-
本屋のパンセ——定有堂書店で考えたこと
¥2,420
名店の店主の人生の本200点超を一挙掲載。本から誘われた思索の軌跡。 「本を読むことの先に、本の中のような人生は扉を開いていなかった。とすると本そのものを目的として生きるしかない。本を読むのでもない書くのでもない、本を売るという人生がそこにあった。読むことや書くことは、あまりに一つの人格のもとに緊縛性が強く行き止まりだった。本を売るという人格が、解けなかった人生の問いを一挙に明快なものにしてくれた」——本書「本屋を生きる」より [出版社より] 「定有堂は、本屋が詣でる本屋だった。鳥取まで訪ねていき、奈良さんからふっと宙に放たれて光ることばに、支えられた本屋は自分だけではないはずだ。オブジェが吊られた定有堂の店内を思い出しながら本書を読み、奈良さんのことばを受け継いで実践を続けようという決心が、青空のようにひらけた」 ——NUMABOOKS/本屋B&B・内沼晋太郎 「本が好き、という〈初発衝動〉から奈良さんは店を始めた。本を並べ、ミニコミを出し、読書会をして、対話と思索を続けた。時流に遅れながら外界につながり、終わりはまた始まりになった。時空を歪めた奈良さんは、店を閉めてもまだ本屋でいる」 ——市場の古本屋ウララ・宇田智子 著 者|奈良敏行 編 者|三砂慶明 出版社|作品社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|240 ISBN|978-4-86793-073-1 発 行|2025年02月 Contents はじめに 三砂慶明 第一章 音信不通 本のビオトープ 定有堂のウォールデン池/オースターの『幽霊たち』/『音信不通』あるいは存在と思索/ブック・ビオトープ/柴田信さんのこと/けものみち/リングワンダリング/カフェ「ドロップ」での一夜/物語のない本屋/退歩推手/サウンドバイト/閉じる物語/本屋的人間そしてオブセッション/本を読む夢/残されない探検記 第二章 「普通」の本屋 石橋毅史さんに学ぶ/シンクロニシティ/柳父章さんのこと/木を見る、森を見る/彼らがいなくなる前に/定有堂はどんな本屋ですか?/減速する本屋暮らし/ミニコミ好き/フラジャイル/身の丈の本屋/探求のかたち/普通の本屋/果敢な本屋たち/定有堂のレイヤー/本屋の青空/本が大事/昨日までの世界 第三章 「焚き火」の読書会 本屋と「読む会」/焚き火について/本屋の圏域/具体と抽象/本屋と図書館/書けなかった話/「共通理解」のあり場所/読書の学校/コロナ・ディスタンスな日々/本屋読書/本のある暮らし、ただし本屋/定有堂の「推し本」/閉塞と覚醒 第四章 「本屋の青空」を見上げて 何度でもやり直す/読書について/読書思考圏域/読書のバイアス/権力を取らずに世界を変える/記憶を折り畳む/固定観念/闇の奥/読書の四面体/本屋の「このもの性」/独学孤陋(どくがくころう)/文章作成講座のこと/ドゥルーズを読む/三砂慶明さんとの一夜/沫雪に寄せて 第五章 終わりから始まる 本屋と書店/岩田直樹『橋田邦彦・現象学・アーレントの再解釈』と「他者論」/本屋の神話学/本屋でない人生なんて/昇降開合/もう一つの定有堂論/地の塩/一を始める/読書に追いつかれて/本好きのエピジェネティクス/天上大風(てんじょうたいふう)/遅れて読む/反本屋学/本屋のパンセ/写字室の旅/本を並べる/本屋のプロット/焚き火から埋み火へ/「わからない」の方へ あとがき これからの十年 編者謝辞 索引 Author 奈良 敏行 Toshiyuki Nara 1948年生まれ。1972年早稲田大学第一文学部卒。1980年鳥取にて、定有堂書店を開業。著書に『町の本屋という物語 定有堂書店の43年』(作品社)、共著書に、『街の本屋はねむらない』(アルメディア)、三砂慶明編『本屋という仕事』(世界思想社)など。 三砂 慶明 Yoshiaki Misago 1982年生まれ。「読書室」主宰。本の執筆、企画、編集、書評を手掛ける。立ち上げから参加した梅田 蔦屋書店を経て、TSUTAYA BOOKSTORE梅田MeRISE勤務。著書に『千年の読書 人生を変える本との出会い』(誠文堂新光社)、編著書に『本屋という仕事』、奈良敏行著『町の本屋という物語 定有堂書店の43年』がある。
-
[増補]お砂糖とスパイスと爆発的な何か——不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門
¥990
いつのまにか、「男子」の眼で観てない? ミス・マープルの本当のすごさや、文学史に輝く “キモくて金のないおっさん”を描いた名作、そして新時代のディズニーアニメの悪戦苦闘。あの名作が100倍面白くなり、見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、フェミニスト批評集がついに文庫化。 書き下ろし「どうもありがとう、パメラ・アンダーソン」を含む、型にはめない、はまらないものの見方を教えてくれる批評6本を増補してお届けします。 [出版社より] 著 者|北村紗衣 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|368 ISBN|978-4-480-44008-2 発 行|2025年02月 Contents まえがき 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 1 自分の欲望を知ろう さよなら、マギー ――内なるマーガレット・サッチャーと戦うために バーレスクってなんだろう? BL視点で読む『嵐が丘』 ――関係性のセクシーさを求めて 檻に入っているのは、犬じゃなくて私 ――ヴァージニア・ウルフ『フラッシュ』 女はなぜ悪い男にばかり引っかかるのか? ――『西の国のプレイボーイ』に見る良い男、悪い男 〈コラム〉初任給とヴァージニア・ウルフ 2 男らしさについて考えてみよう キモくて金のないおっさんの文学論 ――『二十日鼠と人間』と『ワーニャ伯父さん』 アメ車、男たちの絆、この惑星最後の美しき自由な魂 ――『バニシング・ポイント』 対等な女を怖がる男たち ――男の幻想に逆襲する喜劇『負けるが勝ち』 プリンセスは男のロマン! ――映画に出てくるお姫様と男たち ロマンティックな映画としての『ファイト・クラブ』 〈コラム〉発展を続けるバーレスク 3 ヒロインたちと出会おう シェイクスピア劇の魅惑のヒロイン、無限に変化する女王クレオパトラ 世紀末の悪女? 自己実現のため戦うヒロイン? ゲイのアイコン? ――オスカー・ワイルドの『サロメ』 べ、別にあんたのためにツンデレを分析してるわけじゃないんだからね! ――シェイクスピア『十二夜』を考える ディズニーに乗っ取られたシンデレラ ――民話の変貌をたどる 理想宮か、公共彫刻か? ――『アナと雪の女王』 〈コラム〉北米のシェイクスピア祭 4 わたしたちの歴史を知ろう 女の子がムラムラしてはいけないの? イギリス文学における女と性欲 「#女性映画が日本に来るとこうなる」の「女性映画」ってなに? ――変わりゆく女たちの映画 女性映画としてのトランスジェンダー女子映画 ――『タンジェリン』と『ナチュラルウーマン』 読書会に理屈っぽい男は邪魔? 女性の連帯を強める読書会の歴史を探る ミス・マープルは何でも知っている ――変わりゆくアガサ・クリスティの世界 〈コラム〉フェミニストの洋服えらび 5 ユートピアとディストピアについて考えよう 愛の理想世界における、ブス ――夢見るためのバズ・ラーマン論 隠れたるレズビアンと生殖 ――『わたしを離さないで』 父の世界からの解放 ――「フェミニスト的ユートピア」を描いた『バベットの晩餐会』 「女だけの街」を考える 女は自由な社会の邪魔者なの? ――ディストピアSFの性差別 〈コラム〉『ダウントン・アビー』と女性参政権運動 6 型にはめない、はまらない 『人魚姫』は何の話なのか? ――『リトル・マーメイド』の原作に戻る ビ ートルズが歌う「ボーイズ」はなぜ面白いか ――歌手のジェンダーと歌詞のジェンダーステレオタイプ ハリー・ポッターとイギリス文学における同性愛 ――『ハリー・ポッターと死の秘宝』精読 レズビアン死亡症候群、サイコレズビアン ――ステレオタイプなマイノリティ描写はなぜ問題? 発達障害と診断された私 ――ASDとADHDだとわかるまでに出会った本や映画について どうもありがとう、パメラ・アンダーソン 単行本版あとがき 批評家は探偵 文庫版あとがき お砂糖とスパイスの賞味期限 Author 北村 紗衣 Sae Kitamura 1983年生まれ。武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評。ウィキペディアンとしても活動する。著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』(白水社)、『批評の教室』(ちくま新書)、『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード』(文藝春秋)、『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』(書肆侃侃房)がある。
