-
そこに私が行ってもいいですか?
¥2,530
SOLD OUT
女とは、階級とは、国とは、人種とは——。 海を越え、運命を切り拓く少女たちの物語。構想10年。国際アンデルセン賞韓国候補作家が、日本軍慰安婦、対日協力者、アメリカ日系人収容所など、複雑な日韓の近現代史を、女の視点から描く傑作エンタテインメント。 「貧しく低い身分で、女として生まれたのは、自ら選んだことではない。植民地の民となったのも、国に力がなかったからだ。なのに、苦しみは個人や民が負わなければならない」(本書より) 「人間は複雑で多面的な存在で、完全な善人も悪人もいない。誰もが自らの欲望や利益を前に、揺れながら生きている。日帝強占期(日本植民地期)という歴史の枠組みに閉じ込めて、二分法的に描きたくなかった」ーーイ・グミ(作者の言葉より) 壮大で複雑な歴史を、綿密な取材をもとに詳細に描きながら、韓国では「YA(ヤング・アダルト=ティーン)向け」として出版された本書。韓国の歴史をこれから知ろうとする日本の広い年代の読者にとっても手にとりやすく、そして知られざる日本と韓国の歴史を知るよい道標となるはずです。2018年度国際児童図書評議会オナーリスト選定図書。 [出版社より] 著 者|イ・グミ 訳 者|神谷丹路 出版社|里山社 定 価|2,300円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|368 ISBN|978-4-907497-16-3 初 版|2022年03月 Author イ・グミ 1962年韓国・ソウル生まれ。1984年「新しい友文学賞」に短編童話が入選し、作家活動を始める。30年以上にわたり、濃密な人間愛に満ちた作品を発表し続ける。小泉児童文学賞、尹石重文学賞、方定煥文学賞を受賞。子どもから大人まで幅広い年齢層の読者をもつ。代表作に、『あなたもひめゆりの花』『ユジンとユジン』『私と少し違うだけ』『アロハ、私の母たち』など。2020年、ハンス・クリスチャン・アンデルセン賞の韓国候補作家に指名された。 Translator 神谷 丹路 Niji Kamiya 東京都生まれ。韓国語翻訳、日韓関係史研究。1980年代に、韓国延世大学へ留学。訳書に、尹興吉『鎌』(共訳・角川書店)、趙廷来『太白山脈』 共訳(集英社) 、パク・ゴヌン著『ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記』(里山社) 、編訳書に『だまされたトッケビ』(福音館書店)他。産経児童出版文化賞翻訳作品賞受賞 。著書に『韓国 近い昔の旅 植民地時代をたどる』(凱風社)、『韓国歴史漫歩』(明石書店)他。早稲田大学、法政大学非常勤講師。
-
佐藤真の不在との対話——見えない世界を撮ろうとしたドキュメンタリー映画作家のこと
¥1,650
見るとは、伝えるとは、普遍とは何か——“映画哲学者”佐藤真に触れる対話集。 『 阿賀に生きる』『SELF AND OTHERS』『まひるのほし』『花子』『阿賀の記憶』『エドワード・サイード OUT OF PLACE』など、優れたドキュメンタリー映画を生み出し、07年に急逝した映画作家、佐藤真。それまで事件や社会課題を糾弾するのが命題だったドキュメンタリーというジャンルにおいて、「見えない世界」を撮り、問題の本質を炙り出すという方法論は、さまざまな示唆に富んでいた。 本書は、混迷を極めた現代もなお深い思考を促す佐藤の映画と言葉のもつ意味を探ろうとする人々による対話集である。 [出版社より] 編 者|里山社 出版社|里山社 定 価|1,500円+税 判 型|A5判・並製 頁 数|160 ISBN|978-4-907497-15-6 初 版|2021年10月 Contents 小森はるか 佐藤真監督の葛藤に救われた 小林茂 わからないから撮る 山根貞男 映画哲学者、佐藤真 赤坂憲雄×旗野秀人 「福島に生きる」は可能か 旗野秀人×永野三智 「遅れてきた若者」だからできること 神谷丹路 プライベートな世界を撮ること 細馬宏通 意味よりも過程を見ていたい 保坂和志 見つめられないものこそ日常 諏訪敦彦 世界は見渡すことができない 北小路隆志×八角聡仁 佐藤真は終生ドキュメンタリー作家だった 石田優子 彷徨いつづけることを認める 佐藤真の視線でーー
-
ヘヴィ あるアメリカ人の回想録
¥3,190
黒人母子(おやこ)の内省が暴くアメリカの“噓”。 「どうか怒らないでほしい、母さん。ぼくはただ、ぼくが何を経験してどこで歪んだのか、母さんに伝えようとしているだけなんだ。ぼくらが何を経験してどこで歪んだのか、ぼくらに知らせようとしているだけなんだ。」 黒人女性政治学者として輝かしいキャリアを築く一方で、私生活では母子家庭で息子を一人で育てる不安でいっぱいだった母。アメリカ社会で黒人が意味のある人生をまっとうする難しさを知る母は、息子に鞭打ちの折檻も交えて厳しく教育しながら、権威主義的な恋人とギャンブルに依存し、家庭は常に貧困状態にある。 「たった一人の友だち」と慕う母から受ける虐待や友人間の性暴力に傷つく「ぼく」は、ジャンクフードに逃避し、増えた体重が彼を一層痛めつける。そんな「ぼく」が痛みから抜け出すべく手繰り寄せたのは、他ならぬ母から教えられた「書いて、推敲する」ことだった。 ニューヨークタイムズ2018年ベスト本/2019年アンドリューカーネギー賞/2018年クリストファー・イシャーウッド賞自伝的散文賞。 [出版社より] 「家族とは、黒人たちの歴史的命題であり続けてきたといってよい。一切のロマンスを排したそれとの対決が、本書を稀有な「黒人の自伝」としているのである。特にその中心には母がおり、彼女の生き方こそ、人種主義社会の非情さと、善悪では裁けないサヴァイヴァルの複雑な機微の集積である」 ——新田啓子[解説より] 「信じられない。『ヘヴィ』にはびっくり。深い。強烈。多層的。ただただすごい」 ——ロクサーヌ・ゲイ[作家] 著 者|キエセ・レイモン 訳 者|山田文 出版社|里山社 定 価|2,900円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|336 ISBN|978-4-907497-14-9 初 版|2021年06月 Author キエセ・レイモン Kiese Laymon 1974年生まれ。