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ブラック・カルチャー 大西洋を旅する声と音
¥1,056
奴隷とされた人々は、いかにして新大陸で声と音の伝統を再創造していったのか。ブラック・カルチャーの歴史と現在を旅する。 約400年にわたり、大西洋を航海した奴隷船。「裸の移住者」としてアメリカ大陸に連行された人々は、いかにしてアフリカの声と音の伝統を再創造し、次世代へと繋いでいったのか。アフリカへの帰還という主題から、音楽、文学、アートなどを横断的に捉え、その歴史と現在を旅する。世界にひろがるブラック・カルチャーへの招待。 [出版社より] 著 者|中村隆之 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|960円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|254 ISBN|9784004320616 発 行|2025年04月 Contents はじめに ブラック・カルチャーをめぐる旅へ 第一章 アフリカの口頭伝承 教室のなかのアフリカ 口承の伝統 口頭伝承のなかの音文化 マンデ系社会のグリオ 語り継がれる叙事詩 第二章 奴隷船の経験 奴隷貿易を想像する 奴隷制と西アフリカ 西欧人を取引相手とした奴隷売買 『ルーツ』にみる大西洋奴隷貿易 奴隷船上での歌と反乱 女性たちの抵抗、死者たちの声 第三章 アメリカスに渡ったアフリカの声と音 奴隷制社会をめぐる資料 聞き書きという方法 裸の移住者 ネオ・アフリカ文化 アフリカ由来の精神文化 ヴードゥーの儀式 文化維持という抵抗 ドラミングと太鼓 第四章 自由を希求する共同体の歌 合衆国の奴隷制時代の歌 アメリカスに息づくアフリカの声 スピリチュアルと呼ばれる歌 「ブラック」という共同体意識 哀しみの歌 黒人神学におけるスピリチュアルの意義 世俗的スピリチュアルとしてのブルース 第五章 合衆国のブラック・ミュージック 変わりゆく同じもの ジャズの始まり アームストロングの声 ジャズにおける創意と即興 混交するジャンル ソウル・オブ・ア・ネーション カバーによる伝統の構築 第六章 アメリカスからアフリカへ アメリカスのブラック・ミュージック アフロ・ブラジル音楽の展開 アフロ・カリブ音楽の多様性 アフリカへの帰還 同じリズム、いくつもの歴史 ブラック・カルチャーをめぐる次の旅へ 第七章 文字のなかの声 文字世界への参入 「トーキング・ブック」としての奴隷体験記 声の作家ハーストン 集団としての黒人の声の表現 クレオール語の口承性 声の歴史 第八章 奴隷貿易・奴隷制の記憶の光と影 記憶の場所 ユネスコの取り組み 「奴隷の道」プロジェクト 構築される記憶 文学のなかで語られる闇の記憶 奴隷貿易の闇 第九章 ブラック・ミュージックの魂 ブラック・パワーの潜在力 ナショナリズムを越えて ブラック・アーツ運動 ブラック・ジャズ共同体 ブラック・スピリチュアル ラップのスピリチュアリティ 第一〇章 ブラック・スタディーズとは何か 知の枠組みのラディカルな変革 アフリカ中心主義 ブラック・エクスペリエンス主義 ブラック・フェミニズム、ブラック・クィア・スタディーズ 『ブラックパンサー』とアフロフューチャリズム アフロフューチャリスト アフロペシミズム理論 ブラック・スタディーズの再規定 第一一章 ブラック・カルチャーは誰のものか 知の脱植民地化 収集と分類 脱植民地化と返還 ミュージアムの脱植民地化 文化の盗用とは何か ブラックをめぐる呼称 文化は混交する 第一二章 未来に向けて再構築されるルーツ 〈関係〉の思想 環大西洋的連帯 存在論的傷 記憶の継承と発掘 クレオール化のダイナミズム ルーツの再構築 〈全−世界〉のヴィジョン 主要参考文献 あとがき 〈関係〉のなかの私的物語 Author 中村 隆之 Takayuki Nakamura 1975年東京都生まれ.2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了.博士(学術).早稲田大学法学学術院教授.専攻―フランス語圏文学,環大西洋文化研究. 著書―『カリブ世界論』(人文書院,2013),『エドゥアール・グリッサン』(岩波書店,2016),『野蛮の言説』(春陽堂書店,2020),『魂の形式 コレット・マニー論』(カンパニー社,2021),『第二世界のカルトグラフィ』(共和国,2022),『環大西洋政治詩学』(人文書院,2022)ほか. 訳書―『痕跡』(水声社,2016),『マニフェスト 政治の詩学』(以文社,2024)ほか. 編訳書―『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社,2019). 共訳書―『アフリカ文学講義』(みすず書房,2022),『黒人法典』(明石書店,2024),『カリブ海序説』(インスクリプト,2024)ほか.
