鉱近郊の中間に転居、谷川雁らと『サークル村』創刊。著書に『まっくら』『慶州は母の呼び声』『非所有の所有』など。 [出版社より] 著 者|渡邊英理 出版社|書肆侃侃房 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|400 ISBN|978-4-86385-678-3 発 行|2025年07月 Contents はじめに 1 集団・聞書き・女たち 2 「思想文学」として読む 3 三人の横顔 4 本書の構成と概要 第1章 はじまりとしての『サークル村』 1 戦後文化運動と『サークル村』 2 『サークル村』の「女性表現」 3 九州の「南」 4 「南」の女たち 5 「南九州」の集団と文化 6 「戦争小説」/「戦後文学」 7 「エロス」と女たち 8 〈非所有の(非)所有〉 第2章 母の肖像/群像──中村きい子『女と刀』 1 娘による母の伝記 2 「南九州」の宗教と「差別」 3 下級武士の娘 4 不適切な擬態 5 意に沿わぬ結婚 6 抜かれぬ刀、女の争闘 7 〈借り物〉からはじめる 8 あらがねの肌と性愛(エロス) 第3章 連なり越えゆく世界を感受する──石牟礼道子『椿の海の記』 1 あわいを漂う言葉 2 交通と(被)開発の時空 3 分解と再生産、「生類世界」とコモンズ 4 家父長制とケアの実践 5 ケアする人びと 6 「女」という階級 第4章 不透明な他者と女同志の絆──森崎和江『遙かなる祭』 1 小フィクション説という言葉の機構 2 放浪という運動性 3 日本の二重構造 4 批判としてのフィクション 5 階級/性/「民族」 6 異郷の神々と女たちの「交流」 7 海と女の思想圏 第5章 交差する言葉、流動する女たち 1 「失対人夫」、「都市雑業層」 2 階級と性、あるいは労働と愛 3 「流民/型労働者」と被差別民 4 「流民」の女たち 5 到来する女/言葉 註 あとがき Author 渡邊英理 Eri Watanabe 熊本県生まれ、鹿児島県(霧島市・鹿児島市)育ち。大阪大学大学院人文学研究科教授。日本語 文学、批評/批評理論、思想文学論。東京大学大学院総合文化研究科単位取得後満期退学。博士 (学術、東京大学、二〇一二年)。 主要著書に、単著『中上健次論』(インスクリプト、二〇二二年七月、第一四回表象文化論学会 賞)、共編著『クリティカルワード 文学理論』(三原芳秋・鵜戸聡との編著、フィルムアート社、 二〇二〇年)、共著『〈戦後文学〉の現在形』(紅野謙介・内藤千珠子・成田龍一編、平凡社、二 〇二〇年)、共著『文学理論の名著50』(大橋洋一・三原芳秋編著、平凡社、二〇二五年)、共著 『二十一世紀の荒地へ』(酒井直樹・坪井秀人との鼎談収録、以文社、二〇二五年)など。 論文に、「戦争と女たち― 鈴木忠志の演劇における「現代世界」と「戦後日本」」『思想』二〇 二四年八月号(岩波書店、二〇二四年七月)、「復讐と砂漠― 安部公房『砂の女』と〈戦後文 学〉」『現代思想』一一月臨時増刊号(青土社、二〇二四年一〇月)、「未完の晩年様式、未決の 「アジア的想像力」」『群像』二〇二四年七月号(講談社、二〇二四年六月)など。文芸批評では、共同通信・文芸時評「いま、文学の場所へ」(二〇二三年四月〜)、「女たちの群像」 『群像』(講談社、二〇二五年五月号〜)、「おごじょの本棚」『西日本新聞』(二〇二五年六月〜)、 「新人小説月評」『文學界』(文藝春秋、二〇二三年八月号〜二〇二四年七月号)などを連載。森崎和江 『能登早春紀行』「解説・旅する言葉、海と女の思想圏」(中公文庫、二〇二五年)、温又柔 『魯肉飯のさえずり』「解説」(中公文庫、二〇二三年)など、文庫解説も手がけている。
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夢を描く女性たち イラスト偉人伝[OUTLET]
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教科書に出てくる偉人はなぜ男性だけ? なのでつくった、女性偉人伝! 世界各地に、さまざまな国籍、時代、活動分野で活躍した女性たちがいる。夢に向かって行動したその人生を、現代の女性作家たちのイラストとともに描く。韓国のフェミニズム出版社ボムアラムによる、歴史上の女性のあたらしい検証。 [出版社より] 編 集|ボムアラム 訳 者|尹怡景 出版社|タバブックス 定 価|1,700円+税 判 型|B5変型判・並製 頁 数|64 ISBN|978-4-907053-41-3 発 行|2020年05月 Contents フロレンス・ナイチンゲール エメリン・パンクハースト チャ・ミリサ ヘレン・ケラー キム・ジョムドン 山川菊栄 キム・ミョンスン ヴァージニア・ウルフ クォン・キオク ナ・へソク ブ・チュンファ ローザ・パークス ホ・ジョンスく イ・テヨン キャサリン・ジョンソン 石牟礼道子 ト・ユウユウ パク・ナムオク ジェーン・グドール 田中美津 ベルタ・カセレス マリアム・ミルザハニ チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ ジャシンダ・アーダーン マララ・ユスフザイ グレタ・トゥーンベリ Editor ボムアラム 性差別と女性嫌悪に対応するプラットフォームを作ろうとする女性たちが作った韓国の出版社。2016年7月刊行『우리에겐 언어가 필요하다 : 입이 트이는 페미니즘』(私たちには言語が必要である:口を開くフェミニズム)をはじめ、今必要な「多様なフェミニズムの本を出版している。 http://baumealame.com 尹怡景 ユン・イギョン/Yoon Ekyung ソウル生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。専門は文化人類学。慶應義塾大学大学院非常勤講師。
