-
世代とは何か
¥2,530
地球規模の危機を乗り越え、未来を確かなものにするために、わたしたちは何をすべきか——。 巨大な危機に直面したいま、私たちは「古いやり方」に立ち戻る必要がある、とインゴルドは唱える。、脈々と紡がれてきた「知恵」とは、いったいどのようなものだろうか? ティム・インゴルド思想のエッセンスを総動員して語られる、希望の書。 「ティム・インゴルドは、私たちが直面している惑星規模の危機に対処するために、世代をめぐる考え方をひっくり返そうとします。そのために、複数の世代が祖先の道に沿ってともに生き、ともに働くことによって、自らと子孫たちにとっての未来を確かなものにするという失われてしまった考えを、私たちのうちに再び取り戻そうとするのです」(奥野克巳/訳者) [出版社より] 「生者は死者と未来の他者を、同じテーブルに呼び集めて、対話しなければならない。」 ——中島岳志(政治学者) 著 者|ティム・インゴルド 訳 者|奥野克巳・鹿野マティアス 出版社|亜紀書房 定 価|2,300円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|242+カラー2頁 ISBN |978-4-7505-1858-9 発 行|2024年10月 Contents 日本の読者のみなさまへ まえがき 第1章 世代と生の再生 親子関係 系譜学的モデル 相続と持続性 第2章 人の生涯[ライフコース]をモデル化する 年を取り、子をなす 歴史の天使 釣鐘曲線 生と死 第3章 道を覚えていること 薄層で覆われた地面 過去からの道 アーカイブからアナーカイブへ 懐かしむこと 第4章 不確実性と可能性 呪いを解く くぐり抜けながらおこなう 注意の構造 驚愕と感嘆 第5章 喪失と絶滅 種のカタログ 子をなすことの系譜 人種と世代 保全と、ともに生きること[コンヴィヴィアリティ] 第6章 人類を再中心化する 人間を超えて、人間する[ヒューマニング] 例外主義の告訴 進歩と持続可能性 群れとタービンについて 第7章 教育のやり方 学究的な姿勢 理性と応答可能性 新しい人々、古いやり方 知恵と好奇心 第8章 科学技術の後に STEMからSTEAMへ 科学とアーツ デジタル化と手先仕事 結び 解説に代えて 原注 Author ティム・インゴルド Tim Ingold 1948年イギリス・バークシャー州レディング生まれの人類学者。1976年にケンブリッジ大学で博士号を取得。1973年からヘルシンキ大学、マンチェスター大学を経て、1999年からアバディーン大学で教えている。『ラインズ──線の文化史』(2014年、左右社)、『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』(2017年、左右社)、『ライフ・オブ・ラインズ──線の生態人類学』(2018年、フィルムアート社)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『生きていること』(2021年、左右社)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)などがある。 Translator 奥野 克巳 Katsumi Okuno 立教大学異文化コミュニケーション学部教授。著作に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(2018年、亜紀書房)、『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』(2022年、辰巳出版)、『人類学者K』(2022年、亜紀書房)など多数。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える──人間的なるものを超えた人類学』(2016年、亜紀書房)、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ──シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(2018年、亜紀書房)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)。 鹿野 マティアス Matthias Shikano 翻訳家・ライター。本業では、動物遺体を運ぶ特殊運搬業に携わる。将来は文化人類学者を目指している。
-
所有と分配の人類学
¥1,650
これは「わたしのもの」ではなかったのだろうか。 調査地でのある出来事から、私的所有の感覚がゆらぐ経験をした著者は、所有への違和感を抱きつつエチオピアの農村へ向かう。畑を耕す牛、畑になる穀物、台所道具、生活する人々など、ミクロなものに目を向けて調査していくなかで見えてきたものとは? 作物は頻繁に分配され、持てる人から貧しい人に与えられる。土地を所有することと利用することの関係。国家による「土地」のコントロール。様々な角度から私的所有をめぐる謎を掘り下げていく。気鋭の文化人類学者による鮮烈なデビュー作。 [出版社より] 著 者|松村圭一郎 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,500円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|480 ISBN|9784480512000 発 行|2023年11月 Contents 序論 所有と分配の人類学 多民族化する農村社会 第1部 富をめぐる攻防 土地から生み出される富のゆくえ 富を動かす「おそれ」の力 分配の相互行為 所有と分配の力学 第2部 行為としての所有 土地の「利用」が「所有」をつくる 選ばれる分配関係 せめぎあう所有と分配 第3部 歴史が生み出す場の力 国家の所有と対峙する 国家の記憶と空間の再構築 歴史の力 結論 所有を支える力学 Author 松村 圭一郎 Keiichiro Matsumura 1975年熊本生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『くらしのアナキズム』『小さき者たちの』『うしろめたさの人類学』(第72回毎日出版文化賞特別賞、いずれもミシマ社)など。
-
文化人類学の思考法
¥1,980
SOLD OUT
あたりまえを疑う。言うは易しだが、これが思うようにできない。手ぶらでやろうとすると気づかぬうちにかつての「あたりまえ」のなかに囚われてしまう。生活のあたりまえ、男女のあたりまえ、会社や仕事のあたりまえ、経済や文化のあたりまえ、国家のあたりまえが劇的に変わっていこうとしているなか、これまでの「あたりまえ」から出ていくためには、優れた道具が必要となる。 文化人類学は「これまでのあたりまえ」の外へと出ていくための「思考のギア(装備)」だ。本書はその最先端の道具が一式詰まった心強い「道具箱」だ。こんなに「使える」本は滅多にない。ビジネスマンからクリエイター、学生まで、下手な実用書を買うくらいなら、これを常備しておくことをおすすめする。 ——WIRED日本版元編集長・若林恵氏 編 者|松村圭一郎・中川理・石井美保 出版社|世界思想社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|224 ISBN|978-4790717331 初 版|2019年04月 Contents はじめに すべての考える人のために 序 論 世界を考える道具をつくろう (松村圭一郎・中川理・石井美保) 第I部 世界のとらえ方 1 自然と知識――環境をどうとらえるか?(中空 萌) 2 技術と環境――人はどうやって世界をつくり、みずからをつくりだすのか(山崎吾郎) 3 呪術と科学――私たちは世界といかにかかわっているのか(久保明教) 4 現実と異世界――「かもしれない」領域のフィールドワーク(石井美保) 第II部 価値と秩序が生まれるとき 5 モノと芸術――人はなぜ美しさを感じるのか?(渡辺 文) 6 贈り物と負債――経済・政治・宗教の交わるところ(松村圭一郎) 7 貨幣と信用――交換のしくみをつくりだす(深田淳太郎) 8 国家とグローバリゼーション――国家のない社会を想像する(中川 理) 9 戦争と平和――人はなぜ戦うのか(佐川 徹) 第III部 あらたな共同性へ 10 子どもと大人――私たちの来し方、行く先を見つめなおす(高田 明) 11 親族と名前――関係している状態をつくるもの(髙橋絵里香) 12 ケアと共同性――個人主義を超えて(松嶋 健) 13 市民社会と政治――牛もカラスもいる世界で(猪瀬浩平) 参考文献 もっと学びたい人のためのブックガイド 索 引 ○コラム 1 認識人類学の展開 分けることと名づけること(中空 萌) 2 ブルーノ・ラトゥール STSと人類学(山崎吾郎) 3 スタンレー・タンバイア 呪術・科学・宗教(久保明教) 4 合理性論争(石井美保) 5 岡本太郎 境界線を吹き飛ばす爆発(渡辺 文) 6 マルセル・モース 贈与論のその先へ(松村圭一郎) 7 貨幣の多義性(深田淳太郎) 8 フーコー権力論と人類学(中川 理) 9 日常的暴力と日常的平和(佐川 徹) 10 生業と子育て(高田 明) 11 あらたな親族研究の潮流(髙橋絵里香) 12 民族誌、実践誌、人類学(松嶋 健) 13 デヴィッド・グレーバー アナキズムと人類学(猪瀬浩平) Editor 松村 圭一郎 Keiichiro Matsumura 岡山大学大学院文学部准教授。フィールドは、エチオピア、中東。研究テーマは、所有と分配、経済人類学。著書に『所有と分配の人類学』(世界思想社)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)。 中川 理 Osamu Nakagawa 立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。フィールドは、フランス。研究テーマは、市場・国家・周縁性の民族誌。著書に『移動する人々:多様性から考える』(晃洋書房、共編著) 石井 美保 Miho Ishii 京都大学人文科学研究所准教授。フィールドは、タンザニア、ガーナ、インド。研究テーマは、宗教実践、環境運動。著書に『精霊たちのフロンティア』(世界思想社)、『環世界の人類学』(京都大学学術出版会)。