-
校正・校閲11の現場 こんなふうに読んでいる
¥2,200
言葉のあるところには、すべて校正がある。 世の中には様々な校正・校閲の現場があるはずなのに、現場に関わる人以外にはなかなか中が見えづらい。本書は、校正者の牟田都子さんが11箇所の校正・校閲の現場で働く方々に取材をした対談集です。 マンガ、レシピ、テレビ、辞書、ウェブ、法律書、スクール、地図、新聞、商業印刷物、雑誌、それぞれの現場における特徴や進行の仕方、仕事の醍醐味や難しさを伺い、その現場特有の仕事道具や、どのような経緯で今の仕事に就いたのかなども教えていただきました。 校正・校閲に興味のある方、言葉そのものに関心のある方にぜひ手にしていただきたい内容です。 [出版社より] 著 者|牟田都子 出版社|アノニマ・スタジオ 定 価|2,000円+税 判 型|四六変形判・並製 頁 数|144 ISBN|978-4-87758-868-7 発 行|2024年12月 Contents はじめに 1 マンガ 講談社校閲部 2 レシピ レタスクラブ(KADOKAWA LifeDesign) 3 テレビ タイトルアート 4 辞書 境田稔信 5 ウェブ ヴェリタ 6 法律書 有斐閣法律編集局校閲部 7 スクール 日本エディタースクール 8 地図 平凡社地図出版 9 新聞 毎日新聞社校閲センター 10 商業印刷物 タクトシステム 11 雑誌 BRUTUS(マガジンハウス) 参考文献 より校正・校閲を知るためのブックリスト おわりに Author 牟田 都子 Satoko Muta 1977年、東京都生まれ。図書館員を経て出版社の校閲部に勤務。2018年より個人で書籍・雑誌の校正を行う。著書に『文にあたる』(亜紀書房)、共著に『あんぱん ジャムパン クリームパン 女三人モヤモヤ日記』(亜紀書房)、『本を贈る』(三輪舎)。
-
ホホホ座の反省文
¥1,980
「ていねいな暮らし」「セレクトショップ」「夢を持とう!」 ——そういうものに疲れてしまったすべての人へ。 2015年4月、京都・左京区に「ホホホ座」浄土寺店が開店。その後、全国に10店の「ホホホ座」が誕生。それらは支店でも、フランチャイズでも、のれん分けでもない。店名を共有しているだけで、全く別の店……。 その関係性の不思議さと店が「続く」謎を、二人の半生を通して探った、反省の書。 [出版社より] 著 者|山下賢二・松本伸哉 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六変形判・並製 頁 数|208 ISBN|9784909394224 発 行|2019年06月 Contents 第1章 ホホホ座への道 第2章 左京区ゆるい問題と「どう食う?」問題 第3章 店を耕す農夫たち ~加地猛との対話~ 第4章 ホホホ座のやり口 第5章 親戚紹介 第6章 往復便多 終章 わたしたちの日々 Author 山下 賢二 Kenji Yamashita 1972年、京都生まれ。2004年に「ガケ書房」を開店。2015年4月1日、「ガケ書房」を移転・改名し「ホホホ座」を開店。著書に『ガケ書房の頃』(夏葉社)、編著として『わたしがカフェをはじめた日。』(小学館)、絵本に『やましたくんはしゃべらない』(中田いくみ・絵、岩崎書店)などがある。 松本伸哉 Shinya Matsumoto 1967年、京都生まれ。90年代後半よりレコード屋「MENSOUL RECORDS」を10年間経営。その後、映画のバイヤー、制作などをしつつ2011年、古本、雑貨の店「コトバヨネット」を開店、2015年よりホホホ座。ホホホ座2階、1階奥ギャラリー、浄土寺センターの店主。
-
俺の文章修行
¥1,870
ゴミカスみたいなおのれを命懸けで書いてきた——。町田康の文体に宿るその精神と技巧。はじめての告白。「お互い、ええ文章書こうで!」 ・千回読んだ『ちからたろう』がつくった文章の原型と世界観 ・ゴミ捨て場から持ち去った『ことわざ故事金言小事典』の活躍 ・筋道を見せる「プロレス」的文章と敵を倒すための「格闘技」的文章の違い ・「俺は」と書き始めるか? 「私は」と書き始めるか? その一瞬が次の内容を決める ・「書く姿勢」を取れるのは、いずれ此の世からいなくなる人間だけ ・文章のいけず――かさね、刻み、間引き、ばか丁寧、無人情/薄情、置換、時代錯誤、がちゃこ、国訛、半畳、ライブ、バラバラ――を使う この世にある、書くことでしか伝わらない現実。生きるための文章読本。 [出版社より] 著 者|町田康 出版社|幻冬舎 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|264 ISBN|9784344043954 発 行|2025年01月 Contents ・文章力と読書の関係 文章力とは使える言葉を増やすこと。そこに裏道はあるか? ・文章力をつけるための読書 読む本はなんだってよい。でもたくさん読めばいいわけではない ・これまで読んできた本の影響 千回読んだ『ちからたろう』がつくった文章の原型と世界観 ・幼少期に設計された文章を書く装置 「この世には理解できないことがある」と『ちからたろう』は教えてくれた ・文章を書く装置の性能を上げる 町田少年が発見した「物語の気持ちよさ」と「わからないのおもしろさ」 ・物語の筋を読む以外の本の読み方 北杜夫「三人の小市民」の再読で自分に組み込まれた新しい言葉 ・語彙についての俺の告白 ゴミ捨て場から持ち去った『ことわざ故事金言小事典』の活躍 ・文体が誕生するとき 自分の脳に埋め込まれた文章変換装置を自分で操作できる人とできない人 ・「文章教室」の効能 伝わりやすい文章を書いても伝わらない現実がある ・「書きたい気持ち」というもの 生まれ持った才能以外の少ない才能を活用する ・文章に技巧を凝らす 筋道を見せる「プロレス」的文章と敵を倒すための「格闘技」的文章の違い ・「迂回」という技法 「テレビ」を「テレビジョン」と書く時に現れるもうひとつの現実 ・「いけず」という迂回 人として誠実であると小説は二行で終わる ・文章の「いけず」 「物語」という不自然で精巧な模型に働きかけるノイズの役割 ・物語が持つ攻撃性への自覚 物語は筋を持ち、道徳と結びつき、人間の感情に縛りを掛ける ・文章の「いけず」の種類 かさね、刻み、間引き、ばか丁寧、無人情/薄情、置換、時代錯誤、がちゃこ、国訛、半畳、ライブ、バラバラ ・文章のいけず―「刻み」「間引き」 奇怪で理不尽な個別的現実を立ち上げる技法 ・文章のいけず―「ばか丁寧」「無人情/薄情」 常につきまとう「これをやっておもろいのか、おもろないのか」問題 ・文章のいけず―「置換」「時代錯誤」「がちゃこ」 夏目漱石も多用した「時代錯誤」は地の文で使えると渋い ・文章のいけず―「国訛」「半畳」「ライブ」 独善を避けるために技法は常に「ミックススタイル」を意識する〔ほか〕 Author 町田 康 Ko Machida 1962年大阪府生まれ。町田町蔵の名で歌手活動を始め、1981年パンクバンド「INU」の『メシ喰うな』でレコードデビュー。俳優としても活躍する。1996年、初の小説「くっすん大黒」を発表、同作は翌1997年Bunkamuraドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞した。以降、2000年「きれぎれ」で芥川賞、2001年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、2005年『告白』で谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞。他の著書に『夫婦茶碗』『猫にかまけて』『浄土』『ギケイキ』『スピンク日記』『餓鬼道巡行』『リフォームの爆発』など多数。
