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エリザヴェータ・バーム/気狂い狼 オベリウ・アンソロジー
¥3,300
ダニイル・ハルムスの原点、伝説のグループ「オベリウ」の全貌がついに明らかになる──。 100年前、無名の若者たちによって結成された「オベリウ」(ОБЭРИУ)は、20世紀前半のロシアにおける文学的実験の極致をきわめた。ダニイル・ハルムスの「エリザヴェータ・バーム」「出来事」新訳、これまで未邦訳だったニコライ・ザボロツキー「気狂い狼」、コンスタンチン・ヴァーギノフ「スヴィストーノフの仕事と日々」、レオニード・リパフスキー「水論」など、この伝説のグループ周辺12名の代表作を網羅した世界初のアンソロジー。 「本書に訳出するのは、「オベリウ」と「チナリ」に縁の深い者たちの作品である。どちらのグループにも所属したハルムスとヴヴェジェンスキーは、その反伝統的な作風がロシア国内外で比較的早くから注目され、著作集や全集が刊行されてきた。しかしふたり以外の作品は、ザボロツキーを除き紹介が遅れた。 「オベリウ」アンソロジーは、すでに1991年にロシアで、2006年にアメリカで刊行されているが、どちらも「オベリウ」のメンバー(オベリウ派)を網羅しているわけではなく、必ずしも代表作を採っているわけでもない。そこで本書には、レーヴィンやウラジーミロフといった、ロシアでさえほとんど知られていないマイナーなオベリウ派に、「チナリ」のメンバーも加え、それぞれの代表作をなるべく多く収録した。したがって、現時点では本書が世界で最も包括的な「オベリウ」アンソロジーといってよい」——「はじめに」より オベリウとは? 20世紀前半のロシアにおいて、「ロシア・アヴァンギャルド」と後に称される前衛芸術運動が興隆する。その寿命は短かったが、落日の間際、未来をも貫く鋭い光芒を放つ。それが「オベリウ」である。 1927年に若者たちの手で結成されたこのグループは、「反革命的」と批判され数年で瓦解するものの、メンバー(オベリウ派)は創作をつづけ、ロシア文学史上きわめてユニークな作品を残した。また一部のオベリウ派は「チナリ」にも属していた。これは「オベリウ」と異なり閉じられたグループで、仲間たちは頻繁に集まりさまざまなテーマについて話し合った。そこでの会話がしばしば創作のヒントになっている。 「オベリウ」も「チナリ」も長く忘却されていたが、20世紀後半から、ロシア文学史におけるミッシング・リンクとして世界的な注目を集めだす。両グループのメンバー全12人の創作を1冊に纏めた本書によって、その全貌がいま初めて一望のもとに置かれる。 [出版社より] 「オベリウ派――彼らはそう名乗っている。この言葉は、リアルな芸術の結社のことだと理解されている。この嘘くさい大仰な名前は、レニングラードのちっぽけな詩人グループが勝手に詐称しているものである。連中はほんの僅かだ。片手で指折り数えることができる。その創作ときたら……」——オベリウに対する批判記事「反動的曲芸」より 著 者|ダニイル・ハルムス、アレクサンドル・ヴヴェジェンスキー、ニコライ・ザボロツキーほか 編訳者|小澤裕之 出版社|書肆侃侃房 定 価|3,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|496 ISBN|978-4-86385-681-3 発 行|2025年09月 Contents はじめに 「オベリウ」とは何か━━人と成り立ち 「オベリウ」と「チナリ」略年譜 Ⅰ オベリウ ダニイル・ハルムス 出来事 エリザヴェータ・バーム ヴヴェジェンスキーへ ザボロツキーを訪ねて オレイニコフへ 〈リパフスキーが苦しみだしたのは……〉 どのように使者が私のもとを訪れたか 男が家を出ました ばあさん アレクサンドル・ヴヴェジェンスキー 〈三七〇人のこどもたち〉 はる こもりうた イワーノフ家のクリスマス ニコライ・ザボロツキー 気狂い狼 運動 不死 さらば友よ みにくい女の子 コンスタンチン・ヴァーギノフ スヴィストーノフの仕事と日々(抄) イーゴリ・バーフチェレフ 取るに足らない隣人のたとえ 「曲がった胃」での出来事 冬の散歩 ドイヴベル・レーヴィン ドゥームコプフ氏、空を飛ぶ ユーリイ・ウラジーミロフ 変な人たち スポーツマン アレクサンドル・ラズモフスキー 追憶のハルムス クリメンチー・ミンツ オベリウ派(抄) オベリウ宣言 Ⅱ チナリ ニコライ・オレイニコフ 発明家に誉れあれ チャールズ・ダーウィン ハエ ゴキブリ 〈ごく頑丈なガラス越しに……〉 ノミの師範 レオニード・リパフスキー 〈太陽が異国に沈んだ〉 水論 ヤコフ・ドゥルースキン 窓 補遺 〈どのように使者が私のもとを去ったか〉 夢 チナリ 訳者解説━━十二人の「変な人たち」 訳者あとがき 底本一覧 Author ダニイル・ハルムス(Даниил Хармс) 詩人・作家・劇作家。ペテルブルク生まれ。27年には詩人仲間と共に前衛的な芸術家グループ「オベリウ」を結成。30年代は主に児童文学の分野で活躍。スターリン政権下で弾圧に遭い、41年に逮捕。翌42年に監獄病院で餓死した。代表作に『エリザヴェータ・バーム』『出来事』『ばあさん』など。 アレクサンドル・ヴヴェジェンスキー(Александр Введенский) 詩人・劇作家。31年に逮捕、翌年釈放されるが、流刑地を転々としたのちレニングラードに帰還。36年にハリコフへ移住。41年に再び逮捕、カザンへ移送される途中に肋膜炎で死去。代表作に『イワーノフ家のクリスマス』『灰色ノート』『挽歌』など。 ニコライ・ザボロツキー(Николай Заболоцкий) 詩人・翻訳家。ハルムスやヴヴェジェンスキーたちと共に「オベリウ」立ち上げに参加。「オベリウ宣言」の主要部分を執筆する。代表作に『気狂い狼』『農業の勝利』など。 コンスタンチン・ヴァーギノフ(Константин Вагинов) 詩人・作家。21年に「島民」グループを結成。その作品集において初めて詩が活字となる。20年代末から4つの長篇小説を次々と執筆。創作意欲は旺盛だったが、34年に結核で死去。代表作に『山羊の歌』『スヴィストーノフの仕事と日々』など。 イーゴリ・バーフチェレフ(Игорь Бахтерев) 詩人・作家・劇作家。詩の夕べでハルムスに出会う。26年、仲間と共に演劇グループ「ラジクス」を結成。やがて解散するが、このグループが母体のひとつとなり、27年に「オベリウ」が誕生。代表作に、ザボロツキーを始めとするオベリウ派の回顧録『私たちの若かった頃』、戯曲『冬の散歩』など。 ドイヴベル・レーヴィン(Дойвбер Левин) 作家・脚本家。27年、「オベリウ」立ち上げに参加。「左翼の三時間」のパフォーマンスを考え、戯曲『エリザヴェータ・バーム』の演出をハルムスおよびバーフチェレフと共に担当した。代表作に長篇小説『十車両』『リホヴォ』など。 ユーリイ・ウラジーミロフ(Юрий Владимиров) 詩人・作家。創作は全部で10篇程しか現存せず、本書収録の『スポーツマン』は唯一の大人向け作品。 アレクサンドル・ラズモフスキー(Александр Разумовский) 作家・劇作家・脚本家・映画評論家。「オベリウ」時代の友人バーフチェレフと共同で多くの作品を執筆したことでも知られ、とりわけ戯曲『スヴォーロフ元帥』は大成功を収めた。 クリメンチー・ミンツ(Климентий Минц) 映画監督・脚本家。国立芸術史研究所附属芸術学高等コース映画科でラズモフスキーと出会い、27年、共に「オベリウ」に加入。脚本や監督を務めたコメディ映画は大成功を収めた。代表作に、映画『虎使いの女』、ラジオ番組『有名船長クラブ』など。 ニコライ・オレイニコフ(Николай Олейников) 詩人・作家・編集者。25年からレニングラードの国立出版局児童書部門にて、マルシャークやシュワルツと共に編集者・作家として働く。編集を務めた児童雑誌『ハリネズミ』と『マヒワ』には「オベリウ」のメンバーも寄稿し、親しく交遊した。しかし37年に逮捕、銃殺される。代表作に『ゴキブリ』『ハエ』。 レオニード・リパフスキー(Леонид Липавский) 哲学者・児童文学作家。20年代から30年代にかけ、「チナリ」のメンバーたちを自宅に集め親しく交遊。41年にレニングラードの港湾都市ペテルゴフにて戦死。代表作に『水論』『恐怖の研究』『言葉の理論』。 ヤコフ・ドゥルースキン(Яков Друскин) 哲学者・数学者・音楽研究家。独ソ戦が始まりレニングラードが封鎖されると、ハルムスの妻から夫の原稿の入ったトランクを託される。20年にわたりそのトランクを大切に保管しつづけたが、ハルムスの死が明らかになると、原稿を地下出版で広めはじめる。代表作にエッセイ『チナリ』、ヴヴェジェンスキー論『無意味の星』など。 Translator 小澤裕之 Hiroyuki Ozawa 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学ほか非常勤講師。専門はロシア文学。著書に『理知のむこう――ダニイル・ハルムスの手法と詩学』(未知谷)、訳書にダニイル・ハルムス『言語機械――ハルムス選集』(未知谷)、サムイル・マルシャーク『森は生きている~12の月のおとぎ話~』(小学館)、最近の論文に「ゴーゴリ「査察官」の忘れられた初邦訳:底本・文体・受容」(『ロシア語ロシア文学研究』56号)がある。
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Tシャツの日本史