作家、ミシシッピ大学英文学部ヒューバート・H・マカレグザンダー記念教授。いわゆる「ディープ・サウス」のミシシッピ州ジャクソンで生まれ育つ。ミルサップス大学、ジャクソン州立大学を経て、オーバリン大学を卒業。インディアナ大学大学院文芸創作修士課程(MFA)修了。著書に長篇小説Long Division(2013年。2021年に再版され、ウィリアム・サローヤン国際賞を受賞)、エッセイ集How to Slowly Kill Yourself and Others in America(2013年)がある。数多くの主要メディアにもエッセイ、短篇小説、書評などを寄稿。 本書は2019年アンドリュー・カーネギー賞ノンフィクション部門、2018年クリストファー・イシャーウッド自伝的散文賞などの賞を受けた。ニューヨーク・タイムズ紙などで2018年のベスト本の一冊にも選ばれている。2020年、ミシシッピで子や孫のために懸命に働いた祖母の名に因み、ミシシッピの子どもとその親がよりよく読み、書き、推敲し、経験を共有できるようにすることを目的としたプログラム〈キャサリン・コールマン文芸・正義イニシアティヴ〉(The Catherine Coleman Literary Arts and Justice Initiative)を創設した。 HP:https://www.kieselaymon.com Translator 山田 文 Fumi Yamada 翻訳者。訳書にヴィエト・タン・ウェン(編)『ザ・ディスプレイスト―難民作家18人の自分と家族の物語』(ポプラ社)、ダレン・マクガーヴェイ『ポバティー・サファリ―イギリス最下層の怒り』(集英社)、J.D.ヴァンス『ヒルビリー・エレジー―アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(共訳、光文社)などがある。
-
91歳セツの新聞ちぎり絵 ポストカードブック
¥1,650
91歳、深まる表現力。なかなか会えない遠くのあの人へ。セツさんの明るいパワーをおすそわけ。 89歳で夫を亡くし、2019年1月、90歳から新聞ちぎり絵を始めた、奈良県桜井市在住の木村セツさん。作品と人生の聞き書きを収録した『90歳セツの新聞ちぎり絵』は5刷に!旺盛な食欲を感じさせるハンバーガーやお盆のお供物の剣先イカなど、バラエティに富んだユーモラスなモチーフと言葉、精緻な表現力で注目を集めました。 世界中が閉塞感に包まれた2020年も、変わらず毎日創作を続け、表現力も観察眼も深化。91歳の1年間に作った新作を中心に、32点収録したコメント付ポストカードブックが出来ました。セツさんのエネルギーの源を知る読み物(ちぎり絵くふう解説/1日のすごし方/セツさんの「昔のしごと」/孫・木村いこによる漫画「ばあちゃんというヒト」)も充実! ポストカードとして、切り取って使うも良し。作品集として手元に置いて楽しむも良し、な一冊。なかなか会えない遠くのあの人へ。セツさんの明るいパワーをおすそわけしていただけましたら幸いです。 [出版社より] 著 者|木村セツ 出版社|里山社 定 価|1,500円+税 判 型|カラーポストカード32枚+モノクロ16頁 ISBN|9784-907497-13-2 初 版|2021年2月 Author 木村セツ Setsu Kimura 1929 年(昭和4年)1月7日奈良県桜井市生まれ。戦争中は学徒動員により、紡績工場で働く。戦後、銀行に勤めるが、家庭の事情で退職。3人の子供を育てながら、養鶏、喫茶店、農業などの仕事に励む。2018年末に夫が他界。2019 年元旦から長女の勧めで新聞ちぎり絵を始め、才能が開花。ツイッターアカウントはフォロワー数4 万人以上(2021年1月現在)。90 歳の1 年間につくった作品を集めた作品集『90歳セツの新聞ちぎり絵』(里山社)が好評発売中。
-
90歳セツの新聞ちぎり絵
¥1,980
家族のために働き続けた彼女の転機は、90歳で訪れた。 奈良県桜井市生まれ、在住の木村セツさん90歳。ツイッターアカウント「90歳セツの新聞ちぎり絵」のフォロワー数はなんと3万人以上。テレビ出演も引きも切らない。 銀行員、養鶏、喫茶店農業…様々な仕事をしながら趣味ももたずに働き続けて彼女が、夫を亡くした明くる年、2019年元旦から始めた新聞ちぎり絵で才能が開花したのだ。 日常にあるものを題材に新聞紙を使って生み出す作品は、作る歓びに溢れ、精緻なのにユーモラス。一年で70点以上制作した作品は、戦前生まれで昭和を駆け抜けた、90年分の人生が詰まっていた--。 生活を慈しむことの大切さと、おばあちゃんと一緒に過ごした日々の懐かしさ、そして、いくつになってもものを作る歓びを呼び覚まさせてくれる一冊です。 コミカルなコメントとともに綴る、どこか懐かしく日常賛歌のような、新聞ちぎり絵+ライフ・ヒストリー。 [出版社より] 著 者|木村セツ 出版社|里山社 定 価|1,800円+税 判 型|A5判・並製 頁 数|112 ISBN|978-4-907497-10-1 初 版|2020年2月 Author 木村セツ Setsu Kimura 1929年(昭和4年)奈良県桜井市生まれ。戦争中は学徒動員で紡績工場で働く。戦後、銀行に勤めるが、家庭の事情で退職。三人の子供を育てながら、養鶏、喫茶店、農業など仕事に励む。2018年年末に夫が死去し、2019年元旦から娘の勧めで新聞ちぎり絵を始める。ちぎり絵作家、丸田ちひろ作品などに刺激を受け、才能が開花。孫がツイッターで作品を発表すると、その作品の細かさ、鮮やかさ、作品のユーモラスな可愛らしさなどがたちまち話題となり、「にじいろジーン」「ナニコレ珍百景」などに出演。ツイッターアカウント「90歳セツの新聞ちぎり絵」はフォロワー数3万人以上。現在も精力的に作品を作っている。
-
病と障害と、傍らにあった本。
¥2,200
SOLD OUT
