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資本主義の次に来る世界
¥2,640
「少ないほうが豊か」である。 「アニミズム対二元論」というかつてない視点で文明を読み解き、成長を必要としない次なる社会を描く希望の書。ケイト・ラワース(『ドーナツ経済学が世界を救う』著者)、ダニー・ドーリング(『Slowdown 減速する素晴らしき世界』著者)ほか、世界の知識人が大絶賛。 デカルトの二元論は「人間」と「自然」を分離した。そして資本主義により、自然や身体は「外部化」され、「ニーズ」や「欲求」が人為的に創出されるようになった。資本主義の成長志向のシステムは、人間のニーズを満たすのではなく、「満たさないようにすること」が目的なのだ。 それでは、人類や地球に不幸と破滅をもたらさない、「成長に依存しない次なるシステム」とは何か? 経済人類学者が描く、かつてない文明論と未来論。 「本書が語るのは破滅ではない。語りたいのは希望だ。どうすれば、支配と採取を軸とする経済から生物界との互恵に根差した経済へ移行できるかを語ろう。」(「はじめに 人新世と資本主義」より) [出版社より] 著 者|ジェイソン・ヒッケル 訳 者|野中香方子 出版社|東洋経済新報社 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|326 ISBN|9784492315491 発 行|2023年04月 Contents はじめに 人新世と資本主義 第1部 多いほうが貧しい 第1章 資本主義――その血塗られた創造の物語 第2章 ジャガノート(圧倒的破壊力)の台頭 第3章 テクノロジーはわたしたちを救うか? 第2部 少ないほうが豊か 第4章 良い人生に必要なものは何か 第5章 ポスト資本主義への道 第6章 すべてはつながっている 謝辞 原注 Author ジェイソン・ヒッケル Jason Hickel 経済人類学者。英国王立芸術家協会のフェローで、フルブライト・ヘイズ・プログラムから研究資金を提供されている。エスワティニ(旧スワジランド)出身で、数年間、南アフリカで出稼ぎ労働者と共に暮らし、アパルトヘイト後の搾取と政治的抵抗について研究してきた。近著The Divide: A Brief Guide to Global Inequality and its Solutions(『分断:グローバルな不平等とその解決策』、未訳)を含む3冊の著書がある。『ガーディアン』紙、アルジャジーラ、『フォーリン・ポリシー』誌に定期的に寄稿し、欧州グリーン・ニューディールの諮問委員を務め、「ランセット 賠償および再分配正義に関する委員会」のメンバーでもある。 Translator 野中 香方子 Kyoko Nonaka お茶の水女子大学文教育学部卒業。主な訳書にアイザックソン『コード・ブレーカー(上下)』(共訳、文藝春秋)、サイクス『ネアンデルタール』(筑摩書房)、ヴィンス『進化を超える進化』(文藝春秋)、ウィルミア/トーランド『脳メンテナンス大全』(日経BP)、ブレグマン『Humankind 希望の歴史(上下)』(文藝春秋)、シボニー『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』(日経BP)、ズボフ『監視資本主義』(東洋経済新報社)、イヤール/リー『最強の集中力』(日経BP)、メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社)ほか多数。
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差別と資本主義
¥2,970
SOLD OUT
人種やジェンダーをめぐる差別・不平等は、グローバル資本主義の構造と深くかかわって、全世界的な社会分断を生んでいる。差別問題に正面から切り込んだトマ・ピケティの論考をはじめ、国際的な識者たちが問題の深淵と解決への道筋を語る、最先端の論集。 [出版社より] 著 者|トマ・ピケティ、ロール・ミュラ、セシル・アルデュイ、リュディヴィーヌ・バンティニ 訳 者|尾上修悟、伊東未来、眞下弘子、北垣徹 出版社|明石書店 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|216 ISBN|9784750356037 発 行|2023年06月 Contents 訳者序文[尾上修悟] 第一章 人種差別の測定と差別の解消[トマ・ピケティ] 第二章 キャンセルカルチャー――誰が何をキャンセルするのか[ロール・ミュラ] 第三章 ゼムールの言語[セシル・アルデュイ] 第四章 資本の野蛮化[リュディヴィーヌ・バンティニ] 訳者解説[尾上修悟] Author トマ・ピケティ Thomas Piketty フランス国立社会科学高等研究院の研究所長、パリ経済学校の教授、ならびにグローバル不平等研究所の共同主宰者。 ロール・ミュラ Laure Murat カリフォルニア大学ロサンゼルス校ヨーロッパ言語・越境文化学科教授。 セシル・アルデュイ Alduy C'ecile スタンフォード大学(米国)フランス文学・文明学の教授、パリ政治学院政治学研究センターCEVIPOFの准研究員。 リュディヴィーヌ・バンティニ Ludivine Bantigny 歴史家、教員・研究者、ルーアン大学GRHisラボメンバー。社会参加、社会運動・反乱・革命の歴史を研究
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クソったれ資本主義が倒れたたあとの、もう一つの世界
¥1,980
「株式市場をぶっ壊せ。21世紀の革命は、いま始まったばかりだ」 ——斎藤幸平 「公平で正しい民主主義」が実現した2025年にいるもう一人の自分と遭遇した。分岐点は2008年、そうリーマンショックがあった年だ。2011年に「ウォール街を占拠せよ」と叫んだ、強欲な資本家と政治家に対する民衆の抗議活動はほどなく終わったが、「もう一つの世界」では別の発展をたどることになった。資本主義消滅後のパラレルワールドは、はたして新たなユートピアなのか、それとも? 『父が娘に語る、美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』著者による衝撃のストーリー。 [出版社より] 著 者|ヤニス・ヴァルファキス 訳 者|江口泰子 出版社|講談社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|362 ISBN|978-4-06-521950-8 発 行|2021年09月 Contents <資本主義が滅びた「もう一つの世界」では……> →銀行がなくなる 残るのは中央銀行1行だけ →株式市場がなくなる 社員は1人1株、議決権1票 →独占巨大資本がなくなる GAFA消滅 →格差がなくなる 中央銀行が国民全員に定額を給付 →上司がいなくなる 好きな相手とチームをつくり基本給は全員同額 分岐点は2008年/この世界と異なる選択をした「もう一つの世界」/パラレルワールド/S F/経済学/ギリシャ哲学/オルタナティブストーリー/デジタル化はプロレタリア化/資本主義の終焉?/新しい社会主義?/サッチャリズム/スターリン/ジェフ・ベゾス/リーマンブラザーズ/貨幣/土地/議決権/強欲資本家/1人1株1票/スター社員も新入社員も基本給は均等割/パーキャブ口座/ヒエラルキーの消滅/銀行の消滅/イデオロギー/コーポ・サンディカリズム/家父長制/恋愛至上主義/フェミニズム/アクティビスト/リベラリスト/ワルキューレの騎行/ヘパイストスの狂気 Author ヤニス・バルファキス Yanis Varoufakis 1961年アテネ生まれ。経済学部教授として長年にわたり、英国、オーストラリア、ギリシャ、米国で教鞭をとる。2015年、ギリシャ経済危機のさなかにチプラス政権の財務大臣に就任。緊縮財政策を迫るEUに対して大幅な債務減免を主張し、注目を集めた。2016年、DiEM25((Democracy in Europe Movement 2025:民主的ヨーロッパ運動2025)を共同で設立。2018年、米国の上院議員バーニー・サンダース氏らとともにプログレッシブ・インターナショナル(Progressive International)を立ち上げる。世界中の人々に向けて、民主主義の再生を語り続けている。主な著書に、『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモンド社)『わたしたちを救う経済学――破綻したからこそ見える世界の真実』(Pヴァイン)『黒い匣――密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』(明石書店)『世界牛魔人――グローバル・ミノタウロス:米国、欧州、そして世界経済のゆくえ』(那須里山舎)などがある。 Translator 江口 泰子 Taiko Eguchi 法政大学法学部卒業。編集事務所、広告企画会社勤務を経て翻訳業に従事。訳書に、『結局、自分のことしか考えない人たち――自己愛人間への対応術』(草思社)、『ケネディ暗殺 50年目の真実』『21世紀の脳科学――人生を豊かにする3つの「脳力」』(以上、講談社)、『ブレグジット秘録――英国がEU離脱という「悪魔」を解き放つまで』『ザ・フォーミュラ――科学が解き明かした「成功の普遍的法則」』(以上、光文社)、『140字の戦争――SNSが戦場を変えた』『2030――世界の大変化を「水平思考」で展望する』(以上、早川書房)ほか多数。
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資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか
¥1,210
SOLD OUT
資本主義は私たちの生存基盤を食い物にすることで肥大化する矛盾に満ちたシステムである。世界的政治学者がそのメカニズムを根源から批判する。 なぜ経済が発展しても私たちは豊かになれないのか。それは、資本主義が私たちの生活や自然といった存立基盤を餌に成長する巨大なシステムだからである。資本主義そのものが問題である以上、「グリーン資本主義」や、表面的な格差是正などは目くらましにすぎず、根本的な解決策にはなりえない。破局から逃れる道はただ一つ、資本主義自体を拒絶することなのだ――。世界的政治学者が「共喰い資本主義」の実態を暴く話題作。解説=白井聡。 [出版社より] 著 者|ナンシー・フレイザー 訳 者|江口泰子 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|1,100円+税 判 型|新書判・並製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-07565-9 発 行|2023年08月 Contents 序章 共喰い資本主義―私たちはもう終わりなのか 第1章 雑食―なぜ資本主義の概念を拡張する必要があるのか 第2章 飽くなき食欲―なぜ資本主義は構造的に人種差別的なのか 第3章 ケアの大喰らい―なぜ社会的再生産は資本主義の危機の主戦場なのか 第4章 呑み込まれた自然―生態学的政治はなぜ環境を超えて反資本主義なのか 第5章 民主主義を解体する―なぜ資本主義は政治的危機が大好物なのか 第6章 思考の糧―二一世紀の社会主義はどんな意味を持つべきか 終章 マクロファージ―共喰い資本主義の乱痴気騒ぎ Author ナンシー・フレイザー Nancy Fraser 1947年生まれ。アメリカの政治学者。ニューヨーク市立大学大学院センターで博士号取得。ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの政治・社会科学教授。専門は、批判理論、ジェンダー論、現代フランス・ドイツ思想。邦訳書に、『中断された正義――「ポスト社会主義的」条件をめぐる批判的省察』(御茶の水書房)、『正義の秤――グローバル化する世界で政治空間を再想像すること』(法政大学出版局)、『再配分か承認か?――政治・哲学論争』(共著、法政大学出版局)、『99%のためのフェミニズム宣言』(共著、人文書院)など。 Translator 江口 泰子 Taiko Eguchi 翻訳家。法政大学法学部卒業。ヤニス・バルファキス『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』(講談社)、ウィリアム・ノードハウス『グリーン経済学』(みすず書房)など訳書多数。