-
土偶を読む図鑑
¥1,980
SOLD OUT
土偶はフィギュア!? 見てナットク土偶図鑑。 NHK総合1 歴史探偵「縄文レボリューション」に著者・竹倉氏出演! 2021年4月に晶文社より刊行された書籍、『土偶を読む』(著/竹倉史人)のユニークな新説(土偶は植物や貝類をかたどったフィギュアである)を、豊富な写真やイラストで読み解くビジュアル図鑑です。 竹倉説の証拠となる10種の土偶(ハート形土偶/中空土偶/合掌土偶/山形土偶/結髪土偶/刺突文土偶/星形土偶/みみずく土偶/遮光器土偶/縄文のヴィーナス)に加えて、『土偶を読む』には載らなかった国宝、重要文化財の土偶を多数掲載。本書で初めて言及される最新の竹倉説で読み解く土偶も収録します。 同年7月には北海道と北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に登録され、縄文時代や土偶に注目が集まっています。妊娠した女性を象ったとされる従来の土偶論を覆し、考古学者も驚愕した竹倉説を楽しみつつ、縄文人の美意識に触れる「アートブック」としても手にとっていただきたい一冊です。 [出版社より] 著 者|竹倉史人 出版社|小学館 定 価|1,800円+税 判 型|B24取判・並製 頁 数|108 ISBN|9784096823965 初 版|2022年04月 Contents 第1章 縄文時代基礎知識 土偶が作られた縄文時代とは何かをおさらいします。 ・全国土偶出土マップ ・土偶年代別グラフ ・各期の土偶 ・縄文人の生活様式 ・植物利用と土偶 ・マンガ「縄文脳インストール作戦」 第2章 竹倉流土偶の読み方 自身の土偶論を豊富な図版とともに解説します。 ・堅果類モチーフの土偶(ハート形土偶と類例/中空土偶/合掌土偶) ・貝類モチーフの土偶(椎塚土偶と類例/星形土偶/みみずく土偶と類例) ・穀類モチーフの土偶(結髪土偶と類例/刺突文土偶と類例) ・イモ類モチーフの土偶(遮光器土偶と類例) ・複数モチーフの土偶(縄文のビーナスと類例) 第3章 新発見の竹倉土偶論 『土偶を読む』の出版後、新たに発見した土偶のモチーフを考えます。 ・縄文の女神/仮面の女神/バンザイ土偶/大型板状土偶/立像土偶/土偶頭部/土偶形容器 コラム「土偶よもやま噺」 ・土偶と埴輪って何が違うの? ・フィギュアの素材は土の他にもある!? ・縄文人は動物もフィギュアにしていた!? ・文化人をも魅了した土偶があった!? ・「子抱き土偶」の驚きの新解釈!! ・「パンツ」は土壌を表していた!? ・フィギュアは世界にもあった! Author 竹倉史人 Fumito Takekura 1976年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科中退を経て、東京大学教養学部文科III類に入学。東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業後、フリーター、自営業、会社役員などを経験。2019年東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程満期退学。専門は宗教人類学。著書に『輪廻転生―<私>をつなぐ生まれ変わりの物語』(講談社現代新書、2015)
-
送別の餃子 中国・都市と農村肖像画
¥1,980
SOLD OUT
中国の北方では、人々は別れの時に、手作りの水餃子を囲んでその別れを惜しむという。 自身の研究分野を「民族音楽学」に決めた著者が選んだ調査地は中国の農村。1988年、文化大革命後に「改革開放」へと舵をきった中国で、右も左もわからぬまま「研究」への情熱と未知なる大地へのあこがれだけで、彼女のフィールド調査がはじまった。 中国の都市や農村での調査をきっかけにさまざまな出会いがあった。「怖いものはない」という皮肉屋の作家、強烈な個性で周囲の人々を魅了し野望を果たす劇団座長、黄土高原につかの間の悦楽をもたらす盲目の芸人たち……「親切な人」とか「ずる賢い人」といった一言では表現できない、あまりにも人間臭い人々がここにはいる。それぞれの物語で描かれている風土と生命力あふれる登場人物に心うごかされ、人の心のありようについて考えてみたくなる。 1988年以降の中国という大きな舞台を駆け巡った数十年間には無数の出会いと別れがあった。その中から生まれた14の物語をつづったエッセイを、40以上のイラストとともにお届けします。 イラスト=佐々木優(イラストレーター)。 [出版社より] 著 者|井口淳子 出版社|灯光舎 定 価|1,800円+税 判 型|A5変型版/並製 頁 数|224 ISBN|978-4-909992-01-7 初 版|2021年10月 Contents はじめに 序 まだはじまっていないころのお話 Ⅰ 河北省編 第一章 老師的恋 第二章 北京の女人 第三章 ゆりかごの村 第四章 占いか、はたまた芸人か Ⅱ 黄土高原編 第五章 雨乞いの夏 第六章 村の女たち、男たち 第七章 黄河治水局のおじさん 第八章 尿盆(ニァオペン) 第九章 人生も戯のごとく Ⅲ 番外編 第一〇章 頑固じいさんと影絵芝居 第一一章 かくも長き一八年 第一二章 パリの台湾人 第一三章 想家(シァンジァー) 第一四章 人を信じよ! あとがき 参考文献 Author 井口 淳子 Junko Iguchi 専門は音楽学、民族音楽学。大阪音楽大学音楽学部教授。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得、文学博士。主な研究テーマは中国の音楽・芸能、近代アジアの洋楽受容。 主な著書に『亡命者たちの上海楽壇 ― 租界の音楽とバレエ』2019年、音楽之友社。『中国北方農村の口承文化―語り物の書・テキスト・パフォーマンス』1999年、風響社など。
-
世界の服飾文様図鑑
¥2,640
SOLD OUT
生活に根差した文様は、実に様々なことを物語る。立場やコミュニティ、季節感、願い、祈り、アイデンティティなど。オールカラーの豊富な図版で、文様が表す意味などをわかりやすく解説。 衣服や生活の中の布に表された文様には、立場やコミュニティ、季節や身近な生きもの、願いや祈りなど人が生きていく営みの中で意識されるさまざまなことが含まれます。基礎知識からそれぞれの文様に込められた意味や文化的背景まで、世界各地より集めたオールカラーの豊富な図版で紹介しています。 [出版社より] 著 者|文化学園服飾博物館 出版社|河出書房新社 定 価|2,400円+税 判 型|A5判・並製 頁 数|192 ISBN|978-4-309-25581-1 発 行|2017年07月 Contents 第1章 知っておきたい基礎知識 文様事始め 文様を表す染色の技法/身分や立場を表す文様/コミュニティ・アイデンティティーを表す文様/魔よけや幸福への願いを込める文様/補強や保温のための文様/この本に登場する衣服の紹介 第2章 ボタニカルモチーフ チューリップ/桜/小花/牡丹/バラ/百合/リラ/アカンサス/朝顔/撫子・カーネーション/蓮/秋草/菊/椿/松竹梅/果実/ザクロ/椰子/唐辛子/バダム/コーラナッツ/月桂樹とオリーブ/糸杉/生命の樹/欄/八弁開花文/花束/フェストゥーン/エキゾチックな花 第3章 アニマルモチーフ 神格化された生き物/鶴・亀/蝶/蜻蛉/サソリ/ムカデ/百歩蛇/魚/海老/ワニ/虎/犬/羊/牛/馬/兎/鹿/象/孔雀/雁/カササギ/サイチョウ/コンドル/雉/鳩/蝙蝠 第4章 ナチュラルモチーフ 波/雷/雲/滝/アチェイ/川/流水/雨/太陽/月・星/森/風景 第5章 物語や出来事、思想を描く 物語/能楽/中国の言い伝え/幸運の兆し/歴史/宗教 第6章 暮らしの中の文様 魔よけ/子供の成長を祈る/王朝風/昔の暮らしを思いおこさせるもの/変わらぬ日常/仰ぎみる建物/新しい暮らし Author 文化学園服飾博物館 学校法人文化学園を母体とする日本では数少ない服飾専門の博物館。生活に欠かせない「衣」をテーマとした大学附属の博物館として、学術研究資料の目的で収集された衣服や染織品などを広く社会一般にも公開している。
-
絡まり合う生命
¥2,200
もうすぐ絶滅する人類のために——。 狩猟に疲れ、ボルネオの闇夜の森で微睡(まどろ)む人類学者は、寝袋を這うアリたちの足音を確かに聴き、自分がアリの世界の一員となったと感じる……。 「この世界は人間だけのものではない」という深い実感から出発し、動物、死者、そして生命そのものへと向かう全く新しい人類学の探求が幕を開ける。 ボルネオの森から、多種的世界とアニミズムを経て、「生命とは何か」という根源的な問いへ。インゴルド、コーン『森は考える』、ウィラースレフ『ソウル・ハンターズ』、アナ・チン『マツタケ』ら最新の人類学の議論を積極的に吸収しつつ、人類学の新たな可能性が展開される。 世界の覇者を自認してあらゆるものを食い尽くし、絶滅の淵に立つ人類に、世界観の更新を迫る、壮大な「来たるべき人類学」の構想。 [出版社より] 著 者|奥野克巳 出版社|亜紀書房 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|376 ISBN|978-4-7505-1724-7 初 版|2021年12月 Contents 序論 平地における完全なる敗者 第1部 アニマルズ 第1章 鳥たち 第2章 リーフモンキーの救命鳥 第3章 2でなく3、 そして4 第4章 ネコと踊るワルツ 第2部 スピーシーズ 第5章 多種で考える――マルチスピーシーズ民族誌の野望 第6章 明るい人新世、暗い人新世 第7章 人間以上の世界の病原体 第8章 菌から地球外生命体まで 第3部 アニミズム 第9章 人間だけが地球の主人ではない 第10章 科学を凌ぐ生の詩学 第11章 ぬいぐるみとの対話 第4部 ライフ 第12章 考える森 第12章補論 考える、生きる 第13章 記号生命 第14章 バイオソーシャル・ビカミングス――ティム・インゴルドは進化をどう捉え、どう超えたか 終章 人類の残された耐用年数――厚い記述と薄い記述をめぐって あとがき 参考文献 Author 奥野 克巳 Katsumi Okuno 立教大学異文化コミュニケーション学部教授。1962年生まれ。20歳でメキシコ・シエラマドレ山脈先住民テペワノの村に滞在し、バングラデシュで上座部仏教の僧となり、トルコのクルディスタンを旅し、インドネシアを一年間経巡った後に文化人類学を専攻。1994~95年に東南アジア・ボルネオ島焼畑民カリスのシャーマニズムと呪術の調査研究、2006年以降、同島の狩猟民プナンとともに学んでいる。 著作に、『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』、『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(以上、亜紀書房)、『マンガ人類学講義』など多数。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える』、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ』、ティム・インゴルド著『人類学とは何か』(以上、亜紀書房)など。
