-
中学生から知りたいパレスチナのこと
¥1,980
SOLD OUT
この本から、始まる。 新しい世界史=「生きるための世界史」。 あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話からはじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。 世界史は書き直されなければならない。 ー 岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」 小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」 藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」 [出版社より] 著 者|岡真理・小山哲・藤原辰史 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|224 ISBN|9784911226063 発 行|2024年07月 Contents はじめに(岡真理) Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題 岡真理「ヨーロッパ問題としてのパレスチナ問題――ガザのジェノサイドと近代五百年の植民地主義」 「ユダヤ人のパレスチナ追放による離散」は史実にない/ジェノサイドが終わるだけでは不十分/ハマスの攻撃は脱植民地化を求める抵抗/イスラエル政府の発表をうのみにしてはいけない/ジェノサイドはいかなるシステムによって可能になったのか/人文学=ヒューマニティーズから考える/ガザを見たとき、日本は自国の植民地主義を想起できているか/壁一枚を隔て、安楽な生活を享受する者/「人種」はヨーロッパ植民地主義が「発明」したもの/シオニズム運動――反セム主義に対する反応/国家維持のためにホロコーストの記憶を利用する/近代学問に内包されるレイシズム 藤原辰史「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題はなぜ軽視されてきたか」 ナチズム研究者はナチズムと向き合いきれていない/ドイツとイスラエルをつなぐ「賠償」 /ふたつの歴史家論争/誰のための「記憶文化」か/ドイツは過去を克服した優等生なのか?/「アウシュヴィッツは唯一無二の悪だ」/奴隷制は終わっていない/経済の問題、労働の問題としてのナチズム Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える 小山哲「ある書店店主の話――ウクライナとパレスチナの歴史をつなぐもの」 ふたつの戦争のつながり/長い尺度で問題を捉える/ポーランド書店 E. ノイシュタイン/ウクライナ-ポーランド-イスラエルを結ぶ生涯/イスラエルをリードした東ヨーロッパ出身者/「国家なき民族」の国歌/シオニズム運動はドレフュス事件より前にはじまっていた/民族運動の母体となった地域/移住して国家を建設するという発想/日本も「外部」ではない/「敵は制度、味方はすべての人間」 藤原辰史「食と農を通じた暴力――ドイツ、ロシア、そしてイスラエルを事例に」 私たちの食卓の延長にある暴力/投機マネーがもたらす飢餓/プーチンの農業政策は外交の武器/ウクライナの穀物を狙う米中/国際穀物都市オデーサ/飢餓計画を主導したヘルベルト・バッケ/ホロコーストの影に隠れる「入植と飢餓」/飢えてはならない人と、飢えてもいい人/イスラエルの食と水を通じた暴力/飢餓とは「低関心」による暴力 Ⅲ 鼎談 『本当の意味での世界史』を学ぶために 今の世界史は地域史の寄せ集め/「西」とはなんなのか?/ナチズムは近代西洋的価値観の結晶/「食を通じたイスラエルの暴力」に目が向かなかった反省/私たちの生活が奴隷制に支えられている/日本史、西洋史、東洋史という区分は帝国時代のもの/西洋史でパレスチナ研究をしたっていいはずなのに/ポーランドのマダガスカル計画/民族の悲哀を背負ったポーランドは、大国主義でもあった/イスラエル問題ではなく「パレスチナ問題」/イスラエルの暴力の起源は東欧に?/今のイスラエルのやり方は異常/押してはいけないボタン/核の時代の世界史/「反ユダヤ主義」という訳の誤り おわりに(小山哲) 本書成立の経緯(藤原辰史) Author 岡 真理 Mari Oka 1960年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。主な著書に『ガザとは何か』『記憶/物語』『彼女の「正しい」名前とは何か』『棗椰子の木陰で』『アラブ、祈りとしての文学』『ガザに地下鉄が走る日』。 小山 哲 Satoshi Koyama 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。 藤原 辰史 Tatsushi Fujihara 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年『ナチス・ドイツの有機農業』で日本ドイツ学会奨励賞、2013年『ナチスのキッチン』で河合隼雄学芸賞、2019年日本学術振興会賞、同年『給食の歴史』で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』でサントリー学芸賞を受賞。『カブラの冬』『稲の大東亜共栄圏』『食べること考えること』『トラクターの世界史』『食べるとはどういうことか』ほか著書多数。
-
中学生から知りたいウクライナのこと