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新百姓宣言
¥1,100
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人間がシステムに隷属するのではなく、創造の主体として、一人ひとりの創造性がより自由に解放されるには? 本書では、今のCapitalism(資本主義)に至る社会システムのコンテキストとその本質や機能不全について考えた上で、「つくる喜び」を最も大切にするCreativitism(創造性主義)というあり方を提示し、それに向けた世界観や価値の転回について論じます。そして、Creativitismの観点から見た暮らしや仕事のあり方と、それに基づいた新たな社会の仕組みについて、仮説を提示します。 カネを最重視するCapitalismをはじめ、従来の権威的な主義と違って、Creativitismが最も大切にする「つくる喜び」は、あくまで私たち一人ひとりが個人的に、自らの感覚によってしか確認できないものです。だからこそ、身の周りの衣食住から、物事の解釈や意味づけという「見方」まで、あらゆるレイヤーで私たちは一人ひとりが創造の主体であり、日常の中のどんな営みからでも、「つくる」を楽しみはじめられる。 Capitalismの限界が様々な面であらわになりつつある今、既存の社会システムに疑問を持ち、生き方や働き方を根本的に考え直す人が増えているのではないでしょうか。 「常識」や「正解」にただ沿うのではなく、自分が本当に大切にしたいことを、大切にしたい。狭い範囲でコントロールするのではなく、より広い縁起の中で、偶発性を楽しみつつ、自分が思い描くものを、自らの手でつくってみたい。 もしもそういった思いを抱いているのならば、本書はそういう方々に友人のように寄り添い、問いかけ、背中を押し、ともに考え歩むような一冊になり得ると思います。 本書が、手に取ってくださったお一人お一人にとって、自身の秘めた創造性に気づき、より花開かせるきっかけの一つになれれば幸いです。 [編集部より] 著 者|おぼけん[雑誌『新百姓』編集長] 出版社|ている舎 定 価|1,000円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-910961-03-3 発 酵|2024年05月
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平等についての小さな歴史
¥2,750
3000ページの達成を250ページに凝縮。公正な未来のために、経済学からの小さな贈り物。 「〈あなたの著書はとても興味深いです。でも、その研究について友人や家族と共有できるように、もう少し短くまとめて書いてもらえるとありがたいですが、どうでしょう?〉 このささやかな本はある意味、読者の皆さんにお会いするたびに決まって言われたそんな要望に応えたものだ。私はこの20年間に不平等の歴史について3冊の著作を世に出したが、いずれもおよそ1000ページにも及ぶものになった。『格差と再分配』『21世紀の資本』『資本とイデオロギー』の3冊だ。…こうして積み重ねられた膨大な量の考証を前にすれば、どんなに好奇心旺盛な人でも意気消沈してしまうことだろう。そこで私はこれまでの研究を要約することにした。本書はその成果である。 しかし本書は、こうした研究から得られる主な教訓を総論的に紹介しているだけではない。…自分の数々の研究を通して深めた確信に基づいて平等の歴史についての新たな展望を示している」 ——謝辞より [出版社より] 「格差に対処する野心的な計画を提示している。…政治の未来についての議論の出発点だ」 ——マイケル・J・サンデル(ハーバード大学教授|『実力も運のうち』) 「ピケティにとって、歴史の弧は長く、しかも平等に向かっている。…平等を成し遂げるには、つねに無数の制度を[再]創造しなくてはならない。本書はそれを助けるためにやってきた」 ——エステル・デュフロ(2019年ノーベル経済学賞受賞者) 「不平等から平等へと焦点を移したピケティが示唆しているのは、必要なのは鋭い批判だけではなく、回復のための治療法だということだ」 ——ジェニファー・サライ(『ニューヨーク・タイムズ』) 原 書|UNE BRÈVE HISTOIRE DE L'ÉGALITÉ 著 者|トマ・ピケティ 訳 者|広野和美 出版社|みすず書房 定 価|2,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|264 ISBN|978-4-622-09732-7 初 版|2024年09月 Contents はじめに 新しい経済史、社会史 不公平に対する反乱、公正な制度を学ぶ パワーバランスとその限界 1 平等への歩み――最初の手がかり 人類の進歩――すべての人のための教育と保健医療 世界人口と平均所得――成長の限界 社会・経済指標の選択――政治的な問題 さまざまな社会・環境指標を選択する 不平等対策なくして持続可能な発展はない 2 遅々として進まない権力と資産の分散 18世紀以降の資産集中の推移 資産と権力――権利の束 生産手段、住居、国債、海外資産を所有することの意味 ようやく台頭しはじめた中産階級 所得のさらなる平等への長い歩み 3 奴隷制と植民地主義の遺産 産業革命、植民地主義、環境 大分岐の起源――ヨーロッパの軍事的支配 綿の帝国――世界の繊維産業を支配 保護主義、中心と周辺の関係、世界システム論 ヨーロッパを地方化する、西ヨーロッパの特殊性を再考する 経済史、社会史、国家建設の歴史 4 賠償問題 奴隷制の廃止――奴隷所有者への金銭的賠償 フランス政府は、ハイチが支払った債務を返還すべきか? イギリスとフランスにおける奴隷制廃止と損失補償、1833年と1848年 アメリカ、長く続いた奴隷制共和国 奴隷解放後の植民地主義と強制労働の問題 フランス、自覚のない植民地主義共和国 賠償問題――超国家レベルで公正について再考する 5 革命、身分、階級 特権と身分による差別の終焉? 強制労働および半強制労働からの脱却への長い道のり 1900年代のスウェーデン――一人百票の投票権 特権の変容――お金で動く民主主義 いつまでも続く納税額に基づく制限選挙――経済界の金権主義 参加型社会主義と権限共有 6 「大再分配」、1914-1980年 社会国家の創出――教育、保健医療、社会保障 租税国家の第二の大きな前進――人類学的改革 所得および相続財産に対する累進税の創設 真の累進性と社会契約――納税に対する同意の問題 累進税――課税前の格差も縮小させるためのツール 植民地資産と公的債務の清算 公的債務の帳消しのおかげで復興したヨーロッパ 7 平等の限界――資産の極端な集中 社会国家と累進税――資本主義の徹底的な変革 所有権と社会主義――分権化の問題 分権化した自主管理による民主社会主義を目指して 資本の自由な移動――新しい財産主義権力 8 差別と闘う真の平等 教育の機会均等――声高に叫ばれているものの、いまだに実現していない 社会的基準に基づくアファーマティブ・アクションのために 居座り続ける家父長制と生産性第一主義 アイデンティティを硬直化させることなく、差別と闘う 社会的パリテと富の再分配を両立させる どれほどの人種差別があるか見極める――民族・人種カテゴリーの問題 宗教的中立とフランス流政教分離の偽善 9 新植民地主義からの脱却 栄光の30年と南側世界――社会‐国民国家の限界 新植民地主義、貿易の自由化、タックスヘイブン 見せかけの国際援助と気候変動政策 貧困国の権利――世界の中心と周辺という考え方からの脱却 社会‐国民国家から社会‐連邦国家へ 民主的な社会連邦主義を目指して 10 環境に配慮した多民族共生の民主社会主義へ 変わる力――気候温暖化とイデオロギー闘争 中国社会主義、完全なデジタル専制体制の脆さ 資本主義間の戦争から社会主義間の闘いへ 通貨は私たちを救ってくれるだろうか? 普遍的主権主義を目指して 索引 原注 図表一覧 Author トマ・ピケティ Thomas Piketty パリ経済学校経済学教授。社会科学高等研究院(EHESS)経済学教授。EHESSおよびロンドン経済学校(LSE)で博士号を取得後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭を執る。2000年からEHESS教授、2007年からパリ経済学校教授。多数の論文を the Quarterly Journal of Economics, the Journal of Political Economy, the American Economic Review, the Review of Economic Studies で発表。著書も多数。経済発展と所得分配の相互作用について、主要な歴史的、理論的研究を成し遂げた。特に、国民所得に占めるトップ層のシェアの長期的動向についての近年の研究を先導している。世界不平等研究所、世界不平等データベースの共同所長、また欧州の民主化に向けたマニフェストの主唱者でもある。邦訳書『21世紀の資本』(みすず書房、2014)『格差と再分配』(早川書房、2016)『トマ・ピケティの新・資本論』(日経BP、2015)『不平等と再分配の経済学』(明石書店、2020)『資本とイデオロギー』(みすず書房、2023)。 Translator 広野 和美 Kazumi Hirono 翻訳家。訳書 アレ & アダム『マンガで読む 資本とイデオロギー』ピケティ原作(みすず書房、2024)ル・ブルトン『歩き旅の愉しみ』(草思社、2022)ペリノ『0番目の患者』(共訳、柏書房、2020)ル・ケンヌ『フランス式 おいしい調理科学の雑学』(パイインターナショナル、2020)ほか。
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史的システムとしての資本主義
¥990