¥2,200
裾さばきの歴史的変遷から、日本の若者を覆う同調圧力の謎を解く。 古来、Tシャツはずっと日本史の死角にあった。日本の若者たちは、まわりの友達と同じようにTシャツの裾をさばかないと「みっともない」「ださい」と言われ、笑われてしまう世界に生きてきた。 しかし、未だかつてインとアウトの変遷や構造を説明する者はいなかった。だから考えたいのだ。この呪いを解く方法を。Tシャツの日本史を書くこと。それは日本で発生した同調圧力の遍歴を書き留めることだ――。 [出版社より] 著 者|高畑鍬名 出版社|中央公論新社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|256 ISBN|9784120059407 発 行|2025年08月 Contents 序章 ぼくらがTシャツで旅に出る理由 第1章 誕生 1868‐1955 第2章 思春期 1956‐1979 第3章 失踪 1980‐1988 第4章 反抗期 1989‐2004 第5章 黒歴史 2005‐2010 第6章 輪廻転生 2011‐2024 終章 2075年のナード・ファッション 2025‐2075 Author 高畑鍬名 Quanah Takahata 1984年東京都生まれ。2004年、映画『紀子の食卓』に衣装助手として参加。12年、監督作『もしかしたらバイバイ!』が国内外の映画祭に入選(滝野弘仁との共同監督)。14年、早稲田大学大学院文学研究科の表象・メディア論コース修了
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自炊者になるための26週
¥2,178
さっと買って、さっと作って、この上なく幸福になれる。 「トーストを焼くだけ」からはじまる、日々の小さな創造行為。 “面倒”をこえて「料理したくなる」には、どうしたらいいでしょう。 “ほぼ毎日キッチンに立つ”映画研究者が、その手立てを具体的に語ります。 大方針は、「風味の魅力」にみちびかれること。 「風味」=味+におい。自由に軽やかに、においを食べて世界と触れ合う。そのよろこびで料理したくなる。人間のにおい解像度は犬並み? 最新の科学研究だけでなく、哲学、文学、映像論の重要テクストを手がかりに、知られざる風味の秘密に迫ります。 目標は、素材から出発して、ささっとおいしいひと皿が作れるようになること。 1週に1章、その週の課題をクリアしていけば、26週=半年で、だれでも、すすんで自炊をする人=自炊者になれる、がコンセプト。 蒸す、煮る、焼く、揚げる「だけ」のシンプル料理から、「混ぜる」「組み合わせる」、さらに魚をおろして様々に活用するまでステップアップしていきます。日本酒とワインの新しいあり方、買い物や献立てに悩まないコツ、家事分担も考えます。 感覚を底上げする、「名曲」のようなレシピを40以上収録しています。 「ヤンソンの誘惑」「鶏肉とパプリカ」「山形のだし」「麦いかのフリット」等々、素朴だけど、素材と出会いなおすような感動のあるものばかり。古今東西の料理書を読みこんだ著者ならではのベストチョイスです。 より先へ進みたくなった人のための懇切丁寧なブックガイドつき。 [出版社より] 「”においを食べる” にしびれました。学者と詩人、生活者と小学生のやわらかな心を併せ持つ新料理家、ここに誕生」 ――高山なおみ 「知識は楽しみを与えず、楽しみは知識を与えない。このような知識と楽しみの分離こそが哲学の前提であった。だからこそ、知識を楽しむこと(フィロ・ソフィア)としての哲学(フィロ・ソフィア)がありえたのだ。しかし、本書が示すのは、知識を与える楽しみであり、楽しみを与える知識に他ならない! 知識と楽しみはこうして一体となる。これは人間がもちうる賢さについての書物だ!」 ――國分功一郎 著 者|三浦哲哉 出版社|朝日出版社 定 価|1,980円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|9784255013602 発 行|2023年12月 Contents 序 料理したくなる料理 1 においの際立ち おいしいトーストの焼き方/においの語源と「感覚順応」/バゲットを穏やかに加熱する/サワードゥを直火焼きする 2 においを食べる 米を炊く/人間の鼻もじつは犬並みにすごい説/味のちがいはにおいのちがい/ふるさとの米の風味さえも ――米を炊く(炊飯器の場合)/米を炊く(鍋の場合) 3 風味イメージ みそ汁を作る/風味は映像である/風味の分類――①風味インデックス/②風味パターン/③風味シンボル/においはへだたった時間を映す/自炊者=エアベンダー ――だしの取り方/みそ汁 4 セブンにもサイゼリヤにもない風味 ここから自炊するという線引き/セブンイレブンのおいしさ/サイゼリヤのおいしさ/規格品にはない風味の個体差とゆらぎ/青菜のお浸しは海のさざなみのように ――青菜のおひたし/一期一会のトマト・パスタ 5 基礎調味料 感動>面倒/基礎調味料の風味がベースになる/基礎調味料は費用対効果が高い/ノイズキャンセリング力を発揮する/しょうゆ選び/塩選び 6 買い物 何を買うか決められない問題/目利きはするな/専門店の先生たちの見つけ方/あなたが素材を選ぶのではなく、素材があなたを選ぶ 7 蒸す 蒸しものの準備/皮付き野菜を蒸して香りを楽しむ/魚の蒸しもの ――いろいろ野菜の蒸籠蒸し/蒸し野菜のべっこう餡かけ/バーニャカウダ/ひき肉ソース/たちうおの清蒸 8 焼く 肉の焼き目のにおいはどうしてたまらないのか/グラデーションをつけて焼く/ステーキ肉を焼く/フッ素樹脂加工か鉄か/焼き方は人となりを映す/オムレツの焼き方/「ひとり料理の喜び」 ――ステーキ 9 煮る シンプルでおいしい野菜のポタージュ/水に風味とうまみを移す/スープの塩分濃度は0・6%から/野菜のかたちを残すポタージュ/含め煮――調味だしは20:1:1から ――野菜のポタージュ(攪拌する)/野菜のポタージュ(かたちを残す)/調味だし/含め煮/ふきの含め煮/おひたし(アスパラガス、ズッキーニなど)/菊の花のおひたし 10 揚げる、切る 家であえて揚げものをする理由/バットが三つありますか?/春巻き/麦いかのフリット/包丁の使い方にどう慣れるか/作業の進行を直感的にイメージできるようになる ――牡蠣フライ/牡蠣の春巻き/麦いかのフリット 11 動線と片付け 片付けの意義/台所のうつくしさ/プライムスペース/揃えるべきキッチンツール/キッチンは風味の通路 12 カイロモン 風味は誘惑の信号である/カイロモンは他種を誘惑するにおい/変化それ自体がよろこび/F感覚とC感覚 ――おでん 13 日本酒 良質な食中酒は自炊を底上げする/アテ化によってシンプル料理が極上に/酒はパスポート/ベーシックな日本酒とは/先生を見つけ、入門用の酒を選ぶ/燗をつけてみる ――シンプルなアテいろいろ/お燗 14 ワイン 面倒ではないワイン/自炊のためのワイン保存システム/「自然な造りのワイン」とその歴史/インポーターで選ぶ/ワインの先生に学ぶ/ワインを買いにいきましょう 15 青魚 季節の魚の風味に触発されて/風味の喚起力は鮮度に比例する/あじといわしは最上の美味/キッチンに魚の通り道を作る/あじをさばいて食べる/青魚、絶対のふた品 ――あじのさばき方/あじのなめろう/しめさば 16 白身魚など 中型魚をさばく/フライパンでポワレにする/魚を長く多面的に味わい尽くす/生のまま魚を熟成する ――平造り、そぎ造り/白身魚のポワレ、ムニエル/ブールブランソース/焦がしバター(ブールノワゼット)/サルサヴェルデ/こんぶ締め/干物/あらのスープ/あらのだし汁で作るパエリア/白身魚の熟成 17 1+1 魚一種に野菜一種の即興料理を作ってみる/生魚のカルパッチョ+野菜/風味のモンタージュ/焼き魚+野菜/魚と野菜のスープ仕立て ――あじのカルパッチョ、ルッコラ添え/いわしの直火焼き、茹でたじゃがいも添え/フィッシュ・ベジタブル・スープ/牡蠣とぎんなんのスープ 18 混ぜる 百獣ごはん/ワンプレート・ランチ/混ぜる料理の伝統的な型/サラダうどんとそばは格別においしい ――ちらし寿司/サラダうどん、そば 19 春夏の定番レシピ 歌い継がれ愛されてきた民謡のような名レシピ/春/夏/ノー・シーズンの定番 ――あさりと豚肉のアレンテージョ風/生わかめとたけのこ/ふきのとうみそ/ラタトゥイユ/ガスパチョ/山形のだし/ピコデガヨ/生ハムとバターのバゲットサンド/干ししいたけとちりめんじゃこの炊き込みごはん 20 秋冬の定番レシピ 秋/冬/ノー・シーズンの定番 ――きのこの当座煮/きのこのにんにく炒め/ほうとう鍋/バジルペースト/さんまのわたソース/ヤンソンの誘惑/かぶと牡蠣のグラタン/焼きかぶのサラダ、かぶのソース/筑前煮/じゃがいもセロリ/鶏肉とパプリカ 21 乾物 乾物の魅力/家に常備するものリスト/塩して熟成する ――鞍掛豆のサラダ/トルティーヤ/塩もみ、浅漬け、かぶ酢/塩豚 22 発酵 発酵保存食品を自作する意味/日々の献立ての基本 ――白菜漬け/甘酒/かぶら寿司 23 うつわとスタイル なぜスタイリングによって料理はよりおいしくなるのか/練習問題/「ねばならぬ」ではなく/うつわの質感/雑多を許容する 24 ファーム・トゥ・テーブルとギアチェンジ ひとはいつから「素材を活かすべき」といい始めたのか/スローとファストのギアチェンジ/「群島としてある世界の肯定」/続・人間の鼻もじつは犬並みにすごい説/ハンバーガー ――ハンバーガー/クラフト・コーラ 25 索引と徴候 別の時空につながるにおい/索引がひらく過去、徴候が予感させる近未来/微分回路(徴候)と積分回路(索引)/風味の解像度とは/生活史を積分する/食の幸福 26 家事と環境 家事分担の不均衡/ふつうのすばらしさを再発見する/環境問題について ――赤飯 参考文献 ブックガイド Author 三浦 哲哉 Tetsuya Miura 青山学院大学文学部比較芸術学科教授。映画批評・研究、表象文化論。食についての執筆もおこなう。1976年福島県郡山市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。著書に『サスペンス映画史』(みすず書房、2012年)『映画とは何か――フランス映画思想史』(筑摩選書、2014年)『『ハッピーアワー』論』(羽鳥書店、2018年)『食べたくなる本』(みすず書房、2019年)『LAフード・ダイアリー』(講談社、2021年)。共編著に『オーバー・ザ・シネマ――映画「超」討議』(フィルムアート社、2018年)。訳書に『ジム・ジャームッシュ・インタビューズ――映画監督ジム・ジャームッシュの歴史』(東邦出版、2006年)。
