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それでも、安楽死の話をするのなら
¥1,760
わたしは安らかな死を迎えられるだろうか——。 臨床経験から導き出された15の論点から、「安楽死」「終末期医療」「緩和ケア」について問い直し、「日本人は生きる/死ぬをどう考えるべきなのか」という社会的な問題である安楽死制度をわかりやすく、かつ、徹底的に考える。 もし、未来に安楽死制度を作るならば、考えなければならないこととは。安楽死制度に対する反対派も賛成派も、どちらもが納得できる議論はどのように可能か。制度の設立・実施に慎重な立場を取る現役の緩和ケア医が、臨床経験と詳細な分析により、錯綜する問題の論点を整理し誰にでもわかりやすく解説する。 いずれは死を迎える、すべての人へ。 [出版社より] 著 者|西智弘 出版社|晶文社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|200 ISBN|978-4-7949-7460-0 発 行|2025年02月 Contents はじめに:苦しみのすべてをゼロにできるのか 1:「死を選ぶ生き方」は正しい生き方か? 2:安楽死制度を求めていくために必要な3つの要素 3:安楽死と余命の関係 4:安楽死を行うのは誰か 5:個人的信条を安楽死制度の議論に持ち込まない 6:逆算で考える 7:子どもの安楽死は認められるか 8:緩和的鎮静は安楽死の代替となり得るか 9:間接的安楽死と終末期の鎮静 10:人生会議をすれば患者の尊厳は守られるのか 11:認知症と安楽死 12:すべり坂は止められるのか 13:それは実質安楽死の容認なのでは 14:分母を増やすのは無駄にならない 15:安楽死報道のあり方 Author 西 智弘 Tomohiro Nishi 川崎市立井田病院 医師/一般社団法人プラスケア代表理事。2005年、北海道大学卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医療を中心に初期研修後、川崎市立井田病院で総合内科/緩和ケアを研修。その後2009年から栃木県立がんセンターにて腫瘍内科を研修。2012年から現職。現在は抗がん剤治療を中心に、緩和ケアチームや在宅診療にも関わる。一方で、一般社団法人プラスケアを2017年に立ち上げ代表理事に就任。「暮らしの保健室」や「社会的処方研究所」の運営を中心に、「病気になっても安心して暮らせるまち」をつくるために活動。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。著書に『だから、もう眠らせて欲しい』(晶文社)、『社会的処方』『みんなの社会的処方』(学芸出版社)、『がんになった人のそばで、わたしたちにできること』(中央法規出版)他多数。
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ブラック・カルチャー 大西洋を旅する声と音
¥1,056
奴隷とされた人々は、いかにして新大陸で声と音の伝統を再創造していったのか。ブラック・カルチャーの歴史と現在を旅する。 約400年にわたり、大西洋を航海した奴隷船。「裸の移住者」としてアメリカ大陸に連行された人々は、いかにしてアフリカの声と音の伝統を再創造し、次世代へと繋いでいったのか。アフリカへの帰還という主題から、音楽、文学、アートなどを横断的に捉え、その歴史と現在を旅する。世界にひろがるブラック・カルチャーへの招待。 [出版社より] 著 者|中村隆之 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|960円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|254 ISBN|9784004320616 発 行|2025年04月 Contents はじめに ブラック・カルチャーをめぐる旅へ 第一章 アフリカの口頭伝承 教室のなかのアフリカ 口承の伝統 口頭伝承のなかの音文化 マンデ系社会のグリオ 語り継がれる叙事詩 第二章 奴隷船の経験 奴隷貿易を想像する 奴隷制と西アフリカ 西欧人を取引相手とした奴隷売買 『ルーツ』にみる大西洋奴隷貿易 奴隷船上での歌と反乱 女性たちの抵抗、死者たちの声 第三章 アメリカスに渡ったアフリカの声と音 奴隷制社会をめぐる資料 聞き書きという方法 裸の移住者 ネオ・アフリカ文化 アフリカ由来の精神文化 ヴードゥーの儀式 文化維持という抵抗 ドラミングと太鼓 第四章 自由を希求する共同体の歌 合衆国の奴隷制時代の歌 アメリカスに息づくアフリカの声 スピリチュアルと呼ばれる歌 「ブラック」という共同体意識 哀しみの歌 黒人神学におけるスピリチュアルの意義 世俗的スピリチュアルとしてのブルース 第五章 合衆国のブラック・ミュージック 変わりゆく同じもの ジャズの始まり アームストロングの声 ジャズにおける創意と即興 混交するジャンル ソウル・オブ・ア・ネーション カバーによる伝統の構築 第六章 アメリカスからアフリカへ アメリカスのブラック・ミュージック アフロ・ブラジル音楽の展開 アフロ・カリブ音楽の多様性 アフリカへの帰還 同じリズム、いくつもの歴史 ブラック・カルチャーをめぐる次の旅へ 第七章 文字のなかの声 文字世界への参入 「トーキング・ブック」としての奴隷体験記 声の作家ハーストン 集団としての黒人の声の表現 クレオール語の口承性 声の歴史 第八章 奴隷貿易・奴隷制の記憶の光と影 記憶の場所 ユネスコの取り組み 「奴隷の道」プロジェクト 構築される記憶 文学のなかで語られる闇の記憶 奴隷貿易の闇 第九章 ブラック・ミュージックの魂 ブラック・パワーの潜在力 ナショナリズムを越えて ブラック・アーツ運動 ブラック・ジャズ共同体 ブラック・スピリチュアル ラップのスピリチュアリティ 第一〇章 ブラック・スタディーズとは何か 知の枠組みのラディカルな変革 アフリカ中心主義 ブラック・エクスペリエンス主義 ブラック・フェミニズム、ブラック・クィア・スタディーズ 『ブラックパンサー』とアフロフューチャリズム アフロフューチャリスト アフロペシミズム理論 ブラック・スタディーズの再規定 第一一章 ブラック・カルチャーは誰のものか 知の脱植民地化 収集と分類 脱植民地化と返還 ミュージアムの脱植民地化 文化の盗用とは何か ブラックをめぐる呼称 文化は混交する 第一二章 未来に向けて再構築されるルーツ 〈関係〉の思想 環大西洋的連帯 存在論的傷 記憶の継承と発掘 クレオール化のダイナミズム ルーツの再構築 〈全−世界〉のヴィジョン 主要参考文献 あとがき 〈関係〉のなかの私的物語 Author 中村 隆之 Takayuki Nakamura 1975年東京都生まれ.2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了.博士(学術).早稲田大学法学学術院教授.専攻―フランス語圏文学,環大西洋文化研究. 著書―『カリブ世界論』(人文書院,2013),『エドゥアール・グリッサン』(岩波書店,2016),『野蛮の言説』(春陽堂書店,2020),『魂の形式 コレット・マニー論』(カンパニー社,2021),『第二世界のカルトグラフィ』(共和国,2022),『環大西洋政治詩学』(人文書院,2022)ほか. 訳書―『痕跡』(水声社,2016),『マニフェスト 政治の詩学』(以文社,2024)ほか. 編訳書―『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社,2019). 共訳書―『アフリカ文学講義』(みすず書房,2022),『黒人法典』(明石書店,2024),『カリブ海序説』(インスクリプト,2024)ほか.
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知覚の宙吊り——注意、スペクタクル、近代文化
¥3,300
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アテンション・プリーズ! 人間の「注意」はいかに構築され、「散漫」はいかに管理されてきたのか。モダニズム絵画から実験心理学、スペクタクル産業から注意多動性障害まで、社会、産業、科学、芸術にまたがるさまざまな言説と技術を横断し、近代における知覚の条件を問い直す。 [出版社より] 著 者|ジョナサン・クレーリー 監 訳|岡田温司 訳 者|石谷治寛・大木美智子・橋本梓 出版社|平凡社[平凡社ライブラリー] 定 価|3,000円+税 判 型|B6変型判/並製 頁 数|688 ISBN|9784582769869 発 行|2025年04月 Contents 序 第1章 近代性と注意の問題 第2章 1879年――拘束なき視覚 第3章 1888年――脱魔術化のイルミネーション 第4章 1900年――綜合(ジンテーゼ)の再創出 エピローグ 1907年――ローマの魔法 原注 訳者あとがき 平凡社ライブラリー版 訳者あとがき 文献一覧 事項索引 人名索引 Author ジョナサン・クレーリー Jonathan Crary 1951年、アメリカのコネチカット州ニューヘイヴンに生まれる。視覚文化に関する系譜学的な研究で知られ、Zone Booksの創業者のひとりとして長らく編集委員を務める。現在、コロンビア大学教授。 Translator 岡田 温司 Atsushi Okada 1954年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。専門は西洋美術史・思想史。著書に『モランディとその時代』(人文書院、2003、吉田秀和賞受賞)、『フロイトのイタリア―旅・芸術・精神分析』(平凡社、2008、読売文学賞受賞)などがある 石谷 治寛 Haruhiro Ishitani 1977年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。現在、広島市立大学芸術学部准教授。専門は美学・美術史・視覚文化論 大木 美智子 Michiko Oki 1979年生まれ。ロンドン大学UCL西欧言語文化社会研究科博士課程修了。現在、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校専任上級講師。専門は美学・美術史 橋本 梓 Azusa Hashimoto 1978年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程指導認定退学。現在、国立国際美術館主任研究員。専門は現代美術。展覧会企画に「Viva Video! 久保田成子展」(共同企画、国立国際美術館ほか、2021、倫雅美術奨励賞受賞)などがある
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これからのヴァギナの話をしよう[OUTLET]
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ヴァギナは妊娠、出産のためだけにあるのではない。セックス、生理、不妊、更年期…「なかったことにされがち」な女性器について語られる、持つ人・持ちたい人・持たない人のための軽やかなエッセイ。 [出版社より] 著 者|リン・エンライト 訳 者|小澤身和子 出版社|河出書房新社 定 価|2,200円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|304 ISBN|978-4-309-24972-8 初 版|2020年09月 Contents やりなおし性教育 事実―もしそれを事実と呼べるなら 処女膜という無駄なシンボル ないもの扱いされるクリトリス オーガズムにアブノーマルはない どんな形なのか鏡で見てみる なぜ生理は最悪なのか 女性の痛み 不妊について教え、語り合う 妊娠、そしてその次に待っていること ヴァギナと更年期 私はヴァギナ以上の存在である Author リン・エンライト Lynn Enright ダブリン生まれ、ロンドン在住のジャーナリスト。フェミニズム、時事問題、女性の健康、ファッション、アート、政治、ポップカルチャーなどを専門とする。BBCやNewstalk(ラジオ)にも出演し、アートやセレブ、ジェンダーや時事問題について論じている。2015〜2019年まで続いた「The Pool」というオンラインメディアの創設メンバーの一人。初の書籍となる『これからのヴァギナの話をしよう』で、2019年度ハースト・ビッグ・ブック・アワードを受賞。 小澤 身和子 Miwako Ozawa 東京大学大学院人文社会系研究科(英語英米文学)修士号取得、博士課程満期修了。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン修士号(英文学)取得。海外のニュース記事を集めた雑誌「クーリエ・ジャポン」の編集者を務めた後取材コーディネーター及び通訳として海外メディアの日本取材に携わる。
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ベルリン・オリンピック反対運動[OUTLET]
¥1,430