病や障害の名でくくれない、固有の症状や想い。誰かと分かち合うことのできない時間、傍らにあった本とは——。 病や障害の名前ではひとくくりにできない、その実情。それゆえにその只中にいる人は、心身のつらさのみならず、誰とも分かち合えない想いに孤独に陥りがちになる。そんな時、外の世界と自分の内とを繋ぐ「窓」となる本は、あったのか。12人の当事者、介護者による、本と病と障害と、生きることにまつわる書き下ろしエッセイ集。 [出版社より] 出版社|里山社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|256 ISBN| 978-4-907497-12-5 初 版|2020年10月 Contents [ 本を知る ] 齋藤陽道 母の絵日記 頭木弘樹 本嫌いが病気をして本好きになるまで 岩崎航 病をふくめた姿で [ 本が導く ] 三角みづ紀 物語に導かれて 田代一倫 写真と生活 和島香太郎 てんかんと、ありきたりな日常 [ 本が読めない ] 坂口恭平 ごめん、ベケット 鈴木大介 本が読めない。 [ 本と病と暮らしと ] 與那覇潤 リワークと私―ブックトークがあった日々 森まゆみ 体の中で内戦が起こった。―原田病と足るを知る暮らし― [ 本と、傍らに ] 丸山正樹 常にそこにあるもの 川口有美子 それは、ただ生きて在ること Author 齋藤 陽道 Harumichi Saito 写真家。生まれつき聞こえに障害がある感音性難聴と診断を受ける。二〇一〇年に写真新世紀優秀賞受賞。二〇一一年、写真集『感動』、二〇一九年『感動、』(いずれも赤々舎)刊行。二〇一三年、ワタリウム美術館にて個展「宝物」開催。エッセイ集に二〇一八年刊行『声めぐり』(晶文社)、『異なり記念日』(医学書院)他多数。 頭木 弘樹 Hiroki Kashiragi 文学紹介者。大学三年の二十歳のときに潰瘍性大腸炎を患い、十三年間の闘病生活を送る。著書に『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)、『絶望読書―苦悩の時期、私を救った本』(河出文庫)、『食べること出すこと』(医学書院)他多数。 岩崎 航 Wataru Iwasaki 詩人。三歳の頃に筋ジストロフィーを発症。現在は胃ろうからの経管栄養と人工呼吸器を使い、在宅医療や介護のサポートを得て自宅で暮らす。著書に詩集『点滴ポール 生き抜くという旗印』、エッセイ集『日付の大きいカレンダー』、二〇一八年、兄の岩崎健一と共著の画詩集『いのちの花、希望のうた』(以上、いずれもナナロク社)刊行。二〇二〇年、第二詩集『震えたのは』刊行予定。 三角 みづ紀 Mizuki Misumi 詩人。大学一年生の頃に膠原病の全身性エリテマトーデスとの診断を受ける。詩集『オウバアキル』『カナシヤル』『隣人のいない部屋』、エッセイ集『とりとめなく庭が』(ナナロク社)刊行。二〇二〇年、詩集『どこにでもあるケーキ』(ナナロク社)刊行。 田代 一倫 Kazutomo Tashiro 写真家。二〇〇六年、福岡市でアジア フォトグラファーズ ギャラリーの設立、運営に参加。同年、三木淳賞奨励賞受賞。韓国、九州で肖像写真を中心に撮影、発表。二〇一〇年に東京、新宿の photographers ‘galleryに拠点を移す。写真集に『はまゆりの頃に 三陸、福島 2011~2013年』(里山社)『ウルルンド』(KULA)。二〇一七年秋より双極性障害を発症。二〇二〇年九月に新潟、砂丘館にて個展開催。 和島 香太郎 Kotaro Wajima 中学三年生の時に、てんかんと診断される。映画監督作に『第三の肌』『小さなユリと 第一章・夕方の三十分』。編集作に坪田義史監督作『だってしょうがないじゃない』。てんかんについて語るポッドキャストラジオ「ぽつラジオ」を開始。 坂口 恭平 Kyohei Sakaguchi ルポルタージュ、小説、思想書、画集、料理書など多岐にわたるジャンルの書籍、音楽、絵などを発表している。自らの躁鬱病の経験から希死念慮に苦しむ人々との対話を「いのっちの電話」として、自らの携帯電話(〇九〇-八一〇六-四六六六)の番号を公開。『自分の薬をつくる』(晶文社)、『苦しい時は電話して』(講談社新書)、風景画集『Pastel』(左右社)他多数。 鈴木 大介 Daisuke Suzuki 文筆業。四十一歳の時に突然、脳梗塞を発症。身体の麻痺は軽度だったが、その後遺症として記憶障害、認知障害などの高次機能障害が残る。その体験を綴った『脳が壊れた』、『脳は回復する 高次脳機能障害からの脱出』(いずれも新潮新書)、『されど愛しきお妻様 -「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間』(講談社)、『「脳コワさん」支援ガイド』(医学書院)、『不自由な脳』(金剛出版)他多数。 與那覇 潤 Jun Yonaha 歴史学者。二〇一四年に双極性障害を発症し、休職を経て離職。自身の体験を踏まえた『知性は死なない』(文藝春秋)、『心を病んだらいけないの?』(斎藤環と共著、新潮選書)など。その他、『翻訳の政治学』(岩波書店)、『中国化する日本』(文藝春秋、後に文庫化)、『日本人はなぜ存在するか』(集英社、後に文庫化)など。他著書多数。 森 まゆみ Mayumi Mori 作家。季刊の地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を創刊し、地元の人々の聞き書きをベースにした雑誌づくりで地域コミュニティの活性化に貢献。『鷗外の坂』(新潮社)、『『青踏』の冒険:女が集まって雑誌をつくるということ』(平凡社)他著書多数。二〇〇七年、自己免疫疾患である原田病に罹患。『明るい原田病日記―私の体の中で内戦が起こった』(亜紀書房)、縮小社会研究会の松久寛氏との共著『楽しい縮小社会』(筑摩書房)を刊行。近著に『本とあるく旅』(産業編集センター)他。 丸山 正樹 Masaki Maruyama シナリオライターとして活動。頸椎損傷という重い障害を持つ妻と生活をともにするうち、さまざまな障害を持つ人たちと交流するようになる。次第に、何らかの障害を持った人の物語を書くことを模索。『デフ・ヴォイス』(文藝春秋)(『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』として文庫化(文春文庫))。『龍の耳を君に』(創元推理文庫)、『慟哭は聴こえない』(東京創元社)『刑事何森 孤高の相貌』(東京創元社)他著書多数。 川口 有美子 Yumiko Kawaguchi ALSに罹患した母の介護体験を記した『逝かない身体――ALS的日常を生きる』(医学書院)で二〇一〇年、第四十一回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。他に『末期を越えて』(青土社)、共編著に『在宅人工呼吸器ケア実践ガイド―ALS生活支援のための技術・制度・倫理』(医歯薬出版)などNPO法人さくら会副理事。
