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本屋のパンセ——定有堂書店で考えたこと
¥2,420
名店の店主の人生の本200点超を一挙掲載。本から誘われた思索の軌跡。 「本を読むことの先に、本の中のような人生は扉を開いていなかった。とすると本そのものを目的として生きるしかない。本を読むのでもない書くのでもない、本を売るという人生がそこにあった。読むことや書くことは、あまりに一つの人格のもとに緊縛性が強く行き止まりだった。本を売るという人格が、解けなかった人生の問いを一挙に明快なものにしてくれた」——本書「本屋を生きる」より [出版社より] 「定有堂は、本屋が詣でる本屋だった。鳥取まで訪ねていき、奈良さんからふっと宙に放たれて光ることばに、支えられた本屋は自分だけではないはずだ。オブジェが吊られた定有堂の店内を思い出しながら本書を読み、奈良さんのことばを受け継いで実践を続けようという決心が、青空のようにひらけた」 ——NUMABOOKS/本屋B&B・内沼晋太郎 「本が好き、という〈初発衝動〉から奈良さんは店を始めた。本を並べ、ミニコミを出し、読書会をして、対話と思索を続けた。時流に遅れながら外界につながり、終わりはまた始まりになった。時空を歪めた奈良さんは、店を閉めてもまだ本屋でいる」 ——市場の古本屋ウララ・宇田智子 著 者|奈良敏行 編 者|三砂慶明 出版社|作品社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|240 ISBN|978-4-86793-073-1 発 行|2025年02月 Contents はじめに 三砂慶明 第一章 音信不通 本のビオトープ 定有堂のウォールデン池/オースターの『幽霊たち』/『音信不通』あるいは存在と思索/ブック・ビオトープ/柴田信さんのこと/けものみち/リングワンダリング/カフェ「ドロップ」での一夜/物語のない本屋/退歩推手/サウンドバイト/閉じる物語/本屋的人間そしてオブセッション/本を読む夢/残されない探検記 第二章 「普通」の本屋 石橋毅史さんに学ぶ/シンクロニシティ/柳父章さんのこと/木を見る、森を見る/彼らがいなくなる前に/定有堂はどんな本屋ですか?/減速する本屋暮らし/ミニコミ好き/フラジャイル/身の丈の本屋/探求のかたち/普通の本屋/果敢な本屋たち/定有堂のレイヤー/本屋の青空/本が大事/昨日までの世界 第三章 「焚き火」の読書会 本屋と「読む会」/焚き火について/本屋の圏域/具体と抽象/本屋と図書館/書けなかった話/「共通理解」のあり場所/読書の学校/コロナ・ディスタンスな日々/本屋読書/本のある暮らし、ただし本屋/定有堂の「推し本」/閉塞と覚醒 第四章 「本屋の青空」を見上げて 何度でもやり直す/読書について/読書思考圏域/読書のバイアス/権力を取らずに世界を変える/記憶を折り畳む/固定観念/闇の奥/読書の四面体/本屋の「このもの性」/独学孤陋(どくがくころう)/文章作成講座のこと/ドゥルーズを読む/三砂慶明さんとの一夜/沫雪に寄せて 第五章 終わりから始まる 本屋と書店/岩田直樹『橋田邦彦・現象学・アーレントの再解釈』と「他者論」/本屋の神話学/本屋でない人生なんて/昇降開合/もう一つの定有堂論/地の塩/一を始める/読書に追いつかれて/本好きのエピジェネティクス/天上大風(てんじょうたいふう)/遅れて読む/反本屋学/本屋のパンセ/写字室の旅/本を並べる/本屋のプロット/焚き火から埋み火へ/「わからない」の方へ あとがき これからの十年 編者謝辞 索引 Author 奈良 敏行 Toshiyuki Nara 1948年生まれ。1972年早稲田大学第一文学部卒。1980年鳥取にて、定有堂書店を開業。著書に『町の本屋という物語 定有堂書店の43年』(作品社)、共著書に、『街の本屋はねむらない』(アルメディア)、三砂慶明編『本屋という仕事』(世界思想社)など。 三砂 慶明 Yoshiaki Misago 1982年生まれ。「読書室」主宰。本の執筆、企画、編集、書評を手掛ける。立ち上げから参加した梅田 蔦屋書店を経て、TSUTAYA BOOKSTORE梅田MeRISE勤務。著書に『千年の読書 人生を変える本との出会い』(誠文堂新光社)、編著書に『本屋という仕事』、奈良敏行著『町の本屋という物語 定有堂書店の43年』がある。
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町の本屋という物語——定有堂書店の43年
¥2,420
SOLD OUT
鳥取の定有堂書店は、いかにして地域の文化拠点となり、日本中から本好きや書店員が足を運ぶ「聖地」となっていったのか。名店の店主が折に触れつづった言葉から、その軌跡が立ち現れる。〈本の力〉が疑われる今まさに、手に取るべき一冊。 「鳥取に根を下ろし、一から自分の仕事を作りあげてきた奈良さんの言葉には、時代と地域を超えた普遍がある。それはとてもシンプルなことで、「本が好き、人が好き」。いつの時代も定有堂書店は本と人とのあいだにあり、そうした素朴なスピリットが、その店を全国から人が集う「聖地」たらしめたのだ。いま、本の力を疑いはじめた人にこそ読んでほしい。本は、本屋は、これからも大丈夫――そのように思わせてくれる一冊である」 ——本屋「Title」店主・辻山良雄 [出版社より] 著 者|奈良敏行 編 者|三砂慶明 出版社|作品社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|240 ISBN|978-4-86793-013-7 発 行|2024年02月 Contents はじめに 身過ぎ世過ぎは草の種 第一章 町の本屋という物語 楽しい本屋は可能か/“夢を託す”ということ/どうして素人が書店を始めることになったかと言うと……/日常の可能性/本のことは井狩春男さんに教わった/本を並べる/本屋の愉しみ/ブック・カバーへの思い入れの話/定有堂から/人文書で、もうおともだち /町の本屋の物語 第二章 「書店」と「本屋」 「本屋」論/ザ・ブックマン/本屋は「舞台」なのだ/本の紹介は楽しい/本屋のカスタマイズ/「本屋アジール」論/本の泉/「書店」と「本屋」/ウェブ、そして町の本屋/町の本屋から生まれた本──『伝えたいこと』出版のこと 第三章 「身の丈」の本屋 人に教わり、本に教わる/座敷わらしの荒ぶる魂/本屋の学校/本屋を歩く/なぜ人文書なのか/本屋ですから/希望/本屋の源泉/スタンダードとカスタマイズ/京都書店研修会へいく/永六輔さんトーク&サインの会顛末記/朋有り遠方より来る/ノアの箱舟/バーチャル書店/町の書店に未来はあるか 第四章 本屋の青空 書と戯れる/就職しないで生きるには/脱個性/徳俵/一周遅れのトップ/書の底力/町に生きる/再生力/本屋と個性/本のビオトープ/好きだからやる 第五章 定有堂書店の生成変化 本屋の未来を創造する/定有堂書店の生成変化 附録 定有堂書店の本棚 往来のベーシックセオリー あとがき 一冊の本の衝撃 編者後記 三砂慶明 奈良敏行・定有堂書店略年譜 Author 奈良 敏行 Toshiyuki Nara 1948年生まれ。1972年早稲田大学第一文学部卒。1980年鳥取にて、定有堂書店を開業。共著書に、『街の本屋はねむらない』(アルメディア)、三砂慶明編『本屋という仕事』(世界思想社)など。 三砂 慶明 Yoshiaki Misago 1982年生まれ。「読書室」主宰。株式会社工作社などを経て、梅田 蔦屋書店の立ち上げから参加。著書に『千年の読書』(誠文堂新光社)、編著書に『本屋という仕事』がある。