-
〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学
¥1,870
SOLD OUT
物語のなかの〈弱さ〉が、読む人の心に光を灯す。 どの作品も、〈弱さ〉を正面から描いているから――。著者が数々の作品の翻訳を手掛けるなかで、「なぜ韓国現代文学に魅せられるのか」を自らに問い、深く考えてたどり着いたのが、この答えでした。 〈弱さ〉とは、自らの意志とは関係なく選択肢を奪われた状態のこと。その視点で、『82年生まれ、キム・ジヨン』をはじめとする多彩な13の作品を読み解きながら、そのメッセージを探り、魅力を掘り下げます。一つひとつの物語を丁寧にたどっていくと、この暴力的な現代社会を生きるための道が照らし出されるはずです。 2023年1月~3月にNHKラジオ第1「カルチャーラジオ 文学の時間」で放送された同名の講座、待望の書籍化。 [出版社より] 著 者|小山内園子 出版社|NHK出版 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|240 ISBN|9784140819791 発 行|2024年11月 Contents 第一章:試練の歴史と作家のまなざし――パク・ミンギュ『亡き王女のためのパヴァーヌ』 第二章:ある女性が〈ひとり〉になるまでの物語――チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』 第三章:性暴力を「信じてもらえない語り」で描く――カン・ファギル『別の人』 第四章:「普通」の限界、クィア文学が開けた風穴――パク・サンヨン『大都会の愛し方』 第五章:経済優先社会で行き場を失う労働者――孔枝泳『椅子取りゲーム』 第六章:植民地支配下、声を上げる女たちの系譜――パク・ソリョン『滞空女 屋根の上のモダンガール』 第七章:民主化運動、忘却に静かに抗う――キム・スム『Lの運動靴』 第八章:セウォル号沈没事件・キャンドル革命と〈弱者〉――ファン・ジョンウン『ディディの傘』 第九章:「子どもが親を選べたら」少子化が生んだ想像力――イ・ヒヨン『ペイント』 第十章:社会の周縁から人間の本質を問う――キム・ヘジン『中央駅』 第十一章:あり得たかもしれない、ハッピーエンドの物語――チョン・セラン『シソンから、』 第十二章:高齢女性の殺し屋が問いかける〈弱さ〉――ク・ビョンモ『破果』 第十三章:弱くある自由を叫ぶ――チョ・ナムジュ『私たちが記したもの』 〈弱さ〉から始まる未来を想像する――あとがきにかえて Author 小山内 園子 Sonoko Osanai 韓日翻訳者、社会福祉士。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学校などで韓国語を学ぶ。
-
積ん読の本
¥1,694
本を読むよりも買うスピードが上回ったまさにその瞬間から「積ん読」は始まる。部屋の片隅に、1冊、また1冊と積み上げられる「積ん読」の山を見て、人は焦り、罪の意識を覚え、自嘲するのだ。 そもそも「積ん読」とはなにか。その言葉の歴史は意外にも古く、明治時代にまで遡る。100年以上に渡って受け継がれてきた日本の読書家たちの「伝統芸」は、今や「TSUNDOKU」として世界の共通語ともなった。 そんな「積ん読」の本質に迫るべく、ブックレビュアーの石井千湖が、斯界の本読み12人の「積ん読」事情を探るインタビュー取材を敢行。ある者は「積ん読」こそが出版界を救うものだと熱く語り、またある者は「積ん読」にこそ書物の真の価値があるのだと断言する。 写真に収められた圧巻の「積ん読」の山と、「積ん読」を語るその言葉を一読いただき、読書家諸氏におかれては、ほっとするなり、笑うなり、共感するなり、感心するなり、呆れるなりしていただきたい。 [出版社より] 著 者|石井千湖 出版社|主婦と生活社 定 価|1,540円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|144 ISBN|978-4-391-16283-7 発 行|2024年10月 Contents ・柳下毅一郎「消費が加速すると欲望も際限なくなって積ん読が生まれる。資本主義が悪いんですよ(笑)」 ・柴崎友香「一時的に滞在している本で自分専用の図書館を作ってると思えば、急いで読まなくてもいいんじゃないかなって」 ・池澤春菜「新しく来た本はまず玄関に積みます」 ・小川哲「積ん読がたまるばかりで。一部は箱に入れてベランダに置いてます。もう限界ですね」 ・角田光代「『戦争×文学』は唯一、箱のなかにしまってある積ん読です。リタイアしたあとに全巻読破するのが夢です」 ・しまおまほ「祖父の書いた『死の棘』も積ん読です」 ・山本貴光「本は形のあるインデックス。だから私は積ん読がいくら増えても気にしません。むしろ積まなくてどうする」 ・辻山良雄「読んだ本しか家にないということは、自分がわかっている世界しかないということ。そんなの、つまらない」 ・マライ・メントライン「積ん読はドイツ語には訳せないと思います。B¨ucherstapel、本の山という言い方だったらあります」 ・小川公代「信じていただけないかもしれませんけど、本って生きているんです」 ・飯間浩明「“積ん読になっている本があります”というのは“毎日ご飯を食べています”というのと同じです」 ・管啓次郎「本が山と積まれたときに、新しい秩序が生まれる。書店や図書館で隣り合うはずのない本が隣り合う」 積ん読の悩み相談Q&A Author 石井 千湖 Chiko Ishii 書評家。大学卒業後に書店員となり、2004年より文芸を専門とするライターとして活動を開始。現在は新聞、雑誌、Webで幅広く活動中。著書に『文豪たちの友情』(新潮文庫)、『名著のツボ 賢人たちが推す! 最強ブックガイド』(文藝春秋)がある。
-
しぶとい十人の本屋
¥2,310
「その人オリジナルの仕事をつくり上げている人たちですから、話には自然と思想や哲学のようなものが含まれます。だからわたしはこの本で、彼らの声を一本の糸のように縒り合わせるだけでよかった」 荻窪に新刊書店「Title」を開いて8年。ふと自分の仕事がわからなくなり、全国にいる仲間のもとを訪ねると、消費されず、健やかに生きるヒントが見えてきた——。 読み終えるころにはきっと元気がでる、少し偏屈、でも愛すべき本屋を訪ねる旅。 「いまは、都会も田舎もそうなんだけど、コミュニケーションを欲している人たちに溢れている。本屋はそういう人たちの受け皿になれるんじゃないかなという思いでやっています」 高久書店 高木久直さん 「合理的であるほどスマートでカッコいいというイメージをみんなが持っている。しかしそれによって自分が職を失ったり、仕事からやりがいがなくなるということについてはみな無自覚ですよね」 誠光社 堀部篤史さん 「俺は“東京に色目を使う新潟”というのがよくわからなくて、あるときから東京の反対を向いたんです」 北書店 佐藤雄一さん [出版社より] 著 者|辻山良雄 出版社|朝日出版社 定 価|2,100円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|360 ISBN|9784255013671 発 行|2024年06月 Contents はじめに 1 気がつけば、自分の仕事がわからなくなっていた 2 もう生活そのものがどっぷりと本屋/走る本屋さん 高久書店・高木久直さん 3 自分の椅子を見つけた人/市場の古本屋ウララ・宇田智子さん 4 ほっとけないみのるさん/長谷川書店・長谷川 稔さん コラム・旅の合間に1 5 「あまのじゃく」の真意/誠光社・堀部篤史さん 6 ふたりの、独立という旗/ON READING・黒田義隆さん、杏子さん 7 本の未来が長野にあった?/ブック・コーディネーター・内沼晋太郎さん コラム・旅の合間に2 8 「鈍」で「素人」な四十三年/定有堂書店・奈良敏行さん コラム・旅の合間に3 9 生きるかなしみ―そしてよろこび/北書店・佐藤雄一さん おわりに Author 辻山 良雄 Yoshio Tsujiyama Title 店主。1972 年、兵庫県生まれ。大手書店チェーン「リブロ」勤務を経て、2016 年1 月、東京・荻窪に新刊書店「Title」を開業。著書に『本屋、はじめました』(苦楽堂、ちくま文庫)、『365日のほん』(河出書房新社)、『小さな声、光る棚 新刊書店Title の日常』(幻冬舎)、nakaban との共著に『ことばの生まれる景色』(ナナロク社)がある。
