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ブラック・カルチャー 大西洋を旅する声と音
¥1,056
奴隷とされた人々は、いかにして新大陸で声と音の伝統を再創造していったのか。ブラック・カルチャーの歴史と現在を旅する。 約400年にわたり、大西洋を航海した奴隷船。「裸の移住者」としてアメリカ大陸に連行された人々は、いかにしてアフリカの声と音の伝統を再創造し、次世代へと繋いでいったのか。アフリカへの帰還という主題から、音楽、文学、アートなどを横断的に捉え、その歴史と現在を旅する。世界にひろがるブラック・カルチャーへの招待。 [出版社より] 著 者|中村隆之 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|960円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|254 ISBN|9784004320616 発 行|2025年04月 Contents はじめに ブラック・カルチャーをめぐる旅へ 第一章 アフリカの口頭伝承 教室のなかのアフリカ 口承の伝統 口頭伝承のなかの音文化 マンデ系社会のグリオ 語り継がれる叙事詩 第二章 奴隷船の経験 奴隷貿易を想像する 奴隷制と西アフリカ 西欧人を取引相手とした奴隷売買 『ルーツ』にみる大西洋奴隷貿易 奴隷船上での歌と反乱 女性たちの抵抗、死者たちの声 第三章 アメリカスに渡ったアフリカの声と音 奴隷制社会をめぐる資料 聞き書きという方法 裸の移住者 ネオ・アフリカ文化 アフリカ由来の精神文化 ヴードゥーの儀式 文化維持という抵抗 ドラミングと太鼓 第四章 自由を希求する共同体の歌 合衆国の奴隷制時代の歌 アメリカスに息づくアフリカの声 スピリチュアルと呼ばれる歌 「ブラック」という共同体意識 哀しみの歌 黒人神学におけるスピリチュアルの意義 世俗的スピリチュアルとしてのブルース 第五章 合衆国のブラック・ミュージック 変わりゆく同じもの ジャズの始まり アームストロングの声 ジャズにおける創意と即興 混交するジャンル ソウル・オブ・ア・ネーション カバーによる伝統の構築 第六章 アメリカスからアフリカへ アメリカスのブラック・ミュージック アフロ・ブラジル音楽の展開 アフロ・カリブ音楽の多様性 アフリカへの帰還 同じリズム、いくつもの歴史 ブラック・カルチャーをめぐる次の旅へ 第七章 文字のなかの声 文字世界への参入 「トーキング・ブック」としての奴隷体験記 声の作家ハーストン 集団としての黒人の声の表現 クレオール語の口承性 声の歴史 第八章 奴隷貿易・奴隷制の記憶の光と影 記憶の場所 ユネスコの取り組み 「奴隷の道」プロジェクト 構築される記憶 文学のなかで語られる闇の記憶 奴隷貿易の闇 第九章 ブラック・ミュージックの魂 ブラック・パワーの潜在力 ナショナリズムを越えて ブラック・アーツ運動 ブラック・ジャズ共同体 ブラック・スピリチュアル ラップのスピリチュアリティ 第一〇章 ブラック・スタディーズとは何か 知の枠組みのラディカルな変革 アフリカ中心主義 ブラック・エクスペリエンス主義 ブラック・フェミニズム、ブラック・クィア・スタディーズ 『ブラックパンサー』とアフロフューチャリズム アフロフューチャリスト アフロペシミズム理論 ブラック・スタディーズの再規定 第一一章 ブラック・カルチャーは誰のものか 知の脱植民地化 収集と分類 脱植民地化と返還 ミュージアムの脱植民地化 文化の盗用とは何か ブラックをめぐる呼称 文化は混交する 第一二章 未来に向けて再構築されるルーツ 〈関係〉の思想 環大西洋的連帯 存在論的傷 記憶の継承と発掘 クレオール化のダイナミズム ルーツの再構築 〈全−世界〉のヴィジョン 主要参考文献 あとがき 〈関係〉のなかの私的物語 Author 中村 隆之 Takayuki Nakamura 1975年東京都生まれ.2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了.博士(学術).早稲田大学法学学術院教授.専攻―フランス語圏文学,環大西洋文化研究. 著書―『カリブ世界論』(人文書院,2013),『エドゥアール・グリッサン』(岩波書店,2016),『野蛮の言説』(春陽堂書店,2020),『魂の形式 コレット・マニー論』(カンパニー社,2021),『第二世界のカルトグラフィ』(共和国,2022),『環大西洋政治詩学』(人文書院,2022)ほか. 訳書―『痕跡』(水声社,2016),『マニフェスト 政治の詩学』(以文社,2024)ほか. 編訳書―『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社,2019). 共訳書―『アフリカ文学講義』(みすず書房,2022),『黒人法典』(明石書店,2024),『カリブ海序説』(インスクリプト,2024)ほか.
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あなたのフェミはどこから?
¥1,980
あなたの"フェミ"はいつ、どこから始まりましたか? 個人的でありながらも共通する体験でもあり、連帯する基盤ともなるフェミニズムとの出会いを綴るリレーエッセイ。 文筆家、写真家、彫刻家、翻訳家、編集者、ライター、演出家、イラストレーター、学者、ソーシャルワーカー、精神科医など19人の書き手が、個人的でありながらも共通する体験でもあり、連帯する基盤ともなるフェミニズムとの出会いを綴るリレーエッセイ。「ウェブ平凡」連載に書きおろしも加えて単行本化。 著者は安達茉莉子、石原真衣、上田久美子、小川たまか、長田杏奈、小田原のどか、金井冬樹、鴻巣麻里香、高島鈴、武田砂鉄、長島有里枝、能町みね子、野中モモ、藤高和輝、星野概念、松尾亜紀子、松橋裕一郎(少年アヤ)、水上文、森山至貴の19人。 [出版社より] 出版社|平凡社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|176 ISBN|9784582472349 発 行|2025年04月 Contents 安達茉莉子「自分の岸辺からはじめる」 松尾亜紀子「やばい間違ったかも、と震えてはじまることもある」 森山至貴「ぬるっと出会って、ずっと繫がって」 高島鈴「生まれ変わり」 石原真衣「先住民フェミニストでございます」 藤高和輝「i am a feminist.」 鴻巣麻里香「脱抑圧の三代記 ─ 私たちはなぜフェミニストでなくなるのか」 上田久美子「私のフェミはどこから。」 小川たまか「風が吹く野原が心の中にある」 星野概念「パワーのこと」 野中モモ「聞こえているから自分も言える」 水上文「BLとフェミニズム(のようなもの)」 金井冬樹「The Powerless Do Have Power.」 長田杏奈「シルバニアで遊べない子」 小田原のどか「受け取って、渡していく」 松橋裕一郎(少年アヤ)「わたし、そしてわたしたち」 能町みね子「神はいないが」 長島有里枝「わたしが千なら、フェミニズムはハク。」 武田砂鉄「ハッキリ答える前に」
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ベルリン・オリンピック反対運動[OUTLET]
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ナチスが大々的に関与して国際政治の抗争の場になった1936年のベルリン・オリンピックについては、ドイツの政治・外交との関係や宣伝・映像・芸術の実態など、様々な角度から論じられてきた。 このオリンピックに対してイギリスは反対運動を展開したが、その実像は明らかにされてこなかった。そこで本書では、まず反対運動でイニシアチブを握ったイギリス労働者スポーツ協会の活動を史料から掘り起こす。さらに、フィリップ・ノエル=ベーカーとウォルター・シトリーンの2人に焦点を当てて、彼らの理念や抱えた矛盾も踏まえて反対運動の内実を照らし出す。 バルセロナ人民オリンピアードとの距離感、オリンピック憲章擁護の闘い、ナチ・スポーツ独裁批判――オリンピックという巨大イベントにそれぞれの立場から反対運動を展開した歴史のアクターを追尾し、現代のオリンピックの問題点をも浮き彫りにする。 [出版社より] 著 者|青沼裕之 出版社|青弓社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|224 ISBN|978-4-7872-2089-9 発 行|2020年05月 Contents 序 章 なぜベルリン・オリンピック反対運動を研究するのか 1 国家プロジェクトとしてのオリンピックとパラリンピック 2 ベルリン・オリンピック研究の蓄積 3 本書の課題 第1章 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動 1 国際的なベルリン・オリンピック反対運動の開始 2 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動の起点 3 イギリス・ドイツ対抗フットボール・マッチへの反対とベルリン・オリンピック・ボイコットの提案 4 赤色スポーツインター国際協議会(プラハ)へのイギリス代表参加 5 国際フェアプレー委員会パリ国際会議へのイギリス代表参加 6 バルセロナ人民オリンピアードへの参加準備とスペイン内戦による中止 7 その後の祭典とスペイン支援 第2章 ノエル=ベーカーによるオリンピック憲章擁護の闘い 1 ノエル=ベーカーによる最初の問い合わせ(一九三三年五月) 2 ノエル=ベーカーとハロルド・エイブラハムズの往復書簡 3 ノエル=ベーカーへの反対運動援助の要請 4 ノエル=ベーカーが投書を「タイムズ」に公表しなかった理由 5 エイブラハムズの主張とイギリス・オリンピック協議会の決定 6 ノエル=ベーカーの二通の投書 7 「マンチェスター・ガーディアン」に掲載されたモンタギューの論説 8 ノエル=ベーカーの投書に対する国内外の反響 9 一九三六年前半のベルリン・オリンピック参加をめぐる動向 10 ノエル=ベーカーの決断の歴史的意義 補 論 ノエル=ベーカー文書に収められた亡命者によるナチ・スポーツ情報 1 亡命ドイツ人の活動とナチ・スポーツ情報の発信 2 亡命者によるナチ・スポーツ情報の要点と特徴 3 ノエル=ベーカーの論述の論拠となった亡命者によるナチ・スポーツ情報 第3章 ウォルター・シトリーンのナチ・スポーツ独裁批判 1 イギリス・ドイツ対抗フットボール・マッチとシトリーン 2 シトリーンのパンフレット『ヒトラーの支配下に』 3 国際フェアプレー委員会とシトリーン 4 バルセロナ人民オリンピアードとシトリーン 5 国際労働運動の指導者としてのシトリーンの判断 終 章 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動の思想と行動 主要参考文献 あとがき Author 青沼 裕之 Hiroyuki Aonuma 1958年、長野県生まれ。武蔵野美術大学教授。専攻はイギリススポーツ史。著書に『イギリス労働者スポーツ運動史――一九二三―五八年』(青弓社)、共著に『体育・スポーツの近現代――歴史からの問いかけ』(不昧堂出版)、『幻の東京オリンピックとその時代――戦時期のスポーツ・都市・身体』(青弓社)など。
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失われた賃金を求めて[OUTLET]
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『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』で日本にも鮮烈な印象を与えたイ・ミンギョン、次は男女の賃金格差に斬り込んだ! 男女賃金格差がOECD加盟国中「不動のワースト1位」の韓国の社会事情は、「不動のワースト2位」の日本でも共感必至。賃金差別は存在する! 解説=西口想。 [出版社より] 著 者|イ・ミンギョン 訳 者|小山内園子・すんみ 出版社|タバブックス 定 価|1,700円+税 判 型|四六変型判/並製 頁 数|216 ISBN|978-4-907053-47-5 初 版|2021年02月 Contents はじめに 1. 昇進 止まっているエスカレーター 2. 考課 「ふりだしに戻る」と「3つ前へ」 3. 同一職級 傾いた床 4. 与えられた条件 ハイヒールと砂袋 5. 雇用安定性 消えていく女性たち 6. 就職 7. 進路選択 8. 達成度評価 9. 資源 終わり-あるいははじまり 解説 日本で、女性がもっと受け取れるはずだった賃金の金額を求めよ 西口想 Author イ・ミンギョン Lee Min-Gyeong 延世大学校仏語仏文学科、社会学科を卒業後、韓国外国語大学校通訳翻訳大学院韓仏科で国際会議通訳専攻修士学位を取得。2016年に起きた江南駅殺人事件をきっかけに『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』を発表。女性が女性であるという理由で人生をあきらめなくてもすむ瞬間のため、ことばを書き訳している。最近はテキストを媒介にして女性たちが出会える場を作ることに力を注いでいる。主な著作に『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『脱コルセット:到来した想像』、共著に『笛を吹く女たち』『ヨーロッパ堕胎旅行』、訳書に『대리모 같은 소리(原題訳:代理出産、人権侵害)』『임신중지(原題訳:幸せな中絶)』『나, 시몬 베유(原題訳:ある人生)』などがある。現在、延世大学校文化人類学科修士課程で学びながら、女性の人生で手にすることのできるまた別の可能性を模索中である。 Translator 小山内 園子 Sonoko Osanai 東北大学教育学部卒業。社会福祉士。訳書に、ク・ビョンモ『四隣人の食卓』(書肆侃侃房)、キム・ホンビ『女の答えはピッチにある』(白水社)、共訳書に、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』(タバブックス、すんみと共訳)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房、すんみと共訳)など。 すんみ Seungmi 翻訳家。早稲田大学大学院文学研究科修了。訳書にキム・グミ『あまりにも真昼の恋愛』(晶文社)、チョン・セラン『屋上で会いましょう』(亜紀書房)、共訳書にイ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(タバブックス、小山内園子と共訳)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房、小山内園子と共訳)など。
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脱コルセット 到来した想像[OUTLET]
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脱コルセット運動は、苦痛や搾取、虐待を今、この場所で経験している女性たちの人生を変える最適のツールだった——。 韓国フェミニズム、最大のムーブメント「脱コルセット」とは何か。『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『失われた賃金を求めて』に続く、イ・ミンギョン第3弾。 ルックス至上主義、規範的女性性に抵抗する脱コルセット運動。韓国の若い女性たちが化粧品を捨て、髪を短くした写真をSNSにアップ、急速に広まった。女性らしさを「電撃的に打ち切る」強いアプローチを取った背景とは。イ・ミンギョンが「脱コル」実践者たちと対話し、読解を試みた渾身の1冊。 日本版は、多くの女性たちの声からなるこの本の特徴をふまえ複数の訳者が参加。韓国・日本在住の女性8人のチームで翻訳、それぞれのことばで脱コルセットを考えるリレーブログも公開中。 [出版社より] 著 者|イ・ミンギョン 訳 者|生田美保/オ・ヨンア/小山内園子/木下美絵/キム・セヨン/すんみ/朴慶姫/尹怡景 出版社|タバブックス 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-907053-53-6 初 版|2022年03月 Contents 日本の読者のみなさんへ イ・ミンギョン 0 観念から感覚へ 1 女から人へ 2 する自由からしない自由へ 3 努力から忘却へ 4 美しさから痛みへ 5 平面的な自我イメージから立体的な自分へ 6 美の観点から機能の観点へ 7 男性の他者から、女性として同一視された女性へ 8 画一的な日課から多様な日常へ 9 順応から違反へ 10 分裂から統合へ 11 今、ここから、別の世界へ 12 死から生へ 13 さあ、次の世代へ Author イ・ミンギョン Lee Min-Gyeong 女性が女性だという理由で 人生の何ひとつも あきらめないことを願う 延世大学校仏語仏文学科、社会学科を卒業後、韓国外国語大学校通訳翻訳大学院韓仏科で国際会議通訳専攻修士学位を取得。ENSパリ・サクレー校博士課程在籍中。フェミニストのためのことばを物し、訳す活動を行う。著書に『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『私たちにも系譜がある』『失われた賃金を求めて』、共著に『ヨーロッパ堕胎旅行』など。訳書に『妊娠中止(임신중지)』『母の国(어머니의 나라)』『国家ではなく女性が決めなければならない(국가가 아닌 여성이 결정해야 합니다)』『私、シモーヌ・ヴェイユ(나, 시몬 베유)』『すべての女性が同じ闘争をしているのではない(모든 여성은 같은 투쟁을 하지 않는다)』『ホイッスルが鳴ったら(휘슬이 울리면)』『主たる敵(주적)』などがある。
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運命の旅[OUTLET]
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孤高の作家によるナチス占領下フランスからの脱出記。家族との離散、難民収容所、ハリウッドへの亡命……1933年から48年までの戦火の暮らしを克明に綴った迫真のドキュメント。 [出版社より] 著 者|アルフレート・デーブリーン 訳 者|長谷川純 出版社|河出書房新社 定 価|4,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|400 ISBN|978-4-309-20771-1 発 行|2019年06月 Contents 第1篇 ヨーロッパよ、君を残して 見知らぬものへの旅 座礁 救済 第2篇 アメリカ ハリウッドでのなりゆき 心のざわめき 内面の教会と宗教 その後;終戦、そしてある知らせ 出発の合図 第3篇 帰還 ヨーロッパ バーデン=バーデンにて 一九四六年のドイツ チャンスがあったのに マインツへの小旅行 ベルリンとの再会 フリードリヒ通り駅からリンデンまで アレクサンダー広場 一九四八年 報告の終わりとフィナーレ Author アルフレート・デーブリーン Alfred Döblin 1878年プロイセン生まれ。近年世界的に再評価著しいドイツ文学の巨匠。代表作に『ベルリン・アレクサンダー広場』『ハムレット』『たんぽぽ殺し』『マナス』『王倫の三跳躍』など。1957年没。 Translator 長谷川 純 Jun Hasegawa 和光大学表現学部講師。著書に『語りの多声性──デーブリーンの小説『ハムレット』をめぐって』など。