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資本主義をひとつの歴史的な社会システムとみなし、その成立・機能・問題点を鋭く描き出す。 壮大な〈世界システム論〉を唱えたウォーラーステイン(1930-2019)。資本主義をひとつの歴史的な社会システムとみなし、「中核/周辺」「ヘゲモニー」「帝国」「反システム運動」などの概念を用いて、その成立・機能・問題点を鋭く描き出す。現代世界を批判的に検討し、未来を展望するうえで示唆に富む一冊。 [出版社より] 著 者|イマニュエル・ウォーラーステイン 訳 者|川北稔 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|270 ISBN|9784003840016 発 行|2022年07月 Contents 日本の読者へ はじめに 史的システムとしての資本主義 Ⅰ 万物の商品化──資本の生産 Ⅱ 資本蓄積の政治学──利益獲得競争 Ⅲ 真理はアヘンである──合理主義と合理化 Ⅳ 結論──進歩と移行について 資本主義の文明 Ⅰ バランス・シート Ⅱ 将来の見通し 訳者あとがき 訳者解説
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贈与経済2.0
¥1,980
「お金を稼がずに生きていける世界」なんて、ありうるのか? 「お金」さえあれば何でもできる世の中だと信じられていますが、その「経済的自由」を実現するために、人々は資本主義経済の厳しいルールの下で「勝ち続けること」を強いられています。経済学の父、アダム・スミスは、そもそも、そうやって人々が「騙される」ことで社会のルールを守り、同時に経済を発展させる仕組みを提案したのでした。 しかし、その仕組みには、もう限界が来ています。金融危機や気候危機など、システム全体の見直しを迫る問題に対処できないのです。とはいえ、従来のオルタナティブには、理想に人々を縛る危険があり、代替案とされる贈与経済にも構造的な問題がありました。そこで本書は、まったく新しい「贈与経済2.0」を提唱します。最新の技術を用い、お金を介さない新しい経済圏の実像を鮮やかに描きます。 [出版社より] 著 者|荒谷大輔 出版社|翔泳社 定 価|1,800円+税 判 型|四六版/並製 頁 数|248 ISBN|9784798184159 刊 行|2024年04月 Contents 第1章 なぜお金を稼がないと生きていけないのか――資本主義経済の構造を探る 第2章 理想の社会を作ろうとする試みはなぜ失敗し続けるのか――もうひとつの「近代社会」と戦後秩序 第3章 贈与経済はなぜそのままでオルタナティブになりえないのか――贈与経済論の再構築 第4章 これからの社会はどうあるべきか――他者との自由な関係に基づく「新しい経済」 第5章 いま、何をすればいいのか――「贈与経済2.0」の作り方 第6章 未来の社会はどのようになるのか――「近代社会」を超えて Author 荒谷 大輔 Daisuke Araya 慶應義塾大学文学部教授、江戸川大学名誉教授。専門は哲学/倫理学。主な著書に『資本主義に出口はあるか』(講談社現代新書)、『ラカンの哲学』(講談社選書メチエ)、『「経済」の哲学』(せりか書房)、『西田幾多郎:歴史の論理学』(講談社)、『使える哲学』(講談社選書メチエ)など。
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所有とは何かーーヒト・社会・資本主義の根源
¥2,310
本やスマホ、土地や家屋、雇用や資産。自分のモノとして持っていることが「所有」であり、衣食住や商品取引、資本主義の原点である。こんにちシェアやサブスクがあるのに、ヒトは所有せずにいられない。他方でヒトの生存を守る所有権が、富の偏在を生む元凶となっている。なぜだろうか? 経済学や社会学、人類学の第一線の研究者6人が、所有(権)の謎をひもとき、人間の本性や社会の成立過程、資本主義の矛盾を根底から捉えなおす。 [出版社より] 編著者|岸政彦・梶谷懐 出版社|中央公論新社[中公選書] 定 価|2,100円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|384 ISBN|978-4-12-110139-6 初 版|2023年06月 Contents 第1章 所有と規範―戦後沖縄の社会変動と所有権の再編(岸政彦) 第2章 手放すことで自己を打ち立てる―タンザニアのインフォーマル経済における所有・贈与・人格(小川さやか) 第3章 コンヴェンション(慣習)としての所有制度―中国社会を題材にして(梶谷懐) 第4章 経済理論における所有概念の変遷―財産権論・制度設計から制度変化へ(瀧澤弘和) 第5章 資本主義にとっての有限性と所有の問題(山下範久) 第6章 アンドロイドは水耕農場の夢を見るか?(稲葉振一郎) Editor & Author 岸 政彦 Masahiko Kishi 京都大学大学院文学研究科教授。1967年生まれ。社会学者・作家。専門は沖縄、生活史、社会調査方法論。著書に『断片的なものの社会学』、『リリアン』(第38回織田作之助賞)など。編著に『東京の生活史』(第76回毎日出版文化賞)など。 梶谷 懐 Kai Kajitani 神戸大学大学院経済学研究科教授。1970年生まれ。専門は現代中国経済。神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学)。中国人民大学に留学(財政金融学院)。著書に『現代中国の財政金融システム』(第29回大平正芳記念賞)など。
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力と交換様式
¥3,850
SOLD OUT
生産様式から交換様式への移行を告げた『世界史の構造』から一〇年余、交換様式から生まれる「力」を軸に、柄谷行人の全思想体系の集大成を示す。戦争と恐慌の危機を絶えず生み出す資本主義の構造と力が明らかに。呪力(A)、権力(B)、資本の力(C)が結合した資本=ネーション=国家を揚棄する「力」(D)を見据える。 [出版社より] 著 者|柄谷行人 出版社|岩波書店 定 価|3,500円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|428 ISBN|9784000615594 初 版|2022年10月 Contents 序論 1 上部構造の観念的な「力」 2 「力」に敗れたマルクス主義 3 交換様式から来る「力」 4 資本制経済の中の「精神」の活動 5 交換の「力」とフェティッシュ(物神) 6 交換の起源 7 フェティシズムと偶像崇拝 8 エンゲルスの『ドイツ農民戦争』と社会主義の科学 9 交換と「交通」 第一部 交換から来る「力」 予備的考察 力とは何か 1 見知らぬ者同士の交換 2 自然の遠隔的な「力」 3 「見えざる手」と進化論 4 貨幣の「力」 5 定住化と交換の問題 6 共同体の拡大と交換様式 第一章 交換様式Aと力 1 贈与の力 2 モースの視点 3 原始的な遊動民と定住化 4 トーテミズムと交換 5 後期フロイト 6 共同体の超自我 7 反復強迫的な「力」 第二章 交換様式Bと力 1 ホッブズの契約 2 商品たちの「社会契約」 3 首長制社会 4 原始社会の段階と交換様式 5 首長が王となる時 6 カリスマ的支配 7 歴史の「自然実験」 8 臣民と官僚制 9 国家をもたらす「力」 第三章 交換様式Cと力 1 貨幣と国家 2 遠隔地交易 3 帝国の「力」 4 帝国の法 5 世界帝国と超越的な神 6 交換様式と神観念 7 世界宗教と普遍宗教 第四章 交換様式Dと力 1 原遊動性への回帰 2 普遍宗教的な運動と預言者 3 ゾロアスター 4 モーセ 5 イスラエルの預言者 6 イエス 7 ソクラテス 8 中国の諸子百家 9 ブッダ 第二部 世界史の構造と「力」 第一章 ギリシア・ローマ(古典古代) 1 ギリシア芸術の模範性と回帰する「力」 2 亜周辺のギリシアの“未開性” 3 ギリシアの「氏族社会の民主主義」 4 キリスト教の国教化と『神の国』 5 悲惨な歴史過程の末の到来 第二章 封建制(ゲルマン) 1 アジア的なあるいは古典古代的な共同体との違い 2 ゲルマン社会の特性 3 ゲルマン社会における都市 4 修道院 5 宗教改革 第三章 絶対王政と宗教改革 1 王と都市(ブルジョア)との結託 2 「王の奇蹟」 3 臣民としての共同性 4 近代資本主義(産業資本主義) 5 常備軍と産業労働者の規律 6 国家の監視 7 新都市 第三部 資本主義の科学 第一章 経済学批判 1 貨幣や資本という「幽霊」 2 一八四八年革命と皇帝の下での「社会主義」 3 「物神の現象学」としての『資本論』 4 交換に由来する「力」 5 マルクスとホッブズ 6 株式会社 7 イギリスのヘゲモニー 第二章 資本=ネーション=国家 1 容易に死滅しない国家 2 カントの「平和連合」 3 自然の「隠微な計画」 4 帝国主義戦争とネーション 5 交換様式から見た資本主義 6 資本の自己増殖を可能にする絶え間ない「差異化」 7 新古典派の「科学」 第三章 資本主義の終わり 1 革命運動とマルクス主義 2 十月革命の帰結 3 二〇世紀の世界資本主義 4 新自由主義という名の「新帝国主義」 5 ポスト資本主義、ポスト社会主義論 6 晩年のマルクスとエンゲルスの仕事 7 環境危機と「交通」における「力」 第四部 社会主義の科学 第一章 社会主義の科学1 1 資本主義の科学 2 『ユートピア』とプロレタリアの問題 3 羊と貨幣 4 共同所有 5 「科学的社会主義」の終わり 6 ザスーリチへの返事 7 「一国」革命 8 氏族社会における諸個人の自由 9 私的所有と個人的所有 第二章 社会主義の科学2 1 エンゲルス再考 2 一八四八年革命挫折後の『ドイツ農民戦争』 3 一五二五年の「階級闘争」 4 原始キリスト教に関する研究 5 共産主義を交換様式から見る 第三章 社会主義の科学3 1 物神化と物象化 2 カウツキーとブロッホ 3 ブロッホの「希望」とキルケゴールの「反復」 4 ベンヤミンの「神的暴力」 5 無意識と未意識 6 アルカイックな社会の“高次元での回復” 7 交換様式Dという問題 8 交換様式Aに依拠する対抗運動の限界 9 危機におけるDの到来 注 あとがき Author 柄谷行人 Kojin Karatani 1941年生。思想家。著書に『定本日本近代文学の起源』『トランスクリティーク―カントとマルクス』『世界史の構造』『哲学の起源』(以上、岩波現代文庫)、『世界共和国へ』『憲法の無意識』『世界史の実験』(以上、岩波新書)、『定本 柄谷行人集』(全5巻)、『定本 柄谷行人文学論集』(以上、岩波書店)、『ニュー・アソシエーショニスト宣言』(作品社)ほか多数。
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世界史の構造
¥1,540