-
町の本屋という物語——定有堂書店の43年
¥2,420
SOLD OUT
鳥取の定有堂書店は、いかにして地域の文化拠点となり、日本中から本好きや書店員が足を運ぶ「聖地」となっていったのか。名店の店主が折に触れつづった言葉から、その軌跡が立ち現れる。〈本の力〉が疑われる今まさに、手に取るべき一冊。 「鳥取に根を下ろし、一から自分の仕事を作りあげてきた奈良さんの言葉には、時代と地域を超えた普遍がある。それはとてもシンプルなことで、「本が好き、人が好き」。いつの時代も定有堂書店は本と人とのあいだにあり、そうした素朴なスピリットが、その店を全国から人が集う「聖地」たらしめたのだ。いま、本の力を疑いはじめた人にこそ読んでほしい。本は、本屋は、これからも大丈夫――そのように思わせてくれる一冊である」 ——本屋「Title」店主・辻山良雄 [出版社より] 著 者|奈良敏行 編 者|三砂慶明 出版社|作品社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|240 ISBN|978-4-86793-013-7 発 行|2024年02月 Contents はじめに 身過ぎ世過ぎは草の種 第一章 町の本屋という物語 楽しい本屋は可能か/“夢を託す”ということ/どうして素人が書店を始めることになったかと言うと……/日常の可能性/本のことは井狩春男さんに教わった/本を並べる/本屋の愉しみ/ブック・カバーへの思い入れの話/定有堂から/人文書で、もうおともだち /町の本屋の物語 第二章 「書店」と「本屋」 「本屋」論/ザ・ブックマン/本屋は「舞台」なのだ/本の紹介は楽しい/本屋のカスタマイズ/「本屋アジール」論/本の泉/「書店」と「本屋」/ウェブ、そして町の本屋/町の本屋から生まれた本──『伝えたいこと』出版のこと 第三章 「身の丈」の本屋 人に教わり、本に教わる/座敷わらしの荒ぶる魂/本屋の学校/本屋を歩く/なぜ人文書なのか/本屋ですから/希望/本屋の源泉/スタンダードとカスタマイズ/京都書店研修会へいく/永六輔さんトーク&サインの会顛末記/朋有り遠方より来る/ノアの箱舟/バーチャル書店/町の書店に未来はあるか 第四章 本屋の青空 書と戯れる/就職しないで生きるには/脱個性/徳俵/一周遅れのトップ/書の底力/町に生きる/再生力/本屋と個性/本のビオトープ/好きだからやる 第五章 定有堂書店の生成変化 本屋の未来を創造する/定有堂書店の生成変化 附録 定有堂書店の本棚 往来のベーシックセオリー あとがき 一冊の本の衝撃 編者後記 三砂慶明 奈良敏行・定有堂書店略年譜 Author 奈良 敏行 Toshiyuki Nara 1948年生まれ。1972年早稲田大学第一文学部卒。1980年鳥取にて、定有堂書店を開業。共著書に、『街の本屋はねむらない』(アルメディア)、三砂慶明編『本屋という仕事』(世界思想社)など。 三砂 慶明 Yoshiaki Misago 1982年生まれ。「読書室」主宰。株式会社工作社などを経て、梅田 蔦屋書店の立ち上げから参加。著書に『千年の読書』(誠文堂新光社)、編著書に『本屋という仕事』がある。
-
奇書の世界史
¥1,078
歴史を動かす「ヤバい書物」の物語。 人間はなぜこんなにも間違ってきたのだろう。歴史上の奇書を通して人類の狂乱と過ちを振り返る。本書では単に奇書を断罪するなどということはしない。情報化された現代でさえそのような歴史と地続きであることを思い出させてくれる。人間は真実を見ているのではなく真実だと信じたい物語を見ているのだと教えてくれる一冊。 [出版社より] 著 者|三崎律日 出版社|PHP研究所[PHP文庫] 定 価|980円+税 判 型|文庫判 頁 数|384 ISBN|978-4-569-90344-6 発 行|2023年10月 Contents ●魔女に与える鉄槌……10万人を焼き尽くした、魔女狩りについての大ベストセラー ●台湾誌……稀代のペテン師が妄想で書き上げた「嘘の国の歩き方」 ●ヴォイニッチ手稿……万能薬のレシピか? へんな植物図鑑か? 未だ判らない謎の書 ●野球と其害毒……明治の偉人たちが吠える「最近の若者けしからん論」 ●穏健なる提案……妖精の国に突き付けられた、不穏な国家再建案 ●天体の回転について……偉人たちの知のリレーが、地球を動かした ●非現実の王国で……大人になりたくない男の、ネバーエンディングストーリー ●軟膏を拭うスポンジ / そのスポンジを絞り上げる……奇妙な医療にまつわる、奇妙な論争 ●物の本質について……世界で最初の快楽主義者は、この世の真理を語る ●サンゴルスキーの「ルバイヤート」……読めば酒に溺れたくなる、水難の書物 ●椿井文書……いまも地域に根差す、江戸時代の偽歴史書 ●ビリティスの歌……古代ギリシャ女流詩人が紡ぐ、赤裸々な愛の独白 Author 三崎 律日 Ritsuka Misaki 1990年、千葉県生まれ。会社員として働きながら歴史や古典の解説を中心に、ニコニコ動画、YouTubeで動画投稿を行う。代表作「世界の奇書をゆっくり解説」のシリーズ累計再生回数は600万回を超え、人気コンテンツとして多くのファンを持つ。
-
本は眺めたり触ったりが楽しい
¥880
積みあげたり、適当に開いたり、声に出して読んだり、ただ手にとって眺めたり……。本の読み方に決まりはない、自由にやろう! 本が好きな人は、みんな、いろんなふうに読んでいる。読まずに読む方法を知る人だっている。こころが軽くなり、読書が楽しくなって、もっと本を読みたくなる名著『眺めたり触ったり』が題名をすこし変えて、待望の文庫化。楽しい絵も満載! 「文庫版への追記」もあり。 [出版社より] 著 者|青山南 絵 |阿部真理子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|800円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|240 ISBN|978-4-480-43932-1 発 行|2024年02月 Author 青山南 Minami Aoyama 1949年、福島県生まれ。翻訳家、エッセイスト。早稲田大学卒業。著書に『小説はゴシップが楽しい』(晶文社)、『60歳からの外国語修行』(岩波新書)、『ピーターとペーターの狭間で』(ちくま文庫)、『南の話』(毎日新聞出版)、『短編小説のアメリカ52講』(平凡社ライブラリー)ほか。訳書にカルヴィン・トムキンズ『優雅な生活が最高の復讐である』(田畑書店)、ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』(河出文庫)、阿部真理子のイラスト満載のアメリカ現代短編傑作選『世界は何回も消滅する』(筑摩書房)ほかがある。 Illustrator 阿部 真理子 Mariko Abe 1959年、福島県生まれ。イラストレーター。大阪芸術大学デザイン学科卒業。絵本に『ボクがこんなにふとった理由』(こぐま社)、『むしゃむしゃマンモス』(講談社)、青山南との共作で『あんなかいぶつみたことない』(BL出版)がある。2010年没。