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宇宙開発の思想史——ロシア宇宙主義からイーロン・マスクまで
¥2,970
「外の世界」という夢の歴史。われわれは、なぜ〈宇宙〉を目指してきたのか? 宇宙科学と空想科学を縦横に行き来し、「宇宙進出=新たな世界の創造」をめぐる歴史上の7つのパラダイムを検証する。 《本書に登場する主な人名/組織》 フョードロフ/ ツィオルコフスキーらロシア宇宙主義者、エドワード・エヴァレット・ヘイル、J・D・バナール、アレクサンドル・ボグダーノフ、ヴェルナー・フォン・ブラウン、アーサー・C・クラーク、ストルガツキー兄弟、ジェラード・オニール、アーシュラ・K・ル= グウィン、NASA 、そしてジェフ・ベゾス、イーロン・マスク 宇宙。古来、人間は頭上に広がるこの茫漠たる世界に惹きつけられ、天体の運行を観測して、そこに法則性や意味を見出そうとしてきた。やがてはただ観測するだけでは飽き足らず、人間も宇宙に出られるのではないか、出たらどうなるのかと夢想し、その具体的な方策や、宇宙に進出すべき理由を考えはじめる。本書は、そんな人間の一五〇年に及ぶ宇宙開発の思想史を、七つの切り口からたどった本である。(本書「訳者あとがき」より) [出版社より] 著 者|フレッド・シャーメン 訳 者|ないとうふみこ 出版社|作品社 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|288 ISBN|978-4-86793-036-6 発 行|2024年06月 Contents はじめに――宇宙で生きる能力 1 コンスタンティン・ツィオルコフスキーとレンガの月 粒子と惑星/ガラスの月とレンガの月/テクトニクス/すべてのものは感覚をもつ 2 J・D・バナール、赤い星、そして〈異能集団〉 多層構造の球体/海岸の支配者(オーバーロード)/タコの目/宇宙の浜辺で 3 ヴェルナー・フォン・ブラウンの宇宙征服 宇宙の征服/領空飛行とオーバービュー効果/惑星ドーラ/ロケットの軌道 4 アーサー・C・クラークのミステリー・ワールド 時間と空間のオデッセイ/唐突な事象/ヴニェであること/宇宙とその他の海 5 ジェラード・オニールのさがすテクノロジーの強み 2300年未来への旅、サイレント・ランニング、ソイレント・グリーン/人間よりもさらに非人間的に/ル=グウィンの苦言 6 アメリカ航空宇宙局 目に見えるイメージ/「完成予想図」というシグナル/打ち上げはテレビで中継される/FはフェイクのF 7 オールドスペースとニュースペース スペースXとブルーオリジン/フルスタックとガジェット/宇宙を掘りかえす おわりに――別の物語を見つけること ボタンを押す/スペース・イズ・ノー・プレイス/宇宙軍/乱雑ななかで生きる/今、手にしているもの 謝辞/注/訳者あとがき Author フレッド・シャーメン Fred Scharmen モーガン州立大学(米メリーランド州)建築・計画学部准教授。専門は建築と都市デザイン。メリーランド州ボルティモアが拠点のアート・デザインのコンサルタント会社「ザ・ワーキング・グループ・オン・アダプティブ・システムズ」の共同設立者。『the Journal of Architectural Education』、『Atlantic CityLab』、『Slate』などに寄稿するほか、建築批評を『the Architect's Newspaper』や地元のオルタナティブ週刊紙『Baltimore City Paper』に発表している。未邦訳の著書に『Space Settlements』(2019)がある。 Translator ないとう ふみこ Fumiko Naito 上智大学英語学科卒業。翻訳家。訳書に、ジャスパー・フォード『最後の竜殺し』、『クォークビーストの歌』(以上、竹書房文庫)、アラン・グラッツ『貸出禁止の本をすくえ!』(ほるぷ出版)、アンドルー・ラング『夢と幽霊の書』、マティアス・ボーストレム『〈ホームズ〉から〈シャーロック〉へ―― 偶像を作り出した人々の物語』(共訳、以上、作品社)などがある。子どものころからの野球ファンでもあり、フィル・ペペ『コア・フォー――ニューヨーク・ヤンキース黄金時代、伝説の四人』(作品社)の訳書もある。
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チェヴェングール
¥4,950
SOLD OUT
愛と憂鬱の〈ユートピア〉。ロシア文学の肥沃な森に残された最後の傑作、本邦初訳。 ー 死への興味が嵩じて湖に自ら身を投げだした父親の息子アレクサンドル(サーシャ)は、ドヴァーノフ夫妻に引き取られて生活するようになり、やがて、ボリシェヴィキとして、彼の同伴者であり親友のコピョンキンとともに共産主義を探して県域を放浪し、共産主義が完成した理想郷チェヴェングールを見出す――。 「もっとも謎めいて、もっとも正統的でないロシア作家」とも称されるプラトーノフの代表作にして生前に完成した唯一の長篇小説。ロシア文学の肥沃な森に残された最後の傑作、本邦初訳。 「『チェヴェングール』は、[……]世界史的な規模のインパクトをもった第一次世界大戦やロシア革命を念頭におきながら、現実を逆転させたような事柄を描いた挿話に溢れている。それらを通して〈あるいはそうであったかもしれないロシア革命〉が描き出されている」(本書「解説」より) ◎解説=古川哲「あるいはそうであったかもしれないロシア革命」 ◎付録=P・P・パゾリーニ「アンドレイ・プラトーノフの『チェヴェングール』」+関連地図+主な登場人物 [出版社より] 「革命後に生の意味を問いつづける孤高の魂。「翻訳不可能」といわれた20世紀小説の最高峰のひとつが、〈ロシア的憂愁(タスカー)〉の霧の中からついに全貌を現した!」 ――沼野恭子 「わたしもプラトーノフのようになれたら」 ――ピエル・パオロ・パゾリーニ(映画監督・詩人) 「20世紀には、重要な作家が3人いた――ベケット、カフカ、そしてプラトーノフだ」 ――スラヴォイ・ジジェク(哲学者) 著 者|アンドレイ・プラトーノフ 訳 者|工藤順・石井優貴 出版社|作品社 定 価|4,500円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|381 ISBN|978-4-86182-919-2 初 版|2022年06月 Author アンドレイ・プラトーノフ Платонов, Андрей Платонович 1899年、ロシア南西部ヴォロネジに生まれる(出生時の姓はクリメントフ)。中等教育修了後、鉄道工場などで働いたのち、鉄道技術専門学校で電気工学を学ぶ。ロシア革命後の内戦では赤軍側で参戦した。1920年代前半には、ヴォロネジ県の土地改良・灌漑事業などにおいて指導的な役割を果たす。 作家としては、10代から地元の新聞・雑誌上に評論や詩を発表して頭角を現し、1922年に詩集『空色の深淵』を出版してデビュー。1926年にモスクワに移住し、以降は職業作家として活動。短・中篇や戯曲を中心に執筆するも、短篇「疑惑を抱いたマカール」(1929)や「帰還」(1946)、ルポ「ためになる」(1931)などが権力者や批評家からの苛烈な批判の対象となり、出版がままならない状態が生涯つづいた。 後半生には創作童話や民話の再話、従軍記者として第二次世界大戦の前線に取材した短篇、文芸批評などにも取り組むが、不遇のまま、1951年に結核によりモスクワで死去。死後、娘マリーヤらの尽力により遺された作品が続々出版され、20世紀文学の主要作家としての地位が確立されつつある。 Translator 工藤 順 Nao Kudo 1992年生まれ。ロシア語翻訳労働者。訳書に、プラトーノフ『不死――プラトーノフ初期作品集』(未知谷、2018年)がある。翻訳詩と生活のzine「ゆめみるけんり」主宰。 石井 優貴 Yuki Ishii 1991年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。スターリン期ソヴィエト連邦のクラシック音楽受容について研究している。
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ビデオランド レンタルビデオともうひとつのアメリカ映画史
¥3,740
SOLD OUT
銀幕を包んだ闇を抜け出し、映画の新たな「配給網」となったレンタルビデオ店。その創世から終幕、そして「配信」の現在へとつづくアメリカ映画のもうひとつの歴史。 「いまやレンタルビデオ店はアメリカ人の暮らしからは既に遠くなったけれど、願わくば本書『ビデオランド』が、かつての生き生きとした社会生活のなにものかを伝え、とりわけ日本の読者諸賢にとっても、遠いどこかの話ではなく、いまや消え去ろうとしている文化になんらかの親しさや近しさを感じてもらえるようなものでありますようにと思う。……ビデオストアはありふれた、つかのまの、記憶されることさえないふるまいとやりとりに溢れた何の変哲もない場だった。けれどそういうものはえてして、消え去って初めて気づくものだと、そんなふうにつくづく思うのである」(「日本語版への序文」より) [出版社より] 著 者|ダニエル・ハーバート 訳 者|生井英考・丸山雄生・渡部宏樹 出版社|作品社 定 価|3,400円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|381 ISBN|9784861828751 初 版|2021年12月 Contents 第1部 レンタルビデオの歴史と文化 長い物語 実践的な分類 第2部 ビデオストアと映画文化のローカル化 ビデオ資本 スモールタウン・アメリカのレンタルビデオ 第3部 流通するビテオストア文化 価値の配給 選択に寄り添う―批評、アドヴァイス、メタデータ 終章 Author ダニエル・ハーバート Daniel Herbert ミシガン大学映画・テレビ・メディア学科准教授。南カリフォルニア大学で映画研究の博士号を取得。専門はメディア産業論・文化論。 Translator 生井 英考 Eiko Ikui 立教大学アメリカ研究所員。政治社会学、映像人類学 丸山 雄生 Yuki Maruyama 東海大学文化社会学部ヨーロッパ・アメリカ学科准教授。アメリカ文化史、動物研究 渡部 宏樹 Koiki Watabe 筑波大学助教/エジプト日本科学技術大学客員助教。表象文化研究
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ヒッピーのはじまり
¥2,970
SOLD OUT
本当はヒッピーに憧れているすべての人へ。 はじまりの地で、はじまりの時からフラワー・チルドレンに混じり、観察を続けた女性人類学者による鮮烈な記録。 [出版社より] 「当時の記憶」でも「先人から聞いたもの」でもなく、新鮮な記録が生きたまま閉じ込められている! ヒッピーとは“ファッション”ではなく、“生き方”なのだ。メディアや噂に歪められておらず、伝説に美化されていないリアルな姿を知ることが出来る稀有な必読書。こんなに面白い本が翻訳されて、私は心から嬉しい!」 ――松尾レミ[GLIM SPANKY] 「六七年初頭のヘイト・アシュベリーには博士号取得者もいたし中退者もいた。菜食主義者もいれば肉食者もいた。LSDに耽る若者もいれば、それを毛嫌いする者もいた。肌の色や宗教にかかわらず大量の人間が寄り集まっていた。肩を寄せ合って生活する、まるで集落生活だった。既存の価値観が塗り潰したものを新しく掬い上げようとしていた。六〇年代、世界中でこのムーブメントが動き始めていた。鬨の声を今でも私たちは若者たちの歌のなかに聴き取ることができる」 ——本文より 著 者|ヘレン・S・ペリー 訳 者|阿部大樹 出版社|作品社 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|314 ISBN|978-4-86182-845-4 初 版|2021年05月 Contents 異邦人、旧友 街が観光地になる前 アメリカ西海岸の公民権運動 無邪気な生命 聖パウロの回心 ヒューマン・ビーイン フィルモアの黒人たち お金は燃やして ロイ・バラードのこと 街と孤独 うら若き少女 沈黙の終わり Author ヘレン・S・ペリー Helen S. Perry 1911~2001。大戦中には戦時生産局に働き、1946年以降は雑誌『サイキアトリー』の常任編集者となる。50年代から70年代にかけて精神科医H・S・サリヴァンの膨大な遺稿を整理編纂したが、以降は学界から離れてカナダのコミューン運動に加わった。著書=『サリヴァンの生涯1・2』(中井久夫・今川正樹訳、みすず書房)。 Translator 阿部 大樹 Daiju Abe 精神科医。松沢病院、川崎市立多摩病院等に勤務。著書=『翻訳目録』(雷鳥社)、訳書=H・S・サリヴァン『精神病理学私記』(日本評論社、第6回日本翻訳大賞)、R・ベネディクト『レイシズム』(講談社学術文庫)。