-
ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記
¥2,860
SOLD OUT
戦火の日々、記したのは、娘の成長と彷徨える人間の心。 日本の支配と戦争の只中も、慈しんだ家族の日常。祖国・韓国は日本の植民地下。独立を夢見て亡命した中国は日中戦争に突入。避難生活を余儀なくされた大韓民国臨時政府夫妻の姿を、我が子に希望を託す「子育て」の視点から綴った日記をグラフィックノベル化。赤ん坊の成長を主眼にしながら、日本軍の泥沼戦、先行きの見えない韓国同胞、泰然自若とした中国人の知られざる姿を繊細に描きだす。 「この地で、父親がこの子にしてあげられることは何か。一寸先は闇でしかな い今のこの家庭で、温かさと慈しみの心でひたすらこの子を守ってやること か? それとも父の選択を受け継がせ、運命だから受け入れろということか。 将来この子から、異国を彷徨い暮らした理由を尋ねられたら、独立を成し遂 げるという私たちの悲願を説明できるのだろうか。」 2018年ソウル図書館「今年の 10冊」/ 2019年韓国文化体育観光部優秀文化商品選出 [出版社より] 「もうひとつ、同じ世界の別の片隅に窓が開いた。何が同じで何が違うのか。同じところはまるでおんなじで愛おしく、違うところはわれわれが想像していたよりはるか遠くにまで広がっていた」 ——片渕須直(アニメーション映画監督) 著 者|パク・ゴヌン 原 案|ヤン・ウジョ、チェ・ソナ 訳 者|神谷丹路 出版社|里山社 定 価|2,600円+税 判 型|A5判・並製 頁 数|368 ISBN|978-4-907497-11-8 初 版|2020年7月 Author パク・ゴヌン 1972年ソウル生まれ。グラフィックノベル作家。弘益大学で絵画を専攻したのち、1997年からグラフィックノベルを描き始める。韓国現代史を扱う物語を描く作家として知られている。02年、非転向長期囚の屈曲した人生を描いた『花』で大韓民国出版漫画大賞新人賞、2014年、拷問に耐え抜いた80年代の民主化闘争家を描いた『獣の時間』で富川国際漫画大賞を受賞した。近作に、人民革命党事件の死刑囚8人を描いた『その年、春』(2018年)。近年の韓国社会で起きる社会問題を扱った風刺漫画『モンスター』(2020年)などがある。 Translator 神谷 丹路 Niji Kamiya 東京都生まれ。韓国語翻訳、日韓関係史研究。国際基督教大学在学中の81-82年に、韓国延世大学へ留学。訳書に、尹興吉『鎌』(安宇植との共訳・角川書店)、趙廷来『太白山脈』(安岡明子他との共訳・集英社)、児童書の翻訳も多く、『だまされたトッケビ』『よじはん よじはん』(いずれも福音館書店)など。著書に、『韓国 近い昔の旅 植民地時代をたどる』(凱風社)、『韓国歴史漫歩』(明石書店)、『近代日本漁民の朝鮮出漁』(新幹社)他。現在、早稲田大学、法政大学他で非常勤講師を勤める。
-
日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家・佐藤真の哲学
¥3,850
90~00年代、《日常》と《不在》にこだわり、潜む闇をじっくりとあぶり出したドキュメンタリー映画作家、佐藤真。公害問題と日常、障害とは、アートとは何か、グローバリゼーションに抗うこと、そして映像のもつ根源的な力とはーー。不穏な時代のうねりを前に「世の中を批判的に見る目を持て」と映像と文章で私たちの眠った感覚を刺激しました。 佐藤が世を去って9年。その仕事に着目した一冊の書籍が誕生します。影響を受けた人からともに歩んできた人まで、佐藤真に惹きつけられた32人の書き下ろし原稿とインタビュー、そして佐藤真の単行本未収録原稿を含む傑作選を収録。映像作家であり、90年代後半の類稀な思想家とも言うべき佐藤真の哲学を掘り下げ、今を「批判的に」見つめ、私たちの確かな未来への足場を探ります。 [出版社より] 著 者|佐藤真 装 丁|川名潤(Prigraphics) 出版社|里山社 定 価|3,500円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|576 ISBN|978-4-907497-03-3 初版|2016年3月 Contents 巻頭写真 阿賀 (撮影・笹岡啓子) 第1章 阿賀と日常 赤坂憲雄(民俗学)、平田オリザ(演出家)、想田和弘(映画作家)、森まゆみ(文筆家)、佐藤丹路(妻)、小林茂(映画監督)●佐藤真と盟友・小林茂の往復書簡 ※佐藤真の手紙を初収録 ●座談会 旗野秀人(『阿賀に生きる』発起人)×香取直孝(映画監督)×小林茂×山上徹二郎(シグロ代表) 第2章 生活を撮る 松江哲明(映画監督)、森達也(映画監督・作家)、原一男(映画監督)、佐藤澪(長女)、佐藤萌(次女) 第3章 芸術 椹木野衣(美術評論家)、秦岳志(映画編集) 第4章 写真と東京 飯沢耕太郎(写真評論家)、笹岡啓子(写真家)、諏訪敦彦(映画監督)●グラビア 佐藤真1990’s トウキョウ・スケッチ *佐藤真の東京スナップが蘇る! 