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それでも、安楽死の話をするのなら
¥1,760
わたしは安らかな死を迎えられるだろうか——。 臨床経験から導き出された15の論点から、「安楽死」「終末期医療」「緩和ケア」について問い直し、「日本人は生きる/死ぬをどう考えるべきなのか」という社会的な問題である安楽死制度をわかりやすく、かつ、徹底的に考える。 もし、未来に安楽死制度を作るならば、考えなければならないこととは。安楽死制度に対する反対派も賛成派も、どちらもが納得できる議論はどのように可能か。制度の設立・実施に慎重な立場を取る現役の緩和ケア医が、臨床経験と詳細な分析により、錯綜する問題の論点を整理し誰にでもわかりやすく解説する。 いずれは死を迎える、すべての人へ。 [出版社より] 著 者|西智弘 出版社|晶文社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|200 ISBN|978-4-7949-7460-0 発 行|2025年02月 Contents はじめに:苦しみのすべてをゼロにできるのか 1:「死を選ぶ生き方」は正しい生き方か? 2:安楽死制度を求めていくために必要な3つの要素 3:安楽死と余命の関係 4:安楽死を行うのは誰か 5:個人的信条を安楽死制度の議論に持ち込まない 6:逆算で考える 7:子どもの安楽死は認められるか 8:緩和的鎮静は安楽死の代替となり得るか 9:間接的安楽死と終末期の鎮静 10:人生会議をすれば患者の尊厳は守られるのか 11:認知症と安楽死 12:すべり坂は止められるのか 13:それは実質安楽死の容認なのでは 14:分母を増やすのは無駄にならない 15:安楽死報道のあり方 Author 西 智弘 Tomohiro Nishi 川崎市立井田病院 医師/一般社団法人プラスケア代表理事。2005年、北海道大学卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医療を中心に初期研修後、川崎市立井田病院で総合内科/緩和ケアを研修。その後2009年から栃木県立がんセンターにて腫瘍内科を研修。2012年から現職。現在は抗がん剤治療を中心に、緩和ケアチームや在宅診療にも関わる。一方で、一般社団法人プラスケアを2017年に立ち上げ代表理事に就任。「暮らしの保健室」や「社会的処方研究所」の運営を中心に、「病気になっても安心して暮らせるまち」をつくるために活動。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。著書に『だから、もう眠らせて欲しい』(晶文社)、『社会的処方』『みんなの社会的処方』(学芸出版社)、『がんになった人のそばで、わたしたちにできること』(中央法規出版)他多数。
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音盤の来歴――針を落とす日々
¥1,980
虐殺が続く世界の片隅で、静かにレコードに針を落とす。音楽に守られた日々の記録。 アメリカで神学と人類学を学び、自分のVOICEを探す日々の裏で、心の支えとなった音楽があった。ブルーズ、ジャズ、ロック、ソウル……。いまも保持する愛着の深い音盤群と、ニューヨークで、ノースカロライナで、そして沖縄で出会った心やさしき人々との交流をもとに語る生活の記録。ガザで、ウクライナで、シリアで虐殺が続くなか、音楽はシェルターとなりうるか? 若き神学・人類学者による、世界の片隅からの祈りにも似たメッセージ。 「わたしがレコードを聴いていたのも、結局は似たような理由からだったのだと思う。ときにあまりに残酷で醜悪な世界から身を隠すため。閉ざされた内密の空間で生を実験するため。歌ってみたり、踊ってみたり、もうひとつの世界を、ありえたかもしれない今を想像したりして。もちろんレコードは片面二十分足らずで終わってしまうのだけれど。そしたらまた針を落とせばいい。そうしている少しの間、この世界をかたわらへ寄せて、別の世界へ、あるいは別の惑星へ」——「あとがき」より [出版社より] 「ここには、人間を生かそうとする言葉が書かれている」 ──永井玲衣 「1枚のレコードを通じて関係する、無数の人生。この世界を諦めずに歩んでいきたいと思いました」 ──後藤正文 著 者|榎本空 出版社|晶文社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|240 ISBN|978-4-7949-7463-1 発 行|2025年03月 Contents はじめに ■Side A アラン・トゥーサンと過去をかたわらに寄せることの勇気について ライ・クーダーとチャイナタウンのアパートの屋上から見えた月 レオン・レッドボーンと初めてのレコードプレイヤー メイヴィス・ステイプルズを聴きに501に背を向ける ハービー・ハンコックとアメリカで車を売ること ドニー・フリッツと自由の瞬間 ビートマスとレコードのないクリスマス ■Side B ドクターQが教えてくれたり、教えてくれなかったりしたいくつかのこと 『アメイジング・グレイス』を探して フランシスコのサンクチュアリ 黒いキリスト、メアリー・ルー・ウィリアムスを記念して 豚と詩人 レコードにまつわる抜き書きのアーカイヴ、あるいは百年目のボールドウィンへ 細野晴臣を聴いていた夜のこと クラシックでしまくとぅば ドン・コヴェイがシャウトする朝 あとがきにかえて Author 榎本 空 Sora Enomoto 1988年、滋賀県生まれ。沖縄県伊江島で育つ。同志社大学神学部修士課程修了。台湾・長栄大学留学中、C・S・ソンに師事。米・ユニオン神学校S. T. M 修了。文筆家、翻訳家。伊江島の土地闘争とその記憶について研究している。著書に『それで君の声はどこにあるんだ?──黒人神学から学んだこと』(岩波書店)、翻訳書にジェイムズ・H・コーン『誰にも言わないと言ったけれど――黒人神学と私』(新教出版社)、サイディヤ・ハートマン『母を失うこと──大西洋奴隷航路をたどる旅』(晶文社)がある。『母を失うこと』で第十回 日本翻訳大賞受賞。
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Y字路はなぜ生まれるのか?
¥2,090
「空間の歴史」を堆積した〈Y字路〉の謎を解く。 日常に残された最後の魔境、Y字路。各界の著名人をも虜にする「分かれ道」のすべてを、国内初の若きY字路専門家が語り尽くす。 散歩者、地理マニアにとって基礎教養とも言えるY字路、その成り立ちを紐解いてみると、町の様相が見えてくる。ひとりで歩いて見るだけではわからないY字路の楽しみ方を全国各地の事例とともに紹介。地形・地図・フィールドワークの探究から明らかになる、Y字路誕生の秘密とは。 [出版社より] 著 者|重永瞬 出版社|晶文社 定 価|1,900円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|208 ISBN|978-4-7949-7445-7 発 行|2024年10月 Contents はじめに 一章 Y字路へのいざない Y字路とは? Y字路鑑賞の3つの視点 路上観察と地形散歩 Y字路趣味の先達 Y字路探しのツール コラム① Y字路が生まれるとき 二章 Y字路のすがた——路上の目 1 Y字路の角には何がある? 2 角はY字路の顔である 看板・広告 ファサード 掲示板 ただの壁 階段 エレベーター 3 角地のオブジェたち 樹木 道標 社・祠 常夜灯 時計 安全用品:道路標識、カーブミラーなど 置き物:植木鉢、いけず石など その他:ポスト、自販機など 4 「余った」からこその空間利用 広場・テラス席 ゴミ置き場 駐輪場・駐車場 花壇・植え込み 空き地 5 角地利用のマトリクス 6 Y字路の角度は何度が理想か? 鈍めのY字路 標準的なY字路 鋭いY字路 鈍角Y字路 7 角壁面の長さ 3メートル以上 1~3メートル 1メートル以下 隅切りなし 8 Y字路の調査票 コラム② Y二郎 三章 Y字路はなぜ生まれるのか ——地図の目 1 Y字路の形成類型 2 街道系Y字路——異なる目的地に向かう道が交わる点にできるY字路 追分型Y字路 参道型Y字路 高速交通型Y字路 3 地形系Y字路——地形の起伏によって生まれるY字路 立体Y字路 両上り/両下り型Y字路 水路型Y字路 4 開発系Y字路——新しい道の開通や路線変更によってできるY字路 新道型Y字路 食い違い型Y字路 貫通型Y字路 5 グリッド系Y字路——格子状街路のゆがみによって生まれるY字路 横断型Y字路 放射型Y字路 境界型Y字路 6 Y字路分類図 コラム③ 古代のY字路遺跡 四章 Y字路が生むストーリー——表象の目 1 選択・迷い・別れ——Y字路の歌 2 時間の空間化――Y字路のマンガ・アニメ 3 Y字路の巨匠、横尾忠則 4 Y字路はフォルムだ 5 Y字路で起こった事件 6 報道されるY字路 コラム④ 「川」字路 五章 Y字路から都市を読む——吉田・渋谷・宮崎 1 京都・吉田――Y字路と碁盤の目 Y字路の街、吉田 碁盤の目の形成 近郊農村としての吉田村 川がつくった土地の傾き 土地区画整理のグリッド 学生街になった吉田の街 Y字路はスキマにできる 2 東京・渋谷――せめぎ合うY字路 Y字路の街、渋谷 渋谷の高低差Y字路 宇田川のY字路 道玄坂と宮益坂 エネルギッシュな三角地帯 Y字路の東急、高低差の西武 渋谷再開発とY字路のゆくえ 3 宮崎――Y字路の破壊と創造 異色の県都、宮崎 県庁の設置 2つのグリッド 「神都」の都市計画 広がるグリッド、消えるY字路 斜めの道と「未成Y字路」 4 Y字路の地誌 コラム⑤ 川のY字路 六章 Y字路とは何か Y字路は分かれ道か 鋭角であること 平地“も”おもしろい! Y字路はなぜ生まれるのか? おわりに 主要参考文献・出典 Author 重永 瞬 Shun Shigenaga 京都府出身。京都大学大学院文学研究科行動文化学専攻地理学専修。まち歩き団体「まいまい京都」でツアーガイドを務める。京都大学地理学研究会第7代会長。著作に『大阪市天王寺区生玉町におけるラブホテル街の形成と変容』(志学社論文叢書)、『統計から読み解く色分け日本地図』(彩図社)など。X:永太郎(@Naga_Kyoto)