資本=ネーション=国家が世界を覆い尽くした現在,私たちはどんな未来も構想し得ないでいる.しかし本書は,世界史を交換様式の観点から根本的にとらえ直し,人類社会の秘められた次元を浮かび上がらせることで,私たちの前に未来に対する想像力と実践の領域を切り開いて見せた.英語版に基づいて改訂した決定版. ー 『トランスクリティーク』につづく主著の文庫化.ロングセラーである単行本に以下のような改訂が加えられた決定版です. 「本書を刊行したあと,英語での出版にそなえて検討している間に,多くの欠落に気づき加筆した.特に大幅に加筆したのは,ギリシアとユダヤ教をめぐる章である.この文庫版はそれに基づくものである.なお,英語版以前に出版された韓国,中国,台湾での版も,加筆したテクストに基づいている」 ――「岩波現代文庫版あとがき」より [出版社より] 著 者|柄谷行人 出版社|岩波書店[岩波現代文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|568 ISBN|9784006003234 初 版|2015年01月 Contents 序文 序説 交換様式論 1 マルクスのヘーゲル批判 2 交換様式のタイプ 3 権力のタイプ 4 交通概念 5 人間と自然の「交換」 6 社会構成体の歴史 7 近代世界システム 第1部 ミニ世界システム 序論 氏族社会への移行 第1章 定住革命 1 共同寄託と互酬 2 交易と戦争 3 成層化 4 定住革命 5 社会契約 6 贈与の義務 第2章 贈与と呪術 1 贈与の力 2 呪術と互酬 3 移行の問題 第2部 世界=帝国 序論 国家の起源 第1章 国家 1 原都市=国家 2 交換と社会契約 3 国家の起源 4 共同体=国家 5 アジア的国家と農業共同体 6 官僚制 第2章 世界貨幣 1 国家と貨幣 2 商品世界の社会契約 3 『リヴァイアサン』と『資本論』 4 世界貨幣 5 貨幣の資本への転化 6 資本と国家 第3章 世界帝国 1 アジア的専制国家と帝国 2 周辺と亜周辺 3 ギリシア 4 ローマ 5 封建制 第4章 普遍宗教 1 呪術から宗教へ 2 帝国と一神教 3 模範的預言者 4 倫理的預言者 5 神の力 6 キリスト教 7 異端と千年王国 8 イスラム教・仏教・道教 第3部 近代世界システム 序論 世界=帝国と世界=経済 第1章 近代国家 1 絶対主義王権 2 国家と政府 3 国家と資本 4 マルクスの国家論 5 近代官僚制 第2章 産業資本 1 商人資本と産業資本 2 労働力商品 3 産業資本の自己増殖 4 産業資本主義の起源 5 貨幣の商品化 6 労働力の商品化 7 産業資本主義の限界 8 世界経済 第3章 ネーション 1 ネーションの形成 2 共同体の代補 3 想像力の地位 4 道徳感情と美学 5 国家の美学化 6 ネーション=ステートと帝国主義 第4章 アソシエーショニズム 1 宗教批判 2 社会主義と国家主義 3 経済革命と政治革命 4 労働組合と協同組合 5 株式会社と国有化 6 世界同時革命 7 永続革命と段階の「飛び越え」 8 ファシズムの問題 9 福祉国家主義 第4部 現在と未来 第1章 世界資本主義の段階と反復 1 資本主義の歴史的段階 2 資本と国家における反復 3 1990年以後 4 資本の帝国 5 つぎのヘゲモニー国家 第2章 世界共和国へ 1 資本への対抗運動 2 国家への対抗運動 3 カントの「永遠平和」 4 カントとヘーゲル 5 贈与による永遠平和 6 世界システムとしての諸国家連邦 注 あとがき Author 柄谷行人 Kojin Karatani 1941年生まれ.思想家.『定本 柄谷行人集』(全5巻,岩波書店)『哲学の起源』(岩波書店)『トランスクリティーク』 『定本 日本近代文学の起源』(岩波現代文庫)『世界共和国へ』(岩波新書)『遊動論』(文春新書)『帝国の構造』(青土社)ほか著書多数.
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大洪水の前に——マルクスと惑星の物質代謝
¥1,540
マルクス未完のプロジェクト、その遺志を継ぐ——。 異常気象、疫病の流行や戦争……世界が危機に瀕する今、私たちは誰も取り残すことなく、これらの問題を解決するための道筋を探さなくてはならない。資本主義の暴力性や破壊性を正確に認識し、その上で、資本主義とは異なる社会システムを構築すること。『資本論』を記したカール・マルクスの、生前未刊行のノートからエコロジーの思想を汲み取り分析する。ドイッチャー記念賞受賞作。スラヴォイ・ジジェクの解説も収録。 [出版社より] 著 者|斎藤幸平 出版社|KADOKAWA[角川ソフィア文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|432 ISBN|9784041118498 初 版|2022年10月 Contents 第一部 経済学批判とエコロジー 第一章 労働の疎外から自然の疎外へ 第二章 物質代謝論の系譜学 第二部 『資本論』と物質代謝の亀裂 第三章 物質代謝論としての『資本論』 第四章 近代農業批判と抜粋ノート 第三部 晩期マルクスの物質代謝論へ 第五章 エコロジーノートと物質代謝論の新地平 第六章 利潤、弾力性、自然 第七章 マルクスとエンゲルスの知的関係とエコロジー Author 斎藤 幸平 Kohei Saito 1987年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。Karl Marx‘s Ecosocialism(邦訳『大洪水の前に』)によって権威あるドイッチャー記念賞を日本人初、歴代最年少で受賞。同書は世界七カ国で翻訳刊行されている。日本国内では、晩期マルクスをめぐる先駆的な研究によって日本学術振興会賞受賞。45万部を超えるベストセラー『人新世の「資本論」』で新書大賞2021を受賞。
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生きるためのフェミニズム——パンとバラと反資本主義
¥1,870
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「私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である。パン(金)も、バラ(尊厳)も、両方よこせ!」 蔓延する新型ウィルス、パンデミック下で強行される五輪、そして顕在化する不平等や分断。私たちが直面している危機は、COVID-19 によるというよりは元来グローバル資本主義ないしネオリベラリズムという災厄によるものである——。 女性の活躍、ケア労働、路上生活、再開発、生活保護...あらゆる格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る。気鋭の社会学者、初の単著。 [出版社より] 著 者|堅田香緒里 出版社|タバブックス 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|192 ISBN|978-4-907053-49-9 初 版|2021年07月 Contents パンとバラのフェミニズム/私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である パンとバラのストライキ―ローレンスの移民女性労働者たちのストライキ 「活」という名の妖怪―パンを食わせずバラ(のようなもの)を差し出すネオリベラリズム 魔女は禁欲しない―パンもバラもよこせ! パンデミックにおけるケアインカムの要求 Ⅱ 個人的なことは政治的なこと/路上、工場、周辺の場から 紙の味 現代の屑拾い 無菌化された労働力商品たちの夜 「声」をきくことの無理 Ⅲ ジェントリフィケーションと交差性/日常の抵抗運動 クレンジングされる街で 猫のように体をこすりつけろ 抵抗する庭 「開発」と家父長制 差別の交差性(インターセクショナリティ) 路上のホモソーシャル空間 夜を歩くために Author 堅田 香緒里 Kaori Katada 静岡県生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(社会福祉学)。現在、法政大学社会学部教員。専門は社会福祉学、福祉社会学、社会政策。主な論文・著書に、エノ・シュミット/山森亮/堅田香緒里/山口純『お金のために働く必要がなくなったら、何をしますか?』(光文社新書、2018年)、「対貧困政策の新自由主義的再編:再生産領域における『自立支援』の諸相」(『経済社会とジェンダー』第2巻、2017年)、堅田香緒里/白崎朝子/野村史子/屋嘉比ふみ子『ベーシックインカムとジェンダー』(現代書館、2011年)など。
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世界牛魔人 グローバル・ミノタウロス——米国、欧州、そして世界経済のゆくえ
¥2,640
世界的反緊縮経済運動のリーダー、ヤニス・バルファキスの思想的集大成、待望の翻訳完成。邦訳特典付録として、伝説の知識人ノーム・チョムスキーとの「ニューヨーク対談」、そして特別インタビュー「バルファキスが語る、パンデミック以後の世界経済のゆくえ」の二編を収録。 付録のインタビューでバルファキスは「コロナパンデミック危機は、2008年リーマン金融危機と切り離して考えることはできず、2008年危機の延長線上で考えるべきだ」と主張する。 世界資本主義史において戦後アメリカという帝国は、世界中の富を吸い上げ、それを世界中に循環させる中で肥え太るという、前代未聞の新システムつくりあげた。バルファキスはこのシステムをギリシア神話に登場する牛頭人身の怪人、ミノタウロスに喩えて鋭利に分析する。「牛魔人システム」が崩壊した2008年以後も、金融緩和により金融部門と実体経済の乖離が進み、極々一部の人々に金融資本主義の利益が集中し、超格差拡大社会が実現してしまっている。バルファキスによると、コロナ危機はこのトレンドを加速させ、資本主義を金融資本主義から「テクノ封建主義」へ変質させている。 本書ではこうした分析が、経済理論のみならず古代ギリシア神話や近代文学、哲学思想やサブカルチャーに至るまで幅広い表現を用いて展開されている。現在の世界の富の偏在と格差・貧困の根本原因を理解し、そしてコロナ後の社会を民主的に再生させるにあたって、時間の試練にも十分に耐えうるような洗練された視座を提供してくれる一冊である。 [出版社より] 「世界を覆う陰鬱な空にバルファキスが描いて見せた「キャピタリズム歴史絵巻」。この炯眼は無視できない このリーダビリティには逆らえない」 ——ブレイディみかこ 原 書|The Global Minotaur: America, Europe and the Future of the Global Economy 著 者|ヤニス・ヴァルファキス 訳 者|早川健二 出版社|那須里山舎 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|400 ISBN|978-4-909515-04-9 初 版|2021年07月 Contents 序文 ポール・メイソン 改訂版への序文 ヤニス・バルファキス 謝辞 推薦図書 第一章 序論 第二章 未来の実験室 第三章 世界計画 第四章 世界牛魔人 第五章 魔獣の侍女たち 第六章 金融崩壊 第七章 侍女たちの逆襲 第八章 牛魔人の後世への遺産 第九章 牛魔人なき世界 後記 原注 付録 ニューヨーク対談――財政民主化への道 ヤニス・バルファキス×ノーム・チョムスキー バルファキスが語る、パンデミック以後の世界経済のゆくえ ヤニス・バルファキス Author ヤニス・バルファキス Yanis Varoufakis 1961年ギリシャ生まれ。