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ケアの物語——フランケンシュタインからはじめる
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強者が押しつける「正しさ」と暴力や分断がはびこる現代社会。そこで置き去りにされているのは、尊厳を踏みにじられた人々が紡ぐ〈小さな物語〉――。恐ろしい怪物の物語として知られる『フランケンシュタイン』を、10のテーマを通して多様な作品群と縫い合わせ、読む者をケアの本質へと誘う。想像力を解き放つ文学論。 [出版社より] 著 者|小川公代 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|1,000円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|302 ISBN|9784004320715 発 行|2025年06月 Contents はじめに 1 戦 争 『進撃の巨人』『三ギニー』 1 「壁」を乗り越えて――小さな物語へ 2 アウトサイダーの女性たち 3 『フランケンシュタイン』――生の平等を問う 2 論破と対話 『もうひとつの声で』『バービー』『バタードウーマン』 『バグダードのフランケンシュタイン』 1 関係性を結んで対話する 2 対話と共話 3 ヴィクターがSNSを使えたなら 4 『バグダードのフランケンシュタイン』 3 親ガチャ 『親ガチャの哲学』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』『波』 『山上徹也と日本の「失われた30 年 」 』 『SPY×FAMILY』『キン肉マン』 1 共同体幻想を打ち砕く人間の流動性 2 「これからの時間」を生きるために 3 「無敵の人」としてのクリーチャー 4 ジークの反出生主義とアーニャの反・反出生主義 4 マンスプレイニング 『哀れなるものたち』『吸血鬼ドラキュラ』 1 “声”とは何か 2 エドワード・トレローニーの誹謗中傷 3 『哀れなるものたち』と女性たちの声 4 愛と自由について語る 5 レイシズム 『ウォッチメン』「オジマンディアス」 1 レイシズムとは何か 2 『ウォッチメン』は何をケアするか 3 タルサ暴動を語り直す 4 『フランケンシュタイン』におけるレイシズム批判 6 インターセクショナリティ 『カラーパープル』 1 インターセクショナリティとは何か 2 “声”を獲得していく物語 3 『フランケンシュタイン』のインターセクショナリティ 7 愛 『ワンダー・ウーマン』『もう一人、誰かを好きになったとき』 『鬼滅の刃』『偽姉妹』 1 ゼロサム的な恋愛に抗して 2 ポリアモリーとは 3 メアリ・シェリーの愛の実践 8 エコロジー 『優しい語り手』『オーランドー』『センス・オブ・ワンダー』 1 エコロジー運動の黎明期 2 ワーズワスからウルフまで 3 カーソンの『センス・オブ・ワンダー』 9 ケアの倫理 『虎に翼』『ダロウェイ夫人』 1 〈ケアの倫理〉とは何か――『虎に翼』とケア 2 弱者の「声」に耳を澄ませる 3 『フランケンシュタイン』に描かれるケアの倫理 10 アンチ・ヒーロー 『僕のヒーローアカデミア』『外套』 『「性格が悪い」とはどういうことか』『ベル・ジャー』 1 アンチ・ヒーローとは 2 “ギフテッド”の功罪 3 なぜトガヒミコはヴィランになったのか 4 ロマン主義時代の反逆者たち 参考文献一覧 あとがき Author 小川公代(おがわ・きみよ) 1972年和歌山県生まれ.上智大学外国語学部教授.ケンブリッジ大学政治社会学部卒業.グラスゴー大学博士課程修了(Ph.D.). 専門―ロマン主義文学,および医学史. 著書に『ケアの倫理とエンパワメント』 『ケアする惑星』『翔ぶ女たち』(講談社) 『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版) 『ゴシックと身体――想像力と解放の英文学』(松柏社)など. 訳書 に『エアスイミング』(シャーロット・ジョーンズ著,幻戯書房) 『メアリ・シェリー――『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ』(シャーロット・ゴードン著,白水社).