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白人になれない白人たち——中欧の反リベラリズムとレイシズム
¥3,960
〈リベラル〉に反旗を翻す白人たち――。 何が〈中欧〉の人々を憎悪に走らせているのか? 2014年に「非リベラルな民主主義」を高らかに宣言したハンガリーのオルバーン首相。その理念は米国のトランプやロシアのプーチンとも共鳴し、強権的政治が世界に広がりつつある。中欧は反リベラル現象の震源地なのか? 中欧出身の文化人類学者が、民主主義の危機の背景にある「白人」間の人種差別(レイシズム)を解き明かす衝撃作。 「いろいろなことが中欧ではひどい状態になっているし、西欧のほうがよい状態だということは僕も認める。でも僕が本当に言いたいのは、西欧のほうが「それほど」よいとは言えないということ。そしてもし、中欧のほうがよくないとしたら、それは西欧にも責任の一端があるということだ。」(「まえがき」より) [出版社より] 著 者|アイヴァン・カルマー 訳 者|加藤恵津子・神原ゆうこ・坂田敦志 出版社|彩流社 定 価|3,600円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|396 ISBN|9784779130205 発 行|2025年01月 Contents まえがき あるカナダ系「中欧人」の告白 序章 人種、非自由主義、中欧 第一章 こうして東欧人はあまり白人でなくなった 第二章 こうして中欧人は東欧人になった 第三章 こうして中欧人は何度も中欧人になった 第四章 中欧――「半分だけの真実」と事実 第五章 最後の白人男性――白無垢な中欧 第六章 「東欧人は恥を知らないのか? 」 ――中欧における反ユダヤ主義、レイシズム、同性愛嫌悪 第七章 拒絶された模倣 ――西欧はなぜ中欧に東欧のままでいてほしいのか 第八章 「我々は植民地にはならない!」 第九章 スラヴィア・プラハ対グラスゴー・レンジャーズ ――あるサッカーの試合を教訓に 終章 移民がやって来るとき 訳者解説――文化人類学者がみた中欧の政治 Author アイヴァン・カルマー Ivan Kalmar トロント大学人類学部教授。1948年、プラハ生まれのユダヤ系。現在のスロヴァキアとチェコで育つ。人種・宗教・ナショナリズムといったテーマについて研究し、ヨーロッパにおけるユダヤ人やイスラム教徒に対する偏見を論じた著書を持つ。邦訳書に『白人になれない白人たち―中欧の反リベラリズムとレイシズム』(彩流社、2025年)がある。 Translator 加藤 恵津子 Etsuko Kato 国際基督教大学国際関係学科教授(文化人類学)。慶應大学文学部文学科英米文学専攻卒。同大学院文学研究科修士課程修了。カナダ・トロント大学大学院博士課程修了(言語・記号人類学)。文化ナショナリズム、アジアニズム、英語圏中心主義、ジェンダーの視点から、日本・日本人、およびその表象を批判的に研究。著書に『「自分探し」の移民たち カナダ・バンクーバー、さまよう日本の若者』(彩流社、2009年)、『グローバル人材とは誰か:若者の海外経験の意味を問う』(青弓社、2016 年)など。 神原 ゆうこ Yuko Kanbara 北九州市立大学基盤教育センター教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。スロヴァキアとハンガリーを調査地とし、政治的価値観と実践について文化人類学的研究を行う。主な著書に『デモクラシーという作法:スロヴァキア村落における体制転換後の民族誌』(九州大学出版会、2015 年)がある。 坂田 敦志 Atsushi Sakata 一橋大学大学院社会学研究科特別研究員。同大学院博士後期課程修了。博士(社会学)。1989 年以降のチェコの政治的言説の変遷について、文化人類学的研究を行う。論文に「ポスト社会主義のトリックスター:チェコ共和国におけるポスト社会主義からポスト社会主義以後への移行の契機」(『文化人類学』87 巻1 号、2022 年)など。
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差別と資本主義
¥2,970
SOLD OUT