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ガザとは何か——パレスチナを知るための緊急講義
¥1,540
ガザで何が、なぜ起きているのか。歴史的文脈とポイントを平易に解説する「まずここから」の一冊。 2023年10月7日、ハマース主導の越境奇襲攻撃に端を発し、イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。長年パレスチナ問題に取り組んできた、パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、平易な語り口、そして強靭な言葉の力によってさまざまな疑問、その本質を明らかにします。 今起きていることは何か? パレスチナ問題の根本は何なのか? イスラエルはどのようにして作られた国? シオニズムとは? ガザは、どんな地域か? ハマースとは、どのような組織なのか? いま、私たちができることは何なのか? 今を知るための最良の案内でありながら、「これから私たちが何を学び、何をすべきか」、その足掛かりともなる、いま、まず手に取りたい一冊です。 *本書は、10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で開催された緊急セミナーに加筆修正を加えたものです。 [出版社より] 著 者|岡真理 出版社|大和書房 定 価|1,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|208 ISBN|9784479394204 発 行|2023年12月 Contents ■第1部 ガザとは何か 4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ」/イスラエル国内での動き/ガザはどれほど人口過密か/ハマースの誕生/オスロ合意からの7年間/民主的選挙で勝利したハマース/抵抗権の行使としての攻撃/「封鎖」とはどういうことか/ガザで起きていること/生きながらの死/帰還の大行進/ガザで増加する自殺/「国際法を適用してくれるだけでいい」 ■第2部 ガザ、人間の恥としての 今、目の前で起きている/何度も繰り返されてきた/忘却の集積の果てに/不均衡な攻撃/平和的デモへの攻撃/恥知らずの忘却/巨大な実験場/ガザの動物園/世界は何もしない/言葉とヒューマニティ/「憎しみの連鎖」で語ってはいけない/西岸で起きていること/10月7日の攻撃が意味するもの/明らかになってきた事実/問うべきは「イスラエルとは何か」/シオニズムとパレスチナ分割案/イスラエルのアパルトヘイト/人道問題ではなく、政治的問題 ■質疑応答 ガザに対して、今私たちができることは?/無関心な人にはどう働きかければいい?/パレスチナ問題をどう学んでいけばいい?/アメリカはなぜイスラエルを支援し続けるのか?/BDS運動とは何? ■付録 もっと知るためのガイド(書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイト) パレスチナ問題 関連年表 Author 岡 真理 Mari Oka 1960年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。在モロッコ日本国大使館専門調査員、大阪女子大学人文社会学部講師、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、早稲田大学文学学術院教授。専攻は現代アラブ文学・第三世界フェミニズム思想。
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新・動物の解放
¥4,400
SOLD OUT
動物の権利運動の理論的基盤。 不滅の名著、30余年ぶりの全面改訂版を完全新訳。最新のデータと議論にもとづき本文の3分の2を書き換え、さらに気候変動や新型ウイルスなど新たなトピックを盛り込んで、21世紀の緊急課題に応える。序論=ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』)。 [出版社より] 「すべての存在に公正な社会を目指す新世代の意欲をかきたてるだろう」 ──ホアキン・フェニックス 「70年代に本書を読んで以来、私は肉を食べるのをやめた。もしこの改訂版を読んでいたら、もっと早くビーガンになっていただろう」 ──ジェーン・グドール 「動物解放運動の原点ともいえる必読書が新たに生まれ変わった」 ──J・M・クッツェー 「シンガーの徹底した利他主義が我々を不快にするなら、それだけで本書を読む理由がある」 ──リチャード・ドーキンス 著 者|ピーター・シンガー 訳 者|井上太一 出版社|晶文社 定 価|4,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|448 ISBN|978-4-7949-7454-9 発 行|2024年12月 Contents 序論 ユヴァル・ノア・ハラリ 二〇二三年版緒言 第一章 全ての動物は平等である あるいは、人間の平等を基礎づける倫理原則が平等な配慮を動物たちにも広げるべきだと求める理由 第二章 研究のための道具 違う、これは人命を救うこととは何の関係もない 第三章 工場式畜産に抗して あるいは、あなたの晩餐が動物だった時に起きたこと 第四章 種差別なき生活 気候変動と闘い、健康な生活を楽しみながら 第五章 人(マン)の支配 種差別小史 第六章 今日の種差別 動物解放への反論と、その克服による前進 謝辞 レシピ集 訳者解題 原注 索引 Author ピーター・シンガー Peter Singer 1946年生まれ。オーストラリア出身の哲学者。プリンストン大学教授。専門は応用倫理学。動物の解放や極度の貧困状態にある人々への支援を提唱する代表的な論者の一人。著書に『なぜヴィーガンか?──倫理的に食べる』(児玉聡・林和雄訳、晶文社、2023年)、『飢えと豊かさと道徳』(児玉聡監訳、勁草書房、2018年)、『あなたが救える命──世界の貧困を終わらせるために今すぐできること』(児玉聡・石川涼子訳、勁草書房、2014年)、『実践の倫理 新版』(山内友三郎・塚崎智監訳、昭和堂、1999年)など。『ザ・ニューヨーカー』誌によって「最も影響力のある現代の哲学者」と呼ばれ、『タイム』誌では「世界の最も影響力のある100人」の一人に選ばれた。 Translator 井上 太一 Taichi Inoue 翻訳家・執筆家。動物倫理やビーガニズムを専門領域とし、フェミニズム関連の文献翻訳にも携わる。著書に『動物倫理の最前線』(人文書院、2022年)、『今日からはじめるビーガン生活』(亜紀書房、2023年)、『動物たちの収容所群島』(あけび書房、2023年)、訳書にディネシュ・J・ワディウェル『現代思想からの動物論』(人文書院、2019年)、サラット・コリング『抵抗する動物たち』(青土社、2023年)、キャスリン・バリー『セクシュアリティの性売買』(人文書院、2024年)など。趣味は料理研究と語学(おもにユーラシア諸語)。
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荷を引く獣たち——動物の解放と障害者の解放
¥3,080
SOLD OUT
動物の解放と障害者の解放の、深くて大切な結びつき。 アメリカン・ブック・アワード(2018年度)受賞作品。 スナウラ・テイラーは、一人の障害当事者として、障害者運動と動物の権利運動の担い手として、そして一人の芸術家として、読者に問いかける。もし動物と障害者の抑圧がもつれあっているのなら、もし健常者を中心とする制度と人間を中心とする倫理とがつながっているのなら、解放への道のりもまた、交差しているのではないか、と。 彼女は考えつづける。デモに参加しながら、絵を描きながら、対話しながら、食べながら。いったい何が、動物たちから人間を、障害者ではない人たちから障害者を、区別しているのだろうか、と。 彼女は考えつづける。身体的・精神的な能力の有無や高低(世界の中でどのように動いたり、動けなかったりするか)を基準にして、私たちは、自分を「人間」として意識し、他なる者を「動物」として値踏みしてしまっているのではないか、と。「人間」としての自分という自負を保つために、私たちは、「動物」との違いを際立たせることに、どれほど血道をあげているのだろうか、と。 この『荷を引く獣たち』には、「障害」と「動物」という、これまで対立すると見なされてきた問題が、実際には深く結びついているということが、テイラー自身の体験にもとづいて、丁寧に書かれている。そのうえで彼女は、もっと風通しのよい、ゆたかな経験と共感にくつろぐ未来を、読者に語りかける。目前の世界の姿を、荷車や車椅子の輪のように、ぐるりと回転させ、しなやかに変えてみせるのである。