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ラテン語の世界史
¥1,155
ローマ帝国は滅びても、ラテン語は滅びない。 いかにして西洋文化の基盤となったのか「世界最強言語」の謎に満ちた運命に迫る。 イタリアの一地方言語に過ぎなかったラテン語は、ローマ帝国の公用語として世界に広まり、西ローマ帝国崩壊後もキリスト教と結びついて普遍的公用語としての地位を築いた。しかし、やがて主要言語としての地位を失い、「教養」語となって現代に至る。長く歴史上に君臨したラテン語はいかにして広まり、生き続けてきたのか。ギリシア語との覇権争い、キリスト教との蜜月、各国の近代俗語との交代──「世界最強の言語」が歩んだ2000年以上に及ぶ数奇な運命に迫る。 [出版社より] 著 者|村上寛 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|1,050円+税 判 型|新書判 頁 数|304 ISBN|978-4-480-07687-8 発 行|2025年06月 Contents 第1章 現代のラテン語 「ラテン」とは何か?/ラテン文字の広がり/日本の大学ではラテン語が人気/キリスト教とラテン語/現代に「生きている」ラテン語/身の回りにはこんなにラテン語がある/学術用語はなぜラテン語なのか? 第2章 ラテン語の起源 ローマ建国の伝説/エトルリア語とラテン語/ギリシア語という先駆者/ギリシア語の韻律/ギリシアに魅了されたローマ/弁論家キケロの生涯/ギリシア哲学の導入/散文ラテン語の完成/ウェルギリウス――ラテン文学最高の詩人/ウェルギリウス『アエネイス』/ギリシアとローマを接続する叙事詩/ホラティウス――多彩なる韻文/オウィディウス――諧謔の詩人/ラテン語独自の恋愛詩/オウィディウス『変身物語』 第3章 古代末期までのラテン語 劇作家/古代ローマの出版流通/古代ローマの図書館/ラテン語の識字率/古代ローマの教育/役立つラテン語/ラテン語はいかにして伝わったのか?/ギリシア語圏への伝播/古典ラテン語と俗ラテン語/俗ラテン語の台頭/古典教養の衰退 第4章 ラテン語とキリスト教 「公用語」としてのラテン語/キリスト教は何を信じているのか?/原始教会とその言語状況/ラテン語圏の初期キリスト教とその言語/ローマ司教とキリスト教/東方ギリシア語圏との溝/新旧訳聖書/聖書のギリシア語訳/ヒエロニュムス/ウルガタ訳聖書/アウグスティヌスの生涯/聖書の文体とラテン語/中世キリスト教のラテン語へ 第5章 初期中世から盛期中世のラテン語 中世という時代/ラテン語からロマンス語へ/ラテン語発音の変化/ゲルマン諸王国はなぜラテン語を使ったのか?/修道院の生活/修道院における古典伝承/北方の修道院における古典伝承/古典を継承する修道士、ベタ・ウェネラビリス/イベリア半島の古典伝承/カロリング朝の教育復興/正しいラテン語を取り戻せ/正書法と発音/写本はいかに伝わったのか?/写本のために考案された書体/「ゴート族風の」ゴシック体 第6章 学校・教育のラテン語 修道院での教育/キリスト教と古典文学の葛藤/修道院に弁証論は必要?/移動する教師と生徒/弁証論の大流行/教科書や選集での教育/女性はラテン語とは無縁だったのか?/「教養ある女性」へ/修道女、ビンゲンのヒルデガルト/世俗女性の学識、エロイサ/フランス語前夜/ラテン語を駆逐するフランス語/聖書の俗語翻訳 第7章 イタリア・ルネサンスから現代へ ラテン語からイタリア語へ/ラテン語の復興/大学で使われ るラテン語/ラテン語と教育/ラテン語賛美の陰り/エラス ムスの『キケロ主義者』/人文主義の陰り/ラテン語からス ペイン語へ/翻訳運動/日本宣教とラテン語/明治以後のラ テン語 文法コラム 1:文字・発音/2:動詞/3:名詞/4:前置詞・人称代名詞/ 5:形容詞/6:不定詞・命令法/7:修辞学・現在分詞 読書案内 人名・書名索引 Author 村上 寛 Hiroshi Murakami 1981年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。立教大学、明治学院大学、早稲田大学などで講師を務めるほか、人文知のプラットフォーム「クェス(QeS:Quid est Sapientia)」代表。2017年度よりKUNILABOでラテン語の講座を開講。専門は西洋中世思想。著書に『鏡・意志・魂─ポレートと呼ばれるマルグリットとその思想』(晃洋書房、2018年)などがある。
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パレスチナ、イスラエル、そして日本のわたしたちーー〈民族浄化〉の原因はどこにあるのか
¥2,750
パレスチナ/イスラエル問題を「自分のこと」として考えるために 国際法に明確に違反する虐殺であるにもかかわらず、「停戦」まで長すぎる月日を要し、さらにいまだ続くイスラエル軍によるガザ侵攻。 イスラエル建国を支持し、その筆舌に尽くし難い暴力を黙認し続けてきた欧米諸国の責任が問われる現在、かつて東アジア史におけるグレート・ゲームに名乗り出た帝国日本との関わりを起点に、国際的な植民地主義の負の遺産を検証する。そして、ユダヤ人国家・イスラエル建設の発想はどのように生まれ、知識人たちはどのように正当化/批判してきたのか、思想史の観点からも経緯を追う。 社会思想史研究者であり、パレスチナ/イスラエル問題にかかわってきた著者によるこれまでの主な対談のほか、また南アフリカ現代史の研究者・牧野久美子さんと植民地期および解放期における在日朝鮮人の生活史/ジェンダー史研究者・李杏理さんとの新規鼎談も収録。 [出版社より] 著 者|早尾貴紀 出版社|皓星社 定 価|2,500円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|344 ISBN|978-4-7744-0857-6 発 行|2025年04月 Contents まえがき 本書関連年表・地図 第Ⅰ部 東アジア史とパレスチナ/イスラエル問題の交差 はじめに/1帝国によるグレート・ゲーム/2パレスチナ一〇〇年戦争の起点/3セトラー・コロニアリズムの同時代性/4レイシズムによる同化と差別のダブルバインド/5民族浄化と「一九四八年体制」/6オスロ体制の欺瞞とハマースの台頭/7徐京植を読む(一)/8徐京植を読む(二)/9徐京植を読む(三)/おわりに 第Ⅱ部 欧米思想史から見たパレスチナ/イスラエル はじめに/1モーゼス・ヘスとテオドール・ヘルツル/2ダヴィド・ベングリオン/3コーエン、ローゼンツヴァイク、ショーレム、ブーバー/4ハンナ・アーレント/5エマニュエル・レヴィナス/6ジャック・デリダ(一)/7ジャック・デリダ(二)/8ハミッド・ダバシ(一)/9ハミッド・ダバシ(二)/10ボヤーリン兄弟とパレスチナ・フェミニスト・コレクティヴ/おわりに 第Ⅲ部 世界の矛盾が集約したパレスチナ ふたたび過ちを繰り返さないための日本・朝鮮・南アフリカ 牧野久美子×李杏理×早尾貴紀 第Ⅳ部 パレスチナ/イスラエル問題を語る 「大災厄」は過去ではない イラン・パペ『パレスチナの民族浄化』と米・エルサレム首都承認問題 臼杵陽×早尾貴紀 野獣の膨れた腹の中にサイードを解き放つ 批判的知性の再構築がどうできるのか 姜尚中×洪貴義×早尾貴紀 負の遺産として当時を知る 重信房子『戦士たちの記録 パレスチナに生きる』(幻冬社)から考える 小杉亮子×早尾貴紀 あとがき 幾重にも転倒した世界に抗して 索引 Author 早尾 貴紀 Takanori Hayao 一九七三年生まれ。東京経済大学教員。専門は社会思想史。二〇〇二〜〇四年、ヘブライ大学客員研究員として東エルサレムに在住し、西岸地区・ガザ地区・イスラエル国内でフィールドワークを行なう。 著書に『パレスチナ/イスラエル論』(有志舎、二〇二〇年)、『ユダヤとイスラエルのあいだ――民族/国民のアポリア』(青土社、二〇〇八年、新装版二〇二三年)、『イスラエルについて知っておきたい30のこと』(平凡社、二〇二五年)、訳書にジョー・サッコ著『ガザ 欄外の声を求めて』(Type Slowly、二〇二五年)、共訳書にサラ・ロイ『なぜガザなのか――パレスチナの分断、孤立化、反開発』(岡真理/小田切拓との共訳、青土社、二〇二四年)、イラン・パペ『パレスチナの民族浄化――イスラエル建国の暴力』(田浪亜央江との共訳、法政大学出版局、二〇一七年)、ハミッド・ダバシ『ポスト・オリエンタリズム――テロの時代における知と権力』(洪貴義ほかとの共訳、作品社、二〇一八年)など。
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ケアの倫理——フェミニズムの政治思想
¥1,364
身体性に結び付けられた「女らしさ」ゆえにケアを担わされてきた女性たちは、自身の経験を語る言葉を奪われ、言葉を発したとしても傾聴に値しないお喋りとして扱われてきた。男性の論理で構築された社会のなかで、女性たちが自らの言葉で、自らの経験から編み出したフェミニズムの政治思想、ケアの倫理を第一人者が詳説する。 [出版社より] 著 者|岡野八代 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|1,240円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|342 ISBN|9784004320012 発 行|2024年01月 Contents 序 章 ケアの必要に溢れる社会で 第1章 ケアの倫理の原点へ 1 第二波フェミニズム運動の前史 2 第二波フェミニズムの二つの流れ――リベラルかラディカルか 3 家父長制の再発見と公私二元論批判 4 家父長制批判に対する反論 5 マルクス主義との対決 第2章 ケアの倫理とは何か――『もうひとつの声で』を読み直す 1 女性学の広がり 2 七〇年代のバックラッシュ 3 ギリガン『もうひとつの声で――心理学の理論とケアの倫理』を読む 第3章 ケアの倫理の確立――フェミニストたちの探求 1 『もうひとつの声で』はいかに読まれたのか 2 ケアの倫理研究へ 3 ケア「対」正義なのか? 第4章 ケアをするのは誰か――新しい人間像・社会観の模索 1 オルタナティヴな正義論/道徳理論へ 2 ケアとは何をすることなのか?――母性主義からの解放 3 性的家族からの解放 第5章 誰も取り残されない社会へ――ケアから始めるオルタナティヴな政治思想 1 新しい人間・社会・世界――依存と脆弱性/傷つけられやすさから始める倫理と政治 2 ケアする民主主義――自己責任論との対決 3 ケアする平和論――安全保障論との対決 4 気候正義とケア――生産中心主義との対決 終 章 コロナ・パンデミックの後を生きる――ケアから始める民主主義 1 コロナ・パンデミックという経験から――つながりあうケア 2 ケアに満ちた民主主義へ――〈わたしたち〉への呼びかけ あとがき 参考文献 Author 岡野 八代 Yayo Okano 1967年三重県生まれ.早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了.博士(政治学).現在―同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授.専攻―政治思想,フェミニズム理論. 著書―『シティズンシップの政治学――国民・国家主義批判 増補版』(白澤社),『フェミニズムの政治学――ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房),『戦争に抗する――ケアの倫理と平和の構想』(岩波書店),『ケアするのは誰か?――新しい民主主義のかたちへ』(共著・訳,白澤社),エヴァ・F.キテイ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(共監訳,白澤社),アイリス・M.ヤング『正義への責任』(共訳,岩波書店)など.