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ナチスが大々的に関与して国際政治の抗争の場になった1936年のベルリン・オリンピックについては、ドイツの政治・外交との関係や宣伝・映像・芸術の実態など、様々な角度から論じられてきた。 このオリンピックに対してイギリスは反対運動を展開したが、その実像は明らかにされてこなかった。そこで本書では、まず反対運動でイニシアチブを握ったイギリス労働者スポーツ協会の活動を史料から掘り起こす。さらに、フィリップ・ノエル=ベーカーとウォルター・シトリーンの2人に焦点を当てて、彼らの理念や抱えた矛盾も踏まえて反対運動の内実を照らし出す。 バルセロナ人民オリンピアードとの距離感、オリンピック憲章擁護の闘い、ナチ・スポーツ独裁批判――オリンピックという巨大イベントにそれぞれの立場から反対運動を展開した歴史のアクターを追尾し、現代のオリンピックの問題点をも浮き彫りにする。 [出版社より] 著 者|青沼裕之 出版社|青弓社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|224 ISBN|978-4-7872-2089-9 発 行|2020年05月 Contents 序 章 なぜベルリン・オリンピック反対運動を研究するのか 1 国家プロジェクトとしてのオリンピックとパラリンピック 2 ベルリン・オリンピック研究の蓄積 3 本書の課題 第1章 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動 1 国際的なベルリン・オリンピック反対運動の開始 2 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動の起点 3 イギリス・ドイツ対抗フットボール・マッチへの反対とベルリン・オリンピック・ボイコットの提案 4 赤色スポーツインター国際協議会(プラハ)へのイギリス代表参加 5 国際フェアプレー委員会パリ国際会議へのイギリス代表参加 6 バルセロナ人民オリンピアードへの参加準備とスペイン内戦による中止 7 その後の祭典とスペイン支援 第2章 ノエル=ベーカーによるオリンピック憲章擁護の闘い 1 ノエル=ベーカーによる最初の問い合わせ(一九三三年五月) 2 ノエル=ベーカーとハロルド・エイブラハムズの往復書簡 3 ノエル=ベーカーへの反対運動援助の要請 4 ノエル=ベーカーが投書を「タイムズ」に公表しなかった理由 5 エイブラハムズの主張とイギリス・オリンピック協議会の決定 6 ノエル=ベーカーの二通の投書 7 「マンチェスター・ガーディアン」に掲載されたモンタギューの論説 8 ノエル=ベーカーの投書に対する国内外の反響 9 一九三六年前半のベルリン・オリンピック参加をめぐる動向 10 ノエル=ベーカーの決断の歴史的意義 補 論 ノエル=ベーカー文書に収められた亡命者によるナチ・スポーツ情報 1 亡命ドイツ人の活動とナチ・スポーツ情報の発信 2 亡命者によるナチ・スポーツ情報の要点と特徴 3 ノエル=ベーカーの論述の論拠となった亡命者によるナチ・スポーツ情報 第3章 ウォルター・シトリーンのナチ・スポーツ独裁批判 1 イギリス・ドイツ対抗フットボール・マッチとシトリーン 2 シトリーンのパンフレット『ヒトラーの支配下に』 3 国際フェアプレー委員会とシトリーン 4 バルセロナ人民オリンピアードとシトリーン 5 国際労働運動の指導者としてのシトリーンの判断 終 章 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動の思想と行動 主要参考文献 あとがき Author 青沼 裕之 Hiroyuki Aonuma 1958年、長野県生まれ。武蔵野美術大学教授。専攻はイギリススポーツ史。著書に『イギリス労働者スポーツ運動史――一九二三―五八年』(青弓社)、共著に『体育・スポーツの近現代――歴史からの問いかけ』(不昧堂出版)、『幻の東京オリンピックとその時代――戦時期のスポーツ・都市・身体』(青弓社)など。
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失われた賃金を求めて[OUTLET]
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『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』で日本にも鮮烈な印象を与えたイ・ミンギョン、次は男女の賃金格差に斬り込んだ! 男女賃金格差がOECD加盟国中「不動のワースト1位」の韓国の社会事情は、「不動のワースト2位」の日本でも共感必至。賃金差別は存在する! 解説=西口想。 [出版社より] 著 者|イ・ミンギョン 訳 者|小山内園子・すんみ 出版社|タバブックス 定 価|1,700円+税 判 型|四六変型判/並製 頁 数|216 ISBN|978-4-907053-47-5 初 版|2021年02月 Contents はじめに 1. 昇進 止まっているエスカレーター 2. 考課 「ふりだしに戻る」と「3つ前へ」 3. 同一職級 傾いた床 4. 与えられた条件 ハイヒールと砂袋 5. 雇用安定性 消えていく女性たち 6. 就職 7. 進路選択 8. 達成度評価 9. 資源 終わり-あるいははじまり 解説 日本で、女性がもっと受け取れるはずだった賃金の金額を求めよ 西口想 Author イ・ミンギョン Lee Min-Gyeong 延世大学校仏語仏文学科、社会学科を卒業後、韓国外国語大学校通訳翻訳大学院韓仏科で国際会議通訳専攻修士学位を取得。2016年に起きた江南駅殺人事件をきっかけに『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』を発表。女性が女性であるという理由で人生をあきらめなくてもすむ瞬間のため、ことばを書き訳している。最近はテキストを媒介にして女性たちが出会える場を作ることに力を注いでいる。主な著作に『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『脱コルセット:到来した想像』、共著に『笛を吹く女たち』『ヨーロッパ堕胎旅行』、訳書に『대리모 같은 소리(原題訳:代理出産、人権侵害)』『임신중지(原題訳:幸せな中絶)』『나, 시몬 베유(原題訳:ある人生)』などがある。現在、延世大学校文化人類学科修士課程で学びながら、女性の人生で手にすることのできるまた別の可能性を模索中である。 Translator 小山内 園子 Sonoko Osanai 東北大学教育学部卒業。社会福祉士。訳書に、ク・ビョンモ『四隣人の食卓』(書肆侃侃房)、キム・ホンビ『女の答えはピッチにある』(白水社)、共訳書に、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』(タバブックス、すんみと共訳)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房、すんみと共訳)など。 すんみ Seungmi 翻訳家。早稲田大学大学院文学研究科修了。訳書にキム・グミ『あまりにも真昼の恋愛』(晶文社)、チョン・セラン『屋上で会いましょう』(亜紀書房)、共訳書にイ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(タバブックス、小山内園子と共訳)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房、小山内園子と共訳)など。
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脱コルセット 到来した想像[OUTLET]
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脱コルセット運動は、苦痛や搾取、虐待を今、この場所で経験している女性たちの人生を変える最適のツールだった——。 韓国フェミニズム、最大のムーブメント「脱コルセット」とは何か。『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『失われた賃金を求めて』に続く、イ・ミンギョン第3弾。 ルックス至上主義、規範的女性性に抵抗する脱コルセット運動。韓国の若い女性たちが化粧品を捨て、髪を短くした写真をSNSにアップ、急速に広まった。女性らしさを「電撃的に打ち切る」強いアプローチを取った背景とは。イ・ミンギョンが「脱コル」実践者たちと対話し、読解を試みた渾身の1冊。 日本版は、多くの女性たちの声からなるこの本の特徴をふまえ複数の訳者が参加。韓国・日本在住の女性8人のチームで翻訳、それぞれのことばで脱コルセットを考えるリレーブログも公開中。 [出版社より] 著 者|イ・ミンギョン 訳 者|生田美保/オ・ヨンア/小山内園子/木下美絵/キム・セヨン/すんみ/朴慶姫/尹怡景 出版社|タバブックス 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-907053-53-6 初 版|2022年03月 Contents 日本の読者のみなさんへ イ・ミンギョン 0 観念から感覚へ 1 女から人へ 2 する自由からしない自由へ 3 努力から忘却へ 4 美しさから痛みへ 5 平面的な自我イメージから立体的な自分へ 6 美の観点から機能の観点へ 7 男性の他者から、女性として同一視された女性へ 8 画一的な日課から多様な日常へ 9 順応から違反へ 10 分裂から統合へ 11 今、ここから、別の世界へ 12 死から生へ 13 さあ、次の世代へ Author イ・ミンギョン Lee Min-Gyeong 女性が女性だという理由で 人生の何ひとつも あきらめないことを願う 延世大学校仏語仏文学科、社会学科を卒業後、韓国外国語大学校通訳翻訳大学院韓仏科で国際会議通訳専攻修士学位を取得。ENSパリ・サクレー校博士課程在籍中。フェミニストのためのことばを物し、訳す活動を行う。著書に『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『私たちにも系譜がある』『失われた賃金を求めて』、共著に『ヨーロッパ堕胎旅行』など。訳書に『妊娠中止(임신중지)』『母の国(어머니의 나라)』『国家ではなく女性が決めなければならない(국가가 아닌 여성이 결정해야 합니다)』『私、シモーヌ・ヴェイユ(나, 시몬 베유)』『すべての女性が同じ闘争をしているのではない(모든 여성은 같은 투쟁을 하지 않는다)』『ホイッスルが鳴ったら(휘슬이 울리면)』『主たる敵(주적)』などがある。
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経済の本質——自然から学ぶ
¥1,540
生態学(エコロジー)と経済学(エコノミクス)は、同じ問題を扱う「双子」だ。経済の成長は自然と反目するものでなく、二つは共通の法則に従う。それを自覚することで、人間は自然と調和しつつ経済を営むことができるのだ──。 市民生活から乖離していく都市計画や市場経済へ、批判の対象をひろげてきたジェイコブズ。人間のモラルを二体系にわけ相対する立場をどう調整できるか探った前著『市場の倫理 統治の倫理』から、本書は更に発展して、生物学的な視点を取り入れる。進化論や複雑系理論などの知見を引きつつ、共発展・協力・共生・相互依存など、経済と生態系に共通するメカニズムを探り出す。 解説=平尾昌宏。 [出版社より] 著 者|ジェイン・ジェイコブズ 訳 者|香西泰・植木直子 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-51289-5 発 行|2025年02月 Contents まえがき 第1章 なんと、またエコロジストだって 第2章 発展の本質 第3章 拡大の本質 第4章 活力自己再補給の本質 第5章 崩壊を避ける 第6章 適者生存の二重の法則 第7章 予測不可能性 第8章 アームブラスターの約束 エピローグ 文庫版解説 そろそろ本気でジェイコブズを 平尾昌宏 Author ジェイン・ジェイコブズ Jane Jacobs 1916 -2006年。ペンシルベニア州スクラントン生まれ。都市活動家、都市研究家、ジャーナリスト。邦訳されたものに『発展する地域 衰退する地域』『アメリカ大都市の生と死』『市場の倫理 統治の倫理』『壊れゆくアメリカ』がある。 Translator 香西 泰 Yutaka Kosai 1933-2018年。経済企画庁経済研究所総括主任研究官、東京工業大学教授、日本経済研究センター会長、内閣府経済社会総合研究所所長、政府税制調査会会長などを歴任。著書に『高度成長の時代』『日本経済展望』(共著)など、訳書に『市場の倫理 統治の倫理』(ジェイン・ジェイコブズ著)などがある。 植木 直子 Naoko Ueki 明治学院大学英文科卒。日本経済研究センターにて、研究開発部長、総務部総務・広報担当部長などを歴任。
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編むことは力
¥2,970
編み物は、フェミニズムや社会運動を支えるツールでもあった。フランス革命時のトリコテウス、アメリカ革命時のスピニング・ビーズ、大戦時のニッティング・スパイ、トランプ政権時のプッシーハット・プロジェクト……。個人と政治、愛と経済を結びつけ、社会を幾度となく編み直してきたパワーの歴史をたどるエッセイ。 [出版社より] 著 者|ロレッタ・ナポリオーニ 訳 者|佐久間裕美子 出版社|岩波書店 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|206 ISBN|9784000616751 発 行|2024年12月 Contents 著者の言葉 イントロダクション 愛、政治と経済を編む 1 なぜ編み物をするのか 2 糸の檻を開ける 3 革命のために編む 4 フェミニズムと糸の愛憎関係 5 ウール・イズ・クール 6 編み物のネットワークの魔法 7 神経科学時代の編み物 8 ともに編もう──社会を編み直す エピローグ 必要なのは愛だけ 謝 辞 訳者あとがき 佐久間裕美子 パターン 西村知子 訳 注 参考文献 Author ロレッタ・ナポリオーニ Loretta Napoleoni 幼い頃イタリアで祖母から編み物を学ぶ.エコノミスト,コンサルタント,コメンテーター.フルブライト奨学生としてジョンズ・ホプキンス大学ポール・H・ニッツェ高等国際問題研究大学院,ロータリー奨学生としてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学.国際関係と経済学の修士号,経済学の博士号を取得.国際金融,テロリズム,9.11以降の社会変動,ヨーロッパや中国,北朝鮮経済に関し執筆.邦訳書に『人質の経済学』(文藝春秋)『「イスラム国」はよみがえる』(文春文庫)など. Translator 佐久間 裕美子 Yumiko Sakuma ライター,アクティビスト.慶應義塾大学卒業,イェール大学大学院修士課程修了.ニューヨーク在住.カルチャー,ファッション,政治,社会問題などに関し執筆.著書に『Weの市民革命』(朝日出版社)『みんなで世界を変える! 小さな革命のすすめ』(偕成社)など.訳書に『テロリストの息子』(朝日出版社).Sakumag Collectiveを通じて勉強会や情報発信などの活動を行っている.
