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14歳からの哲学
¥1,320
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人は14歳以降、一度は考えておかなければならないことがある。 [出版社より] 著 者|池田晶子 出版社|トランスビュー 定 価|1,200円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|209 ISBN|9784901510141 発 行|2003年03月 Contents Ⅰ 14歳からの哲学[A] 1 考える[1] 2 考える[2] 3 考える[3] 4 言葉[1] 5 言葉[2] 6 自分とは誰か 7 死をどう考えるか 8 体の見方 9 心はどこにある 10 他人とは何か Ⅱ 14歳からの哲学[B] 11 家族 12 社会 13 規則 14 理想と現実 15 友情と愛情 16 恋愛と性 17 仕事と生活 18 品格と名誉 19 本物と偽物 20 メディアと書物 Ⅲ 17歳からの哲学 21 宇宙と科学 22 歴史と人類 23 善悪[1] 24 善悪[2] 25 自由 26 宗教 27 人生の意味[1] 28 人生の意味[2] 29 存在の謎[1] 30 存在の謎[2] Author 池田 晶子 Akiko Ikeda 1960年生まれ。慶応大学文学部哲学科卒業。専門用語による「哲学」についての論ではなく、哲学するとはどういうことかを日常の言葉を用いて示し、多くの読者を得る。2007年2月23日、没。
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リマーク 1997-2007
¥1,980
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思索とは謎を呼吸することだ。読むとは絶句の息遣いに耳を澄ますことである。 存在そのものに迫る、謎の思索日記。亡くなる前1カ月分の新稿を付した、終わりと見えるところから始まる思索の原型の言葉。 [出版社より] 著 者|池田晶子 出版社|トランスビュー 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|229 ISBN|9784901510530 発 行|2007年0月 Author 池田 晶子 Akiko Ikeda 1960年生まれ。慶応大学文学部哲学科卒業。専門用語による「哲学」についての論ではなく、哲学するとはどういうことかを日常の言葉を用いて示し、多くの読者を得る。著作は数多く、中でも『14歳からの哲学』は反響を呼ぶ。2007年2月23日、没。
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人間の自由と物語の哲学——私たちは何者か
¥3,080
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世界は、私たちを押し潰そうとする。 それに屈せず、自由に生きることははたして可能なのか? 自由意志論や脳科学的視点など自由と主体を巡る哲学的探究の後に、著者は明治の日本近代文学へ分け入る。坪内逍遥から二葉亭四迷、森鷗外、幸田露伴、泉鏡花、島崎藤村、田山花袋そして夏目漱石へ——明治の小説を哲学的に読みながら、《いかにして私たちは主体的に生きることができるか》を深く考え、その原理を探究する。哲学と小説を往還しながら、〈人間とは何か〉という問いへ迫る。 【哲学】……自由と主体、行為と出来事、存在論的多元主義、自己形成的行為 【小説】……様式(モード)、魔、狂信、告白、アイロニー 〈自由〉と〈主体〉をめぐる概念の森をくぐり抜けた末に見えてきた光景とは——。 [出版社より] 著 者|山口尚 出版社|トランスビュー 定 価|2,800円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|448 ISBN|9784798701851 初 版|2022年08月 Contents 第一部 哲学から小説へ――自由と主体をめぐる原理的探究 第1章 選択と報(むく)い――自由と主体の哲学へのイントロダクション 1 人間理解を深めるために自由と主体を論じること 000 2 自由と主体の哲学への導入――フラナリー・オコナーの小説 000 3 短編「善人はなかなかいない」のプロット 000 4 「おばあちゃん」の悪徳 000 5 選択と物語の分岐 000 6 選択と報いの関わり 000 第2章 正義と責任――自由と責任にかかわる概念の森 1 正義と責任の問題へ 2 グリコ・森永事件の始まり 3 未解決事件、および正義のバランス 4 真犯人が現れない 5 タッチの差の自責と後悔 6 責任とは何か 7 行為には結果が伴う 8 人間生活の世界観 第3章 罪など本当に存在するのか 1 〈責任〉や〈正義〉の概念は捨て去られるべきだという主張 2 暴力犯罪と脳腫瘍 3 自由による選択などはありえない 4 「治療」という犯罪者処遇 5 脳への治療的介入の可能性 6 犯罪のない世界 7 暴力行動の治療のダークサイド 8 〈罪‐報い〉という理解のフレームワーク 第4章 コントロールの幻想、あるいは人間の物体性について 1 なぜ脳が行動の原因であれば、自由がなくなると言えるのか? 2 戦争の物語としての『重力の虹』 3 物質の次元と〈報い〉や〈正義〉の概念 4 「V」は報復のV 5 物質の次元と〈主体〉や〈行為〉の概念 6 神経科学の視点が〈自由〉の否定につながる理由 第5章 それでも自由は存在するのであるが…… 1 《自由の存在は完全には否定されない》という命題へ向けて 2 出来事と行為の区別 3 自由の根本問題 4 客観的視点と日常的視点 5 出来事を組み合わせて行為を構成できるか? 6 それでも私たちが自由な行為の主体であること 7 宿命論の物語 8 選択は避けられない 第6章 自由や主体を「物理的に」説明できるか? 1 本書の全体的な立場の提示に向けて 2 「哲学の中心問題」とは 3 物質の運動を組み合わせて機能は説明できるか? 4 自分の行為に責任を負う主体の生成 5 〈物体〉に関わる概念を組み合わせるだけでは生み出されえないもの 6 世界を一枚の絵で描き切ることはできない 第7章 物語の哲学へ 1 自由が立ち上げる物語 2 「自己形成的行為」という自由の発露の場 3 人生の物語の作者になること 4 物体のレベルの物語 5 自由と主体の哲学にとっての小説の意義 第二部 小説から哲学へ――自由と主体をめぐる解釈的‐歴史的探究 第8章 主体の様式(モード)――坪内逍遥 1 明治の小説家たちが切り拓いた〈語りの空間〉 2 人情という内面心理を描き出す美術としての小説 3 小説の自立性 4 『当世書生気質』の意義 5 〈学生〉という主体の存在様式 6 書生の決断を描く 7 小説が拓いた「語りの空間」 第9章 世界と自己の対立――二葉亭四迷・山田美妙・尾崎紅葉 1 文体と世界 2 言文一致体とリアリズム 3 『浮雲』における〈世界に翻弄される主体〉 4 世界は文三の意図や願望にまったく無関心で…… 5 唐突に容赦がない「武蔵野」 6 「ありのままの世界」のさまざまなバージョン 7 尾崎紅葉と『金色夜叉』の敗北 8 世界との戦いに主体の勝利はない 9 貫一と紅葉の照応 第10章 挫折と生の輝き――森鷗外・幸田露伴・樋口一葉 1 主体性が輝くとき 2 「近代的自我」の覚醒と挫折 3 豊太郎の悲劇性 4 妥協と自己喪失 5 「魔」の重要性 6 「奇蹟」のようなものを呼び寄せる 7 十兵衛の決断の逆説 8 「正直律儀」の欺瞞性 9 覚悟の意義 10 主体性の輝き 第11章 いかにして覚悟は可能か?――川上眉(び)山(ざん)・泉鏡花・広津柳(りゆう)浪(ろう) 1 谷間の作家たち 2 「悲惨小説」あるいは「観念小説」とは何か 3 好青年の転落を描く眉山 4 〈夢追い人〉とコントロールを超えた悲劇 5 梅吉は十兵衛やお峯とどう違うのか 6 義務に殉じて死ぬ者を描く鏡花 7 狂信の問題 8 現実のグロテスクな側面を写実する柳浪 9 義父に虐待される嫁が…… 10 覚悟の欠如の問題 第12章 〈告白〉の威力とその限界――島崎藤村・田山花(か)袋(たい)・国木田独歩 1 〈告白〉という原理 2 自然主義とは何か 3 自然主義の作品としての『破戒』 4 《自分は何者か》が隠匿されること 5 〈告白〉という解決 6 性欲を語る花袋 7 告白によって「束縛」を転化する 8 「蒲団」の二重性 9 〈告白する主体〉と近代的自我の完成 10 自然主義をはみ出し「独りで歩く」国木田独歩 11 解決につながらない告白 12 告白の限界 13 〈告白〉に代わる原理は存在するか? 