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編むことは力
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編み物は、フェミニズムや社会運動を支えるツールでもあった。フランス革命時のトリコテウス、アメリカ革命時のスピニング・ビーズ、大戦時のニッティング・スパイ、トランプ政権時のプッシーハット・プロジェクト……。個人と政治、愛と経済を結びつけ、社会を幾度となく編み直してきたパワーの歴史をたどるエッセイ。 [出版社より] 著 者|ロレッタ・ナポリオーニ 訳 者|佐久間裕美子 出版社|岩波書店 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|206 ISBN|9784000616751 発 行|2024年12月 Contents 著者の言葉 イントロダクション 愛、政治と経済を編む 1 なぜ編み物をするのか 2 糸の檻を開ける 3 革命のために編む 4 フェミニズムと糸の愛憎関係 5 ウール・イズ・クール 6 編み物のネットワークの魔法 7 神経科学時代の編み物 8 ともに編もう──社会を編み直す エピローグ 必要なのは愛だけ 謝 辞 訳者あとがき 佐久間裕美子 パターン 西村知子 訳 注 参考文献 Author ロレッタ・ナポリオーニ Loretta Napoleoni 幼い頃イタリアで祖母から編み物を学ぶ.エコノミスト,コンサルタント,コメンテーター.フルブライト奨学生としてジョンズ・ホプキンス大学ポール・H・ニッツェ高等国際問題研究大学院,ロータリー奨学生としてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学.国際関係と経済学の修士号,経済学の博士号を取得.国際金融,テロリズム,9.11以降の社会変動,ヨーロッパや中国,北朝鮮経済に関し執筆.邦訳書に『人質の経済学』(文藝春秋)『「イスラム国」はよみがえる』(文春文庫)など. Translator 佐久間 裕美子 Yumiko Sakuma ライター,アクティビスト.慶應義塾大学卒業,イェール大学大学院修士課程修了.ニューヨーク在住.カルチャー,ファッション,政治,社会問題などに関し執筆.著書に『Weの市民革命』(朝日出版社)『みんなで世界を変える! 小さな革命のすすめ』(偕成社)など.訳書に『テロリストの息子』(朝日出版社).Sakumag Collectiveを通じて勉強会や情報発信などの活動を行っている.
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資本主義の次に来る世界
¥2,640
「少ないほうが豊か」である。 「アニミズム対二元論」というかつてない視点で文明を読み解き、成長を必要としない次なる社会を描く希望の書。ケイト・ラワース(『ドーナツ経済学が世界を救う』著者)、ダニー・ドーリング(『Slowdown 減速する素晴らしき世界』著者)ほか、世界の知識人が大絶賛。 デカルトの二元論は「人間」と「自然」を分離した。そして資本主義により、自然や身体は「外部化」され、「ニーズ」や「欲求」が人為的に創出されるようになった。資本主義の成長志向のシステムは、人間のニーズを満たすのではなく、「満たさないようにすること」が目的なのだ。 それでは、人類や地球に不幸と破滅をもたらさない、「成長に依存しない次なるシステム」とは何か? 経済人類学者が描く、かつてない文明論と未来論。 「本書が語るのは破滅ではない。語りたいのは希望だ。どうすれば、支配と採取を軸とする経済から生物界との互恵に根差した経済へ移行できるかを語ろう。」(「はじめに 人新世と資本主義」より) [出版社より] 著 者|ジェイソン・ヒッケル 訳 者|野中香方子 出版社|東洋経済新報社 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|326 ISBN|9784492315491 発 行|2023年04月 Contents はじめに 人新世と資本主義 第1部 多いほうが貧しい 第1章 資本主義――その血塗られた創造の物語 第2章 ジャガノート(圧倒的破壊力)の台頭 第3章 テクノロジーはわたしたちを救うか? 第2部 少ないほうが豊か 第4章 良い人生に必要なものは何か 第5章 ポスト資本主義への道 第6章 すべてはつながっている 謝辞 原注 Author ジェイソン・ヒッケル Jason Hickel 経済人類学者。英国王立芸術家協会のフェローで、フルブライト・ヘイズ・プログラムから研究資金を提供されている。エスワティニ(旧スワジランド)出身で、数年間、南アフリカで出稼ぎ労働者と共に暮らし、アパルトヘイト後の搾取と政治的抵抗について研究してきた。近著The Divide: A Brief Guide to Global Inequality and its Solutions(『分断:グローバルな不平等とその解決策』、未訳)を含む3冊の著書がある。『ガーディアン』紙、アルジャジーラ、『フォーリン・ポリシー』誌に定期的に寄稿し、欧州グリーン・ニューディールの諮問委員を務め、「ランセット 賠償および再分配正義に関する委員会」のメンバーでもある。 Translator 野中 香方子 Kyoko Nonaka お茶の水女子大学文教育学部卒業。主な訳書にアイザックソン『コード・ブレーカー(上下)』(共訳、文藝春秋)、サイクス『ネアンデルタール』(筑摩書房)、ヴィンス『進化を超える進化』(文藝春秋)、ウィルミア/トーランド『脳メンテナンス大全』(日経BP)、ブレグマン『Humankind 希望の歴史(上下)』(文藝春秋)、シボニー『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』(日経BP)、ズボフ『監視資本主義』(東洋経済新報社)、イヤール/リー『最強の集中力』(日経BP)、メディナ『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社)ほか多数。
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白人になれない白人たち——中欧の反リベラリズムとレイシズム
¥3,960
〈リベラル〉に反旗を翻す白人たち――。 何が〈中欧〉の人々を憎悪に走らせているのか? 2014年に「非リベラルな民主主義」を高らかに宣言したハンガリーのオルバーン首相。その理念は米国のトランプやロシアのプーチンとも共鳴し、強権的政治が世界に広がりつつある。中欧は反リベラル現象の震源地なのか? 中欧出身の文化人類学者が、民主主義の危機の背景にある「白人」間の人種差別(レイシズム)を解き明かす衝撃作。 「いろいろなことが中欧ではひどい状態になっているし、西欧のほうがよい状態だということは僕も認める。でも僕が本当に言いたいのは、西欧のほうが「それほど」よいとは言えないということ。そしてもし、中欧のほうがよくないとしたら、それは西欧にも責任の一端があるということだ。」(「まえがき」より) [出版社より] 著 者|アイヴァン・カルマー 訳 者|加藤恵津子・神原ゆうこ・坂田敦志 出版社|彩流社 定 価|3,600円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|396 ISBN|9784779130205 発 行|2025年01月 Contents まえがき あるカナダ系「中欧人」の告白 序章 人種、非自由主義、中欧 第一章 こうして東欧人はあまり白人でなくなった 第二章 こうして中欧人は東欧人になった 第三章 こうして中欧人は何度も中欧人になった 第四章 中欧――「半分だけの真実」と事実 第五章 最後の白人男性――白無垢な中欧 第六章 「東欧人は恥を知らないのか? 」 ――中欧における反ユダヤ主義、レイシズム、同性愛嫌悪 第七章 拒絶された模倣 ――西欧はなぜ中欧に東欧のままでいてほしいのか 第八章 「我々は植民地にはならない!」 第九章 スラヴィア・プラハ対グラスゴー・レンジャーズ ――あるサッカーの試合を教訓に 終章 移民がやって来るとき 訳者解説――文化人類学者がみた中欧の政治 Author アイヴァン・カルマー Ivan Kalmar トロント大学人類学部教授。1948年、プラハ生まれのユダヤ系。現在のスロヴァキアとチェコで育つ。人種・宗教・ナショナリズムといったテーマについて研究し、ヨーロッパにおけるユダヤ人やイスラム教徒に対する偏見を論じた著書を持つ。邦訳書に『白人になれない白人たち―中欧の反リベラリズムとレイシズム』(彩流社、2025年)がある。 Translator 加藤 恵津子 Etsuko Kato 国際基督教大学国際関係学科教授(文化人類学)。慶應大学文学部文学科英米文学専攻卒。同大学院文学研究科修士課程修了。カナダ・トロント大学大学院博士課程修了(言語・記号人類学)。文化ナショナリズム、アジアニズム、英語圏中心主義、ジェンダーの視点から、日本・日本人、およびその表象を批判的に研究。著書に『「自分探し」の移民たち カナダ・バンクーバー、さまよう日本の若者』(彩流社、2009年)、『グローバル人材とは誰か:若者の海外経験の意味を問う』(青弓社、2016 年)など。 神原 ゆうこ Yuko Kanbara 北九州市立大学基盤教育センター教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。スロヴァキアとハンガリーを調査地とし、政治的価値観と実践について文化人類学的研究を行う。主な著書に『デモクラシーという作法:スロヴァキア村落における体制転換後の民族誌』(九州大学出版会、2015 年)がある。 坂田 敦志 Atsushi Sakata 一橋大学大学院社会学研究科特別研究員。同大学院博士後期課程修了。博士(社会学)。1989 年以降のチェコの政治的言説の変遷について、文化人類学的研究を行う。論文に「ポスト社会主義のトリックスター:チェコ共和国におけるポスト社会主義からポスト社会主義以後への移行の契機」(『文化人類学』87 巻1 号、2022 年)など。