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涙の箱
¥1,650
SOLD OUT
ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話 この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して 「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。 幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。 2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。 「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」——本文より 涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。 [出版社より] 著 者|ハン・ガン 訳 者|きむ ふな 出版社|評論社 定 価|1,500円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|88 ISBN|9784566024892 発 行|2025年08月 Author ハン・ガン 한강 / Han Kang 1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科を卒業。1994年、ソウル新聞新春文芸に短編「赤い碇」が当選し、作家デビュー。2005年、『菜食主義者』(クオン)で李箱文学賞を、また同作で2016年にアジア人初の国際ブッカー賞を受賞。2017年、『少年が来る』(クオン)でイタリアのマラパルテ賞、2023年、『別れを告げない』(白水社)でフランスのメディシス賞(外国小説部門)、また同作で2024年、フランスのエミール・ギメ アジア文学賞を受賞。2024年、「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、ノーベル文学賞を受賞。他に『引き出しに夕方をしまっておいた』『そっと 静かに』(以上クオン)、『ギリシャ語の時間』(晶文社)、『すべての、白いものたちの』(河出書房新社)、『回復する人間』(白水社)などが邦訳されている。 Translator きむ ふな 韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学大学院日本文学科で博士号を取得。日韓の文学作品の紹介と翻訳に携わる。訳書にハン・ガン『菜食主義者』、キム・エラン『どきどき僕の人生』、キム・ヨンス『ワンダーボーイ』、ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』、シン・ギョンスク『オルガンのあった場所』(以上クオン)、孔枝泳『愛のあとにくるもの』(幻冬舎)など。共訳書にハン・ガン『引き出しに夕方をしまっておいた』(クオン)など。著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)がある。韓国語訳書の津島佑子『笑いオオカミ』にて板雨翻訳賞を受賞。
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ギリシャ語の時間
¥1,980
祝 ノーベル文学賞受賞。アジア人初の英国ブッカー国際賞受賞作家、ハン・ガンによる心ふるわす長編小説 ある日突然言葉を話せなくなった女は、失われた言葉を取り戻すために古典ギリシャ語を習い始める。ギリシャ語講師の男は次第に視力を失っていく。ふたりの出会いと対話を通じて、人間が失った本質とは何かを問いかけていく。韓国の若い作家を紹介するシリーズ〈韓国文学のオクリモノ〉第1回配本。 「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」――ハン・ガン [出版社より] 著 者|ハン・ガン 訳 者|斎藤真理子 出版社|晶文社[韓国文学のオクリモノ] 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|240 ISBN|978-4-7949-6977-4 発 行|2017年10月 Author ハン・ガン 한강 / Han Kang 1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文科卒業。1994年、短編小説「赤い碇」でデビュー。2007年に発表した『菜食主義者』で、韓国で最も権威のある文学賞李箱文学賞を受賞。また同作で2016年にアジア人作家として初めて英国のブッカー国際賞を受賞した。小説のほか、詩、絵本、童話など多岐にわたって創作活動を続けて、受賞作が多数ある。現在、ソウル芸術大学の文芸創作科教授を務めている。邦訳された作品に『菜食主義者』『少年が来る』(ともにクオン)がある。 Translator 斎藤 真理子 Mariko Saito 翻訳家。訳書にパク・ミンギュの『カステラ』(クレイン)、『ピンポン』(白水社)、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)などがある。『カステラ』で第一回日本翻訳大賞を受賞した。
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エレベーターのボタンを全部押さないでください
¥1,980
いつも広い世界を見せてくれるノンフィクション作家・川内有緒、初のエッセイ集。 『パリでメシを食う。』でデビューし、『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』で「Yahoo! ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞」を受賞した川内有緒が、連載していた「日経新聞」、雑誌「ひととき」など、さまざまな媒体に寄稿したエッセイをセレクトして収録。 メキシコの走る民族、飼っていた2匹の個性的な猫、大反響を巻き起こした「荒れた海で愛を叫ぶ」……。海外での驚くべき旅や出会い、日常に潜む冒険のような出来事、死生観などを綴り、読者を新しい場所へ誘う。 ユーモラスで味わい深い文章に心が揺さぶられ、温かな感情が湧き上がる。なぜか一歩を踏み出したくなる川内有緒ならではの一冊。 [出版社より] 「川内さんは丸腰で荒海に飛び込んでいって、宝物のような出会いをつかみ取ってくる。 この本そのものが、冒険で、旅なのだ」――岸本佐知子(翻訳家) 「並外れた行動力と筆致。見たことない球をぶんぶん投げてくる」――こだま(作家・エッセイスト) 著 者|川内有緒 出版社|集英社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-8342-5401-3 初 版|2025年06月 Contents *目次より抜粋 第一章 コスタリカのバスのなかで 夢見る島のハンモック 精霊たちのしわざ 走れ! シエラ・タラウマラ 第二章 エレベーターのボタンを全部押さないでください ブックス海があった頃 二匹の猫 第三章 レモンを置きに京都まで ただ本屋に寄っただけ 向田邦子を追いかけて 太陽の塔と危険な読書 第四章 午前四時の試写室から 天国よりも奇妙な場所 女にも名前はある 初めての家出記念日 第五章 声枯れるまで叫ぼう 深夜の奇妙な演奏会 画面の中の孤島 ママ、パスポートはどこ? 冒険家になる人生とならない人生 第六章 未完成な人生に花束を 曇り空の流星観測会 心臓の音を保存する島 アイラブユーと言われたい 荒れた海で愛を叫ぶ Author 川内 有緒 Ario Kawauchi ノンフィクション作家。1972年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業。米国ジョージタウン大学大学院で中南米地域研究学修士号を取得。アメリカ、日本、フランスにて、国際協力分野で12年間働く。2010年以降、東京を拠点に執筆活動。『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』で新田次郎文学賞、『空をゆく巨人』で開高健ノンフィクション賞、『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』でYahoo! ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞を受賞。ドキュメンタリー映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』の共同監督を務める。「生まれ変わったら冒険家になりたい」が口癖。