人種やジェンダーをめぐる差別・不平等は、グローバル資本主義の構造と深くかかわって、全世界的な社会分断を生んでいる。差別問題に正面から切り込んだトマ・ピケティの論考をはじめ、国際的な識者たちが問題の深淵と解決への道筋を語る、最先端の論集。 [出版社より] 著 者|トマ・ピケティ、ロール・ミュラ、セシル・アルデュイ、リュディヴィーヌ・バンティニ 訳 者|尾上修悟、伊東未来、眞下弘子、北垣徹 出版社|明石書店 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|216 ISBN|9784750356037 発 行|2023年06月 Contents 訳者序文[尾上修悟] 第一章 人種差別の測定と差別の解消[トマ・ピケティ] 第二章 キャンセルカルチャー――誰が何をキャンセルするのか[ロール・ミュラ] 第三章 ゼムールの言語[セシル・アルデュイ] 第四章 資本の野蛮化[リュディヴィーヌ・バンティニ] 訳者解説[尾上修悟] Author トマ・ピケティ Thomas Piketty フランス国立社会科学高等研究院の研究所長、パリ経済学校の教授、ならびにグローバル不平等研究所の共同主宰者。 ロール・ミュラ Laure Murat カリフォルニア大学ロサンゼルス校ヨーロッパ言語・越境文化学科教授。 セシル・アルデュイ Alduy C'ecile スタンフォード大学(米国)フランス文学・文明学の教授、パリ政治学院政治学研究センターCEVIPOFの准研究員。 リュディヴィーヌ・バンティニ Ludivine Bantigny 歴史家、教員・研究者、ルーアン大学GRHisラボメンバー。社会参加、社会運動・反乱・革命の歴史を研究
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人種主義の歴史
¥1,034
「人種」という根拠無き考えに基づく差別と排除は、なぜ近現代世界に計りしれぬ惨禍をもたらしたのか——。 「人種」という根拠無き考えに基づいて、人を差別・排除する。人種主義(レイシズム)は、ナショナリズム、植民地主義、反ユダヤ主義等と結びつき、近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし、ヘイトスピーチや黒人差別など、現代にも深い影を落としている。大航海時代から今日まで、その思想と実態を世界史的視座から捉える入門書。 [出版社より] 著 者|平野千果子 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|940円+税 判 型|新書判 頁 数|270 ISBN| 9784004319306 初 版|2022年05月 Contents 序章 人種主義を問う 第一章 「他者」との遭遇――アメリカ世界からアフリカへ 第1節 大航海時代 第2節 ノアの呪い――黒人蔑視の淵源 第二章 啓蒙の時代――平等と不平等の揺らぎ 第1節 人間を分類する 第2節 思想家たちと奴隷/奴隷制 第三章 科学と大衆化の一九世紀――可視化される「優劣」 第1節 人間の探究と言語学 第2節 人種の理論書 第3節 優劣を判定する科学 第四章 ナショナリズムの時代――顕在化する差異と差別 第1節 諸科学の叢生 第2節 国民国家の形成と人種 第3節 新らたな視角――黄禍論、イスラーム、反ユダヤ主義 第五章 戦争の二〇世紀に 第1節 植民地支配とその惨禍 第2節 ナチズム下の人種政策 第3節 逆転の位相 終章 再生産される人種主義 あとがき 主要参考文献/図版出典一覧 Author 平野 千果子 Chikako Hirano 1958年,東京都生まれ。現在武蔵大学人文学部教授。フランス植民地史専攻。著書に『フランス植民地主義の歴史』(人文書院)『フランス植民地主義と歴史認識』(岩波書店)『アフリカを活用する』(人文書院)『新しく学ぶフランス史』(編著,ミネルヴァ書房)『グローバリゼーションと植民地主義』(共著,人文書院)『欧州統合の半世紀と東アジア共同体』(共著,日本経済評論社)『ヨーロッパ史講義』(共著,山川出版社)マルク・ブロック『奇妙な敗北』(翻訳,岩波書店) ほか。
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第二世界のカルトグラフィ
¥2,750
第二世界、それは絶望で覆われたこの現実世界に、なお夢見ることを忘れない人々の不屈のヴィジョンだ。世界各地のさまざまな本や表現から、新たな生の場所を〈発見〉する。そのときどんな地図が浮かび上がるだろうか――。シャモワゾーやグリッサンらカリブ海の作品。レイシズムが蔓延するアメリカ文化。目取真俊や崎山多美らの沖縄の文学。そしてコレット・マニーのブルーズ……絶望にあらがう多彩な表現を手がかりにした旅の記録。 [出版社より] 著 者|中村隆之 出版社|共和国[境界の文学] 定 価|2,500円+税 判 型|四六変型判/上製 頁 数|224 ISBN|978-4-907986-91-9 発 行|2022年08月 Contents 0 第二世界は存在する 第I部 場所 1 反復される川の記憶 2 カリブ海の移動と交流 3 アフリカの魂を探して 4 アメリカのニグロ・スピリチュアル 5 ファトゥ・ディオムの薄紫色 6 レザルド川再訪 7 レイシズムのアメリカ 第II部 境界 1 絶対的暴力の牢獄 2 分からなさの向こう側を想像する 3 岩手県の幻冬小説 4 文明のなかの居心地悪さ 5 アパルトヘイト終焉期を撮る 6 テロルという戦場 7 ディストピア小説に映し出される近未来 第III部 生 1 ジャン・ベルナベ(一九四二―二〇一七) 2 パスカル・カザノヴァ(一九五九―二〇一八) 3 フランソワ・マトゥロン(一九五五―二〇二一) 4 ヤンボ・ウォロゲム(一九四〇―二〇一七) 5 東松照明(一九三〇―二〇一二) 6 ジャック・クルシル(一九三八―二〇二〇) 7 コレット・マニー(一九二六―一九九七) 第IV部 交響 1 アナキズムと詩的知恵 2 口頭伝承と神話的思考 3 フランス国立図書館と作家研究 4 ニューカレドニアの民族誌 5 震えとしての言葉 6 野生の思考と芸術 7 詩人たちの第二世界 あとがき 第二世界の地図作成のために Author 中村 隆之 Takayuki Nakamura 1975年、東京都に生まれる。フランス語圏の文学、批評、翻訳。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在は、早稲田大学法学学術院教員。 おもな著書に、『魂の形式―コレット・マニー論』(カンパニー社、2021)、『野蛮の言説―差別と排除の精神史』(春陽堂書店、2020)、『エドゥアール・グリッサン―〈全‐世界〉のヴィジョン』(岩波現代新書、2016)、『カリブ‐世界論―植民地主義に抗う複数の場所と歴史』(人文書院、2013)など多数。 おもな訳書に、アラン・マバンク『アフリカ文学講義―植民地文学から世界‐文学へ』(共訳、みすず書房、2022)、『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社、2019)、エドゥアール・グリッサン『フォークナー、ミシシッピ』(インスクリプト、2012)など多数。
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パンデミック監視社会
¥1,034
SOLD OUT
新型コロナウイルスのパンデミックは監視技術の世界的大流行でもあった。加速する監視資本主義とデータ主義は社会をどう変えるのか。世界的権威による緊急発言。 ー 今回のパンデミックは、データ分析や機械学習が興隆する監視資本主義の時代に生じた、未曾有の事態である―。猛威をふるうウイルスに対処するため監視技術が広範に活用され、監視によるデータ収集や人々の行動追跡・制御は、ときに権威主義と共鳴しつつも、驚くほどスムーズに受け入れられていった。パンデミックは私たちの世界をどう変えたのか。「コロナ前」に戻ることは本当に可能なのか。監視研究の世界的権威が、新型コロナウイルスがもたらした真の脅威に迫る。 [出版社より] 著 者|デイヴィッド・ライアン 訳 者|松本剛史 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|840円+税 判 型|新書判 頁 数|256 ISBN|978-4-480-07468-3 初 版|2022年03月 Contents 第1章 決定的瞬間 第2章 感染症が監視を駆動する 第3章 ターゲットは家庭 第4章 データはすべてを見るのか? 第5章 不利益とトリアージ 第6章 民主主義と権力 第7章 希望への扉 Author デイヴィッド・ライアン David Lyon 1948年、スコットランド・エディンバラ生まれの社会学者。イングランドのブラッドフォード大学にて学士号および博士号を取得(社会科学・歴史)。カナダのクイーンズ大学社会学教授、同大学サーベイランス・スタディーズ・センター前所長。監視社会論の代表的論者として世界的に知られ、『監視社会』(青土社)、『監視スタディーズ』(岩波書店)など多数の邦訳書がある。 Translator 松本 剛史 Tsuyoshi Matsumoto 1959年、和歌山県生まれ。翻訳家。東京大学文学部社会学科卒。チャイナ・ミエヴィル『オクトーバー』(筑摩書房)、ハンナ・ティンティ『父を撃った12の銃弾』(文藝春秋)など訳書多数。
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ブラック・ライヴズ・マター運動 誕生の歴史
¥3,850
SOLD OUT