構成・解説:飯沢耕太郎 第5章 不在とサイード 四方田犬彦(批評家)、大倉宏(美術評論家)、八角聡仁(批評家)、ジャン・ユンカーマン(映画監督)●インタビュー 阿部マーク・ノーネス(映画研究) 第6章 ドキュメンタリー考 港千尋(写真家、映像人類学者)●企画書「ドキュメンタリー映画の哲学」 第7章 佐藤真の不在 林海象(映画監督)⚫︎論考「佐藤真をめぐる8章」萩野亮(映画批評)●インタビュー 小林三四郎(佐藤真いとこ、配給会社・太秦代表取締役社長)⚫︎教え子座談会 石田優子(映画監督)×奥谷洋一郎(映画監督)×山本草介(映画監督)●ルポ「佐藤真のその先へ−—−—「佐藤真の不在」を上演するということ」村川拓也『Evellet Ghost Lines』 ●佐藤真年表 ●作品リスト Author 佐藤 真 Makoto Sato 1957年、青森県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。大学在学中より水俣病被害者の支援活動に関わる。1981年、『無辜なる海』(監督:香取直孝)助監督として参加。1989年から新潟県阿賀野川流域の民家に住みこみながら撮影を始め、1992年、『阿賀に生きる』を完成。ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭銀賞など、国内外で高い評価を受ける。以降、映画監督として数々の作品を発表。他に映画やテレビ作品の編集・構成、映画論の執筆など多方面に活躍。京都造形芸術大学教授、映画美学校主任講師として後進の指導にも尽力。2007年9月4日逝去。享年49。
-
はまゆりの頃に 三陸、福島 2011〜2013年
¥4,180
全488ページ。掲載写真453点。撮影人数のべ1200人。 2011〜2013年春。変化を続ける被災地、東北へ。〝よそ者〟33歳の写真家が迷い、考え、挑んだ、無謀かつ偉大な一期一会の記録。真っ向勝負の肖像写真453点と覚書き。 [出版社より] 「いまだ、あまりに記憶は生々しい。<そのとき>を振りかえる余裕など、きっとない。もしかすると、この写真集は<そのとき>からの時間を抱いて、思いがけぬ変容を遂げてゆくのかもしれない。だから、これは未来を抱いた写真集である、と呟いてみる」 ——赤坂憲雄 「写真家は人間と対峙するというより、静粛に寄り添い、両者の誠実で透明な反応がそこに現れ出ている」 ——伊藤俊治 「田代の写真は、「思い」を呼び寄せる。私たちは、そこに映し出された被災者の「表情」や「たたずまい」から、想像を喚起させられる」 ——中島岳志 「田代は、自分が写すポートレートの像主との間合いをつねに測っている。慎重だが臆病ではない距離の計測だ。ただひとつ「余所者」であることの位置だけが、忘れてはならない己の皮膚への文身のように、銘記されるかのようだ」 ——倉石信乃 「震災発生から逸早く被災現場に入ってカメラを向け、自らの正義と義務とを疑うことなくすぐさまメディアに載せて、写真に関わる者の社会的責任と職業を全うしたと考えることとの対極にある。田代一倫がこれから後、葛藤や戸惑いを失わないこともまた写真を撮り続けたことと重なり合って継続されていくことになる」 ——大島 洋 著 者|田代一倫 装 丁|鈴木成一デザイン室 出版社|里山社 定 価|3,800円+税 判 型|菊判・上製 頁 数|488 ISBN|978-4-907497-00- 初版|2013年11月 Author 田代 一倫 Kazutomo Tashiro 1980 年福岡県北九州市八幡生まれ。2006 年、地元、福岡の高校生のポートレートを撮影した初個展「浮憂世代」(新宿ニコンサロン・東京)で第8 回三木淳賞奨励賞を受賞。2006 年より、福岡市にて、写真家自身で運営するギャラリー< アジア フォトグラファーズ ギャラリー> の設立、運営に参加し、自身の故郷を撮影した「八幡」のシリーズを継続的に発表。2010 年に活動の拠点を東京に移し、で作品を発表している。本作の連続展覧会(東京、大阪、福岡、福島で開催)で、2013 年さがみはら写真新人奨励賞を受賞。2014年、愛知県美術館「これからの写真」展に出展、2016年、東京都写真美術館「日本の新進作家展 vol.13 東京」に出展。ほか写真集に『ウルルンド』(KURA)発売中。
-
井田真木子著作撰集 1
¥3,300
SOLD OUT
『プロレス少女伝説』『同性愛者たち』『かくしてバンドは鳴りやまず』を収録。井田真木子を知るにはまずここから。 44歳の若さでこの世を去ったノンフィクション作家、井田真木子。その主要作品が死後初めて復刊となります。大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した「プロレス少女伝説」、傑作「同性愛者たち」、遺作「かくしてバンドは鳴りやまず」他単行本初収録となるエッセイや処女詩集など。伝説の作家、井田真木子の真髄に触れる充実の著作集。 [出版社より] 著 者|井田真木子 装 丁|川名潤(Prigraphics) 出版社|里山社 定 価|3,000円+税 判 型|四六判 頁 数|576 ISBN|978-4-907497-01-9 初版|2014年7月 Contents ・『プロレス少女伝説』(90年かのう書房)〝心が折れる〟という言葉を生み出したプロレス・ノンフィクション不朽の名作。クラッシュギャルズ全盛期、女子プロレス界特有の慣習に馴染めず苦闘する、神取忍ほか不器用な3人の異邦人レスラーの成長を追いながら、日本固有の「ウチ」と「ソト」の感覚を浮き彫りにする。 ・『同性愛者たち』(94年文藝春秋)同性愛をカミングアウトする人も稀だった90年代初頭。「同性愛」を正面から世の中に問うた7人の男性同性愛者たちの青春群像劇。恋愛とセクシャリティの本質を問い直す傑作。 ・『かくしてバンドは鳴りやまず』(02年リトル・モア)トルーマン・カポーティとランディ・シルツ、カール・バーンスタインとボブ・ウッドワード他に迫ったノンフィクション作家論であり、井田の壮絶な人生論。 ・『池田大作 欲望と被虐の中で』テリー伊藤・佐高信著『お笑い創価学会』(光文社文庫)収録の創価学会論 ・19歳の頃の処女詩集『雙神の日課』、単行本初収録となる、俳優・本木雅弘の真実を探るルポほかエッセイ12篇! 別刷付録 解説:関川夏央/弔辞:柳田邦男/インタビュー:神取 忍 Author 井田 真木子 Makiko Ida 1956年7月19日神奈川県生れ。慶應義塾大学文学部哲学科卒。フリーライターを経て2冊目の著書となる『プロレス少女伝説』で91年大宅壮一ノンフィクション賞、92年『小蓮の恋人』で講談社ノンフィクション賞を受賞。その他同性愛者たち』『十四歳』『かくしてバンドは鳴りやまず』など。2001年3月14日肺水腫により死去。享年44歳。また2015年「デラックスプロレス」誌の連載を収録した『井田真木子と女子プロレスの時代』(イースト・プレス)が刊行。