第13章 世界と自己はどこまでも一致しない――夏目漱石『三四郎』と『それから』 1 漱石の「逆説的」見解へ向けて 2 漱石をどう論じるか 3 本書の漱石論の限界 4 どうにもならない現実の世界に向き合う三四郎 5 世界と自己の関係の根本的構造 6 告白する代助とその限界 7 『それから』の消極的主張 8 〈告白〉の威力を相対化する漱石 9 〈告白〉の不可能性 第14章 漱石の「非原理の原理」――『門』 1 『門』の読解へ 2 告白しない宗助 3 谷崎の『門』批判 4 〈解決を与えない〉という積極的側面 5 〈私たちの物語〉としての『門』 6 アイロニカルな主体 7 以上の指摘の傍証――論考「イズムの功過」におけるアイロニーの重視 8 実験的であることと慎重であること 9 アイロニーという「非原理の原理」 10 梅吉、八田、お都賀らの何が問題だったのか 11 偶然性の波に乗ること Author 山口 尚 Sho Yamaguchi 1978年生まれ。京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了(人間・環境学博士)。現在は大阪工業大学講師、京都大学講師。専門は、形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について。著書に『クオリアの哲学と知識論証――メアリーが知ったこと』春秋社、共訳書に『世界の複数性について』デイヴィッド・ルイス(著)、出口康夫(監訳)名古屋大学出版会などがある。
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人=人生=建築 ユイイツムニの家
¥2,640
「建物に外観はいらない」――屋根の上に庭を配置し、年を経ると共に自然と一体化する自邸「回帰草庵」などの設計で知られる建築家の故・石井修。その哲学を受け継ぎ、自然と共に暮らすことのできる住宅設計を追求する著者が、父と自身の家づくりに対する思いをエッセイとして綴った。場所と暮らす人の人生が結び合う時、「唯一無二」の家が生まれる。 自然に溶け込む美しい建築の写真と建築家の思考をたどることで、自分の暮らしを考え直すためのヒントにもなるだろう。 [出版社より] 著 者|石井智子 出版社|トランスビュー 定 価|2,400円+税 判 型|A4変型判/並製 頁 数|128 ISBN|9784798701844 初 版|2022年07月 Contents 回帰草庵 ・回帰草庵と石井修 ・自然とつながる家 ・中庭 ・廊下 ・人工の大地 ・木製の窓 ・床暖房 ・丸太と仕口 ・テーブル ・自宅に招くお客様 ・暖炉 甲陽園の家 ・トータルなデザイン かつらぎ町の家 ・長寿命の家 大今里の家 ・塗り壁のマイナスイオン 柳本の家 伊賀の家 ・無垢の木 目神山の家19 ・大和 Author 石井 智子 一級建築士、ヘリテージマネージャー。 大阪生まれ。石井修/美建・設計事務所勤務の後、2002年、石井智子美建設計事務所を設立。株式会社美建設計事務所に改名、現在に至る。 日本古来の技術を大切にしながら、自然とつながる現代住宅を設計している。また、歴史のある建物を保存し、現代に生かす設計も行っている。
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エピソード アメリカ文学者大橋吉之輔エッセイ集
¥2,970
「一般的に病院の内科では、既往症のことをエピソードとも言う。そのエピソードがいくつか重なってメイジャーなものになると、ヒストリーとも言う」 編者のアメリカ文学研究における恩師 須山静夫氏の壮絶な半生を描いて話題となった『S先生のこと』(第61回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)を書き終えた後、もう一人の恩師である大橋吉之輔氏(1924-93、慶應義塾大学名誉教授)のことを書かねばならないと思い立った。 大橋氏は、ヘミングウェイ、スタインベック、フォークナーといったアメリカ文学の研究、翻訳の大家として知られる。中でもシャーウッド・アンダスン研究の世界的権威であった。 しかし、その死から20年余り。記憶を辿るには遠くなった恩師の生涯を恩師自身に語ってもらうべく、書き残された文章を収集することから始めた。そうして選ばれた46篇の文学論やエッセイは、晩年に至って「私小説」の領域に近づく。 編者によるサイドストーリーを交えて描き出される、ユニークで傑出したある文学者の生涯。 [出版社より] 著 者|大橋吉之輔 編 |尾崎俊介 出版社|トランスビュー 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|384 ISBN|9784798701820 初 版|2021年10月 Contents 小伝 大橋吉之輔先生 第1章 「大橋吉之輔」の形成 ヒロシマ・ひろしま・広島 菊池寛のトランク ほか 第2章 先生の文学論 アメリカ文学へのアプローチ スタインベックの文学 ほか 第3章 仕事・クルマ・映画・古本 貧乏性 ヘミングウェイ架空会見記 ほか 第4章 晩年の先生 天邪鬼 インディアン ほか 第5章 最後のエッセイ シカゴ再訪 ジョン・アンダスンのこと ほか 大橋吉之輔著作目録 Author 大橋吉之輔[オオハシキチノスケ] 1924‐1993。アメリカ文学者。慶應義塾大学名誉教授。東京大学英文科卒業。高校教師、雑誌編集などを経た後に、1952年より慶應義塾大学文学部で教鞭を執った。日本におけるアメリカ文学研究の黎明期を支えた一人。シャーウッド・アンダスン研究の世界的権威として知られ、『アンダスンと三人の日本人―昭和初年のアメリカ文学』(1984年、研究社出版)で日米友好基金特別図書賞を受賞 Editor 尾崎 俊介 Shunsuke Ozaki 1963年、神奈川県生まれ。愛知教育大学教授。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士課程単位取得。専門はアメリカ文学・アメリカ文化。著書に『S先生のこと』(新宿書房、第61回日本エッセイスト・クラブ賞)などがある
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人と数学のあいだ
¥1,980
数学を学ぶことは、人間を学ぶこと——。 数学は、非常に難しく、とっつきにくいものだと思われがちです。たしかに現代の数学は抽象的で、技術的にも高度なものです。大学はおろか中学・高校の数学で挫折してしまったという方も多いかもしれません。 しかし、実は数学は、私たちの身の回りの至るところに浸透しています。スマートフォンなど日々使用している機器はもちろん、社会活動や人と人とのつながりにとっても、重要な基盤となっている。つまり、数学を使うと使わざるとにかかわらず、非常に身近なものだということです。 本書は、数学者・加藤文元と、異分野の識者4人との対談を収録したものです。 川上量生さんとはビジネス、竹内薫さんとは物理学・プログラミング、岩井圭也さんとは小説、上野雄文さんとは脳科学……を通して、数学と人間とのかかわり、そして数学の新たな可能性を探っていきます。 必ずしも数の計算や命題の証明をしなくても、数学の面白さ・奥深さは味わえる。本書を通して、そのことを体感していただけるはずです。 [出版社より] 著 者|加藤文元・川上量生・竹内薫・岩井圭也・上野雄文 出版社|トランスビュー 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|264 ISBN|978-4-7987-0183-7 初 版|2021年12月 Contents はじめに――数学を学ぶことは人間を学ぶこと 社会の至るところに浸透している数学 数学を学ぶことは人間を学ぶことである 数学を楽しむということ 数学するとは生きること――竹内薫さん 数学と孤独――岩井圭也さん 数学と脳――上野雄文さん コンテンツとしての数学――川上量生さん 第1章 数学することは、生きること 加藤文元×竹内 薫 数学とプログラミングとクリエイティビティ ルービックキューブで「群論」が分かる? 