-
生きていること——動く、知る、記述する
¥4,950
人類が生きることを取り戻すために——。 ひとが生きるということ、それはこの世界の終わりなき流動のなかに身を置き、世界を変えながら自らも変わり続けてゆくことだ。芸術・哲学・建築などのジャンルと人類学の交わるところに、未知の学問領域を切り拓いてきたインゴルド。その探究を凝縮する主著、待望の邦訳。 [出版社より] 「生きることと知ることは完全にひとつになる。この本を読めばそれがわかる」 ──大澤真幸(社会学者) 「あなたの生に出逢うため、世界という命に己を浸せ。そして「共に」運動せよ」 ──磯野真穂(文化人類学者) 「この本で人類学は、これからのデザインの視座になった」 ──佐藤卓(デザイナー) 著 者|ティム・インゴルド 訳 者|柴田崇・野中哲士・佐古仁志・原島大輔・青山慶・柳澤田実 出版社|左右社 定 価|4,500円+税 判 型|四六判 頁 数|604 ISBN|978-4-86528-037-1 初版|2017年11月 Contents 序文、および謝辞 プロローグ1 生に還る人類学 第一部 地面を切り拓く 2 素材対物質 3 地面の文化 足を通して知覚される世界 4 板を歩く 技術に熟練する過程を考える 第二部 メッシュワーク 5 動くものを再考すること、思考を再び動かすこと 6 点・線・対位法 環境から流動空間へ 7 アントがスパイダーと会うとき 節足動物のための社会理論 第三部 大地と天空 8 大地のかたち 9 大地、天空、風、そして気象 10 ランドスケープか気象世界か 11 サウンドスケープ概念に対する四つの反論 第四部 物語られた世界 12 空間に逆らって 場所、動き、知識 13 分類に逆らう物語 輸送・散歩・知識の統合 14 物語ることとしての名づけ アラスカのコユコン族が動物について話すこと 第五部 線描すること、つくること、書くこと 15 Aという文字の七つのヴァリエーション 16 精神の歩き方 読むこと、書くこと、描くこと 17 つくることのテクスティリティ 18 線を束ねる 行なうこと、観察すること、記述すること エピローグ19 人類学はエスノグラフィーではない 解題|生きている世界へのまなざし(野中哲士) 謝辞 索引/文献一覧 Author ティム・インゴルド Tim Ingold 1948年英国バークシャー州レディング生まれ。社会人類学者。トナカイの狩猟や飼育をめぐるフィンランド北東部のサーミ人の社会と経済の変遷についてフィールドワークを行なう。線という観点からあらゆるものを捉えなおす『ラインズ 線の文化史』(原著2007)、手の仕事を通じて人類学を編みなおす『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』(原著2013)のほか、『ライフ・オブ・ラインズ 線の生態人類学』(原著2015)、『人類学とは何か』(原著2018)、未邦訳の著書としてThe Appropriation of Nature(1986)、アカデミズムにおける進化の概念を俯瞰するEvolution and Social Life(1986)、世界の知覚のあり方を問い直すThe Perception of the Environment(2000)などの著書がある。 Translator 柴田 崇 1969年生まれ。メディア論、技術思想史、生態心理学。北海学園大学人文学部英米文化学科教授。主な著書に、『マクルーハンとメディア論身体論の集合』(勁草書房、2013年)、『サイボーグ技術を理解するための鍵』(東京大学出版会、印刷中)がある。【監訳/第一部】 野中 哲士 1972年生まれ。神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授。生態心理学と人類学の学際領域を専門とする。「身体環境系における柔軟な行為制御の研究」で日本学術振興会賞を受賞。著書に『具体の知能』(金子書房、2016年)ほかがある。【訳者解題、監訳序文および謝辞、プロローグ、第五部第17章】 佐古 仁志 1978年生まれ。生態記号論。東京交通短期大学専任講師。主な著書・論文に「生成へと到る旅路:哲学と心理学の〈あいだ〉の人類学者ティム・インゴルド」(『江戸川大学紀要』第30号、2020年)、「批判的常識主義に基づくパースの知覚論」(『叢書セミオトポス15』日本記号学会編、2020年)などがある。【第二部】 原島 大輔 1984年生まれ。基礎情報学、表象文化論。早稲田大学次世代ロボット研究機構研究助手。著書に『AI時代の「自律性」未来の礎となる概念を再構築する』(共著、勁草書房、2019年)、『基礎情報学のフロンティア人工知能は自分の世界を生きられるか?』(共著、東京大学出版会、2018年)などがある。【監訳/第三部】 青山 慶 1979年生まれ。発達心理学、生態心理学。岩手大学教育学部准教授。著書に『知の生態学的転回1身体:環境とのエンカウンター』(共著、東京大学出版会、2013年)、『家庭における活動と学び身体・ことば・モノを通じた対話の観察から』(共著、明石書店、2021年)がある。【監訳/第四部】 柳澤 田実 1973年生まれ。哲学、キリスト教思想。関西学院大学神学部准教授。編著書に『ディスポジション哲学、倫理、生態心理学からアート、建築まで、領域横断的に世界を捉える方法の創出に向けて』(現代企画室、2008年)ほかがある。【第五部第15章、第16章、第18章、第19章】
-
うしろめたさの人類学
¥1,870
SOLD OUT
市場、国家、社会...…。断絶した世界が、「つながり」を取り戻す。 その可能性を、「構築人類学」という新たな学問手法で追求。強固な制度のなかにスキマをつくる力は、「うしろめたさ」にある! 「批判」ではなく「再構築」をすることで、新たな時代の可能性が生まれる。第72回毎日出版文化賞特別賞受賞。 「世の中どこかおかしい。なんだか窮屈だ。そう感じる人は多いと思う。でも、どうしたらなにかが変わるのか、どこから手をつけたらいいのか、さっぱりわからない。国家とか、市場とか、巨大なシステムを前に、ただ立ちつくすしかないのか。(略)この本では、ぼくらの生きる世界がどうやって成り立っているのか、その見取り図を描きながら、その「もやもや」に向き合ってみようと思う」――「はじめに」より [出版社より] 著 者|松村圭一郎 出版社|ミシマ社 定 価|1,700円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|192 ISBN|978-4-903908-98-4 発 行|2017年09月 Contents はじめに 第一章 経済――「商品」と「贈り物」を分けるもの 第二章 感情――「なに/だれ」が感じさせているのか? 第三章 関係――「社会」をつくりだす 「社会」と「世界」をつなぐもの 第四章 国家――国境で囲まれた場所と「わたし」の身体 第五章 市場――自由と独占のはざまで 第六章 援助――奇妙な贈与とそのねじれ 終 章 公平――すでに手にしているものを道具にして おわりに 「はみだし」の力 Author 松村 圭一郎 Keiichiro Matsumura 1975年、熊本生まれ。京都大学総合人間学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。岡山大学大学院社会文化科学研究科/岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを続け、富の所有と分配、貧困や開発援助、海外出稼ぎなどについて研究。著書に『所有と分配の人類学』(世界思想社)、『文化人類学 ブックガイドシリーズ基本の30冊』(人文書院)がある。
-
ヒッピーのはじまり
¥2,970
SOLD OUT