-
井田真木子著作撰集 2
¥3,300
SOLD OUT
井田真木子の底力を知る傑作揃いの第2弾。 『小蓮の恋人』『ルポ十四歳』他貴重なインタビューも収録。 44歳の若さでこの世を去ったノンフィクション作家、井田真木子。その主要作品が死後初めて復刊となります。大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した「プロレス少女伝説」、傑作「同性愛者たち」、遺作「かくしてバンドは鳴りやまず」他単行本初収録となるエッセイや処女詩集など。伝説の作家、井田真木子の真髄に触れる充実の著作集。 [出版社より] 著 者|井田真木子 装 丁|川名潤(Prigraphics) 出版社|里山社 定 価|3,000円+税 判 型|四六判・並製本・ビニールカバー装 頁 数|592 ISBN|978-4-907497-02-6 初版|2015年3月 Contents ・『小蓮の恋人』(92年 文藝春秋刊 講談社ノンフィクション賞受賞作品) 関川夏央氏をして「端倪すべからざる作家を発見した』と言わしめた、完成度の高い作品。最高傑作という呼び声も高い。「恋愛」という小さな窓口から入り、中国残留孤児2世の置かれた現状を軸に、日中の戦後史が現代に落としている陰が見えてくる。 ・『十四歳 見失う親 消える子供たち』(98年 講談社刊) 援助交際という問題を、「子供版の遅れてきたバブル」と捉え、日本の戦後の躓きと、90年代の「団塊ジュニア世代」と呼ばれる中高生の間に漂う終末的空気が結びついていく。取材時女子高生だった主人公は、現在30代なかばから40歳前半で、団塊ジュニアの青春のダークサイドをテーマにしている本作は、上記世代に熱狂的支持を得ています。 ・『詩集 街』(77年 無限刊) 21歳の井田真木子2作目の詩集。抄録。寄稿に田村隆一氏、会田綱雄氏。 ・インタビュー「私は目」(リトルモア)/「世の中のキーワード崩すのがが私の仕事」(「ノンフィクションを書く!」) 井田真木子の特異な執筆スタイル、取材方法を語った貴重なインタビュー2本。 井田真木子はいかにしてノンフィクション作家となったのか。 また、どのように被写体の心の声を引き出したのか。 作家としての井田真木子の魅力と個性が鮮明になるインタビュー。ファン必読です! ・座談会「職業としてのノンフィクションライター」(「海燕」) (井田真木子+野村進+武田徹+岩上安身) 井田真木子がノンフィクション論を展開する座談会。 ノンフィクション界の中でも特異な存在感が露わになる。 ・エッセイ「平野啓一郎という人」ほか、本にまつわるエッセイ11篇 井田真木子の読書歴、本との付き合い方を綴るエッセイ 付録 解説:酒井順子「井田真木子というジャンル」 対談:飯窪成幸+白幡光明 元井田真木子担当編集者対談(文藝春秋) Author 井田 真木子 Makiko Ida 1956年7月19日神奈川県生れ。慶應義塾大学文学部哲学科卒。フリーライターを経て2冊目の著書となる『プロレス少女伝説』で91年大宅壮一ノンフィクション賞、92年『小蓮の恋人』で講談社ノンフィクション賞を受賞。その他同性愛者たち』『十四歳』『かくしてバンドは鳴りやまず』など。2001年3月14日肺水腫により死去。享年44歳。また2015年「デラックスプロレス」誌の連載を収録した『井田真木子と女子プロレスの時代』(イースト・プレス)が刊行。
-
どこにでもあるどこかになる前に。〜富山見聞逡巡記〜
¥2,090
SOLD OUT
地方都市に住む人、出た人、愛する人へ捧ぐ、Uターン者による〝第二の青春〟エッセイ。 新幹線も開通し、コンパクトシティをうたう再開発で、一見、開かれた町になった富山市中心部。だが郷愁と個性を失いどこにでもありそうな姿になった町に、08年、30歳直前でUターンしたライター、藤井聡子は戸惑いを覚える。見た目は「開かれて」いても結婚出産を迫る閉鎖的価値観は相変わらず。閉塞感に抗い、失われる町を記録しようとミニコミを作り始めた彼女は、迷い、傷つき、悩みながらも個性的な富山県民に出会い、第2の青春を見つけていく。 [出版社より] 「生きていく場所を見つけること、生きてきた場所を愛すること。つまずいたり、離れたくなったり、それでも、出会える、話したい、伝えたい、――街で暮していく思いが、こんなにもまるごと書かれている。今読めてよかった」 −−柴崎友香[小説家] 著者|藤井聡子 出版社|里山社 定価|1,900円+税 判型|四六判 ページ数|216 ISBN|978-4-907497-09-5 初版|2019年10月 Contents プロローグ 失われた「寂しい富山」 第1章 迷走上京物語 第2章 都落ち・独身・アラサー女の憂鬱 第3章 個として生きるシンボル、総曲輪(そうがわ)ビリヤード 第4章 「富山、めっちゃおもしーから」 第5章 開かれた異界としてのドライブイン、日本海食堂 第6章 新世代カルチャー産む西別院裏、長屋界隈 第7章 ワイルドサイドゆくブルースシンガー、W.C.カラス 第8章 拝啓、フォルツァ総曲輪様 第9章 ここでしか会えない人 長めのエピローグ 曇り空の下で。 Author 藤井聡子 Satoko Fujii 1979 年富山市生まれ。東京で雑誌編集者として勤務後、帰郷。ピストン藤井のペンネー ムで、富山ならではの個性の強い場所や人を探るライター活動を開始。2013 年ミニコミ『文藝逡巡 別冊 郷土愛バカ一 代!』を刊行。話題を集め、地元テレビやラジオへ活動を広げる。「まんまる」(北日本新聞社) で映画コラム連載中。本書が初の単行本となる。