自分で「発見」することの大切さ 数学は人間が生み出したのか、自然にあるものか 数学はすごい、でも物理学もすごい 未来の数学の姿 第2章 数学と文学の交差点――すべての表現者は孤独か? 加藤文元×岩井圭也 なぜ、数学者を題材に小説を書こうと思ったのか 天才数学者の孤独 共同で革新的アイデアを生み出すことは可能か 作家の孤独 孤独とストイックの違い 「共鳴箱」の必要性 数学と文学の共通項 第3章 数学と脳科学――数学者の精神と脳科学の数理 加藤文元×上野雄文 脳から数学を読み解く ガロアの死亡診断書 「数学脳」はあるのか? 数学と視覚の関係 数学者も言葉を通して考える 数学における〈正しさ〉とは何か 野山を駆け回ることと発想力 機械に数学はできるか 数学が「一つ」であること 人間の脳は、どのように抽象概念を手に入れたか 第4章 数学は「役に立つ」のか? 加藤文元×川上量生 数学という最高のエンターテインメント 数学はビジネスの役に立つのか プログラムや法律の複雑度を「幾何学的」思考で測る 現代数学は「非可逆圧縮」された情報だと考えられる? 現代数学の可能性を探る――古典数学と現代数学の違い 「空間化」することの意味 数学における空間の考え方の変遷 Author 加藤 文元 (カトウ フミハル) 1968年、宮城県生まれ。東京工業大学理学院数学系教授。97年、京都大学大学院理学研究科数学数理解析専攻博士後期課程修了。九州大学大学院助手、京都大学大学院准教授などを経て、2016年より現職。著書に『ガロア 天才数学者の生涯』(角川ソフィア文庫)『物語 数学の歴史―正しさへの挑戦』『数学する精神―正しさの創造、美しさの発見』(以上、中公新書)『数学の想像力―正しさの深層に何があるのか』(筑摩選書)、『宇宙と宇宙をつなぐ数学―IUT理論の衝撃』(KADOKAWA)、『天に向かって続く数』( 共著、日本評論社)など。 岩井 圭也 (イワイ ケイヤ) 小説家。1987年生まれ。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞(KADOKAWAより刊行)。著書に『文身』(祥伝社)、『水よ踊れ』(新潮社)、『この夜が明ければ』(双葉社)などがある。 上野 雄文 (ウエノ タケフミ) 1995年九州大学医学部卒業。博士(医学)。独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター臨床研究部長・医師養成研修センター長、九州大学医学部臨床教授、NPO法人 数理の翼理事長。専門は臨床精神医学、脳生理学。 川上 量生 (カワカミ ノブオ) 1968年愛媛県生まれ。91年京都大学工学部卒業。97年8月ドワンゴを設立。株式会社KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長を経て、現在はKADOKAWA取締役、ドワンゴ顧問、学校法人角川ドワンゴ学園理事などを務める。 竹内 薫 (タケウチ カオル) サイエンス作家。1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科、同大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻、理学博士)。フリースクール「YES International School」校長も務める。著書に『99・9%は仮説』(光文社新書)、訳書に『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ポール・ナース著、ダイヤモンド社)などがある。
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自分探しの倫理学
¥2,090
アリストテレス、スピノザ、ドゥルーズ、道元、エヴァンゲリオン――。 中世哲学と現代のアニメーションが接続し、「自分とは何か」を巡る旅が始まる。 「自分とは何か」「何のために生きているのか」 ——誰しも一度はそんな疑問を抱えたことがあるだろう(ない人は幸せだ)。 アカデミックな哲学や倫理学は高尚で、そんな俗世の悩みには答えてくれないように思える。自分とは何かに対する唯一の正解など存在しないが、その「分からなさ」に身を浸すことが大切なのだ。この本は、「自分探し」をあきらめた大人たちと、自分が嫌いなあなたのための倫理学である。 「自分探しの途上で死んでいくことが人生なのだ、と最初に結論を書いてしまうと話は続かないが、哲学は結論から前提に進んでいく学問だ。人生をその終わりから手前に向かって進む行程として考える「ひねくれ者」がいてもよいのではないか」(本文より) [出版社より] 著 者|山内志朗 出版社|トランスビュー 定 価|1,900円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|264 ISBN|9784798701813 初 版|2021年07月 Contents 第一章 〈私〉という探し物 ・人生という旅の方法 ・〈私〉をどこに探せばよいのか ・スピノザと自分探し ・私は自分探しが嫌いだ ・自分探しの救いようのないカッコ悪さ ・自分探しとは何を探すことなのだろう? ・揺れ動く〈私〉 ・模倣や嫉妬という宝物 第二章 自分嫌いとインティマシー ・世界の中心で自分を嫌う ・「気持ち悪い」なんてなぜ言うのか? ・フツーなんてどこにもない ・まずは失敗してみろ! ・他者と自分との境界 ・〈私〉と他者の境界はどのようにして作られるのか ・ケンカの論理学 ・シンメトリー型とコンプリメンタリー型のコミュニケーション ・コミュニケーションの行き着く先は ・親密性(インティマシー)という共犯関係 ・〈私〉ということの傷つきやすさ ・インティマシーとは切なくつらいこと 第三章 ハビトゥスとしての〈私〉 ・自己愛って悪いものじゃない ・ハビトゥス、ハビトゥス、ハビトゥス ・魑魅魍魎と深い沼底に咲く花たち ・情念と欲望の自己崩壊 ・愛とは何か ・ハビトゥスと徳 ・生の中に組み込まれた死の姿 ・魑魅魍魎の現れる夜 第四章 自分探しと個体化ということ ・個体化が越えられない断絶 ・〈このもの性〉ということ ・自分探しと個体化 ・中世哲学における個体化の議論 ・個体化の議論を考える ・個体化の議論は何だったのか ・超越概念と個体性 ・〈私〉とは風ではないのか 第五章 人生は何のために ・「何のため」から逃れる ・フロー(流れ)としての〈私〉 ・非目的論の意味 ・祭りは何のためにあるのか ・〈私〉が空っぽの巣とならないために ・〈私〉という物語 ・祝福される人生 ・〈私〉の物語と幸福の関係 ・関係の結び目としての〈私〉 ・自分らしさということ ・ねじれた心で哲学を ・未来が存在していないとしても ・非存在の輻輳するところ ・心は〈かたち〉あるものに向かう 第六章 セカイと〈私〉 ・セカイ系の学問としての哲学 ・ラスボス倒しによる自分探し ・自分探しの倫理学 ・約束とフィグーラ ・アリストテレスによる自分探し ・スクリプトを回収すること エピローグ――旅の終わりと花 Author 山内 志朗 Shiro Yamauchi 1957年生まれ。山形県出身。慶應義塾大学文学部教授。専門は中世哲学、倫理学。東京大学大学院博士課程単位取得退学。新潟大学人文学部教授を経て現職。主な著書に『普遍論争——近代の源流としての』(平凡社ライブラリー)、『新版 天使の記号学——小さな中世哲学入門』(岩波現代文庫)、『湯殿山の哲学——修験と花と存在と』(ぷねうま舎)、『目的なき人生を生きる』(角川新書)、『過去と和解するための哲学』(大和書房)、編著に『世界哲学史』シリーズ(ちくま新書)など。
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美術解剖学とは何か
¥2,750