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資本主義の次に来る世界
¥2,640
「少ないほうが豊か」である。 「アニミズム対二元論」というかつてない視点で文明を読み解き、成長を必要としない次なる社会を描く希望の書。ケイト・ラワース(『ドーナツ経済学が世界を救う』著者)、ダニー・ドーリング(『Slowdown 減速する素晴らしき世界』著者)ほか、世界の知識人が大絶賛。 デカルトの二元論は「人間」と「自然」を分離した。そして資本主義により、自然や身体は「外部化」され、「ニーズ」や「欲求」が人為的に創出されるようになった。資本主義の成長志向のシステムは、人間のニーズを満たすのではなく、「満たさないようにすること」が目的なのだ。 それでは、人類や地球に不幸と破滅をもたらさない、「成長に依存しない次なるシステム」とは何か? 経済人類学者が描く、かつてない文明論と未来論。 「本書が語るのは破滅ではない。語りたいのは希望だ。どうすれば、支配と採取を軸とする経済から生物界との互恵に根差した経済へ移行できるかを語ろう。」(「はじめに 人新世と資本主義」より) [出版社より] 著 者|ジェイソン・ヒッケル 訳 者|野中香方子 出版社|東洋経済新報社 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|326 ISBN|9784492315491 発 行|2023年04月 Contents はじめに 人新世と資本主義 第1部 多いほうが貧しい 第1章 資本主義――その血塗られた創造の物語 第2章 ジャガノート(圧倒的破壊力)の台頭 第3章 テクノロジーはわたしたちを救うか? 第2部 少ないほうが豊か 第4章 良い人生に必要なものは何か 第5章 ポスト資本主義への道 第6章 すべてはつながっている 謝辞 原注 Author ジェイソン・ヒッケル Jason Hickel 経済人類学者。英国王立芸術家協会のフェローで、フルブライト・ヘイズ・プログラムから研究資金を提供されている。エスワティニ(旧スワジランド)出身で、数年間、南アフリカで出稼ぎ労働者と共に暮らし、アパルトヘイト後の搾取と政治的抵抗について研究してきた。近著The Divide: A Brief Guide to Global Inequality and its Solutions(『分断:グローバルな不平等とその解決策』、未訳)を含む3冊の著書がある。『ガーディアン』紙、アルジャジーラ、『フォーリン・ポリシー』誌に定期的に寄稿し、欧州グリーン・ニューディールの諮問委員を務め、「ランセット 賠償および再分配正義に関する委員会」のメンバーでもある。 Translator 野中 香方子 Kyoko Nonaka お茶の水女子大学文教育学部卒業。主な訳書にアイザックソン『コード・ブレーカー(上下)』(共訳、文藝春秋)、サイクス『ネアンデルタール』(筑摩書房)、ヴィンス『進化を超える進化』(文藝春秋)、ウィルミア/トーランド『脳メンテナンス大全』(日経BP)、ブレグマン『Humankind 希望の歴史(上下)』(文藝春秋)、シボニー『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』(日経BP)、ズボフ『監視資本主義』(東洋経済新報社)、イヤール/リー『最強の集中力』(日経BP)、メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社)ほか多数。
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武器としての土着思考
¥1,980
奈良県東吉野村への移住実践者で、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」主催者による「土着」論。「都市の原理」と「村の原理」に折り合いを付けながら、いかに世間へ「ルチャ」(格闘)を仕掛けるか。若き在野研究者が綴る、生きる勇気が湧いてくる「逆」自己啓発書。 「相手と関係をつくり、その関係の中でいかに生きていくか。この「相手」には、自分の中の「うまくコントロールできない自分」も含まれています。この相手とともにどう生きていくか。それこそ、僕が考える「闘い」(スペイン語でルチャ)です。だから本書で述べている武器とは、相手の技を受け、さらに強い技で返すことで生命力を高め合うような、「相手がワルツを踊ればワルツを、ジルバを踊ればジルバを」というかの名言にもあるような、「相手があってこその生」を築いていくための思考法のことなのです。本書では、相手との競争に勝つための武器を個別具体的に提示するのではなく、さまざまな事例を取り上げながら、「僕たちの闘い方」を一緒に考えていくことを目的としています。」――「はじめに」より [出版社より] 「青木君の文章と思考はつねに揺らぎ、葛藤している。決して単一原理に執着すまいというつよい決意が彼の文体に『過剰なまでの節度』(そんなものがあるのだ)を与えている。」 ――内田 樹 著 者|青木真兵 出版社|東洋経済新報社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|218 ISBN|9784492224205 発 行|2024年07月 Contents 第1章 僕たちはどう生きづらいのか 1.僕たちが「資本の原理」から逃げ出すべき理由:奈良県東吉野村で生まれた「土着の知」の行き先 2.「生きづらさ」感じる社会をつくる一つの価値観:自分の価値を見失わず、生き抜くための思考法 3.「コスパ」と「スマート」の行き着く先にある「疎外」:「他人から必要とされているのか否か」をやめる 第2章 僕たちが図書館をする理由 4.僕たちが「利益を生まない図書館」を続ける理由:「他者の欲望」模倣より「ちょうどよい」身体実感 5.「風呂なし賃貸物件」は「失われた30年の帰結」だった:社会的貧困を踏まえて「借り」を生活に取り戻す 6.地域社会の「しがらみ」と折り合いをつける思考法:「土着」と「離床」のちょうどいいリアリティ 第3章 東吉野村で「二つの原理」を考える 7.「村の原理」と「都市の原理」に折り合いをつける:実は大事な「昔から続いてきた」「めんどくさい」 8.「もちつもたれつ」で生きのびてきた「神仏習合」:「2つの原理」で此岸と彼岸を行ったり来たり 9.「人間一人では生きていけない」を正面から考える:「個人の原理」と「共同体の原理」の決定的違い 10.『もののけ姫』が描いた「結果より過程」の哲学:目的なく「顔を出す」行為に支えられている社会 第4章 渡世人として生きていく 11.「若者の邪魔」をしてはいけない人口減少社会:年長者は「仕方ねぇなぁ」と待ち続けるしかない 12.寅さんが「何度でも失敗が許される」本当の理由:渡る世間には「ケアと就労」2つの原理が必要だ 13.「ワーク・ライフ・バランス」は「無理ゲー」です:「いい子」を生む経済成長前提の社会構造の限界 14.「リスキリングせよ、さもなくば自己責任」の未来:「ガンダム」が描いた「デジタル社会」への適応 第5章 土着人類学を通してこれからを考える 15.「心は売っても魂は売らない」ファンキーな土着:「逃れられない病」を土臭く泥臭く生きていく 16.「数値化」では世界の本質を理解できない:土着人類学で考える社会との折り合いの付け方 17.「ホラーの帝王」が描いた「選択と集中」が招く悲劇:「話半分に聞く」姿勢で新自由主義を生き抜く 18.「国富でなく民富こそ国力」と喝破した孟子の真意:「実質賃金マイナス」時代に必要な王道政治と士 Author 青木 真兵 Shinpei Aoki 1983年生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。社会福祉士。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークとしている。2016年より奈良県東吉野村に移住し自宅を私設図書館として開きつつ、現在はユース世代への支援事業に従事しながら執筆活動などを行っている。 著書に『手づくりのアジールーー「土着の知」が生まれるところ』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館ーーぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー) 、『つくる人になるためにーー若き建築家と思想家の往復書簡』(光嶋裕介との共著、灯光舎)などがある。
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舌の上の階級闘争——「イギリス」を料理する
¥1,980
階級も格差も噛み砕き、胃袋で掴め! パン屋と農家と大学教授の3人によるコレクティブ「コモナーズ・キッチン」が、料理を作って、食べて、考える。 ベイクドビーンズ、フィッシュ&チップス、イングリッシュブレックファスト、マーマレード、ローストビーフ、キュウリのサンドウィッチ……。 料理ごとに章立てされた12の食エッセイに、それぞれのレシピも収録。 まさに定番中の定番といえるイギリス料理の、歴史や文化的な背景を掘り下げながら、実際に作って食べてみることで、「階級」や「貧富の差」により分断された社会の現実を胃袋から思い知る。 「誰が」「何を」「どこで」作り、「どのように」食べるのか。食文化をとおして社会を知り、社会的背景を知ったうえで料理を食べれば、これまで知らなかった「イギリス」の姿が見えてくる。イギリス料理が不味いだなんて、もう言えなくなる! [出版社より] 著 者|コモナーズ・キッチン 出版社|リトルモア 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|232 ISBN|978-4-89815-595-0 発 行|2024年10月 Contents 1 ベイクドビーンズ―素朴であたたかいセーフティーネット料理 2 フィッシュ&チップス―コロモさっくり臭みなし、それでもしつこい階級の味 3 バンガーズ&マッシュ―飛び散る肉汁の中毒性 4 クリスマスプディング―年に一度の悪魔的幸福感 5 ローストビーフ―「自由」の味と貧者の生活 6 マーマレード―パディントンはなぜマーマレードを持っていたのか? 7 イングリッシュブレックファスト―誰もがそれを(朝に)食べるわけではない 8 ジェリードイールとミートパイ―下町の香りの今昔物語 9 ロールモップとキッパー―巻かれて燻される「春告魚」 10 グリーンピースのスープとシェパーズパイ―慎ましやかな「普通」の味 11 キュウリのサンドウィッチとポークパイ―ピクニックのお供、でも少し手間がかかります 12 サマープディング―甘酸っぱさと苦々しさと Author コモナーズ・キッチン パン屋と農家と大学教授の3名からなるコレクティヴ。料理を作って、食べて、考えることでイギリス社会の階級について理解を深め、あわよくばその分断を破壊する目論見で2020年秋、結成された。2021年から2022年を通じて毎月一度料理を作り、食べ、食が作り出す豊かだが同時に残酷な階級社会の有り様を、脳みそと同時に舌と胃袋で掴み取ろうと試みてきた。その経験をもとに、2022年12月から2023年11月までの1年間noteにて「Bake up Britain(イギリスを焼き上げろ)」を連載。毎月一つのイギリス料理を選び、そのレシピと歴史を通じて食と階級の関係を考える機会を提供してきた。3人それぞれ独自にイギリスとの関わりを持っていること、そして食べることをおろそかにする人間への不信感を共有していることだけで保たれているゆるいつながりである。 小笠原博毅(おがさわら ひろき) 神戸大学国際文化学研究科教授。カルチュラル・スタディーズ。著書に『真実を語れ、そのまったき複雑性において──スチュアート・ホールの思考』など。 ミシマショウジ パン屋アミーンズオーヴン店主、黒パン文庫主宰、詩人。詩集に『パンの心臓』など。 栢木清吾(かやのき せいご) 農家、翻訳家。訳書にパニコス・パナイー『フィッシュ・アンド・チップスの歴史──英国の食と移民』など。