おおらかに、エレガントに。 壊れやすく、依存的なわたしたち動物は、ぎこちなく、不完全に、互いに互いの世話をみる。本書は、そのような未来への招待状である。 [出版社より] 著 者|スナウラ・テイラー 訳 者|今津有梨 出版社|洛北出版 定 価|2,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|444 ISBN|9784903127309 発 行|2020年09月 Contents プロローグ 鶏〔にわとり〕が積まれたトラック Ⅰ いくつかの閃き〔ひらめき〕 1 奇妙だけれどほんとうの 2 障害とは何か? 3 動物の不具〔かたわ〕たち Ⅱ 動物倫理を不具〔かたわ〕にする 4 話すことのできたチンパンジー 5 健常者中心主義と動物 6 動物とは何か? 7 憶えていたチンパンジー Ⅲ わたしは動物だ 8 猿みたいに歩く子 9 動物侮辱〔ぶじょく〕 10 動物を主張する Ⅳ すべて自然だ 11 生まれながらのフリーク 12 あらゆる動物は平等だ(だがもっと平等な動物もいる) 13 新たな団欒〔だんらん〕に向けて 14 肉の浪漫〔ロマン〕化 15 肉という天災 Ⅴ 相互依存 16 必要の衝突 17 種〔しゅ〕と能力を超えるケア 18 サービス・ドッグ 謝 辞/ 註/ 訳者あとがき/ 索 引 Author スナウラ・テイラー Sunaura Taylor 1982年生。画家であり作家、そして障害者運動と動物の権利運動の担い手。アメリカ合衆国のアリゾナ州ツーソンに生まれ、ジョージア州アセンスで、アンスクーリング〔学校に通わず子ども主導で学習する教育〕によって学びながら育つ。カリフォルニア大学バークレー校で、美術修士号を取得する。共著として、Ecofeminism: Feminist intersections with other animals and the earth (2014)〔エコフェミニズム――他の動物たちや地球とのフェミニスト的な交差〕、Occupy! : Scenes from Occupied America (2011)〔オキュパイ!――占領下アメリカからの情景〕などがあり、また、さまざまな雑誌やウェブ媒体にも寄稿している。姉のアストラ・テイラーが監督したドキュメンタリーExamined Life (2008)〔吟味された生〕では、哲学者のジュディス・バトラーと対話し、同題の書物にも収められた。本書『荷を引く獣たち』は、2018年度のアメリカン・ブック・アワードを受賞した。 Translator 今津 有梨 Yuri Imazu 一橋大学大学院言語社会研究科修士課程を、森崎和江の「非所有の所有―性と階級覚え書」についての研究によって修了する。その後、「動物」というテーマと出会うなかで、現在は、韓国の延世大学文化人類学科修士課程に在籍中。翻訳書として、高秉權(コ・ビョンゴン)『哲学者と下女――日々を生きていくマイノリティの哲学』(インパクト出版会、2017年)がある。
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モヤモヤする正義――感情と理性の公共哲学
¥2,860
「表現の自由は大切だが、あまりに攻撃的な表現は許容すべきでない」 「少数派や女性に対してより配慮すべきだが、多数派や男性のことが無視されるのもおかしい」 意見が対立するさまざまな問題について、多くの人はどちらの「正義」にも同意や共感を示し揺れている。こうした正義にまつわるモヤモヤに対し、どの意見が正しいのか、社会の規範はどうあるべきなのか、その「答え」を提示する政治哲学的論考。 キャンセル・カルチャー、マイクロアグレッション、トーン・ポリシング、弱者男性論など重要な概念・議論を題材に、感情に流されない「公共的理性」による問題解決を試みる画期的なテキスト。「晶文社スクラップブック」の連載に大幅加筆・全面改稿した大ボリュームで。 [出版社より] 「理性を公共的に使用せよ──これは多数者と少数者双方への挑戦である」 ──森本あんり 「時代を覆う「正義」と「権利」のインフレ、その核心を突く本書に刮目すべし!」 ──マライ・メントライン 著 者|ベンジャミン・クリッツァー 出版社|晶文社[犀の教室] 定 価|2,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|560 ISBN|978-4-7949-7443-3 発 行|2024年09月 Contents ■第一部 社会的批判と自由の問題 第一章 キャンセル・カルチャーの問題はどこにある? 1 「キャンセル・カルチャー」が問題視されるようになった背景 2 デュー・プロセスの侵害 3 キャンセルをする人たちはどこが「おかしい」のか? 第二章 「思想と討論の自由」が守られなければならない理由 1 アカデミアでは「真実」よりも「社会正義」が重視されている? 2 「思想と討論の自由」を擁護するJ・S・ミルの議論 3 ロナルド・ドゥオーキンの「表現の自由」論 4 ネットやマスメディア、書籍の議論があてにならない理由 5 「言論の闘技場」としてのアカデミア ■第二部 マイノリティとレトリックの問題 第三章 特権理論と公共的理性 1 特権理論とはなんだろうか 2 レトリックとしての特権理論 3 「物象化」された特権理論 4 在日外国人の視点から「日本人特権」を考えてみる 5 アイデンティティ・ポリティクスが引き起こす問題 6 いまこそ「公共的理性」が必要だ 第四章 トーン・ポリシングと「からかいの政治」 1 「トーン・ポリシング」という概念とその問題 2 「怒り」に関する哲学者たちの議論 3 マジョリティは「理性的」であるか? 4 公共的理性を毀損する「からかいの政治」 5 「トーン・ポリシング」というレトリックがもたらす弊害 第五章 マイクロアグレッションと「被害者意識の文化」 1 「マイクロアグレッション」理論とはなにか 2 「名誉の文化」「尊厳の文化」から「被害者意識の文化」へ 3 「感情的推論」に対処するための認知行動療法とストア哲学 4 在日アメリカ人の目から見たマイクロアグレッション ■第三部 男性学と弱者男性の問題 第六章 男性にも「ことば」が必要だ 1 男性の不利益や被害は社会から無視されている? 2 ひとりの男性としての経験と感情 3 なぜ現在の「男性学」は頼りにならないか 4 「弱者男性論」の有害な影響 5 男性のための「ことば」をどう語ればいいか 第七章 弱者男性のための正義論 1 「理念」に基づいた弱者男性論が必要な理由 2 恋人がいないことや結婚できないことの不利益とはなにか? 3 リベラリズムと弱者男性 4 フェミニズムと「幸福度」と弱者男性 5 潜在能力アプローチと弱者男性 6 「あてがえ論」と「上昇婚」 7 弱者男性の問題に社会はどのように対応できるか 終章 これからの「公共性」のために 1 「壁と卵」の倫理とその欠点 2 インターネット/SNS時代の「公共性」という難問 3 「理性的」で「中立的」な政治はあり得るのか? 4 フランクフルト学派の批判理論 5 討議、承認、自尊 6 リベラリズムと理性の未来 Author ベンジャミン・クリッツァー Benjamin Kritzer 1989年京都府生まれ。哲学者、書評家。哲学を中心に、進化論・心理学・社会学などの知見を取り入れながら、社会や政治と人生の問題について考えて執筆。著書に『21世紀の道徳 学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える(犀の教室)』(晶文社、2021年)、論考に「感情と理性:けっきょくどちらが大切なのか?」(『群像』2022年7月号、講談社)など。
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ロックの正体 ――歌と殺戮のサピエンス全史
¥2,200
なぜ歌うのか? なぜ踊るのか? なぜ戦うのか? ロック文化から見えてくる、ヒト 700 万年の Like a Rolling Stone! ロックとはなんだったのか? 進化心理学、認知科学、神経科学、人類学、霊長類学、自然主義哲学、二重過程理論、処刑理論、生物学的市場仮説、お婆ちゃん仮説 etc. ──最新のサイエンスと歴史知識を駆使してロック文化を多角的に考察する。情熱的に語られがちなロックを、冷静に、理性的に、縁側で渋茶をすするお爺さんのように語る、ポップカルチャーの哲学。好評連載「ロックの正体」(晶文社スクラップブック)を完全書籍化。 [出版社より] 著 者|樫原辰郎 出版社|晶文社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|384 ISBN|978-4-7949-7356-6 発 行|2023年04月 Contents 1 おもむろに、老人がロックを語り始める 2 森のゴリラのダンスパーティ 3 なぜ歌うのか? なぜ踊るのか? なぜ戦うのか? 4 奴隷と自己家畜化のロックンロール 5 協力と競走の協奏曲 6 ロックンロールがロックに変化して実存主義と出会う 7 良かれと思って Highway to Hell 8 メインストリートの文学者 9 ドラッグ・フロイト・ロックンロール 10 熱く語れ!……その結果 11 暗い時代の小春日和 12 メイド・イン・ジャパン 13 発表します。資本主義の正体について 14 ミスマッチにより青年は荒野を目指す 15 文明化と道徳化のロックンロール 最終楽章 CODA ロックの正体 Bonus track あるいは参考文献という名のブックガイド Author 樫原 辰郎 Tatsuro Kashihara 映画監督・脚本家・文筆家。1964 年大阪生まれ。大阪芸大在学中に海洋堂に関わり、完成見本の組立や宣伝などを手がけた後、脚本家から映画監督に。監督作に『美女濡れ酒場』、脚本作に『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』など。著作に『海洋堂創世記』『「痴人の愛」を歩く』(白水社)、『帝都公園物語』(幻戯書房)がある。