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アントカインド
¥15,400
SOLD OUT
トランプ復活&暴走を予言!? 制作期間90年・上映時間90日の「究極の映画」の謎をめぐり、記憶の深淵へ……。奇想天外で危険な〈読むカルト映画〉。 『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』のアカデミー賞天才作家カウフマンの初小説が、ついに日本上陸。 [出版社より] 「異常な映画愛と懐かしきポストモダンの饒舌思考で、アメリカ合衆国の〈今〉を走査(スキャン)する。奇妙かつ壮大な旅」 ——佐藤究 「やりやがったな、カウフマン! 超絶クレイジーで最高にクール!! 押し寄せる不条理の洪水に脳がバグって昇天寸前!! これ、世に出したらまずくない?!」 ——ふかわりょう 「人が世に生きることの惨めさ切なさ情けなさ。そして映画という芸術に対する愛以上の強い感情。それをこんな奇想天外な物語にするなんて、チャーリー・カウフマンにしかできない。物語の情報量もギャグも彼の映画以上の圧縮バージョン!」 ——山崎まどか 「人生観を変えてくれる、ユニークで大胆な傑作。“人生”に対して幻想と矛盾を抱える、すべての迷える人におすすめしたい」 ——フランシス・フォード・コッポラ 著 者|チャーリー・カウフマン 訳 者|木原善彦 出版社|河出書房新社 定 価|14,000円+税 判 型|A5判・上製・函入 頁 数|640 ISBN|978-4-309-03980-0 発 行|2025年08月 Contents ◎あらすじ 冴えない映画評論家のB・ローゼンバーガー・ローゼンバーグは、インゴという引きこもりの老人が90年かけて制作した、上映時間90日の映画を見る。空前絶後の傑作だと確信したが、上映中にインゴは急死し、フィルムも火事で失われる。 失われたフィルムを復元しようと催眠療法に励むローゼンバーグのもとに、未来人を名乗る女性アビサがある依頼とともに、映像技術「ブレイニオ」を携え訪れる。ブレイニオにより映画の裏側の「不可視の世界」へ入り込めるようになり、夢・映画・現実の境界が徐々に崩壊しはじめる。 やがて自律型ドナルド・トランク(プ)・ロボットが出現すると、暗殺未遂を乗り越えて政権を掌握。大量増殖と暴走の末、巨大ファストフードチェーンと内戦を始め、終末戦争へと突入する。未来の地球で生き残った超天才アリまでもが登場し、全てが混沌の極限へと向かっていく…… ◎原書について *世界14カ国刊行のベストセラー *ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、カーカス・レビュー、パブリッシャーズ・ウィークリー他各紙誌絶賛 *NPR年間ベストブック選出(2020) *『メンズヘルス』誌年間ベストブック選出(2020) *センター・フォー・フィクション・ファーストノベル賞ロングリストノミネート(2020) ◎文学・映像的影響 本作は、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、フランツ・カフカ、フィリップ・K・ディック、カート・ヴォネガット、スタニスワフ・レム、トマス・ピンチョン、サミュエル・ベケット、デイヴィッド・リンチらの、SF的な小説・映像作品の系譜に連なる。 ◎造本仕様 装丁=川名潤 本体A5判上製・レインボー箔押クロス装、多色UV印刷特装函入 虚構と現実のあわいが溶融し、映画をめぐる謎、記憶という神秘の深淵へと向かう、奇想天外な本作のエッセンスを豪華造本に落とし込んだ、究極のブックデザイン。 Author チャーリー・カウフマン Charlie Kaufman 1958年、アメリカ合衆国生まれ。脚本家・映画監督。『マルコヴィッチの穴』で英アカデミー脚本賞、『エターナル・サンシャイン』でアカデミー脚本賞受賞。2020年、初小説『アントカインド』で作家デビュー。 Translator 木原 善彦 Yoshihiko Kihara 1967年生まれ。京都大学大学院修了。大阪大学大学院人文学研究科教授。著書に『アイロニーはなぜ伝わるのか?』ほか。訳書にウィンターソン『フランキスシュタイン』、ダーラ『失われたスクラップブック』など。
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デレク・ジャーマンの庭
¥4,840
不朽の名作『Derek Jarman's Garden』が、製版のデジタルリマスターにより、約30年ぶり待望の新訳復刊〈没後30年記念出版〉。 映像作家デレク・ジャーマンの詩的でクィアな庭づくり。 「庭の生と死が、いつしか「ぼく」の生と死を映し出す」 1994年、AIDSでこの世を去った映像作家のデレク・ジャーマン。彼は晩年、イギリス南東部の最果ての岬、原子力発電所にほど近いダンジネスに移り住む。死の直前まで慈しみ育て続けたプロスペクト・コテージの庭は、いつしか彼の生と死を映し出し——。 写真家ハワード・スーリーの美しい写真とともに綴られる、ジャーマンの穏やかな日々と秘められた激情。庭や植物、友人たちや恋人たち、自身の病と死について——。生前最後のエッセイを、美学者であり庭師でもある訳者によって、ついに新訳復刊。植物リスト付。 [出版社より] 著 者|デレク・ジャーマン[著]、ハワード・スーリー[写真] 訳 者|山内朋樹 出版社|創元社 定 価|4,400円+税 判 型|B5変型判/上製 頁 数|148 ISBN|9784422731452 発 行|2024年04月 Author デレク・ジャーマン Derek Jarman 1942年ロンドン生まれ。画家、舞台美術家、映像作家。1960年代にはフレデリック・アシュトンと担当した『ジャズ・カレンダー』(1968)やケン・ラッセルと担当した『ザ・レイクス・プログレス』を含む舞台のセットと衣装デザインをおこなう。映像媒体での作品は70年代から90年代にわたる。この期間に『ジュビリー』(1977)、『カラヴァッジョ』(1986)、『ザ・ガーデン』(1990)、『ブルー』(1993)などの映画を制作した。著書に『ダンシング・レッジ』(1984)、『デレク・ジャーマンのカラヴァッジョ』(1986)、『ザ・ラスト・オブ・イングランド』(1987)のほか 、自伝的な『モダン・ネイチャー』(1991)がある。1994年エイズ合併症により逝去。 Translator 山内 朋樹 Tomoki Yamauchi 1978年兵庫県生まれ。京都教育大学教員、庭師。専門は美学。在学中に庭師のアルバイトをはじめ研究の傍ら独立。庭や美術作品をはじめとする制作物のかたちの論理を、物体の配置や作業プロセスの分析から探究している。著書に『庭のかたちが生まれるとき』(フィルムアート社、2023年)、共著に『ライティングの哲学』(星海社、2021年)、訳書にジル・クレマン『動いている庭』(みすず書房、2015年)。
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日本語ラップ 繰り返し首を縦に振ること
¥2,640
「韻踏み夫」がついに本名で世に問う、渾身のヒップホップ批評! RHYMESTERの宇多丸を最も重要な日本語ラップ批評家だと位置づけつつ、ヒップホップとは「“一人称”の文化」だというテーゼに注目。ヒップホップの本質を「反復=肯定」と概念化し、思想的に展開。作品論の実践として、SEEDA の『花と雨』を具体的に読み解いていく。ヒップホップ批評の新たなマスターピース、ここに誕生。 「ヒップホップに特権的な身振り、身体性とは、「繰り返し首を縦に振ること」である。それは反復の身振りであり、かつ肯定の身振りである。首を振るという身振りにおいて、反復と肯定が結合されるのだ。首を振ること、すなわち反復=肯定。これこそ、私たちが最も重視する、ヒップホップの本質を表現するアレゴリーである」——本文より [出版社より] 「日本語ラップ」と呼ばれる政治的/詩的な運動/文化の重力に真にふさわしい批評の誕生を心より祝福したい。 1970年代のサウスブロンクスで生まれたヒップホップ──このどこまでも「一人称」であることに固執するアートフォーム──の日本語における可能性をこれほど誠実かつ挑戦的に論じた書は他にないだろう。 歴史編、理論編、実践編とでも分けられる三部の構成を通して、本書は反復(the changing same)と迂回(signifying)を繰り返しながら、ヒップホップの日本(語)的「生」へと肉薄する」 ——大和田俊之 著 者|中村拓哉 出版社|書肆侃侃房 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|384 ISBN|978-4-86385-684-4 発 行|2025年08月 Contents 序文 第一部 日本語ラップの「一人称」 第一章 日本語ラップ批評宣言 いとうせいこうから宇多丸へ 第二章 「一人称」の翻訳性 第三章 「空虚」な「一人称」からストリートへ 第四章 ヒップホップ・フェミニズム 第五章 「J」の殺戮者としての日本語=反日ラップ 第六章 ポスト68年としてのヒップホップと日本語ラップの皮肉な勝利 第二部 反復=肯定の思想 第一章 微分、一義性、反復=肯定 第二章 中性的なものの反復=肯定 第三章 非感性的類似と韻 第四章 同じであること、非人称的ナルシシズム 第五章 反復的な生の救済のドラマ 第三部 ディスクールの詩学 第一章 ラップの詩学 第二章 ミュトス、ミメーシス、隠喩 第三章 SEEDA『花と雨』 「一人称」のディスクール━━あとがきにかえて Author 中村 拓哉 Takuya Nakamura 1994年生まれ。福岡県出身。早稲田大学文化構想学部中退。批評家。2015年より、「韻踏み夫」名義で批評家/ライター活動を開始。著書に『日本語ラップ名盤100』(イースト・プレス、2022年)。論考に「六八年の持続としての批評──絓秀実『小説的強度』を読む」(赤井浩太・松田樹責任編集『批評の歩き方』、人文書院、2024年)など。本書よりペンネームを改名した。