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白人になれない白人たち——中欧の反リベラリズムとレイシズム
¥3,960
〈リベラル〉に反旗を翻す白人たち――。 何が〈中欧〉の人々を憎悪に走らせているのか? 2014年に「非リベラルな民主主義」を高らかに宣言したハンガリーのオルバーン首相。その理念は米国のトランプやロシアのプーチンとも共鳴し、強権的政治が世界に広がりつつある。中欧は反リベラル現象の震源地なのか? 中欧出身の文化人類学者が、民主主義の危機の背景にある「白人」間の人種差別(レイシズム)を解き明かす衝撃作。 「いろいろなことが中欧ではひどい状態になっているし、西欧のほうがよい状態だということは僕も認める。でも僕が本当に言いたいのは、西欧のほうが「それほど」よいとは言えないということ。そしてもし、中欧のほうがよくないとしたら、それは西欧にも責任の一端があるということだ。」(「まえがき」より) [出版社より] 著 者|アイヴァン・カルマー 訳 者|加藤恵津子・神原ゆうこ・坂田敦志 出版社|彩流社 定 価|3,600円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|396 ISBN|9784779130205 発 行|2025年01月 Contents まえがき あるカナダ系「中欧人」の告白 序章 人種、非自由主義、中欧 第一章 こうして東欧人はあまり白人でなくなった 第二章 こうして中欧人は東欧人になった 第三章 こうして中欧人は何度も中欧人になった 第四章 中欧――「半分だけの真実」と事実 第五章 最後の白人男性――白無垢な中欧 第六章 「東欧人は恥を知らないのか? 」 ――中欧における反ユダヤ主義、レイシズム、同性愛嫌悪 第七章 拒絶された模倣 ――西欧はなぜ中欧に東欧のままでいてほしいのか 第八章 「我々は植民地にはならない!」 第九章 スラヴィア・プラハ対グラスゴー・レンジャーズ ――あるサッカーの試合を教訓に 終章 移民がやって来るとき 訳者解説――文化人類学者がみた中欧の政治 Author アイヴァン・カルマー Ivan Kalmar トロント大学人類学部教授。1948年、プラハ生まれのユダヤ系。現在のスロヴァキアとチェコで育つ。人種・宗教・ナショナリズムといったテーマについて研究し、ヨーロッパにおけるユダヤ人やイスラム教徒に対する偏見を論じた著書を持つ。邦訳書に『白人になれない白人たち―中欧の反リベラリズムとレイシズム』(彩流社、2025年)がある。 Translator 加藤 恵津子 Etsuko Kato 国際基督教大学国際関係学科教授(文化人類学)。慶應大学文学部文学科英米文学専攻卒。同大学院文学研究科修士課程修了。カナダ・トロント大学大学院博士課程修了(言語・記号人類学)。文化ナショナリズム、アジアニズム、英語圏中心主義、ジェンダーの視点から、日本・日本人、およびその表象を批判的に研究。著書に『「自分探し」の移民たち カナダ・バンクーバー、さまよう日本の若者』(彩流社、2009年)、『グローバル人材とは誰か:若者の海外経験の意味を問う』(青弓社、2016 年)など。 神原 ゆうこ Yuko Kanbara 北九州市立大学基盤教育センター教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。スロヴァキアとハンガリーを調査地とし、政治的価値観と実践について文化人類学的研究を行う。主な著書に『デモクラシーという作法:スロヴァキア村落における体制転換後の民族誌』(九州大学出版会、2015 年)がある。 坂田 敦志 Atsushi Sakata 一橋大学大学院社会学研究科特別研究員。同大学院博士後期課程修了。博士(社会学)。1989 年以降のチェコの政治的言説の変遷について、文化人類学的研究を行う。論文に「ポスト社会主義のトリックスター:チェコ共和国におけるポスト社会主義からポスト社会主義以後への移行の契機」(『文化人類学』87 巻1 号、2022 年)など。
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世代とは何か
¥2,530
地球規模の危機を乗り越え、未来を確かなものにするために、わたしたちは何をすべきか——。 巨大な危機に直面したいま、私たちは「古いやり方」に立ち戻る必要がある、とインゴルドは唱える。、脈々と紡がれてきた「知恵」とは、いったいどのようなものだろうか? ティム・インゴルド思想のエッセンスを総動員して語られる、希望の書。 「ティム・インゴルドは、私たちが直面している惑星規模の危機に対処するために、世代をめぐる考え方をひっくり返そうとします。そのために、複数の世代が祖先の道に沿ってともに生き、ともに働くことによって、自らと子孫たちにとっての未来を確かなものにするという失われてしまった考えを、私たちのうちに再び取り戻そうとするのです」(奥野克巳/訳者) [出版社より] 「生者は死者と未来の他者を、同じテーブルに呼び集めて、対話しなければならない。」 ——中島岳志(政治学者) 著 者|ティム・インゴルド 訳 者|奥野克巳・鹿野マティアス 出版社|亜紀書房 定 価|2,300円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|242+カラー2頁 ISBN |978-4-7505-1858-9 発 行|2024年10月 Contents 日本の読者のみなさまへ まえがき 第1章 世代と生の再生 親子関係 系譜学的モデル 相続と持続性 第2章 人の生涯[ライフコース]をモデル化する 年を取り、子をなす 歴史の天使 釣鐘曲線 生と死 第3章 道を覚えていること 薄層で覆われた地面 過去からの道 アーカイブからアナーカイブへ 懐かしむこと 第4章 不確実性と可能性 呪いを解く くぐり抜けながらおこなう 注意の構造 驚愕と感嘆 第5章 喪失と絶滅 種のカタログ 子をなすことの系譜 人種と世代 保全と、ともに生きること[コンヴィヴィアリティ] 第6章 人類を再中心化する 人間を超えて、人間する[ヒューマニング] 例外主義の告訴 進歩と持続可能性 群れとタービンについて 第7章 教育のやり方 学究的な姿勢 理性と応答可能性 新しい人々、古いやり方 知恵と好奇心 第8章 科学技術の後に STEMからSTEAMへ 科学とアーツ デジタル化と手先仕事 結び 解説に代えて 原注 Author ティム・インゴルド Tim Ingold 1948年イギリス・バークシャー州レディング生まれの人類学者。1976年にケンブリッジ大学で博士号を取得。1973年からヘルシンキ大学、マンチェスター大学を経て、1999年からアバディーン大学で教えている。『ラインズ──線の文化史』(2014年、左右社)、『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』(2017年、左右社)、『ライフ・オブ・ラインズ──線の生態人類学』(2018年、フィルムアート社)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『生きていること』(2021年、左右社)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)などがある。 Translator 奥野 克巳 Katsumi Okuno 立教大学異文化コミュニケーション学部教授。著作に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(2018年、亜紀書房)、『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』(2022年、辰巳出版)、『人類学者K』(2022年、亜紀書房)など多数。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える──人間的なるものを超えた人類学』(2016年、亜紀書房)、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ──シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(2018年、亜紀書房)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)。 鹿野 マティアス Matthias Shikano 翻訳家・ライター。本業では、動物遺体を運ぶ特殊運搬業に携わる。将来は文化人類学者を目指している。
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調査する人生
¥2,530
SOLD OUT
長い年月をかけて対象となる社会に深く入り込み、そこで暮らす人びとの人生や生活を描くフィールドワーカーたちは、自分たちの人生もまた調査に費やしている。生活史調査で知られる著者が、打越正行、齋藤直子、丸山里美、石岡丈昇、上間陽子、朴沙羅の卓越した6人のフィールドワーカーたちと「調査する人生」を語り合う。 [出版社より] 著 者|岸政彦 出版社|岩波書店 定 価|2,300円+税 判 型|四六版/並製 頁 数|308 ISBN|9784000616720 発 行|2024年11月 Contents 序 第1回 打越正行×岸 政彦 相手の一〇年を聞くために、自分の一〇年を投じる 暴走族の中でパシリをはじめる 「大学生のくせによく頑張ってるじゃないか」 「地元」はどうやら優しい共同体ではない ネットワーク全体の中に埋め込まれて関係性や作業が進んでいく 地元の実践感覚を数年かけて身に付けていく パシリを引き継ぐ後輩が入ってこない 製造業は「書かれた言語」、建設業は「話し言葉」のコミュニケーションが中心 リスクを最小限にしてうまく生き残り続ける能力 暴走族が一〇年間で激減 ストレートな地元愛を聞くことはほとんどない 敬意を持つ相手は、妻や彼女を殴る男でもある 調査の初日にパクられる いつまでたっても自分はよそもの 関わり続けたら完全に中立的ではいられない 本は燃えてもフィールドノートは燃えなかった 沈黙に耐えきれずカラオケで曲を入れてしまう 「別世界のビックリ話」で終わらせないためにどう書くか 暴力の問題を自分の問題として書く 調査対象でもフィールドワークでもなく、人生である 第2回 齋藤直子×岸 政彦 生活そのものを聞き取り続けて見えてくること 社会学との出会い 複数の「しんどさ」がつながったとき 生活史の第一人者たちから学ぶ 部落問題の調査でなにを聞くのか 生い立ちを肯定するための「自分史」運動 テーマだけを聞くのはもったいない 「何をされたか?」ではなく「どう思ったか?」 からの広がり 質的調査も量が大事 詳しくなるのはストーリーやインタビューの技術ではない 当事者と当事者でないところの接点 「社会問題が実在する」とは 差別する側のパターン化 部落問題と結婚・家制度 「結婚には反対だが差別ではない」の疑わしさ 差別する側の非合理的で過剰な拒否感 やればやるほど離れられなくなる 第3回 丸山里美×岸 政彦 簡単に理解できない、矛盾した語りを掘り下げたい ホームレス研究から排除された女性 調査をお願いする勇気 畳の上で寝ることよりも大事なこと 「改善」より先に「理解」したい 人は矛盾を抱えて生きている これまでの研究は「男性ホームレス研究」だった 問いの前の問い 社会学者が「責任解除」をすること 語りを理由に還元しない 語りの矛盾や飛躍こそもう一度聞く 理論がないと何十人聞いてもわからない 一つの行為に一つの理由、ではない 第4回 石岡丈昇×岸 政彦 生きていくことを正面に据えると、なかなか威勢よく言えない 「咬ませ犬」ボクサーに話を聞く フィリピン、マニラのボクシングジムへ なぜボクサーになるのか? 