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世代とは何か
¥2,530
地球規模の危機を乗り越え、未来を確かなものにするために、わたしたちは何をすべきか——。 巨大な危機に直面したいま、私たちは「古いやり方」に立ち戻る必要がある、とインゴルドは唱える。、脈々と紡がれてきた「知恵」とは、いったいどのようなものだろうか? ティム・インゴルド思想のエッセンスを総動員して語られる、希望の書。 「ティム・インゴルドは、私たちが直面している惑星規模の危機に対処するために、世代をめぐる考え方をひっくり返そうとします。そのために、複数の世代が祖先の道に沿ってともに生き、ともに働くことによって、自らと子孫たちにとっての未来を確かなものにするという失われてしまった考えを、私たちのうちに再び取り戻そうとするのです」(奥野克巳/訳者) [出版社より] 「生者は死者と未来の他者を、同じテーブルに呼び集めて、対話しなければならない。」 ——中島岳志(政治学者) 著 者|ティム・インゴルド 訳 者|奥野克巳・鹿野マティアス 出版社|亜紀書房 定 価|2,300円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|242+カラー2頁 ISBN |978-4-7505-1858-9 発 行|2024年10月 Contents 日本の読者のみなさまへ まえがき 第1章 世代と生の再生 親子関係 系譜学的モデル 相続と持続性 第2章 人の生涯[ライフコース]をモデル化する 年を取り、子をなす 歴史の天使 釣鐘曲線 生と死 第3章 道を覚えていること 薄層で覆われた地面 過去からの道 アーカイブからアナーカイブへ 懐かしむこと 第4章 不確実性と可能性 呪いを解く くぐり抜けながらおこなう 注意の構造 驚愕と感嘆 第5章 喪失と絶滅 種のカタログ 子をなすことの系譜 人種と世代 保全と、ともに生きること[コンヴィヴィアリティ] 第6章 人類を再中心化する 人間を超えて、人間する[ヒューマニング] 例外主義の告訴 進歩と持続可能性 群れとタービンについて 第7章 教育のやり方 学究的な姿勢 理性と応答可能性 新しい人々、古いやり方 知恵と好奇心 第8章 科学技術の後に STEMからSTEAMへ 科学とアーツ デジタル化と手先仕事 結び 解説に代えて 原注 Author ティム・インゴルド Tim Ingold 1948年イギリス・バークシャー州レディング生まれの人類学者。1976年にケンブリッジ大学で博士号を取得。1973年からヘルシンキ大学、マンチェスター大学を経て、1999年からアバディーン大学で教えている。『ラインズ──線の文化史』(2014年、左右社)、『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』(2017年、左右社)、『ライフ・オブ・ラインズ──線の生態人類学』(2018年、フィルムアート社)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『生きていること』(2021年、左右社)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)などがある。 Translator 奥野 克巳 Katsumi Okuno 立教大学異文化コミュニケーション学部教授。著作に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(2018年、亜紀書房)、『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』(2022年、辰巳出版)、『人類学者K』(2022年、亜紀書房)など多数。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える──人間的なるものを超えた人類学』(2016年、亜紀書房)、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ──シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(2018年、亜紀書房)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)。 鹿野 マティアス Matthias Shikano 翻訳家・ライター。本業では、動物遺体を運ぶ特殊運搬業に携わる。将来は文化人類学者を目指している。
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ガザとは何か——パレスチナを知るための緊急講義
¥1,540
ガザで何が、なぜ起きているのか。歴史的文脈とポイントを平易に解説する「まずここから」の一冊。 2023年10月7日、ハマース主導の越境奇襲攻撃に端を発し、イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。長年パレスチナ問題に取り組んできた、パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、平易な語り口、そして強靭な言葉の力によってさまざまな疑問、その本質を明らかにします。 今起きていることは何か? パレスチナ問題の根本は何なのか? イスラエルはどのようにして作られた国? シオニズムとは? ガザは、どんな地域か? ハマースとは、どのような組織なのか? いま、私たちができることは何なのか? 今を知るための最良の案内でありながら、「これから私たちが何を学び、何をすべきか」、その足掛かりともなる、いま、まず手に取りたい一冊です。 *本書は、10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で開催された緊急セミナーに加筆修正を加えたものです。 [出版社より] 著 者|岡真理 出版社|大和書房 定 価|1,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|208 ISBN|9784479394204 発 行|2023年12月 Contents ■第1部 ガザとは何か 4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ」/イスラエル国内での動き/ガザはどれほど人口過密か/ハマースの誕生/オスロ合意からの7年間/民主的選挙で勝利したハマース/抵抗権の行使としての攻撃/「封鎖」とはどういうことか/ガザで起きていること/生きながらの死/帰還の大行進/ガザで増加する自殺/「国際法を適用してくれるだけでいい」 ■第2部 ガザ、人間の恥としての 今、目の前で起きている/何度も繰り返されてきた/忘却の集積の果てに/不均衡な攻撃/平和的デモへの攻撃/恥知らずの忘却/巨大な実験場/ガザの動物園/世界は何もしない/言葉とヒューマニティ/「憎しみの連鎖」で語ってはいけない/西岸で起きていること/10月7日の攻撃が意味するもの/明らかになってきた事実/問うべきは「イスラエルとは何か」/シオニズムとパレスチナ分割案/イスラエルのアパルトヘイト/人道問題ではなく、政治的問題 ■質疑応答 ガザに対して、今私たちができることは?/無関心な人にはどう働きかければいい?/パレスチナ問題をどう学んでいけばいい?/アメリカはなぜイスラエルを支援し続けるのか?/BDS運動とは何? ■付録 もっと知るためのガイド(書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイト) パレスチナ問題 関連年表 Author 岡 真理 Mari Oka 1960年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。在モロッコ日本国大使館専門調査員、大阪女子大学人文社会学部講師、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、早稲田大学文学学術院教授。専攻は現代アラブ文学・第三世界フェミニズム思想。
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持続可能な魂の利用
¥836