-
みぎわに立って
¥2,090
SOLD OUT
熊本には、心を休ませてくれる橙書店がある。 熊本地震後、新しい橙書店で紡ぐ変わらない日常。 映画の感想を伝えにくる人、泣きにくる人、北海道から葉っぱを送ってくれる人……。作家の渡辺京二、坂口恭平、詩人の伊藤比呂美、時には猫や鳩まで。チェーン店による画一化が進むなか、一人一人にやすらぎを与えてくれる熊本のカフェ兼本屋、橙書店には全国からファンが訪れる。2016 年4 月の熊本地震で、店は一部損傷。店主は新しい店舗への移転を決める。変わらぬ日常を作り出そうと静かな強い意志をもつ彼女のもとに、いつもの客が集い、新しい店で日々が始まっていく。橙書店の365 日を綴る掌編エッセイ集。 「好きか嫌いかどちらか。それは、うちの店の本棚も同じだ。どの本も欲しくなる、と言う人もいれば、居たたまれない感じで眺めまわして、そそくさと帰る人もいる。誰にでもひらけている本屋の存在も大切だが、自分ではできない。扉を開けて入ってくる幾人かの心にはきちんと響いてほしい、ただそう思って本を並べている。」 [出版社より] 著 者|田尻久子 出版社|里山社 定 価|1,900円+税 判 型|四六変型判 頁 数|176 ISBN|978-4-907497-08-8 初版|2019年3月 Author 田尻久子 Hisako Tajiri 1969 年熊本県生まれ、熊本県在住。橙書店・オレンジ店主。『アルテリ』責任編集者。会社勤めを経て01 年喫茶店orange を、08 年橙書店を開店。16 年熊本発の文芸誌『アルテリ』を創刊。17 年第39 回サントリー地域文化賞受賞。著書に『猫はしっぽでしゃべる』(ナナロク社)がある。
-
ジェンダー写真論 1991-2017
¥2,970
女性やLGBT の写真家、現代アート作家はいかに社会と対し、表現してきたかを探るテキスト・決定版。 「フェミニズムとは究極的には「愛」なのではないか。それぞれの多様さ、曖昧さを引き受けながら、いかに理解し合えるか」 女性やLGBT の写真家、現代美術作家たちはどのように社会と対峙したか。東京都写真美術館の学芸員としてジェンダーの視点から写真、現代美術と社会の関わりを問い続けたパイオニアである著者の、1991 〜 2017年にかけてのテキストを豊富な図版と共に収録。 フェミニズム、ジェンダーの歴史を丁寧に解説しながらダイアン・アーバス、ロバート・メイプルソープ、シンディ・シャーマン、トリン・T・ミンハ、石内都、森栄喜、やなぎみわ、鴻池朋子他のアーティストたちの格闘を通して、社会におけるジェンダーの問題に鋭く迫る。 [出版社より] 著者|笠原美智子 出版社|里山社 定価|2,700円+税 判型|四六判 ページ数|416 ISBN|978-4-907497-07-1 初版|2018年2月 Contents 【世界篇】 民族とセクシュアリティ セルフ・ポートレイトで規制の女性イメージを解体する イモジェン・カニンハム/シンディ・シャーマン/リディア・スハウテン/ビー・ネトルス/ジュディ・データー/ジュディス・ゴールデン/カタリーナ・シーバディング/スーザン・ヒラー/パティ・レヴィ/ヘレン・チャドウィック/バーバラ・デジェネヴェーヴ/スーザン・カエ・グラント/リサ・カネモト/ソニア・ランディ・シェリダン/リタ・ドーウィット/ナン・ゴールディン/アン・ノグル ダイアン・アーバス小論 病と老いを克服する写真 ジョー・スペンス/ハンナ・ウィルケ “ヌード写真”から身体を解放せよ E・J・ベロック/神蔵美子/岡田裕子/アルフレッド・スティーグリッツ/古屋誠一/ロバート・メイプルソープ/キャサリン・オピー/イトー・ターリ/ジーン・フレイザー/リン・ビアンキ/小川隆之/メアリー・ダフィ/ジーン・ダニング/大塚勉 エイズをめぐる表象 ウィリアム・ヤン/AAブロンソン/ロバート・メイプルソープ/ピーター・フジャー/デヴィッド・ヴォイナロヴィッチ/エルヴェ・ギベール/フェリックス・ゴンザレス=トレス 人種、階級とジェンダー キャリー・メイ・ウィームス/ローナ・シンプソン/ミトラ・タブリジアン/嶋田美子/マスミ・ハヤシ/劉虹/マリ・マール/トリン・T・ミンハ アナ・メンディエタが示した多文化アメリカの可能性 インドの変化し続ける写真家、ダヤニータ・シン 【日本篇】 戦後と高度経済成長とジェンダー 石内都に見る戦後日本の「記憶」 日本現代美術における女による女のセクシュアリティ再考 溝口彰子/イケムラレイコ/綿引展子/岡田裕子/出光真子/嶋田美子/澤田知子/イチハラヒロコ/オノデラユキ/鴻池朋子 やなぎみわ作品にみる現代日本女性の意識 わたしたちの身体はまだ“戦場”のままか 横溝静/塩崎由美子/澤田知子/朝海陽子/高橋ジュンコ/横溝静/志賀理江子 森栄喜の拡大家族 「失われた20 年」と女性写真家の表現 大野千野/田口和奈/菊地智子/蔵真墨/笹岡啓子 囚われの荒木 荒木経惟 Author 笠原美智子 Michiko Kasahara 1957 年長野県生まれ。83 年明治学院大学社会学部社会学科卒業。87 年シカゴ・コロンビア大学大学院修士課程修了(写真専攻)。東京都写真美術館、東京都現代美術館にて学芸員を務め、現職は公益財団法人石橋財団ブリヂストン美術館副館長。日本で初めてのフェミニズムの視点からの企画展「私という未知へ向かって 現代女性セルフ・ポートレイト」展(91 年)を皮切りに、ジェンダーの視点からの企画展示を多数企画。著書に『ヌードのポリティクス 女性写真家の仕事』(筑摩書房、98 年)、『写真、時代に抗するもの』(青弓社、02 年)他。
-
早春スケッチブック
¥1,980
SOLD OUT