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ケアと編集
¥1,056
〈ケアをひらく〉の名編集者が一人ひとりの「弱さ」という傾きを後押し。自分を変えずに生きやすくなる逆説の自他啓発書。 もはやこれまでと諦めてうなだれたとき、足元にまったく違うモノサシが落ちている。与えられた問いの外に出てみれば、あらふしぎ、あなたの弱さは克服すべきものじゃなく、存在の「傾き」として不意に輝きだす──。〈ケアをひらく〉の名編集者が一人ひとりの弱さをグッと後押し。自分を変えずに生きやすくなる逆説の自他啓発書。 [出版社より] 著 者|白石正明 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|960円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|254 ISBN|9784004320630 発 行|2025年04月 Contents Ⅰ いかにして編集の先生に出会ったか 1 ケアとは 刹那的なケア リハビリの昼と夜 失禁と世界の回復 太陽と空気と地面とケア 2 べてるの家との出会い 意外に遠い福祉と医療 病院のにおい もうけている作業所 網走での出会い 自分自身で、共に 「反」ではなく「非」 戦わないでさっさと逃げる 3 編集の先生 試されている感じがしない 肯定と否定の外側で 「そこがいいね!」がなぜ通用するか 〈図〉は変えないで〈地〉を変える 「商業」という魔法 医学的編集とソーシャルワーク的編集 Ⅱ ズレて離れて外へ 1 問いの外に出ざるを得ない人たち 問いの外に思考が流れてしまう人たち 風変わりな言葉たち 主語が患者と入れ替わる 土管の中で話を聞く 二つのことを同時に伝える 因果沼から“かどわかし”へ 問いの圏外に出るために 2 分母を変えるのが編集 強いロボットは歩けない 依存症は依存が足りない 「治す」「克服する」ではない物語へ 3 吃音者は分母を変えて生きていく 『どもる体』のはじまり 吃音者の方法(1)〜(4)諦める・準備しない・波に乗る・周囲を変える 分母を変える一発逆転芸 4 面と向かわない力 架空の劇なのに言えない 後ろから、波のような温かい圧が…… 「信」をめぐって――東大での体験 内面の「信」から、対人の「信」へ 「側聞」という方法 「正対」から逃れて Ⅲ ケアは現在に奉仕する 1 ケアと社交 ヘルパーへのアドバイスがなぜ役に立つ? 社交するために社交する 対話するために対話する 過程に内在するための工夫 二〇年以上前の潔さんの言葉 2 消費と浪費と水中毒 過食嘔吐の記憶 「浪費」としての飲水へ 十全な、今ここでの満足 3 今ここわたし 「惚れる」の謎 人がもっとも充実しているとき すでに本番は、はじまっている リスクとワクワク 4 ナイチンゲールを真に受ける 生体は善き方向に進む 本来治りやすい病気である ケアと痛み止め 俺はすでにして完全 Ⅳ ケアが発見する 1 原因に遡らない思考 因果論から構成論へ 幻視・幻聴を聞きまくってデータ収集 幻覚妄想の社会モデル? 前提を変えること 2 手を動かすより口を動かせ 依存症の回復モデル マイノリティの逆襲? 「ケア論的転回」としてのハームリダクション 3 同じと違う 中井久夫と発達障害 見ている世界が違う 住む星が違うから体も違う 量的な違いが無視される 発達障害と「脳の多様性」 言語化への努力 4 いつも二つある 輻輳する時間 チキンカレーとラムカレー 食べると逃げるが併走する 一列に並べることの利点 Ⅴ 「受け」の豊かさに向けて 1 蘭の花のように愛でる ALSとは 身体への着目 意図の推測から勝手な解釈へ 蘭の花のように 生を享受する人 2 受ける人 接続詞はドアを閉める 世界は受け取ることで発生する 「いる」のは忙しい 受け身と可能がなぜ同じ言葉なのか 3 いい「波」はどこから来るか よそに行ったら縛るから 「内面」という無間地獄に落ちる前に べてるに来れば病気が出る なぜ、いい「波」が来るのか 規範から遠く離れて 4 受動性と偶然性 蹴る前に受けるスポーツ 受動性や偶然性が排除される 中動態と能動的受動 弱い編集 Ⅳ 弱い編集――ケアの本ができるまで 1 山の上ホテルのペーパーナプキン ――中井久夫・山口直彦著『看護のための精神医学』 地下の薄暗い書庫で 病院のカビ臭い倉庫で ニワトリと卵と、拾う人 生活の政治学 普通への愛と憧れ 2 魔法と技術のあいだ ――本田美和子、イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ著『ユマニチュード入門』 「好き」にさせる技術 人間的というより動物的? 属人化と標準化のあいだで 3 弱いロボットの吸引力 ――坂口恭平著『坂口恭平 躁鬱日記』、岡田美智男著『弱いロボット』 ひとり音楽会と中二病 閉じない人たち あとがき 主な参考文献 Author 白石 正明 Masaaki Shiraishi 1958年東京都生まれ.青山学院大学法学部卒業.中央法規出版を経て1996年に医学書院入社.1998年に雑誌『精神看護』を,2000年に〈ケアをひらく〉シリーズを創刊.同シリーズは現在50冊を数え,川口有美子『逝かない身体』が大宅壮一ノンフィクション賞(2010年),熊谷晋一郎『リハビリの夜』が新潮ドキュメント賞(2010年),六車由実『驚きの介護民俗学』が日本医学ジャーナリスト協会賞(2013年),國分功一郎『中動態の世界』が小林秀雄賞(2017年),東畑開人『居るのはつらいよ』が大佛次郎論壇賞(2019年),鈴木大介『「脳コワさん」支援ガイド』が日本医学ジャーナリスト協会賞(2020年)を受賞.シリーズ自体も2019年に毎日出版文化賞を受賞する.2024年3月に医学書院を定年退職.