会社に追いつめられ、無職になった三十女が、女性アイドルに恋して日本の絶望を粉砕!? 現実を生き抜くための最高エネルギーチャージ小説。解説=松尾亜紀子。 [出版社より] 著 者|松田青子 出版社|中央公論新社[中公文庫] 定 価|760円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|280 ISBN|978-4-12-207369-2 初 版|2023年05月 Author 松田 青子 Aoko Matsuda 1979年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。2013年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞及び野間文芸新人賞候補に、14年にTwitter文学賞第1位となり、19年には『ワイルドフラワーの見えない一年』収録の「女が死ぬ」(英訳:ポリー・バートン)がアメリカのシャーリィ・ジャクスン賞短編部門の候補となった。
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男の子になりたかった女の子になりたかった女の子
¥814
SOLD OUT
あなたを救う“非常口”はここ。 『おばちゃんたちのいるところ』が海外で大反響の著者が贈る、はりつめた毎日に魔法をかける最新短篇集。解説=小林エリカ。 [出版社より] 著 者|松田青子 出版社|中央公論新社[中公文庫] 定 価|740円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|264 ISBN|978-4-12-207511-5 発 行|2024年04月 Contents 天使と電子 ゼリーのエース クレペリン検査はクレペリン検査の夢を見る 桑原さんの赤色 この世で一番退屈な赤 許さない日 向かい合わせの二つの部屋 誰のものでもない帽子 物語 斧語り 男の子になりたかった女の子になりたかった女の子 解説 小林エリカ Author 松田 青子 Aoko Matsuda 1979年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。2013年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞及び野間文芸新人賞候補に、14年にTwitter文学賞第一位となり、19年には『ワイルドフラワーの見えない一年』収録の「女が死ぬ」(英訳:ポリー・バートン)がアメリカのシャーリィ・ジャクスン賞短編部門の候補となった。
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差別と資本主義
¥2,970
SOLD OUT
人種やジェンダーをめぐる差別・不平等は、グローバル資本主義の構造と深くかかわって、全世界的な社会分断を生んでいる。差別問題に正面から切り込んだトマ・ピケティの論考をはじめ、国際的な識者たちが問題の深淵と解決への道筋を語る、最先端の論集。 [出版社より] 著 者|トマ・ピケティ、ロール・ミュラ、セシル・アルデュイ、リュディヴィーヌ・バンティニ 訳 者|尾上修悟、伊東未来、眞下弘子、北垣徹 出版社|明石書店 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|216 ISBN|9784750356037 発 行|2023年06月 Contents 訳者序文[尾上修悟] 第一章 人種差別の測定と差別の解消[トマ・ピケティ] 第二章 キャンセルカルチャー――誰が何をキャンセルするのか[ロール・ミュラ] 第三章 ゼムールの言語[セシル・アルデュイ] 第四章 資本の野蛮化[リュディヴィーヌ・バンティニ] 訳者解説[尾上修悟] Author トマ・ピケティ Thomas Piketty フランス国立社会科学高等研究院の研究所長、パリ経済学校の教授、ならびにグローバル不平等研究所の共同主宰者。 ロール・ミュラ Laure Murat カリフォルニア大学ロサンゼルス校ヨーロッパ言語・越境文化学科教授。 セシル・アルデュイ Alduy C'ecile スタンフォード大学(米国)フランス文学・文明学の教授、パリ政治学院政治学研究センターCEVIPOFの准研究員。 リュディヴィーヌ・バンティニ Ludivine Bantigny 歴史家、教員・研究者、ルーアン大学GRHisラボメンバー。社会参加、社会運動・反乱・革命の歴史を研究
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韓国、男子——その困難さの感情史
¥3,300
「男」は理不尽な観念だ。ジェンダー間の格差・分断・差別の歴史の中で、男性は「男」であるがゆえに抑圧する主体だった。他方、「男なら……」という期待は、当事者に「失敗と挫折でがんじがらめ」の内的経験をもたらしてもきた。日本においても然り。だが韓国では、この問題を感情史的アプローチで探究する試みがいち早く登場した。 韓国ドラマの男たちが“おんな子どもを守る強い男”の類型を引きずり続けるのはなぜだろう? フェミニズムへの関心の高い国で、なぜ若者がバックラッシュの政策を支持するのか? その背景にある男性性の問題、すなわち「韓国男子」のこじれの源を、本書は近現代史上の事象や流行語を手がかりに辿る。 「男子(ナムジャ)」の苦難や煩悶が、非‐男性への抑圧と表裏をなしながら、いかにして社会を構成する人々全体の生きづらさに与ってきたか。朝鮮王朝時代、植民地化、南北分断と軍政、民主化、新自由主義化といった局面に応じて、男性性をめぐる新たな困難と、そこから噴き出る抑圧と暴力の構図が繰り返し出現した。終盤では、兵役が生む軋轢や、オンラインで拡散する苛烈なミソジニーとバックラッシュに揺れる2000年以降の社会の様相を見る。 「このような作業が必要な理由は、まず理解するためだ。」今日の韓国の人々の心性を理解するための重要な知見と示唆に溢れた論考であるとともに、日本における同じ問題を合わせ鏡で見るような書だ。 [出版社より] 原 書|한국, 남자 귀남이부터 군무새까지 그 곤란함의 사회사 著 者|チェ・テソプ 訳 者|小山内園子・すんみ 解 説|趙慶喜 出版社|みすず書房 定 価|3,000円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|312 ISBN|978-4-622-09745-7 初 版|2024年12月 Contents ■序 いま、韓国の男たち■ ソン・ジェギと男性「連帯」 仁義なき戦い ボタンを押した男たち 韓(国)男(子)の起源と現在 ■1 問題になる男■ ──「貴男[グィナム]」たちが招いた危機 跡を継ぐ息子 戸主制と女性の再植民化 「貴男」たち 削除された女児たち 人口抑制計画 没落する男たち 男の終末 in 韓国 溜まりつづける男たち ■2 “真の男”を探して■ ──「ヘゲモニックな男性性」の起源 トレードマークは“真の男” 男らしさの身体的起源 「男」対「野生」 作られた男 ヘゲモニックな男性性 支配のコスト ■3 韓国男子の憂鬱な起源■ ちゃっかりした無能力者たち 輸入された男──植民地男性の不遇な誕生 反共戦士を作る 朝鮮戦争──男性性の墓 傷痍軍人、兵役忌避者、そして女たち 軍靴をはいた継父──徴兵制と産業の担い手 「いい暮らしをしよう」──仲むつまじい中産層を目指して 男性性の極限──80年光州の空挺部隊 光州の息子たち──不正な父に立ち向かって ■4 変化と没落■ ──1990年代と韓国、男子 Xな新時代の男たち うなだれている男──IMF通貨危機と「男性性の危機」 ■4.5 ピンクの服をまとった男たち■ メトロセクシュアルと新たな男性性? ■5 悔しい男たち■ 軍オウム[グンムセ]の歌と悔しい男たちの誕生 女性嫌悪の年代記1──味噌女の誕生 女性嫌悪の年代記2──キムチ女からメガルまで 出口のない循環──遊び文化と女性嫌悪 でっち上げられた嫌悪 「代替現実」としての女 ■結び 韓国男子に未来はあるか■ 謝辞 日本語版へのあとがき──2023、依然として、“韓国、男子”たち 解説──フェミニズムへの応答としての韓国男子論(趙慶喜) 訳者あとがき 参考文献 索引 Author チェ・テソプ 최태섭 1984年生まれ。文化評論家、社会学研究者。聖公会大学校社会学科にて博士課程修了。ジェンダー、政治、労働問題に重点を置いて執筆活動をしている。2011年の共著書『열정은 어떻게 노동이 되는가〔情熱はいかにして労働になるのか〕』(ウンジン知識ハウス)では、韓国社会の若者世代に「情熱」という形態をとって強要される不合理な労働について論じた。2013年、世代論だけでは説明できない搾取と疎外を「余剰」をキーワードに考察する単著『잉여사회〔余剰社会〕』(ウンジン知識ハウス)を発表。2018年に本書の原書『한국, 남자〔韓国、男子〕』(ウネンナム)、2021年にはゲーム産業・文化について考察した『모두를 위한 게임 취급 설명서─게임에 대해 궁금하지만 게이머들은 답해줄 수 없는 것들〔みんなのためのゲーム取扱説明書──ゲームについて疑問に思うが、ゲーマーは答えることができないもの〕』(ハンギョレ出版)を上梓した。ほかの著書に、『억울한 사람들의 나라〔やりきれない者たちの国〕』(ウィズダムハウス、2018)など。 Translator 小山内 園子 Sonoko Osnai 1969年生まれ。韓日翻訳者、社会福祉士。訳書に、ク・ビョンモ『破果』(岩波書店、2022)など。すんみとの共訳書にイ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(タバブックス、2018)。 すんみ 1986年生まれ。韓日、日韓翻訳者。訳書に、チェ・ジニョン『ディア・マイ・シスター』(亜紀書房、2024)、ウン・ソホル他『5番レーン』(鈴木出版、2022)など。小山内園子との共訳書にイ・ミンギョン『失われた賃金を求めて』(タバブックス、2021)。 Commentary 趙 慶喜 1973年生まれ。韓国・聖公会大学東アジア研究所教員。主な共著書に『残余の声を聴く──沖縄・韓国・パレスチナ』(明石書店、2021)、『주권의 야만─밀항・수용소・재일조선인〔主権の野蛮──密航・収容所・在日朝鮮人〕』(ハンウル、2017)。