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利他・ケア・傷の倫理学
¥1,980
利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学論考。人と出会い直し、つながりを結び直すために「大切にしているもの」をめぐる哲学的考察。 僕たちは、ケア抜きには生きていけなくなった種である——。 多様性の時代となり、大切にしているものが一人ひとりズレる社会で、善意を空転させることもなく、人を傷つけることもなく、生きていくにはどうしたらよいのか? 人と出会い直し、歩み直し、つながりを結び直すための、利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学的考察。 進化生物学、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」、スラヴォイ・ジジェクの哲学、宇沢弘文の社会的費用論、さらには遠藤周作、深沢七郎、サン=テグジュペリ、村上春樹などの文学作品をもとに考察する、書きおろしケア論。『楢山節考』はセルフケアの物語だった! [出版社より] 「訂正可能性の哲学」がケアの哲学だったことを、本書を読んで知った。ケアとは、あらゆる関係のたえざる訂正のことなのだ」 ──東浩紀 著 者|近内悠太 出版社|晶文社[犀の教室] 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-7949-7414-3 発 行|2024年03月 Contents まえがき──独りよがりな善意の空回りという問題 第1章 多様性の時代におけるケアの必然性 第2章 利他とケア 第3章 不合理であるからこそ信じる 第4章 心は隠されている? 第5章 大切なものは「箱の中」には入っていない 第6章 言語ゲームと「だったことになる」という形式 第7章 利他とは、相手を変えようとするのではなく、自分が変わること 第8章 有機体と、傷という運命 終章 新しい劇の始まりを待つ、祈る Author 近内 悠太 Yuta Chikauchi 教育者、哲学研究者。統合型学習塾「知窓学舎」講師。著書『世界は贈与でできている』(NewsPicksパブリッシング刊)で第29回山本七平賞・奨励賞を受賞。 近内悠太WEBサイト https://www.chikauchi.jp
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学校するからだ
¥1,980
SOLD OUT
ブラックでも青春でもない! からだとことばが躍動する異色の〈学校×身体〉ノンフィクション 「shhh…」と小声を発して返事をそろえるサッカー部員、広島出身ではないのに広島弁を操るヤクザ的風貌の生活指導。旧エヴァを愛し、シン・エヴァに失望した生徒との対話、破格の走りで男子をごぼう抜きにした女子生徒、そして肝心なところで嚙んでしまう著者自身──。現役教員の著者が、学校のなかの〈からだ〉と〈ことば〉が躍動するマジカルな瞬間を拾い集めた、異色の〈学校×身体〉ノンフィクション。 [出版社より] 時にはラジオDJのように、時には演劇人のように語る教師。その振る舞いにそれぞれに反応する生徒。このリズムが学校するからだを踊らせる! ──ダースレイダー(ラッパー) 小中高全部大嫌いだったが行かなきゃよかったとは思わない、学校(あなた)も日々悩んで迷って動いていたんだね。 ──小山田浩子(小説家) 学校、そしてそこでの学びを、文学・音楽・お笑いを横糸に、生活に根ざした言葉で描いた一冊。読めば、つい、学びたくなる。 ──平尾剛(スポーツ教育学者) 著 者|矢野利裕 出版社|晶文社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-7949-7343-6 初 版|2022年12月 Contents はじめに 「shhh」をしのばせているヤツがいる! 1章 部活動 サッカー部新米顧問、おおいに迷う ダンス部の「ズレる身体」 スウィングする吹奏楽部 転向する軽音部 2章 授業 GTOに憧れて 教壇は舞台である 「走れメロス」を読解してみた KRS・ワン流の教育を ラップと作文 3章 教員 高踏派先生の檄 ヤクザ先生、ふたたび アヴァンギャルド先生との別れ 無頼派先生の涙 ミーハー先生の特別授業 東京インディー先生の音楽と生活 どこまでも自由なハンドメイド先生 筋肉先生の詩的言語 K先生とマイメン先生 4章 生徒 ちっとも思い通りにならない言葉 大事なことはだいたいギャルに教わった 「本当に分からなかったです」 提出物をめぐる闘争 足りない引き出し たたかう生徒会 5章 行事 ごぼう抜きの彼女──体育祭 演しもの顚末──文化祭 学校はうたう──合唱コンクール アイヌの「いま」が躍る──古典芸能鑑賞 「内地」から沖縄へ──修学旅行 6章 コロナ以後の学校 一斉休校の衝撃 「境界線を作っていくということですね」 回復していく学校生活 卒業式 主要参考文献 Author 矢野 利裕 Toshihiro Yano 1983年、東京都生まれ。都内の中高一貫校に勤務する国語教員。サッカー部の顧問、兼監督も務めていた。「しばしばなされる『なぜ先生になろうと思ったのか』という質問に対しては、『GTOにあこがれて』と答えるようにしている」(本書より)。文芸・音楽を中心に批評活動をおこなっており、2014年「自分ならざる者を精一杯に生きる──町田康論」で第57回群像新人文学賞評論部門優秀作受賞。著書に『今日よりもマシな明日 文学芸能論』(講談社)、『コミックソングがJ-POPを作った』(P-VINE)、『ジャニーズと日本』(講談社現代新書)などがある。
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教室を生きのびる政治学
¥1,870
必要なのは、半径5メートルの安全保障だ! 国会でも会社でも商店街の会合でも、そして学校のなかでも、人間の行動には同じ力学=「政治」が働いている……。いまを生きるわたしたちに必要なのは半径5メートルの安全保障[安心して暮らすこと]だ! 学校生活のモヤモヤを政治学から見てみると、わたしたちはとっくに政治に巻き込まれていた! ・自治:女子の靴下だけ黒限定のトンデモ校則 ・議会:かみ合わなくてイライラがつのる学級会 ・多数決:むりやり感あふれる過半数ルール ・公平:不登校を「ズルい」と思ってしまう気持ち ・支持:意見を言えない人はどうする?問題 心をザワつかせる不平等も、友だち関係のうっとうしさも、孤立したくない不安も……。教室で起きるゴタゴタには、政治学の知恵が役に立つ。学校エピソードから人びとのうごめきを読みといて、社会生活をくぐりぬけていこう。人が、社会が、政治が、もっとくっきり見えてくる。 [出版社より] 著 者|岡田憲治 出版社|晶文社[犀の教室] 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-7949-7359-7 初 版|2023年04月 Contents はじめに 序章 大前提――力を抜いて自分を守る ――善・悪・社会 教室のなかの安全保障/だれも立派にはなれません/友だちが一〇〇人も必要なワケがない/世界史に一度しか登場しない僕たち 第1章 言うことを聞く/聞かせるということ ――権力・合意・自治 政治とは「選ぶ」こと/僕たちの心の習慣――理由を放置したまま従う/トンデモ校則は守るべき?/「みんなで決めた」というフィクション 第2章 どうして「話し合い」などするのか ――議論・中立・多数決 話し合いは失敗する/偏りを確認するために/「論破」に含まれているもの/多数決=民主主義?――とりあえずの風速計/黙っているが考えている/言い出せない人のための政治 第3章 仲間をつくるということ ――対立・支持・連帯 友だちより「仲間」を/対立を恐れず、やみくもに戦わず/上も下もない対等な僕たち――協力関係の組み立て 第4章 平等をめぐるモヤモヤ ――公平・公正・分配 心がザワつく厄介な「平等」/平等を切り分けてみる/平等でないと困る理由 第5章 政治は君たちの役に立つ ――責任・民主主義・政治 自己責任論なんて無視してよいのだ/やり直しが前提のシステム――民主主義/学校でも家でもない場所へ おわりに 大人はなかなか変わりにくい/こんな世の中にしてしまった/政治学は教室を放置してきた/僕たちもかつては君たちだった Author 岡田 憲治 Kenji Okada 政治学者、専修大学法学部教授。1962年、東京生まれ。著書に『政治学者、PTA会長になる』(毎日新聞出版)、『なぜリベラルは敗け続けるのか』(集英社インターナショナル)、共著に『転換期を生きるきみたちへ』(内田樹編、晶文社)など多数。愛称オカケン。広島カープをこよなく愛する2児の父。
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新版 生きのびるためのデザイン