人びとは闘いつづける。これ以上涙を流さないために 著者のバーバラ・ランスビーは第一級の研究者であり、かつ人種闘争の最前線に立ち続けるアクティヴィストである。本書は、現代アメリカを語る上で目を逸らすことなどできなくなったBLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動について、その誕生の瞬間に立ち会い、数え切れないほど多くの活動家や団体と足並みを揃えて闘い続けている著者の、研究成果の結晶である。 [出版社より] 原 書|MAKING ALL BLACK LIVES MATTER 著 者|バーバラ・ランスビー 訳 者|藤永康政 出版社|彩流社 定 価|3,500円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|312 ISBN|978-4-7791-2785-4 初 版|2022年02月 Contents 第1章 運動の序幕 第2章 トレイヴォンに正義を 第3章 ファーガソン蜂起とその波紋 第4章 権力を握った黒人と怒る黒人 第5章 テーマ、ディレンマ、そしてチャレンジ 第6章 バックラッシュと代償 第7章 ローカルな現場の光景 第8章 政治のキルトを編み上げる人びと、そして逃亡奴隷の空間 Author バーバラ・ランスビー Barbara Ransby イリノイ大学(シカゴ校)で、アフリカン・アメリカン・スタディーズとウィメンズ・スタディーズの教授を務める。主著に、Ella Baker and the Black Freedom Movement: A Radical Democratic Vision (2003, UNC Press); Eslanda: The Large and Unconventional Life of Mrs.Paul Robeson (2013, Yale Press); Making All Black Lives Matter (2018, University of California Press:本訳書)。 さまざまな政治社会活動にも積極的に関与し、BYP100をはじめとするBLM加盟組織の創設を支援した実績を持つ。 Translator 藤永 康政 Yasumasa Fujinaga 日本女子大学文学部教授。アメリカ黒人史。主な業績に、「揺れ動くアメリカの中道 ブラック・ライヴズ・マター時代の民主党」『世界』(2020年11月、岩波書店)、「チェチョーカの拳 ブラックパワーとブラック・ライヴズ・マター」『現代思想 臨時増刊 総特集 ブラック・ライヴズ・マター』(2020年10月、青土社)、「キングのヴィジョン、マルコムの呪い、ニガ、ハイパワー! ケンドリック・ラマーとブラック・ポリティクス」 『ユリイカ 特集 ケンドリック・ラマー USヒップホップ・キングの肖像』(2018年8月、青土社)、『「ヘイト」の時代のアメリカ史 人種・民族・国籍を考える』(「黒人都市ゲトーを見つめるまなざし」所収、共著、兼子歩、貴堂嘉之 編、2017年、彩流社)、「ファーガソンの騒乱 「監獄社会」と21世紀の人種主義」(『アメリカ史研究』第38号、2015年8月)、『越境する1960年代 米国・日本・西欧の国際比較』(「「公民権物語」の限界と長い公民権運動論」所収、共著、油井大三郎 編、2012年、彩流社)、『流動する〈黒人〉コミュニティ アメリカ史を問う』(「プルマン・ポーターの公共圏」所収、樋口映美 編、2012年、彩流社)、『二〇世紀〈アフリカ〉の個体形成 南北アメリカ・カリブ・アフリカからの問い』(「モハメド・アリの「誕生」」所収、真島一郎 編、2011年、平凡社)、『文化と政治の翻訳学 異文化研究と翻訳の可能性』(「ヒップホップの想像力とアメリカ現代社会」所収、山本真弓 編著、2010年、明石書店)などがあり、現在、雑誌『思想』(岩波書店)にて「黒人自由闘争の歴史」を連載中。
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日本移民日記
¥1,870
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韓国出身の移民として生きる経験に根ざし、日本語表現の新たな地平を切り開くラッパー、MOMENT JOON。日本のヒップホップ、「外人」であること、差別語、詩人・金時鐘との出会いなど、日々の経験と思索から見える日本社会の風景を、鋭く率直な言葉で綴る。硬直した社会にくさびを打ち込む、待望にして初の著作! [出版社より] 著 者|MOMENT JOON 出版社|岩波書店 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|198 ISBN|9784000615044 初 版|2021年11月 Contents まえがき 1 「いない」と言われても僕はここに「いる」 2 日本語上手ですね 3 引退します。ホープマシーン。 