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書物と貨幣の五千年史
¥990
情報化社会の到来にともなって、ひとびとの行動や情報は電子機器上で完結し「見えない」ものになっている。その最たる例が電子書籍(書物)と電子決済(貨幣)だ。「読む」「支払う」といった手間をデバイス上で不可視化することで、人間の行動をブラックボックス化しているのである。 ブラックボックスが溢れる時代を、我々はどう生きるべきか。 Pay Payやマンガアプリ の登場から古代メソポタミア文明までを遡りながら、現代思想や文学作品に書かれた様々な「ブラックボックス」を読み解き、不可視化されたものに向うすべを説く。 [出版社より] 「若い永田さんが「ブラックボックス」という概念を用いて、現代世界を読み解こうという試みです。どのようにしたらこのブラックボックスから「生きた時間」を取り戻せるのか? それは読者ひとりひとりがみずから考えていかなければなりません」 ——岩井克人[経済学者] 「「見えないもの」たちこそ、大事な顛末を動かしてきた」 ——松岡正剛[編集工学者] 著 者|永田希 出版社|集英社[集英社新書] 定 価|900円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|280 ISBN|978-4-08-721183-2 初 版|2021年09月 Contents 第1章 すべてがブラックボックスになる 1.モバイル革命とはなにか 2.スクショとデジタルトランスフォーメーション 3.インターネット革命が生み出したブラックボックス 4.管理通貨制度と電子取引が不可視化したもの 第2章 情報革命の諸段階、情報濁流の生成過程 1.情報革命の諸段階、情報濁流の生成過程 2. ルネッサンスと印刷革命 3.中世以前の書物と貨幣 4.文字・言葉・数 第3章 人間は印字されたページの束である 1.印象と心像 2.現代思想はブラックボックスをどう扱ってきたか 3.価値とシミュラークル 4.ブルシットジョブと『生きた貨幣』 第4章 物語と時間 1.文学作品に畳み込まれた「生きた時間」 2.あなたの人生の物語 3.はてしない物語 4.「話」らしい話のない未来 Author 永田 希 Nozomi Nagata 著述家、書評家。1979年、アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。書評サイト「Book News」主宰。「週刊金曜日」書評委員。「ダ・ヴィンチ」ブックウォッチャーの1人として毎月選書と書評を担当。著書に『積読こそが完全な読書術である』(イースト・プレス)。
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目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
¥1,870
SOLD OUT
見えない人と見るからこそ、見えてくる。 全盲の白鳥建二さんとアート作品を鑑賞することにより、浮かびあがってくる社会や人間の真実、アートの力。 「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」 友人マイティの一言で、「全盲の美術鑑賞者」とアートを巡るというユニークな旅が始まった。白鳥さんや友人たちと絵画や仏像、現代美術を前に会話をしていると、新しい世界の扉がどんどん開き、それまで見えていなかったことが見えてきた。 視覚や記憶の不思議、アートの意味、生きること、障害を持つこと、一緒にいること。そこに白鳥さんの人生、美術鑑賞をする理由などが織り込まれ、壮大で温かい人間の物語が紡がれていく。見えない人とアートを見る旅は私たちをどこに連れていってくれるのか。 軽やかで明るい筆致の文章で、美術館めぐりの追体験を楽しみながら、社会を考え、人間を考え、自分自身を見つめ直すことができる、まったく新しいノンフィクション! [出版社より] 「誰かとわかりあえない寂しさを、幸福な余白に変えてくれる本でした」 ——岸田奈美[作家] 著 者|川内有緒 出版社|集英社 定 価|2,100円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-7976-7399-9 初 版|2021年09月 Contents そこに美術館があったから マッサージ屋とレオナルド・ダ・ヴィンチの意外な共通点 宇宙の星だって抗えないもの ビルと飛行機、どこでもない風景 湖に見える原っぱってなんだ 鬼の目に涙は光る 荒野をゆく人々 読み返すことのない日記 みんなどこへ行った? 自宅発、オルセー美術館ゆき ただ夢を見るために 白い鳥がいる湖 Author 川内 有緒 Ario Kawauchi ノンフィクション作家。1972年東京都生まれ。映画監督を目指して日本大学芸術学部へ進学したものの、あっさりとその道を断念。行き当たりばったりに渡米したあと、中南米のカルチャーに魅せられ、米国ジョージタウン大学で中南米地域研究学修士号を取得。米国企業、日本のシンクタンク、仏のユネスコ本部などに勤務し、国際協力分野で12年間働く。2010年以降は東京を拠点に評伝、旅行記、エッセイなどの執筆を行う。 『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』(幻冬舎)で、新田次郎文学賞、『空をゆく巨人』(集英社)で開高健ノンフィクション賞を受賞。 著書に『パリでメシを食う。』『パリの国連で夢を食う。』(以上幻冬舎文庫)、『晴れたら空に骨まいて』(講談社文庫)、『バウルを探して〈完全版〉』(三輪舎)など。白鳥建二さんを追ったドキュメンタリー映画『白い鳥』の共同監督。現在は子育てをしながら、執筆や旅を続け、小さなギャラリー「山小屋」(東京・恵比寿)を家族で運営する。 趣味は美術鑑賞とD.I.Y。「生まれ変わったら冒険家になりたい」が口癖。