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クソったれ資本主義が倒れたたあとの、もう一つの世界
¥1,980
「株式市場をぶっ壊せ。21世紀の革命は、いま始まったばかりだ」 ——斎藤幸平 「公平で正しい民主主義」が実現した2025年にいるもう一人の自分と遭遇した。分岐点は2008年、そうリーマンショックがあった年だ。2011年に「ウォール街を占拠せよ」と叫んだ、強欲な資本家と政治家に対する民衆の抗議活動はほどなく終わったが、「もう一つの世界」では別の発展をたどることになった。資本主義消滅後のパラレルワールドは、はたして新たなユートピアなのか、それとも? 『父が娘に語る、美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』著者による衝撃のストーリー。 [出版社より] 著 者|ヤニス・ヴァルファキス 訳 者|江口泰子 出版社|講談社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|362 ISBN|978-4-06-521950-8 発 行|2021年09月 Contents <資本主義が滅びた「もう一つの世界」では……> →銀行がなくなる 残るのは中央銀行1行だけ →株式市場がなくなる 社員は1人1株、議決権1票 →独占巨大資本がなくなる GAFA消滅 →格差がなくなる 中央銀行が国民全員に定額を給付 →上司がいなくなる 好きな相手とチームをつくり基本給は全員同額 分岐点は2008年/この世界と異なる選択をした「もう一つの世界」/パラレルワールド/S F/経済学/ギリシャ哲学/オルタナティブストーリー/デジタル化はプロレタリア化/資本主義の終焉?/新しい社会主義?/サッチャリズム/スターリン/ジェフ・ベゾス/リーマンブラザーズ/貨幣/土地/議決権/強欲資本家/1人1株1票/スター社員も新入社員も基本給は均等割/パーキャブ口座/ヒエラルキーの消滅/銀行の消滅/イデオロギー/コーポ・サンディカリズム/家父長制/恋愛至上主義/フェミニズム/アクティビスト/リベラリスト/ワルキューレの騎行/ヘパイストスの狂気 Author ヤニス・バルファキス Yanis Varoufakis 1961年アテネ生まれ。経済学部教授として長年にわたり、英国、オーストラリア、ギリシャ、米国で教鞭をとる。2015年、ギリシャ経済危機のさなかにチプラス政権の財務大臣に就任。緊縮財政策を迫るEUに対して大幅な債務減免を主張し、注目を集めた。2016年、DiEM25((Democracy in Europe Movement 2025:民主的ヨーロッパ運動2025)を共同で設立。2018年、米国の上院議員バーニー・サンダース氏らとともにプログレッシブ・インターナショナル(Progressive International)を立ち上げる。世界中の人々に向けて、民主主義の再生を語り続けている。主な著書に、『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモンド社)『わたしたちを救う経済学――破綻したからこそ見える世界の真実』(Pヴァイン)『黒い匣――密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』(明石書店)『世界牛魔人――グローバル・ミノタウロス:米国、欧州、そして世界経済のゆくえ』(那須里山舎)などがある。 Translator 江口 泰子 Taiko Eguchi 法政大学法学部卒業。編集事務所、広告企画会社勤務を経て翻訳業に従事。訳書に、『結局、自分のことしか考えない人たち――自己愛人間への対応術』(草思社)、『ケネディ暗殺 50年目の真実』『21世紀の脳科学――人生を豊かにする3つの「脳力」』(以上、講談社)、『ブレグジット秘録――英国がEU離脱という「悪魔」を解き放つまで』『ザ・フォーミュラ――科学が解き明かした「成功の普遍的法則」』(以上、光文社)、『140字の戦争――SNSが戦場を変えた』『2030――世界の大変化を「水平思考」で展望する』(以上、早川書房)ほか多数。
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妾と愛人のフェミニズム——近・現代の一夫一婦の裏面史
¥3,080
SOLD OUT
一夫一婦制度が確立した明治期から2010年代までの新聞・雑誌や文学を精読し、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。 ー 夫婦関係に不和を生じさせる存在、倫理にもとるものとして現在ではタブー視されている「愛人」や、かつて「妾」と呼ばれた人たちは、どのような女性だったのか。 フェミニズムの分野で「妾」や「愛人」が議論の対象にされてこなかったことに疑問をもった著者が、明治期から2010年代までの「妾」と「愛人」にまつわる「読売新聞」や「週刊文春」の記事分析と文学作品の読解を通して、時代ごとに形作られた社会的イメージの変遷をたどっていく。 森鴎外や尾崎紅葉の小説に描かれる近代男性の妾囲い、有島武郎と波多野秋子などの大正期に新聞紙上をにぎわせた知識人の愛人関係、太宰治「斜陽」で「道徳革命」を成就させる戦後の愛人、「嫉妬する妻」による刃傷沙汰事件、「おいしい生活」を望む女性たちの間で流行した愛人バンク、政治家の「女房役」やハイクラス男性のビジネスパートナーとしての愛人、2000年代以降の政治家のスキャンダルのなかで性的に消費される愛人像などを取り上げ、近・現代日本に現れる「妾」と「愛人」像と、その評価を詳細に検討する。 一夫一婦制度が確立した明治期以降、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として近代知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。 [出版社より] 著 者|石島亜由美 出版社|青弓社 定 価|2,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|280 ISBN|978-4-7872-3517-6 発 行|2023年03月 Contents はじめに 第1章 明治の妾――一夫一婦の裏面の妾という存在 1 法制度からみる妾の位置づけ 2 妾の近代文化 3 文学に描かれた妾 第2章 戦前の愛人――恋愛をする人 1 近代日本フェミニズムの出発点――恋愛/一夫一婦/妾の否定 2 愛人の登場――一九一〇年代まで 3 一九二〇年代の愛人像――文学作品・婦人雑誌・新聞から 第3章 一九三〇年代の妻と妾――妻の嫉妬と閉塞感 1 「嫉妬する妻」の構築 2 一九三〇年代の「妻」「妾」の身の上相談 第4章 戦後の愛人――働く女性、性的存在、不道徳な存在 1 戦後愛人の原型――一九四〇年代後半から五〇年代 2 週刊誌のなかの愛人 初出一覧 おわりに Author 石島 亜由美 Ayumi Ishijima 1980年、栃木県生まれ。城西国際大学大学院人文科学研究科女性学専攻(修士課程)修了、比較文化専攻(博士課程)単位取得満期退学。博士(比較文化)。専攻は女性学、東洋医学。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師。共著に『ジェンダーの視点からみる日韓近現代史』(梨の木舎)、『韓流サブカルチュアと女性』(至文堂)、論文に「私にとっての「女性学」という場――水田宗子の女性学と草創期の議論を再考して」(「WAN女性学ジャーナル」2019年)、「近代日本における「妾」に関する新聞記事のジェンダー分析――「嫉妬」の社会的構築と「妻」の危機・「妾」の排除」(「女性学」第25号)、「「夫」「妻」「妾」近代的主体とジェンダー文化の構築」(「女性・戦争・人権」第14号)など。
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資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか
¥1,210
SOLD OUT