4 井口堂から、次のホームへ 5 「チョン」と「Nワード」、そしてラップ(前編) 6 「チョン」と「Nワード」、そしてラップ(後編) 7 僕が在日になる日 8 シリアス金髪 9 バッドエンドへようこそ 10 私の愛の住所は 付録 僕らの孤独の住所は日本 Author MOMENT JOON ラッパー。ソウル特別市出身、大阪府池田市井口堂在住。移民である自身の経験に根ざした唯一無二の表現を追求し、2020年のファーストアルバム『Passport & Garcon』では、日本社会における排外主義の興隆や差別意識の蔓延、同調圧力、シニシズムといったものを怒りや不安とともに突きつけ、その上で「君が居るから日本は美しい」と歌って大きな反響を呼んだ。執筆の分野でも『文藝』(河出書房新社)に自身の徴兵体験をもとにした小説「三代 兵役、逃亡、夢」を発表するなど、多方面に活躍している。本書は岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」に連載された「日本移民日記」(2020年11月~2021年9月)に適宜加筆・修正を行った。付録「僕らの孤独の住所は日本」は『図書』2020年1月号に掲載された。
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差別はたいてい悪意のない人がする——見えない排除に気づくための10章
¥1,760
あらゆる差別は、マジョリティには「見えない」。 日常の中にありふれた排除の芽に気づき、真の多様性と平等を考える思索エッセイ。韓国で16万部突破のベストセラー。 [出版社より] 「「日本語上手ですね」例えばそんな褒め言葉が、誰かに苦痛を与えることもある。多数者が変わらずに済むことを優先する社会は、少数者から「痛い」という言葉すら奪う社会でもある。これまでずっと無視してきた痛みに、私たち全員が向き合うための一冊」 ――望月優大(「ニッポン複雑紀行」編集長) 「「細かいことで差別だ偏見だと騒ぐ人が増えて、なんだか疲れる」と思ったことはありますか。「騒ぐ人たちこそ、人を差別している」とも思うかもしれません。どうしてこんなに“窮屈な”世の中になってしまったのか?この本はそんな疑問に答え、頭を整理してくれます」 ――小島慶子(エッセイスト) 「差別は日常的にある。いい人でも悪い人でも差別をしてしまう。偏った正義感こそが差別につながると、この本から学んだ。私は「差別があるのは仕方ない」と諦めるのをやめたい。まだ見たことのない、本当の公正な社会。それを目指す道すじをこの本が教えてくれる」 ――伊是名夏子(コラムニスト、車いすユーザー) 「善意、不安、無知、無関心、被害者意識……と様々な形で「バランスの是正」や「差別の禁止」を阻んでいるマジョリティ〈多数派〉とはいったい誰なのか。認めるのは苦しいけれど、それはおそらく俺たちのことだ」 ――清田隆之(桃山商事代表) 著 者|キム・ジヘ 訳 者|尹怡景 出版社|大月書店 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|256 ISBN|9784272331031 初 版|2021年08月 Contents プロローグ あなたには差別が見えますか? I 善良な差別主義者の誕生 1章 立ち位置が変われば風景も変わる 2章 私たちが立つ場所はひとつではない 3章 鳥には鳥かごが見えない II 差別はどうやって不可視化されるのか 4章 冗談を笑って済ませるべきではない理由 5章 差別に公正はあるのか? 6章 排除される人々 7章 「私の視界に入らないでほしい」 III 私たちは差別にどう向きあうか 8章 平等は変化への不安の先にある 9章 みんなのための平等 10章 差別禁止法について エピローグ わたしたち 訳者あとがき 解説 韓国における差別禁止の制度化とそのダイナミズム(金美珍) Author キム・ジヘ 韓国・江陵原州大学校多文化学科教授(マイノリティ、人権、差別論)。移民、セクシュアル・マイノリティ、子ども・若者、ホームレスなどさまざまな差別問題に関心を持ち、当事者へのリサーチや政策提言に携わっている。ソウル特別市立児童相談治療センター、韓国憲法裁判所などの公的機関にも勤務経験を持つ。初の単著である本書が16万部超のベストセラーに。 Translator 尹 怡景 ユン・イキョン 韓国・ソウル生まれ。慶應義塾大学大学院で人類学を学ぶ。言葉で韓国と日本の心をつなぎたい翻訳者。訳書に『夢を描く女性たち イラスト偉人伝』(タバブックス)。
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ホワイト・フラジリティ 私たちはなぜレイシズムに向き合えないのか?