経済学者、政治家、現ギリシャ国会議員。英国、オーストラリア、米国などの大学で教鞭をとった後、2015年1月に成立したギリシャ急進左派連合政権(シリザ)のチプラス政権時において財務大臣を務める。その際の国際債権団(トロイカ)との債務減免交渉の過程は、邦訳『黒い匣――密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』(明石書店)に詳しい。財務大臣職を辞した後は、2016年から欧州草の根政治運動のDiEM25(Democracy in Europe Movement)のリーダーを務め、2018年には米国上院議員バーニー・サンダースらと共にプログレッシブ・インターナショナル(Progressive International)を立ち上げた。『黒い匣』以外の邦訳書に『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』(ダイヤモンド社)『わたしたちを救う経済学――破綻したからこそ見える世界の真実』(Pヴァイン)、また、論文に「ヨーロッパを救うひとつのニューディール」(『「反緊縮!」宣言』<亜紀書房>)がある。 Translator 早川 健治 Kenji Hayakawa 1989年日本生まれ。翻訳家、著作家。著書に『Echo and Gróa: Philosophical Dialogues』(Dialectical Books)、英訳書に多和田葉子著『Opium for Ovid』(Stereoeditions)、邦訳書にアンドリュー・ヤン著『普通の人々の戦い』、エレン・ブラウン著『負債の網』(以上、那須里山舎)、ロビン・コリングウッド著『哲学の方法について』などがある。
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あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない
¥2,090
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旧東側の女性は西側の女性に比べセックスの満足度が高かった!? 世界的な潮流となっている新たな社会主義の模索で、女性はより幸福に生きられる。時代の閉塞感を打破するパワフルな一冊。 資本主義しかない、この道しかないのだと政治家たちは繰り返す――。 しかし、それは嘘です。 [出版社より] 「すべてのモノが商品化される現代、資本主義の勝利はほとんどすべての女性にとって災難でしかない。自分のためにセックスを楽しむ権利すら奪っているのだ。著者はかつての共産主義体制をロマンティックに回顧するわけではない。彼女は、これからの包摂的で進歩的な社会のために、私たちのアイデンティティ、階級間の不必要な緊張を克服してくれる」 ―― ヤニス・バルファキス[経済学者] 「不平等の拡大の時代に社会主義政策を復活させる理由はたくさんあるが、フェミニスト的視点は、最も強力なインセンティブを提供している」 ――ガーディアン紙 「著者は、アメリカと西ヨーロッパの若者の間で社会主義的なアイデアの魅力が高まっていると述べる。そしてそのアイデアの拡がりが、バーニー・サンダースにとってのアドバンテージとなるだけでなく、女性が、そして我々がよりよい生活を実現することを思い出させてくれる。より多くのオーガズムはそれだけでも素晴らしいことではあるが、より多くのオーガズムを得ることのできるよう社会を構造的に変化させることは、別次元なほど素晴らしく重要だ」 ――レベッカ・ミード[作家・ジャーナリスト/ニューヨーカー紙] 著 者|クリステン・R・ゴドシー 訳 者|高橋璃子 出版社|河出書房新社 定 価|1,900円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|276 ISBN|978-4-309-25446-3 初 版|2022年05月 Contents 序章 あなたが苦しいのは資本主義のせいかもしれない 第1章 女性は男性に似ていて、より安く使えるもの?――仕事について 第2章 出産する人はなぜ罰を受けるのか――子育てについて 第3章 パンツスーツでは解決しない――リーダーについて 第4章 ベッドの中の資本主義――セックスについて・その1 第5章 誰でも必要に応じて受けとれる社会――セックスについて・その2 第6章 バリケードから投票箱へ――社会参加について 〈もっと知りたい人のための読書ガイド〉付き Author クリステン・R・ゴドシー Kristen R. Ghodsee ペンシルベニア大学教授(ロシア・東欧学)。ジェンダーや、社会主義、ポスト資本主義に関する著書・論文で定評を得ている。一般読者向けに書かれた本書は各国語に翻訳され、著者初の邦訳となる。 Translator 高橋 璃子 Riko Takahashi 翻訳家。京大卒。マキューン『エッセンシャル思考』『エフォートレス思考』などのベストセラーを訳す。他にコイル『GDP――〈小さくて大きな数字〉の歴史』など。
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貧困理論入門——連帯による自由の平等
¥2,200
貧困問題は、依然として深刻な社会問題であり続けている。 私たちはどうすればこの問題を緩和し、根絶することができるのだろうか? それを考えるためにも、そもそも「貧困とは何か?」と改めて問うことは重要な課題だ。 本書では、ブース、ラウントリーらの貧困調査による「絶対的貧困」からはじまり、べヴァリッジの社会保障論を経由して、タウンゼントの「相対的貧困」、EUの「社会的排除」へといたる、「貧困概念」の歴史的な拡大過程を追いながら、貧困対策の理論的核心を探っていく。 貧困研究で期待の若手が、資本主義における階級と階層の両概念に改めて光をあてつつ「貧困理論」を基礎から解説する初の入門書。 [出版社より] 「いくら研究が増えても、理論が間違っていたら、現状は変えられない。必要なのは階級論的貧困理論。貧困克服のための「脱資本主義宣言」!」 ──橋本健二[社会学者] 「「貧困に陥ったら自己責任である」あなたがそう思っているのなら、車椅子ユーザーの私が電車に乗る時、毎回不便を感じ、時には乗せてもらえないのは仕方がないことなのでしょうか? 改善を求めるのはワガママなのでしょうか。平等に見えながらも、違いを受け入れない社会はつらいです。この本の「選んだ貧困ではなく、社会的排除による、押し付けられた貧困がある」の視点に、私は救われました。自由の平等を求め続けたいです」 ──伊是名夏子[コラムニスト] 「貧困問題は、僕らが生きているこの時代に終わらすことができる。そのためには、みんなが関心をもって取り組むことが大切だ。本書は、貧困問題を正しく理解する上での良書である」 ──田口一成[株式会社ボーダレス・ジャパン] 著 者|志賀信夫 出版社|堀之内出版 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|224 ISBN|978-4-909237-65-1 初 版|2022年05月 Contents まえがき [第1章] 「貧困」とは何か――諸概念の整理 貧困理解の前提となることばの整理 貧困概念とは「貧困の意味内容」のこと 貧困の定義とは「貧困と非貧困の区別・境界」を言語化したもの 貧困の測定とは「貧困の広がりと深刻さの計量」 「格差」「不平等」「貧困」の概念的区別 階層論と階級論 貧困概念は人びとの要求によって拡大してきた 貧困理論の学説史に関する概要説明 [第2章] 絶対的貧困理論 ブースの貧困調査と貧困の捉え方 ブースの調査研究にひそむ「分断と統治の論理」 ラウントリーの貧困研究と貧困調査 「絶対的貧困」の概念 ブースとラウントリーの相違点の整理 「絶対的貧困」から考える現代日本の生活保護 [第3章] 相対的貧困理論 相対的貧困理論の考え方 相対的剝奪概念から定義づけられる貧困 ベヴァリッジ体制の成熟とタウンゼントの貧困理論 タウンゼントの貧困理論 「普通の生活」と「社会参加」 タウンゼントの貧困理論と現在 「相対的剝奪」と「相対的貧困」に関する補足説明 [第4章] 社会的排除理論 社会的排除とは EUの社会政策と「社会的排除/社会的包摂」 「社会的排除」概念が一般化した社会背景 「自由」と「自己決定型社会参加」 「自己決定」を可能にする「自由」 「自由」の実質的広がりを規定する三つの要素 自由獲得の歴史 自由拡大の担い手 「権利の擁護」と「権利の保障」 [第5章] 「自由の欠如」と現代日本の貧困問題 本章の目的 自由の平等と幸福 貧困と差別、および貧困者への差別 権利の有用性および有効性と自己決定の限界性に関する検討 「子どもの貧困」問題 「経済的投資アプローチ」と「Well-beingアプローチ」 普遍主義と脱商品化 社会的包摂と社会参加 [第6章] 階層論的貧困理論と階級論的貧困理論 「あってはならない生活状態」再考 階級論的(資本‐賃労働関係)視点の必要性 失業者対策と相対的過剰人口対策 日本の労働者階級と階級意識の喪失という問題 無所有に対する抵抗 あとがき 引用文献一覧 Author 志賀 信夫 Nobuo Shiga 県立広島大学保健福祉学部准教授 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。NPO法人結い理事。日向市子ども未来応援会議副会長(宮崎県日向市による子どもの貧困対策会議)。主な著書に、『貧困理論の再検討―相対的貧困から社会的排除へ』(単著、法律文化社、2016年)、『地方都市から子どもの貧困をなくす』(畠中亨・志賀信夫共編、旬報社、2016年)、『ベーシックインカムを問いなおす―その可能性と現実』(佐々木隆治・志賀信夫共編、法律文化社、2019年)、『どうする日本の福祉政策』(埋橋孝文編著、担当相:第5章「貧困―反貧困の貧困理解」、ミネルヴァ書房、2020年)、『福祉再考―実践・政策・運動の現状と可能性』(田中聡子・志賀信夫共編、旬報社、2020年)などがある。
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撤退論――歴史のパラダイム転換にむけて
¥1,870