強烈なセリフで人生に迷う若者を揺さぶり続ける、アフォリズムの宝庫。 山田太一の名作シナリオをペーパーバックで復刊したシリーズ第1弾。 ▪️「早春スケッチブック」(1983年1月7日〜3月25日 フジテレビ系列) 「お前らは、骨の髄まで、ありきたりだ」 漫然と生きる人生を真っ向から否定する主人公の強烈なセリフが胸を突く、山田ドラマの傑作。連れ子同士の再婚ながら平穏な生活を送っていた4人家族のもとへ、突然現れた実の父親・竜彦。死期が迫り、実の子と元妻に想いを募らせながらも、彼らの平凡な日常を唾棄するように強烈な言葉を浴びせる。 「日本のテレビドラマ史上における金字塔だと思います」 ——大根仁[映像ディレクター] ▪️「春日原まで一枚」(1974年2月17日 「東芝日曜劇場」RKB毎日放送) 45分という短い尺のなかに、吃音をもった青年の人生を凝縮した、山田太一の手腕が冴える一本。ファンの間で語り継がれる「知る人ぞ知る」名作。鬱屈を抱え、どこか人生を諦めていた青年とその父親。だが、青年が福岡県大牟田線の「春日原(かすがばる)」という駅名を発語できなかったという小さな出来事を機に、二人はそれぞれ、自分の人生の限界に挑んでいく。 [出版社より] 著 者|山田太一 装 丁|マッチアンドカンパニー(町口覚+浅田農) 出版社|里山社 定 価|1,800円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|400 ISBN|978-4-907497-04-0 C0074 初 版|2016年12月 Author 山田 太一 Taichi Yamada 1934年、東京浅草生まれ。早稲田大学卒業後、松竹大船撮影所入社。演出部で木下惠介監督の助監督に。65年、 脚本家として独立。「岸辺のアルバム」「男たちの旅路」「早春スケッチブック」「想い出づくり」「ふぞろいの林檎たち」など数多くの 名作テレビドラマを手がける。88年、長編小説「異人たちとの夏」で山本周五郎賞、2014 年、エッセイ集「月日の残像」で小林秀雄賞を 受賞。著書に「飛ぶ夢をしばらく見ない」「終りに見た街」「空也上人がいた」他多数。戯曲に「日本の面影」「黄金色の夕暮」他多数。 2014年、河出書房新社より「文藝別冊 山田太一」、文庫「山田太一エッセイコレクション」全3巻を刊行。
-
想い出づくり
¥2,200
現代恋愛ドラマのバイブル的作品。適齢期の女性の心の揺れをていねいに追った群像劇 山田太一の名作シナリオをペーパーバックで復刊したシリーズ第2弾。 ▪️「想い出づくり」(1981年10月9日〜1982年3月26日放映 TBS系列) 「なんかひとりの時の、すっごくいい想い出欲しい」 適齢期を迎えた女性3人が、重圧と焦燥のなかで自分らしい生き方を模索していく、「ふろぞいの林檎たち」の原型となった女性3人の群像劇。 岡田惠和(脚本家)「バイブルみたいなものです。すべてのことをこのドラマから学ばせていただきました」 ▪️「いちばん綺麗なとき」(1999年1月23日放映 NHK) 夫を亡くし、5年が経った女のもとに、自分の夫の愛人だったという女性の夫が訪れ、女性の日記から過去の2人の心情を知ってしまう。しだいに遺され、裏切られた者同士の奇妙な感情が芽生え始める。だがそこへ女の義姉が現れ、二人の関係を糾弾する。老年に差し掛かった3人の男女の切実な想いを赤裸々に描いた名作。 [出版社より] 著 者|山田太一 装 丁|マッチアンドカンパニー(町口覚+浅田農) 出版社|里山社 定 価|2,000円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|472 ISBN|978-4-907497-05-7 初 版|2016年12月 Author 山田 太一 Taichi Yamada 1934年、東京浅草生まれ。早稲田大学卒業後、松竹大船撮影所入社。演出部で木下惠介監督の助監督に。65年、 脚本家として独立。「岸辺のアルバム」「男たちの旅路」「早春スケッチブック」「想い出づくり」「ふぞろいの林檎たち」など数多くの 名作テレビドラマを手がける。88年、長編小説「異人たちとの夏」で山本周五郎賞、2014 年、エッセイ集「月日の残像」で小林秀雄賞を 受賞。著書に「飛ぶ夢をしばらく見ない」「終りに見た街」「空也上人がいた」他多数。戯曲に「日本の面影」「黄金色の夕暮」他多数。 2014年、河出書房新社より「文藝別冊 山田太一」、文庫「山田太一エッセイコレクション」全3巻を刊行。
-
男たちの旅路
¥2,420
鶴田浩二主演。「車輪の一歩」「シルバーシート」ほか、時代を経ても社会を揺さぶる名作。 山田太一の名作シナリオをペーパーバックで復刊したシリーズ第3弾。 ▪️「男たちの旅路」(1976年2月28日〜1979年11月24日放映 NHK) 「いいか、君たちは弱いんだ。それを忘れるな」特攻隊の生き残りの警備員、吉岡司令補(鶴田浩二)の叱咤に痺れる大ヒットシリーズ。テレビドラマで車椅子で生活する人々の問題を主軸に取り上げ、世に問うた記念碑的作品「車輪の一歩」や、「若い奴の世話になんかなりたくない」という老人ホームの老人たちの抵抗を描く「シルバーシート」など名作揃いのシリーズ。 ▪️「終りの一日」(1975年9月7日放映 北海道放送) 戦争未亡人の女性教師が教師生活を終える。人知れず切々とした想いを溢れさせる女性の姿が胸を打つ名作。 [出版社より] 著 者|山田太一 装 丁|マッチアンドカンパニー(町口覚+浅田農) 出版社|里山社 定 価|2,200円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|552 ISBN|978-4907497-06-4 初 版|2017年1月 Author 山田 太一 Taichi Yamada 1934年、東京浅草生まれ。早稲田大学卒業後、松竹大船撮影所入社。演出部で木下惠介監督の助監督に。65年、 脚本家として独立。「岸辺のアルバム」「男たちの旅路」「早春スケッチブック」「想い出づくり」「ふぞろいの林檎たち」など数多くの 名作テレビドラマを手がける。88年、長編小説「異人たちとの夏」で山本周五郎賞、2014 年、エッセイ集「月日の残像」で小林秀雄賞を 受賞。著書に「飛ぶ夢をしばらく見ない」「終りに見た街」「空也上人がいた」他多数。戯曲に「日本の面影」「黄金色の夕暮」他多数。 2014年、河出書房新社より「文藝別冊 山田太一」、文庫「山田太一エッセイコレクション」全3巻を刊行。