¥1,760
SOLD OUT
生きることの歴史、生きのびるための道。 黒土地帯、第二次ポーランド分割、コサック……。地理や世界史の教科書にも載っているこうした言葉に血を通わせる。「ウクライナを知る」第一歩はここからはじまる。二人の歴史学者が意を決しておこなった講義・対談を完全再現。緊急発刊。 「小国を見過ごすことのない」歴史の学び方を、今こそ! ・ロシアが絶対に許されない理由…? ・西側諸国、日本が犯してきた罪…? ・「プーチンが悪い」という個人還元主義では、負の連鎖は止まらない…? [ MSLive! BOOKSとは? ] ミシマ社が2020年5月にスタートしたオンラインイベント、「MSLive!」。 「MSLive! BOOKS」は、オンラインイベントのライブ感をそのまま詰め込んだ書籍シリーズです。イベントに参加くださった方々から、イベントの内容を活字化したものを販売してほしいというリクエストをたくさんいただき、実現することになりました。 [出版社より] 著 者|小山哲・藤原辰史 出版社|ミシマ社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|208 ISBN|9784909394712 発 行|2022年06月 Contents はじめに Ⅰ ウクライナの人びとに連帯する声明(自由と平和のための京大有志の会) Ⅱ ウクライナ侵攻について(藤原辰史) Ⅲ 講義 歴史学者と学ぶウクライナのこと 地域としてのウクライナの歴史(小山哲) 小国を見過ごすことのない歴史の学び方(藤原辰史) Ⅳ 対談 歴史学者と学ぶウクライナのこと(小山哲・藤原辰史) Ⅴ 中学生から知りたいウクライナのこと 今こそ構造的暴力を考える(藤原辰史) ウクライナの歴史をもっと知るための読書案内(小山哲) おわりに Author 小山 哲 Satoshi Koyama 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。 藤原 辰史 Tatsushi Fujihara 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年『ナチス・ドイツの有機農業』で日本ドイツ学会奨励賞、2013年『ナチスのキッチン』で河合隼雄学芸賞、2019年日本学術振興会賞、同年『給食の歴史』で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』でサントリー学芸賞を受賞。『カブラの冬』『稲の大東亜共栄圏』『食べること考えること』『トラクターの世界史』『食べるとはどういうことか』ほか著書多数。
-
ちゃぶ台 13 三十年後
¥1,980
大地震、地球沸騰化、食糧危機、生物種激減……。 こうした事態が確実に起こっている、三十年後。不安ばかりが先行するが、今、私たちは何をどう考えていけばいいのだろう? ・巻頭漫画 益田ミリ「コーヒーを飲みながら」 ・巻頭インタビュー 松村圭一郎「日本の最先端は周防大島にあり」 ・三浦豊×宮田正樹「森と土を愛してやまない二人が語る『三十年後』」 ・特集「三十年後」書き下ろしエッセイ6本! 万城目学/土井善晴/佐藤ゆき乃/上田誠/白川密成/猪瀬浩平 ・尾崎世界観 書き下ろし小説「げーと」 *装画=ミロコマチコ [出版社より] 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|192 ISBN|9784911226117 発 行|2024年10月 Contents 益田ミリ「コーヒーを飲みながら」(漫画) 松村圭一郎「日本の最先端は周防大島にあり」(インタビュー) ●特集 書き下ろし6本! 万城目学「来たるべき時代」(エッセイ) 土井善晴「私たちの『私』を知る」(随筆) 佐藤ゆき乃「永眠のためのアイスクリーム」(エッセイ) 上田誠「劇団と劇の残しかた 時をかけるか、劇団」(エッセイ) 白川密成「三十年後もボクは坊さん?」(エッセイ) 猪瀬浩平「『三十五年に一度マツリが生まれるんだよ』」(エッセイ) ●ちゃぶ台の中の周防大島 三浦豊×宮田正樹(対談)「森と土を愛してやまない二人が語る『三十年後』」 中村明珍「声がやってくるところ」(エッセイ) 内田健太郎「三十年後の僕へ、あるいは君へ」(エッセイ) ●連載 伊藤亜紗「会議の研究(4) 福祉事業所の合意未満」(論考) 斉藤倫「三十年」(児童文学) 齋藤陽道「私がそこにいない風景をあるがままに愛するには」(フォトエッセイ) 榎本俊二「ギャグマンガ家山陰移住ストーリー PART12」(漫画) 藤原辰史「民と文字文化」(論考) 益田ミリ・平澤一平「未来」(漫画) 尾崎世界観「げーと」(小説) 寄藤文平「絵の話。未来の描き方その7」(絵と言葉) 書店、再び共有地(レポート) 本灯社〈福岡県福岡市〉 ほなび〈広島県庄原市〉 三島邦弘(ブックレビュー) 編集後記 Editor ミシマ社は、「原点回帰の出版社」として2006年10月に創業。東京・自由が丘、京都府京都市の二拠点で、「一冊入魂」の出版活動を展開中。取次店などを介さない「直取引」という営業スタイルで「一冊」を全国の書店に卸している。
-
ちゃぶ台 12 捨てない、できるだけ
¥1,980