本当はヒッピーに憧れているすべての人へ。 はじまりの地で、はじまりの時からフラワー・チルドレンに混じり、観察を続けた女性人類学者による鮮烈な記録。 [出版社より] 「当時の記憶」でも「先人から聞いたもの」でもなく、新鮮な記録が生きたまま閉じ込められている! ヒッピーとは“ファッション”ではなく、“生き方”なのだ。メディアや噂に歪められておらず、伝説に美化されていないリアルな姿を知ることが出来る稀有な必読書。こんなに面白い本が翻訳されて、私は心から嬉しい!」 ――松尾レミ[GLIM SPANKY] 「六七年初頭のヘイト・アシュベリーには博士号取得者もいたし中退者もいた。菜食主義者もいれば肉食者もいた。LSDに耽る若者もいれば、それを毛嫌いする者もいた。肌の色や宗教にかかわらず大量の人間が寄り集まっていた。肩を寄せ合って生活する、まるで集落生活だった。既存の価値観が塗り潰したものを新しく掬い上げようとしていた。六〇年代、世界中でこのムーブメントが動き始めていた。鬨の声を今でも私たちは若者たちの歌のなかに聴き取ることができる」 ——本文より 著 者|ヘレン・S・ペリー 訳 者|阿部大樹 出版社|作品社 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|314 ISBN|978-4-86182-845-4 初 版|2021年05月 Contents 異邦人、旧友 街が観光地になる前 アメリカ西海岸の公民権運動 無邪気な生命 聖パウロの回心 ヒューマン・ビーイン フィルモアの黒人たち お金は燃やして ロイ・バラードのこと 街と孤独 うら若き少女 沈黙の終わり Author ヘレン・S・ペリー Helen S. Perry 1911~2001。大戦中には戦時生産局に働き、1946年以降は雑誌『サイキアトリー』の常任編集者となる。50年代から70年代にかけて精神科医H・S・サリヴァンの膨大な遺稿を整理編纂したが、以降は学界から離れてカナダのコミューン運動に加わった。著書=『サリヴァンの生涯1・2』(中井久夫・今川正樹訳、みすず書房)。 Translator 阿部 大樹 Daiju Abe 精神科医。松沢病院、川崎市立多摩病院等に勤務。著書=『翻訳目録』(雷鳥社)、訳書=H・S・サリヴァン『精神病理学私記』(日本評論社、第6回日本翻訳大賞)、R・ベネディクト『レイシズム』(講談社学術文庫)。
-
働くことの人類学[活字版]仕事と自由をめぐる8つの対話
¥2,200
SOLD OUT
“ひとつのことをするやつら“ わたしたちの常識とはまったく異なる異世界の「働きかた」を紹介し、瞬く間にカルト的人気を集めた、抱腹絶倒のポッドキャスト〈働くことの人類学〉。 このたび、ポッドキャストで配信した全6話+タウンホールミーティングの内容に加えて、番組ホストである文化人類学者の松村圭一郎さんと小説家の柴崎友香さんの特別対談やブックガイドなど新コンテンツも充実した書籍『働くことの人類学【活字版】 仕事と自由をめぐる8つの対話』を2021年6月末に刊行いたしました。 7人の文化人類学者がそれぞれのフィールドで体験した知られざる場所の知られざる人々の「働き方」。狩猟採集民、牧畜民、貝殻の貨幣を使う人びと、アフリカの貿易商、世界を流浪する民族、そしてロボット……が教えてくれる、目からウロコな「仕事」論。 わたしたちの偏狭な〈仕事観・経済観・人生観〉を鮮やかに裏切り、軽やかに解きほぐしてくれる対話集は、仕事に悩めるすべてのワーカー必読の内容です! ますます不確実になっていく世界。これまでの当たり前の外から「働くこと」を見つめてみましょう。 [出版社より] 編 者|松村圭一郎 + コクヨ野外学習センター ゲスト|柴崎友香・深田淳太郎・丸山淳子・佐川徹・小川さやか・中川理・久保明教 発 行|黒鳥社 定 価|2,000円+税 判 型|B5変型判/並製 頁 数|302 ISBN|978-4-9911260-6-2 発 売|2021年06月 Contents 【巻頭対談】 ありえたかもしれない世界について 柴崎友香 × 松村圭一郎 【第1部|働くことの人類学】 貝殻の貨幣〈タブ〉の謎・深田淳太郎 ひとつのことをするやつら・丸山淳子 胃にあるものをすべて・佐川徹 ずる賢さは価値である・小川さやか 逃げろ、自由であるために・中川理 小アジのムニエルとの遭遇・久保明教 【第2部|働くこと・生きること】 2020年11月「働くことの人類学」の特別編として開催されたイベント「働くことの人類学:タウンホールミーティング」。 オンラインで4名の人類学者をつなぎ、参加者の質問を交えながら「働くこと」の深層へと迫った白熱のトークセッション。デザインシンキングからベーシックインカムまで、いま話題のトピックも満載のユニークな「働き方談義」を完全収録。 深田淳太郎×丸山淳子×小川さやか×中川理 ホスト=松村圭一郎 進行=山下正太郎・若林恵 【論考】 戦後日本の「働く」をつくった25のバズワード 【働くことの図書目録】 仕事と自由をもっと考えるためのブックガイド 松村圭一郎/深田淳太郎/丸山淳子/佐川徹/小川さやか/中川理/久保明教/コクヨ野外学習センター 【あとがき】 これは「発信」ではない 山下正太郎 Editor 松村 圭一郎 Keiichiro Matsumur 岡山大学文学部准教授。エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを続け、富の所有と分配、貧困や開発援助、 海外出稼ぎなどについて研究。著書に『所有と分配の人類学』(世界思想社)、『基本の30冊 文化人類学』(人文書院)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)、編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)など。東京ドキュメンタリー映画祭 2018 の短編部門で『マッガビット~雨を待つ季節』、 同映画祭2020の特集「映像の民族誌」で『アッバ・オリの一日』が上映される。『ちゃぶ台』で「はじめてのアナキズム」、『群像』で「旋回する人類学」、西日本新聞で「人類学者のレンズ」を連載中。 コクヨ野外学習センター KOKUYO Centre for Field Research コクヨ ワークスタイル研究所と黒鳥社がコラボレーションして展開するリサーチユニット/メディアです。〈働くことの人類学〉〈新・雑貨論〉〈耳の野外学習〉3つのポッドキャスト番組を配信中。JAPAN PODCAST AWARDS 2020 ベストナレッジ賞ノミネート。 https://anchor.fm/kcfr
-
数の発明——私たちは数をつくり、数につくられた
¥3,740
SOLD OUT
“なぜ人類だけが、どこまでも数を数えられるのか。それは、ヒトが生得的に数の感覚を持っているからだ”――数は、私たちの思考に深く根付いている。だからこの説明は、一見するともっともらしい。 しかし、アマゾンには数を持たない人々が暮らしている。幼少期、宣教師の父とともにこのピダハン族と暮らし、人類学者となった著者によれば、数は車輪や電球と同じ「発明品」であるという。 「数の感覚」がまったく存在しないというわけではない。ピダハン族や乳児の調査によれば、彼らは数についてごく限られた感覚を持つ。人類は長い間、この曖昧な感覚だけで生きてきたのだ。 そして私たちも、幼い頃は数のない世界を見ていた。今、数がわかるのは、かつて発明された数体系を受け継いだからこそである。各地の言語には、身体やさまざまな物を足がかりに発明が起きた跡が残されている。そしてピダハン族のように、発明が起こらなかった例も存在する。 「わかったのは、ピダハンについてではなく、人類すべてに関することだ」。考古学、言語学、認知科学、生物学、神経科学に散らばる手がかりを横断し、数の発明の経緯を探り、その影響を展望する書。 [出版社より] 原 書|Numbers and the Making of Us: Counting and the Course of Human Cultures 著 者|ケイレブ・エヴェレット 訳 者|屋代通子 出版社|みすず書房 定 価|3,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|336 ISBN|978-4-622-08964-3 初 版|2021年05月 Contents 序 人間という種の成功 第一部 人間の営為のあらゆる側面に浸透している数というもの 1 現在に織り込まれている数 2 過去に彫りこまれている数 3 数をめぐる旅──今日の世界 4 数の言葉の外側──数を表す言い回しのいろいろ 第二部 数のない世界 5 数字を持たない人々 6 幼い子どもにとっての数量 7 動物の頭にある数量 第三部 わたしたちの暮らしを形作る数 8 数の発明と算術 9 数と文化──暮らしと象徴 10 変化の道具 謝辞 訳者あとがき 原注 索引 Author ケイレブ・エヴェレット Caleb Everett マイアミ大学人類学部教授、同学部長。専門は人類学・言語学。言語と非言語的な認知・文化・環境の相互作用に関心を持つ。著書にLinguistic relativity: Evidence across languages and cognitive domains(De Gruyter Mouton, 2013)がある。父は『ピダハン』(屋代通子訳、みすず書房、2012年)の著者のダニエル・L・エヴェレット。幼少期に宣教師の父とともにピダハン族の村で過ごした。本書はSmithsonian誌が選ぶ「2017年の10冊」に選ばれ、同年の米国出版社協会の学術出版賞The PROSE Awardを受賞した。 Translator 屋代 通子 Michiko Yashiro 翻訳家。訳書にキム・トッド『マリア・シビラ・メーリアン』、ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン』(以上、みすず書房)、トリスタン・グーリー『ナチュラル・ナビゲーション』『日常を探検に変える』(以上、紀伊國屋書店)、ケン・トムソン『外来種のウソ・ホントを科学する』、デヴィッド・G・ハスケル『木々は歌う』(以上、築地書館)など。自然科学系翻訳に取り組む傍ら、被暴力体験のある若者の自立支援に携わり、その方面の仕事ではイギリス保健省・内務省・教育雇用省『子供保護のためのワーキング・トゥギャザー』(共訳・医学書院)などがある。
-
ピダハン——「言語本能」を超える文化と世界観
¥3,740
SOLD OUT