¥3,630
世界的反響を呼んだ「パパネック理論」の完訳本。新たな解説を加え、待望の復刊。 デザインを、安易な消費者神話の上にあぐらをかいた専門家たちの手にまかせきってはならない。人びとが本当に必要としているものへの綜合的なアプローチによって、空きかんラジオから人力自動車まで、パパネックは、豊かな思考と実験に支えられたかつてない生態学的デザインを追求する。世界的反響を呼んだ「パパネック理論」の完訳本。新たに山崎亮さんによる解説を加え、待望の復刊。デザイナーのみならず全ての生活人必読の一冊。 [出版社より] 「いまだにデザイナーとして取り組むべき課題のほとんどはここに示されていると感じる」 ――山崎亮(コミュニティデザイナー) 著 者|ヴィクター・パパネック 訳 者|阿部公正 解 説|山崎亮 出版社|晶文社 定 価|3,300円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|288 ISBN|978-4-7949-7413-6 発 行|2024年02月 Contents 1. デザインとは何か? 2. 集団殺害 3. 高貴な俗物の神話 4.〈自分でやる〉式の殺人 5. 現代のクリネックス文化 6. いんちき薬売りとサリドマイド 7. わけのある反乱 8. 努力もしないでデザインに成功する法 9. 知識の木ー生体工学 10. 人目をひくようなはでな浪費ーデザインと環境 11. ネオン・ブラックボード 12. 生き残りのためのデザインとデザインによる生き残り Author ヴィクター・パパネック Victor Papanek 1923年、ウィーン生まれ。少年時代にアメリカに移る。フランク・ロイド・ライトの弟子。ロードアイランド・デザイン学校、インディアナ州バーデュー大学教授を経てカリフォルニア・インスティチュート・オブ・ジ・アーツのデザイン学校長。その間ユネスコの専門委員として、とくにインドネシア、アフリカなど発展途上国の生活向上のためにデザインの面で協力。また身障者のためのデザインにも意欲的に取り組む。没後 20 年を経過しても回顧展が開かれるなど、今なお功績を賞賛されている。 Translator 阿部公正 Kimimasa Abe 1921年、北海道生まれ。デザイン・建築評論家。東京大学工学部建築学科、および文学部美学美術史学科卒業。武蔵野美術大学教授、東京造形大学学長。筑波大学教授、沖縄県立芸術大学学長などを歴任。著書に『デザイン思考』(美術出版社)、訳書にはリシツキー『革命と建築』(彰国社)、ヒリアー『ポスターの百年』(平凡社)、ゲルストナー『色の形』(朝倉書店)などがある。 Commentator 山崎 亮 Ryo Yamazaki コミュニティデザイナー。studio-L代表。関西学院大学建築学部教授。主な著書に『コミュニティデザイン』(学芸出版社)、『ソーシャルデザイン・アトラス』(鹿島出版会)、『コミュニティデザインの時代』(中公新書)、『コミュニティデザインの源流:イギリス篇』(太田出版)、『ケアするまちのデザイン』(医学書院)などがある。
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いなくなっていない父
¥1,870
SOLD OUT
鋭の写真家が綴る、親子という他人。著者初の文芸書、衝撃のデビュー作 『father』にて「失踪する父」とされた男は、その後は失踪を止めた。不在の父を撮影する写真家として知られるようになった著者に、「いる父」と向き合うことで何が浮かび上がってくるのか。時に不気味に、時に息苦しく、時にユーモラスに目の前に現れる親子の姿をファインダーとテキストを通して描く、ドキュメンタリーノベル。 「その後のことを知っている私には、父のことを「失踪を繰り返す父」と呼ぶのはどうしても過剰なことに思える。私がそう思のは、「父がやっていることなんてそんなにたいしたことではないんです」と謙遜するような気持ちもあるが、本当のところは、「父という人は、『失踪を繰り返す』という言葉で片づけてしまえるような人ではないのだ」と自慢げに言いたい気持ちのほうが強くある」 [出版社より] 著 者|金川晋吾 出版社|晶文社 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|266 ISBN|978-4-7949-7354-2 初 版|2023年04月 Author 金川 晋吾 Shingo Kanagawa 写真家。1981年京都府生まれ。神戸大学発達科学部人間発達科学科卒業。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。2016年『father』(青幻舎)、2021年『犬たちの状態』(太田靖久との共著、フィルムアート社)刊行。近年の主な展覧会、2018年「長い間」横浜市民ギャラリーあざみ野、2022年「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」森美術館など。三木淳賞、さがみはら写真新人奨励賞、受賞。
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不完全な司書
¥1,870
本は違う世界の光を届ける窓 図書館は人と人の出会いの場所 司書の仕事はケアにつながる 奈良県東吉野村にひっそりとたたずむ「ルチャ・リブロ」は、自宅の古民家を開いてはじめた私設の図書館。このルチャ・リブロの司書が綴る、本と図書館の仕事にまつわるエッセイ。 人と接するのが苦手で、本という「窓」から外の世界と接してきた。そんな著者が自らの本棚を開放することで気づいた「図書館」の本質的な効用。精神疾患を抱える「支えられる立場」から、司書という「人を支える立場」になりえた体験を通じて、司書の仕事の豊かさ、奥深さ、そして本という「窓」の持つ力が伝わってくる。読むと訪れてみたくなる、ある個性的な図書館の物語。 [出版社より] 著 者|青木海青子 出版社|晶文社 定 価|1,700円+税 判 型|四六変型判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-7949-7398-6 初 版|2023年12月 Contents ■1 司書席から見える風景 不完全な司書 本という窓 古い家で、いとなむこと 蔵書を開くことは、問題意識を開くこと ルチャ・リブロの一日 公と私が寄せては返す 窓を眼差した人 時間がかかること、時間をかけること 諦めた先の諦めなさ ペンケースを開け放つ 森から来た人達 知の森に分け入る 葛根湯司書 図書館への道 ルールとのつきあい方 偶然性と私設図書館 夜の海の灯り ■2 クローゼットを開いて クローゼットの番人が、私設図書館を開くまで 幽霊の側から世界を見る 当事者であること、伴走者であること 絶対あると思って探しに行かないと見つからない 探求のお手伝いが好き、レファレンスブックが好き カーテンに映る影 本と暴力と 光の方へ駆ける 窓外に見えるもの 旅路の一里塚 明るい開けた場所に出られるような言葉 ■3 ケアする読書 デコボコと富士正晴 書くことのケア性について 「分からない」という希望 生きるためのファンタジーの会 木炭で歯をみがくことと、オムライスラヂオ 私の影とのたたかい 背後の窓が開く 「土着への処方箋」のこと 「本について語り合う夕べ」のこと ■4 東吉野村歳時記 峠をのぼるひと、のぼる道 屋根からの手紙 とんどと未来 馬頭観音祭と、往来と Author 青木 海青子 Miako Aoki 人文系私設図書館ルチャ・リブロ司書。1985年、兵庫県生まれ。約6年の大学図書館勤務を経て、夫・真兵とともに奈良県東吉野村にルチャ・リブロを開設。2016年より図書館を営むかたわら、「Aokimiako」の屋号での刺繍等によるアクセサリーや雑貨製作、イラスト制作も行っている。青木真兵との共著に『彼岸の図書館――ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト1~4』 (エイチアンドエスカンパニー)、単著に『本が語ること、語らせること』(夕書房)がある。
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恋愛の哲学
¥1,760
SOLD OUT
狂うのが、愛。 憎むのが、恋。 哲学は「恋愛」を語ることから始まった。クズへの愛はなぜ成立するのか? なぜ私は愛されたいのか? 永遠の愛はどこまで続くのか? ――すべて哲学が答えます。 現代に流れる「ロマンティック・ラブ」の幻想を解体する驚愕の哲学入門!!! 紹介するのは、プラトン、デカルト、ヘーゲル、キルケゴール、サルトル、ボーヴォワール、レヴィナスの七人。彼らはそれぞれが違った仕方で人間と世界の関係を捉え、その人間観の中で恋愛(哲学)を論じている。恋愛とは何かを考えることは、そもそも人間とは何かを問い直すことを要求する。本書ではそれらを全体として再構成することで<恋愛>を広い視野の元で捉え直していく。 [出版社より] 著 者|戸谷洋志 出版社|晶文社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|236 ISBN|978-4-7949-7411-2 初 版|2024年02月 Contents はじめに 第1章 なぜ誰かを愛するのか?――プラトン 第2章 なぜ恋愛に執着するのか?――デカルト 第3章 なぜ恋人に愛されたいのか?――ヘーゲル 第4章 永遠の愛とは何か?――キルケゴール 第5章 なぜ恋愛は挫折するのか?――サルトル 第6章 女性にとって恋愛とは何か?――ボーヴォワール 第7章 なぜ恋人と分かり合えないのか?――レヴィナス おわりに Author 戸谷 洋志 Hiroshi Toya 1988 年東京都生まれ。関西外国語大学英語国際学部准教授。法政大学文学部哲学科卒業後、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。ドイツ現代思想研究に起点を置いて、社会におけるテクノロジーをめぐる倫理のあり方を探求する傍ら、「哲学カフェ」の実践などを通じて、社会に開かれた対話の場を提案している。著書に『ハンス・ヨナスの哲学』(角川ソフィア文庫)、『ハンス・ヨナス 未来への責任』(慶應義塾大学出版会)、『原子力の哲学』『未来倫理』(集英社新書)、『スマートな悪 技術と暴力について』(講談社)、『友情を哲学する 七人の哲学者たちの友情観』(光文社新書)、『SNSの哲学リアルとオンラインのあいだ』(創元社)、『親ガチャの哲学』(新潮新書)など。2015年「原子力をめぐる哲学――ドイツ現代思想を中心に」で第31回暁烏敏賞受賞。