私たちが日々している「捨てる」って、なんだろう? 捨てない生活、仕事、商売は、できる? 地球環境が「九回裏」の状況にある今、ゴミ処理最前線の町と本づくりの現場から探る! ・藤原辰史さんインタビュー「九回裏の『捨てる』考」 ・「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」ってどんなところ?(レポート) ・土井善晴×大塚桃奈「『ゼロ・ウェイスト』ってなんですか?」(対談) ・平尾剛×中野遼太郎「下手でも『楽しい』を捨てない これからのスポーツ考」(対談) [出版社より] 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|164 ISBN|9784909394989 発 行|2023年12月 Contents 藤原辰史「九回裏の『捨てる』考」(インタビュー) 「『上勝町ゼロ・ウェイストセンター』ってどんなところ?」(レポート) 土井善晴×大塚桃奈「『ゼロ・ウェイスト』ってなんですか?」(対談) 益田ミリ「列車・箱・宝物」(漫画) 津村記久子「持たされるゴミと缶と保冷剤」(エッセイ) 伊藤亜紗「会議の研究(3) ワーカーズコープの共同想像」(論考) 平尾剛×中野遼太郎「下手でも『楽しい』を捨てない これからのスポーツ考」(対談) 斉藤倫「しっぽをなくした、むかしのじんるい」(児童文学) 齋藤陽道「沁みた記憶」(フォトエッセイ) 「シナノ印刷さんに訊く! 本づくり、どれくらいのゴミが出てますか?」(インタビュー) 「新レーベル『捨てないミシマ社』って何?」(お知らせ) 作・益田ミリ、絵・平澤一平「げっ歯の会」(漫画) 内田健太郎「ペー君と茶碗」(エッセイ) 榎本俊二「ギャグマンガ家山陰移住ストーリー PART11」(漫画) 藤原辰史「捨てる民の精神誌 生態と消費のはざまで」(論考) 「書店、再び共有地」(レポート) Books & Cafeコトウ〈福島県福島市〉 ReBuilding Center JAPAN〈長野県諏訪市〉 中村明珍「頭髪は偉大、頭皮は憩いの場」(エッセイ) バッキー井上「あとはオボロ、オボロ影。そしてまた俺は、真俯瞰にいる。 第三部 そして俺たちは欲どおしい。」(コラム) 寄藤文平「図の話。未来の描き方その6」(絵と言葉) 三島邦弘(ブックレビュー) 編集後記 Editor ミシマ社は、「原点回帰の出版社」として2006年10月に創業。東京・自由が丘、京都府京都市の二拠点で、「一冊入魂」の出版活動を展開中。取次店などを介さない「直取引」という営業スタイルで「一冊」を全国の書店に卸している。
-
ちゃぶ台 11 自分の中にぼけを持て
¥2,200
SOLD OUT
世の中は、ピントを合わせる方向に進みすぎている、かも――。 生活にも、制度にも、仕事にも、あらゆることに、「ぼけ」が効いてくるのではないか? ・村瀨孝生さん(「宅老所よりあい」代表) 随筆「僕の老い方研究」 ・山極壽一さん インタビュー「山極先生、ゴリラは『ぼけ』るんですか?」 ・若林理砂さん(鍼灸師)、上田誠さん(劇作家)、平野愛さん(写真家) 特別エッセイ「自分の中にぼけを持つための3箇条」 ・・・など、「ぼけ」の力に迫る読み物を多数収録。 [出版社より] 出版社|ミシマ社 定 価|2,000円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|196 ISBN|9784909394897 発 行|2023年06月 Contents 村瀨孝生「僕の老い方研究」(随筆) 益田ミリ「桜の下で」(漫画) 斉藤倫「ひぐれのうえき」(児童文学) 平野愛「自分の中にぼけを持つための三箇条」(エッセイ) 津村記久子「共にぼける」(エッセイ) 土井善晴「パンドラの箱を開けるな!」(随筆) 上田誠「自分の中にぼけを持つための三箇条」(エッセイ) バッキー井上「あとはオボロ、オボロ影。そしてまた俺は、真俯瞰にいる。」(コラム) 伊藤亜紗「会議の研究(2) 建築現場の青空会議」(論考) 若林理砂「自分の中にぼけを持つための三箇条」(エッセイ) 益田ミリ・平澤一平「宿題」(漫画) 藤原辰史「蛇と民の叙事詩」(論考) 齋藤陽道「一枚と一枚のあいだに、ちいさな祈りがこもるとき」(フォトエッセイ) 榎本俊二「ギャグマンガ家山陰移住ストーリー PART10」(漫画) 山極壽一「山極先生、ゴリラは『ぼけ』るんですか?」(インタビュー) 尾崎世界観「カット」(小説) 内田健太郎「メメント森田さん」(エッセイ) 「書店、再び共有地」(レポート) 恭文堂書店〈東京・学芸大学〉 句読点〈島根・出雲〉 中村明珍「いぶしてこそ人生」(エッセイ) 滝口悠生「御身と御前」(小説) 寄藤文平「動勢の話。未来の描き方その5」(絵と言葉) 三島邦弘(ブックレビュー) 編集後記 Editor ミシマ社は、「原点回帰の出版社」として2006年10月に創業。東京・自由が丘、京都府京都市の二拠点で、「一冊入魂」の出版活動を展開中。取次店などを介さない「直取引」という営業スタイルで「一冊」を全国の書店に卸している。
-
ホホホ座の反省文
¥1,980