「解剖学がわかれば、美術が見える」 ——布施英利 「美術解剖学」という学問がある。古くはダ・ヴィンチが解剖のスケッチをしていたように、芸術家は人間を表現するために、人体の内部構造から多くのことを学んできた。しかし、この美術と医学のあいだにある学問について、現代的な知見に基づいてしっかりと解説した本はほとんどない。 本書は、美術解剖学について、その内容から歴史までを概観した、 人体を「見る目」を養う学問についての、これまでにない入門書だ。 ・美術解剖学とは何を学ぶ学問なのか? ・この学問は美術なのか? 医学なのか? ・描き方のコツを学ぶだけが、美術解剖学ではない ・人体の見どころを徹底解説 ・美術解剖学の歴史をたどる 著者は、ファッションを入口に人体に興味を持ち、芸術・医学の両分野を修めた気鋭の研究者。 人が人を表現することはどういうことか? アーティストや漫画家、CGクリエイターといった専門家だけでなく、一般の美術ファンにとっても新たな視点を得られる一冊。 [出版社より] 著 者|加藤公太 出版社|トランスビュー 定 価|2,500円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|280 ISBN|9784798701783 初版|2020年7月 Contents 第1章 美術解剖学とは何か 1-1 美術解剖学とは何か 1-2 美術と医学の間で 1-3 美術解剖学を学べば「見る目」が養われる 1-4 美術解剖学という名称は、いつ生まれたか 1-5 美術解剖学の内容 1-6 美術解剖学の教材 1-7 教科書の選び方 1-8 解剖図の描画方法 1-9 解剖図の種類 1-10 美術解剖学は「How to draw」ではない 1-11 内部を見る目、表面を見る目 1-12 人体における遠近法 1-13 つながりを知る目 1-14 形態を発見する感性 1-15 理想美と現実美 1-16 人体を表現することの深さ 第2章 ある美術解剖学者の記録 2-1 なぜ美術解剖学を学ぶようになったのか 2-2 止むに止まれぬ興味 2-3 解剖させていただく人の人生 2-4 死後の世界 2-5 形を追う作業 2-6 常識を上回る自然の形態 2-7 関係のない痛み 2-8 結合組織取りの夢 2-9個性と無個性 2-10 解剖学で表現は上達するのか 2-11 我々を操る本体 2-12 二度目の解剖体験 2-13 研究テーマ探し 第3章 人体の名勝(めいしょう) 3-1 解剖図の姿勢 3-2 骨および骨格について 骨のオリエンテーション 胸郭と骨盤の隙間 脊柱のカーブ 脊柱の屈曲と伸展 3-3筋について 筋の構造 腱の走行 筋の圧痕 筋の断面 筋のフットプリント ダ・ヴィンチ筋 3-4 体表について 体表と内部を見比べる 体表のくぼみ 腋窩 3-5 体型について 太った人の骨格 体幹の大きさ アルファ体型 3-6 骨と筋以外の構造について 外形に影響する筋膜 リシェ支帯 喉頭 皮静脈——描かれる血管 皮静脈の膨らみ クリーチャーのための資料 3-7 解剖学について トリミングとレイアウトのセンス 解剖図における鑑賞者との距離 挿絵とトリビア 各部位の名称と階層構造 触覚から得られる情報 不自然を自然にする 3-8 造形について 多視点をつなぐ 新しい技術の獲得 実際よりも大きな手 性差のない表現 頭と体を付け替える 造形の類似 神が観ている背中 第4章 美術解剖学の歴史を築いた人物たち 4-1 レオナルド 4-2 ミケランジェロ 4-3 デューラー 4-4 ヴェサリウスとティツィアーノ 4-5 アルフェとクーザン 4-7 レンブラントとホーホストラーテン 4-7 ルーベンス 4-8 アルビヌス 4-9 ハンター(兄) 4-10 ウードン 4-11サルヴァージュ 4-12 ジェルディとフォー 4-13 ハルレスとルカ 4-14 マーシャル 4-15 デュヴァルとキュイエ 4-16 リシェ 4-17 ヘラー 4-18 ヴァンダーポール 4-19 ジェロタとブランクーシ 4-20 ドン・ティベリオ 4-21 ランテリ 4-22 エレンベルガーとディットリッヒ 4-23 リマー 4-24 ブリッジマンとヘイル 4-25 モロー 4-26 モリール、タンク、バメス 4-27 日本の美術解剖学 Author 加藤 公太 Kota Kato 1981年東京都生まれ。美術解剖学者、メディカルイラストレーター、グラフィックデザイナー。2002年、文化服装学院 服装科卒業。2008年、東京藝術大学 デザイン科卒業。2014年、東京藝術大学大学院 美術解剖学研究室修了。博士(美術、医学)。現在、順天堂大学 解剖学・生体構造科学講座 助教、東京藝術大学 美術解剖学研究室非常勤講師。Twitterでは「伊豆の解剖学者(@kato_anatomy)」として美術解剖学に関する情報を発信している。
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生きることの豊かさを見つけるための哲学
¥1,760
頭で考えていても、人生の悩みは解決しない。 現代はストレス社会だと言われます。働き方改革が必要とされるくらいに皆が過労に悩み、あるいは人生が何となく満たされないという「生きづらさ」を抱えている人も多いようです。では、私たち現代人にとって、日々の幸せはどうしたら実現できるのでしょうか? 本書は、著者がこれまで研究してきた哲学・教育学・身体論を手掛かりに、生きることの豊かさを感じるためのヒントを探るものです。 西洋で生まれた近代合理主義は、科学を発達させ、私たちの生活を物質面で豊かにしました。その反面、近代人はいわゆる「頭でっかち」の状態になり、「悩み」という袋小路におちいりやすくなってしまいました。 そこで、本書ではデカルト以降の西洋近代の思想の流れを追うことで、その行きづまりの原因を探ります。そして、なぜ現代人にとって「身体感覚」を取り戻すことが重要かを、メルロ=ポンティの現象学的身体論や武士道、呼吸法などを参照して解き明かします。 身体を変えれば、この世界はこんなにも豊かに感じられる。実は、豊かさとは、すでに目の前に広がっているものなのです! 現代人のための「生き方の技法」を学べる一冊。 [出版社より] 著 者|斎藤孝 出版社|トランスビュー 定 価|1,600円+税 判 型|四六判 頁 数|240 ISBN|9784798701745 初版|2019年9月 Contents 第1章 生きることの豊かさを感じるために必要なこと いつの時代も「憂き世」は変わらない? 「生きづらさ」の正体 世界の豊かさに気づく「技」 情報化社会が「初めて」の体験を奪う 面白さを五感を通して味わう 「遊び」と「笑い」という人間の本質 スポーツ観戦で起こる「身体の感情移入」 案内者の重要性 実は知られていない学校のすごさ 職業も身体感覚で選ぶ 誰も身体の使い方を教えてくれないという不満 身体的経験を通して豊かさを発見する 幸せのスイッチ 現代人は「頭でっかち」の状態 失われた日本人の身体性 人間中心の考え方をやめてみる 第2章 心と身体――西洋近代を追体験してみる 西洋近代を克服するために われ思う、ゆえにわれあり デカルトによる考え方の技化 自分の中に「近代的自我」を確立する 西洋哲学における身体の見直し ニーチェが宣言した肉体の復権 芸術家は身体の声を聴く 人はこの世界をどのように認識しているのか 私にとってのリンゴと他人にとってのリンゴは違う? 世界を見ることは哲学であり、芸術である 身体と世界の出会い方 「習慣」を哲学的に考察すると 見ることは触れることと同じ メルロ=ポンティから学んだ「スタイル」 「人生のスタイル」を見つけよう 「場の空気」とは「身体の状態感」のこと 「気分」は自分の中だけでなく、世界から生まれてくる 学校と監獄の共通点とは 権力者は身体を通して支配する 合理的思考だけでない理性を見出したレヴィ=ストロース 消費よりも浪費が経済の本質である 第3章 日本人は身体をどのように考えてきたか 武士の身体に学ぶ 武蔵が悟った「空」の境地 ブッダも呼吸で悟りを開いた ヨガの本質を集約した二つのポーズ 道教における気の理論 禅の効用は、フレッシュな身体を持つこと 集中していながらリラックスしている状態 日常の中に禅を取り入れる方法 「上達」の意味 明治の立役者も心は武士だった 能に受け継がれる身体文化 野口整体――呼吸を通して身体の気をコントロールする 野口体操――身体を通して自己を意識する 呼吸と書いて「コツ」と読んだ勝海舟 「拠り所」をどこに求めればよいか 第4章 教育と生き方の技法 「論より身体」の教育学 教師の身体が変われば、教室が変わる――身体の関係性 関係主義的に考えることのメリット 目に見えない関係性をどのように変えるか 関係の中でこそ個人の価値は生まれる 企業の暗黙知と身体知の関係 心の中で二人の自分が戦っている 「身体のモード」を変えてみる 言葉は身体性と結びついている 世界そのものが感情的である 黙読中心となって失われたもの 食文化と身体性 失われた身体性を取り戻すには 自分が得意な「動詞」を見つける 語彙力の少なさは致命的 「あこがれていく身体」が人の本性 身体への関心の高まり コミュニケーションも身体から Author 小手川 正二郎 Shojiro Kotegawa 國學院大學文学部准教授。1983年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。専攻はフランス近現代哲学、現象学。現象学の観点から、性差・家族・責任などの問題に取り組んでいる。著書に『甦るレヴィナス―「全体性と無限」読解』(水声社)、共著に『フェミニスト現象学入門―経験から 「普通」を問い直す』(ナカニシヤ出版)、共訳書に『評伝レヴィナス― 生と痕跡』(慶應義塾大学出版会)など。