-
本は読めないものだから心配するな
¥990
本を読む。忘れる。それは当たり前。内容を覚えてなくても、「読めた」と言えなくても、心配しなくていい。よろこびをもって前に進もう。本書は読書をめぐる思索の書であり、古今東西あらゆる本をめぐるブックガイドであり、世界中の土地や文化について学ぶ手引きである。読めば、心のお天気が変わる。また本を読みたくなる。読む人に勇気を与える「読書の実用論」。解説=柴崎友香。 [出版社より] 著 者|管啓次郎 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-480-43766-2 発 行|2021年09月 Author 管 啓次郎 Keijiro Suga 1958年生まれ。詩人、比較文学者。明治大学大学院ディジタルコンテンツ系教授。著書に『オムニフォン』、『本は読めないものだから心配するな』、『斜線の旅』(読売文学賞受賞)、『Agend’Ars アジャンダルス』など、訳書にリオタール『こどもたちに語るポストモダン』などがある。
-
偏愛蔵書室
¥1,320
古今東西の名作怪作100冊の魅力・魔力。万巻の書物の毒に惑溺してきた“小説狂”作家の眼に、文学は人の思いもよらぬ呪われた自画像を垣間見せる―。かねてより「文体」至上主義を奉じる著者の、特異な文章術指南書にして、郷愁溢れる文学的自叙伝。言語芸術の極北を知るための伝説の奇書、完全版ここに成る。 [出版社より] 著 者|諏訪哲史 出版社|河出書房新社[河出文庫] 定 価|1,200円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|368 ISBN|978-4-309-42158-2 発 行|2024年12月 Contents 不治の言語病患者―「チャンドス卿の手紙」ホフマンスタール 倦厭の闇、一瞬の光源―『檸檬』梶井基次郎 世界を造形するまなざし―『リルケ詩集』リルケ 「リアル」ということ―『遠野物語』柳田国男 漫画のなかの「詩性」―『赤色エレジー』林静一 「無限」に触れる筆力―『伝奇集』ボルヘス 「起承転転」の小説―「子之吉の舌」ほか 島尾敏雄 「幼年」という名の庭―『トムは真夜中の庭で』ピアス 選ばれた「文体」と「生」―「青炎抄」ほか 内田百閒 小説―「過剰性」の言語―『泥棒日記』ジュネ いかに詩を「観る」か―『静物』吉岡実 「少女」の発明―『少女コレクション序説』澁澤龍彦 「無実の日常」を生きる―『愛について語るときに我々の語ること』カーヴァー いざ、「枝路」の方へ―「蔵の中」宇野浩二 詩の言葉で小説を―『肉桂色の店』シュルツ 漢詩―視と聴の悦楽―『李賀詩選』李賀 「独身者」の愛の機械―『モレルの発明』ビオイ=カサーレス 「人外」―反地上の夢―『幻想博物館』中井英夫 「幼稚さ」への意志―『バカカイ』ゴンブローヴィチ 存在の「外」を覗く―『闇のなかの黒い馬』埴谷雄高 ほか Author 諏訪 哲史 Tetsushi Suwa 1969年名古屋市生まれ。國學院大学文学部哲学科卒業。恩師は独文学者の故種村季弘。2007年小説「アサッテの人」で群像新人文学賞・芥川賞受賞。他著書に『りすん』『ロンバルディア遠景』(講談社)等多数。
-
反解釈
¥1,760
「批評の機能は、作品がいかにしてそのものであるかを、いや作品がまさにそのものであることを、明らかにすることであって、作品が何を意味しているかを示すことではない」 《解釈》を偏重する在来の批評に対し、《形式》を感受する官能美学の必要性をとき、理性や合理主義に対する感性の復権を唱えたマニフェスト。 [出版社より] 著 者|スーザン・ソンタグ 訳 者|高橋康也 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,600円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|512 ISBN|978-4-480-08252-7 発 行|1996年03月 Contents 反解釈 様式について 模範的苦悩者としての芸術家 シモーヌ・ヴェーユ カミュの『ノートブック』 ミシェル・レリスの『成熟の年齢』 英雄としての文化人類学者 ジェルジ・ルカーチの文学論 サルトルの『聖ジュネ』 ナタリー・サロートと小説 ほか Author スーザン・ソンタグ Susan Sontag 1933年生まれ。現在アメリカで最もよく知られ賞賛されている作家・批評家の一人。さらに四つの長編映画の脚本執筆と監督をし、アメリカとヨーロッパにおいて劇の演出も手がけているが、その中には、包囲されたサラエヴォで上演されたベケットの『ゴドーを待ちながら』の演出も含まれる。2001年に「イェルサレム賞」を受賞。2004年死去。
-
定本 批評メディア論——戦前期日本の論壇と文壇
¥1,738
「論壇」「文壇」とは何か。日本において「批評」はいかにして可能か。言論を支えてきたインフラやシステムの生成過程にさかのぼることから再起動しなければならない。膨大な資料博捜に裏づけられた圧倒的な文体で知の基本構造をえぐり出す。注目を集める批評家による著書が、全面的な改稿をへて「定本」として再生する。 [出版社より] 著 者|大澤聡 出版社|岩波書店[岩波現代文庫] 定 価|1,680円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|462 ISBN|9784006023553 発 行|2024年01月 Contents 序 章 編集批評論 1 商品としての言論 ギルドから市場へ 2 批評のマテリアリズム 課題設定 3 出版大衆化 円本・革命・スペクタクル 4 ジャーナリズム論の時代 総合雑誌史 5 時限性と非属領性 本書の構成 第1章 論壇時評論 1 論壇とはなにか 第一の課題設定 2 レジュメ的知性 総合雑誌の論壇時評 3 空間画定と再帰性 学芸欄の論壇時評 4 メディア論の予感 相互批評の交叉点 5 消滅と転生 自己準拠的なシステム 第2章 文芸時評論 1 問題消費の時代 第二の課題設定 2 アリュージョンと多重底 批評無用論争 3 後発者たちの憂鬱 自律した批評の誕生 4 複数化する宛先 文壇村という読者集団 5 職業としての批評 文芸批評のプロトコル 第3章 座談会論 1 ふたつの欲望 第三の課題設定 2 合評から討議へ 「新潮合評会」の変成 3 劇場化とロールプレイ 行動主義論争 4 擬態する親密圏 『文學界』の文壇政治 5 造語の氾濫 メディア=形式の一義化 第4章 人物批評論 1 人物による時代診断 第四の課題設定 2 横断性と大衆性 普通選挙時代の批評 3 固有名消費 有名性生成のメカニズム 4 複数の表象様式 記号的身体とキャラ化 5 有名、匿名、無名 現実的権威の発動 第5章 匿名批評論 1 スターシステム 第五の課題設定 2 精神か経済か フリーランサー論争 3 声と批評 輿論・社会化・カタルシス 4 責任の所在 学芸/文芸欄という例外圏 5 固有名化する匿名 名をめぐる四象限 終 章 批評環境論 1 速度 編集的批評/批評的編集 2 綜合 アカデミズムとジャーナリズム 3 再編 境界条件の壊乱と地殻変動 4 局外 いまはそれと名指されぬもの 5 集団 全体性はいかにして可能か 註 あとがき(単行本版) あとがき(岩波現代文庫版) 人名索引 Author 大澤 聡 Satoshi OSAWA 1978年生まれ.批評家.近畿大学文芸学部准教授.東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).専門はメディア史.主な著書に『教養主義のリハビリテーション』(筑摩書房),編著に,『1990年代論』(河出書房新社),『三木清教養論集』(講談社文芸文庫)など.本書『批評メディア論』(岩波書店)で第37回日本出版学会奨励賞,第6回内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞を受賞.