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映画監督 三隅研次——密やかな革新
¥3,960
SOLD OUT
市川雷蔵の「眠狂四郎」、勝新太郎の「座頭市」、若山富三郎の「子連れ狼」を演出した大映時代劇の名匠・三隅研次。 スタジオシステムに鍛えられた確かな演出力を持つ職人でありつつ、進取の気性に富んだ映画作家。その全体像を初めて明らかにする、画期的書き下ろし長編評論。詳細なフィルモグラフィー付。 「三隅が単なる職人にとどまらないこと、つまり確かに「映画作家」でもあることを本書は明らかにしようとするものだ。しかも、三隅が映画作家であることは、作品内で語られる「思想」以上に、その「表現」に表れている。三隅が細心の注意を払った編集、そして構図、人物造形やその配置といった表現は、職人的な技量の卓越を示すばかりではない。そこには、映画という表現の条件そのものへの問いがある。映画だからこそできるその可能性、映画だからこそできないその制限。三隅はフィルムで撮られる映画というものの持つ条件に意識的であり、その条件の限界を際立たせることで、あるいはその限界をこそ可能性として生かすことで、映画そのものについて思考したのであり、その意味で作家と呼んでしかるべき存在だと本書は考える」 ーー「まえがき」より [出版社より] 著 者|吉田広明 出版社|作品社 定 価|3,600円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|459 ISBN|978-4-86182-853-9 初 版|2021年06月 Contents まえがき 第一章 三隅研次の位置と処女作 初期三隅その一 戦前の日活入社/大映、助監督時代/当時の時代劇/丹下左膳/『丹下左膳 こけ猿の壺』 第二章 三隅が三隅になるまで 初期三隅その二 『七つの顔の銀次』/『浅太郎鴉』/『花の兄弟』/『編笠権八』 第三章 自己確立と自己拡張の時期 中期三隅その一 『桃太郎侍』/『怪猫呪いの壁』、『四谷怪談』、『銭形平次捕物控 美人鮫』/『執念の蛇』/『水戸黄門漫遊記』、『かげろう笠』/『千羽鶴秘帖』、『町奉行日記 鉄火牡丹』/『千姫御殿』、『白子屋駒子』 第四章 決定的な年、六二年 中期三隅その二 『大菩薩峠』、『大菩薩峠 竜神の巻』/『釈迦』/『婦系図』/『座頭市物語』/『斬る』/『青葉城の鬼』 第五章 剣三部作まで 盛期三隅その一 『新選組始末記』、『舞妓と暗殺者』/『女系家族』/『眠狂四郎勝負』/『剣』/『無宿者』、『座頭市血笑旅』/『眠狂四郎炎情剣』/『鼠小僧次郎吉』/『無法松の一生』/『剣鬼』 第六章 大映倒産まで 盛期三隅その二 『座頭市地獄旅』/『処女が見た』、『雪の喪章』/『眠狂四郎無頼剣』/『古都憂愁 姉いもうと』、『なみだ川』/『座頭市血煙り街道』/『とむらい師たち』/『二匹の用心棒』、『尻啖え孫市』/『座頭市喧嘩太鼓』、『鬼の棲む館』、『座頭市あばれ火祭り』/『兇状流れドス』、『新女賭博師 壺ぐれ肌』/『狐のくれた赤ん坊』 第七章 孤と分身 三隅研次における人物像 孤であること/分身/この世ならざる場所/モンタージュ/分身=対峙の回避/分身と孤/つながり損ね/作品同士の分身関係/作品同士の分身関係(「剣三部作」の場合)/分身、リメイク、シリーズ 第八章 三隅的「外」 三隅研次における空間 森、水辺/三隅的「外」/音声とイメージの分離/在と不在/構図/平面性/編集/感情表現のモンタージュ/モンタージュ、任意なるもの/三隅的「外」──映画的条件 第九章 受動から能動へ 反時代=普遍としての三隅映画 三隅的主人公の「正しさ」/反=反権力/受動性から能動性へ 第十章 新たな表現へ向かって 大映以後 『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』/『子連れ狼 三途の川の乳母車』/『子連れ狼 死に風に向う乳母車』/『御用牙』/『桜の代紋』/『子連れ狼 冥府魔道』/『狼よ落日を斬れ 風雲/激情/怒濤篇』/TV作品解説/大映以後の三隅 三隅研次フィルモグラフィー あとがき Author 吉田 広明 Hiroaki Yoshida 1964年生まれ。映画評論家。著書に、『西部劇論──その誕生から終焉まで』、『亡命者たちのハリウッド──歴史と映画史の結節点』、『B 級ノワール論──ハリウッド転換期の巨匠たち』(以上作品社)、『ジム・ジャームッシュ』、『ヴィム・ヴェンダース』、『サム・ペキンパー』、『ジャン・ユスターシュ』、『映画監督の未映像化プロジェクト』(以上共著、エスクァイア マガジン ジャパン)、ジム・トンプスン、黒原敏行訳『犯罪者』(解説、文遊社)など。
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ポピュリズムとファシズム——21世紀の全体主義のゆくえ
¥2,860
コロナ後、世界を揺さぶる“熱狂”は、どこへ向かうのか? 世界を席巻するポピュリズムは新段階に入った。その政治的熱狂の行方に、ファシズム研究の権威が迫る! 本書は、全体主義・ファシズム研究の世界的権威である著者が、現在のポピュリズムとその今後について論じたものである。21世紀世界のゆくえを左右していくであろうポピュリズムに対して、20世紀世界を動かしたファシズムとの比較によって、構造的で能動的な分析が行なわれていく。ポピュリズムの定義付けや現象的な分析を超えて、世界の今後を見通していくためのダイナミックな視座を提示している。 [出版社より] 「ポピュリズムの現象的な分析を超えた、世界の今後を見通していくためのダイナミックな視座……」 ——英『ガーディアン』紙 著 者|エンツォ・トラヴェルソ 訳 者|湯川順夫 出版社|作品社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|322 ISBN|9784861828478 初 版|2021年06月 Contents 第1部 ポピュリズムのゆくえ——歴史としての現在 ファシズムからポピュリズムへ ポピュリズムとアイデンティティ政治 反ユダヤ主義とイスラム嫌悪 第2部 ファシズムの新しい顔——現在の中の歴史 ファシズムの新たなる解釈をめぐって 修正主義と「反・反ファシズム」 「全体主義」の政治利用 消失したユートピアの代替物としてのポピュリズム Author エンツォ・トラヴェルソ Enzo Traverso 歴史家。ファシズム、ナチズム、全体主義などの研究者として世界的に著名。米コーネル大学教授。1957年、イタリアで生まれ、ジェノヴァ大学で現代史を修めた後、パリ社会科学高等研究院(EHESS)で博士号を取得。パリ第8大学、ピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学などを経て、現職。ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、南米諸国の大学に客員教授として招かれ、さらに各国で開催される政治学・社会学のセミナーに参加するなど、世界的に活躍している。著作は十数冊に及ぶが、すべてが世界各国に翻訳されている。