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空想旅行 ブルーノ・ムナーリのデザイン教本
¥1,980
SOLD OUT
内なる子どもの目をひらき、手を動かして考えるデザインの本。 紙にちらばった21個の点を線で結ぶとしたら? 多様なバリエーションによって物事のさまざまなつなげ方、グループ分け、関連づけの方法を無限に発想する力を鍛える。ムナーリの詩的空想に満ちた、美しい見立ての数々に導かれ、視覚表現によるコミュニケーションの基礎を学ぶ演習帳。 これは、ものごとの様々なつなげ方、まとめ方、関係づけの方法を次から次へと発見する遊びです。 伝説のデザイン教本 「ブロック・ノート・シリーズ」 ムナーリは、誰にもわかるやさしい言葉と絵を使って、デザインを学ぶための本をたくさん作りました。本書は晩年のムナーリがイタリアのコッライーニ出版の編集室で、新しいデザインの教科書の夢を語りながら、その場で装丁まで仕上げてしまったという伝説の教本BLOCKNOTESseriesの一冊です。 内なる子どもの好奇心を全開にしてたくさんの不思議を観察し、空想の力を借りて誰にも見えていなかった真実を発見する。驚きと歓びに満ちたムナーリ流デザインの学び。心ゆくまでご堪能ください。 ――訳者 阿部雅世 [出版社より] 著 者|ブルーノ・ムナーリ 訳 者|阿部雅世 出版社|トランスビュー 定 価|1,800円+税 判 型|B6変型判 頁 数|126 ISBN|9784798701653 初 版|2018年7月 Author ブルーノ・ムナーリ Bruno Munari 1907年 ミラノ生まれ。ムナーリの活動は幅広く、造形作家、彫刻科、インダストリアル・デザイナー、グラフィック・デザイナー、映像、作家、詩人、美術評論家、美術教育家と実に様々な分野に及んでいる。金のコンパス賞(1954年、1955年、1979年)、ウルム・スピール・ガット賞(1971 年、1973年、1987年)、1963年イタリア共和国大統領より金メダル授与、1974年 ニューヨーク科学アカデミー名誉賞、アンデルセン賞、1985年ジャパン・デザイン・ ファンデーション賞、1986年レゴ賞、1988年アカデミア・リンチェイ賞等多数。ハー バード大学名誉会員、ジェノバ大学建築名誉博士、ブレラ美術大学名誉会員。
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点と線のひみつ ブルーノ・ムナーリのデザイン教本
¥1,980
絵を描く前に はじめてであうデザインの本 絵に用いられる、さまざまな点や線。太さ、濃淡、勢い、密度などの各要素が暗示することは何か。点や線の描き方を使い分けることによって、さまざまな意味や効果を生み出す方法を知る。 ムナーリの知的ユーモアに満ちた、美しい見立ての数々に導かれ、視覚表現によるコミュニケーションの基礎を学ぶ演習帳。 点と線という性格の異なるものが、どのように手をとりあっていくのでしょうか。 ブルーノ・ムナーリ *伝説のデザイン教本 「ブロック・ノート・シリーズ」 ムナーリは、誰にもわかるやさしい言葉と絵を使って、デザインを学ぶための本をたくさん作りました。本書は晩年のムナーリがイタリアのコッライーニ出版の編集室で、新しいデザインの教科書の夢を語りながら、その場で装丁まで仕上げてしまったという伝説の教本BLOCKNOTESseriesの一冊です。 内なる子どもの好奇心を全開にしてたくさんの不思議を観察し、空想の力を借りて誰にも見えていなかった真実を発見する。驚きと歓びに満ちたムナーリ流デザインの学び。心ゆくまでご堪能ください。 ―― 訳者 阿部雅世 [出版社より] 著 者|ブルーノ・ムナーリ 訳 者|阿部雅世 出版社|トランスビュー 定 価|1,800円+税 判 型|B5変型判 頁 数|80 ISBN|9784798701660 初 版|2018年7月 Author ブルーノ・ムナーリ Bruno Munari 1907年 ミラノ生まれ。ムナーリの活動は幅広く、造形作家、彫刻科、インダストリアル・デザイナー、グラフィック・デザイナー、映像、作家、詩人、美術評論家、美術教育家と実に様々な分野に及んでいる。金のコンパス賞(1954年、1955年、1979年)、ウルム・スピール・ガット賞(1971 年、1973年、1987年)、1963年イタリア共和国大統領より金メダル授与、1974年 ニューヨーク科学アカデミー名誉賞、アンデルセン賞、1985年ジャパン・デザイン・ ファンデーション賞、1986年レゴ賞、1988年アカデミア・リンチェイ賞等多数。ハー バード大学名誉会員、ジェノバ大学建築名誉博士、ブレラ美術大学名誉会員。
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現実を解きほぐすための哲学
¥2,640
性差、人種、親子、難民、動物の命について――。 いま、世界には社会の分断を生む問題が山積している。こうした問題についての議論は、往々にして、それぞれの立場から非難の応酬になりがちだ。では、意見の異なる人と対話し、世の中をより良くしていくためには、何が必要なのだろうか? 著者は、一人ひとりが「自分の頭で考える」こと、そして「かわるまでわかる」ことが大切だと説く。網の目のように複雑にからまった現実を、どのように解きほぐすことができるのか。それぞれの問題について、丁寧な思考の歩みを示していく。 哲学は、偉大な学者の言葉や思想をありがたがることではなく、現実に向き合うことから始まる。本当の意味で考えるための入門となる一冊。 [出版社より] 「考えることは、しんどい。けれども、物の見方が変わる面白さを味わえる」 ――古田徹也 氏(東京大学准教授) 著 者|小手川 正二郎 出版社|トランスビュー 定 価|2,400円+税 判 型|四六判 頁 数|280 ISBN|978-4-7987-0176-9 初版|2020年3月 Contents 序章 「自分で考える」とはどういうことか? 経験から出発する――分析の手がかり 現実を解きほぐす――分析の手法 問いに身を晒す――分析の目標 第1章 性差――なぜ、哲学にフェミニズムが必要なのか? 男女平等についての「建前」と「本音」 1 差別とは何か? ・日本における男女格差の現状 ・「差別」とたんなる「区別」の違いとは? ・日常にはびこる「差別的言動」 ・フェミニズムはすべての人のためにある 2 私たちは、どのように男女を見分けているのか ・性差別は簡単に論破できる? ・性差の類型的な知覚とは ・女性の身体経験を考える――「女の子投げ」と「月経」 3 男性とフェミニズム ・男性も家父長制によって抑圧されている? ・お膳立てされた男らしさ ・誰が男らしさを求めているのか? ・フェミニズム的男らしさの可能性 第2章 人種――黒人の肌は本当に「黒い」のか? 日本人と人種差別 1 人種と人種差別 ・見える差異と見えない差異 ・人種という概念の誕生 ・人種は科学的に存在するのか? 2 人種という経験 ・人種として見るとはどういうことか ・人種化する知覚の特徴――受容性の制限と人種の自然化 ・日本における人種差別――「ハーフ」の差別経験をもとに 3 「黄色人種」としての日本人 ・「黄色人種」の自認 ・黄色人種への差別 ・日本の人種的マジョリティの人種経験 ・人種差別的な習慣を変えるには 第3章 親子――何が「子どものため」になるのか? 親子関係を哲学する 1 親にとって子どもとは? ・「子どもをもつ」ことは何を意味するか ・生まれてくる子どもの私物化 (a)家族とクラブ――新型出生前診断 (b)子どもと製作物――デザイナーベイビー ・生まれてきた子どもの私物化 (c)しつけと虐待――子どもの唯一的な価値の毀損 (d)パターナリズムと過干渉――自律性の毀損 ・「親である」ことと「親になる」こと 2 子どもにとって親とは? ・子どもは生みの親のもとで育つべきか ・アイデンティティと親を知ること ・生物学上の親にこだわる必要はない――「自然な核家族」図式に抗して ・出自を知る権利を認めるべきか? ・自己の物語を語り直す 第4章 難民――受け入れるべき責任を負うのは誰か? 