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人新世の人間の条件
¥1,980
「人新世」の正体を、あなたはまだ何も知らない。 人文学界で最も名誉ある「タナー講義」を、読みやすい日本語へ完訳。 地質学から歴史学まで、あらゆる学問の専門家の知見を総動員し、多くの分断を乗り越えて環境危機をファクトフルに考えるための一冊。かりそめの答えに満足できない現実派の読者におくる。 「我々はどこへ向かうのか、その考え方の土台となる本。宇宙に学校が出来たら、この本はきっと人類共通の教科書となるでしょう」 ――山崎直子(宇宙飛行士) 「計算機自然時代、人間性の根幹や定義は変遷しつつある。この本はその人文学的見通しにクリアな筋道をつけてくれる」 ――落合陽一(メディアアーティスト) [出版社より] 著 者|ディペシュ・チャクラバルティ 訳 者|早川健治 出版社|晶文社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|180 ISBN|978-4-7949-7333-7 初 版|2023年02月 Contents 講義1 時代意識としての気候変動 講義2 人間が中心ではなくなるとき、あるいはガイアの残り 日本版特別インタビュー 『人新世の人間の条件』に寄せて 訳者あとがき Author ディペシュ・チャクラバルティ Dipesh Chakrabarty 1948年生。インド出身の歴史学者。シカゴ大学教授。専門は歴史学方法論、ポストコロニアル理論、サバルタン研究、南アジア史など。ベンガル地方の労働史の研究から出発し、1980年にはサバルタン研究の最重要組織であるSubaltern Studiesをラナジット・グハらと共同創設した。その後2000年には主著Provincializing Europeを発表。西洋を起源とする歴史学のカテゴリーを西洋以外の文脈へと開いていくための道を模索し、歴史学の方法論に大きな影響を与えた。2021年発表の最新作The Climate of History in a Planetary Ageでは、人文学者が人為的な地球環境改変とどう向き合っていくべきかという問題を丹念に探究した。トインビー賞、タゴール賞など受賞多数。 Translator 早川 健治 Kenji Hayakawa 1989年生。ダブリン在住の翻訳家。哲学修士。CplとGoogleで人材あっ旋担当者として働いた後、独立して現職。和訳にチョムスキー&ポーリン『気候危機とグローバル・グリーンニューディール』(2021)、バルファキス『世界牛魔人』(2021、いずれも那須里山舎)など、英訳に多和田葉子『Opium for Ovid』(Stereoeditions)。一般向け配信番組「フィネガンズ・ウェイクを読む」主催者。公式ウェブサイト:kenjihayakawa.com
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顔のない遭難者たち――地中海に沈む移民・難民の「尊厳」
¥2,200
身元不明の遺体のアイデンティティを求めて——。 ガリレオ文学賞受賞作。 「あの人たち」の権利を守り、「私たち」と「あの人たち」の死を同じように扱うことが、私たちの挑戦だったーー(本文より) いまも昔も、世界中のあらゆる国々で、「身元不明の遺体」が発見されてるが、その多くの身元を特定されない。身元不明者が移民・難民である場合、その遺体を「放っておけ」と言う人々がいる。それはなぜか? イタリア(ヨーロッパ諸国)には、領海内で遭難した外国人の身元特定にかかわる法律が存在しなかったが、法医学者である著者は仲間たちと協力し、ヨーロッパではじめて移民遭難者向けデータバンクの創設に取り組む。 近しい人の身元がわからず、藁にもすがる思いでときには親族のDNA(髪の毛や爪、唾液など)を携え、著者のもとへ訪れる人々たちの怒り、慟哭、悲痛。そして「ここに来てよかった」という言葉。数字としてまとめられる身元不明の遺体、「顔のない遭難者たち」の背後にも、それぞれの名前と物語がある。遺された人が死と向き合うため尽力し続ける人々の法医学ノンフィクション。 [出版社より] 著 者|クリスティーナ・カッターネオ 訳 者|栗原俊秀 監 修|岩瀬博太郎 出版社|晶文社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|258 ISBN|978-4-7949-7336-8 初 版|2022年11月 Contents 第1章 二〇一三年十月 死者に名前を与えること 第2章 「あの人たち」の死を、「私たち」の死と同じように 第3章 ランペドゥーザの挑戦 見いだすには、まず求めよ 第4章 最初の同定 「ここに来てよかった」 第5章 「故郷の土を、肌身離さずもっているんです」 第6章 メリッリ 海辺の霊安室 第7章 バルコーネ 死者は生者よりも雄弁である 最8章 最終幕 あるいは、第一幕の終わり 訳者あとがき 文献案内 Author クリスティーナ・カッターネオ Cristina Cattaneo 一九六四年、ピエモンテ州に生まれる。ミラノ大学教授、ラバノフ(犯罪人類学歯科医学研究所)所長。専門は法医学。二〇一四年より、地中海で命を落とした移民・難民の遺体の同定作業に従事している。その体験を綴った本書『顔のない遭難者たち』(Naufraghi senza volto: Dare un nome alle vittime del Mediterraneo, Raffaello Cortina Editore, 2018)で、ガリレオ文学賞を受賞。「犯罪と蝶々 自然科学が解き明かす謎」(Monica Maldarellaとの共著、二〇〇六年)、「体、骸骨、犯罪:ラバノフの物語」(二〇一九年)などの著作を通じて、法医学の魅力を一般読者にもわかりやすく伝えている。 Translator 栗原俊秀 Toshihide Kurihara 一九八三年生まれ。翻訳家。主な訳書にアンドレア・バイヤーニ『家の本』(白水社)、アントニオ・スクラーティ『小説ムッソリーニ 世紀の落とし子』(河出書房新社)、イゴルト『ウクライナ・ノート』(花伝社)、ジョン・ファンテ『ロサンゼルスへの道』(未知谷)など。カルミネ・アバーテ『偉大なる時のモザイク』(未知谷)の翻訳で、須賀敦子翻訳賞、イタリア文化財文化活動省翻訳賞を受賞。 Supervisor 岩瀬博太郎 Hirotaro Iwase 解剖医、千葉大学大学院医学研究院法医学教室教授。東京大学医学部医学科卒業。同大学法医学教室を経て二〇〇三年より現職。二〇一四年より東京大学大学院医学系研究科法医学教室教授併任、千葉大学附属法医学教育研究センター設立に伴いセンター長併任。著書に『焼かれる前に語れ』、『法医学者、死者と語る』(いずれもWAVE 出版)、『死体は今日も泣いている―日本の「死因」はウソだらけ』(光文社新書)。
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フェミニスト・シティ
¥2,200