資本主義は私たちの生存基盤を食い物にすることで肥大化する矛盾に満ちたシステムである。世界的政治学者がそのメカニズムを根源から批判する。 なぜ経済が発展しても私たちは豊かになれないのか。それは、資本主義が私たちの生活や自然といった存立基盤を餌に成長する巨大なシステムだからである。資本主義そのものが問題である以上、「グリーン資本主義」や、表面的な格差是正などは目くらましにすぎず、根本的な解決策にはなりえない。破局から逃れる道はただ一つ、資本主義自体を拒絶することなのだ――。世界的政治学者が「共喰い資本主義」の実態を暴く話題作。解説=白井聡。 [出版社より] 著 者|ナンシー・フレイザー 訳 者|江口泰子 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|1,100円+税 判 型|新書判・並製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-07565-9 発 行|2023年08月 Contents 序章 共喰い資本主義―私たちはもう終わりなのか 第1章 雑食―なぜ資本主義の概念を拡張する必要があるのか 第2章 飽くなき食欲―なぜ資本主義は構造的に人種差別的なのか 第3章 ケアの大喰らい―なぜ社会的再生産は資本主義の危機の主戦場なのか 第4章 呑み込まれた自然―生態学的政治はなぜ環境を超えて反資本主義なのか 第5章 民主主義を解体する―なぜ資本主義は政治的危機が大好物なのか 第6章 思考の糧―二一世紀の社会主義はどんな意味を持つべきか 終章 マクロファージ―共喰い資本主義の乱痴気騒ぎ Author ナンシー・フレイザー Nancy Fraser 1947年生まれ。アメリカの政治学者。ニューヨーク市立大学大学院センターで博士号取得。ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの政治・社会科学教授。専門は、批判理論、ジェンダー論、現代フランス・ドイツ思想。邦訳書に、『中断された正義――「ポスト社会主義的」条件をめぐる批判的省察』(御茶の水書房)、『正義の秤――グローバル化する世界で政治空間を再想像すること』(法政大学出版局)、『再配分か承認か?――政治・哲学論争』(共著、法政大学出版局)、『99%のためのフェミニズム宣言』(共著、人文書院)など。 Translator 江口 泰子 Taiko Eguchi 翻訳家。法政大学法学部卒業。ヤニス・バルファキス『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』(講談社)、ウィリアム・ノードハウス『グリーン経済学』(みすず書房)など訳書多数。
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新百姓宣言
¥1,100
SOLD OUT
人間がシステムに隷属するのではなく、創造の主体として、一人ひとりの創造性がより自由に解放されるには? 本書では、今のCapitalism(資本主義)に至る社会システムのコンテキストとその本質や機能不全について考えた上で、「つくる喜び」を最も大切にするCreativitism(創造性主義)というあり方を提示し、それに向けた世界観や価値の転回について論じます。そして、Creativitismの観点から見た暮らしや仕事のあり方と、それに基づいた新たな社会の仕組みについて、仮説を提示します。 カネを最重視するCapitalismをはじめ、従来の権威的な主義と違って、Creativitismが最も大切にする「つくる喜び」は、あくまで私たち一人ひとりが個人的に、自らの感覚によってしか確認できないものです。だからこそ、身の周りの衣食住から、物事の解釈や意味づけという「見方」まで、あらゆるレイヤーで私たちは一人ひとりが創造の主体であり、日常の中のどんな営みからでも、「つくる」を楽しみはじめられる。 Capitalismの限界が様々な面であらわになりつつある今、既存の社会システムに疑問を持ち、生き方や働き方を根本的に考え直す人が増えているのではないでしょうか。 「常識」や「正解」にただ沿うのではなく、自分が本当に大切にしたいことを、大切にしたい。狭い範囲でコントロールするのではなく、より広い縁起の中で、偶発性を楽しみつつ、自分が思い描くものを、自らの手でつくってみたい。 もしもそういった思いを抱いているのならば、本書はそういう方々に友人のように寄り添い、問いかけ、背中を押し、ともに考え歩むような一冊になり得ると思います。 本書が、手に取ってくださったお一人お一人にとって、自身の秘めた創造性に気づき、より花開かせるきっかけの一つになれれば幸いです。 [編集部より] 著 者|おぼけん[雑誌『新百姓』編集長] 出版社|ている舎 定 価|1,000円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-910961-03-3 発 酵|2024年05月
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ナショナリズムとセクシュアリティ——市民道徳とナチズム
¥1,760
何がリスペクタブルな振舞か。ナチズムへと至る国民主義の高揚の中で、性的領域も正常/異常に分けられていく。セクシュアリティ研究の先駆的著作。 ー 18世紀の宗教復興とフランス革命を経て、西洋では「礼にかなった」作法を重んじる市民的価値観が浸透していった。リスペクタブルか否か? その問いかけはセクシュアリティをも正常/異常に区分し、国民主義と結びついて社会の管理・統制を強化した。逸脱行為と見なされた同性愛や売春は社会秩序を乱すものとされ、自制する「男らしさ」と、性欲を排した男同士の友情が市民道徳の基盤となっていく──。 宗教、医学、芸術、性別分業、人種主義などの諸要素が絡まり合って作用し、市民的価値観と国民主義が手を取り合ってナチズムへ至る道が鮮やかに描き出される。文庫化にあたって、心理学者メアリー・ルイーズ・ロバーツによる新たな解説を付した。 [出版社より] 著 者|ジョージ・L・モッセ 訳 者|佐藤卓己 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,600円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|484 ISBN|978-4-480-51210-9 発 行|2023年12月 Contents 第1章 序論―国民主義と市民的価値観 第2章 男らしさと同性愛 第3章 身体の再発見 第4章 友情と国民主義 第5章 どんな女性? 第6章 戦争と青年と美しさ 第7章 血と性―アウトサイダーの役割 第8章 ファシズムとセクシュアリティ 第9章 結論―万人の道徳 Author ジョージ・L・モッセ George L. Mosse 1918‐99年。ベルリン生まれ。ウィスコンシン大学・ヘブライ大学名誉教授。専門はドイツ社会史。1933年ナチスの迫害を逃れて亡命。37年ケンブリッジ大学入学。39年にアメリカ移住後、ハーヴァード大学で博士号を取得。著書に『大衆の国民化』『英霊』(ともにちくま学芸文庫)などがある。 Translator 佐藤 卓己 Takumi Sato 1960年生れ。1989年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。東京大学新聞研究所助手、国際日本文化研究センター助教授を経て、現在は京都大学大学院教育学研究科准教授。著書として『「キング」の時代』(岩波書店、サントリー学芸賞)、『言論統制』(中公新書、吉田茂賞)のほか、『増補 大衆宣伝の神話』(ちくま学芸文庫)、『メディア社会』(岩波新書)、『輿論と世論』(新潮選書)、『テレビ的教養』(NTT出版)、『物語 岩波書店百年史2』(岩波書店)など多数ある。
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平等についての小さな歴史
¥2,750
3000ページの達成を250ページに凝縮。公正な未来のために、経済学からの小さな贈り物。 「〈あなたの著書はとても興味深いです。でも、その研究について友人や家族と共有できるように、もう少し短くまとめて書いてもらえるとありがたいですが、どうでしょう?〉 このささやかな本はある意味、読者の皆さんにお会いするたびに決まって言われたそんな要望に応えたものだ。私はこの20年間に不平等の歴史について3冊の著作を世に出したが、いずれもおよそ1000ページにも及ぶものになった。『格差と再分配』『21世紀の資本』『資本とイデオロギー』の3冊だ。…こうして積み重ねられた膨大な量の考証を前にすれば、どんなに好奇心旺盛な人でも意気消沈してしまうことだろう。そこで私はこれまでの研究を要約することにした。本書はその成果である。 しかし本書は、こうした研究から得られる主な教訓を総論的に紹介しているだけではない。…自分の数々の研究を通して深めた確信に基づいて平等の歴史についての新たな展望を示している」 ——謝辞より [出版社より] 「格差に対処する野心的な計画を提示している。…政治の未来についての議論の出発点だ」 ——マイケル・J・サンデル(ハーバード大学教授|『実力も運のうち』) 「ピケティにとって、歴史の弧は長く、しかも平等に向かっている。…平等を成し遂げるには、つねに無数の制度を[再]創造しなくてはならない。本書はそれを助けるためにやってきた」 ——エステル・デュフロ(2019年ノーベル経済学賞受賞者) 「不平等から平等へと焦点を移したピケティが示唆しているのは、必要なのは鋭い批判だけではなく、回復のための治療法だということだ」 ——ジェニファー・サライ(『ニューヨーク・タイムズ』) 原 書|UNE BRÈVE HISTOIRE DE L'ÉGALITÉ 著 者|トマ・ピケティ 訳 者|広野和美 出版社|みすず書房 定 価|2,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|264 ISBN|978-4-622-09732-7 初 版|2024年09月 Contents はじめに 新しい経済史、社会史 不公平に対する反乱、公正な制度を学ぶ パワーバランスとその限界 1 平等への歩み――最初の手がかり 人類の進歩――すべての人のための教育と保健医療 世界人口と平均所得――成長の限界 社会・経済指標の選択――政治的な問題 さまざまな社会・環境指標を選択する 不平等対策なくして持続可能な発展はない 2 遅々として進まない権力と資産の分散 18世紀以降の資産集中の推移 資産と権力――権利の束 生産手段、住居、国債、海外資産を所有することの意味 ようやく台頭しはじめた中産階級 所得のさらなる平等への長い歩み 3 奴隷制と植民地主義の遺産 産業革命、植民地主義、環境 大分岐の起源――ヨーロッパの軍事的支配 綿の帝国――世界の繊維産業を支配 保護主義、中心と周辺の関係、世界システム論 ヨーロッパを地方化する、西ヨーロッパの特殊性を再考する 経済史、社会史、国家建設の歴史 4 賠償問題 奴隷制の廃止――奴隷所有者への金銭的賠償 フランス政府は、ハイチが支払った債務を返還すべきか? イギリスとフランスにおける奴隷制廃止と損失補償、1833年と1848年 アメリカ、長く続いた奴隷制共和国 奴隷解放後の植民地主義と強制労働の問題 フランス、自覚のない植民地主義共和国 賠償問題――超国家レベルで公正について再考する 5 革命、身分、階級 特権と身分による差別の終焉? 