「受け入れない」に限りなく近い日本 1 難民問題とは何か? ・難民と移民の違い ・難民問題の現状 ・難民受け入れにまつわる様々な誤解 2 難民受け入れの根拠をめぐる議論 ・難民発生は誰のせいなのか? ・難民受け入れの利害とは? ・難民は基本的人権を侵害されているか? 3 難民に対する責任? ・責任の受動性と無起源性 ・責任から目を逸らす習慣 ・私たちの「冷ややかさ」 第5章 動物の命――肉を食べることと動物に配慮することは両立しうるのか? 肉食反対派と擁護派の埋めがたい溝 1 人間は「種差別」主義者である――シンガーによる肉食批判 ・種差別とは何か? ・工場畜産と動物実験に対する批判 ・能力による命の序列化 2 人間と動物は違うということの意味――ダイアモンドによるシンガー批判 ・肉食と人食 ・動物への配慮は規範の問題なのか? ・動物に対する見方を変える ・「価値観の違い」を越えて 3 人間の命と動物の命 ・人間主義と人間中心主義との違い ・すでに死んでいる動物への配慮 ・ペットの命から考える ・肉を食べるとは、いかなることか? Author 小手川 正二郎 Shojiro Kotegawa 國學院大學文学部准教授。1983年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。専攻はフランス近現代哲学、現象学。現象学の観点から、性差・家族・責任などの問題に取り組んでいる。著書に『甦るレヴィナス―「全体性と無限」読解』(水声社)、共著に『フェミニスト現象学入門―経験から 「普通」を問い直す』(ナカニシヤ出版)、共訳書に『評伝レヴィナス― 生と痕跡』(慶應義塾大学出版会)など。
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幸福と人生の意味の哲学 なぜ私たちは生きていかねばならないのか
¥2,640
「不幸なのに、どうしようもなく苦しいのに、死んだ方が楽であるのに、なぜ生きていかねばならないのか?」 ……そう問う人に、あなたならどう答えるか。 身近な人の死や貧困、いじめ、そして大きくは戦争や自然災害など、この世は苦痛や痛みで溢れている。もちろん、比較的幸福な人生を送る人も少なからずいるだろうが、その人たちとていつか不幸に陥るかもしれない。そもそも他人から見て「幸福」な人生であったとしても、「何のために生きているのか」という人生の意味に悩まされるのが人間だともいえる。その点で、幸福と人生の意味とは密接に関連している。 では、いったい幸福とは何か? 人生の意味とは何なのか? 本書は、そうした問いに哲学の観点から答えようとするものである。 人は誰も「不幸の可能性」から逃れられない。「どうせ死ぬのだから、人生は無意味だ」ということも、哲学的には正しい。しかし、その「絶望」を超えて、なお人生が生きるに値すると示しうるならば、それはどのようにしてか。 パスカル、カント、ウィトゲンシュタイン、ネーゲル、中島義道、長谷川宏、船木英哲ら古今の思想家やトルストイ、カミュ、中島敦ら文学者の言葉を手掛かりに、私たち一人ひとりが人生と向き合うための思考の軌跡を示し、哲学の新たな可能性を拓く。 [出版社より] 「絶望することにも絶望するとき、私たちは『幸福という神秘』に包まれる」 ――中島岳志 著 者|山口尚 出版社|トランスビュー 定 価|2,400円+税 判 型|四六判 頁 数|272 ISBN|978-4-7987-0170-7 初版|2019年5月 Contents はじめに 第1章 幸福の難しさ 第1節 幸福のどうにもならない側面 (1)この世の不幸 (2)なぜ生きていかねばならないか (3)幸福の外在的側面 (4)幸福と幸運 第2節 幸福の内面化 (1)「外在的幸福」の不安定さ (2)ストア派の幸福論 (3)不幸は考え方次第なのか (4)意のままにならぬ内面――回復と時間 第3節 幸福の幻想性と脆弱性 (1)幸福のうちに見出される傷 (2)生きることと苦しめること (3)〈幸福〉と〈現実から目を逸らすこと〉 (4)パスカル・ラッセル・長谷川の幸福論 第2章 人生の無意味さ 第4節 死と人生の意味 (1)幸福をめぐる問題と人生の意味をめぐる問題 (2)人生と世界の違和感 (3)どうせ死んでしまう (4)生きてる間は楽しまなくっちゃ 第5節 国家や歴史は人生に意味を与えるか (1)人生の意味と人間を超えた何か (2)人生の意味と自殺 (3)国家・歴史・人生の意味 (4)人間がもつ〈一歩退く〉という知的能力 (5)国家や歴史を相対化しうることの必然性 第6節 物質と〈ただ在るに過ぎないこと〉――世界は絶対的に無意味か (1)人生の意味と唯物論の問題 (2)一切はただ在るに過ぎない (3)存在の脱意味化 (4)船木英哲の絶対的無意味 第3章 有意味さの不可避性と相対性 第7節 人生の不条理とアイロニーを伴った生き方 (1)絶対的な無意味さの不可能性 (2)人生の意味と無意味をめぐる不条理 (3)この不条理な生をどう生きるか――アイロニーの勧め (4)李陵のアイロニカルな生き方 第8節 アイロニーと人生の意味 (1)自分自身の価値観との距離 (2)アイロニストがテロや暴力に反対する際の〈どっちつかずさ〉 (3)渡部昇一のアイロニー欠如 (4)アイロニーの意義 (5)アイロニーと人生の意味 第9節 「有意味な生とは何か」への応答 (1)語りえぬものを大切にする姿勢 (2)直接語らないこと (3)メッツ批判 (4)伊勢田批判 (5)戸田山批判 第4章 幸福の可能性と現実性 第10節 幸福と語りえぬもの (1)森村への「複層的」批判 (2)「分からない」という結論 (3)書かれている以上のことが何も染み出してこない (4)すべてが美しい 第11節 超越的幸福 (1)〈眼前に現れうるもの〉と〈超越〉の区別の重要性 (2)幸福と不幸を世界内部的な基準で測ることの問題点 (3)幸福の可能性 第12節 信仰の重要性 (1)現実から目を逸らさぬこと (2)信仰の重要性 (3)信仰とアイロニー 第13節 人生が幸福という意味をもつことを―― (1)幸福こそが人生の意味である (2)超越の光に照らされて (3)永遠の相の下に (4)時間と事実 結びに代えて あとがき Author 山口 尚 Sho Yamaguchi 1978年生まれ。京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了(人間・環境学博士)。現在は大阪工業大学講師、京都大学講師。専門は、形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について。著書に『クオリアの哲学と知識論証――メアリーが知ったこと』春秋社、共訳書に『世界の複数性について』デイヴィッド・ルイス(著)、出口康夫(監訳)名古屋大学出版会などがある。
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言葉の服 おしゃれと気づきの哲学
¥2,970
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「見慣れた世界を初めて見るかのように見ている」 ――鷲田清一 氏 衣食住と言われるように、服は人間にとって不可欠なものです。しかし、私たちはいつしか〈ファッション=流行〉としてしか衣服を捉えなくなってしまいました。まして、日本人は近代以降「洋服」を着ることを当たり前のこととしています。では、服飾において私たち日本人が培ってきたものは捨て去られるだけなのでしょうか? 著者は、大学院まで哲学を学び、そこから服飾の世界に転じた後、「日本の美意識が通底する新しい服の創造」をコンセプトとしたブランド「matohu(まとう)」を立ち上げました。その方法は、「言葉から服を生み出す」というものです。 私たちはいま、どのような服を着ているのか。そして、服とは何から生まれるのか。私たち自身の日々の生活を見つめ直すことで、いつしか忘れてしまった「日本の美意識」に気づくことができます。気鋭のファッションデザイナーが紡ぐ、服と生活を考えるための哲学的エッセイ集。 [出版社より] 著 者|堀畑裕之 出版社|トランスビュー 定 価|2,700円+税 判 型|四六判 頁 数|288 ISBN|978-4-7987-0172-1 初 版|2019年7月 Contents はじめに――いま私たちはどんな服を着ているだろう 第一章 気づきを生かす はじめに「言葉」がある 言葉の矢――ドイツで問われた根本 哲学とファッション 立体裁断、自由の造形 人のうつわ おしゃれの意味 服が生み出す「交わりの場」 「和」という言葉 枯野見――風雅な遊び 「もの」が語る生活の秘密 「衣料危機」って何? 