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空をゆく巨人
¥1,870
SOLD OUT
現代美術の世界的スーパースター蔡國強と、世界最大99000本の桜を植える福島の男。夢に挑み続けるふたりの“巨人”の奇跡の実話。 福島県いわき市の実業家・志賀忠重と、中国福建省出身の世界的現代美術家、蔡國強。二人は、1980年代にいわきで出会い、数々の驚くべき「作品」を生み出してきた。砂浜に埋もれた木造船を掘り出した作品、海に導火線を置いて走らせた炎……蔡が描いたスケッチを、日頃アートに縁のない志賀らが頭と体を使って形にしていく――いわきは蔡が世界に羽ばたくきっかけとなった。 そんな二人の最大の作品が、東日本大震災後に制作した「いわき回廊美術館」だ。美術館周辺の山々では、志賀が、99,000本の桜を250年かけて植樹する「いわき万本桜プロジェクト」を進めている。原発という「負の遺産」を残したことを激しく悔いて、未来のいわきを世界に誇れる場所にするために。 二人の「巨人」の足跡を辿りながら、美術、ひいては「文化」というものの底力を問う。こんな時代だからこそ伝えたい、アートと人間の物語。読み終えたあと、一歩を踏み出す勇気が湧いてくる! 第16回開高健ノンフィクション賞受賞作。 [出版社より] 「ひとりの人間が出来ることなど、たかだか知れている。しかし、ふたりになると奇跡が起こる。中国福建省出身の蔡國強と福島県いわきの会社経営者志賀忠重。ふたりは、80年代末にいわきで出会い、数々の作品を生み出して来た。そして、蔡國強は、現代美術の世界的なスーパースターになった。ぼくは、この話を他人事として読むことは出来なかった。蔡國強と宮崎駿が折り重なった」 ——鈴木敏夫[スタジオジブリ] 著 者|川内有緒 出版社|集英社 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|372 ISBN|978-4-08-781671-6 初 版|2018年11月 Contents 生まれながらの商売人―いわき・一九五〇年 風水を信じる町に生まれて―泉州・一九五七年 空を飛んで、山小屋で暮らす―サンフランシスコ・一九七六年 爆発する夢―泉州・一九七八年 ふたつの星が出会うとき―東京・一九八六年 時代の物語が始まった―いわき・一九九三年 キノコ雲のある風景―ニューヨーク・一九九五年 最果ての地―レゾリュート・一九九七年 氷上の再会―レゾリュート・一九九七年 旅人たち―いわき・二〇〇四年 私は信じたい 怒りの桜 龍が駆ける美術館 夜桜 空をゆく巨人 Author 川内 有緒 Ario Kawauchi 1972年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業後、米国ジョージタウン大学で修士号を取得。米国企業、日本のシンクタンク、仏の国連機関などに勤務後、フリーのライターとして評伝、旅行記、エッセイなどを執筆。その傍ら小さなギャラリーも運営。『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』で、第33回新田次郎文学賞を受賞。著書に『パリでメシを食う。』、『パリの国連で夢を食う。』、『晴れたら空に骨まいて』など。
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理不尽ゲーム
¥2,310
SOLD OUT
欧州最後の独裁国家ベラルーシ。その内実を、小説の力で暴く。 群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスク。老いた祖母だけがその回復を信じ、病室で永遠のような時を過ごす一方、隣の大国に依存していた国家は、民が慕ったはずの大統領の手によって、少しずつ病んでいく。 10年後の2009年、奇跡的に目覚めたツィスクが見たものは、ひとりの大統領にすべてを掌握された祖国、そして理不尽な状況に疑問をもつことも許されぬ人々の姿だった。 時間制限付きのWi-Fi。嘘を吐く国営放送。生活の困窮による、女性の愛人ビジネス。荒唐無稽な大統領令と「理不尽ゲーム」。ジャーナリストの不審死。5年ごとの大統領選では、現職が異常な高得票率で再選される……。 緊迫の続く、現在のベラルーシの姿へとつながる物語。 [出版社より] 「この小説が文学賞を受賞したとき、たくさんの賞賛とともに、批判の声もあがりました。 「そんなはずはない」というものでした”」――作者 著 者|サーシャ・フィリペンコ 出版社|集英社 定 価|2,100円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|256 ISBN|978-4-08-773511-6 初 版|2021年03月 Author サーシャ・フィリペンコ Sasha Filipenko / Саша Филипенко 1984年、ベラルーシのミンスク生まれ。サンクトペテルブルグ大学で文学を学ぶ。テレビ局でジャーナリストや脚本家として活動し、2014年に『理不尽ゲーム』で長編デビュー。本書は複数の文学賞にノミネートされ、「ルースカヤ・プレミヤ」(ロシア国外に在住するロシア語作家に与えられる賞)を受賞した。現在も執筆を続けており、ノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチからも高く評価されている。 Translator 奈倉 有里 Yuri Nagura 1982年東京生まれ。東京大学大学院卒。博士(文学)。訳書にミハイル・シーシキン『手紙』、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』(以上新潮クレスト・ブックス)、ボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』(岩波書店)、『ポケットマスターピース10 ドストエフスキー』(分担訳、集英社文庫ヘリテージシリーズ)、『ナボコフ・コレクション マーシェンカ/キング、クイーン、ジャック』(分担訳、新潮社)など多数。