持続可能な未来のために、資本主義から、市場原理から、地球環境破壊から、都市一極集中から、撤退する時が来た! 少子化・人口減、気候変動、パンデミック……。国力が衰微し、手持ちの国民資源が目減りしてきている現在において「撤退」は喫緊の論件。にもかかわらず、多くの人々はこれを論じることを忌避している。名著『失敗の本質』で言われた、適切に撤退することができずに被害を拡大させた旧・日本陸軍と同じ轍をまた踏むことになるのか? 「子どもが生まれず、老人ばかりの国」において、人々がそれなりに豊かで幸福に暮らせるためにどういう制度を設計すべきか、「撤退する日本はどうあるべきか」について衆知を集めて論じるアンソロジー。 [出版社より] 編 者|内田樹 出版社|晶文社[犀の教室] 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|272 ISBN|978-4-7949-7307-8 初 版|2022年4月 Contents まえがき 内田樹 ■1 歴史の分岐点で 撤退は知性の証である──撤退学の試み 堀田新五郎 撤退のための二つのシナリオ 内田樹 撤退戦としてのコミュニズム 斎藤幸平 民主主義からの撤退が不可能だとするならば 白井聡 撤退戦と敗戦処理 中田考 ■2 撤退の諸相 撤退という考え方──ある感染症屋のノート 岩田健太郎 下野の倫理とエンパワメント 青木真兵 音楽の新しさはドレミの外側にだって広がっている 後藤正文 文明の時間から撤退し、自然の時間を生きる 想田和弘 撤退のマーチ 渡邉格 撤退女子奮闘記 渡邉麻里子 ■3 パラダイム転換へ 『桜の園』の国から 平田オリザ ある理系研究者の経験的撤退論 仲野徹 Withdrawalについて──最も根っこのところからの撤退 三砂ちづる 個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か 兪炳匡 極私的撤退論 平川克美 Editor 内田 樹 Tatsuru Uchida 1950年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。凱風館館長。神戸女学院大学文学部名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『ためらいの倫理学』(角川文庫)、『「おじさん」的思考』『街場の憂国論』(共に晶文社)、『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)、『日本習合論』(ミシマ社)、『コモンの再生』(文藝春秋)、『前-哲学的』(草思社)、『街場の芸術論』(青幻舎)、『戦後民主主義に僕から一票』(SB新書)、『複雑化の教育論』(東洋館出版社)、編著に『転換期を生きるきみたちへ』(晶文社)など多数。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』(新潮新書)で新書大賞2010受賞。第3回伊丹十三賞受賞。
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じゅうぶん豊かで、貧しい社会
¥1,540
資本主義の下では資本の蓄積が自己目的化し、大企業は利益拡大にひた走る。結果、富める者だけが富み続け、雇用は不安定になり、格差が拡大する。成長の果実のおこぼれが一般庶民にもたらされないことは、ここ数十年の現実が証明済だ。であるならば政府が目指すべきは経済成長ではなく、国民の暮らしの質を上げることなのではないのか。 著者らはその実現のために、余暇を生む労働時間の短縮、一定水準の暮らしを保障するベーシックインカムの導入、際限なき人間の欲望を抑えるための広告課税等の法整備を提案する。成長神話が叫ばれ続ける日本でこそ読まれるべき提言。 解説=諸富徹。 [出版社より] 「富の使い先を変える根源的な資本主義批判の書」 ――諸富 徹 著 者|ロバート・スキデルスキー & エドワード・スキデルスキー 訳 者|村井章子 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判 頁 数|413 ISBN|978-4480511119 発 行|2022年03月 Contents はじめに 序論 第1章 ケインズの誤算 第2章 ファウストの取引 第3章 富とは―東西の思想を訪ねて 第4章 幸福という幻想 第5章 成長の限界 第6章 よい暮らしを形成する七つの要素 第7章 終わりなき競争からの脱却 原注 索引 訳者あとがき 解説 「善き人生」を支える資本主義のあり方を考える(諸富徹) Author ロバート・スキデルスキー Robert Skidelsky 経済史家。ウォーリック大学名誉教授、英国学士院会員、貴族院議員。ケインズ研究の世界的権威。著書に『ケインズ』(岩波モダンクラシックス)、『なにがケインズを復活させたのか?』(日本経済新聞出版社)などがある。 エドワード・スキデルスキー Edward Skidelsky 哲学者。エクセター大学講師。専門は道徳・政治哲学。ロバート・スキデルスキーの子息。著書にErnst Cassirer: ¬e Last Philosopher of Culture, Princeton University Pressなどがある。 Translator 村井 章子 Akiko Murai 翻訳家。上智大学文学部卒業。経済学の古典新訳を多数手がける。
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資本主義だけ残った——世界を制するシステムの未来
¥3,960
二つの資本主義が世界を覆っている。米国に代表されるリベラル能力資本主義と、中国に代表される政治的資本主義だ。この両者がはらむ、不平等の拡大と腐敗の進行という病弊の根本原因を喝破し、欧米の社会科学界を震撼させたベストセラー。 『エコノミスト』誌ベストブック。『フィナンシャル・タイムズ』紙ベストブック。『フォーリン・アフェアーズ』誌ベストブック。『プロマーケット』誌ベストブック。『プロスペクト』誌ベストブック。 [出版社より] 原 書|CAPITALISM, ALONE: The Future of the System That Rules the World 著 者|ブランコ・ミラノヴィッチ 訳 者|西川美樹・梶谷懐 出版社|みすず書房 定 価|3,600円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|360 ISBN|978-4-622-09003-8 初 版|2021年06月 Contents 1 冷戦後の世界のかたち 1 資本主義はただひとつの社会経済システムである 2 アジアの台頭と世界の再均衡化 本書の核心 2 リベラル能力資本主義 リベラル能力資本主義の定義 1 リベラル能力資本主義の特徴 a 過去の資本主義 資本所有者と労働者間の純生産物の分配/資本金持ちと労働金持ち/結婚のパターン/不平等の世代間継承/リベラル能力資本主義の複雑な性質 b リベラル能力資本主義で不平等を拡大させるシステム的要因と非システム的要因 2 システム的な不平等 a 国民所得に占める資本所得の総取り分の上昇 b 資本所有の高い集中 富の呪い c 金持ちの資産は収益率が高い d 同じ個人のなかで高い資本所得と高い労働所得が結びつく e 同類婚(釣り合った結婚)の増加 結婚教育プレミアム f 所得と富の世代間継承の増大 相対的移動性の低下 3 新たな社会政策 a なぜ21世紀の所得不平等に取り組むのに20世紀のツールが使えないのか 税と移転でできることの限界/小さな国家というリバタリアン的ユートピアは原始共産的政策でのみ達成できる/資本の所有の分散/同じ質の教育への平等なアクセス b グローバリゼーション時代の福祉国家 移民と福祉国家 4 上位層は自己永続的か 上位1%が支配する政治/権力と富が結びつく/エリートが高額な教育を選ぶのは権力を強化するため/相続財産/上位層は部外者に開かれているか/リベラル能力資本主義での今日のエリート像 3 政治的資本主義 1 共産主義の歴史的位置づけ a マルクス主義的世界観とリベラルな世界観では共産主義の歴史的位置づけを説明できない 用語の明確化──「共産主義」と「社会主義」/マルクス史観とリベラル史観における共産主義の役割/共産主義を扱うことの難しさ b 20世紀の歴史において共産主義をどう位置づけるか 共産主義の世界史的な役割 2 第三世界(の一部)が資本主義化するために、なぜ共産主義革命が必要とされたのか a 第三世界で共産主義革命が果たした役割 社会革命と国民革命 b 共産主義が成功したのはどこの国か マルクスに反して、社会主義は先進国では成功しなかった c 中国は資本主義か 3 政治的資本主義のおもな特徴 a 三つのシステム的特徴と二つのシステム的矛盾 鄧小平は現代の政治的資本主義の生みの親/固有の腐敗/システムについてのまとめ b 政治的資本主義のシステムを擁するのはどの国か 4 中国の不平等についての考察 a 不平等全体の拡大 資本所得の割合が上昇 b 腐敗と不平等 腐敗の分配効果 5 政治的資本主義の持続性とグローバルな魅力 a ブルジョワジーが中国を支配するのか スミス的資本主義とマルクス的資本主義/不透明な所有権と法の支配の欠如は異例ではない/中国は民主化するのか b 中国は政治的資本主義を「輸出」するのか 適度な腐敗を受け入れる/中国は無関心/中国の政治的資本主義は移植できるか/なぜ中国は世界と(今より)かかわることが必要になるのか/政治的資本主義が成功するための決定的要因 4 資本主義とグローバリゼーションの相互作用 1 労働と移民 a 市民権プレミアムまたはレントの定義 市民権は「観念的」カテゴリー b 経済資産としての市民権 市場性資産としての市民権/サブ市民権 c 生産要素の自由な移動 生産要素の自由な移動を支持する態度への変化/グローバリゼーションのもとでの移民/労働が資本と異なるのはなぜか d 自国民の懸念と移民の希望との折り合いをつける 移民についての提案/この提案のメリット/この提案のデメリット 2 資本とグローバル・バリューチェーン アンバンドリングとしてのグローバリゼーション/第二のグローバリゼーション/第二のグローバリゼーションがグローバル資本主義をもたらした 3 福祉国家——生き残るために 左派政党と福祉国家/機会のグローバルな不平等 4 世界に広がる腐敗 a グローバリゼーション時代における腐敗の三つの根拠 資本主義世界経済に統合されていない国では腐敗が制限される/受け入れ国で世界的な腐敗を可能にする要因/富裕国の消費パターンを模倣 b 腐敗を抑えるために今後もおそらくほぼ何もなされないのはなぜか 5 グローバル資本主義の未来 1 超商業化資本主義では道徳観念の欠如が避けられない a マックス・ヴェーバーの資本主義 私悪は公益なり b 道徳のアウトソーシング 内なる行動規範がない c 「代わりはない」 システムからの撤退は現実的な選択肢ではない 2 原子化と商品化 a 家庭の利用価値が下がる 家庭生活への法的侵入が原子化を促す b 日常の資本主義としての個人の生活 新たな商品の創造/商品化のマイナス面/人びとが資本主義における生産拠点になる c 資本主義の覇権 3 技術進歩に対する根拠のない不安 a 労働塊の誤謬と私たちが未来を思い描けないこと ロボットと擬人観の魅力 b ユニバーサル・ベーシックインカムの問題点 UBIは福祉国家の新たな理念を暗示する 4 豪奢で快楽に満ち(ルュクス・エ・ヴォリュプテ) a 二つのシナリオ——戦争と平和 b 政治的資本主義 vs リベラル資本主義 所得と政治的自由のトレードオフ/三つのシナリオ c グローバルな不平等と地政学的変化 d おわりに——本書が導くかもしれない社会システムについて 付録A グローバルな歴史における共産主義の位置づけ 付録B 超商業化とアダム・スミスの「見えざる手」 付録C 方法論的問題と定義 謝辞 解説 資本主義は不平等と腐敗を克服できるか 梶谷懐 索引/原注/参考文献 Author ブランコ・ミラノヴィッチ Branko Milanovic ルクセンブルク所得研究センター上級研究員、ニューヨーク市立大学大学院センター客員大学院教授。ベオグラード大学で博士号を取得後、世界銀行調査部の主任エコノミストを20年間務める。2003-05年にはカーネギー国際平和基金のシニア・アソシエイト。所得分配について、またグローバリゼーションの効果についての方法論的研究、実証的研究を、Economic Journal, Review of Economics and Statisticsなどに多数発表。邦訳書『大不平等』(2017)『不平等について』(2012、以上みすず書房)。 Translator 西川 美樹 Miki Nishikawa 翻訳家。パメラ・ロトナー・サカモト『黒い雨に撃たれて』(共訳、上下巻、慶應義塾大学出版会、2020)ウィットマン『ヒトラーのモデルはアメリカだった』(みすず書房、2018)バスコム『ヒトラーの原爆開発を阻止せよ!』(亜紀書房、2017)ほか。 梶谷 懐 Kai Kajitani 神戸大学大学院経済学研究科教授。専門は現代中国経済。神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了。神戸学院大学准教授などを経て現職。著書『中国経済講義』(中公新書、2018)『日本と中国経済』(ちくま新書、2016)『現代中国の財政金融システム』(名古屋大学出版会、2011、大平正芳記念賞)ほか。