泣き真似、豪雨、ヘビ 立ち退きは「宿命」か 威勢よく言えることを可能にする条件 まだまだわかる部分があるはず 第5回 上間陽子×岸 政彦 調査する人生と支援する人生 沖縄の女性たちの調査をはじめる インタビューって面白いな、と思った 「沖縄は絶対にやらない」と決心した院生時代 「強いコギャル」の話を書きたかったはずなのに 「話がまとまるまでいなきゃ」って思う 支援に振り切りシェルター開設 私がやっているのは、それぞれを特別扱いすること 加害者の語りをどう書けるのか 調査相手との距離・関わり方 しつこさが大事 第6回 朴 沙羅×岸 政彦 人生を書くことはできるのか 親族の生活史を聞く テーマや問いを設定して……あれ、設定できなくない? インタビューはコントロールできない その場で言語化された言葉の解釈 一時間、二時間の人生、九〇年の人生 「酒がうまい」論文 「わかる」ことと「共感する」こと 「中の人」の体験の面白さ 歴史的事実と個人の語り 「歴史的な出来事」の拡張 ジャーナリズム、カウンセリング、社会学 相手が泣いてしまう経験 著者紹介 Author 岸 政彦 Masahiko Kishi 一九六七年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。社会学。専門は沖縄社会研究、生活史、社会調査方法論。主な著作に『同化と他者化――戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版、二〇一三年)、『街の人生』(勁草書房、二〇一四年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、二〇一五年、紀伊國屋じんぶん大賞二〇一六受賞)、『質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学』(石岡丈昇・丸山里美と共著、有斐閣ストゥディア、二〇一六年)、『はじめての沖縄』(新曜社、二〇一八年)、『マンゴーと手榴弾――生活史の理論』(勁草書房、二〇一八年)、『社会学はどこから来てどこへ行くのか』(北田暁大・筒井淳也・稲葉振一郎と共著、有斐閣、二〇一八年)、『100分de名著ブルデュー「ディスタンクシオン」』(NHK出版、二〇二〇年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(打越正行・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、二〇二〇年)、『生活史論集』(編著、ナカニシヤ出版、二〇二二年)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、二〇二一年、紀伊國屋じんぶん大賞二〇二二受賞)、『沖縄の生活史』(石原昌家と共同監修、沖縄タイムス社編、二〇二三年、みすず書房)、『大阪の生活史』(編著、筑摩書房、二〇二三年)など。「岩波講座社会学」編集委員。 戦後沖縄の本土就職とUターンにおけるアイデンティティの歴史的構築、沖縄的共同性と階層格差という二つの大きな調査プロジェクトを終えて、現在は沖縄戦の生活史調査をおこなっている。あわせて『街の人生』『東京の生活史』などのスタイルで「生活史モノグラフ」を書いている。 打越 正行 Masayuki Uchikoshi 一九七九年生まれ。和光大学現代人間学部講師。社会学。専門は沖縄、参与観察法。主な著書に『ヤンキーと地元――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』(筑摩書房、二〇一九年(ちくま文庫、二〇二四年)、第六回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞受賞)、『最強の社会調査入門――これから質的調査をはじめる人のために』(前田拓也ほか編、ナカニシヤ出版、二〇一六年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸 政彦・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、二〇二〇年)、『〈生活―文脈〉理解のすすめ――他者と生きる日常生活に向けて』(宮内洋・松宮朝・新藤慶と共著、北大路書房、二〇二四年)など。 沖縄を中心に暴走族・ヤンキーの若者を対象とした、参与観察調査をおこなっている。 齋藤 直子 Naoko Saito 一九七三年生まれ。大阪教育大学総合教育系特任准教授。社会学。専門は部落問題研究、家族社会学。主な著書に『結婚差別の社会学』(勁草書房、二〇一七年)、『入門家族社会学』(共著、新泉社、二〇一七年)、Educaciones y Racismos, Reflexiones y casos(共著、el Centro Universitario del Norte en Universidad de Guadalajara y Universidad Pedagógica Nacional, 2021)、『恋愛社会学――多様化する親密な関係に接近する』(共著、ナカニシヤ出版、二〇二四年)など、論文に「交差性をときほぐす――部落差別と女性差別の交差とその変容過程」(『ソシオロジ』第六六巻一号、社会学研究会、二〇二一年)など。 被差別部落出身者への結婚差別問題、部落女性をめぐる交差性、被差別部落へ/からの転入/転出、部落問題と「家」の関係性などについて研究している。 丸山 里美 Satomi Maruyama 一九七六年生まれ。京都大学大学院文学研究科准教授。社会学。専門はホームレス、貧困、ジェンダー研究、福祉社会学。主な著書に『女性ホームレスとして生きる――貧困と排除の社会学』(世界思想社、二〇一三年(増補新装版二〇二一年))、『質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学』(岸 政彦・石岡丈昇と共著、有斐閣ストゥディア、二〇一六年)、『貧困問題の新地平――〈もやい〉の相談活動の軌跡』(編著、旬報社、二〇一八年)、Living on the Streets in Japan: Homeless Women Break their Silence(Trans Pacific Press, 2018)、『女性たちで子を産み育てるということ――精子提供による家族づくり』(牟田和恵・岡野八代と共著、白澤社、二〇二一年)などがある。「岩波講座 社会学」編集委員。 大学院在籍時から、女性ホームレスを対象に、ジェンダー化された貧困の様相をとらえる研究をおこなってきた。最近は、世帯のなかに隠れた貧困や、貧困の概念や把握の仕方について、ジェンダーの視点から研究している。 石岡 丈昇 Tomonori Ishioka 一九七七年生まれ。日本大学文理学部教授。社会学。専門は身体文化論、都市エスノグラフィー研究。主な著書に『ローカルボクサーと貧困世界――マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、二〇一二年(増補新装版 二〇二四年)、第一二回日本社会学会奨励賞・著書の部受賞)、Southern Hemisphere Ethnographies of Space, Place, and Time(共著、R. Rinehart eds., Peter Lang, 2018)、『タイミングの社会学――ディテールを書くエスノグラフィー』(青土社、二〇二三年)、『エスノグラフィ入門』(ちくま新書、二〇二四年)など。 フィリピン・マニラの貧困世界を事例に、ボクシングジムやスクオッター地帯を調査しながら、貧困を生きる人びとの生活実践を記述している。現在は、身体と時間の関係を「タイミングの社会学」という切り口から、理論的に考察する仕事をおこなっている。 上間 陽子 Yoko Uema 一九七二年生まれ。琉球大学教育学研究科教授。教育学。主な著書に、『裸足で逃げる――沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版、二〇一七年)、『海をあげる』(筑摩書房、二〇二〇年、Yahoo!ニュース|本屋大賞2021ノンフィクション本大賞受賞、池田晶子記念わたくし、つまりNobody賞受賞、沖縄書店大賞受賞)、『沖縄子どもの貧困白書』(加藤彰彦・鎌田佐多子・金城隆一・小田切忠人と共編、かもがわ出版、二〇一七年)、『誰も置き去りにしない社会へ――貧困・格差の現場から』(平松知子ほかと共著、新日本出版社、二〇一八年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸政彦・打越正行・上原健太郎と共著、ナカニシヤ出版、二〇二〇年)、『復帰50年沖縄子ども白書2022』(川武啓介・北上田源・島村聡・二宮千賀子・山野良一・横江崇と共編、かもがわ出版、二〇二二年)など。 学校から逸脱する少年・少女や沖縄の貧困などについて学校内・学校外から調査してきた。現在は若年女性の特定妊婦の出産・子育ての応援シェルター「おにわ」の代表として支援もおこなっている。 朴 沙羅 Sara Park 一九八四年生まれ。ヘルシンキ大学文学部講師。社会学。専門はナショナリズム研究、社会調査方法論。主な著作に『外国人をつくりだす――戦後日本における「密航」と入国管理制度の運用』(ナカニシヤ出版、二〇一七年)、『家の歴史を書く』(筑摩書房、二〇一八年(ちくま文庫、二〇二二年))、『ヘルシンキ 生活の練習』(筑摩書房、二〇二一年(ちくま文庫、二〇二四年))、『ヘルシンキ 生活の練習は続く』(筑摩書房、二〇二四年)、『記憶を語る、歴史を書く――オーラルヒストリーと社会調査』(有斐閣、二〇二三年)ほか、論文に “Colonialism and Sisterhood: Japanese Female Activists and the ‘Comfort Women’ Issue”(Critical Sociology, 2019)など。 戦後日本における出入国管理政策の歴史を調査しつつ、歴史認識とオーラルヒストリー収集プロジェクトとの関係も調査している。
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イスラエルについて知っておきたい30のこと
¥2,090
ユダヤ教とシオニズム、ホロコーストの政治利用、欧米のイスラエル支持……。パレスチナ/イスラエル問題の根っこがわかる。 ー 2023年10月7日に起きたハマースの蜂起から約15カ月半後の2025年1月19日、イスラエルとハマースの間で6週間の「停戦」合意がなされた。イスラエルの一方的な爆撃によりガザ地区の公共施設や主要インフラは壊滅的な状況に陥り4万人超が死亡、その大半は子どもや女性だったとされる。 だが、イスラエルによる暴力はいまに始まったことではない。1948年のイスラエル建国前からシオニストたちはパレスチナの地の略奪を目標に、欧米や周辺諸国を巻き込み、暴力を繰り返してきた。 キリスト教福音派のシオニズムへの接近、ホロコーストの政治利用、ユダヤ教とシオニズムの対立、PLOの挫折、オスロ合意の欺瞞、〈10・7〉蜂起、そしてイスラエルが描く「ガザ2035」の未来図とは? いま私たちがパレスチナ問題を考えるための基本書。 「「停戦」は、一般的な国家戦争の停戦とは全く異なり、イスラエルによる一方的なガザ地区でのジェノサイドの「一時停止」にすぎません。ガザ地区の占領も封鎖も変わらず、またやはり占領下のヨルダン川西岸地区で続いているイスラエル軍の侵攻と入植者による襲撃・収奪も止まることがないのです。」――「あとがき」より [出版社より] 著 者|早尾貴紀 出版社|平凡社 定 価|1,900円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|256 ISBN|9784582839746 発 行|2025年02月 Contents 前史|ユダヤ人はなぜ差別されてきたのか 第1部|19世紀~1948年| イスラエルはどのようにしてつくられたのか ◆1.シオニズムはどのように誕生したのか ◆2.植民地主義とシオニズムの関係とは ◆3.シオニズムの物語とは ◆4.イスラエルはどのように建国されたのか(1) ◆5.イスラエルはどのように建国されたのか(2) ◆6.イスラエルはどのように建国されたのか(3) ◆7.国際社会の責任とは ◆8.イスラエル建国に対する世界の思想は 第2部|1948年~90年代| イスラエルはどんな国か――占領政策、オスロ合意まで ◆1.建国されたイスラエルはどんなところか ◆2.イスラエルの産業とは ◆3.イスラエルには誰が住んでいるのか ◆4.イスラエルはどのように国民統合を図ったのか ◆5.ホロコーストと宗教の利用 ◆6.1967年以降の占領政策とは ◆7.パレスチナの抵抗運動とは ◆8.オスロ合意とはなにか(1) ◆9.オスロ合意とはなにか(2) ◆10.オスロ合意に対する世界の思想は 第3部|2000年代~| オスロ合意後のイスラエルはどうなっているか ◆1.第2次インティファーダ後の一方的政策とは ◆2.イスラエルはなぜハマースを敵視するのか ◆3.パレスチナの民意へのイスラエルの反応は ◆4.〈10・7〉蜂起とは ◆5.〈10・7〉とは何だったのか ◆6.ガザ侵攻でなにか起きているのか ◆7.ガザ侵攻でイスラエルが得る利益とは ◆8.イスラエル国内でのガザ侵攻の受けとめ方は ◆9.イスラエルはガザ侵攻後をどのように考えているのか ◆10.世界の反応は ◆11.ガザ侵攻に対する世界の思想は ◆12.私たちになにができるのか Author 早尾 貴紀 Takanori Hayao 1973年生まれ。東京経済大学教員。専門は社会思想史。2002〜04年、ヘブライ大学客員研究員として東エルサレムに在住し、西岸地区、ガザ地区、イスラエル国内でフィールドワークを行う。著書に『国ってなんだろう?』『パレスチナ/イスラエル論』『ユダヤとイスラエルのあいだ』、訳書にイラン・パぺ『パレスチナの民族浄化』(田浪亜央江との共訳)、サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(岡真理、小田切拓との共編訳)、ジョー・サッコ『ガザ 欄外の声を求めて』などがある。