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7
¥5,280
ドラッグの売人、元ロック・スター、トップモデル、革命家、UFO研究者、分断世界の監察官、そして不滅の男ーー7つの物語が交叉する。仏哲学界の新スターによる驚異的建築物のごとき傑作。 「鼻血が出ない。とても孤独だ」——本文より [出版社より] 「よくできた短編集ではなく、特異かつ驚異的な建築作品」――テレラマ 「本作をもって、トリスタン・ガルシアは短編と長編の中間にある物語集(という新たなジャンル)の作者となった。真実はときとして危険なほど超自然に接近する」――ゾーン・クリティック 「信仰と美と歴史と時間をめぐる7つの精神的な寓話。今年の避けては通れない10冊のうちの1冊――レクスプレス 「一見多様な小説の寄せ集めにみえるこの作品は首尾一貫した構造を持っている。だが、その一貫性は見出すべきものなのである。それは読者に差し出された大いなる喜びでもある。トリスタン・ガルシアの最高の作品である」――ル・ヌヴェル・オプス 著 者|トリスタン・ガルシア 訳 者|高橋啓 出版社|河出書房新社 定 価|4,800円+税 判 型|四六変型判・上製 頁 数|528 ISBN|978-4-309-20929-6 発 行|2025年08月 Author トリスタン・ガルシア Tristan Garcia 1981年生まれ。フランスの作家・哲学者。アラン・バディウやカンタン・メイヤスーらに哲学を学ぶ。2013年に『7』でアンテル文学賞を受賞。他の著書に『激しい生』など。 Translator 高橋 啓 Kei Takahashi 1953年、北海道生まれ。翻訳家。訳書に、パスカル・キニャール『アマリアの別荘』、フィリップ・クローデル『ブロデックの報告書』、ローラン・ビネ『HHhH』(本屋大賞翻訳小説部門2014年第1位)など。
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激しい生
¥2,750
思想に新たな風が吹く。 バディウ、メイヤスーの教えを受けたフランスの俊英、待望の初邦訳。 本書は現代思想界でもっとも注目される才能のひとり、トリスタン・ガルシアの初の翻訳である。近代を強さ=激しさに取り憑かれた時代とし、強迫観念のように刺激を求め続ける人間の生と思考を鮮烈に抉り出す。哲学、科学、文学、芸術、社会など様々な分野を駆け抜ける軽やかな足取りと巧みな手さばきは、著者の才気を伝え、読む者を実存の深みへと連れ出すだろう。新しい現代思想の注目作であるのみならず、近代の捉え方に新たな視点をもたらす意欲作。 [出版社より] 著 者|トリスタン・ガルシア 訳 者|栗脇永翔 出版社|人文書院 定 価|2,500円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|230 ISBN| 9784409031124 発 行|2021年09月 Contents イントロダクション 1 イメージ――電気が思考に対し行ったこと ライプチヒの接吻 電気の啓蒙=光の約束 琥珀と雷雨と私たちの神経のなかの同じ短い流体 電流を測ることによって 観念のイメージ 2 観念――事物をそれ自体と比較するために 潜在的な力のおかげで 多かれ少なかれ 力のおかげで ニュートン以後の落ち込み イメージの観念 3 概念――「すべてを強さ=激しさのなかで解釈しなければならない」 強さ=激しさという例外 野生的な例外 例外が法則になる すべてを強さ=激しさで解釈するために 強さ=激しさを保持するために 4 道徳的な理想――強い=激しい人間 新タイプの電気人間 放蕩者、神経人間 ロマン主義者、雷雨人間 ロック歌手、電化された青春期の若者 形容詞的な道徳、副詞的な倫理 5 倫理的な理想――強く=激しく生きること 強さ=激しさのブルジョワ化 第一の策略――変異することによって 第二の策略――加速することによって 第三の策略――「初体験信仰」 崩壊にいたるまで 6 反対の概念――ルーチーン効果 強さ=激しさの論理がある 変異するすべてのものにおいて何かが減少する 増加するすべてのものの中で何かが減少する 第一回目がますます小さくなる もはや生に残されているのはその反対物を望むことだけである 7 反対の観念――倫理的な鋏に挟まれて 生は強く=激しくし、思考は平等にする 英知のおかげで 救済のおかげで ジレンマ 行き詰まり 8 反対のイメージ――何かが抵抗する ソウルのイヴ 電子の約束 どちらの肩も持たずに 思考の観点から、生の観点から 幸運 謝辞 訳者解説 第一節 トリスタン・ガルシア紹介 第二節 『激しい生』を読む 第三節 方法叙説 結びに代えて 人名索引 Author トリスタン・ガルシア Tristan Garcia 1981年生まれ。パリ高等師範学校でアラン・バディウやカンタン・メイヤスーらに哲学を学び、2008年にアミアン大学で博士号を取得。現在、リヨン第3大学准教授。現代フランスにおける気鋭の哲学者のひとり。著書に、L’image(2007)、Forme et objet(2011)、Nous(2016)など。 Translator 栗脇 永翔 Hisato Kuriwaki 1988年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程単位取得満期退学。専門はフランス文学・思想。共訳書に、ジュリア・クリステヴァ『ボーヴォワール』(法政大学出版局、2018年)。
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言葉のトランジット
¥1,650
言葉と世界は、再発見に満ちている。旅に出かけ、見えてきた景色。 2つのレンズを使って英語と日本語の間を行き来する、芥川賞候補作家の初エッセイ集。 英語を母語としながら、日本語で創作する著者だからこそ見えてくる24の景色。 「俺を使わない僕」・・・相手との距離で変わる日本語の〈一人称〉の不思議とは? 「轍」・・・英語と日本語の相互作用が創作に与える影響とは? 「言葉の出島」・・・日本にいながら英語を期待されるプレッシャーとは? 「マイジャパン症候群」・・・日本在住の英語話者コミュニティー独特の症状とは? 「Because Plants Die」・・・この英語、ちょっとおかしい? 言葉が持つニュアンスとは? and more… [出版社より] 著 者|グレゴリー・ケズナジャット 出版社|講談社 定 価|1,500円+税 判 型|四六判・並製本 頁 数|224 ISBN|9784065404263 発 行|2025年08月 Author グレゴリー・ケズナジャット Gregory Khezrnejat 1984年、アメリカ合衆国サウスカロライナ州グリーンビル市生まれ。2007年、クレムソン大学を卒業ののち、外国語指導助手として来日。2017年、同志社大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期課程修了。現在は法政大学グローバル教養学部にて准教授。2021年、「鴨川ランナー」にて第二回京都文学賞を満場一致で受賞し、デビュー。同年、受賞作を収録した『鴨川ランナー』を刊行。2023年、「開墾地」で第168回芥川龍之介賞の候補、同年『開墾地』を刊行。2023年、第9回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。「トラジェクトリー」が第173回芥川賞候補となる。
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世界のほうがおもしろすぎた――ゴースト・イン・ザ・ブックス
¥2,090