強制労働および半強制労働からの脱却への長い道のり 1900年代のスウェーデン――一人百票の投票権 特権の変容――お金で動く民主主義 いつまでも続く納税額に基づく制限選挙――経済界の金権主義 参加型社会主義と権限共有 6 「大再分配」、1914-1980年 社会国家の創出――教育、保健医療、社会保障 租税国家の第二の大きな前進――人類学的改革 所得および相続財産に対する累進税の創設 真の累進性と社会契約――納税に対する同意の問題 累進税――課税前の格差も縮小させるためのツール 植民地資産と公的債務の清算 公的債務の帳消しのおかげで復興したヨーロッパ 7 平等の限界――資産の極端な集中 社会国家と累進税――資本主義の徹底的な変革 所有権と社会主義――分権化の問題 分権化した自主管理による民主社会主義を目指して 資本の自由な移動――新しい財産主義権力 8 差別と闘う真の平等 教育の機会均等――声高に叫ばれているものの、いまだに実現していない 社会的基準に基づくアファーマティブ・アクションのために 居座り続ける家父長制と生産性第一主義 アイデンティティを硬直化させることなく、差別と闘う 社会的パリテと富の再分配を両立させる どれほどの人種差別があるか見極める――民族・人種カテゴリーの問題 宗教的中立とフランス流政教分離の偽善 9 新植民地主義からの脱却 栄光の30年と南側世界――社会‐国民国家の限界 新植民地主義、貿易の自由化、タックスヘイブン 見せかけの国際援助と気候変動政策 貧困国の権利――世界の中心と周辺という考え方からの脱却 社会‐国民国家から社会‐連邦国家へ 民主的な社会連邦主義を目指して 10 環境に配慮した多民族共生の民主社会主義へ 変わる力――気候温暖化とイデオロギー闘争 中国社会主義、完全なデジタル専制体制の脆さ 資本主義間の戦争から社会主義間の闘いへ 通貨は私たちを救ってくれるだろうか? 普遍的主権主義を目指して 索引 原注 図表一覧 Author トマ・ピケティ Thomas Piketty パリ経済学校経済学教授。社会科学高等研究院(EHESS)経済学教授。EHESSおよびロンドン経済学校(LSE)で博士号を取得後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭を執る。2000年からEHESS教授、2007年からパリ経済学校教授。多数の論文を the Quarterly Journal of Economics, the Journal of Political Economy, the American Economic Review, the Review of Economic Studies で発表。著書も多数。経済発展と所得分配の相互作用について、主要な歴史的、理論的研究を成し遂げた。特に、国民所得に占めるトップ層のシェアの長期的動向についての近年の研究を先導している。世界不平等研究所、世界不平等データベースの共同所長、また欧州の民主化に向けたマニフェストの主唱者でもある。邦訳書『21世紀の資本』(みすず書房、2014)『格差と再分配』(早川書房、2016)『トマ・ピケティの新・資本論』(日経BP、2015)『不平等と再分配の経済学』(明石書店、2020)『資本とイデオロギー』(みすず書房、2023)。 Translator 広野 和美 Kazumi Hirono 翻訳家。訳書 アレ & アダム『マンガで読む 資本とイデオロギー』ピケティ原作(みすず書房、2024)ル・ブルトン『歩き旅の愉しみ』(草思社、2022)ペリノ『0番目の患者』(共訳、柏書房、2020)ル・ケンヌ『フランス式 おいしい調理科学の雑学』(パイインターナショナル、2020)ほか。
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政治的なものの概念
¥924
政治的なものの本質を「味方と敵の区別」に見出したカール・シュミット(1888-1985)の代表作。一九三二年版と三三年版を全訳し、各版での修正箇所を示すことで、初出論文である二七年版からの変化をたどれるように編集。さらに六三年版の序文や補遺等も収録した。行き届いた訳文と解説によって、「第三帝国の桂冠法学者」の知的軌跡が浮かび上がる。 [出版社より] 著 者|カール・シュミット 訳 者|権左武志 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|840円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|298 ISBN|9784003403020 発 行|2022年08月 Contents 政治的なものの概念(一九三二年版) 1 国家的と政治的/2 政治的なものの基準としての味方と敵の区別/3 敵対関係の現象形態としての戦争/4 政治的統一の形式としての国家、多元主義による疑問視/5 戦争と敵に関する決定/6 世界は政治的統一でなく、政治的多元体である/7 政治理論の人間学的前提/8 倫理と経済の両極による脱政治化/後記 政治的なものの概念(一九三三年版) 序/1 政治的なものの基準としての味方と敵の区別/2 敵対関係の現象形態としての戦争/3 続/4 政治的統一の形式としての国家、多元主義による疑問視/5 戦争と敵に関する決定/6 続/7 世界は政治的統一でなく、政治的多元体である/8 政治理論の人間学的前提/9 倫理と経済の両極による脱政治化/ 10続 政治的なものの概念(一九六三年版) 序文 補遺二「戦争概念と敵概念の関係」(一九三八年) 注記 訳者解説 文献一覧 あとがき 人名索引
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史的システムとしての資本主義
¥990
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資本主義をひとつの歴史的な社会システムとみなし、その成立・機能・問題点を鋭く描き出す。 壮大な〈世界システム論〉を唱えたウォーラーステイン(1930-2019)。資本主義をひとつの歴史的な社会システムとみなし、「中核/周辺」「ヘゲモニー」「帝国」「反システム運動」などの概念を用いて、その成立・機能・問題点を鋭く描き出す。現代世界を批判的に検討し、未来を展望するうえで示唆に富む一冊。 [出版社より] 著 者|イマニュエル・ウォーラーステイン 訳 者|川北稔 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|270 ISBN|9784003840016 発 行|2022年07月 Contents 日本の読者へ はじめに 史的システムとしての資本主義 Ⅰ 万物の商品化──資本の生産 Ⅱ 資本蓄積の政治学──利益獲得競争 Ⅲ 真理はアヘンである──合理主義と合理化 Ⅳ 結論──進歩と移行について 資本主義の文明 Ⅰ バランス・シート Ⅱ 将来の見通し 訳者あとがき 訳者解説
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贈与経済2.0
¥1,980
「お金を稼がずに生きていける世界」なんて、ありうるのか? 「お金」さえあれば何でもできる世の中だと信じられていますが、その「経済的自由」を実現するために、人々は資本主義経済の厳しいルールの下で「勝ち続けること」を強いられています。経済学の父、アダム・スミスは、そもそも、そうやって人々が「騙される」ことで社会のルールを守り、同時に経済を発展させる仕組みを提案したのでした。 しかし、その仕組みには、もう限界が来ています。金融危機や気候危機など、システム全体の見直しを迫る問題に対処できないのです。とはいえ、従来のオルタナティブには、理想に人々を縛る危険があり、代替案とされる贈与経済にも構造的な問題がありました。そこで本書は、まったく新しい「贈与経済2.0」を提唱します。最新の技術を用い、お金を介さない新しい経済圏の実像を鮮やかに描きます。 [出版社より] 著 者|荒谷大輔 出版社|翔泳社 定 価|1,800円+税 判 型|四六版/並製 頁 数|248 ISBN|9784798184159 刊 行|2024年04月 Contents 第1章 なぜお金を稼がないと生きていけないのか――資本主義経済の構造を探る 第2章 理想の社会を作ろうとする試みはなぜ失敗し続けるのか――もうひとつの「近代社会」と戦後秩序 第3章 贈与経済はなぜそのままでオルタナティブになりえないのか――贈与経済論の再構築 第4章 これからの社会はどうあるべきか――他者との自由な関係に基づく「新しい経済」 第5章 いま、何をすればいいのか――「贈与経済2.0」の作り方 第6章 未来の社会はどのようになるのか――「近代社会」を超えて Author 荒谷 大輔 Daisuke Araya 慶應義塾大学文学部教授、江戸川大学名誉教授。専門は哲学/倫理学。主な著書に『資本主義に出口はあるか』(講談社現代新書)、『ラカンの哲学』(講談社選書メチエ)、『「経済」の哲学』(せりか書房)、『西田幾多郎:歴史の論理学』(講談社)、『使える哲学』(講談社選書メチエ)など。