-
台湾書店百年の物語——書店から見える台湾
¥2,420
書店と社会は相互に影響し合いながら変化していく。一九〇〇年代から二〇〇〇年代まで、各年代の代表的な書店から描く台湾文化の百年史。 「現在のわたしたちにとって、将来どのような書店が出現するかを予想するのは難しいことだろう。しかし今まで存在していた、あるいは今でも存在している書店を歴史的な観点から眺めることで、書店、特に実店舗の書店が社会にどのような影響を与えているのか、私たちも読者も更に詳しく知ることができるはずだ。そして書店、特に独立書店は本の販売以外に、この社会にどんなものを創造できるのかについても!」(本文より) [出版社より] 原 書|台湾書店歴史漫歩 編著者|台灣独立書店文化協會 訳 者|フォルモサ書院(郭雅暉・永井一広) 出版社|H.A.B 定 価|2,200円+税 判 型|A5変型判/並製 頁 数|256 ISBN| 978-4-9907596-9-8 発 行|2022年09月 Contents 第一篇 日本統治時代の書店 一 近代的書店の黎明期 新高堂 瑞成書局 蘭記書局 二、文化協会時代(一九二〇年代) 文化書局、国際書局 中央書局 興文齋 三、飛躍する時代の書店(一九三〇年代) 鴻儒堂 大陸書店 日光堂(三民書局) 【地方書店漫遊一、高雄の独立書店についての思い出】 第二編 言論統制の時代 一、百万民族大移動の哀歌(一九四〇年代) 世界書局、商務印書館、正中書局、中華書局 大同書局 牯嶺街の露店古本屋 二、ゆっくり歩き出す時代(一九五〇年代) 三民書局 南方書局 周夢蝶の露店 三、海賊版王国となってしまった時代(一九六〇年代) 敦煌書局 文星書店 長榮書局(志文出版社) 【地方書店漫遊二、風が吹く軒で書物を広げて読めば、古き道が私の顔を照らしてくれる。台南中正路商圏書店系図】 第三篇 書籍業界が飛躍する時代 一、書籍業界の盛んな年代(一九七〇年代) 遠景出版社(飛頁書餐廳) 南天書局 書林書店 二、百花繚乱の日々(一九七〇年代) 重慶南路の書店街 山民書局(豐原三民書局) 光華商場の古本屋 三、消費時代の到来(一九八〇年代~) 金石堂文化廣場とその他のチェーン店 誠品書店 瓊林書苑、古今集成、讀書人文化廣場、田納西書店 【地方書店漫遊三、書店散歩 台南篇】 【地方書店漫遊四、書店散歩 嘉義篇】 第四篇 独立の声 一、独立書店の芽生え(一九八〇年代) 唐山書店 明目書社、結構群 水木書苑 二、自分の声を上げる時代(一九九〇年代) 女書店 晶晶書庫 洪雅書房 三、台湾に根を下ろす書店たち (一九九〇年代) 台湾e店、台湾本土文化書局 春成書店 天母書廬 【地方書店漫遊五、「じっとしていられない奴ら」 私の宜蘭書店考察ノート】 第五篇 書店における転換期 一、インターネット時代の到来(二〇〇〇年代) 舊香居 草祭二手書店 時光二手書店 二、独立書店の新生(二〇〇〇年代) 小小書房 有河book 凱風卡瑪兒童書店 三、捨てられぬ理想(二〇〇〇年代) 東海書苑 闊葉林書店 「草葉集」から「註書店」 【地方書店漫遊六、重慶南路書店街について 私の一風変わった独立書店の経験と夢】
-
妾と愛人のフェミニズム——近・現代の一夫一婦の裏面史
¥3,080
SOLD OUT
一夫一婦制度が確立した明治期から2010年代までの新聞・雑誌や文学を精読し、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。 ー 夫婦関係に不和を生じさせる存在、倫理にもとるものとして現在ではタブー視されている「愛人」や、かつて「妾」と呼ばれた人たちは、どのような女性だったのか。 フェミニズムの分野で「妾」や「愛人」が議論の対象にされてこなかったことに疑問をもった著者が、明治期から2010年代までの「妾」と「愛人」にまつわる「読売新聞」や「週刊文春」の記事分析と文学作品の読解を通して、時代ごとに形作られた社会的イメージの変遷をたどっていく。 森鴎外や尾崎紅葉の小説に描かれる近代男性の妾囲い、有島武郎と波多野秋子などの大正期に新聞紙上をにぎわせた知識人の愛人関係、太宰治「斜陽」で「道徳革命」を成就させる戦後の愛人、「嫉妬する妻」による刃傷沙汰事件、「おいしい生活」を望む女性たちの間で流行した愛人バンク、政治家の「女房役」やハイクラス男性のビジネスパートナーとしての愛人、2000年代以降の政治家のスキャンダルのなかで性的に消費される愛人像などを取り上げ、近・現代日本に現れる「妾」と「愛人」像と、その評価を詳細に検討する。 一夫一婦制度が確立した明治期以降、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として近代知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。 [出版社より] 著 者|石島亜由美 出版社|青弓社 定 価|2,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|280 ISBN|978-4-7872-3517-6 発 行|2023年03月 Contents はじめに 第1章 明治の妾――一夫一婦の裏面の妾という存在 1 法制度からみる妾の位置づけ 2 妾の近代文化 3 文学に描かれた妾 第2章 戦前の愛人――恋愛をする人 1 近代日本フェミニズムの出発点――恋愛/一夫一婦/妾の否定 2 愛人の登場――一九一〇年代まで 3 一九二〇年代の愛人像――文学作品・婦人雑誌・新聞から 第3章 一九三〇年代の妻と妾――妻の嫉妬と閉塞感 1 「嫉妬する妻」の構築 2 一九三〇年代の「妻」「妾」の身の上相談 第4章 戦後の愛人――働く女性、性的存在、不道徳な存在 1 戦後愛人の原型――一九四〇年代後半から五〇年代 2 週刊誌のなかの愛人 初出一覧 おわりに Author 石島 亜由美 Ayumi Ishijima 1980年、栃木県生まれ。城西国際大学大学院人文科学研究科女性学専攻(修士課程)修了、比較文化専攻(博士課程)単位取得満期退学。博士(比較文化)。専攻は女性学、東洋医学。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師。共著に『ジェンダーの視点からみる日韓近現代史』(梨の木舎)、『韓流サブカルチュアと女性』(至文堂)、論文に「私にとっての「女性学」という場――水田宗子の女性学と草創期の議論を再考して」(「WAN女性学ジャーナル」2019年)、「近代日本における「妾」に関する新聞記事のジェンダー分析――「嫉妬」の社会的構築と「妻」の危機・「妾」の排除」(「女性学」第25号)、「「夫」「妻」「妾」近代的主体とジェンダー文化の構築」(「女性・戦争・人権」第14号)など。
-
神々の闘争 折口信夫論
¥2,530