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木ひっこぬいてたら、家もらった。
¥1,760
生きづらければ、つくるのだ。 尼崎「ガサキベース」の店主・足立さんは、300 坪の土地と2軒の家をほぼゼロ円でもらった。それは足立さんがどん底を経験しながらも、つくり続けたから生まれたお話。 「経済合理性」は、一つじゃない。 生きづらさを抱え「つくれる本屋」を開いた著者との対話から、生き方を探る一冊。 兵庫県尼崎市のガサキベース。工場をリノベーションしたその場所は、コーヒーも飲めるし、DIY を教えてくれる不思議な場所。店主の足立繁幸さんはガサキベースの縁で島根の家を1 軒タダで譲り受け、その家の木を引っこ抜いていたら、うしろのもう1 軒ももらうことに。 どうしてそんなできごとが起こったのか? 足立さんの幼少期からの生きづらさ、家族・DIY・仕事・お金……現代人に共通する悩みとともに紐解いていきます。つくれば人とモノの縁がつながる。 [出版社より] 著 者|足立繁幸・平田堤 出版社|DIY BOOKS 定 価|1,600円+税 判 型|四六版/並製 頁 数|144 ISBN|978-4-9914014-0-4 発 行|2025年03月 Contents はじめに 『わらしべ長者』みたいなできごとはなぜ起こった? なぜ空き家が増えるのか 経済合理性って何だ? 疲弊の果てのDIY BOOKS 人生はDIYでしかない ガサキベース=「オムツの履き替え場所」 焼け野原のあとの、島根で モテるために始まったDIY道 DIYと愛と「巣」 カクカクしていたあのころ ガサキベースの誕生と変化 買うことで自分を高める機会と縁が切れる メイカームーブメントと、ブリコラージュ、そして編集 作為的でない美しさと「普通」 いろんなかたちがあっていい 新しい家族との出会い 里親という家族のかたちと「波紋」 ガサキベースをちゃんと死なせたかった 「アマ」ではなく「ガサキ」なのはなぜか 手を動かすと昔と繋がる 子どもにはDIYをさせよ(まず大人から) 二項対立と秩序 生命はエントロピー増大に抗い「系」をつくる 人は自分の「系」をつくる存在 木を引っこ抜いてみた 愛のあった家と、ルーツへ 親心と戦争と百姓 根っこを逆に帰る それぞれの論理へ つくるから縁ができる 論理的思考は一つではない 根を張って生きる 終わりにかえて。文とつくること あとがき Author 足立 繁幸 Shigeyuki Adachi 島根県生まれ。尼崎でガサキベースを開き、DIYをデリバリーで行い、つくり方を教える。2025年以降はもらった島根の2 軒の古民家を改造して新しい拠点をつくる予定。 平田 提 Dai Hirata 秋田県生まれ。Web 編集者・ライター。尼崎に「つくれる本屋」DIY BOOKS を2023 年10 月に開店。その際に足立さんと出会う。ZINEの作り方のスクールなどを開催。
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歌の祭り
¥1,155
インディオたちの生活の美しさと秘められた知恵、そして深遠な宇宙観――。 若き日のル・クレジオにまったく新しい宇宙と生き方を開示した、パナマのエンベラ族との出会いを語る表題作をはじめ、著者が一貫して熱情にみちた関心をそそぐ、南北両アメリカ先住民世界をめぐる、しずかな抒情と宇宙論的ひろがりをたたえた民族誌。 [出版社より] 著 者|ル・クレジオ 訳 者|管啓次郎 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|950円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|340 ISBN|9784003860182 発 行|2025年06月 Contents 歌の祭 インディオの書三つ ミチョアカン、神々の征服 祭から戦へ 先住アメリカの黄金の夢 チチメカ人 インディヘニスモと革命 アメリカ先住民神話と文学 豊饒の角 タレクアトのハコボ・ダシアーノ メキシコ、三つの礼賛 鳥の人々 ジビルノカク、夜の書 先住民の声――リゴベルタ・メンチュー すべては結ばれている 大洪水に抗して踊る
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最初の哲学、最後の哲学——形而上学と科学のあいだの西洋の知
¥2,090
西洋の知を支配し諸科学を基礎づけてきた形而上学に、いまなお存在意義はあるのか。アリストテレス、スコトゥス、カント、ハイデガーを読み解きながら哲学史における形而上学の機能を剔抉し、その放浪の歴史を描き出す。アガンベンによる最良の形而上学入門。 [出版社より] 著 者|ジョルジョ・アガンベン 訳 者|岡田温司 出版社|平凡社[平凡社ライブラリー] 定 価|1,900円+税 判 型|B6変型判/並製 頁 数|224 ISBN|9784582769913 発 行|2025年06月 Contents Ⅰ 第二哲学 Ⅱ 分裂した哲学 Ⅲ 超越論批判 Ⅳ 無限の名 Ⅴ 超越論的対象=X Ⅵ 形而上学的動物 原註 訳註 ドン・キホーテの存在論──訳者あとがきに代えて 参考文献 索引 Author ジョルジョ・アガンベン Giorgio Agamben 1942-。イタリアの哲学者・美学者。 Translator 岡田温司 Atsushi Okada 1954年、広島県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。専門は西洋美術史・思想史。著書『モランディとその時代』(人文書院、2003年)で吉川秀和賞、『フロイトのイタリア』(平凡社、2008年)で読売文学賞を受賞。