男性基準で計画された都市で、女性たちはどう生きのびてきたか——。 なぜ、ベビーカーは交通機関に乗せづらいのか? 暗い夜道を避け、遠回りして家に帰らなければならないのはどうしてか? 女性が当たり前に感じてきたこれらの困難は、じつは男性中心の都市計画のせいかもしれません。 これからの都市は、男だけでなくあらゆるジェンダーに向けて作られなければならない。 近代都市は男性による男性のための計画によって形作られてきた。多くの公共スペースは女性のために設計されておらず、母親、労働者、介護者として生活する女性たちに不自由を強いてきた。ヨーロッパでは街を歩くだけで売春婦と思われた時代があり、現代においても危険な夜道は解決されない問題として残っている。フェミニズムを建築的に展開させた本書が、世界を作り出す新しい力(パワー)になるだろう。 [出版社より] 著 者|レスリー・カーン 訳 者|東辻賢治郎 出版社|晶文社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|282 ISBN|978-4-7949-7329-0 初 版|2022年09月 Contents イントロダクション:男の街 女は厄介者 都市について書いているのは誰か? 自由と恐怖 フェミニズム地理学について 一章:母の街 フラヌーズ パブリックなからだ 女性の場所 都市という難所 母親業のジェントリフィケーション 性差別のない街とは 二章:友達の街 友情に生きる ガールズ・タウン 友情と自由 クィア女性の空間 死ぬまで友達 三章:ひとりの街 パーソナルスペース おひとりさま ひとりでいる権利 公共空間の女 尾籠な話 女が場をもつこと 四章:街で声を上げること 都市への権利 安全をDIYする アクティヴィズムにおけるジェンダー アクティヴィストの旅 行動が教えてくれるもの 五章:恐怖の街 恐怖心の正体 危険の地理 恐怖のコスト 押し戻す方法 女の大胆さ 交差性と暴力 あとがき:可能性の街 Author レスリー・カーン Leslie Kern マウント・アリソン大学地理・環境学准教授。女性・ジェンダー研究ディレクター。専門は、ジェンダー、ジェントリフィケーション、フェミニズム。著書に『Sex and the Revitalized City: Gender, Condominium Development, and Urban Citizenship』(2010)がある。 Translator 東辻 賢治郎 Kenjiro Totsuji 1978年生まれ。翻訳家、建築・都市史研究。関心領域は西欧初期近代の技術史と建築史、および地図。訳書にレベッカ・ソルニット『迷うことについて』『私のいない部屋』などがある。
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「女の痛み」はなぜ無視されるのか?
¥2,200
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臨床試験で女性が排除される、コロナ禍でマイノリティの人々が受ける影響。 アメリカで中絶の権利が争点になる理由は。 著者がアメリカで出産したとき、彼女は死にかけた。痛み止めが効いていないと訴えても無視された。痛みを証明するために手術台まで歩くように言われた。彼女はこの医療トラウマ体験をきっかけに、女性の痛み、特に有色人種の訴えがまともに受け止められない事実を、あらゆるデータ・記事・証言をもとに執筆した。さらにコロナ禍で女性、マイノリティの人々が受けた甚大な影響も考察する。 初期設定が男性になっている現状は、医療ケアにおいても例外ではない。「女の痛み」が軽視されている事実と、医療ケアにおける性差別・人種差別に切り込むノンフィクション。 [出版社より] 著 者|アヌシェイ・フセイン 訳 者|堀越英美 出版社|晶文社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|282 ISBN|978-4-7949-7334-4 初 版|2022年10月 Contents 日本の読者へ 本書に寄せて——ジェシカ・ヴァレンティ はじめに 第1章 私が出会った最初のフェミニスト 第2章 バングラデシュ女子、キャピトル・ヒルに立つ——アメリカでの中絶の権利をめぐる混沌 第3章 気のせいにされる有色人種の女性の痛み 第4章 見えない症状 第5章 知られざる女性の身体 第6章 コロナ禍で妊娠するということ 第7章 代替手段の模索 第8章 自分の体の声の一番の代弁者になるには 第9章 自分の声を届ける おわりに 謝辞 訳者あとがき 出典 Author アヌシェイ・フセイン Anushay Hossain 著述家、女性の健康関連の法律に重点的に取り組むフェミニスト政策アナリスト。CNN、MSNBC、PBSにレギュラー出演し、Forbes、CNN.com、Daily Beast、Mediumに政治・ジェンダー・人種に関する寄稿を行う。また、ポッドキャスト「Spilling Chai」のホストも務める。本書が初の著書となる。 Translator 堀越 英美 Hidemi Horikoshi 1973年生まれ。文筆家。早稲田大学第一文学部卒。著書に『エモい古語辞典』(朝日出版社)、『女の子は本当にピンクが好きなのか』(河出文庫)、『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)、『スゴ母列伝』(大和書房)など、訳書に『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』(河出書房新社)、『だからわたしはここにいる』(フィルムアート社)、『ギタンジャリ・ラオ STEMで未来は変えられる』(くもん出版)、 『ガール・コード』(Pヴァイン) など。
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モヤモヤの日々
¥2,640
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コロナ禍対応済、日記文学の究極最新型。 私たちが過ごした“緊急事態の日常”を真空パック ――緊急事態宣言におののきながら、マスクに悩み、赤子をあやし、犬と遊び、朝顔を育て、断酒を続け、本を読み、原稿を書く……「徹底的な凡人」を自任するフリーライターが綴るコロナ禍下の日々。平日17時毎日更新で人気を博した連載エッセイ「モヤモヤの日々」(晶文社スクラップブック)全251回分を完全収録。 [出版社より] 「自分にとっては切実だけど人から見たら割とどうでもいい事。そんな物事が渦巻く人間の頭の中味がそのまま書かれてありました。実は偉大な思想家の頭の中も九割はこんなことで占められているのではないかと思いました」 ――町田康 「日々のささいなことに”いのち”を吹き込んでいく実践。コロナ禍で鈍った感性が活性化する、そんな言葉の数々。想像力も生き生きと、そして、もぞもぞと蠢き始めます。花、ダンゴムシ、犬、赤子、父親、福生――」 ――小川公代 著 者|宮崎智之 出版社|晶文社 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|496 ISBN|978-4-7949-7325-2 初 版|2022年08月 Contents 序 2020年12月 2021年1月 2021年2月 2021年3月 2021年4月 2021年5月 2021年6月 2021年7月 2021年8月 2021年9月 2021年10月 2021年11月 2021年12月 主な引用・参考作品 Author 宮崎 智之 Tomoyuki Miyazaki 1982年、東京都出身。明治大学文学部日本文学専攻を卒業。地域紙記者として勤務後、編集プロダクションを経てフリーライターに。ラジオ番組から文芸誌まで、多方面のメディアで活躍。著作に、『モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ』(幻冬舎文庫、2018)、『吉田健一ふたたび』(共著、冨山房インターナショナル、2019)、『平熱のまま、この世界に熱狂したい――「弱さ」を受け入れる日常革命』(幻冬舎、2020)、『中原中也名詩選』(アンソロジー、田畑書店、2022)など。
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私がつかんだコモンと民主主義――日本人女性移民、ヨーロッパのNGOで働く
¥1,760
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ヨーロッパのNGOで働き、マイノリティとして疎外を感じつつも、新しい「下からの民主主義」を追求してきた著者による、体験的エッセイ。気候正義をはじめとするヨーロッパ政治運動の貴重な報告として、ロストジェネレーションのリアルな声を伝えるレポートとして、そしてフェミニズムを生きる告白として綴る、同時多発テロからコロナ危機まで世界激動の20年を生きた女性の記録。NOではなくYESで世界を変える! ヨーロッパと、そして世界とつながる「希望のポリティクス」の息吹がここにある。 「この本は、ロストジェネレーションに生まれた日本人女性である私が、日本人とオランダ人の国際結婚に葛藤しながら、ヨーロッパの移民として、学歴もお金もないところから働いて、子育てして、「自分のことは自分で決める」を貫いて生きてみた記録だ。いま、世界に同時多発的に起きている「下からの民主主義」を後押しするものになればと思う。」 [出版社より] 著 者|岸本聡子 出版社|晶文社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|224 ISBN|978-4-7949-7319-1 初 版|2022年07月 「新しい杉並区長の言葉から、「未来」や「希望」が聞こえてくる!」 ──中島京子 「移民として、女性として、活動家としての困難や葛藤の実体験が生んだ、地べたの民主主義がここにある」 ──斎藤幸平 Contents ■I部 日本からの移民イン・ヨーロッパ 第1章──2003年 アムステルダム 日本人、ヨーロッパの政策NGOで働く 第2章──2001年 アムステルダム 外国人として、移民として、女性として生きる 第3章──1997年 東京 グローバルな対抗運動の芽生え ■II部 ロストジェネレーションの連帯 第4章──1998年 東京 ロスジェネ世代と呼ばれて 第5章─2018年 ブリュッセル 私の環境運動は気候変動から始まった 第6章──2007年 アムステルダム 水の正義とエネルギーの民主化 ■III部 フェミニズムを生きる 第7章──1994年 東京 それは夫婦別姓から始まった 第8章──2019年 ブリュッセル 結婚と家族と言語の事情 第9章──2020年 ブリュッセル 作ること、食べること、生きること 第10章──2020年 東京 私たちはケアし、ケアされている 終章──2020年 ブリュッセル 同時多発的な市民運動の時代に エピローグ──2022年7月2日 東京 Author 岸本 聡子 Satoko Kishimoto 1974年、東京都生まれ。公共政策研究者。アムステルダムを本拠地とする、政策シンクタンクNGO「トランスナショナル研究所(TNI)」に2003年より所属。新自由主義や市場原理主義に対抗する公共政策、水道政策のリサーチおよび世界中の市民運動と自治体をつなぐコーディネイトを行う。著書に『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』(集英社新書)などがある。2022年6月、杉並区長選挙に立候補し当選。杉並区初の女性区長に。