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ガザとは何か——パレスチナを知るための緊急講義
¥1,540
ガザで何が、なぜ起きているのか。歴史的文脈とポイントを平易に解説する「まずここから」の一冊。 2023年10月7日、ハマース主導の越境奇襲攻撃に端を発し、イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。長年パレスチナ問題に取り組んできた、パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、平易な語り口、そして強靭な言葉の力によってさまざまな疑問、その本質を明らかにします。 今起きていることは何か? パレスチナ問題の根本は何なのか? イスラエルはどのようにして作られた国? シオニズムとは? ガザは、どんな地域か? ハマースとは、どのような組織なのか? いま、私たちができることは何なのか? 今を知るための最良の案内でありながら、「これから私たちが何を学び、何をすべきか」、その足掛かりともなる、いま、まず手に取りたい一冊です。 *本書は、10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で開催された緊急セミナーに加筆修正を加えたものです。 [出版社より] 著 者|岡真理 出版社|大和書房 定 価|1,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|208 ISBN|9784479394204 発 行|2023年12月 Contents ■第1部 ガザとは何か 4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ」/イスラエル国内での動き/ガザはどれほど人口過密か/ハマースの誕生/オスロ合意からの7年間/民主的選挙で勝利したハマース/抵抗権の行使としての攻撃/「封鎖」とはどういうことか/ガザで起きていること/生きながらの死/帰還の大行進/ガザで増加する自殺/「国際法を適用してくれるだけでいい」 ■第2部 ガザ、人間の恥としての 今、目の前で起きている/何度も繰り返されてきた/忘却の集積の果てに/不均衡な攻撃/平和的デモへの攻撃/恥知らずの忘却/巨大な実験場/ガザの動物園/世界は何もしない/言葉とヒューマニティ/「憎しみの連鎖」で語ってはいけない/西岸で起きていること/10月7日の攻撃が意味するもの/明らかになってきた事実/問うべきは「イスラエルとは何か」/シオニズムとパレスチナ分割案/イスラエルのアパルトヘイト/人道問題ではなく、政治的問題 ■質疑応答 ガザに対して、今私たちができることは?/無関心な人にはどう働きかければいい?/パレスチナ問題をどう学んでいけばいい?/アメリカはなぜイスラエルを支援し続けるのか?/BDS運動とは何? ■付録 もっと知るためのガイド(書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイト) パレスチナ問題 関連年表 Author 岡 真理 Mari Oka 1960年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。在モロッコ日本国大使館専門調査員、大阪女子大学人文社会学部講師、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、早稲田大学文学学術院教授。専攻は現代アラブ文学・第三世界フェミニズム思想。
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中学生から知りたいパレスチナのこと
¥1,980
SOLD OUT
この本から、始まる。 新しい世界史=「生きるための世界史」。 あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話からはじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。 世界史は書き直されなければならない。 ー 岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」 小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」 藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」 [出版社より] 著 者|岡真理・小山哲・藤原辰史 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|224 ISBN|9784911226063 発 行|2024年07月 Contents はじめに(岡真理) Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題 岡真理「ヨーロッパ問題としてのパレスチナ問題――ガザのジェノサイドと近代五百年の植民地主義」 「ユダヤ人のパレスチナ追放による離散」は史実にない/ジェノサイドが終わるだけでは不十分/ハマスの攻撃は脱植民地化を求める抵抗/イスラエル政府の発表をうのみにしてはいけない/ジェノサイドはいかなるシステムによって可能になったのか/人文学=ヒューマニティーズから考える/ガザを見たとき、日本は自国の植民地主義を想起できているか/壁一枚を隔て、安楽な生活を享受する者/「人種」はヨーロッパ植民地主義が「発明」したもの/シオニズム運動――反セム主義に対する反応/国家維持のためにホロコーストの記憶を利用する/近代学問に内包されるレイシズム 藤原辰史「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題はなぜ軽視されてきたか」 ナチズム研究者はナチズムと向き合いきれていない/ドイツとイスラエルをつなぐ「賠償」 /ふたつの歴史家論争/誰のための「記憶文化」か/ドイツは過去を克服した優等生なのか?/「アウシュヴィッツは唯一無二の悪だ」/奴隷制は終わっていない/経済の問題、労働の問題としてのナチズム Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える 小山哲「ある書店店主の話――ウクライナとパレスチナの歴史をつなぐもの」 ふたつの戦争のつながり/長い尺度で問題を捉える/ポーランド書店 E. ノイシュタイン/ウクライナ-ポーランド-イスラエルを結ぶ生涯/イスラエルをリードした東ヨーロッパ出身者/「国家なき民族」の国歌/シオニズム運動はドレフュス事件より前にはじまっていた/民族運動の母体となった地域/移住して国家を建設するという発想/日本も「外部」ではない/「敵は制度、味方はすべての人間」 藤原辰史「食と農を通じた暴力――ドイツ、ロシア、そしてイスラエルを事例に」 私たちの食卓の延長にある暴力/投機マネーがもたらす飢餓/プーチンの農業政策は外交の武器/ウクライナの穀物を狙う米中/国際穀物都市オデーサ/飢餓計画を主導したヘルベルト・バッケ/ホロコーストの影に隠れる「入植と飢餓」/飢えてはならない人と、飢えてもいい人/イスラエルの食と水を通じた暴力/飢餓とは「低関心」による暴力 Ⅲ 鼎談 『本当の意味での世界史』を学ぶために 今の世界史は地域史の寄せ集め/「西」とはなんなのか?/ナチズムは近代西洋的価値観の結晶/「食を通じたイスラエルの暴力」に目が向かなかった反省/私たちの生活が奴隷制に支えられている/日本史、西洋史、東洋史という区分は帝国時代のもの/西洋史でパレスチナ研究をしたっていいはずなのに/ポーランドのマダガスカル計画/民族の悲哀を背負ったポーランドは、大国主義でもあった/イスラエル問題ではなく「パレスチナ問題」/イスラエルの暴力の起源は東欧に?/今のイスラエルのやり方は異常/押してはいけないボタン/核の時代の世界史/「反ユダヤ主義」という訳の誤り おわりに(小山哲) 本書成立の経緯(藤原辰史) Author 岡 真理 Mari Oka 1960年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。主な著書に『ガザとは何か』『記憶/物語』『彼女の「正しい」名前とは何か』『棗椰子の木陰で』『アラブ、祈りとしての文学』『ガザに地下鉄が走る日』。 小山 哲 Satoshi Koyama 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。 藤原 辰史 Tatsushi Fujihara 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年『ナチス・ドイツの有機農業』で日本ドイツ学会奨励賞、2013年『ナチスのキッチン』で河合隼雄学芸賞、2019年日本学術振興会賞、同年『給食の歴史』で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』でサントリー学芸賞を受賞。『カブラの冬』『稲の大東亜共栄圏』『食べること考えること』『トラクターの世界史』『食べるとはどういうことか』ほか著書多数。
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中学生から知りたいウクライナのこと
¥1,760
SOLD OUT