「ていねいな暮らし」「セレクトショップ」「夢を持とう!」 ——そういうものに疲れてしまったすべての人へ。 2015年4月、京都・左京区に「ホホホ座」浄土寺店が開店。その後、全国に10店の「ホホホ座」が誕生。それらは支店でも、フランチャイズでも、のれん分けでもない。店名を共有しているだけで、全く別の店……。 その関係性の不思議さと店が「続く」謎を、二人の半生を通して探った、反省の書。 [出版社より] 著 者|山下賢二・松本伸哉 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六変形判・並製 頁 数|208 ISBN|9784909394224 発 行|2019年06月 Contents 第1章 ホホホ座への道 第2章 左京区ゆるい問題と「どう食う?」問題 第3章 店を耕す農夫たち ~加地猛との対話~ 第4章 ホホホ座のやり口 第5章 親戚紹介 第6章 往復便多 終章 わたしたちの日々 Author 山下 賢二 Kenji Yamashita 1972年、京都生まれ。2004年に「ガケ書房」を開店。2015年4月1日、「ガケ書房」を移転・改名し「ホホホ座」を開店。著書に『ガケ書房の頃』(夏葉社)、編著として『わたしがカフェをはじめた日。』(小学館)、絵本に『やましたくんはしゃべらない』(中田いくみ・絵、岩崎書店)などがある。 松本伸哉 Shinya Matsumoto 1967年、京都生まれ。90年代後半よりレコード屋「MENSOUL RECORDS」を10年間経営。その後、映画のバイヤー、制作などをしつつ2011年、古本、雑貨の店「コトバヨネット」を開店、2015年よりホホホ座。ホホホ座2階、1階奥ギャラリー、浄土寺センターの店主。
-
小さき者たちの
¥1,980
「私は日本のことを、自分たちのことを何も知らなかった」——「おわりに」より。 水俣、天草、須恵村……。故郷・熊本の暮らしの記録を初めて解く。現代の歪みの根源を映し出す、今を生きる人たち必読の生活誌。 世界を動かしてきたのは、いつも、小さき者たちだった。 はたらく、まじわる、くに……。 消えかけていた声を拾い、紡いだ、渾身の二一編。気鋭の人類学者の新たな代表作。 「本書では、私が生まれ育った九州・熊本でふつうの人びとが経験してきた歴史を掘り下げようとした。とくに私が地元でありながらも目を背けてきた水俣に関するテキストを中心に読みこみ、自分がどんな土地で生を受けたのか、学ぼうとした。そこには日本という近代国家が民の暮らしに何をもたらしてきたのか、はっきりと刻まれていた」——「はじめに」より。 [出版社より] 著 者|松村圭一郎 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六変形判・並製 頁 数|208 ISBN|9784909394811 発 行|2023年01月 Contents Ⅰ 水俣1 一、はたらく 二、おそれる 三、いのち 四、まじわる 五、うつろう 六、かかわる 七、うえとした Ⅱ 水俣2 八、やまい 九、こえる 一〇、うつしだす 一一、ひきうける 一二、たちすくむ Ⅲ 水俣3 一三、ねがい 一四、たりない 一五、かお 一六、あいまみえる Ⅳ 天草 一七、こえ 一八、くに Ⅴ 須恵村 一九、いのる 二〇、おとことおんな 二一、みえないもの Author 松村 圭一郎 Keiichiro Matsumura 1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(第七二回毎日出版文化賞特別賞)、『くらしのアナキズム』(以上、ミシマ社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『これからの大学』(春秋社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。
-
ええかげん論
¥1,980
コロナ、政治、気候…不安は尽きねどもまずは日常を整える。その智恵がここに。 正解は、いつも同じではない。けれど、自分のコンディションを整え、「今・ここ」を感じていれば、おのずと「ある一点」がわかるようになる。 料理から、そして保守や仏教の思想から、それぞれに「ええかげん」を探求してきた二人による、自立して豊かに生きるための「ええかげん」論。フキノトウの天ぷら、ほんれんそうのおひたしの実演(写真入り)やインド珍道中のおまけコラムも。『料理と利他』深化版。 [出版社より] 「ええかげん」の中に、ええことも、わるいこともぜんぶあるんです。……一生懸命の道中楽しみましょ」――土井 「(リベラル保守の)考え方と、土井先生がおっしゃる「ええかげん」は、つながっているんじゃないか、と思っていたんです」――中島 著 者|土井善晴・中島岳志 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|192 ISBN|978-4-909394-45-3 発 行|2022年10月 Contents 第1回 利他のコンディション 第2回 「ええかげん」に気づく人になる 第3回 ふつうはえらい Author 土井 善晴 Yoshiharu Doi 料理研究家。1957年、大阪生まれ。フランス料理や日本料理を学んだ後、土井勝料理学校講師を経て、1992年に「おいしいもの研究所」を設立。十文字学園女子大学招聘教授、東京大学先端科学研究センター客員研究員。NHK「きょうの料理」、テレビ朝日「おかずのクッキング」の講師を各30年務めている。著書に『一汁一菜でよいという提案』『おいしいもののまわり』『土井善晴の素材のレシピ』などがある。 中島 岳志 Takeshi Nakajima 1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。北海道大学大学院准教授を経て、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『思いがけず利他』『パール判事』『朝日平吾の鬱屈』『保守のヒント』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『岩波茂雄』『アジア主義』『保守と立憲』『親鸞と日本主義』、共著に『料理と利他』『現代の超克』などがある。
-
動物になる日
¥2,420