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開かれ——人間と動物
¥1,430
人間と動物が交錯する未決定な例外状態の閾を、バタイユのアセファルから、コジェーヴのスノッブ、ユクスキュルのダニ、ハイデガーの倦怠へと縦横無尽に描き出す、生政治の超克と人類学機械の停止へむけた壮大な系譜学。“剥き出しの生”のさらなる探究。 [出版社より] 著 者|ジョルジョ・アガンベン 訳 者|岡田温司・多賀健太郎 出版社|平凡社[平凡社ライブラリー] 定 価|1,300円+税 判 型|B6変型判/並製 頁 数|240 ISBN|9784582767452 発 行|2011年10月 Contents 動物人 無頭人 スノッブ 分接の秘儀 至福者たちの生理学 経験的認識 分類学 序列なし 人類学機械 環世界 ダニ 世界の窮乏 開かれ 深き倦怠 世界と大地 動物化 人類創生 あいだ 無為 存在の外で Author ジョルジョ・アガンベン Giorgio Agamben 1942-。イタリアの哲学者・美学者。
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私たちはどう生きるべきか
¥1,650
社会の10%の人が倫理的に生きれば、政府が行う社会変革よりもずっと大きな力となる。環境・動物保護の第一人者が、現代に生きる意味を鋭く問う。 私的利益と倫理が衝突する場合、あなたならどうするか。もしもあなたが姿を消して、誰にも知られずに何でも好きなものを手に入れられるような場合、すべての倫理的基準を捨て去るのが合理的な判断なのだろうか。それでも正義を重んじるとすれば、そこにはどんな理由があるだろう。 西洋倫理学の伝統からプラトン、ルソー、カント等の豊富な議論をとりあげて新たな角度から解明しつつ、経済倫理、遺伝子操作等のアクチュアルな問題を考察。『実践の倫理』『動物の解放』の著者であり、環境・動物保護運動のリーダーとしても活躍する著者が、理論と実践の両側面から現代倫理を徹底的に再考する! [出版社より] 著 者|ピーター・シンガー 訳 者|山内友三郎 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,500円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|472 ISBN|9784480095817 発 行|2013年12月 Contents 第1章 究極の選択 第2章 「そのどこが私のためになるんだ」 第3章 世界を使い果たす 第4章 この生き方の由来はどこにあるのか 第5章 利己心は人の遺伝子の中にあるか 第6章 日本人の生き方 第7章 お返し戦術 第8章 倫理的に生きる 第9章 倫理の本性 第10章 ある目的のために生きる 第11章 よい生き方 Author ピーター・シンガー Peter Singer 1946年生まれ。オーストラリア生まれ。メルボルン大学をへてオックスフォード大学で、R.M.ヘアのもとで学位取得。メルボルンのモナッシュ大学生命倫理学センター所長、国際生命倫理学会会長歴任。現在プリンストン大学、モナッシュ大学教授。優れた倫理学者として世界的に高名なだけでなく、動物解放、菜食主義、難民救済、環境保護などの実践運動のリーダーとして国際的、精力的に活躍。 Translator 山内 友三郎 Tomosaburo Yamauchi 年秋田県生まれ。京都大学文学部卒業。大阪教育大学名誉教授。
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新編 人と人との間
¥1,430
「あいだ」理論の出発点。 精神病理を人間の在り方の一様相として論じてきた著者によるキー概念「間」(「あいだ」)。自己存在の根底にある超個人的な場所としての「人と人との間」は、現代思想に大きな影響を与えた。本書は、ドイツ留学時に思索した日本人論としてこの概念を世に問うた一冊である。 日本人特有の精神病的生き方をさまざまな現象を通して思索するとともに、日本的精神症状とされる対人恐怖、貰子幻想の病理を解明。さらに「間」理論を和辻哲郎の『風土』、土居健郎の「甘え」理論と併せて検討して、人間存在の様相を詳らかにする。文庫化にあたり講演「人と人とのあいだの病理」を併録。解説=清水健信。 [出版社より] 著 者|木村敏 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,300円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|320 ISBN|978-4-480-51299-4 発 行|2025年03月 Contents 人と人との間――精神病理学的日本論 はしがき 第一章 われわれ日本人 第二章 日本人とメランコリー 第三章 風土と人間性 第四章 日本語と日本人の人間性 第五章 日本人の精神病理 第六章 文化を超えた精神医学 人と人とのあいだの病理 一 交換不可能な個人の心 二 人と人との“あいだ”への関心 三 “あいだ”をめぐる病理 四 自己と“あいだ” 文庫解説 木村敏とドイツの間、木村敏と京都学派の間 清水健信 Author 木村 敏 Bin Kimura 1931年、旧朝鮮生まれ。1955年、京都大学医学部卒業。現在、京都大学名誉教授、河合文化教育研究所所長・主任研究員。専攻、精神病理学。著書に『自覚の精神病理』(紀伊國屋書店)、『異常の構造』(講談社現代新書)、『時間と自己』(中公新書)、『木村敏著作集』全8巻(弘文堂)、『関係としての自己』(みすず書房)、『臨床哲学講義』(創元社)、『あいだ』『自己・あいだ・時間』『分裂病と他者』(ちくま学芸文庫)など。訳書多数。1981年にシーボルト賞、1985年にエグネール賞、2003年に和辻哲郎文化賞、2010年に『精神医学から臨床哲学へ』(ミネルヴァ書房)で毎日出版文化賞を受賞。
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エスノグラフィ入門
¥1,056
SOLD OUT
「場面を描く、生活を書く」『タイミングの社会学』(紀伊國屋じんぶん大賞2024第2位)の著者、最新刊。エスノグラフィの息遣いを体感する入門書。 生活を書く、それがエスノグラフィの特徴です。そして、もっとも良質なエスノグラフィの成果は、 苦しみとともに生きる人びとが直面している世界を表し出すところに宿るものです。もともと人類学で発展したこの手法は、シカゴ学派を拠点に、 社会学の分野でも広がっていきました。本書では、5つのキーワードに沿って、そのおもしろさを解説していきます。予備知識はいりません。ぜひ、その魅力を体感してください。 [出版社より] 著 者|石岡 丈昇 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|960円+税 判 型|新書判 頁 数|304 ISBN|978-4-480-07646-5 発 行|2024年09月 Contents はじめに エスノグラフィとは/本書の著者について/エスノグラフィの核心/本書のスタイル/あるひとつの入門書 第1章 エスノグラフィを体感する 通夜と賭けトランプ/センス・オブ・ワンダー/海の少年/場面と主題/二重写しに見る/フィールド調査の十戒/フィールドの人びととの関係のあり方/調査の進め方/社会学的に観察する/フィールド調査のねらい/本章のまとめ コラム1 サイクリストの独自世界 第2章 フィールドに学ぶ 経験科学/フィールド科学/雪かきの現場から/モノグラフ/可量と不可量/不可量を書く/ボクサーの減量の事例/人びとの経験に迫る/身体でわかる/フィールドへのエントリー/漁民から見る/人びとの対峙する世界/本章のまとめ コラム2 ペットによる社会的影響とその効果 第3章 生活を書く シカゴ学派/生活を見る眼/アフリカの毒/同時代の人びとへ/地続きの人類学/生活実践へ/日常生活批判/差別の日常/「いま―ここ」の注視/「人びとの方法」への着目/遠近法的アプローチ/まひるのほし/本章のまとめ コラム3 遊びとしての公的空間での眠り 第4章 時間に参与する 生活論/生活を読み取る/生活環境主義/「森林保護」による生活破壊/時間へ/ボクサーの「典型的な一日」/時間的単位を知る/周期性とリズム/時間をめぐる困難/生が「生活」になるとき/共に活動すること/私の失敗談/本章のまとめ コラム4 手話サークルから見るろうコミュニティとコロナウイルス 第5章 対比的に読む 図書館の歩き方/探索することの魅力/「赤青」の色鉛筆/読みの体感/エスノグラフィを読む/裏舞台だけを読まない/着眼点の移植/対比的に発見する/データをつくる/本章のまとめ コラム5 リスクから見るサブカルチャー 第6章 事例を通して説明する フィリピンとの出会い/繰り返し通うこと/対比という方法/事例を通した説明/論理の解明へ/羅生門的手法/客観性から客観化へ/ミクロ・マクロ問題/バンコクのバイクタクシー/エスノグラフィとルポルタージュ/本章のまとめ コラム6 部活動におけるケガの社会学 おわりに――次の一歩へ 学ぶこと/受苦を生きる/楽しみと苦しみ あとがき――読書案内をかねて 参考文献 索引 Author 石岡 丈昇 Tomonori Ishioka 1977年、岡山市生まれ。専門は社会学/身体文化論。日本大学文理学部社会学科教授。フィリピン・マニラを主な事例地として、社会学/身体文化論の研究をおこなう。著作に『タイミングの社会学──ディテールを書くエスノグラフィー』(青土社、2023年、紀伊國屋じんぶん大賞2024第2位)、『ローカルボクサーと貧困世界──マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、2012年、第12回日本社会学会奨励賞。2024年に増補新版)、共著に『質的社会調査の方法──他者の合理性の理解社会学』(岸政彦・丸山里美との共著、有斐閣、2016年)など。