正体不明という生き方。 「ぼくが目指したことは、すべて編集です」 異能の編集工学者が謎に包まれたその生涯と秘策を一気に語り明かす。ロングインタビューによる、最初で最後の「自伝」。 「若者の教祖」「知の巨人」「博覧強記」――。 あらゆるレッテルを嫌い、「生涯一編集者」であることに徹した松岡正剛。その歩みは理科少年の時代[ころ]に抱いた自己同一性への疑問に始まっていた。十数時間におよぶ、生前最後にして初の自伝インタビューを完全再録。また付録として、未発表稿及び年譜を掲載。 「遅ればせ」ということを、わりに早くから自覚していたんです。あえて遅滞する、遅延するということです。ふつう遅れるというのは、とろいこと、才能が発揮しにくいとか、コミュニケーション能力がないということです。でもぼくは「遅ればせ」がいいんだと思ってやってきた。こういう感覚は若いころからありました。おそらくぼくが編集に関心をもったことにも関係していたんだろうと思います。——本文より [出版社より] 著 者|松岡正剛 出版社|晶文社 定 価|1,900円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|404 ISBN|978-4-7949-8010-6 発 行|2025年08月 Contents 第1章……正体不明のゴースト 自己同一性がわからない 科学のデーモンと精神のゴースト 「粗より」という方法 ――断章1:『擬――「世」あるいは別様の可能性』より第二綴「きのふの空」(二〇一七) 第2章……「世界」のおもしろみとメディアへの憧れ 殺されるくらいの気概をもて 京都の「すい」、東京の「いき」 理科少年の目覚めと抵抗 「自分」の確立から遠のくということ 新聞づくりと印刷技術に夢中になる 革命的マルクス主義の前線で ――断章2:『概念工事』より「極上の迷宮」(一九八〇) 第3章……アルス・コンビナトリア事始め 「ハイスクール・ライフ」編集長になる 稲垣足穂に翻弄される オブジェマガジン「遊」の誕生 杉浦康平からの宿題 誤解の「可能性」をあえて入れておく 超絶アルス・コンビナトリアとそのコツ ――断章3:「歳視記・2」(一九七九) 第4章……すべてはアナロジーのために 人が人を、噂が噂を連れてくる なぜ本に孔を空けたのか 科学と精神と機械はまぜこぜに ――断章4:『フラジャイル』Ⅲ「身体から場所へ」2「振舞の場所」(一九九五) 第5章……編集工学の胎動と脈動 科学万博のパビリオンをつくる 世界同時年表『情報の歴史』 複雑系・割れ目・ノンリニア 編集工学は「知」を自由にする技術 企業人たちとの意外な交流 トークは「装置」から考える 高気圧先生の大学奮闘記 ――断章5:ハイパーカードに出会うまでに頭の中で電話が鳴っている (「HyperLib」一九八七年第六号) 第6章……編集の国から生まれた学校 九〇年代日本に対する危機感 早すぎた「編集の国」構想 「たくさんの自分」から始まる学校 イメージメントとマネージメント ――断章6:「一到半巡通信」(二〇〇〇年十二月号)より「埒外案内」 第7章……歴史の網目のなかで千夜千冊を紡ぐ 千夜千冊は書評ではない 千夜千冊達成と胃癌の顛末 他者と自己の問題を再編集する 千夜千冊を新たなエディションにする 本棚の文脈が読める空間 ――断章7: 『學鐙』(二〇二四年九月)より「編集工学的読書術」 第8章……虚に居て実を行う 写真家たちのアート・ジャパネスク 方法日本を奮い立たせる 近江に思考の拠点を移してみると ――断章8:『日本数寄』より「主客の遊び」(二〇〇〇) 松岡正剛年譜 あとがきに代えて Author 松岡正剛 Seigow Matsuoka 編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。生命・歴史・文化にひそむ仕組みを「編集」の観点でとらえ、方法的に用いて新たな仮説や問いを創造する「編集工学」を確立。おもな著書は『知の編集工学』『知の編集術』『花鳥風月の科学』『17歳のための世界と日本の見方』『日本流』『日本文化の核心』ほか多数。2000年よりインターネット上でブックナビゲーションサイト「千夜千冊」を連載、2018年より文庫シリーズ「千夜千冊エディション」30冊刊行。2024年8月逝去。
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アサイラム・ピース
¥946
終わりの時を待つ孤独な精神の叫び。 城の地下牢に囚われた女、名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵、いつ終わるとも知れぬ裁判、頭の中の機械、精神療養所のテラスで人形劇じみた場面を演じる人々…。自身の入院体験にもとづく表題作をはじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた世界を先鋭的なスタイルで描き、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げた最初の傑作。解説=皆川博子。 [出版社より] 著 者|アンナ・カヴァン 訳 者|山田和子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|860円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|240 ISBN|978-4-480-43603-0 発 行|2019年07月 Author アンナ・カヴァン Anna Kavan イギリスの作家。1901年、フランスのカンヌ生まれ。ヘレン・ファーガソン名義で長篇数作を発表後、『アサイラム・ピース』(40)からアンナ・カヴァンと改名。不安定な精神状態を抱え、ヘロインを常用しながら、不穏な緊迫感に満ちた先鋭的作品を書き続ける。世界の終末を描いた傑作『氷』(67)で注目を集めたが、翌68年に死去。宙年代記は読書界に衝撃を与えた。他の代表作に『オッド・ジョン』『火炎人類』などがある。 Translator 山田 和子 Kazuko Yamada 1951年生まれ。翻訳家・編集者。訳書にアンナ・カヴァン『氷』(ちくま文庫)、ポール・コリンズ『バンヴァードの阿房宮』(白水社)、P・K・ディック『時は乱れて』『シミュラクラ』(ハヤカワ文庫)、J・G・バラード『太陽の帝国』(創元SF文庫)などがある。
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氷
¥1,056
「見たこともないような美しく冷酷なものに、からめとられる」 ——川上弘美 異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて姿を消した少女を追って某国に潜入した私は、要塞のような“高い館”で絶対的な力を振るう長官と対峙するが…。迫り来る氷の壁、地上に蔓延する略奪と殺戮。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで、世界中に冷たい熱狂を引き起こした伝説的名作。 [出版社より] 著 者|アンナ・カヴァン 訳 者|山田和子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|960円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|288 ISBN|978-4-480-43250-6 発 行|2015年03月 Author アンナ・カヴァン Anna Kavan イギリスの作家。1901年、フランスのカンヌ生まれ。ヘレン・ファーガソン名義で長篇数作を発表後、『アサイラム・ピース』(40)からアンナ・カヴァンと改名。不安定な精神状態を抱え、ヘロインを常用しながら、不穏な緊迫感に満ちた先鋭的作品を書き続ける。世界の終末を描いた傑作『氷』(67)で注目を集めたが、翌68年に死去。宙年代記は読書界に衝撃を与えた。他の代表作に『オッド・ジョン』『火炎人類』などがある。 Translator 山田 和子 Kazuko Yamada 1951年生まれ。翻訳家・編集者。訳書にアンナ・カヴァン『氷』(ちくま文庫)、ポール・コリンズ『バンヴァードの阿房宮』(白水社)、P・K・ディック『時は乱れて』『シミュラクラ』(ハヤカワ文庫)、J・G・バラード『太陽の帝国』(創元SF文庫)などがある。
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H・P・ラヴクラフト——世界と人生に抗って
¥1,100
『服従』『滅ぼす』など数々の問題作を放つ《世界一センセーショナルな作家》ウエルベックが、小説・漫画・映像・ゲームへ大いなる影響を与え続ける架空の神話大系「クトゥルフ神話」創造者であるホラー作家ラヴクラフトの生涯と作品を熱烈な偏愛で語る、衝撃のデビュー作。 スティーヴン・キング序文「ラヴクラフトの枕」収録。 解説=柳下毅一郎。 “人は人生を愛しているときには読書はしない。それに、映画館にだってほとんど行かない。何と言われようとも、芸術の世界への入り口は多かれ少なかれ、人生に「少しばかりうんざりしている」人たちのために用意されているのである。“ “人生に倦み疲れた心にとって、ラヴクラフトを読むことが逆説的な慰めとなるのがなぜなのかはよくわかる。実際、どんな理由であれ人生のあらゆる様態にたいして本物の嫌悪を抱くにいたったすべての人に、ラヴクラフトを読むよう勧めることができる。”