SOLD OUT
死んだ人の形見を貰えるとしたら匂いがほしい。 モデル、エッセイ、ラジオパーソナリティなど、多彩な活動が注目を集める著者による、はじめての書き下ろし小説集。少女の感性をみずみずしく描き、あらゆる境界をゆさぶる表題作「動物になる日」と初小説作品「うどん」を収録。素朴な疑問を手放さず、現代の生を潔く鮮やかに問う意欲作。 [出版社より] 著 者|前田エマ 出版社|ミシマ社 定 価|2,200円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|200 ISBN|9784909394682 発 行|2022年06月 Contents 動物になる日 うどん Author 前田 エマ Ema Maeda 1992年神奈川県生まれ。東京造形大学卒業。モデル、写真、ペインティング、ラジオパーソナリティなど、活動は多岐にわたり、エッセイやコラムの執筆も多数おこなっている。ミシマ社が発刊する雑誌『ちゃぶ台』にエッセイ「習字のこと」(6号)「中学の頃」(7号)「高校受験」(9号)を寄稿。本書が初の小説集となる。
-
ちゃぶ台 8 さびしいがひっくり返る
¥1,870
SOLD OUT
土井善晴(随筆)、津村記久子(エッセイ)、齋藤陽道(フォトエッセイ)、三好愛(絵と言葉)、斉藤倫(創作)、益田ミリ(漫画)・・・など、いま、私の「さびしい」が、足元から変わっていく! 生活者のための、新しい運動のかたちがここに――。 ・松村圭一郎×村瀨孝生(対談)「弱さとアナキズム」(イベントアーカイブ動画も販売中) ・藤原辰史(論考)「民間人について」 ・工藤律子(ルポ)「人のつながり、命のつながり パンデミック下のスペインより」 他にも、珠玉の読み物が集結!! 滝口悠生(書き下ろし小説)、寄藤文平(絵と言葉)、榎本俊二(漫画)、中村明珍(エッセイ)、内田健太郎(聞き書き)、益田ミリ・平澤一平(漫画)、須山奈津希(絵と言葉)、「面白い本屋さん」紹介コーナー・・・など。 さらに、ミシマ社創業15周年記念鼎談も必読! 中島岳志×辻山良雄(本屋Title)×三島邦弘「著者、書店主と考える これからの本のこと」 あまりに面白い雑誌になり、驚くばかりです。――本誌編集長・三島邦弘 [出版社より] 出版社|ミシマ社 定 価|1,700円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|200 ISBN|978-4-909394-60-6 発 行|2021年11月 Contents 益田ミリ「仮りの世界」(漫画) 津村記久子「『さびしい』をひっくり返す」(エッセイ) 三好愛「おかえりアイロン」(絵と言葉) 斉藤倫「ビルさん」(創作) 村瀨孝生/松村圭一郎「弱さとアナキズム」(対談) 工藤律子「人のつながり、命のつながり パンデミック下のスペインより」(ルポ) 藤原辰史「民間人について」(論考) 齋藤陽道「人間が始まる」(フォトエッセイ) 榎本俊二「ギャグマンガ家山陰移住ストーリーPART7」(漫画) 滝口悠生「梅干と金盥」(小説) 内田健太郎「アロハ警察、山火事に遭う」(エッセイ) 土井善晴「地球と料理」(随筆) 寄藤文平「配置の話。 未来の描き方その2」(絵と言葉) 中村明珍「ダイナミック野景」(エッセイ) 中島岳志/辻山良雄/三島邦弘「著者、書店主と考える これからの本のこと」(鼎談) 益田ミリ/平澤一平「万年じいさま」(漫画) 面白い本屋さん 1/井戸書店 2/曲線 3/本屋・生活綴方(レポート) 須山奈津希「Reflection」(漫画) 編集後記
-
ちゃぶ台 6 非常時代を明るく生きる
¥1,760
SOLD OUT
リニューアル創刊号! 「ミシマ社の雑誌」から「生活者のための総合雑誌」へと装いを改め、特集には、「非常時代を明るく生きる」を据えました。 益田ミリ「のび太と遊んだ空き地」、土井善晴「地球とAIと人間」、藤原辰史×松村圭一郎「分解とアナキズム」、町屋良平「猫の顎のしたの三角のスペース」、齋藤陽道「時間が残った」、タルマーリー・渡邉麻里子「なるべくお金を払うようにしたい」など、すべての執筆者・登場者による渾身の記事ばかりが揃いました。 気候変動も、感染症も、人類が一度も経験したことのないスケールで起きています。必然、私たちの生き方も大きく変えざるをえません。日々を不安に過ごしていたり、モヤモヤから抜けでれずにいる多くの生活者たちに、切実に届けたい一誌となりました。 [出版社より] 出版社|ミシマ社 定 価|1,600円+税 判 型|四六変型判・並製 頁 数|190 ISBN|978-4-909394-42-2 発 行|2020年11月 Contents 益田ミリ のび太と遊んだ空き地 土井善晴 地球とAIと人間 藤原辰史×松村圭一郎 分解とアナキズム 町屋良平 猫の顎のしたの三角のスペース 中村明珍 土と子と木と水と火、形が似てる 齋藤陽道 時間が残った 平川克美 止むを得ず贈与経済。 変わるものと、変わらないもの、変えられるものと、変えられないものについて 渡邉麻里子(タルマーリー) なるべくお金を払うようにしたい 猪瀬浩平 さびしい社会、にぎやかな世界 前田エマ 習字のこと 高橋久美子 約束/夜の手紙 中田兼介 いきものを見る目 サマースクールを終えて 木村俊介 「文藝」編集長・坂上陽子さんインタビュー 榎本俊二 ギャグマンガ家山陰移住ストーリーPART5 春日太一 時代劇聖地巡礼は突然に 内田健太郎 暮らしと浄土 JODO & LIFE 松村圭一郎 国家なき社会の政治リーダー考――はじめてのアナキズム(2)