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つげ義春——「ガロ」時代
¥2,420
デスぺレートでアナキスチック。夢と旅の鬼才誕生の軌跡。 [出版社より] 著 者|正津勉 出版社|作品社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|221 ISBN|9784861828287 初 版|2020年11月 Contents 第1章 沼―ある秋の旅から* 「不思議な絵」/「初茸がり」/「沼」 第2章 紅い花―ある秋の旅から** 「紅い花」/「西部田村事件」 第3章 李さん一家―地べたを這いずり 「チーコ」/「山椒魚」/「李さん一家」 第4章 峠の犬―ワカランナモカモ 「通夜」/「峠の犬」 第5章 ほんやら洞のべんさん―この世のはてへの道ゆき 「ほんやら洞のべんさん」/「もっきり屋の少女」 第6章 海辺の叙景―眩く暗む海 「海辺の叙景」/「やなぎ屋主人」 第7章 ねじ式―テッテ的 ヤケクソに、デタラメを/テッテ的 第8章 ゲンセンカン主人―幽霊ではありませんか 幽霊ではありませんか/ビュゥゥゥ Author 正津 勉 Ben Shozu 1945年、福井県生まれ。同志社大学文学部卒業。詩人・文筆家。
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27クラブ
¥3,960
〈27歳の神話〉のベールを剥ぐ――。 1969年、ザ・ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズが自宅のプールで溺死した。1970年、ジミ・ヘンドリクスが、ロンドンのホテルで窒息死した。3週間後、ジャニス・ジョプリンが、ハリウッドでヘロインの過剰摂取により死亡した。1971年、ジム・モリソンが、パリの浴槽で死亡した。1994年、ニルヴァーナのカート・コバーンが、自宅で頭を銃で撃って自殺した。2011年、エイミー・ワインハウスが、ロンドンの自宅にて遺体で見つかった。 全員27歳だった――。 「27クラブ」とは、27歳でこの世を去ったすべてのスターを指す。彼らの死亡年齢の偶然の一致には、さまざまな噂や陰謀論が飛び交った。――偶然のほかに、彼らを結びつけるものは何か? 彼らを自己破壊的な行動に走らせたのは何だったのか? 神話化された「27クラブ」の中でも最も有名な6人、特にエイミー・ワインハウスに光を当て、そのストーリーを比較するバイオグラフィ。 [出版社より] 「こうしたスターが全員 27歳で死んだことは偶然だ。生き急いだせいで、彼らはその人生を早くにすり減らしてしまった。しかし偶然の向こうには共通する物語がある」 ――本文より 著 者|ハワード・スーンズ 訳 者|萩原麻理 出版社|作品社 定 価|3,600円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|468 ISBN|978-4-86182-852-2 初 版|2021年05月 Contents 第1部 生 27番ゲート出口 若きディオニュソスたち ダディーズ・ガール イカレたやつら 成功 ほか 第2部 死 水に飲み込まれたブライアン 朦朧として 崩壊 死の隠れ家 一杯だけ、そしてもう一杯 ほか Author ハワード・スーンズ Howard Sounes 1965年生まれ。イギリスのジャーナリスト。ロンドン在住。
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〈アメリカ映画史〉再構築——社会派ドキュメンタリーからブロックバスターまで
¥6,930
SOLD OUT
写真やテレビなどの隣接する表象芸術に目を配り、カメラやフィルムなどの撮影機材、照明や編集などの技術的側面の変化を踏まえ、記録映画・実験映画・劇映画を同列に置いてその人的交流や表現の境界線を論じ、数多著されてきたハリウッド中心主義の歴史とはまったく違う、新たなパースペクティブを創出する。かつて誰も語り得なかった、〈アメリカ映画〉の真の姿。 [出版社より] 「本書は、アメリカ映画の一時代を従来とはいささか異なる視角から眺め渡すことを目指している。課題の一つとなるのは、意識的な現実探求、外観的「本当らしさ」の追求、あるいは外観の再現を超えた“真相”への志向は、合衆国映画界の場合、いかなる動因によって生じ、いかなるかたちで展開していったのか、を問うことだ。 扱う領域はほぼアメリカ映画に限られているものの、メジャー系/独立系、あるいは劇映画/記録映画/実験映画、さらには写真/映画/テレビといった区分けをひとまずカッコに括って、これらが秘めている相互作用のほうに着目したい。実のところ、一九六〇年あたりを境として、スタジオ映画においてさえこうした区分けが無効化し始めていることが明らかになるだろう」 ——「序に代えて」より 著 者|遠山純生 出版社|作品社 定 価|6,300円+税 判 型|A5判・上製 頁 数|717 ISBN|978-4-86182-850-8 初 版|2021年04月 Contents 序に代えて 第一章 リアリズムとモンタージュ 第二章 ポール・ストランドと左派映画製作集団 第三章 解き放たれたキャメラ──ヘレン・レヴィットと戦後独立系映画の曙 第四章 より柔軟な視聴覚的記録の探求──モリス・エンゲルとルース・オーキン 第五章 ハリウッドの「モンタージュ」 第六章 シャーリー・クラークと『クール・ワールド』 第七章 テレビ的方法と映画的方法 第八章 “ドキュメンタリー的”都市犯罪映画の系譜 第九章 マルチ映像の文法──万博からハリウッドへ 第一〇章 ジョン・カサヴェテスの映画 第一一章 「映画」になろうと努める映画──マイク・ニコルズの初期作 第一二章 戦後ドキュメンタリー映画がもたらした変化 第一三章 『デイヴィッド・ホルツマンの日記』と映画の自意識 第一四章 一九六〇年代のブライアン・デ・パルマ映画 第一五章 映画作家ロバート・フランク 第一六章 ヴェトナム戦争とハリウッドのニュー・ウェイヴ 第一七章 カウボーイと異邦人はハリウッドを目指す 第一八章 継承と断絶──フロンティア・フィルムズの遺産 第一九章 若者文化の「真実味」、空想科学の「真実味」 第二〇章 「リアリズム」からブロックバスターへ 註/図版出典一覧/あとがき/索引 Author 遠山 純生 Sumio Toyama 1969年生まれ。映画評論家。編著書に『紀伊國屋映画叢書』(全3巻、紀伊國屋書店)、『チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ』(国書刊行会)など。訳書に『サミュエル・フラー自伝 わたしはいかに書き、闘い、映画をつくってきたか』(boid)、『私のハリウッド交友録 映画スター25人の肖像』(エスクァイア マガジン ジャパン)、『ジョン・カサヴェテスは語る』(幻冬舎、共訳)などがある。