——本文より [出版社より] 著 者|ミシェル・ウエルベック 序 文|スティーヴン・キング 訳 者|星埜守之 出版社|河出書房新社[河出文庫] 定 価|1,000円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|176 ISBN|978-4-309-46819-8 発 行|2025年08月 Contents 序文 ラヴクラフトの枕 スティーヴン・キング はじめに 第一部 もう一つの世界 儀礼としての文学 第二部 攻撃の技術 晴れやかな自殺のように物語を始めよ 臆することなく人生に大いなる否(ノン)を宣告せよ そのとき、大伽藍の偉容が見えるだろう そしてあなたの五感、いわく言い難い錯乱のベクトルは 完全な狂気の図式を描きだすだろう それは時間の名づけ難い構造のなかに迷い込むだろう 第三部 ホロコースト 反伝記 ニューヨークの衝撃 人種的憎悪 わたしたちはハワード・フィリップス・ラヴクラフトから魂を生贄にするすべをいかに学ぶことができるのか 世界と人生に抗って 読書案内 訳者あとがき 解説 人間嫌いの文学史 柳下毅一郎 Author ミシェル・ウエルベック Michel Houellebecq 1958年フランス生まれ。ヨーロッパを代表する作家。98年『素粒子』がベストセラー。2010年『地図と領土』でゴンクール賞。15年『服従』が世界で話題を呼んだ。ほかに『ある島の可能性』『滅ぼす』など。 スティーヴン・キング Stephen Edwin King 947年アメリカ生まれ。74年『キャリー』でデビュー。ブラム・ストーカー賞、世界幻想文学大賞などを受賞。『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』など映像化作品も世界中で大ヒットしている。 Translator 星埜 守之 Moriyuki Hoshino フランス文学者・東京大学名誉教授。1958年米国ペンシルヴェニア州生まれ。著書に『ジャン=ピエール・デュプレー』、訳書に『テキサコ』『フランスの遺言書』、共訳に『慈しみの女神たち』『魔術的芸術』など。
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魔犬 ラヴクラフト傑作集1
¥924
SOLD OUT
クトゥルフ神話、その精髄を完全漫画化。 世界の文学史上に特異な光を放つH・P・ラヴクラフトの代表作にして、クトゥルフ神話最大の謎に、かつて「アウトサイダー」を精緻に描き高い評価を受けた気鋭の漫画家が挑む。これぞ、ラヴクラフト・コミカライズの決定版にして、最先端。収録作品「魔犬」「名もなき都」「神殿」。 [出版社より] 著 者|田辺剛 出版社|KADOKAWA[ビームコミックス] 定 価|840円+税 判 型|四六判[並製] 頁 数|184 ISBN|9784047299115 発 行|2014年08月
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闇に這う者 ラヴクラフト傑作集3
¥902
SOLD OUT
話題沸騰のラヴクラフト傑作集、二大人気作を高貴にコミカライズ。 「魔犬」「異世界の色彩」で、ラヴクラフトの描き手として熱狂的に支持される気鋭の絵師・田辺剛が次に挑むは、極めて高い人気を誇る、二大名作。 最後の傑作と呼ばれる「闇に這う者」と、遠洋の悪夢を描きラストシーンが伝説となっている「ダゴン」、暗黒の巨星、その真価を、絶品の漫画化で堪能せよ! [出版社より] 著 者|田辺剛 出版社|KADOKAWA[ビームコミックス] 定 価|820円+税 判 型|四六判[並製] 頁 数|166 ISBN|9784047308381 発 行|2016年03月
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世界自炊紀行
¥2,750
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世界には、今晩の献立を考えない人たちがいる。 自炊料理家の著者の元に寄せられる「献立作りが苦痛」「いつも同じ料理ばかりでマンネリに」「スーパーで途方にくれる」という自炊に悩める人々の声。これって日本だけ?「世界の自炊」はどうなっているんだろう? と思った著者は飛行機に飛び乗っていた――。 2024年の間に全世界12か国、38家庭を取材。それぞれ各国から2家庭を厳選し、合計24組の自炊事情を12種の自炊レシピと共に紹介する。同時代を生きる人々、それぞれの「自炊する意味」とは。 「本書は一気読みすると手のひらの上で世界一周をした気分に浸れるだろうし、寝る前に一家族ずつ読んでちょっとずつ楽しんでもらうのも良いと思う。この本を読んでくださる方が私の旅を追体験し、自炊という身近な行為を客観的に見て(世界各地と比べて!)、ご自身の生活に何かしらプラスになるヒントが手渡せたら、心からこの本を書いて良かったと思える」——著者 [出版社より] 「12か国の食卓を巡る旅の果てに、いちばん意外だったのは日本人の自炊だった」 ——奥野克巳(文化人類学者) 「和食はもちろん、中華イタリアン、フレンチ、エスニックと自国以外の料理も何品も作り、栄養衛生にも配慮する。しかも担うのは主に女性……などなど、日本の家庭料理にまつわる「常識」は世界からはどう見える?? 自炊料理研究家が世界各地の自炊人を訪ねて作り味わう自炊紀行。現地レストランでも味わえない自炊レシピ満載」 ——内澤旬子(文筆家、イラストレーター) 著 者|山口祐加 出版社|晶文社 定 価|2,500円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|568 ISBN|978-4-7949-8012-0 発 行|2025年08月 Contents はじめに 1 台湾編:外食文化が根付いた国で自炊をするということ 2 韓国編:自炊よりも外食した方が、たくさん野菜が食べられる国 3 ポルトガル編:魚介類と米の国の日常食とは 4 スペイン編:一日五回の食事を摂る国へ⁉ 5 フランス編:「おいしい」の国の自炊事情とは 6 トルコ編:「本当のトルコ料理」を探して 7 イタリア編:地域性のある食文化が根付く「イタリアの自炊事情」 8 メキシコ編:スペインの侵略がもたらした食文化の変革 9 ペルー編:注目度急上昇、ペルー料理がおいしい理由とは 10 タイ編:毎日・毎食、外食で困らない国でなぜ自炊するのだろうか? 11 ベトナム編:本当の「家庭料理」に会いたくて 12 ラオス編:何も知らない国の自炊に出会うこと おわりに Author 山口祐加 Yuka Yamaguchi 自炊料理家。1992年生まれ。東京都出身。出版社、食のPR会社を経て独立。7歳から料理に親しみ、料理の楽しさを広げるために料理初心者に向けた料理教室「自炊レッスン」や小学生向けの「オンライン子ども自炊レッスン」、レシピ・エッセイの執筆、ポッドキャスト番組「聞くだけでごはんができるラジオ」などは多岐にわたって活動中。著書に『自分のために料理を作る自炊からはじまる「ケア」の話』(星野概念との共著、晶文社/紀伊國屋じんぶん大賞2024入賞)、『自炊の壁 料理の「めんどい」を乗り越える100の方法 』(佐々木典士との共著、ダイヤモンド社)など多数。
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新装版 世界手芸紀行
¥2,420
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雑誌毛糸だまの人気連載「世界手芸紀行」を2017年に書籍化した第1弾を、第2弾の発売に合わせて新装版として復刊します。 世界各地の手仕事と、それらと日本をつなげる仕事をしている13人の女性をご紹介します。素晴らしく奥深い手仕事の魅力を掘り下げてたっぷりお見せするとともに、彼女たちがいかにして世界の手仕事と出合い、どのように日本での仕事につなげたか、興味深いインタビューも収録。 インドの「ソズニ刺繍」、オーストリアの「プチポアン」、トルコの「オヤ」、セネガルの「アフリカンプリント」、メキシコ「オアハカの刺繍」などなど、その色とりどりで奥深い伝統文化は手芸に興味のない人でも楽しめます。手芸を「仕事」として考えている女性への参考書としてもおススメです。 [出版社より] 出版社|日本ヴォーグ社 定 価|2,200円+税 判 型|B5判/並製 頁 数|160 ISBN|978-4-529-06325-8 発 行|2023年07月
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相談するってむずかしい
¥1,870
とにかくおしゃべりを続けよう。 自分を助けるための「対話の仕方」がわかる本。 発達障害による困りごとや、生きづらさを語り合う場を主宰する細川貂々と、心身の不調をきっかけに、目的を持たない対話の場を作った青山ゆみこ。オープンダイアローグや当事者研究など、話す/聞く場の実践を通して、「相談する」ことの大切さに気づいたふたりがつづる、話して、聞いた日々のこと。 [出版社より] 著 者|青山ゆみこ・細川貂々 出版社|集英社 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|200 ISBN|978-4-08-788120-2 発 行|2025年08月 Contents はじめに 細川貂々 1章 相談できないふたり 気配り女子一番の誕生 青山ゆみこ・文 私が相談できなかった頃 細川貂々・漫画 コラム「話す」「聞く」の試み(1) 「当事者研究」ってなに? 2章 話すことの「場」 「弱い自分」が探した居場所 青山ゆみこ・文 自分の場をつくる 細川貂々・漫画 コラム「話す」「聞く」の試み(2) 「オープンダイアローグ」ってなに? 3章 話し方と聞き方 正解はないけど、方法はある 青山ゆみこ・文 居場所をつくってみて 細川貂々・漫画 コラム「話す」「聞く」の試み(3) 「自助グループ」と「家族会」 4章 変わらないけど、楽になる 対談 青山ゆみこ×細川貂々 コラム「話す」「聞く」の試み(4) 自分で「場」を開いてみる 5章 あなたが話しはじめることで 「相談」のハードルを下げる 青山ゆみこ・文 みんなでともに 細川貂々・漫画 おわりに 青山ゆみこ Author 青山 ゆみこ Yumiko Aoyama フリーランスの編集・ライター。1971年神戸市生まれ。神戸松蔭大学非常勤講師。地元神戸を中心に、「ゲンナイ会」「話を聞きます」など、対面やオンラインでの対話の場を主催している。 細川 貂々 Tenten Hosokawa 漫画家・イラストレーター。1969年埼玉県生まれ。相愛大学客員教授。『がっこうのてんこちゃん』で第71回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。兵庫県宝塚市で「生きるのヘタ会?」ほか、さまざまな対話の場を主催している。