-
ちゃぶ台 Vol.5 宗教×政治
¥1,760
SOLD OUT
「無宗教です」は通じない! 無政府状態は始まっている!? あの「周防大島40日間断水」で、何が起こったのか? 日本の問題がすべてここに凝縮していた…。 尾崎世界観(インタビュー)、滝口悠生(小説)、藤岡拓太郎、岡田武史「今治からの小さな革命」、内田樹、益田ミリ、森田真生ほか。ミシマ社の雑誌、第5弾! [ ミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』とは? ] お金や政治にふりまわされず、「自分たちの生活 自分たちの時代を 自分たちの手でつくる」。創刊以来、その手がかかりを、「移住」「会社」「地元」「発酵」などさまざまな切り口から探ってきました。本号では、「宗教」と「政治」を特集の二本柱に据えました。これからの宗教とは? 政治にどう向き合えばいいか? 災害、毎年のように起こる人災。くわえて、外国人労働者受け入れ策など議論なきまま進む政策。すさまじい勢いで進む人口減少。 大きな問題に直面する現代、私たちはどうすれば、これまでとまったく違う価値観を大切にする社会を構築できるのか。「ちゃぶ台」が、未来にたいして、明るい可能性を見出す一助になればと願ってやみません。 ——本誌編集長 三島邦弘 [出版社より] 出版社|ミシマ社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判・コデックス装 頁 数|224 ISBN|978-4-909394-42-2 発 行|2019年10月 Contents 益田ミリ なぞのバスツアー 内田樹 街場の宗教論(序) 150年の怨讐の彼方から蘇る「動く宗教性」 ミシマ社編集部 周防大島の断水は『非常時』ではなかった!? 松村圭一郎 はじめてのアナキズム 藤岡拓太郎 2ページまんが ちゃぶ台 タルマーリー 渡邉格 田舎のパン屋が語る政治の話 三浦豊 森の案内人、「糺の森」の言霊に迫る! 木村俊介 尾崎世界観さんインタビュー 音楽は、「寝っ転がってやる、ものづくり」 滝口悠生 競馬と念仏 石井美保 花をたむける 榎本俊二 ギャグマンガ家山陰移住ストーリーPART4 最相葉月×三田一郎 物理学者は“神”を見る ブックレビュー『それしかないわけないでしょう』 藤原辰史 縁食論(4)――食を聴く 中村明珍 こみゅにてぃわ 内田健太郎 地域力という生命線 白川密成×岡田武史 今治からの小さな革命 釈徹宗 「無宗教です」が通じない時代 森田真生 聴(ゆる)し合う神々 編集後記
-
ちゃぶ台 Vol.2 革命前々夜
¥1,760
SOLD OUT
ミシマ社の雑誌 第二弾! 景気や政治や時代にふりまわされることなく育ちつつある「未来の小さな形」を、「食」と「会社」という切り口から追う。カンパニー(一緒に食べる)、複業・百姓(百の仕事)、地方(じかた)、手作り......希望の「今」がここに。 もともと、会社というのは、以前、鷲田清一先生に教えていただいたように「食をともにする」ために人類が産み出した共同体のはずです。ところが、現状の会社は、株主のほうばかりを向いて、利益、効率が最優先。顧客もそこで働く人たちの気持ちも置いてけぼり。まして、「一緒に食べるために一緒に働いている」なんてことは、はるか遠くに......。 はたして、これから会社はどうなっていくのか? 今が末期とすれば、「次のかたち」は、もうすでに水面下で起きているにちがいない。 ――「はじめに」より [出版社より] 出版社|ミシマ社 定 価|1,600円+税 判 型|四六判・コデックス装 頁 数|192 ISBN|978-4-903908-85-4 発 行|2016年10月 Contents *特集0 「食×会社」を考える 周防大島の農家さんを訪ねて 山本ふみこ /おみおつけの<み>を何にするか *特集1 会社の終わり、companyの始まり 平川克美 /株式会社の終焉 近藤淳也 /会社の人たちと「食べる」ことについて 中山咲子 /まかないのさっこちゃん 山口ミルコ /ダーチャでニチェボー 藤原辰史 /縁食論――孤食と共食のあいだ 植本一子 /言葉をもらう 榎本俊二 /ギャグマンガ家山陰移住ストーリー ブックレビュー 内澤旬子『漂うままに島に着き』 佐藤ジュンコ/甘辛ジュンコの人生案内 矢萩多聞 /おなじ釜のビリヤーニー *特集2 百姓のすすめ 宮田正樹 /命をつなぐ仕事を 小野邦彦 /ブレのある野菜を流通・販売する 後藤正文 /どんな音楽を選んで聴くのかも、どこかで社会に関わってる 井川直子 /過去のすべてに恩返しする 鷲田清一 /集団として生き延びていくために 中村明珍 /里山のDIY野郎 内田健太郎 /マルシェを「つづける」ということ 加地猛 /コンビニをやりたい 益田ミリ /なんとなく、未来の夏休み 少し長めの編集後記
-
うしろめたさの人類学
¥1,870
SOLD OUT