著者のピダハン研究を、認知科学者S・ピンカーは「パーティーに投げ込まれた爆弾」と評した。ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす少数民族。400人を割るという彼らの文化が、チョムスキー以来の言語学のパラダイムである「言語本能」論を揺るがす論争を巻き起こしたという。 本書はピダハンの言語とユニークな認知世界を描きだす科学ノンフィクション。それを30年がかりで調べた著者自身の奮闘ぶりも交え、ユーモアたっぷりに語られる。驚きあり笑いありで読み進むうち、私たち自身に巣食う西欧的な普遍幻想が根底から崩れはじめる。 とにかく驚きは言語だけではないのだ。ピダハンの文化には「右と左」や、数の概念、色の名前さえも存在しない。神も、創世神話もない。この文化が何百年にもわたって文明の影響に抵抗できた理由、そしてピダハンの生活と言語の特徴すべての源でもある、彼らの堅固な哲学とは……? 著者はもともと福音派の献身的な伝道師としてピダハンの村に赴いた。それがピダハンの世界観に衝撃を受け、逆に無神論へと導かれてしまう。ピダハンを知ってから言語学者としても主流のアプローチとは袂を分かち、本書でも普遍文法への批判を正面から展開している。 [出版社より] 原 書|Don't Sleep, There Are Snakes: Life and Language in the Amazonian Jungle 著 者|ダニエル・L・エヴェレット 訳 者|屋代通子 出版社|みすず書房 定 価|3,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|408 ISBN|978-4-622-07653-7 初 版|2012年03月 Contents はじめに プロローグ 第一部 生活 第1章 ピダハンの世界を発見 第2章 アマゾン 第3章 伝道の代償 第4章 ときには間違いを犯す 第5章 物質文化と儀式の欠如 第6章 家族と集団 第7章 自然と直接体験 第8章 一〇代のトゥーカアガ──殺人と社会 第9章 自由に生きる土地 第10章 カボクロ——ブラジル、アマゾン地方の暮らしの構図 第二部 言語 第11章 ピダハン語の音 第12章 ピダハンの単語 第13章 文法はどれだけ必要か 第14章 価値と語り——言語と文化の協調 第15章 再帰(リカージョン)──言葉の入れ子人形 第16章 曲がった頭とまっすぐな頭——言語と真実を見る視点 第三部 結び 第17章 伝道師を無神論に導く エピローグ 文化と言語を気遣う理由 訳者あとがき 事項索引 人名索引 Author ダニエル・L・エヴェレット Daniel Leonard Everett 言語人類学者。ベントレー大学Arts and Sciences部門長。1975年にムーディー聖書学院を卒業後、あらゆる言語への聖書の翻訳と伝道を趣旨とする夏期言語協会(現・国際SIL)に入会、1977年にピダハン族およびその周辺の部族への布教の任務を与えられ、伝道師兼言語学者としてブラジルに渡りピダハン族の調査を始める。以来30年以上のピダハン研究歴をもつ第一人者(その間、1985年ごろにキリスト教信仰を捨てている)。1983年にブラジルのカンピーナス大学でPhDを取得(博士論文のテーマは生成文法の理論にもとづくピダハン語の分析)。マンチェスター大学で教鞭をとり、ピッツバーグ大学の言語学部長、イリノイ州立大学言語学部長、教授を経て現職。アメリカ、イギリスで刊行された本書の原著は日本語以外にもドイツ語、フランス語、韓国語、タイ語、中国語に翻訳されている。ほかの著書に、Linguistic Fieldwork (共著、Cambridge University Press, 2011)がある。また、本書への反響の余波としては、著者の人生を描いたドキュメンタリー映画Grammar of Happinessが制作され、その作品が2012年のFIPA(TV番組の国際的なフェスティバル)でEuropean Jury Prizeを受賞している。 Translator 屋代 通子 Michiko Yashiro 翻訳家。訳書にキム・トッド『マリア・シビラ・メーリアン』、ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン』(以上、みすず書房)、トリスタン・グーリー『ナチュラル・ナビゲーション』『日常を探検に変える』(以上、紀伊國屋書店)、ケン・トムソン『外来種のウソ・ホントを科学する』、デヴィッド・G・ハスケル『木々は歌う』(以上、築地書館)など。自然科学系翻訳に取り組む傍ら、被暴力体験のある若者の自立支援に携わり、その方面の仕事ではイギリス保健省・内務省・教育雇用省『子供保護のためのワーキング・トゥギャザー』(共訳・医学書院)などがある。
-
リターンズ 二十一世紀に先住民になること
¥5,940
文化人類学の批判的歴史家が『文化の窮状』『ルーツ』に続いて放つ待望の論集。滅びるどころか世界各地で可視化する「先住民」運動の本質を、節合・パフォーマンス・翻訳をキーワードに理論的に分析。かつて「最後の野生インディアン」と言われた「イシ」の文化的再生を語り、ニューカレドニアとアラスカの先住民による新たなアイデンティティ戦略を、民族誌的・歴史的リアリズムで描出する進行形の書物。 [出版社より] 著 者|ジェイムズ・クリフォード 訳 者|星埜守之 出版社|みすず書房 定 価|5,400円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|408 ISBN|978-4-622-08962-9 発 行|2020年12月 Contents プロローグ 第一部 1 複数の歴史の間で 先住民性(Indigenitude) 複数の他なる歴史 1 ポストモダニティを脱節合すること 複数の他なる歴史 2 民族誌的リアリズム 複数の他なる歴史 3 節合、パフォーマンス、翻訳 2 先住民の複数の節合 3 先住民経験の多様性 第二部 4 イシの物語 恐怖と癒し 帰ってきたイシ イシの変奏 ユートピア 第三部 5 ハウオファの希望 6 幾つもの道を見ながら アイデンティティの政治経済 『両方の道を見ながら』 先行企画 相互作用――アラスカ先住民文化遺産センター 出現と節合 文化遺産の諸関係、変わりゆく天候 共同作業の地平 7 第二の生――仮面の帰還 帰還の複数の経路 第二の生(準理論的間奏) 仮面を返還する 三冊のカタログ 翻訳で失われたものと見いだされたもの 呼びかけそして/あるいは節合(理論的間奏) 縺れ合った複数の行為主体性 複数のリンク(結びつき) エピローグ 初出一覧 謝辞 訳者あとがき 参照文献 索引 Author ジェイムズ・クリフォード James Clifford 1945年、アメリカ合衆国ニューヨーク市生まれ。1978年から2010年までカリフォルニア大学サンタクルーズ校の「意識の歴史プログラム」教授。現在は同大学名誉教授。1986年、ジョージ・マーカスとの共編著『文化を書く』(紀伊國屋書店)により、人類学の批判的歴史家として一躍有名になる。2010年、2018年に来日。著書に論集『文化の窮状』(人文書院)『ルーツ』(月曜社)、対談集『人類学の周縁から』(人文書院)など。 Translator 星埜 守之 Moriyuki Hoshino 1958年、アメリカ合衆国ペンシルヴェニア州生まれ。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。20世紀フランス文学、フランス語圏文学。著書に『ジャン=ピエール・デュプレ――黒い太陽』(水声社)など。訳書に、シャモワゾー『テキサコ』(平凡社、渋沢・クローデル賞フランス大使館・エールフランス特別賞)、マキーヌ『フランスの遺言書』(水声社、小西国際交流財団第8回日仏翻訳文学賞)、リテル『慈しみの女神たち』(共訳、集英社、日本翻訳出版文化賞)、クリステヴァ『斬首の光景』(共訳、みすず書房)、クリフォード『文化の窮状』(共訳)『人類学の周縁から――対談集』(ともに人文書院)など。
-
文化の窮状 二十世紀の民族誌学、文学、芸術
¥6,600
これまで一般的に信じられてきた文化概念では、グローバルな移動が日常になっている現代世界を理解することはもはやできなくなっている。脱植民地化の過程において、文化の諸断片はただよい、根を断たれたアイデンティティにこの世界はみたされてしまった。そこでは忘れたはずの植民地主義の遠い記憶が、突如として現在生起しつつある事態と結びついてしまう。脱植民地化の時間は往還する時間なのである。 では空間的にも、時間的にも錯綜している現代世界を把握するためにどのような方途があるのだろうか。著者クリフォードは文化概念そのものの変更を主張する。「有機的な一体性をもち、ある土地に根ざした固有のもの」という硬直した文化概念を捨てること。純粋で真正な文化などもはやありえないことを知り――それを嘆くのではなく――、断片的で混淆した文化のありようを評価し、根(ルーツ)をなくしたものの経路(ルーツ)をたどること。こうすることで、これまでとは違った世界が見えてくる。 原書刊行からすでに10年以上を経過しているが、その衝撃力はいまだ衰えていない。熱讃者は後を絶えず、引用・言及される頻度や範囲においても第一級の基本文献といえる。【叢書 文化研究】の続編として、日本でクリフォード的実践をおこなう第一人者による最新インタヴューと超力作解説を付して万全の構えで刊行する。 [出版社より] 著 者|ジェイムズ・クリフォード 訳 者|太田好信・慶田勝彦・清水展・浜本満・古谷嘉章・星埜守之 出版社|人文書院 定 価|6,000円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|580 ISBN|9784409030684 発 行|2003年01月 Contents 序章 純粋なものは、狂ってしまう 第一部 言説 民族誌の権威について/民族誌における権力と対話――マルセル・グリオールのイニシエーション/民族誌的自己成型――コンラッドとマリノフスキー 第二部 転置 民族誌的シュルレアリスムについて/転置の詩学――ヴィクトル・セガレン/君の旅について話してくれ――ミシェル・レリス/新語のポリティクス――エメ・セゼール/植物園――ポストカードより 第三部 収集 部族的なものと近代的なものの歴史/芸術と文化の収集について 第四部 歴史 『オリエンタリズム』について/マシュピーにおけるアイデンティティ 原注/訳注 往還する時間 ジェイムス・クリフォードへのインタヴュー 解説 批判的人類学の系譜(太田好信) Author ジェイムズ・クリフォード James Clifford 1945年生。カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校(意識の歴史プログラム)教授。 Translator 太田 好信 Yoshinobu Ota 1954年生。ミシガン大学大学院博士課程修了。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。文化人類学。