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資本主義と危機
¥2,090
SOLD OUT
なぜ資本主義は暴走するのか。 マルクス・ガブリエル、ウォーラーステインら世界の知識人が、欲望、市場、ジェンダー、構造的危機、エコロジーなどの論点から危機の原因と克服の可能性を語る。『思想』で好評のインタビュー・シリーズに、ガブリエル、J.B.フォスター(2020年ドイッチャー記念賞受賞)を加え書籍化。聞き手=大河内泰樹、斎藤幸平、G.カーティ。 [出版社より] 著 者|マルクス・ガブリエル、イマニュエル・ウォーラーステイン、ナンシー・フレイザー他 出版社|岩波書店 定 価|1,900円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|216 ISBN|9784000614719 初 版|2021年05月 Contents はじめに 大河内泰樹 【マルクス・ガブリエル/聞き手=大河内泰樹・斎藤幸平/訳=瀬川真吾】 第1章 資本主義の本質としてのショー――錯覚 貨幣/デジタル化/マルクス/ドナルド・トランプ/ポストモダン批判 「指示(Referenz)はなくならない」/デジタル化によるデモクラシーの危機/サイバー独裁制と抵抗の拠点/哲学者の役割/承認/難民問題、外国人差別/哲学の使命/ラディカル・デモクラシー/ラディカル・デモクラシーを求める理由 【アクセル・ホネット/聞き手=ガエル・カーティ/訳= 徳地真弥】 第2章 資本主義、批判、社会的自由 資本主義、市場、内在的批判/資本主義批判――規範性、診断、解決/否定的、反省的、社会的自由 【ナンシー・フレイザー/聞き手= ガエル・カーティ/訳=斎藤幸平】 第3章 資本主義、危機、批判を再考する 資本主義概念の拡張のために/資本主義の規範性と境界闘争/資本主義の危機/幾重にも織りなされた資本主義批判 【イマニュエル・ウォーラーステイン/聞き手=ガエル・カーティ/訳=佐藤圭一】 第4章 資本主義、構造的危機、現代社会運動 資本主義的世界経済/「一九六八年の世界革命」と資本主義の構造的危機/現代社会運動 【ジョン・ベラミー・フォスター/聞き手=斎藤幸平/訳=山﨑亮介】 第5章 自然の回帰は何をもたらすか――コロナ禍から気候危機へ 物質代謝の亀裂/エコ社会主義とグローバルな危機/「廉価な自然」――ムーア、ラトゥール、ジジェク/パンデミックから見えた危機の本質 補論1 資本主義からの脱植民地化に向けて……………斎藤幸平 補論2 資本の質料形相論……………大河内泰樹 資本の「形相と質料」/資本の物質的条件としての身体と自然/資本主義批判と規範/批判理論へ
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マルクスの物象化論[新版]
¥5,500
精緻かつ独創的なテクスト解釈で高く評価されたマルクス研究の名著、最新の研究成果を反映した「補論」を加え、[新版]として刊行。 資本主義社会を根底で規定する論理、「物象化」とは何か? 詳細なテクスト解釈と新MEGA研究の最新成果をもとに、マルクスの「新しい唯物論」を「哲学」ではなく「批判的・実践的」構えとして捉える新解釈を打ち出し、マルクスがその生涯を捧げた経済学批判プロジェクトの核心的概念「物象化」を解明する。そこから見えてきたのは、気候危機の時代に抗するための「素材の思想」としてのマルクスにほかならない。 『カール・マルクス』(ちくま新書)、『マルクス 資本論』(角川選書)などの入門書を執筆し、正確でわかりやすい解説に定評のある著者による、マルクス理論の核心に迫る本格的論考。 [出版社より] 「緻密なテクスト解釈を通じて、「素材の思想」としてマルクスを読み、「物質代謝」という概念に着目することの意義を示してくれた本。安易な批判を向けるのではなく、マルクスを丁寧に読み、困難に寄り添うことこそが、その現代的意義を明らかにするのである」 ――斎藤幸平[大阪市立大学准教授/honto「哲学読書室」] 「過去の党哲学的な折衷から自由な若い世代による内在的マルクス研究の展開……著者の若々しさと妥協をさけようとする強い意志を感じさせる」 ――田畑稔(『唯物論研究』編集長/『社会思想史研究』書評) 「MEGA研究の最新の成果を反映させる形で、マルクスの物象化論体系にこれまでにない具体的で明晰な解明を提示している」 ――吉原直毅[マサチューセッツ大学教授/『季刊経済理論』書評] 既存社会主義の崩壊後二十余年を経て、ようやく出るべくして出た書…… グローバル資本主義を根底から覆すための基礎理論を提供している。() ――表三郎[予備学校講師/『図書新聞』書評] 著 者|佐々木隆治 出版社|堀之内出版 定 価|5,000円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|520 ISBN|978-4-909237-62-0 初 版|2021年07月 Contents 序論 第Ⅰ部 「実践的・批判的」構えとしての「新しい唯物論」 第1章 マルクスの「唯物論」にかんする諸説 第1節 「マルクス・エンゲルス問題」を考慮しないアプローチ 第2節 「外挿法」的なアプローチ 第3節 「実践的唯物論」によるアプローチ 第4節 「マルクスの唯物論そのもの」を考察対象とするアプローチ 第5節 小 括 第2章 マルクスにおける「新しい唯物論」 第1節 『資本論』における「唯物論的方法」 第2節 初期の諸著作における唯物論 第3節 『経済学哲学手稿』の唯物論 第4節 テーゼ(一)と『経済学哲学手稿』の差異 第5節 「フォイエルバッハ・テーゼ」におけるフォイエルバッハ批判の意味 第6節 テーゼ(四)における「唯物論的方法」 第7節 小 括 補 注 『ドイツ・イデオロギー』における唯物論の用語法 第3章 哲学批判と「実践的・批判的」構えとしての「新しい唯物論」 第1節 「哲学的良心の清算」と「新しい唯物論」の確立 第2節 『経哲手稿』と「テーゼ」・『ドイツ・イデオロギー』における哲学批判の差異 第3節 「実践的・批判的」構えとしての「新しい唯物論」 第4節 哲学批判の深化とプルードン批判 1 『経哲手稿』および『聖家族』におけるプルードン評価 2 「アンネンコフへの手紙」および『哲学の貧困』におけるプルードン評価 3 哲学批判から経済学批判へ 第5節 小 括 第Ⅱ部 物象化論の「実践的・批判的」意義 第4章 物象化論の理論構成 第1節 物象化論をめぐる諸説 第2節 物象化とはなにか 第3節 物象化論の核心と無意識の形態的論理としての「商品語」 1 「相対的価値形態の内実」について (1) 「価値物Werthding」について (2) 「回り道」について (3) 「内実論」第六段落以降 2 「商品語」とはなにか 3 「商品語」の論理とその現れ 第4節 認識論的転倒としての物神崇拝 1 「物神性」節における物象化と物神崇拝 2 「等価形態」における物神崇拝 3 近代主義としての「実体」批判 第5節 物象化のもとでの実践的態度の形成 1 物象の人格化 2 物象化による素材に対する態度の変容 (1) 貨幣の成立 (2) 貨幣蓄蔵 第6節 小 括 補論1 物象化論と『資本論』第一部第一篇の理論構造 第1節 『資本論』第一部第一篇の基本構造 第2節 物象化(商品章) 第3節 物象の人格化(交換過程章) 第4節 制度および法律(貨幣章) 第5節 三つの次元の関連とその意義 第5章 物象化と疎外 第1節 「疎外論」の陥穽 第2節 『経哲手稿』と『要綱』における外化と疎外 第3節 マルクス疎外論の核心 第4節 小 括 第6章 物象化と所有 第1節 既存の所有論解釈の諸困難 第2節 近代的私的所有の特異性 1 物象化と近代的私的所有 2 共同体的所有と近代的私的所有 第3節 取得法則転回と本源的蓄積の差異と意義 1 近代的私的所有にたいする批判としての取得法則転回 2 マルクスにおける共同性と「個人的自由」 3 「個人的所有」の再建の意義 第4節 小 括 第7章 価値の主体化としての資本と素材的世界 第1節 価値概念と素材的次元 1 叙述の方法と論理的展開の意義 2 価値の発生と歴史的次元 3 価値と価値実体 4 価値量について 5 価値概念の「実践的・批判的」意義 第2節 価値の主体化としての資本 1 価値の自立化の深化 2 資本の存立と物象の人格化および人格の物象化 (1) 資本家 (2) 賃労働者 (3) 生産過程における資本家と賃労働者 第3節 資本による素材的世界の編成―直接的生産過程を題材として 1 資本のもとへの労働の形態的包摂と素材的編成 2 資本のもとへの労働の実質的包摂と素材的論理の変容 (1) 形態的包摂にともなう変化 (2) 素材的次元での従属的態度の形成 (3) 社会的労働の資本の生産力としての現象 第4節 小 括 補論2 マルクスの賃労働論 第1節 労働とはなにか 第2節 労働の自由と社会的形態 第3節 賃労働と物象化 第4節 賃労働による資本の産出 第5節 物象による自発的従属の強制 第6節 物象にもとづく特異な承認関係 第7節 マルクスにおける労働の自由 第8節 労働の自由をこえて 補論3 マルクスにおける労働を基礎とする社会把握 第1節 マルクスの「新しい唯物論」 第2節 労働形態と経済的形態規定 第3節 素材代謝と労働 補論4 物象化論と『資本論』第一部の理論構造 第1節 生産関係の物象化(第一篇) 第2節 生産過程の物象化 1 賃労働と生産過程の物象化(第三篇) 2 生産過程の物象化の実質化(第四篇) 第3節 再生産過程の物象化(第七篇) 1 単純再生産における再生産過程の物象化(第二一章) 2 資本蓄積における再生産過程の物象化の深化(第二三章) むすびにかえて 結 論 素材の思想家としてのマルクス あとがき 増補改訂版あとがき 新版あとがき 人名・著作索引 Author 佐々木 隆治 Ryuji Sasaki 1974年生まれ。立教大学経済学部准教授。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。日本MEGA編集委員会編集委員。著書に、A New Introduction to Karl Marx, Palgrave Macmillan, 2021、『マルクス 資本論』(角川選書、2018年)、『カール・マルクス』(ちくま新書、2016年)、『私たちはなぜ働くのか』(旬報社、2012年)、『ベーシックインカムを問いなおす』(共編著、法律文化社、2019年)、『マルクスとエコロジー』(共編著、堀之内出版、2016年)など。