2002年群像新人文学賞評論部門優秀作となった「神々の闘争――折口信夫論」を軸に、書き継ぎ推敲を重ねた論考が2004年にまとめられ、文芸評論家・安藤礼二の最初の単行本『神々の闘争 折口信夫論』となった。 その後の2008年に雑誌掲載された「『死者の書』という場(トポス)」という短い評論に作家・大江健三郎が目を留め、高く評価する。その出会いが2009年安藤礼二の『光の曼陀羅 日本文学論』(2016年に文芸文庫版を刊行)による大江健三郎賞の受賞につながっていく――。 折口信夫の文学と思想の源泉を探る問いかけは、やがて折口の生きた時代を共有した井筒俊彦、大川周明、北一輝、石原莞爾、西田幾多郎といった思想家たちの言葉を参照することにつながっていく。それは世界におけるアジア、アジアにおける日本を考えることにつながる。 第二次世界大戦以前の君主制日本、それは「天皇」の存在を抜きにして何かを考えることは不可能な時空間だが、そのような状況下での権力のあり様の本質を、昭和天皇の即位を契機に定義したのが折口信夫だった。 著者は論を進めるうち、やがて折口信夫の背後にある平田篤胤の神学の存在に至る。 折口信夫という孤高の文学者・思想家をその特殊性で理解するのではなく、つねに普遍性を備え同時代に生きて闘う存在ととらえる本書は単行本の刊行から20年を経て、新たに戦争状態が世界を覆っているかのように見える現在こそ読まれるべきなのかもしれない。 知られざる折口信夫の姿――衝撃のデビュー作。 [出版社より] 「本書は、あたかも「本格探偵小説」を読むような、スリリングな読書時間を味わわせてくれる。 あちこちにちりばめられた、細かな謎の集積とその解明。もちろん真犯人は最初からわかって いるはずなのだが、本書を読み終えたとき、その「真犯人」の姿は、まったく違って見えてくる」 ――斎藤英喜「解説」より 著 者|安藤礼二 出版社|講談社[講談社文芸文庫] 定 価|2,300円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-06-536305-8 刊 行|2024年08月 Contents 第一章 神々の闘争――ホカヒビト論 第二章 未来に開かれた言葉 第三章 大東亜共栄圏におけるイスラーム型天皇制 第四章 戴冠する預言者――ミコトモチ論 第五章 内在と超越の一神教 あとがき 初出一覧 補論 『死者の書』という場(トポス) 著者から読者へ 解説 斎藤英喜 年譜 著者自筆 Author 安藤 礼二 Reiji Ando 文芸評論家。東京生まれ。早稲田大学第一文学部(考古学専修)を卒業後、出版社に勤務。2002年「神々の闘争――折口信夫論」が群像新人文学賞評論部門優秀作となる。同作を基にした著書『神々の闘争 折口信夫論』で2006年芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2009年『光の曼陀羅 日本文学論』で大江健三郎賞と伊藤整文学賞を受賞。2015年『折口信夫』でサントリー学芸賞と角川財団学芸賞を受賞。多摩美術大学美術学部教授。
-
不完全な司書
¥1,870
本は違う世界の光を届ける窓 図書館は人と人の出会いの場所 司書の仕事はケアにつながる 奈良県東吉野村にひっそりとたたずむ「ルチャ・リブロ」は、自宅の古民家を開いてはじめた私設の図書館。このルチャ・リブロの司書が綴る、本と図書館の仕事にまつわるエッセイ。 人と接するのが苦手で、本という「窓」から外の世界と接してきた。そんな著者が自らの本棚を開放することで気づいた「図書館」の本質的な効用。精神疾患を抱える「支えられる立場」から、司書という「人を支える立場」になりえた体験を通じて、司書の仕事の豊かさ、奥深さ、そして本という「窓」の持つ力が伝わってくる。読むと訪れてみたくなる、ある個性的な図書館の物語。 [出版社より] 著 者|青木海青子 出版社|晶文社 定 価|1,700円+税 判 型|四六変型判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-7949-7398-6 初 版|2023年12月 Contents ■1 司書席から見える風景 不完全な司書 本という窓 古い家で、いとなむこと 蔵書を開くことは、問題意識を開くこと ルチャ・リブロの一日 公と私が寄せては返す 窓を眼差した人 時間がかかること、時間をかけること 諦めた先の諦めなさ ペンケースを開け放つ 森から来た人達 知の森に分け入る 葛根湯司書 図書館への道 ルールとのつきあい方 偶然性と私設図書館 夜の海の灯り ■2 クローゼットを開いて クローゼットの番人が、私設図書館を開くまで 幽霊の側から世界を見る 当事者であること、伴走者であること 絶対あると思って探しに行かないと見つからない 探求のお手伝いが好き、レファレンスブックが好き カーテンに映る影 本と暴力と 光の方へ駆ける 窓外に見えるもの 旅路の一里塚 明るい開けた場所に出られるような言葉 ■3 ケアする読書 デコボコと富士正晴 書くことのケア性について 「分からない」という希望 生きるためのファンタジーの会 木炭で歯をみがくことと、オムライスラヂオ 私の影とのたたかい 背後の窓が開く 「土着への処方箋」のこと 「本について語り合う夕べ」のこと ■4 東吉野村歳時記 峠をのぼるひと、のぼる道 屋根からの手紙 とんどと未来 馬頭観音祭と、往来と Author 青木 海青子 Miako Aoki 人文系私設図書館ルチャ・リブロ司書。1985年、兵庫県生まれ。約6年の大学図書館勤務を経て、夫・真兵とともに奈良県東吉野村にルチャ・リブロを開設。2016年より図書館を営むかたわら、「Aokimiako」の屋号での刺繍等によるアクセサリーや雑貨製作、イラスト制作も行っている。青木真兵との共著に『彼岸の図書館――ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト1~4』 (エイチアンドエスカンパニー)、単著に『本が語ること、語らせること』(夕書房)がある。
-
暴力論
¥2,750
いじめ、ハラスメント、性暴力、ヘイトクライム、テロ、戦争、原爆、ジェノサイド……。私たちの日常は、常に大小の「暴力」に曝されている。いったい何が暴力を起動させるのか――。 大江健三郎「政治少年死す」、大岡昇平「俘虜記」、柄谷行人「日本近代文学の起源」、武田泰淳「第一のボタン」、井伏鱒二「黒い雨」、奥泉光「石の来歴」、原民喜「夏の花」、ジョージ・オーウェル「1984年」、ジョナサン・リテル「慈しみの女神たち」など、内外の優れた文学に現れた「暴力」を緻密に追究することによって、闇に包まれたその根源へと迫っていく。群像新人賞評論部門優秀作を受賞しデビューした気鋭が真正面から挑む、力作評論。 [出版社より] 著 者|高原到 出版社|講談社 定 価|2,500円+税 判 型|四六変型判・上製 頁 数|338 ISBN|978-4-06-524450-0 発 行|2021年09月 Contents 第1部 暴力の発生 テロリストが、生まれる——「セヴンティーン」「政治少年死す」試論 暴力の二つのボタン——ジョージ・オーウェルと武田泰淳 第2部 暴力の爪痕 日本近代文学の敗戦——「夏の花」と『黒い雨』 歪められた顔、奪われた言葉——「原爆乙女」をめぐって 第3部 暴力の語り 二つのフィリピン戦——大岡昇平と奥泉光における死者の顔 虐殺の言語学『慈しみの女神たち』のナラティヴ Author 高原 到 Itaru Takahara 1968年千葉県生まれ。京都大学文学部社会学科卒業。現在、予備校講師を務めながら、文芸誌を中心に旺盛な批評活動を続ける。
-
ゴシックハート
¥990