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宗教対立がわかると「世界史」がかわる
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グローバル化がすすんだ今、世界史と日本は切り離せない——。 ・ロシアによるウクライナ侵攻の背景 ・ラテンアメリカ、中国で福音派が増えている ・日本人は宗教対立とは無縁なのか ・十字軍遠征の意外な真実 ・イスラム支配地域でも、キリスト教やユダヤ教が許される条件 ・多神教は寛容で、一神教は排他的なのか ・宗教とテロの関係史 ・急激にイスラム化が進む欧州で起きていること ……etc 「宗教対立」を入口に、新たな世界史の見方を提示。世界の歩みも、国際情勢の「なぜ?」も背景を読むカギは「宗教対立」にある。 [出版社より] 著 者|島田裕巳 出版社|晶文社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|320 ISBN|978-4-7949-7315-3 初 版|2022年05月 Contents 第1章 宗教対立の起源―十字軍遠征の意外な真実 第2章 宗教対立の陰に経済がある 第3章 キリスト教とイスラム教は対立していたか―近代以前と以後 第4章 インドの宗教対立の歴史を追う―多神教は寛容なのか 第5章 2つの原理主義が向かう先―福音派とワッハーブ派 第6章 宗教とテロの関係史 第7章 世俗主義が巻き起こす新たな宗教対立 Author 島田 裕巳 Hiromi Shimada 1953年東京生まれ。作家・宗教学者。76年東京大学文学部宗教学科卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。84年同博士課程修了(宗教学専攻)。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を経て、東京女子大学・東京通信大学非常勤講師。現代や歴史に現れる日本、世界の宗教現象を幅広くテーマとし、盛んに著述活動を行っている。著書に『性(セックス)と宗教』 (講談社現代新書)、『創価学会』(新潮新書)、『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『戦後日本の宗教史』(筑摩選書)など多数。
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撤退論――歴史のパラダイム転換にむけて
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持続可能な未来のために、資本主義から、市場原理から、地球環境破壊から、都市一極集中から、撤退する時が来た! 少子化・人口減、気候変動、パンデミック……。国力が衰微し、手持ちの国民資源が目減りしてきている現在において「撤退」は喫緊の論件。にもかかわらず、多くの人々はこれを論じることを忌避している。名著『失敗の本質』で言われた、適切に撤退することができずに被害を拡大させた旧・日本陸軍と同じ轍をまた踏むことになるのか? 「子どもが生まれず、老人ばかりの国」において、人々がそれなりに豊かで幸福に暮らせるためにどういう制度を設計すべきか、「撤退する日本はどうあるべきか」について衆知を集めて論じるアンソロジー。 [出版社より] 編 者|内田樹 出版社|晶文社[犀の教室] 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|272 ISBN|978-4-7949-7307-8 初 版|2022年4月 Contents まえがき 内田樹 ■1 歴史の分岐点で 撤退は知性の証である──撤退学の試み 堀田新五郎 撤退のための二つのシナリオ 内田樹 撤退戦としてのコミュニズム 斎藤幸平 民主主義からの撤退が不可能だとするならば 白井聡 撤退戦と敗戦処理 中田考 ■2 撤退の諸相 撤退という考え方──ある感染症屋のノート 岩田健太郎 下野の倫理とエンパワメント 青木真兵 音楽の新しさはドレミの外側にだって広がっている 後藤正文 文明の時間から撤退し、自然の時間を生きる 想田和弘 撤退のマーチ 渡邉格 撤退女子奮闘記 渡邉麻里子 ■3 パラダイム転換へ 『桜の園』の国から 平田オリザ ある理系研究者の経験的撤退論 仲野徹 Withdrawalについて──最も根っこのところからの撤退 三砂ちづる 個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か 兪炳匡 極私的撤退論 平川克美 Editor 内田 樹 Tatsuru Uchida 1950年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。凱風館館長。神戸女学院大学文学部名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『ためらいの倫理学』(角川文庫)、『「おじさん」的思考』『街場の憂国論』(共に晶文社)、『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)、『日本習合論』(ミシマ社)、『コモンの再生』(文藝春秋)、『前-哲学的』(草思社)、『街場の芸術論』(青幻舎)、『戦後民主主義に僕から一票』(SB新書)、『複雑化の教育論』(東洋館出版社)、編著に『転換期を生きるきみたちへ』(晶文社)など多数。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』(新潮新書)で新書大賞2010受賞。第3回伊丹十三賞受賞。
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続けてみます
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まだ時間はあるのです。 世界が終わる瞬間にはゆっくりと たどり着くはずだから。 幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の住居で少年ナギと出会う。「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい」。そう繰り返す母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え、暴力に飲み込まれていくナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとは――。 誰かを思う気持ち、拒む気持ち、責任、放棄、やすらぎ、恐れ……。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。 第23回大山文学賞受賞作。 [出版社より] 著 者|ファン・ジョンウン 訳 者|オ・ヨンア 出版社|晶文社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|276 ISBN|978-4-7949-7193-7 初 版|2020年12月 Author ファン・ジョンウン Hwang Jeong-eun/황정은 1976年、ソウル生まれ。2005年、短編「マザー」で作家活動を始める。08年、最初の短編集『7時32分 象列車』を発表すると、現実と幻想をつなぐ個性的な表現方法が多くの人の心を捉える。10年、最初の長編小説『百の影』で韓国日報文学賞を受賞。以降、12年『パ氏の入門』で申東曄文学賞、14年短編「誰が」で李孝石文学賞、15年『続けてみます』で大山文学賞、17年中編「笑う男」で金裕貞文学賞など、名だたる文学賞を受賞している。邦訳された作品に『誰でもない』(斎藤真理子訳、晶文社)、『野蛮なアリスさん』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、『ディディの傘』(斎藤真理子訳、亜紀書房)がある。 Translator オ・ヨンア 呉永雅 翻訳家。在日コリアン三世。慶應義塾大学卒業。梨花女子大学校通訳翻訳大学院博士課程修了。2007年、第7回韓国文学翻訳新人賞受賞。梨花女子大学校通訳翻訳大学院講師、韓国文学翻訳院翻訳アカデミー教授。訳書にウン・ヒギョン『美しさが僕をさげすむ』、キム・ヨンス『世界の果て、彼女』、チョ・ギョナン『風船を買った』(以上、クオン)、イ・ラン『悲しくてかっこいい人』(リトルモア)、ハ・テワン『すべての瞬間が君だった』(マガジンハウス)、パク・サンヨン『大都会の愛し方』(亜紀書房)がある。