¥2,750
私は差別などしない――だが、それは真実か? 私は相手の肌の色など気にしない。人格で判断すべきと分かっているから――だがこうした差別の否認は、白人の心の脆さ(ホワイト・フラジリティ)と特権を示しているだけだ。マジョリティの誰もが人種差別主義(レイシズム)を抱える根拠と対処法を明示し、米国で大反響を巻き起こしたベストセラー。 [出版社より] 著 者|ロビン・ディアンジェロ 監 訳|貴堂嘉之 訳 者|上田勢子 出版社|明石書店 定 価|2,500円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|256 ISBN|9784750352060 初 版|2021年06月 Contents はしがき 序 ここからはたどり着けない Ⅰ レイシズムについて白人と話すのはなぜ困難か Ⅱ レイシズムと白人至上主義 Ⅲ 公民権運動後のレイシズム Ⅳ 人種は白人の生活をどう形作ったか Ⅴ 善/悪の二項対立 Ⅵ 反黒人性 Ⅶ 白人にとって何が人種をめぐる引き金となるか Ⅷ 白人の心の脆さという結論 Ⅸ 白人の心の脆さによる行動 Ⅹ 白人の心の脆さと関与のルール XI 白人女性の涙 XII ここからどうすればいいのか 寄稿 カイザー・ソゼ、ビヨンセ、証人保護プログラム[マイケル・E・ダイソン] 監訳者解説[貴堂嘉之] 註 参考文献 Author ロビン・ディアンジェロ Robin Diangelo 批判的言説分析と白人性研究の分野で活躍する研究者、教育者であり作家。ウェストフィールド州立大学とワシントン大学にて教鞭。20年以上にわたり、人種問題と社会正義についてコンサルティングとトレーニングを実施。What Does It Mean to Be White?: Developing White Racial Literacy など多くの著書がある。本書のもととなった論説 “White Fragility" は米国の人種論争に影響を与えた。ニューヨーク・タイムズ、カラーラインズ、サロン、アトランティックなど各紙、メディアに引用され、NPR(米公共ラジオ局)でも紹介された。
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ヘヴィ あるアメリカ人の回想録
¥3,190
黒人母子(おやこ)の内省が暴くアメリカの“噓”。 「どうか怒らないでほしい、母さん。ぼくはただ、ぼくが何を経験してどこで歪んだのか、母さんに伝えようとしているだけなんだ。ぼくらが何を経験してどこで歪んだのか、ぼくらに知らせようとしているだけなんだ。」 黒人女性政治学者として輝かしいキャリアを築く一方で、私生活では母子家庭で息子を一人で育てる不安でいっぱいだった母。アメリカ社会で黒人が意味のある人生をまっとうする難しさを知る母は、息子に鞭打ちの折檻も交えて厳しく教育しながら、権威主義的な恋人とギャンブルに依存し、家庭は常に貧困状態にある。 「たった一人の友だち」と慕う母から受ける虐待や友人間の性暴力に傷つく「ぼく」は、ジャンクフードに逃避し、増えた体重が彼を一層痛めつける。そんな「ぼく」が痛みから抜け出すべく手繰り寄せたのは、他ならぬ母から教えられた「書いて、推敲する」ことだった。 ニューヨークタイムズ2018年ベスト本/2019年アンドリューカーネギー賞/2018年クリストファー・イシャーウッド賞自伝的散文賞。 [出版社より] 「家族とは、黒人たちの歴史的命題であり続けてきたといってよい。一切のロマンスを排したそれとの対決が、本書を稀有な「黒人の自伝」としているのである。特にその中心には母がおり、彼女の生き方こそ、人種主義社会の非情さと、善悪では裁けないサヴァイヴァルの複雑な機微の集積である」 ——新田啓子[解説より] 「信じられない。『ヘヴィ』にはびっくり。深い。強烈。多層的。