市場、国家、社会...…。断絶した世界が、「つながり」を取り戻す。 その可能性を、「構築人類学」という新たな学問手法で追求。強固な制度のなかにスキマをつくる力は、「うしろめたさ」にある! 「批判」ではなく「再構築」をすることで、新たな時代の可能性が生まれる。第72回毎日出版文化賞特別賞受賞。 「世の中どこかおかしい。なんだか窮屈だ。そう感じる人は多いと思う。でも、どうしたらなにかが変わるのか、どこから手をつけたらいいのか、さっぱりわからない。国家とか、市場とか、巨大なシステムを前に、ただ立ちつくすしかないのか。(略)この本では、ぼくらの生きる世界がどうやって成り立っているのか、その見取り図を描きながら、その「もやもや」に向き合ってみようと思う」――「はじめに」より [出版社より] 著 者|松村圭一郎 出版社|ミシマ社 定 価|1,700円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|192 ISBN|978-4-903908-98-4 発 行|2017年09月 Contents はじめに 第一章 経済――「商品」と「贈り物」を分けるもの 第二章 感情――「なに/だれ」が感じさせているのか? 第三章 関係――「社会」をつくりだす 「社会」と「世界」をつなぐもの 第四章 国家――国境で囲まれた場所と「わたし」の身体 第五章 市場――自由と独占のはざまで 第六章 援助――奇妙な贈与とそのねじれ 終 章 公平――すでに手にしているものを道具にして おわりに 「はみだし」の力 Author 松村 圭一郎 Keiichiro Matsumura 1975年、熊本生まれ。京都大学総合人間学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。岡山大学大学院社会文化科学研究科/岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを続け、富の所有と分配、貧困や開発援助、海外出稼ぎなどについて研究。著書に『所有と分配の人類学』(世界思想社)、『文化人類学 ブックガイドシリーズ基本の30冊』(人文書院)がある。
-
くらしのアナキズム
¥1,980
SOLD OUT
国家は何のためにあるのか? ほんとうに必要なのか? 「国家なき社会」は絶望ではない。希望と可能性を孕んでいる。よりよく生きるきっかけとなる、〈問い〉と〈技法〉を人類学の視点からさぐる。 ◎本書でとりあげる「人類学者によるアナキズム論」とは… ・国家がなくても無秩序にならない方法をとる ・常識だと思い込んでいることを、本当にそうなのか? と問い直す ・身の回りの問題を自分たちで解決するには何が必要かを考える アナキズム=無政府主義という捉え方を覆す、画期的論考。 [出版社より] 著 者|松村圭一郎 出版社|ミシマ社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|240 ISBN|978-4-909394-57-6 発 行|2021年09月 Contents 第1章 人類学とアナキズム 第2章 生活者のアナキズム 第3章 「国家なき社会」の政治リーダー 第4章 市場のアナキズム 第5章 アナキストの民主主義論 第6章 自立と共生のメソッド―暮らしに政治と経済をとりもどす Author 松村 圭一郎 Keiichiro Matsumura 1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(ミシマ社、第72回毎日出版文化賞特別賞)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『これからの大学』(春秋社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。
-
料理と利他
¥1,650
「自然−作る人−食べる人」という関係のあいだに、利他がはたらく。 コロナの影響下で家にいる時間が長くなり、みなが向き合うことになったのは、料理という人類の根本的な営みのひとつだった。「ポストコロナ」という言葉のもと、世界の劇的な変化が語られがちな中、私たちが見つめ直し、変えられるのは、日常の中にあることから、ではないか。 ベストセラー『一汁一菜でよいという提案』等の著書や料理番組で活躍する料理研究家の土井善晴と、『中村屋のボース』等の著書がある政治学者であり、最近は「利他」を主要なテーマの一つに研究をしている中島岳志。 異色の組み合わせの二人が、家庭料理、民藝、地球環境、直観、自然に沿うこと…等々、縦横無尽に語らい、ステイホーム期間に圧倒的支持を受けたオンライン対談「一汁一菜と利他」を、ライブの興奮そのままに完全再現! [ イベント参加者の声 ] ・視野が一万倍くらい広がりました。 ・日常を生きること料理して食べることが利他と地続きだなんて驚きです。 ・コロナの自粛期間中は、食品の買い出しと食事作りと後片付け、献立や何を買っておくべきかを考えるのがとても大変で、食事周りのことに時間を奪われているみたいで嫌になっていたけれど、おかげさまで気持ちをリセットすることができました。 ・本当に素晴らしい時間でした。まるで和食をいただいたような感覚になりました。一汁一菜と仏教が重なるとは思いもしませんでした。 MSLive!Booksシリーズ創刊第1弾!! [出版社より] 著 者|土井善晴・中島岳志 出版社|ミシマ社 定 価|1,500円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|168 ISBN|978-4-909394-45-3 発 行|2020年12月 Contents 第1回 料理から考えるコロナ時代の生き方 土井さんを通すと「おもしろくなる」現象 ステイホームでわかったこと 「ゆっくり」もええもの 環境問題も「まな板」から 「つくる」は「自然・地球」と「食べる」のあいだにある ほか 第2回 自然に沿う料理 今ここにあるひとつの料理にもちゃんとわけがある 人の暮らしのなかから美しいものができてくる 人間の条件の土台になっているのは、地球と労働 和食の「和える」と「混ぜる」は違う 器に盛ったときにいちばんおいしい状況をつくる ほか Author 土井 善晴 Yoshiharu Doi 料理研究家。