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ラグジュアリーコミュニズム
¥2,970
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資本主義がもたらす破滅的な危機を避けるため、いまこそテクノロジーの恩恵を人々の手に。万人に贅沢(ラグジュアリー)を。 めざましい技術革新の果てにあらわれるポスト資本主義社会へ向けた新たな政治=「完全自動のラグジュアリーコミュニズム」の構想。 資本主義リアリズム、加速主義を超えて、イギリスの若手ジャーナリスト、アーロン・バスターニが新しい未来を提示する。 [出版社より] 「ほんとに技術革新で贅沢なコミュニズムができるの? 「脱成長コミュニズム」への挑戦!」 ——斎藤幸平 原 書|Fully Automated Luxury Communism 著 者|アーロン・バスターニ 訳 者|橋本智弘 出版社|堀之内出版 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|360 ISBN|978-4-909237-43-9 刊 行|2021年01月 Contents 序文 未来を求める六人の人物 【第一部】楽園のもとの混沌 第一章 大いなる無秩序 第二章 三つの断絶 第三章 「完全自動のラグジュアリーコミュニズム」とは何か? 【第二部】新たな旅人たち 第四章 完全な自動化――労働におけるポスト欠乏 第五章 無限の動力――エネルギーにおけるポスト欠乏 第六章 天空の掘削――資源におけるポスト欠乏 第七章 運命を編集する――老いと健康におけるポスト欠乏 第八章 動物なしの食物――栄養におけるポスト欠乏 【第三部】楽園の発見 第九章 大衆からの支持――ラグジュアリー・ポピュリズム 第一〇章 根本原理――新自由主義との決別 第一一章 資本主義国家の改革 第一二章 FALC――新たな始まり 訳者あとがき 橋本智弘 Author アーロン・バスターニ Aaron Bastani ジャーナリスト。Novara Mediaの共同創設者・編集主任。ロンドン大学にて博士号取得。ニューメディア、社会運動、政治経済などを研究分野としてVice、Guardian、London Review of Books、New York Timesなどに執筆、BBCやSky Newsでコメンテーターとして出演。 Translator 橋本 智弘 Tomohiro Hashimoto 一橋大学言語社会研究科博士課程在学中。ケント大学英文科修士課程修了(MA in Postcolonial Studies)。専修大学、明治大学で非常勤講師。専門は、ポストコロニアル理論・文学。共著に『クリティカル・ワード 文学理論』(フィルムアート社)、『バイリンガルな日本語文学』(三元社)、『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち――いま読みたい38人の素顔と作品』(青月社)。
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アーレントのマルクス 労働と全体主義
¥4,950
SOLD OUT
アーレントはなぜこれほどまでにマルクスを「誤読」したのか? 『全体主義の起源』発表後、アーレントはマルクス研究に没頭した。その成果は、七年後、『人間の条件』に結実する。アーレントはどのようにマルクスを読み、そこに何を見出したのか。誤読・曲解と評されるマルクス批判に、アーレントの可能性の中心を見出す、新鋭による力作。 「今日、再び全体主義の危機が到来しつつあるのだとすれば、その危機はわれわれの社会が抱える「労働」あるいは「雇用」の問題と深く結びつきながら、世界中でその姿を現わしつつあると見ることができるのではないか。「アーレントのマルクス批判」から導き出される「労働と全体主義」というテーマを深掘りしていくことによって、われわれはアーレント思想の新たな魅力とその現代的意義を引き出すことができるだろう。」(本書より) [出版社より] 著 者|百木漠 出版社|人文書院 定 価|4,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|340 ISBN|9784409030974 初 版|2018年02月 Contents 序章 いま、なぜアーレントなのか? 1 問題関心 2 先行研究 3 労働と全体主義 4 本書の構成 第一章 『全体主義の起源』と『人間の条件』のあいだ 1 アーレントのマルクス研究 2 労働が人間を創造する 3 「マルクス批判」から「西欧政治思想の伝統」批判へ 4 労働・仕事・活動の区別 5 「壁としての法」から「運動法則としての法」へ 6 資本主義と全体主義の通底性 7 マッカーシズムにおける「新たな全体主義」の危機 第二章 アーレントとマルクスの労働思想比較 1 「労働」と「仕事」の定義 2 近代における労働観の反転 3 マルクスは労働を「賛美」したか? 4 「労働」と「仕事」の境界線 5 マルクスの「アソシエイトした労働」 6 「キメラ化した労働」に抗して 第三章 労働・政治・余暇 1 マルクスの「はなはだしい矛盾」? 2 労働と政治からの二重の解放 3 「事物の管理」と「無人支配」 4 ナチス的余暇政策 5 〈労働する動物〉の勝利した社会 6 アーレントとマルクスの交差点 第四章 「社会的なもの」の根源 1 「自然なものの不自然な成長」とは何か 2 ノモスの決壊とピュシスの流入 3 円環的な自然の運動と直線的な人間の生 4 「社会的なもの」と「生政治」 5 「自然」と「労働」の必要性=必然性 6 「世界」と「社会」の対立 第五章 「余計なもの」の廃棄 1 資本の膨張と権力の膨張 2 「余計なもの」としてのモッブ 3 人種主義の導入 4 大国帝国主義、種族的ナショナリズム、汎民族運動 5 「余計なもの」としての無国籍者たち 6 人間を「余計なもの」にするシステム 7 全体主義の回帰? 第六章 〈労働する動物〉に「政治」は可能か? 1 労働者の公的領域への「現われ」 2 「始まりの出来事」としてのハンガリー革命 3 〈労働する動物〉と「労働者」の差異 4 「束の間のユートピア」としての評議会空間? 5 構成・憲法・国制 6 「活動」と「仕事」の補完関係 終章 「労働」から「仕事」へ 1 アーレントがマルクスから学んだもの 2 「労働」することと「仕事」すること 3 テーブルとしての「世界」 4 労働・仕事・活動の三角形バランス あとがき 参考文献 Author 百木 漠 Baku Momoki 1982年生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。2018年4月から立命館大学専門研究員。共著に『現代社会理論の変貌 せめぎあう公共圏』(日暮雅夫・尾場瀬一郎・市井吉興編著、ミネルヴァ書房、2016年)、『大学生のための社会学入門』(篠原清夫・栗田真樹編著、晃洋書房、2016年)がある。
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資本主義の歴史 起源・拡大・現在
¥2,420
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通史の決定版。 歴史学の大家による、厳密にして明晰、そして驚くほどコンパクトな資本主義通史。その起源から現代の金融資本主義に至る長大な歴史と、アダム・スミス、マルクス、ヴェーバーからシュンペーター、ポメランツに至る広範な分析理論までが一冊に凝縮。世界史的視野と、資本主義の本質に迫る深い考察が絡み合い、未来への展望をも示唆する名著。世界9か国で翻訳されたベストセラー。 「数百年におよぶ発展のなかで、資本主義はその姿を大きく変えうることを示してきた。歴史的概観とグローバルな比較が示すのは、それがきわめて多様な社会的・文化的・政治的諸条件のもとで存在しうることである。それは、社会、文化、政治にきわめて深い影響をおよぼす。しかし逆にそれは、政治の介入、社会的諸行為によって影響され、姿を変えうる。資本主義は定められた運命ではない。それは、過去においてきわめてさまざまな目的のために投入され、また現在でも投入されている強力な資源なのである。」(本書より) [出版社より] 著 者|ユルゲン・コッカ 訳 者|山井敏章 出版社|人文書院 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|230 ISBN|9784409510803 初 版|2018年12月 Contents 日本語版のための序文 第一章 資本主義とは何か 一 論議のつきまとう概念 二 三つの古典――マルクス・ヴェーバー・シュンペーター 三 他の諸見解と作業のための定義 第二章 商人資本主義 一 端緒 二 中国とアラビア 三 ヨーロッパ――ダイナミックな遅参者 四 一五〇〇年頃の時代についての中間的総括 第三章 拡大 一 ビジネスと暴力――植民地支配と世界交易 二 株式会社と金融資本主義 三 プランテーション経済と奴隷制 四 農業資本主義・鉱業・プロト工業化 五 資本主義・文化・啓蒙主義――時代の文脈におけるアダム・スミス 第四章 資本主義の時代 一 工業化とグローバル化――一八〇〇年以降の時代のアウトライン 二 オーナー資本主義から経営者資本主義へ 三 金融化 四 資本主義における労働 五 市場と国家 第五章 展望 訳者あとがき 文献一覧 索引 Author ユルゲン・コッカ Jürgen Kocka 1941年生まれ。ビーレフェルト大学教授、ベルリン自由大学教授を歴任し、現在ベルリン自由大学名誉教授。ドイツ近現代史、ヨーロッパ比較史。訳書に『市民社会と独裁制 ドイツ近現代史の経験』(松葉正文、山井敏章訳、岩波書店、2011年)、『社会史とは何か その方法と軌跡』(仲内英三、土井美徳訳、日本経済評論社、2000年)、『国際比較・近代ドイツの市民 心性・文化・政治』(編著、望田幸男監訳、ミネルヴァ書房、2000年)、『歴史と啓蒙』(肥前栄一、杉原達訳、未來社、1994年)、『ヴェーバー論争』(住谷一彦、小林純訳、未來社、1994年)、『工業化・組織化・官僚制 近代ドイツの企業と社会』(加来祥男編訳、名古屋大学出版会、1992年)、『マックス・ヴェーバー 西ドイツの研究動向』(住谷一彦、小林純訳、未來社、1979年)がある。 Translator 山井 敏章 Toshiaki Yamai 1954年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、立命館大学経済学部教授。博士(経済学)。ヨーロッパ近代社会経済史。著書に『「計画」の20世紀 ナチズム・〈モデルネ〉・国土計画』(岩波書店、2017年)、『ドイツ初期労働者運動史研究 協同組合の時代』(未來社、1993年)が、共訳書に『市民社会と独裁制』(コッカ著、岩波書店、2011年)がある。