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拡張するキュレーション 価値を生み出す技術
¥968
SOLD OUT
情報を組み換え、新しい価値を創る! 梅棹忠夫の「知的生産技術」 柳宗悦の「創作的蒐集」 岡本太郎の「対極主義」 ハラルド・ゼーマンの「構築されたカオス」 新たな価値をいかに生み出すのか。 「価値」「文脈」「地域」「境界」「事故」「食」「国策」という七つのテーマごとに、現代美術に限らない「知的生産技術」としてのキュレーションの実践を読み解く。 庶民の生活雑器を収集し独自の価値体系を築いた柳宗悦の「民藝」、博物館の資料展示の見せ方を刷新し賛否両論を巻き起こしたフランスの「ケ・ブランリ美術館」、インディペンデントキュレーターの誕生によって観光資源として多くの来場者を集めるようになった芸術祭、死後見いだされたアウトサイダーアートの偉業――。 情報を組み換えることで新たな価値を生み出すキュレーションという営みは、誰もが情報生産者となりうる現代を生き抜くための創造的なヒントに満ちている。 [出版社より] 著 者|暮沢剛巳 出版社|集英社[集英社新書] 定 価|880円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|272 ISBN|978-4-08-721150-4 初 版|2021年01月 Contents 序章 展覧会企画と情報検索 第一章 「価値」のキュレーション 第二章 「文脈」のキュレーション 第三章 「地域」のキュレーション 第四章 「境界」のキュレーション 第五章 「事故」のキュレーション 第六章 「食」のキュレーション 第七章 「国策」のキュレーション 終章 展覧会――情報処理としてのキュレーション Author 暮沢剛巳 Takemi Kuresawa 一九六六年、青森県生まれ。東京工科大学デザイン学部教授。 美術・デザイン評論。著書に『オリンピックと万博』『現代美術のキーワード100』(以上、ちくま新書)、『世界のデザインミュージアム』(大和書房)『エクソダス―アートとデザインをめぐる批評』(水声社)など、共著に『大阪万博が演出した未来』『幻の万博』(以上、青弓社)など。
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未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?
¥1,078
世界最高峰の知性たちが描く、危機の時代の羅針盤——。 利潤率低下=資本主義の終焉という危機は、資本の抵抗によって人々の貧困化と民主主義の機能不全を引き起こしたが、そこに制御困難なAI(人工知能)の発達と深刻な気候変動が重なった。 我々が何を選択するかで、人類の未来が決定的な違いを迎える「大分岐」の時代――。 「サイバー独裁」や「デジタル封建制」はやって来るのか? 世界最高峰の知性たちが日本の若き経済思想家とともに、新たな展望を描き出す! [出版社より] 編 者|斎藤幸平 著 者|マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソン 出版社|集英社[集英社新書] 定 価|980円+税 判 型|新書判 頁 数|254 ISBN|978-4087210880 初 版|2019年8月 Contents 第1部 マイケル・ハート 資本主義の危機/政治主義の罠/<コモン>から始まる新たな民主主義/貨幣の力とベーシックインカム 第2部 マルクス・ガブリエル 「ポスト真実」の時代を生んだ真犯人/「人間の終焉」と相対主義/ 新実在論で民主主義を取り戻す 未来への大分岐――環境危機とサイバー独裁 第3部 ポール・メイソン 資本の抵抗――GAFAの独占はなぜ起きた?/シンギュラリティが脅かす人間の条件/資本主義では環境危機を乗り越えられない/生き延びるためのポストキャピタリズム Editor 斎藤幸平 Kohei Saito 1987年生まれの若き経済思想家。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。Karl Marx's Ecosocialism: Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economyで権威あるドイッチャー記念賞を史上最年少で受賞。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。 Author マルクス・ガブリエル Markus Gabriel 史上最年少でボン大学哲学正教授に抜擢された天才哲学者。ベストセラー『なぜ世界は存在しないのか』、NHK『欲望の資本主義』シリーズなどでメディアの寵児に。 マイケル・ハート Michael Hardt グローバル資本主義が変容させる政治・経済の姿を描き切った『<帝国>』(ネグリとの共著)。 その大著の予見の正しさが日々、証明されるなか、世界の社会運動の理論的支柱となっている。 ポール・メイソン Paul Mason ナオミ・クラインらが絶賛した『ポストキャピタリズム』で、情報テクノロジーによって資本主義は崩壊すると主張し、次なる経済社会への移行を大胆に予言。鬼才の経済ジャーナリスト。