1957年、大阪生まれ。フランス料理や日本料理を学んだ後、土井勝料理学校講師を経て、1992年に「おいしいもの研究所」を設立。十文字学園女子大学招聘教授、東京大学先端科学研究センター客員研究員。NHK「きょうの料理」、テレビ朝日「おかずのクッキング」の講師を各30年務めている。著書に『一汁一菜でよいという提案』『おいしいもののまわり』『土井善晴の素材のレシピ』などがある。 中島 岳志 Takeshi Nakajima 1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。北海道大学大学院准教授を経て、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『パール判事』『朝日平吾の鬱屈』『保守のヒント』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『岩波茂雄』『アジア主義』『下中彌三郎』『保守と立憲』『親鸞と日本主義』『保守と大東亜戦争』、共著に『現代の超克』などがある。
-
縁食論――孤食と共食のあいだ
¥1,870
SOLD OUT
子ども食堂、炊き出し、町の食堂、居酒屋、縁側……。 オフィシャルでも、プライベートでもなく。 世界人口の9人に1人が飢餓で苦しむ地球、義務教育なのに給食無料化が進まない島国。ひとりぼっちで食べる「孤食」とも、強いつながりを強制されて食べる「共食」とも異なる、「あたらしい食のかたち」を、歴史学の立場から探り、描く。 現代社会が抱える政治的、経済的問題を「家族や個人のがんばり」に押し付けないために。 [出版社より] 著 者|藤原辰史 出版社|ミシマ社 定 価|1,700円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|192 ISBN|978-4-909394-43-9 発 行|2020年11月 Contents 第1章 縁食とは何か――孤食と共食のあいだ 孤食の宇宙/しわ寄せ引き受け装置/共食という袋小路/子ども食堂の「弱目的性」/ベーシックインカムと食堂/炊き出し/「縁食」という食のあり方/縁食の使用例/「かざぐるま」としての縁食 第2章 縁食のかたち 1 公衆食堂の小史 食をめぐる関係性の貧困/きっかけは第一次世界大戦/文化が集積する場所 2 食の囲い込み 「家族愛」という罠/囲うこと/近代家族とちゃぶ台/学食のパーテーション 3 食の脱商品化考 食べものに値段がなかったら/五つの問題を乗り越える/メカニズムを保つために捨てられる食品/食べものの特質から考える 第3章 縁食のながめ 1 弁当と給食の弁証法 弁当の魅力/弁当の暴力/給食の暴力/弁当と給食の弁証法 2 無料食堂試論 思考の風景/ムラサキシキブの食堂にて/飢餓と関係性/食をめぐるアイディア/有機認証のいらない有機農作物/アテネのアゴラ/インドの無料食堂 3 縁側のタバコ おやつの時間/縁側の力/オフィシャルでもなく、プライベートでもなく/縁食の縁 第4章 縁食のにぎわい 1 死者と食べる 死者のおむすび/大尉の銀シャリ/中国人のトウモロコシ/死者との縁食/死者とともに食べる 2 食を聴く せんべいの音/胎児の聴く音/こすり合う音/縁食の音 3 縁食の祭り――『ポースケ』に寄せて 言葉を飲み込む/佳枝の場合――睡眠障害者の居場所/ヨシカの場合――誰かの薄い気配/ポースケ――縁食の祭り/別れ 第5章 縁食の人文学 1 「もれ」について――「直耕」としての食 生命の動詞、「洩る」/昌益の「土と内臓」論/「もれ」の効用/基本的に食べものは「あまる」 2 パンデミックの孤独――「居心地のよい空間」をめぐる人文学 パンデミックが機能させないもの/ひとり親の声が示す社会の脆弱性/シングルマザーの言葉の有用性/「サードプレイス」について/「サードプレイス」はひとり親を排除するのか/アウシュヴィッツの縁食 Author 藤原辰史 Tatsushi Fujihara 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年『ナチス・ドイツの有機農業』で日本ドイツ学会奨励賞、2013年『ナチスのキッチン』で河合隼雄学芸賞、2019年日本学術振興会賞、同年『給食の歴史』で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』でサントリー学芸賞を受賞。『カブラの冬』『稲の大東亜共栄圏』『食べること考えること』『トラクターの世界史』『食べるとはどういうことか』ほか著書多数。
-
岩とからあげをまちがえる
¥2,200
「えらい。ゴージャス。みちこちゃんがいちばん天才。だいじょうぶだよ。」 大前粟生、物語の世界を大疾走。 100の小説と絵からなる、最新書き下ろし超短編集。ちょっと奇妙で賑やかなみんなの暮らしがここに。 [出版社より] 著 者|大前粟生 出版社|ちいさいミシマ社 定 価|2,000円+税 判 型|四六変形判・並製 頁 数|216 ISBN|978-4-909394-44-6 発 行|2020年12月 Author 大前粟生 Ao Omae 1992年生まれ。小説家。京都市在住。著書に短編小説集『のけものどもの』(惑星と口笛ブックス)、『回転草』『私と鰐と妹の部屋』(以上、書肆侃侃房)、『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(河出書房新社)がある。