-
人類学的観察のすすめ——物質・モノ・世界
¥2,200
SOLD OUT
見慣れた景色、何の変哲もなくみえるこの世界……当たり前すぎて気づかない、ふつう考えもしない身の回りのことについて、いろいろな方向から手当たり次第に、いつもとはちょっと違う見方で「人類学的」に観察の目を注いでみると、思いもかけない驚異に満ちた世界が露わになる。私たちが生きているのは、退屈なわかりきった世界ではない。この世界そのものが奇蹟なのだ。知っていたつもりの「未知の世界」へ誘う、人類学者による観察+考察のエクササイズ。 私たちのこの世界は、人類学者インゴルドの言う「生きものとして住み込んでいる」視点から見たとき、どのような世界として在るのだろうか。それは科学が外側から研究対象とする世界と全く同一のものなのだろうか。 「「私たちの生きるこの世界」「普遍的な単一の自然」「誰にとっても同じ物質」といった、真剣に検討することもなく私たちが受けいれている暗黙の前提について、自らの体験に照らして具体的に再審理を試みること。そこから始めなければ、人類学は人類学たりえないだろうというのが、現時点で私の辿り着いた考えなのである」(本文より) [出版社より] 著 者|古谷嘉章 出版社|古小烏舎 定 価|2,000円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|256 ISBN|978-4-910036-01-4 発 行|2020年11月 Contents 第一章 水と土のバラード ・人間たちの住む世界―地球の表面は大気の底である ・土に埋めるモノ―ゴミと宝物と遺体 ・凸と凹―人間の生活が景観に遺す痕跡 ・アスファルトという表皮―世界は繕い続けなければ劣化する 第二章 どの材料で何を作るか ・ただの石というものはない―石器時代人の鉱物学 ・粘土とプラスチック―何でも作れる可塑的物質の汎用性 ・裸の王様の衣装―子供には見えない豪華な素材 第三章 道具というモノ ・住むための人間の家―動物の巣は家とよべるのか ・車輪のための道 歩いてできる道―舗装された車道と高山の山道 ・調理に使えない調理用の土器―容器の性能と美的価値 第四章 いろいろな体 ・私たちの体の中の宇宙―至近距離にある不可視の世界 ・腐敗と発酵―微生物との持ちつ持たれつ ・人はなぜ像をつくるのか―仏像や神像は代役にすぎないのか ・朽ち果てるべき木像―耐久性偏愛は普遍的ではない 第五章 触ると触れる ・触知性―脳は知らなくても皮膚が知っている世界 ・自分に触れる、他人に触れる―人間にとって触れ合いとは何か ・ウイルス感染を避けて―人間は触れ合わずに生きられるのか ・インターネットに触れる―人と世界のインターフェイス 第六章 見える世界・見えない世界 ・見かけと人種差別―目をつぶれば人種差別は無くなるのか ・放射線を出す物質―瀰漫する見えない何かの気配 ・電気と神霊―遍在する見えないパワー 第七章 千変万化・生生流転 ・調理という科学実験―物質を変化させて食べられるようにする技 ・間 あそび―隙間は何もないわけではない ・世界そのものが生きている―人類学者インゴルドの世界像 ・世界は物質の流れのなかにある―作ることと生まれ育つこと ・マルチナチュラリズム―人類学者ヴィヴェイロス・デ・カストロの世界像 ・私たちの生きている世界そのものが奇蹟なのだ Author 古谷 嘉章 Yoshiaki Furuya 東京生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(学術)。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。著書に『異種混淆の近代と人類学―ラテンアメリカのコンタクト・ゾーンから』(人文書院、2001)、『憑依と語り―アフロアマゾニアン宗教の憑依文化』(九州大学出版会、2003)、『縄文ルネサンス―現代社会が発見する新しい縄文』(平凡社、2019)、『「物質性」の人類学―世界は物質の流れの中にある』(共編著、同成社、2017)などがある。
-
儀礼の過程
¥1,430
SOLD OUT
アフリカのンデンブ族の儀礼にみられる、豊かで複雑な象徴的事物。それは彼らにとって何を意味し、社会のどのような側面を映し出しているか。本書の前半では儀礼に対する現地の人々の解釈を収集し分析することで、その意味と構造を導き出す。 後半はファン・ヘネップの通過儀礼論を発展させた“反構造” “リミナリティ” “コムニタス”といった概念をもとに、宮廷の道化師、中世のフランシスコ修道会、さらにはヒッピーや、シェイクスピアの文学作品など、歴史・社会・文化の諸現象の理解を試みる。人類学の枠を越えて多分野に影響を与えた、象徴人類学の古典的名著。 [出版社より] 著 者|ヴィクター・W・ターナー 訳 者|冨倉光雄 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,300円+税 判 型|文庫版/並製 頁 数|384 ISBN|978-4-480-51013-6 刊 行|2020年12月 Author ヴィクター・W・ターナー Victor Witter Turner 1920‐83年。イギリスの人類学者。マンチェスター大学でグラックマンに師事。アフリカの部族社会の現地調査を行い、マンチェスター大学、コーネル大学、シカゴ大学、ヴァージニア大学で教授を務めた。儀礼やパフォーマンスの研究で知られ、象徴人類学の中心的存在である。 冨倉 光雄 Mitsuo Tomikura 1928‐2005年。茨城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は比較宗教学、日本宗教史。埼玉県立衛生短期大学教授などを務めた。
-
ひび割れた日常 人類学・文学・美学から考える
¥1,760
未曾有の危機を前にして、私たちは「何を考えればよいのか」を見失ってしまった——。 「人間の想像力の果て」からやってきたウイルスによって、我々の日常に無数のひびが走った。 消せない不安と変化を余儀なくされた日々の営みを前に、思考の足場をどこに築けば良いのか。 生命、自然、生と死、共生と敵対。いま浮上する課題をめぐって、三人の異才がアイディアを持ち寄り、変奏し、問いを深めていくリレーエッセイ。 [出版社より] 著 者|伊藤亜紗・奥野克巳・吉村萬壱 出版社|亜紀書房 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|192 ISBN|978-4-7505-1674-5 初 版|2020年11月 Contents Ⅰ ・はじめに——禍の街から、生命と自然のゆくえを見つめる ・ウイルスは我々に何を伝えに来たのか ・植物の時間 ・足し算的時間と合理のひび割れ ・元の日常という脅威 ・人間の体と植物の体 ・〈凝固した日常〉を突き刺すもの ・被造物の底 ・体を失う日 ・「いる」の喪失とは何か? ・死の無力さと分身の持つ力 ・コロナさん ・ようこそコロナちゃん ・聖なるもの ・垂直の家族、水平の家族 ・コロナとはうまくやっていけるかもしれないが、人間同士ではそうではないのかもしれない ・ヒトと人 ・グラブとアンパン ・アニミズム思考のほうへ ・二つの小説 ・意味の非人間性 ・覚知される世界、コロナの迷い ・堆肥男 ・胎盤とバースデーケーキ Ⅱ リレーエッセイを終えて ・生の全体性を取り戻す ・帯状疱疹ウイルスと私 ・想像力の果てからやってきた使者 ひび割れた日常を生きるためのブックガイド Author 伊藤 亜紗 Asa Ito 1979 年生まれ。東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター、リベラルアーツ研究教育院准教授。専門は美学、現代アート。もともと生物学者を目指していたが、大学3年次より文転。2010年に東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻美学芸術学専門分野博士課程を単位取得のうえ退学。同年、博士号を取得(文学)。 主な著作に『手の倫理』(講談社メチエ)、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社)など。WIRED Audi INNOVATION AWARD 2017、第13回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody 賞(2020)受賞。 奥野 克巳 Katsumi Okuno 1962年生まれ。20歳でメキシコ・シエラマドレ山脈先住民テペワノの村に滞在し、バングラデシュで上座部仏教の僧となり、トルコのクルディスタンを旅し、インドネシアを一年間経巡った後に文化人類学を専攻。1994~95年に東南アジア・ボルネオ島焼畑民カリスのシャーマニズムと呪術の調査研究、2006年以降、同島の狩猟民プナンとともに学んでいる。現在、立教大学異文化コミュニケーション学部教授。 著作に、『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』、『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(以上、亜紀書房)、『マンガ人類学講義』など多数。共訳書に、エドゥアルド・コー ン著『森は考える』、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ』、ティム・ インゴルド著『人類学とは何か』(以上、亜紀書房)など。 吉村 萬壱 Manichi Yoshimura 1961年愛媛県生まれ、大阪府育ち。1997年、「国営巨大浴場の午後」で京都大学新聞社新人文学賞受賞。2001年、『クチュクチュバーン』で文學界新人賞受賞。2003年、『ハリガネムシ』で芥川賞受賞。2016年、『臣女』で島清恋愛文学賞受賞。 最新作に『出来事』(鳥影社)。
