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現実を解きほぐすための哲学

¥ 2,640

性差、人種、親子、難民、動物の命について――。
いま、世界には社会の分断を生む問題が山積している。こうした問題についての議論は、往々にして、それぞれの立場から非難の応酬になりがちだ。では、意見の異なる人と対話し、世の中をより良くしていくためには、何が必要なのだろうか?

著者は、一人ひとりが「自分の頭で考える」こと、そして「かわるまでわかる」ことが大切だと説く。網の目のように複雑にからまった現実を、どのように解きほぐすことができるのか。それぞれの問題について、丁寧な思考の歩みを示していく。

哲学は、偉大な学者の言葉や思想をありがたがることではなく、現実に向き合うことから始まる。本当の意味で考えるための入門となる一冊。
[出版社より]


「考えることは、しんどい。けれども、物の見方が変わる面白さを味わえる」
――古田徹也 氏(東京大学准教授)


著 者|小手川 正二郎
出版社|トランスビュー
定 価|2,400円+税
判 型|四六判
頁 数|280

ISBN|978-4-7987-0176-9
初版|2020年3月


Contents
序章 「自分で考える」とはどういうことか?

経験から出発する――分析の手がかり
現実を解きほぐす――分析の手法
問いに身を晒す――分析の目標

第1章 性差――なぜ、哲学にフェミニズムが必要なのか?
男女平等についての「建前」と「本音」

1 差別とは何か?
・日本における男女格差の現状
・「差別」とたんなる「区別」の違いとは?
・日常にはびこる「差別的言動」
・フェミニズムはすべての人のためにある

2 私たちは、どのように男女を見分けているのか
・性差別は簡単に論破できる?
・性差の類型的な知覚とは
・女性の身体経験を考える――「女の子投げ」と「月経」

3 男性とフェミニズム
・男性も家父長制によって抑圧されている?
・お膳立てされた男らしさ
・誰が男らしさを求めているのか?
・フェミニズム的男らしさの可能性


第2章 人種――黒人の肌は本当に「黒い」のか?
日本人と人種差別

1 人種と人種差別
・見える差異と見えない差異
・人種という概念の誕生
・人種は科学的に存在するのか?

2 人種という経験
・人種として見るとはどういうことか
・人種化する知覚の特徴――受容性の制限と人種の自然化
・日本における人種差別――「ハーフ」の差別経験をもとに

3 「黄色人種」としての日本人
・「黄色人種」の自認
・黄色人種への差別
・日本の人種的マジョリティの人種経験
・人種差別的な習慣を変えるには

第3章 親子――何が「子どものため」になるのか?
親子関係を哲学する

1 親にとって子どもとは?
・「子どもをもつ」ことは何を意味するか
・生まれてくる子どもの私物化
(a)家族とクラブ――新型出生前診断
(b)子どもと製作物――デザイナーベイビー
・生まれてきた子どもの私物化
(c)しつけと虐待――子どもの唯一的な価値の毀損
(d)パターナリズムと過干渉――自律性の毀損
・「親である」ことと「親になる」こと

2 子どもにとって親とは?
・子どもは生みの親のもとで育つべきか
・アイデンティティと親を知ること
・生物学上の親にこだわる必要はない――「自然な核家族」図式に抗して
・出自を知る権利を認めるべきか?
・自己の物語を語り直す

第4章 難民――受け入れるべき責任を負うのは誰か?
「受け入れない」に限りなく近い日本

1 難民問題とは何か?
・難民と移民の違い
・難民問題の現状
・難民受け入れにまつわる様々な誤解

2 難民受け入れの根拠をめぐる議論
・難民発生は誰のせいなのか?
・難民受け入れの利害とは?
・難民は基本的人権を侵害されているか?

3 難民に対する責任?
・責任の受動性と無起源性
・責任から目を逸らす習慣
・私たちの「冷ややかさ」

第5章 動物の命――肉を食べることと動物に配慮することは両立しうるのか?
肉食反対派と擁護派の埋めがたい溝

1 人間は「種差別」主義者である――シンガーによる肉食批判
・種差別とは何か?
・工場畜産と動物実験に対する批判
・能力による命の序列化

2 人間と動物は違うということの意味――ダイアモンドによるシンガー批判
・肉食と人食
・動物への配慮は規範の問題なのか?
・動物に対する見方を変える
・「価値観の違い」を越えて

3 人間の命と動物の命
・人間主義と人間中心主義との違い
・すでに死んでいる動物への配慮
・ペットの命から考える
・肉を食べるとは、いかなることか?


Author
小手川 正二郎 Shojiro Kotegawa
國學院大學文学部准教授。1983年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。専攻はフランス近現代哲学、現象学。現象学の観点から、性差・家族・責任などの問題に取り組んでいる。著書に『甦るレヴィナス―「全体性と無限」読解』(水声社)、共著に『フェミニスト現象学入門―経験から
「普通」を問い直す』(ナカニシヤ出版)、共訳書に『評伝レヴィナス― 生と痕跡』(慶應義塾大学出版会)など。

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