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麻薬と人間 100年の物語——薬物への認識を変える衝撃の真実
¥3,960
『NYタイムズ』年間ベストセラー。あなたが麻薬について知っていることは、すべて間違っている。話題騒然の映画『アメリカvsビリー・ホリデイ』(仮題、2021年公開)原作。 [出版社より] 「ガツンとブッ飛ばされるくらい 衝撃的な一冊!」 ——エルトン・ジョン 「読み終えるまで、本から手を離すことができなかった」 ——ノーム・チョムスキー 「超一流のジャーナリズム。本書のストーリーに身体が震えた」 ——ナオミ・クライン 「麻薬に関わる人々の人生が生々しく描かれる。本書の知見を取り入れて、新たな政策を考える必要があるだろう」 ——ロス警察・麻薬取締部スティーヴン・ダウニング 「私たちは麻薬について何も知らなかったと思わせる。100年前から始まった麻薬取締り政策により、ギャングが社会にはびこったこと。両者は補完関係であり、南米の麻薬カルテルをも生み出したこと。麻薬禁止の根拠である依存性については、様々な科学的異論があること。非犯罪化が世界的な流れである現在、実にタイムリーであり、麻薬に対する私たちの認識を変える一冊である」 ——『タイムズ』紙 著 者|ヨハン・ハリ 訳 者|福井昌子 出版社|作品社 定 価|3,600円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|501 ISBN|9784861827921 初 版|2021年01月 Contents はじめに “麻薬戦争”が始まって一〇〇年、そこには想像もできない物語があった 第1部 “麻薬戦争”の始まり 第2部 麻薬をめぐる犯罪の実態 第3部 麻薬戦争の最前線 第4部 不都合な科学的事実 第5部 “麻薬戦争”から平和的共存へ おわりに 麻薬戦争をめぐる旅で出会った人々、そしてアンスリンガーの後日談 日本語版補章 日本の「麻薬戦争」と“麻薬神話” Author ヨハン・ハリ Johan Hari 生まれ。英国出身で、欧米で活躍するジャーナリスト。世界的なベストセラーを次々と生み出している。国際的人権団体アムネスティ・インターナショナルの「ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー」に2度選ばれた。 Translator 福井 昌子 Shoko Fukui 立教大学法学部卒業。企業勤務、英国留学を経て、現在、翻訳家。
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うつせみ
¥2,420
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洒脱にして剣呑、静謐にして囂囂たる、“僕”と“おじさん”と“おじいさん”の夢幻の如き日々は、どこに辿り着くのか。 ランボー、アルトー、ジュネ、ヴィアンの翻訳者が満を持して放つ、破格の書き下ろし長編小説。 [出版社より] 著 者|鈴木創士 出版社|作品社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|252 ISBN|978-4-86182-833-1 初 版|2020年10月 Contents 第一章 日誌 第二章 廃址 Author 鈴木 創士 Soshi Suzuki 1954年生まれ。フランス文学者、作家、ミュージシャン。小説の著作に、『離人小説集』(幻戯書房)がある。他の著書に、『分身入門』(作品社)、『ザ・中島らも らもとの三十五光年』(河出文庫)などがある。訳書に、ボリス・ヴィアン『お前らの墓につばを吐いてやる』、アントナン・アルトー『演劇とその分身』、『ヘリオガバルスあるいは戴冠せるアナーキスト』、アルチュール・ランボー『ランボー全詩集』、ジャン・ジュネ『花のノートルダム』(以上河出文庫)などがある。
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小説 夏の速度
¥1,980
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1979年ソウルの夏。僕が出会った忌わしい出来事。 [出版社より] 著 者|四方田犬彦 出版社|作品社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|159 ISBN|9784861828294 初 版|2020年06月 Contents 界灘を渡る われらが“無意識”なる韓国 他者としての日本、内面化された日本―日韓併合百年を振り返る 北朝鮮「帰還」船は新潟を出て、どこに到着したか 拉致と帰属 韓国映画の二人の巨匠 金綺泳と李斗〓 韓国ニューウェイヴ20年 『パラサイト』快進撃の裏に潜むもの―ポンジュノ1 蚕室四洞薔蔽アパート―ポン・ジュノ2 韓国映画の安易なナショナリズム ほか Author 四方田 犬彦 Inuhiko Yomota 映画誌・比較文学研究家。エッセイスト。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。明治学院大学教授、コロンビア大学客員教授、ボローニャ大学客員研究員などを歴任。ソウルの建国大学校、中央大学校で客員教授として、日本語、日本映画の講義を行う。映画と文学を中心に、演劇、漫画から料理まで、多岐にわたる文化現象について批評を執筆。サントリー学芸賞、伊藤整文学賞、桑原武夫学芸賞、芸術選奨文部科学大臣賞、鮎川信夫賞などを受賞。1979年にソウルの建国大学校で日本語を、2000年に中央大学校で日本映画の講義を客員教授として行なう。