-
モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと
¥1,870
SOLD OUT
息苦しいこの世界からの出口は、ある。 片づけコンサルタント「こんまり」のメソッドは、自分とモノとの純粋な対話ではなく、自分自身との対話を目指すものなのではないか。アニミズムとは、地球や宇宙における存在者のうち、人間だけが必ずしも主人なのではないという考え方だとすれば、自分との対話を目指すのは、人間のことだけしか考えていないという意味で、真のアニミズムとは呼べないのではないか。本書の出発点は、ここにある。 アニミズムは「原初の人間の心性」として過去のものとされてきた。しかし、そこには、人間の精神を豊かにするヒントが隠されているのではないか。文学、哲学の大胆な解釈とフィールド経験を縦横に織り合わせて、「人間的なるもの」の外へと通じるアニミズムの沃野を探検する。 人間が世界の「主人」をやめた時、動物、モノ、死者との対話がはじまる。 [出版社より] 著 者|奥野克巳 出版社|亜紀書房 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|248 ISBN|978-4-7505-1661-5 初 版|2020年09月 Contents 1 こんまりは、片づけの谷のナウシカなのか? 2 風の谷のアニミズム 3 川上弘美と〈メビウスの帯〉 4 壁と連絡通路——アニミズムをめぐる二つの態度 5 往って還ってこい、生きものたちよ 6 東洋的な見方からアニミズムを考える 7 宮沢賢治を真剣に受け取る 8 まどろむカミの夢——ユングからアニミズムへ 9 純粋記憶と死者の魂——ベルクソンとアニミズム 10 記号論アニミズム——エドゥアルド・コーンの思考の森へ 11 人間であるのことの最果て——語りえぬものの純粋経験 12 人間にだけ閉じた世界にアニミズムはない あとがき 参考文献 Author 奥野 克巳 Katsumi Okuno 1962年生まれ。立教大学異文化コミュニケーション学部教授。 20歳でメキシコ・シエラマドレ山脈先住民テペワノの村に滞在し、バングラデシュで上座部仏教の僧となり、トルコのクルディスタンを旅し、インドネシアを1年間経巡った後に文化人類学を専攻。1994~95年に東南アジア・ボルネオ島焼畑民カリスのシャーマニズムと呪術の調査研究、2006年以降、同島の狩猟民プナンとともに研究している。 著作に、『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(2018年、亜紀書房)など多数。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える―人間的なるものを超えた人類学』(2016年、亜紀書房)、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ―シベリア・ユカギールのアニミズムの人類』(2018年、亜紀書房)、ティム・インゴルド著『人類学とは何か』(2000年、亜紀書房)。
-
弔いにみる世界の死生観
¥1,100
SOLD OUT
死と死後の世界をどう認識し、いかなる葬送儀礼を執り行って送り出すのか。 死者と生者との関わりをいかに取り結び、どんな供養をいつまで続けるのか。 そもそも死とは恐れるべきものか、喜ぶべきものなのか──。 死に対する考え方は、世界の各民族・宗教によってさまざまです。 輪廻転生の考えに基づいて遺体を「器」としか捉えていない人びともいれば火葬など遺体が損壊されることは許されないと考える社会も存在します。 「あの世」の存在を認め、死後はそこに行き特定の時期に「この世」に戻ると考える社会もあれば来世での復活までは死者はお墓で待機していると考える民族もいます。 こうした死に対する多様な考え方とそれに基づく弔いの方法はすべて、個人では受け止めきれない人の「死」という社会的喪失をいかに受け止めて乗り越えてゆくかその知恵と方法論が蓄積され結晶化されたものだと考えることができます。 本書では、日本、ヨーロッパ、アフリカ、インド、中央アジア、東南アジア、ミクロネシア、極北地域などの各地について仏教、イスラーム、キリスト教等の教義に基づく弔いのありようと死生観・来世観を比較して観察し世界の各地に暮らす人びとが、全生物に共通して訪れる「死」をいかに受け容れ乗り越えているのかを学びます。 [出版社より] 編 者|小西賢吾・山田孝子 出版社|英明企画編集[シリーズ比較文化学への誘い] 定 価|1,000円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|176 ISBN|9784909151056 初 版|2019年11月 Contents 座談会1 「死」と「死者」と「死後」のとらえ方―死は悪であり、死者は畏怖の対象なのか 論考・人はなぜ弔うのか―「弔い」の宗教的・社会的意味の比較文化 座談会2 イスラームとキリスト教の弔いと死生観―葬送、追悼、供養の儀礼にみるその特徴 論考・キリスト教における弔いと死者との交わり 座談会3 日本における弔いの現状と未来―「死」との断絶を克服する必要性 論考・金沢における戦死者の「弔い」―招魂祭の空間の変遷と祝祭性に着目して 論考・「あの世」が照らし出す「この世」―弔いの比較文化からみえるもの Editor 小西賢吾 Kengo Konishi 金沢星稜大学教養教育部准教授。専門は文化人類学。研究テーマは宗教実践からみる地域社会・共同体論。チベット、ボン教徒の民族誌的研究。 山田 孝子 Takako Yamada 金沢星稜大学人文学部教授/京都大学名誉教授。専門:文化人類学、比較文化学。研究テーマ:チベット系諸民族の宗教人類学的・民族誌的研究、琉球諸島・ミクロネシアの自然誌的研究、アイヌ研究、シャマニズム、文化復興、エスニシティ。
-
スポーツ人類学 グローバリゼーションと身体
¥4,950
人類学はスポーツとどのように切り結ぶのか? 東京オリンピックの延期/中止を前に、スポーツを文化的かつ体系的に考えるための1冊。われわれの日常生活に不可欠なスポーツをめぐって、蘭米英の研究者が、植民地主義、階級、ジェンダー/セックス、メガイベント、ジェントリフィケーション、ナショナリズムなどを切り口に豊富な実例とフィールドワークを駆使して分析し、「スポーツ人類学」を確立した画期的な著作。 [出版社より] 原 書|Anthropology of Sport 著 者|ニコ・ベズニエ、スーザン・ブロウネル、トーマス・F・カーター 訳 者|川島浩平、石井昌幸、窪田暁、松岡秀明 出版社|共和国 定 価|4,500円+税 判 型|菊変型判/波製 頁 数|476 ISBN|978-4-907986-65-0 初 版|2020年09月 Contents 日本語版への序文 序章 第1章 スポーツ、人類学、歴史 第2章 スポーツ、植民地主義、帝国主義 第3章 スポーツ、健康、環境 第4章 スポーツ、階級、人種、エスニシティ 第5章 スポーツ、セックス、ジェンダー、セクシュアリティ 第6章 スポーツ、文化パフォーマンス、メガイベント 第7章 スポーツ、ネーション、ナショナリズム 第8章 世界システムにおけるスポーツ エピローグ 人類学にとってのスポーツ 註 謝辞 訳者あとがき Author ニコ・ベズニエ アムステルダム大学教授。専攻は、文化人類学。American Ethnologist 編集長(2016~19)。著書に、Sport, Migration, and Gender in the Neoliberal Age(共著)Routledge, 2020など多数がある。 スーザン・ブロウネル ミズーリ大学セントルイス校教授。専攻は、人類学。著書に、Experiential and Performative Anthropology in the Classroom: Engaging the Legacy of Edith and Victor Turner(共著)Palgrave Macmillan, 2020、Training the Body for China: Sports in the Moral Order of the People’s Republic, University of Chicago Press, 1995 など多数がある。 トーマス・F・カーター ブライトン大学主任講師。専攻は、人類学。著書に、Transforming Sport: Knowledges, Practices, Structures(共著)Routledge, 2018、In Foreign Fields: The Politics and Experiences of Transnational Sport Migration, Pluto Press 2011 など多数がある。 Translator 川島浩平 Kohei Kawashima 1961年、東京都に生まれる。ブラウン大学大学院歴史学研究科博士課程修了。博士(アメリカ都市史)。現在は、早稲田大学スポーツ科学学術院教授。専攻は、スポーツ史、アメリカ研究。著書に、Touchdown: An American Obsession(共著)Berkshire, 2019、『人種とスポーツ』(中公新書、2012)などがある。 石井 昌幸 Masayuki Ishii 1963年、島根県に生まれる。京都大学人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。現在は、早稲田大学スポーツ科学学術院教授。専攻は、スポーツ史、国際スポーツ文化論。著書に、『スポーツの世界史』(共著、一色出版、2018)などがある。 窪田 暁 Satoru Kubota 1976年、奈良県に生まれる。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在は、奈良県立大学地域創造学部准教授。専攻は、文化人類学、カリブ海地域研究、スポーツ移民研究。著書に『「野球移民」を生みだす人びと――ドミニカ共和国とアメリカにまたがる扶養義務のネットワーク』(清水弘文堂書房、2016)などがある。 松岡 秀明 Hideaki Matsuoka 1956年、埼玉県に生まれる。カリフォルニア大学バークレー校大学院文化人類学研究科博士課程修了。博士 (文化人類学)。前・大阪大学コミュニケーションデザイン・センター招聘教授。著書に、『ブラジル人と日本宗教』(弘文堂、2004)、Japanese Religions in and beyond the Japanese Diaspora(共編著、Institute of East Asian Studies, University of California at Berkeley, 2007)などがある。