「ゴシック」とは何か? それは生き方である。自己の必然に基づいた命懸けの好みである。そして永遠のレジスタンスである。強者が富み続け、優位者が一方的に決めた規範に支配される現実の不条理を憎み抵抗するとき、その扉は開く。 小説、漫画、映画、アニメ、絵画、人形、信仰、哲学、歴史——。現代日本的ゴシック文化論を切り拓いた一冊に、新章&書き下ろしあとがきを加えた増補新版。 [出版社より] 著 者|高原英理 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-480-43845-4 発 売|2022年10月 Contents ゴシックの精神 人外 怪奇と恐怖 様式美 残酷 身体 猟奇 異形 両性具有 人形 廃墟と終末 幻想 差別の美的な配備 Author 高原 英理 Eiri Takahara 1959年生。小説家・文芸評論家。立教大学文学部卒業、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。85年、第1回幻想文学新人賞を受賞。96年、第39回群像新人文学賞評論部門優秀作を受賞。編纂書に『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』『ファイン/キュート 素敵かわいい作品選』、著書に 『ゴシックスピリット』『少女領域』『高原英理恐怖譚集成』『エイリア綺譚集』『観念結晶大系』『日々のきのこ』ほか多数。
-
死してなお踊れ 一遍上人伝
¥1,012
行くぜ極楽、何度でも。家も土地も財産も、奥さんも子どもも、ぜんぶ捨てて一遍はなぜ踊り狂ったのか。他力の極みを生きた信仰の軌跡を踊りはねる文体で蘇らせて、未来をひらく絶後の評伝。 [出版社より] 著 者|栗原康 出版社|河出書房新社[河出文庫] 定 価|920円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|296 ISBN|978-4-309-41686-1 初 版|2019年06月 Author 栗原 康 Yasushi Kurihara 1979年生まれ。著書に『大杉栄伝 永遠のアナキズム』『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』『働かないでたらふく食べたい』など。
-
文にあたる
¥1,760
本を愛するすべての人へ——。 人気校正者が、書物への止まらない想い、言葉との向き合い方、仕事に取り組む意識について——思いのたけを綴った初めての本。 〈本を読む仕事〉という天職に出会って10年と少し。無類の本読みでもある校正者・牟田都子は、今日も校正ゲラをくり返し読み込み、書店や図書館をぐるぐる巡り、丹念に資料と向き合う。1冊の本ができあがるまでに大きな役割を担う校正・校閲の仕事とは? 知られざる校正者の本の読み方、つきあい方。 「校正者にとっては百冊のうちの一冊でも、読者にとっては人生で唯一の一冊になるかもしれない。誰かにとっては無数の本の中の一冊に過ぎないとしても、べつの誰かにとっては、かけがえのない一冊なのだ」 [出版社より] 著 者|牟田都子 出版社|亜紀書房 定 価|1,600円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|256 ISBN|978-4-7505-1754-4 初 版|2022年08月 Contents 1 赤鉛筆ではなく鉛筆で 2 常に失敗している仕事 3 探し続ける日々 Author 牟田 都子 Satoko Muta 1977年、東京都生まれ。図書館員を経て出版社の校閲部に勤務。2018年より個人で書籍・雑誌の校正を行う。これまで関わった本に『へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々』(鹿子裕文、ナナロク社/ちくま文庫)、『何度でもオールライトと歌え』(後藤正文、ミシマ社)、『ブスの自信の持ち方』(山崎ナオコーラ、誠文堂新光社)、『家族』(村井理子、亜紀書房)、『はじめての利他学』(若松英輔、NHK出版)ほか多数。共著に『あんぱん ジャムパン クリームパン 女三人モヤモヤ日記』(亜紀書房)、『本を贈る』(三輪舎)。
-
第二世界のカルトグラフィ
¥2,750
第二世界、それは絶望で覆われたこの現実世界に、なお夢見ることを忘れない人々の不屈のヴィジョンだ。世界各地のさまざまな本や表現から、新たな生の場所を〈発見〉する。そのときどんな地図が浮かび上がるだろうか――。シャモワゾーやグリッサンらカリブ海の作品。レイシズムが蔓延するアメリカ文化。目取真俊や崎山多美らの沖縄の文学。そしてコレット・マニーのブルーズ……絶望にあらがう多彩な表現を手がかりにした旅の記録。 [出版社より] 著 者|中村隆之 出版社|共和国[境界の文学] 定 価|2,500円+税 判 型|四六変型判/上製 頁 数|224 ISBN|978-4-907986-91-9 発 行|2022年08月 Contents 0 第二世界は存在する 第I部 場所 1 反復される川の記憶 2 カリブ海の移動と交流 3 アフリカの魂を探して 4 アメリカのニグロ・スピリチュアル 5 ファトゥ・ディオムの薄紫色 6 レザルド川再訪 7 レイシズムのアメリカ 第II部 境界 1 絶対的暴力の牢獄 2 分からなさの向こう側を想像する 3 岩手県の幻冬小説 4 文明のなかの居心地悪さ 5 アパルトヘイト終焉期を撮る 6 テロルという戦場 7 ディストピア小説に映し出される近未来 第III部 生 1 ジャン・ベルナベ(一九四二―二〇一七) 2 パスカル・カザノヴァ(一九五九―二〇一八) 3 フランソワ・マトゥロン(一九五五―二〇二一) 4 ヤンボ・ウォロゲム(一九四〇―二〇一七) 5 東松照明(一九三〇―二〇一二) 6 ジャック・クルシル(一九三八―二〇二〇) 7 コレット・マニー(一九二六―一九九七) 第IV部 交響 1 アナキズムと詩的知恵 2 口頭伝承と神話的思考 3 フランス国立図書館と作家研究 4 ニューカレドニアの民族誌 5 震えとしての言葉 6 野生の思考と芸術 7 詩人たちの第二世界 あとがき 第二世界の地図作成のために Author 中村 隆之 Takayuki Nakamura 1975年、東京都に生まれる。フランス語圏の文学、批評、翻訳。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在は、早稲田大学法学学術院教員。 おもな著書に、『魂の形式―コレット・マニー論』(カンパニー社、2021)、『野蛮の言説―差別と排除の精神史』(春陽堂書店、2020)、『エドゥアール・グリッサン―〈全‐世界〉のヴィジョン』(岩波現代新書、2016)、『カリブ‐世界論―植民地主義に抗う複数の場所と歴史』(人文書院、2013)など多数。 おもな訳書に、アラン・マバンク『アフリカ文学講義―植民地文学から世界‐文学へ』(共訳、みすず書房、2022)、『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社、2019)、エドゥアール・グリッサン『フォークナー、ミシシッピ』(インスクリプト、2012)など多数。