第二章 「日本の眼」で見つめる 「日本の眼」とは何か 「かさね」――季節と色と言葉のデザイン 「無地の美」――無限の味わい 「映り」――取り合わせの不思議 「やつし」――簡素な豪華さ 「見立て」――物の転生 「あわい」――関係性の美学 「尽くし」――豊かさの祝祭 「素(しろ)」――色なき根源の色 「ほのか」――無から出ずるもの 「かろみ」――物数を尽くす 「おぼろ」なる世を愛する 「うつくし」――かわいさと強さ 「いき」――生き方の理想 「かざり」――命の荘厳 「なごり」――終わりと始まり 第三章 日本人のおしゃれ 土方歳三の「いき」 中原中也の「憧憬」 智恵子の素(しろ) 宮沢賢治の「田園」 藤田嗣治の「ミシン」 白洲正子の「プリーツ」 第四章 出会いを生かす――物と人 花鋏と突然の覚悟、心の手について 華やぐ美のひとしずく 九谷焼酒盃 「銘仙」と伝統の泉 「こぎん」を身にまとう 「素型」のデザイン――文化ボディ 偉大なる「ない」のコート 「いき」と国宝の美 風に舞う――能と衣装 日本の美を生きた人 『日本の面影』を旅する 第五章 日々の哲学 日々の哲学 発熱する命 蕎麦屋での思索 「きく」ということ Ⅰ 「きく」ということ Ⅱ 永遠の今 人生を変える言葉 対話と思考 第六章 対話篇――哲学者 鷲田清一と京都を歩く 歩きながら考える なぜ、外国人旅行者は京都できものを着たがるのか? 弓は「私」ではなく「それ」が射る 日本の美意識を西洋哲学の言葉で考えた九鬼周造 和語は現象学に向いている 純粋な日本文化なんてない 「つかう」と「つきあう」 その人にとっての「言葉の服」 待つことなく、待つ 「おしゃれ」の意味 本当におしゃれな人たち おしゃれは「する」のではなく「なる」もの 顔の映り、映える服 服をまとうことで自分が生まれる 西洋的普遍と思われているものの特殊性 見慣れたものを初めて見るかのように見る 服を通じたコミュニケーション 結論の決まっていない対話 Author 堀畑裕之 Hiroyuki Horihata 服飾デザイナー。大阪府堺市生まれ。同志社大学文学部卒、同大学院哲学専攻修了。その後、文化服装学院アパレルデザイン科へ。コム・デ・ギャルソンにて勤務の後、渡英しロンドンコレクションの仕事にたずさわる。帰国後05年に「日本の美意識が通底する新しい服の創造」をコンセプトとしたブランドmatohu(まとう)を関口真希子と共に設立。06年より、東京コレクションに参加。09年、毎日ファッション大賞新人賞、資生堂奨励賞受賞。11年、「慶長の美」展(スパイラル、熊本市現代美術館)。12年、「日本の眼―日常にひそむ美を見つける」展(金沢21世紀美術館)など美術館での展覧会も行なっている。
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13 ハンセン病療養所からの言葉
¥3,190
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「指は曲がっていても 天をさすには少しの不自由も感じない」(志樹逸馬) 隔離の中で生まれた詩(ことば)と失われゆく記憶を残すために——。 明治以降、約90年続いた隔離の歴史。全国に13ある国立ハンセン病療養所には、その記憶を色濃く残した「風景」とその中でしか生まれえなかった「言葉」がある。8×10や35mmのフィルムカメラを携え、3年を掛けて全国の療養所を訪れた石井正則は そこで感じた「空気」を写真に収めてきた。 カラーフィルムで撮影した約100点の写真に、入所者の方々の力強い詩 23篇を掲載。木村哲也氏(国立ハンセン病資料館学芸員)による、ハンセン病政策と療養所の歴史についての解説も収録する。 [出版社より] 著 者|石井正則 出版社|トランスビュー 定 価|2,900円+税 判 型|B6変型判 頁 数|176 ISBN|978-4-7987-0177-6 初版|2020年4月 [掲載詩] 国本昭夫「妹の手紙を見て」 久保瑛二「心のたより」 水野きよし「母」 塔和子「金魚」 厚木叡「伝説」 森春樹「微笑まなかった男」 秋田穂月「島の火葬場にて」 中石としお「石女」 北浜知代「解剖」 島村静雨「海と断層」 C・トロチェフ「びよういんのさくら」 越一人「栗生望学園」 近藤宏一「舌読」 西羽四郎「癩憲章」 森中正光「指」 戸田次郎「解剖室の感想」 福寿美津男「特別病室」 藤本とし「呼吸のおくで」 島田等「橋」 谺雄二「ライは長い旅だから」 堂崎しげる「ひかりについて」 志樹逸馬「曲った手で」 島比呂志「病める樹よ」 Author 石井正則 Masanori Ishii 1973年、神奈川県生まれ。94年、お笑いコンビ「アリtoキリギリス」としてデビュー。ドラマ『古畑任三郎』への出演をきっかけに、コンビ解散後も俳優として数々のドラマ、映画、舞台などの作品に出演。『Mr.サンデー』のナレーターなども務める。自転車や喫茶店めぐり(全国2400件以上)など、多彩な趣味を持つことでも知られる。著書に『駄カメラ大百科』(徳間書店)がある。 中古の二眼レフを購入したことをきっかけに、フィルムカメラの世界に魅せられ本格的に写真を始めた。本写真集に掲載の作品は、プライベートの時間に全国13カ所の国立ハンセン病療養所を訪れ、8×10大判カメラや35mmフィルムカメラで撮影したもの。2020年2~5月、国立ハンセン病資料館にて写真展「13~ハンセン病療養所の現在を撮る~」を開催。
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死者の民主主義
¥2,310
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人ならざるものたちの声を聴け 20世紀初めのほぼ同じ時期に、イギリス人作家チェスタトンと、当時はまだ官僚だった民俗学者の柳田国男は、ほぼ同じことを主張した。それが「死者の民主主義」である。 その意味するところは、世の中のあり方を決める選挙への投票権を生きている者だけが独占するべきではない、すなわち「死者にも選挙権を与えよ」ということである。 精霊や妖怪、小さな神々といったものは、単なる迷信にすぎないのだろうか。 それらを素朴に信じてきた人びとこそが、社会の担い手だったのではなかったか。 いま私たちは、近代化のなかで見過ごされてきたものに目を向け、 伝統にもとづく古くて新しい民主主義を考えなければならない。 死者、妖怪、幽霊、動物、神、そしてAI…… 人は「見えない世界」とどのようにつながってきたのか。 古今の現象を民俗学の視点で読み解く論考集。 ◆本書に登場するものたち 柳田国男、南方熊楠、宮本常一、今和次郎、ギルバート・K・チェスタトン、網野善彦、宮沢賢治、谷川健一、諸星大二郎、道祖神、河童、天狗、ザシキワラシ、潜伏キリシタン、仙童寅吉、熊、猫、アイボ、VTuber、浦野すず、飴屋法水、齋藤陽道…… [出版社より] 著者|畑中章宏 出版社|トランスビュー 定価|2,100円+税 判型|四六判 ページ数|272 ISBN|978-4-7987-0173-8 初版|2019年7月 Contents Ⅰ 死者の民主主義 いまこの国には「死者のための民主主義」が必要である 「死者を会議に招かねばならない」 祖霊の政治参加を促す 妖怪や精霊にも選挙権を 「死者の立憲主義」 南方熊楠の戦い 「平凡人は人生を内側から見ている」 「私は死んだのですか?」――大震災をめぐる「幽霊」と「妖怪」 私たちは数多くの「死霊」と出会ってきた さまざまな霊魂譚 あの世からの伝言 新たな妖怪伝承は生まれるのか 妖怪と公共 柳田国男の妖怪体験 さまよう妖怪 妖怪の発展と発見 死者に「更衣」した大勢の若者たち――渋谷のハロウィンをめぐる考察 ハロウィンの起源と日本での大流行 カボチャとカブと大根 「死の仮装」が意味すること スクランブル交差点の「彼岸」 日本の祭はどこにあるのか 祭は発見される 「雪祭り」と「盆踊り」 盆踊りの現代化 祭は更新される Ⅱ 人はなぜ「怪」を見るのか 諸星大二郎論序説 モノと構造 人間と機械、人間と動物の融合 ITと怪異現象――二一世紀の妖怪を探して 噂を広める、情報系妖怪「件」 目に見えない凶暴な感情が広まり、共有されていく 人と人をつなぐ、目に見えない綱「キズナ」。 