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元気じゃないけど、悪くない
¥2,090
50歳の急カーブ、愛猫との別れ、不安障害、めまい、酒や家族との関係……。 わけのわからない不調のどん底から、リハビリが始まった――。 「わたしの心と身体」の変化をめぐる、物語のようなノンフィクションであり、ケアの実践書。 「「死にたい」と思うほどの状態から、「これなら生きていてもいいかも」と思える状態になるまでの心身のリハビリについて書いてきたのだと、書き終えてわかった気がした。(……)無傷ではないし、今後は古傷が疼くことがあるのかもしれない。全快しゃきしゃきの元気いっぱいでもない。でも「回復」とは異なるカタチで、わたしは自分の人生を新たに立ち上げて生きている。そういうの、全く悪くない。むしろ、悪くないと思うのだ」――本文より 「コントロールしよう」を手放し、自分が変わったと実感するまでの3年間の記録。装画・挿画・題字=細川貂々。 [出版社より] 著 者|青山ゆみこ 出版社|ミシマ社 定 価|1,900円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|248 ISBN|9784911226025 発 行|2024年03月 Contents まえがき 第一章「わたし」をつくってきたもの はじめての猫/実家の犬/家族のなかの「序列」/愛に対する条件/はじめて得た「フラットな関係性」/特別に大切な存在 第二章 「食と酒」の生活改善 切実に迫る「老い」/パーソナルトレーニングという選択/わたしという身体資源の有効活用/なにを食べたらいいですか?/三十年来の悪友、お酒/「のんだくれゆみこ」と「ノンアルコールゆみこ」/「飲まない自分」への違和感 第三章 ある日心が振り切れた 親は子どもに呪いをかけてしまう/「躁」っぽい思考の暴走/わたしを引き留めた回顧録『エデュケーション』/大震災と母の看取りのフラッシュバック/これがパニック障害? 不安障害? 第四章 ほんの小さな第一歩 身体は動きたがっている/病院に行くのも「行動」/家事を諦めるという難問/「保留」にできた仕事/書くを手放す/自分はコントロールできない/メンタル本で学んだセルフケア/心にやさしい物語の世界 第五章 自分の居場所をつくる 「わたしの部屋」が必要だ/窓を見上げて歩く/心が動くと身体も動く/窓の大きな小さな部屋/自分の「好き」だけの空間/オープンダイアローグという「対話の手法」/安心して関われる人 第六章 誰かと関わるための小さな部屋 踊るくらいさせろや!/気を楽にするって超難問なわけで/しょぼいコーピングを増やす/小さな部屋に芽吹くもの/仲間との出会い/はじめてのオープンダイアローグ/自分を突き動かした一冊の本/「わたしは変わった」という事実/映画『プリズン・サークル』の衝撃 第七章 めまいを巡る冒険 ふわふわの正体は「浮動性めまい」/病院行脚、再び/めまい専門医との出会い/ついに可視化されためまい/ケンケンから始めた運動療法/だいたい血行/のらりくらりと有酸素運動/禁酒とも異なる「酒離れ」 第八章 自分のこともわからない フライト前の「遺言」/誰のこともわからない/婦人科での三度目の正直?/キックボクシング事始め/わたしの身体は頭がいい/窓の大きな小さな部屋、ありがとう/わたしは書き始めた/手放す あとがき Author 青山 ゆみこ Yumiko Aoyama フリーランスの編集・ライター。1971年神戸市生まれ。神戸松蔭女子学院大学非常勤講師。対話型文章講座を主宰。著書に『人生最後のご馳走』(幻冬舎文庫)、エッセイ『ほんのちょっと当事者』(ミシマ社)。共著に『あんぱん ジャムパン クリームパン 女三人モヤモヤ日記』(亜紀書房)、震災後の神戸の聞き書き集『BE KOBE』(ポプラ社)などがある。
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ほんのちょっと当事者
¥1,760
ローン地獄、児童虐待、性暴力、障害者差別、看取り、親との葛藤……。 「大文字の困りごと」を「自分事」として考えてみた。 「ここまで曝すか!」と連載時より大反響の明るい(?)社会派エッセイ。 「わたしたちが「生きる」ということは、「なにかの当事者となる」ことなのではないだろうか。…みんなが隣にいる誰かへの想像力をもつようになれば、まわりまわって思いもかけない方向から、誰かがわたしの小さな困りごとを助けてくれる気がする。そういうのってなんだか素敵で、とてもふくよかな社会に思えるのだ」――「まえがき」より。 [出版社より] 著 者|青山ゆみこ 出版社|ミシマ社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|248 ISBN|9784909394293 発 行|2019年11月 Contents まえがき 第1章 暗い夜道と銀行カードローンにご用心 第2章 「聞こえる」と「聞こえない」のあいだ 第3章 奪われた言葉 第4章 あなたの家族が経験したかもしれない性暴力について 第5章 父の介護と母の看取り。「終末期鎮静」という選択 第6章 哀しき「おねしょ」の思い込み 第7章 わたしは「変わる」ことができるのか 第8章 わたしのトホホな「働き方改革」 第9章 父のすててこ いささか長いあとがきのようなもの Author 青山 ゆみこ Yumiko Aoyama フリーランスのエディター/ライター。1971年神戸市生まれ。月刊誌副編集長などを経て独立。単行本の編集・構成、雑誌の対談やインタビューなどを中心に活動し、市井の人から、芸人や研究者、作家など幅広い層で1000人超の言葉に耳を傾けてきた。著書に、ホスピスの「食のケア」を取材した『人生最後のご馳走』(幻冬舎文庫)。
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野呂邦暢、風土のヴィジョン[OUTLET]
¥1,320
50%OFF
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野呂邦暢が現役の頃から小説とエッセー集を愛読してきた著者が、ナガサキでの原爆の目撃や自衛隊体験に基づく作品、歴史小説など、全作品を徹底的に読み込んで、繊細な作家の文学空間を浮き彫りにする。小説世界に分け入って魅力を味わい尽くす渾身の作家論。 ー 野呂が現役の頃から小説とエッセー集を愛読して知的好奇心に満ちた青春期をともに過ごしながら作家として熟すまでの具体相を読み込んできた著者が、『兵士の報酬』『小さな町にて』(みすず書房)の出版を機にあらためて全作品を徹底的に読み込んで、繊細な作家の世界を浮き彫りにする。 車谷長吉、三浦哲郎、滝田ゆう、幸田文、洲之内徹、阿部昭を精読して評してきた著者が野呂邦暢の文学世界に分け入った渾身の作家論。 野呂邦暢(のろ・くにのぶ:1937―80) ナガサキの原爆を疎開先の諫早で目撃、その体験を背景にもつ作品や自分の自衛隊体験、長崎県諫早市を舞台に歴史小説なども発表し、多くのファンが愛読。自衛隊員としての体験をもとに『草のつるぎ』で1974年に第70回芥川賞を受賞。 [出版社より] 著 者|深谷考 出版社|青弓社 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|256 ISBN|978-4-7872-9246-9 発 行|2017年12月 Contents プロローグ――なぜ、いま、野呂邦暢なのか Ⅰ 「戦後」七十年 1 『父と暮せば』の問い 2 『明日――一九四五年八月八日・長崎』の問い 3 『失われた兵士たち――戦争文学試論』を読む Ⅱ 父と子 4 桃、二つ 5 父と子――「海辺の広い庭」 6 ピークとは何か Ⅲ 風土・諫早 7 カスピアン・ターン――「鳥たちの河口」 8 風が吹いている――「草のつるぎ」 9 本明川――洪水の記憶と Ⅳ 歴史へ 10 未読のあなたへの手紙Ⅰ――『諫早菖蒲日記』 11 未読のあなたへの手紙Ⅱ――『落城記』 12 G島、アウステン山――『丘の火』 Author 深谷 考 Ko Fukaya 1950年、茨城県結城市生まれ。文筆家。著書一覧:『車谷長吉を読む』(2014年)、『三浦哲郎、内なる楕円』(2011年)、『滝田ゆう奇譚』(2006年)、『幸田文のかたみ』(2002年)、『洲之内徹という男』(1998年)、『阿部昭の〈時間〉』(1994年)、『海辺の人間――阿部昭論』(1991年)、『小さなモザイク』(1987年)、(いずれも青弓社)。