-
芸術人類学講義
¥946
SOLD OUT
「ライオン・マン」―今からおよそ四万年前、世界最古の動物彫刻が現生人類の手によって創られた。材料はマンモスの象牙。二十世紀後半、ドイツ・シュターデル洞窟で発見された、ヒトとライオンを合体させた現実にはありえないハイブリッド・フィギュアはラスコー壁画より古い。人類はなぜ、「芸術」を欲するのか。人類は「神とともに生きる」ことを選んだ時より、「創造する種」としての歩みを始めた。多摩美術大学「芸術人類学研究所」が新しい学問の眺望を、本書において問いかける。 [出版社より] 編 者|鶴岡真弓 著 者|椹木野衣・鶴岡真弓・平出隆・安藤礼二 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|860円+税 判 型|新書判 頁 数|272 ISBN|9784480072894 初版|2020年3月 Contents 序章 「芸術人類」の誕生―「根源からの思考」 鶴岡真弓 第1章 爆発、丸石神、グラン=ギニョルな未来 椹木野衣 第2章 「ホモ・オルナートゥス:飾るヒト」―分節されない皮膚 鶴岡真弓 第3章 野外をゆく詩学 平出隆 第4章 「東方哲学」の樹立に向けて 安藤礼二 Editor 鶴岡 真弓 Mayumi Tsuruoka 芸術文明史家。多摩美術大学芸術人類学研究所所長、教授。ケルト芸術文化・ユーロ=アジア諸民族「生命デザイン」を追跡中。
-
縄文時代にタトゥーはあったのか
¥2,640
SOLD OUT
菊地成孔氏(音楽家・文筆家)推薦!! 土器や土偶にえがかれた線、円、点、螺旋といった我々を魅了する幾何学的な文様。これらがもしも太古の人体にきざまれていたとしたら――。世界中に残る痕跡をたどり、太古に失われたタトゥーを現代人に彫り込み「モダン・プリミティブズ」へと身体のアップデートを目指す壮大な試み。カラー口絵32頁ほか図版多数! [出版社より] 著 者|ケロッピー前田、大島托(縄文タトゥー作品) 出版社|国書刊行会 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|276 ISBN|978-4-336-06654-1 初 版|2020年3月 Contents 序章 戦後何度目かの縄文ブーム! 世界が求めた縄文時代のタトゥー復興 「縄文族 JOMON TRIBE」始動 縄文時代にタトゥーはあったのか 文様はどこから来て、どこへ行ったのか? 1 アカデミックな世界での縄文タトゥー論争 高山純『縄文人の入墨』の功績 縄文の耳飾りはどこから来たのか 縄文時代の「身体変工/身体改造」 『魏志倭人伝』の黥面文身 モースの縄文発見のときからあった謎 民族例から見えてくる〝縄文タトゥー″の姿 タトゥーからわかる人類の拡散と文化の伝播 2 北海道縄文遺跡の旅 なぜ、北海道に縄文リサーチに行ったのか 再生のシンボリズムで文様を読み解く タトゥーにするなら効き目抜群の文様 真っ白な貝塚に「ゴミ捨て場ではない」と納得 縄文土器の文様はどのように施されたのか タトゥーの道具にもなり得る骨角器の数々 黒い貝塚と不思議な副葬品 山と海に恵まれた函館の縄文秘境 縄文遺跡からのメッセージ 3 岡本太郎から学ぶ縄文 岡本太郎と縄文土器 日本美術史は縄文からはじまる 太陽の塔が伝える縄文の魂 縄文を探す旅から野生の思考へ ケルトと縄文に共通する世界観 4 「縄文族 JOMON TRIBE 」の全貌 ブラックワークのスペシャリスト大島托との遭遇 最も原始的なタトゥーの現場を訪ねて 民族タトゥーの復興とブラックワークの未来 九〇年代の世界的なタトゥー流行 なぜ、縄文人はタトゥーを彫るのか? 原始的な手彫りと最新のタトゥーマシーン アートギャラリーでの展示と海外進出 メイキング・オブ「縄文族JOMON TRIBE」大島托×ケロッピー前田 いつかは誰かがやらなきゃいけない〝最初の縄文人(The First Jomon Man)゛の登場 5 パリ、ケ・ブランリ美術館のタトゥー展 タトゥー人気を象徴する大規模展示 なぜ、世界的なタトゥーブームが起こったのか? 古代、すべてのタトゥーをした人たち タトゥーマシーン登場と日本の刺青 民族タトゥーの復興と現代のタトゥー アカデミックな世界でタトゥー研究が進んだ理由 百年前にもあった世界的なタトゥー流行 夢のタトゥー・ミュージアムが残してくれたもの 6 失われつつあるタトゥー文化を復興せよ! ロスで体験したフィリピンの原始的な手彫り 絶滅寸前の首狩族カリンガのタトゥー 失われたタトゥー技法と文様を蘇らせる 本当に人間の首を狩ったナタを持ってみる 7 タトゥー人類学者ラース・クルタク 原始的なタトゥーを自ら体験する理由 最も古いタトゥー文化を残しているのはどこか ミイラにみられる医療目的のタトゥー 8 タトゥーをしたミイラに会いに行く! 人類最古の芸術行為は洞窟壁画か、タトゥーか 皮膚の上に動物たちがひしめくパジリクのミイラ アイスマンから学ぶ、古代のタトゥー 終章 縄文タトゥーを復興するのは一万年後の未来のため 日本にもタトゥーカルチャーの新しい風が吹く 失われた沖縄のイレズミ文化「ハジチ」 タトゥーを通して、縄文の文様を世界へ、そして未来へ あとがき 参考文献 Author ケロッピー前田 1965年東京生まれ、千葉大学工学部卒、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。主な著書に、前田亮一『今を生き抜くための70年代オカルト』(光文社新書)、ケロッピー前田『クレイジートリップ』(三才ブックス)『クレイジーカルチャー紀行』(角川書店)など。 大島 托 Taku Oshima タトゥーアーティスト。1993年に世界一周の夢を抱き、最初に訪れたインドでタトゥーと出会い、その後にプロの彫師となる。黒一色の文様を刻むトライバル・タトゥーおよびブラックワークのスペシャリストとして国際的にも高く評価されている。ポリネシア(タヒチ、ニュージーランドなど)を訪ねて部族的文様を学んだ他、ボルネオのイバン族、カリマンタンのダヤク族、スマトラのメンタワイ族、インドのナガ族など、最も原始的な民族タトゥーを残す地域に実際に赴いてリサーチし、それらを再現するばかりでなく、現代的なタトゥーデザインに取り入れて洗練された作品へと昇華させていくクリエイティヴィティの高さには定評がある。
-
人類学とは何か
¥1,980
他者と“ともに”学ぶこと―― 他者と向き合い、ともに生きるとは、どういうことか。 人類学は、未来を切り拓くことができるのか。 現代思想、アートをはじめ、ジャンルを超えた影響と挑発をあたえつづけるティム・インゴルド。世界の知をリードする巨人が語る、人類学と人類の未来。世界が直面する未曾有の危機にどう立ち向かうべきか。インゴルドの思想の核心にして最良の人類学入門。 [出版社より] 著 者|ティム・インゴルド 出版社|亜紀書房 定 価|1,800円+税 判 型|四六判 頁 数|192 ISBN |978-4-7505-1595-3 初 版|2020年3月 Contents 第1章 他者を真剣に受け取ること 第2章 類似と差異 第3章 ある分断された学 第4章 社会的なるものを再考する 第5章 未来に向けた人類学 解説 原注 読書案内 Author ティム・インゴルド Tim Ingold 1948年イギリス・バークシャー州レディング生まれの人類学者。1976年にケンブリッジ大学で博士号を取得。1973年からヘルシンキ大学、マンチェスター大学を経て、1999年からアバディーン大学で教えている。現在、アバディーン大学教授。主な著作に、The Appropriation of Nature: Essays on Human Ecology and Social Relations. 1981. The Perception of the Environment: Essays in Livelihood, Dwelling and Skill. 2000. 『ラインズ―線の文化史―』(2014年、左右社)、Being Alive: Essays on Movement, Knowledge and Description. 2011. 『メイキング―人類学・考古学・芸術・建築―』(2017年、左右社)、『ライフ・オブ・ラインズ―線の生態人類学―』(2018年、フィルムアート社)などがある。 Translator 奥野 克巳 Katsumi Okuno 立教大学異文化コミュニケーション学部教授。著作に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(2018年、亜紀書房)など多数。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える―人間的なるものを超えた人類学』(2016年、亜紀書房)、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ―シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(2018年、亜紀書房)。 宮崎 幸子 Sachiko Miyazaki 立教大学大学院博士後期課程に在学。文化人類学専攻。 論文に「相馬野馬追の『人と馬』の関係から福島県相双地方の復興を探る―マルチスピーシーズ民族誌の可能性―」(2018年、立教大学異文化コミュニケーション研究科修士論文)がある。