生きることの歴史、生きのびるための道。 黒土地帯、第二次ポーランド分割、コサック……。地理や世界史の教科書にも載っているこうした言葉に血を通わせる。「ウクライナを知る」第一歩はここからはじまる。二人の歴史学者が意を決しておこなった講義・対談を完全再現。緊急発刊。 「小国を見過ごすことのない」歴史の学び方を、今こそ! ・ロシアが絶対に許されない理由…? ・西側諸国、日本が犯してきた罪…? ・「プーチンが悪い」という個人還元主義では、負の連鎖は止まらない…? [ MSLive! BOOKSとは? ] ミシマ社が2020年5月にスタートしたオンラインイベント、「MSLive!」。 「MSLive! BOOKS」は、オンラインイベントのライブ感をそのまま詰め込んだ書籍シリーズです。イベントに参加くださった方々から、イベントの内容を活字化したものを販売してほしいというリクエストをたくさんいただき、実現することになりました。 [出版社より] 著 者|小山哲・藤原辰史 出版社|ミシマ社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|208 ISBN|9784909394712 発 行|2022年06月 Contents はじめに Ⅰ ウクライナの人びとに連帯する声明(自由と平和のための京大有志の会) Ⅱ ウクライナ侵攻について(藤原辰史) Ⅲ 講義 歴史学者と学ぶウクライナのこと 地域としてのウクライナの歴史(小山哲) 小国を見過ごすことのない歴史の学び方(藤原辰史) Ⅳ 対談 歴史学者と学ぶウクライナのこと(小山哲・藤原辰史) Ⅴ 中学生から知りたいウクライナのこと 今こそ構造的暴力を考える(藤原辰史) ウクライナの歴史をもっと知るための読書案内(小山哲) おわりに Author 小山 哲 Satoshi Koyama 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。 藤原 辰史 Tatsushi Fujihara 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年『ナチス・ドイツの有機農業』で日本ドイツ学会奨励賞、2013年『ナチスのキッチン』で河合隼雄学芸賞、2019年日本学術振興会賞、同年『給食の歴史』で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』でサントリー学芸賞を受賞。『カブラの冬』『稲の大東亜共栄圏』『食べること考えること』『トラクターの世界史』『食べるとはどういうことか』ほか著書多数。
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課税と脱税の経済史——古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論
¥4,950
本書でとりあげるのは数千年の期間に生まれた物語の数々である。シュメールの粘土板、カリグラ帝の奇抜な税制から、パナマ文書で暴露された狡猾な租税回避や、ブロックチェーン技術で可能になる税務の仕組みまで。……とはいえ、この本は税金の歴史をまとめた歴史書ではないし、税金の原則を教える入門書でもない。その両方の要素を少しずつ持っている。 税金の原則がわかれば、税金の歴史をとらえるのに役立つ。……一方、税金の歴史がわかれば、税金の原則を解き明かすのに役立つ。…税を立案し、導入するときに取り組むべき問題(公平性、帰着分析、効率性、最適課税などなど)は、基本的に昔もいまも変わらない。 この本の核心をなす基本的なポイントは、税制のよしあしを定める原則の多くがどの時代にも見てとれるということである。それらの原則に目を向ければ、過去を知り、テクノロジーの発展とともに変わりゆく未来のために賢い選択を行なうのに役に立つ。 ——「はしがき」より [出版社より] 「博識にして、ゴキゲンな租税史だ…。税金は払うより、読んだほうがずっと楽しい…。税理士にぜひ確認してほしい――この本は控除対象かもしれない」 ——ダニエル・アクスト[『ウォールストリート・ジャーナル』] 「これ以上タイムリーで、愉快な歴史は想像できない」 ——バリー・アイケングリーン[カリフォルニア大学バークレー校教授] 原 書|REBELLION, RASCALS, AND REVENUE: Tax Follies and Wisdom through the Ages 著 者|マイケル・キーン、ジョエル・スレムロッド 訳 者|中島由華 出版社|みすず書房 定 価|4,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|648 ISBN|978-4-622-09755-6 発 行|2025年01月 Contents はしがき/謝辞 第I部 強奪と権力 1 すべての公共のことがら ベンガルからボストンへ かつてなかったほどの不名誉 ボリビアが内陸国である理由 天界の光に税金をかける 何もかもが税金のせいではない。しかし…… 2 われわれが来た道 駆け足でたどる税金の長い歴史 いくら? 戦争と福祉 バベッジの悪夢 債務、債務不履行、そして君主たち お金をつくる 3 別の名前で エリザベス一世から周波数オークションまで 主権の売却 低賃金労働 無賃金労働 金持ちの戦争を貧乏人が戦う 自分の役割を果たす (封建的な)税を納める 一線を超える さらにもう少し ツテを頼る 愚行税 第II部 勝者と敗者 4 まずまずの公平性 串刺し刑 人頭税とイングランド人 崇高な目的 公平性の追求 払っただけの見返りを得られる? 納められるだけの額を納める? サインを示せ 階級別の課税 コミュニティ別の課税 ぜいたく品に対する課税 経済状況の推定 5 財政の強大な動力源 巨人の仕事――イギリスの所得税 ドレッド・スコット判決 激情犯罪とフランスの所得税 古い恐怖と新しい方向 6 誰でも平等に扱われるわけではない 女性らしさに対する課税 特殊な制度 改宗 部外者 見知らぬ土地の見知らぬ人 懲罰としての課税 難しい選択 7 留まるか、移り変わるか 誤ったスタート 他人の知見を盗みとる 忘れてはならないこと 君、10セントの20分の1を都合してくれないか? ものごとは見た目どおりとはかぎらない ワーキングプア(あるいは、彼らの雇用者)に助けの手を差しのべる 非課税の地方債は抜け目のないリッチへの贈呈品か? 法人税の帰着は闇のなか 全体像をとらえる 第III部 行動を変える 8 悪い行ないを改める 正しいことをせよ 家族の問題 知識に対する課税 よい事柄よりも、よくない事柄に課税せよ 地球を救う 牛のおなら、怖い犬、かわいい猫 罪の報い 悪習 飲酒階級にとって忌まわしいもの セックス ドラッグ だがロックンロールは別 不健康な生活 ノーというだけ? 9 巻き添え被害 創意工夫の後押し 奇妙なもの 線を引く 超過負担 煙のないところに火はない 超過負担を知るために 10 ガチョウの羽根のむしり方 聖杯を探して 戦時利得者と法人税を再考する 土地をくれ、広い土地を 富の強制徴収 ダメージの制限 イギリス一の才人 課税ベースを広げ、税率を下げよ(まあ、そうしなくてもいい) 税制の形成 どれだけの羽根を? 11 世界市民 ライスプディングをつかまえる 税金という嵐からの避難 金持ちはわれわれとは違う すでに転居済み 他言しない 虚偽の利益 「私があなたなら、ここはやめておく」 武器(レングス)よさらば? 税を転がす 第IV部 税金はひとりでに集まらない 12 串刺しヴラドと穏便な徴税方法 隙間に注意 いろいろな脱税犯 既知の未知 ムチをたっぷり――アメをちょっぴり まず金をとる 大企業は税務署の友…… ……そして、小規模事業者は税務署の悪夢である 情報が支配する 信頼せよ、しかし確認せよ 納税者も人である 主義のための(公然の)脱税 正直さを政策にする 13 誰かがやらなければならない いろいろな徴税人 誰が集める? 徴税請負制度(および徴税請負人)の隆盛と終焉 キックバック──合法と非合法 税の独立 収税業務の民営化 税務機関の規模は? 税務のテクノロジー 第V部 税をつくる 14 税の喜び 財務大臣の夢 野獣を飢えさせる コヴェントリーからKストリートまで ロビー活動の赤裸々な真実 バター(と税額が同じ)ではないとは信じられない 課税によるチェーン店虐殺 ひとりの免税 課税してはならない──イギリスにおける食料品非課税の400年 政府のゲーム 見えなくする 名前の意味? しまった! まずまずの成功といえる税政策 グッチ峡谷などから得られる教訓 VATの隆盛(と増税) 15 来るべき世界の形 ナブーとユートピアの税制 税金の知恵の柱 納税者の反乱の理由が税金とはかぎらない 言葉に気をつける 昼食代を払うのはあなたかもしれない ともあれ、課税の公平性は達成しがたい 課税とはよい代理指標を見つけることだ 租税回避と脱税に発揮される創造性 課税の最大のコストは目に見えないかもしれない 税はたんなる資金調達ではない 人は怖いから税金を払う 国家主権としての課税権は過去の遺物になりつつある スローガンに注意 未来とその先 厳しい時代 素晴らしき新世界 彼らはわれわれをどう思うか 索引/原注/参考文献/図版クレジット Author マイケル・キーン Michael Keen 東京大学の東京カレッジ潮田フェロー。元国際通貨基金(IMF)財政局次長。IMFにおいては20年以上にわたり、税制についての政策と助言の作成・実施を主導した。世界各地の財務省に助言し、40カ国以上を訪問、さらにはG20やIMF理事会のために重要文書を執筆。米国国税協会から長年の貢献に対してダニエル・M・ホランド・メダルを授与されているほか、国際財政学会の会長を務めた。著書(共著)Taxing Profit in a Global Economy (Oxford University Press, 2020) ほか。 ジョエル・スレムロッド Joel Slemrod ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネスのビジネス経済学および公共政策教授、および同大経済学部教授。ロス・スクール・オブ・ビジネスの税制研究室長も務める。米国国税協会から長年の貢献に対してダニエル・M・ホランド・メダルを授与されているほか、国際財政学会の会長を務めた。著書(共著)Taxing Ourselves: A Citizen’s Guide to the Great Debate Over Tax Reform (5th ed., The MIT Press, 2017) ほか。 Translator 中島 由華 Yuka Nakajima 翻訳家。訳書 メリマン『亡命トンネル29――ベルリンの壁をくぐり抜けた者たち』(2022)ヘイガン『『ローリング・ストーン』の時代――サブカルチャー帝国をつくった男』(2021)フリスビー『税金の世界史』(以上、河出書房新社、2021)ほか。
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痛み、人間のすべてにつながる——新しい疼痛の科学を知る12章
¥3,520
「痛み」の本質の理解はここ十数年で大きく変わった。17世紀のデカルト以来、「痛みの経路」で多くを説明しようとする古いパラダイムが浸透していたが、最近は脳神経科学と認知心理学を組み合わせた巧みな実験の数々によって知見が深まり、痛みに対処するためのさまざまな実践的アプローチが視野に入ってきた。 痛みは脳でつくられるが、その存在は脳の中だけに閉じてはいない。脳・身体・痛みの関係の本質が新たな常識になれば、より多くの苦痛を軽減することにつながる。本書が啓蒙するのは神経科学以上にそうした本質の認識であり、読み終わるとたしかに、「痛み」と自分の関係が変わっている。 本書では痛みのきわめて多様な側面が取り上げられる。持続性の痛みに対処するために必要なのは、全体論的アプローチだからだ。痛がる脳の最新科学、情動や共感の役割、痛みの社会性、「無痛」の研究、鎮痛薬以外の対処法の展開(認知行動療法から編み物セラピーまで!)……すべての章が、痛みについての新しい理解の扉を開いてくれる。 痛みはあなたを保護する仕組みであり、当事者が痛みに対して主導権を握ることで、痛がる脳はダイナミックに変えられる。読者に手渡されるのは、この知識の力だ。 ——謝辞より [出版社より] 原 書|The Painful Truth: The New Science of why We Hurt and how We Can Heal 著 者|モンティ・ライマン 訳 者|塩崎香織 出版社|みすず書房 定 価|3,200円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|336 ISBN|978-4-622-09738-9 発 行|2024年11月 Contents 本書を読んでいただく前に プロローグ 1 身体の防衛省 ──そもそも痛みとは何か 2 無痛の五人組 ──痛みを感じないとはどういうことか 3 こっちを向いてよ ──注意をそらすことと想像の力 4 期待の効果 ──プラセボ、知覚、そして予測 5 痛みの意味 ──情動と心理の力 6 痛みなければ益もなし ──苦痛と快楽、そして目的 7 誰かの「痛い」を知覚する ──痛みが伝染する理由 8 心をひとつに ──社会的な痛み 9 信じることで救われる ──信念と枠組み[フレーム] 10 静かなるパンデミック ──持続痛クライシス 11 暴走する脳 ──痛みはなぜ残るか 12 痛みの革命[ペインレボリューション] ──持続痛をめぐる新たな希望 謝辞 推薦の辞──本質の理解と、包括的な疼痛医療のために(愛知医科大学 牛田享宏) 用語集 参考文献 索引 Author モンティ・ライマン Monty Lyman 皮膚科医。オックスフォード大学医学部リサーチ・フェロー。オックスフォード大学、バーミンガム大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンに学ぶ。タンザニアの皮膚病調査についてのレポートで2017年にWilfred Thesiger Travel Writing Awardを受賞。デビュー作The Remarkable Life of the Skin: An Intimate Journey Across Our Surface(Bantam Press, 2019)〔塩﨑香織訳『皮膚、人間のすべてを語る』みすず書房、2022〕は英国王立協会科学図書賞の最終候補作になるなど高い評価を得ている。第二作である本書の原書The Painful Truth: The New Science of Why We Hurt and How We Can Heal(Bantam Press, 2021)の元になったエッセイは英国王立医学協会により疼痛エッセイ賞に選ばれた。ほかの著書にThe Immune Mind: The New Science of Health(Penguin Random House, 2024)がある。オックスフォード在住。 Translator 塩崎 香織 Kaori Shiozaki 翻訳者。オランダ語からの翻訳・通訳を中心に活動。英日翻訳も手掛ける。訳書に、ピーター・ゴドフリー=スミス『メタゾアの心身問題』(みすず書房、2023)、モンティ・ライマン『皮膚、人間のすべてを語る』(みすず書房、2022)、スクッテン/オーベレンドルフ『ふしぎの森のふしぎ』(川上紳一監修、化学同人、2022)、『アウシュヴィッツで君を想う』(早川書房、2021)、アンジェリーク・ファン・オムベルヘンほか『世界一ゆかいな脳科学講義』(河出書房新社、2020)、ほか。
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ルポ国威発揚——「再プロパガンダ化」する世界を歩く
¥2,640
何がわれわれを煽情するのか——? 北海道から沖縄までの日本各地、さらにアメリカ、インド、ドイツ、フィリピンなど各国に足を運び、徹底取材。歴史や文化が武器となり、記念碑や博物館が戦場となる――SNS時代の「新しい愛国」の正体に気鋭が迫る。 [出版社より] 著 者|辻田真佐憲 出版社|中央公論新社 定 価|2,400円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|400 ISBN|978-4-12-005861-5 発 行|2024年12月 Contents 【第一部】個人崇拝の最前線 1章 トランプの本拠地に潜入する 米国/トランプタワー 2章 親日台湾の新たな「聖地」 台湾/紅毛港保安堂 3章 安倍晋三は神となった 長野/安倍神像神社 4章 世界一の巨像を求めて インド/統一の像 5章 忘れられた連合艦隊司令長官 佐賀/陶山神社 6章 「大逆」の汚名は消えない 山口/向山文庫 【第二部】「われわれ」の系譜学 7章 わが故郷の靖国神社 大阪/伴林氏神社 8章 消費される軍神たち 大分/広瀬神社 9章 自衛隊資料館の苦悩 福岡/久留米駐屯地広報資料館 10章 「日の丸校長」の神武天皇像 高知/旧繁藤小学校 11章 旧皇居に泊まりに行く 奈良/HOTEL賀名生旧皇居 12章 「ナチス聖杯城」の真実 ドイツ/ヴェーヴェルスブルク城 13章 感動を呼び起こす星条旗 米国/マクヘンリー砦 【第三部】燃え上がる国境地帯 14章 祖国は敵を求めた ドイツ/ニーダーヴァルト記念碑 15章 「保守の島」の運転手たち 沖縄/尖閣神社 16章 観光資源としての北方領土 北海道/根室市役所 17章 「歴史戦」の最前線へ 長崎/軍艦島 他 18章 差別的煽情の果てに 京都府/靖国寺 19章 竹島より熱心な「島内紛争」 島根県/隠岐諸島 20章 エンタメ化する国境 インド/ワガ国境、中国/丹東 【第四部】記念碑という戦場 21章 もうひとつの「八紘一宇の塔」 兵庫/緑の塔 22章 東の靖国、西の護国塔 静岡/可睡齋 23章 よみがえった「一億の号泣」碑 岩手/鳥谷崎神社 他 24章 隠された郷土の偉人たち 秋田/秋田県民歌碑 25章 コンクリートの軍人群像 愛知/中之院 26章 ムッソリーニの生家を訪ねて イタリア/プレダッピオ 27章 記念碑は呼吸している ベトナム/マケイン撃墜記念碑 28章 けっして忘れたわけではない フィリピン/メモラーレ・マニラ1945 【第五部】熱狂と利害の狭間 29章 戦時下の温泉報国をたどる 奈良/湯泉地温泉 他 30章 発泡スチロール製の神武天皇像 岡山/高島行宮遺阯碑 31章 軍隊を求める地方の声 新潟/白壁兵舎記念館 32章 コスプレ乃木大将の軍事博物館 栃木/戦争博物館 33章 「救国おかきや」の本物志向 兵庫/皇三重塔 34章 右翼民族派を駆り立てる歌 岐阜/青年日本の歌史料館 35章 郷土史家と「萌えミリ」の威力 熊本/高木惣吉記念館 Author 辻田 真佐憲 Masanori Tsujita 1984年、大阪府生まれ。評論家・近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。政治と文化芸術の関係を主なテーマに、著述、調査、評論、レビュー、インタビューなどを幅広く手がけている。単著に『「戦前」の正体』(講談社現代新書)、『防衛省の研究』(朝日新書)、『超空気支配社会』(文春新書)、『大本営発表』(幻冬舎新書)、共著に『教養としての歴史問題』(東洋経済新報社)、『新プロパガンダ論』(ゲンロン)、監修書に『満洲帝国ビジュアル大全』(洋泉社)、共編書に『文藝春秋が見た戦争と日本人』(文藝春秋)などがある。
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エドワード・サイード ある批評家の残響
¥1,870
エドワード・サイード没後20年。 文学、音楽、パレスチナ問題など分野横断的に論じた批評家、エドワード・サイード。ポストコロニアル批評の先駆者として『オリエンタリズム』などの著作を残した。イスラエルによるガザへの軍事攻撃が激化。いまサイードの著作が読みなおされている。彼にとって、批評とはどのような営為だったのか? 没後20年をむかえた今、その思考の軌跡をたどりつつ、現代社会における批評の意義を問う。 エドワード・サイード Said Edward 1935年、エルサレム生まれ。幼少期をカイロで過ごす。ハーヴァード大学で博士号を取得。その後、コロンビア大学で比較文学を教えつつ、パレスチナ解放運動にかかわる。主著『オリエンタリズム』は、人文学の学問領域の再編をうながす画期的な著作。2003年、ニューヨークで逝去、2023年に没後20年を迎えた。 [出版社より] 「絶望的とも思える状況にどう言葉で抗するか。サイードのテクストと粘り強く向き合う本書に、言葉による抵抗の一つの実践を見る」 ——三牧聖子[国際政治学者] 著 者|中井亜佐子 出版社|書肆侃侃房 定 価|1,700円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|208 ISBN|978-4-86385-612-7 発 行|2024年01月 Contents 序章 批評家を批評する テクストは世界のなかにある エドワード・サイードを語る 批評とは何か 批評家の残響を聴く 第1章 ある批評家の残響 声を装うテクスト 批評の限界? コンラッドを聴く 近代の不協和音 友だちにはなれない 第2章 理論は旅をする フレンチ・セオリー? 『はじまり』にフーコーもいた オリエンタリズムの空間 廃墟の批評理論 第3章 文化と社会 批評家と共同体 旅するレイモンド・ウィリアムズ 意図をとりもどす 批評意識は理論に抗う アカデミアからパレスチナへ 終章 人文学に“新しさ”は可能か 永遠に新しくあれ 言葉への愛 追記―希望は棄てない Author 中井 亜佐子 Asako Nakai 1966年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科教授。専門は英文学。オクスフォード大学博士課程修了(D.Phil.)。著書に、『日常の読書学――ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』を読む』(小鳥遊書房、2023年)、『〈わたしたち〉の到来――英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』(月曜社、2020年)、『他者の自伝――ポストコロニアル文学を読む』(研究社、2007年)など。翻訳に、ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃』(みすず書房、2017年)など。
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キーウで見たロシア・ウクライナ戦争
¥1,320
SOLD OUT
ウクライナ在住16年の記者が語る「戦争のある日常」。 ロシア・ウクライナ戦争に関して、戦局の展望やロシア軍の残虐行為、軍事支援、和平問題といった多くの人の関心事については多様な報道や論考が発表されてきた。しかし、その議論の狭間に、注目されない事実がある。ウクライナ国民が戦争下でどのように生活し、何を感じているかである。 そんな「戦争のある日常」について、2008年から現地に暮らすウクライナ国営通信日本版の編集者が包み隠さず語ったのが本書である。空襲、物資、娯楽、徴兵、復興……過大評価でも過小評価でもない、生活の中にある等身大の戦争を知り、考えるための必読書。 [出版社より] 著 者|平野高志 出版社|講談社 発 行|星海社[星海社新書] 定 価|1,200円+税 判 型|新書判・並製 頁 数|192 ISBN|978-4-06-537679-9 発 行|2024年11月 Contents 第1章 戦時下の生活 食糧や水、電気やガスは足りていますか? 生活用品で特に不足しているものはありませんか? 外国製品はどれくらい流通していますか? ロシアの全面侵攻前後、学校や会社、役所やお店の様子はどうでしたか? ほか 第2章 ウクライナで考えるロシアの全面侵略戦争 ウクライナの人が考える「戦争の終わり」とは何ですか? 日本では核使用の脅威が強調されますが、ウクライナの最大の懸念事項も核戦争ですか? キーウがほぼ元の日常を取り戻したタイミングはいつですか? キーウと他地域で、ウクライナ国内でも温度感の違いはありますか? ほか 第3章 戦時下エッセイ ウクライナの友人たちと戦争 戦時下ウクライナにおける日本 Author 平野 高志 Takashi Hirano ウクライナ国営通信『ウクルインフォルム』日本語版編集者。鳥取県出身。2004年、東京外国語大学外国語学部ロシア・東欧課程ロシア語専攻卒業。2013年、リヴィウ国立大学修士課程修了(国際関係学)。2014年から在ウクライナ日本国大使館専門調査員、2018年よりウクルインフォルム通信日本語版編集者。ウクライナのキーウ在住。著書に『ウクライナ・ファンブック』(パブリブ、2020年)、監修書に『美しきウクライナ 愛しき人々・うるわしの文化・大いなる自然』(日経ナショナルジオグラフィック、2023年)がある。