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われらが〈無意識〉なる韓国
¥2,970
誰が韓国を語るのか。 誰がその「反日」を揶揄し、エステとグルメを観光し、映画を絶賛するのか。日本人の無意識の心象に眠る韓国とは何なのか。 40年にわたり隣国を見つめてきた著者渾身のエッセイ集。 [出版社より] 著 者|四方田犬彦 出版社|作品社 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|320 ISBN|9784861828294 初 版|2020年11月 Contents 界灘を渡る われらが“無意識”なる韓国 他者としての日本、内面化された日本―日韓併合百年を振り返る 北朝鮮「帰還」船は新潟を出て、どこに到着したか 拉致と帰属 韓国映画の二人の巨匠 金綺泳と李斗〓 韓国ニューウェイヴ20年 『パラサイト』快進撃の裏に潜むもの―ポンジュノ1 蚕室四洞薔蔽アパート―ポン・ジュノ2 韓国映画の安易なナショナリズム ほか Author 四方田 犬彦 Inuhiko Yomota 映画誌・比較文学研究家。エッセイスト。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。明治学院大学教授、コロンビア大学客員教授、ボローニャ大学客員研究員などを歴任。ソウルの建国大学校、中央大学校で客員教授として、日本語、日本映画の講義を行う。映画と文学を中心に、演劇、漫画から料理まで、多岐にわたる文化現象について批評を執筆。サントリー学芸賞、伊藤整文学賞、桑原武夫学芸賞、芸術選奨文部科学大臣賞、鮎川信夫賞などを受賞。1979年にソウルの建国大学校で日本語を、2000年に中央大学校で日本映画の講義を客員教授として行なう。
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フーコー〈性の歴史〉入門講義
¥2,200
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丸ごと全4巻、完全通読にて徹底攻略! フーコー考古学+系譜学の到達点、ジェンダー/セクシュアリティ論で必ず参照されるポストモダンの”古典”を、丹念に授業。 「フーコーは、そのテクストがどういう歴史的な背景で書かれたのか、同じ文化圏に属する同時代やそれ以前の同じテーマについて書かれたテクスト、あるいは当該テクストの中で資料として参照されているテクスト、少し違うテーマについて書いた本人のテクスト等と細かく照合していくことで、常識的な読みとは異なった様相を呈する大きな文脈を浮かび上がらせる。(…)業界の常識に囚われず、かつ、丹念に根気よくテクストを読む。それが私にとっての思想史研究の理想である。その最も卓越したモデルが「フーコー」である」(本文より) [出版社より] 著 者|仲正昌樹 出版社|作品社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|416 ISBN|9784861828379 初 版|2020年12月 Contents 第1回 「性」をめぐる「権力」と「知」の不可分の関係1―『性の歴史1 知への意志』前半を読む 第2回 「性」をめぐる「権力」と「知」の不可分の関係2―『性の歴史1 知への意志』後半を読む 第3回 ライフスタイルにおける「自己」の確立1―『性の歴史2 快楽の活用』前半 第4回 ライフスタイルにおける「自己」の確立2―『性の歴史2 快楽の活用』後半 第5回 「自己」にとっての美しいライフスタイル1―『性の歴史3 自己への配慮』前半 第6回 「自己」にとっての美しいライフスタイル2―『性の歴史3 自己への配慮』後半 第7回 フーコーの集大成―第四巻『肉の告白』を読む Author 仲正昌樹 Masaki Nakamasa 1963年広島生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。近年は、『Pure Nation』(あごうさとし構成・演出)でドラマトゥルクを担当し自ら役者を演じるなど、現代思想の芸術への応用の試みにも関わっている
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鈴木清順論——影なき声、声なき影
¥11,000
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未映画化脚本『夢殿』を中心に据えた三本の論考から、重要キーワードを鏤めて諸作品の横断的な読み解きを試みた「事典」、清順も参加した脚本ユニット「具流八郎」をめぐる初めての批評、そして全監督作品の精緻な解説まで。多角的な視点で、日本映画の異形の巨人の全体像を解き明かす! 圧倒的スケールで打ち建てる、映画評論の金字塔。 [出版社より] 著 者|上島春彦 出版社|作品社 定 価|10,000円+税 判 型|B5判・上製 頁 数|696 ISBN|9784861828249 初 版|2020年09月 Contents はじめに 『夢殿』サイクル論Ⅰ 二重化人物像の系譜 イントロ、あるいは『夢殿』サイクルとは/二重化人物像と三角関係 初期作品『らぶれたあ』を巡って/心中の骨壺、『ツィゴイネルワイゼン』/増殖する骨壺、『陽炎座』/裏表の人々、『夢二』 『夢殿』サイクル論Ⅱ 騒がしい静寂の映画群 イントロ、あるいは音の人、清順/警告する音、『木乃伊の恋』/鉦の音は誘う、誰を?/入定の定助たち/幻聴の共鳴/つぶやきは繰り返される、『ツィゴイネルワイゼン』/増幅する「つぶやき」/ラップ音、聴こえない音/柔らかいもの/硬いもの/硬い音、硬いもの、柔らかいもの/狂ったお囃子と無音の手招き、『陽炎座』と『夢殿』/夢の彷徨いと軌道修正、『陽炎座』から『夢二』へ/山の木霊と夢二の銃/不発のピストルと夢の銃声、『東京流れ者』の記憶から 『夢殿』サイクル論Ⅲ 清順的建築、清順的空間 イントロ、あるいは『神獣の爪』の空間演出から/空間1:『勝利をわが手に 港の乾杯』と『悪魔の街』の複数の箱/空間2:『素ッ裸の年令』と『8時間の恐怖』の「外観を備えた」箱/しきうち視線としきうち空間/空間3:箱の氾濫とその統治、『野獣の青春』/空間4:埋められた箱、『木乃伊の恋』、『肉体の門』/空間5:箱の中の箱の中の箱、『肉体の門』、『悲愁物語』/正確な箱と不完全な歯車 清順映画キーワード事典 浅田健三/穴/家、下宿/泉鏡花/移動ショット/刺青/色/歌/器/鬼/女/カード、札/階段/鏡/隠された顔/壁、ガラス板/髪と髪型/球/空間と説話/首/具流八郎/車/結界/玄関/幻聴/声と影/骨壺/酒場、喫茶店/桜/猿島/ジャンル映画/銃身、銃痕、銃声/少年、兄弟/スクリーン/増殖/吊り、逆さづり/出入り/テレビドラマ/塔、樹木/動線/流れ者/野口博志/箱(と箱)/踏切、橋/ボクシング/リメイク/列車 