VTuberは人形浄瑠璃と似ているか? ぎこちない動きが心を揺さぶる 社会との絶妙なバランス 江戸時代から続く「日本人のVR羨望」 ツイッターから話題になった江戸の奇談 超常世界と超能力への関心 異界を体験し、超能力を身につけた少年 宇宙体験の真実 テクノロジーの開発と感覚の拡張 アイボの慰霊とザギトワへのご褒美 ペットロボットの献体とお葬式 日本人はどんなふうに動物を供養してきたか アリーナ・ザギトワと日本の忠犬 犬を神に祀る神社 AIの墓場はどこにあるか あなたは飴屋法水の『何処からの手紙』を見逃すべきではなかった 郵便局から届いた「物語」 語り出す「木」や「神様」 「いとおごそか」な神 無数のなかの、わずかのひとつ ニンゲンがつくった神様 「まれびと」としての写真家――齋藤陽道展「なにものか」 『この世界の片隅に』は妖怪映画である 方言とカタストロフ 「かまどの煙」が意味するもの 広島は「死んだ人のゆくところ」 原作に活かされていた「考現学」 Ⅲ 日本人と信仰 縄文と民俗の交差点――八ヶ岳山麓の「辻」をめぐって 南大塩の辻 山寺の辻 御座石の辻 米沢の辻 熊を神に祀る風習 クマの神籬 クマの民俗 クマの祭祀 クマの童話 クマの置きもの 窓いっぱいの猫の顔 移住漁民と水神信仰 摂津国佃村漁民の移住 さまよう「水神」 波除様の魚介供養碑 佃煮と佃門徒 「つきじ獅子祭」の合同渡御 「休日増」を勝ちとった江戸時代の若者たち 日本人の長時間労働と勤勉性 沸きおこった「遊び日」の要求 若者たちが獲得した休日の実態 オンとオフの絶妙な切り替え 『沈黙』のキリシタンは、何を拝んでいたのか? 「潜伏キリシタン」と「カクレキリシタン」 カトリックとは相いれない信仰 「キリシタン神社」とは何か 日本人の信仰の「縮図」 戦後日本「初詣」史――クルマの普及と交通安全祈願 近代初詣の誕生 「成田山」の戦中と戦後 自動車祈祷殿の流行 交通安全と初詣の未来 大阪万博と知られざる聖地 五五年越しの開催 千里丘陵という地勢 ヘリコプターからお祓いをした地鎮祭 「太陽の塔」と千手観音 日本人にとって「結び」とは何か――正月飾りに秘められた驚きの科学 日本古来の「結び」文化 家紋や社紋と結びの多様性 「あみだくじ」を幾何学から捉える 日常に遍在する「結び」の数々 Ⅳ さまざまな民俗学 手帳のなかの庚申塔――宮沢賢治と災害フォークロア 賢治と地震と地震 ザシキワラシと白髭水 七庚申と五庚申 「青」のフォークロア――谷川健一をめぐる風景 若狭の「青」 志摩の「青」 対馬の「青」 「青」の現在 写真と民俗学者たち 「民俗と写真」座談会 土門拳と柳田国男 柳田国男の写真 写真と柳田の弟子たち 東北に向けた考現学のまなざし――今和次郎と今純三 「百姓」のフォークロア――網野善彦の歴史学と「塩・柿・蚕」 百姓再考 塩 柿 蚕 Author 畑中章宏 Akihiro Hatanaka 1962年、大阪生まれ。作家、民俗学者。『災害と妖怪』『津波と観音』(亜紀書房)、『ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか』『蚕』(晶文社)、『柳田国男と今和次郎』『『日本残酷物語』を読む』(平凡社新書)、『天災と日本人』(ちくま新書)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)など著作多数。
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ぼくと仕事、ぼくと子ども
¥1,980
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絵本作家のきくちちき氏ら、子どもに関係する仕事をしている、30代から40代前半の父親10人へインタビュー。父親と子どもが、大人と子どもが、一緒に生きてゆく社会を日々の営みのなかから考える。 [出版社より] 著者|影山大祐 出版社|トランスビュー 定価|1,800円+税 判型|四六変型判 ページ数|224 ISBN|978-4-7987-0164-6 初版|2018年2月 Contents はじめに ●子どもとつくる物語 きくちちき 絵本作家 百年前の絵本、百年後を生きている自分/授賞式の日に始まった新しい物語/きっと誰でも子どもの頃には当たり前にあった/子どもと親が一緒に絵本を読むこと/子どもと親の成長速度/時間も、国も、関係なく ●子どもと大人が共振できる場所 齋藤紘良 保育園園長 保育園と子どもたち/子どもたちが考える余地を、大人がつくる/子どもたちの選択肢/大人って楽しいんだな、父親って楽しいんだな/子どもから老人まで/さまざまな価値観をごちゃ混ぜにして ●父と子の歩き方 火神政博 子ども靴デザイナー 子どもが最初に履く靴/良い革靴が見つからなかったから/つくるだけでは終わらない/やってみなよと言ってあげれば/自分の興味がある、自分を活かせる場所で/大事なきっかけ ●家族の食卓 冨田ただすけ 料理研究家 母の和食/食べることで、満たされること/言葉の代わりに料理をつくる/実家に帰った時、台所にあったもの ●自然な人に 長谷部雅一 アウトドアプロデューサー 子どもたちが今もっている知恵や技術で/どんな時も自然体で/原体験って大事だなってあらためて思った/ゆるやかな時間で親になっていく/手伝いすぎず、見守ること/自然って、かなわない ●父と子と絵本の関係 三輪丈太郎 子どもの本専門店 たくさんの余白を子どもたちへ/親と子どもの攻防戦/一番好きな絵本/子どもが生まれるまでは気づかなかったこと/どれだけ世の中が進んでいっても ●家族をど真ん中に 秋庭覚 農家 僕らの秘密基地/畑で物語をつくろう/料理人になったからこそ気づけたこと/自分でつくるという豊かさ/家族をど真ん中において ●子どもたちが大好きな世界を 浦谷和生 プランナー 子どもの新しい遊び/子どもたちの想像を超えた出来事、その感動がきっと心をゆさぶる/子どもたちと積極的に関わる世界をつくる/当たり前のことを当たり前のように/自分も楽しくて子どもたちも楽しい世界を ●子どもたちの故郷 佐藤芳秋 大家 子どもたちの環境や可能性を左右する立場にいる/子どもが、たくさんいる街は/思い出の場所に/街づくりというよりも未来づくり/大人が子どもたちを、にこやかに見守れる街 ●大人の背中、子どもの背中 野村亮太 ランドセル職人 ピカピカの一年生/ひとつだけのランドセル/誠実に、真心をもって/やりたいことがあるのは、それだけでとってもいいこと/結局は人間だよ あとがき Author 影山大祐 Daisuke Kageyama 1982年生まれ。クリエイティブディレク ター・デザイナー・文筆家。 デザイン事務所や広告代理店を経て二〇一二 年独立。二〇一四年、株式会社メアリーアン ドディーンを設立。企業や団体の宣伝・広報 物の制作をおこないながら、二〇一六年に出 版レーベル「 megurogawa good label 」を立ち上げ、『GOOD WORKS 一生以上の仕事』を出版。
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本屋な日々 青春篇
¥1,980
プロの書店員のほかは読む機会が少なかった好評連載がついに単行本化。津々浦々の「本屋」を通して人と社会を描き出す、石橋毅史のライフワークがここに結実。第一弾は、情熱にかられて「本屋」となった若者たちの群像『本屋な日々 青春篇』 以後続刊——。 刻々と変化する状況にあらがう本屋たちの姿を描く。『本屋な日々 風雲篇』 壮年となった本屋たち、かれらの激闘が次の世代にのこすものとは―。『本屋な日々 激闘篇』 夢幻の本屋か現実かー、本屋と本をめぐる掌編。『本屋な日々 番外編』 [出版社より] 著者|石橋毅史 出版社|トランスビュー 定価|1,800円+税 判型|A5変型判 ページ数|312 ISBN|978-4-7987-0167-7 初版|2018年6月 Contents この旅の向こう 伝える本屋 そこにある本屋 出会いの本屋 青春の本屋 いつか辿りつく場所 あとがき Author 石橋毅史 Takefumi Ishibashi 1970年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。出版社勤務を経て、出版業界専門紙「新文化」の記者、編集長を務める。2010年フリーランスとなる。著書に『「本屋」は死なない』(新潮社)、『口笛を吹きながら本を売る』(晶文社)、『まっ直ぐに本を売る』(苦楽堂)など。『「本屋」は死なない』が台湾で閲読職人大賞(2013年)を受賞している。