具流八郎の日本映画史 『情事の履歴書』/『続・けんかえれじい』/『ゴースト・タウンの赤い獅子』/『(題未定)』/『続・殺しのらくいん(烙印)』/『人斬り数え唄』/『鋳剣』/『木乃伊の恋』/『黄土の狼』/『夢殿』/『八月はエロスの匂い』/『母に捧げるバラード』/『タハリール・アル・スエズ』/『星女郎』/『アメリカ綺譚 桃中軒海右衛門』/『穴の牙』/『春桜ジャパネスク』『らぷそでい』 具流八郎の生き残りとして プロデューサー岡田裕インタビュー 清順映画作品解説 1『勝利をわが手に 港の乾杯』/2『海の純情』/3『悪魔の街』/4『浮草の宿』/5『8時間の恐怖』/6『裸女と拳銃』/7『暗黒街の美女』/8『踏みはずした春』/9『青い乳房』/10『影なき声』/11『らぶれたあ』/12『暗黒の旅券』/13『素ッ裸の年令』/14『その護送車を狙え』/15『けものの眠り』/16『密航0ライン』/17『すべてが狂ってる』/18『くたばれ愚連隊』/19『東京騎士隊』/20『無鉄砲大将』/21『散弾銃の男』/22『峠を渡る若い風』/23『海峡、血に染めて』/24『百万弗を叩き出せ』/25『ハイティーンやくざ』/26『俺に賭けた奴ら』/27『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』/28『野獣の青春』/29『悪太郎』/30『関東無宿』/31『花と怒涛』/32『肉体の門』/33『俺たちの血が許さない』/34『春婦伝』/35『悪太郎伝 悪い星の下でも』/36『刺青一代』/37『河内カルメン』/38『東京流れ者』/39『けんかえれじい』/40『殺しの烙印』/41『悲愁物語』/42『ツィゴイネルワイゼン』/43『陽炎座』/44『カポネ大いに泣く』/45『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』/46『夢二』/47『結婚 原田・陣内御両家篇』/48『ピストルオペラ』/49『オペレッタ狸御殿』 おわりに 索引 Author 上島 春彦 Haruhiko Kamijima 1959年生まれ。映画評論家。国学院大学文学部卒業。著書に、『血の玉座――黒澤明と三船敏郎の映画世界』、『レッドパージ・ハリウッド――赤狩り体制に挑んだブラックリスト映画人列伝』(以上作品社)、『宮崎駿のアニメ世界が動いた――カリオストロの城からハウルの城へ』(清流出版)、『60年代アメリカ映画』(エスクァイアマガジンジャパン、共著)、『モアレ――映画という幻』(世界思想社)などがある。
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まだ見ぬ映画言語に向けて
¥3,960
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映画とは何か。映像とは何か。我々はその問いに、答えを出しうるのか。 年齢差41歳の二人が、みずからの監督作と日本/世界の映画を語り、映画/映像なるものの本質について、その深淵を徹底的に考察する。時代を超えた映画のエティカ。 [出版社より] 著 者|吉田喜重・舩橋淳 出版社|作品社 定 価|3,600円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|459 ISBN|978-4-86182-832-4 初 版|2020年12月 Contents まえがき 時代を超えた映画のエティカ 舩橋淳 第一章 なぜ我々は映画監督になるのか 第二章 映画の現場論 第三章 映画言語とは何か 第四章 映画における肉体性 第五章 映画における性の表現と権力化 第六章 映像による日本近・現代史──映画が政治権力を表現することについて 第七章 映像はかぎりなく政治権力を無力化、あるいは否定する 第八章 映像における時代と状況についての考察──生きつつある倫理の苦悩 第九章 フィクションとドキュメンタリーのはざま 最終章 映画の秘めたる可能性と限界 あとがき 吉田喜重 Author 吉田 喜重 Yoshishige Yoshida 1933年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。1955年、松竹大船撮影所に入社。1964年、独立。監督作に、『秋津温泉』(1962)、『エロス+虐殺』(1969)、『戒厳令』(1973)、『鏡の女たち』(2003)など。著書に、『贖罪』(文藝春秋)、『吉田喜重 変貌の倫理』(蓮實重彦編、青土社)、『小津安二郎の反映画』(岩波現代文庫)など。 舩橋 淳 Atsushi Funahashi 1974年生まれ。東京大学教養学部卒業後、ニューヨークで映画を学ぶ。監督作に『ビッグ・リバー』(2006)、『フタバから遠く離れて』(第一部2012、第二部2014)、『桜並木の満開の下に』(2013)、『小津安二郎・没後50年 隠された視線』(2013、TV)、『ポルトの恋人たち 時の記憶』(2018)、『ある職場』(2020)など。著書に『フタバから遠く離れて』(岩波書店)など。
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ニュー・アソシエーショニスト宣言
¥2,640
世界変革への“新たなる宣言”! 「資本=ネーション=国家」への対抗運動は、3・11を経て、コロナ禍に直面し、より現実的なものとなってきた。一つの運動体としての「NAM」を総括し、一般名詞としての「ニュー・アソシエーショニスト・ムーブメント」へ。21世紀世界の変革に向けて、新たにアソシエーションの可能性を宣言する。 [出版社より] 著 者|柄谷行人 出版社|作品社 定 価|2,400円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|296 ISBN|978-4-86182-835-5 初 版|2021年01月 Contents 1 NAM(ニュー・アソシエーショニスト運動)再考 NAMの開始と解散 一九九〇年代の動向 生産過程から流通過程へ ほか 2 さまざまなるアソシエーション 協同組合とアソシエーション アソシエーションとデモ 付録 NAMの原理 NAMの結成のために FA宣言 Author 柄谷行人 Kojin Karatani 思想家。1941年、兵庫県尼崎市生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学大学院英文学修士課程修了。法政大学教授、近畿大学教授、コロンビア大学客員教授を歴任。1991年から2002年まで季刊誌『批評空間』を編集。