ただただすごい」 ——ロクサーヌ・ゲイ[作家] 著 者|キエセ・レイモン 訳 者|山田文 出版社|里山社 定 価|2,900円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|336 ISBN|978-4-907497-14-9 初 版|2021年06月 Author キエセ・レイモン Kiese Laymon 1974年生まれ。作家、ミシシッピ大学英文学部ヒューバート・H・マカレグザンダー記念教授。いわゆる「ディープ・サウス」のミシシッピ州ジャクソンで生まれ育つ。ミルサップス大学、ジャクソン州立大学を経て、オーバリン大学を卒業。インディアナ大学大学院文芸創作修士課程(MFA)修了。著書に長篇小説Long Division(2013年。2021年に再版され、ウィリアム・サローヤン国際賞を受賞)、エッセイ集How to Slowly Kill Yourself and Others in America(2013年)がある。数多くの主要メディアにもエッセイ、短篇小説、書評などを寄稿。 本書は2019年アンドリュー・カーネギー賞ノンフィクション部門、2018年クリストファー・イシャーウッド自伝的散文賞などの賞を受けた。ニューヨーク・タイムズ紙などで2018年のベスト本の一冊にも選ばれている。2020年、ミシシッピで子や孫のために懸命に働いた祖母の名に因み、ミシシッピの子どもとその親がよりよく読み、書き、推敲し、経験を共有できるようにすることを目的としたプログラム〈キャサリン・コールマン文芸・正義イニシアティヴ〉(The Catherine Coleman Literary Arts and Justice Initiative)を創設した。 HP:https://www.kieselaymon.com Translator 山田 文 Fumi Yamada 翻訳者。訳書にヴィエト・タン・ウェン(編)『ザ・ディスプレイスト―難民作家18人の自分と家族の物語』(ポプラ社)、ダレン・マクガーヴェイ『ポバティー・サファリ―イギリス最下層の怒り』(集英社)、J.D.ヴァンス『ヒルビリー・エレジー―アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(共訳、光文社)などがある。
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逃亡者の社会学 アメリカの都市に生きる黒人たち
¥2,970
刊行以来、賛否両論を巻き起こしたエスノグラフィ、ついに翻訳。 社会学の巨人アーヴィング・ゴッフマンを父にもつ著者・アリスは、フィラデルフィアの黒人居住地区「六番ストリート」に六年間暮らし、さまざまな罪状で追われる若者たちと日々を過ごす。 頻繁に行われる逃走劇や、警察による家宅捜索、刑務所を訪れる恋人や犯罪に加担する家族たち——。 麻薬や殺人とも深く結びついた生々しい営みをつぶさに観察していく中で、アリスは大きな事件に巻き込まれていく。 犯罪が日常化した暮らし、巨大な影響を及ぼす司法システム、それに対する人々の一筋縄ではない関わり……。「これが、アメリカで生きる黒人たちのリアル」 [出版社より] 著 者|アリス・ゴッフマン 訳 者|二文字屋脩・岸下卓史 出版社|亜紀書房 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|500 ISBN|978-4-7505-1638-7 初 版|2021年03月 Contents プロローグ まえがき 序章 第一章 六番ストリートの少年たちと彼ら彼らの法律上の問題 第二章 逃走術 第三章 警察がドアをガンガン叩くとき 第四章 法律上の問題を個人的に使える手立てに変える 第五章 犯罪者となった若者たちの社会生活 第六章 保護と特典の市場 第七章 クリーンな人々 結論 逃亡者のコミュニティ エピローグ——六番ストリートを離れる 謝辞 付録——方法論ノート 原注 訳者解説 Author アリス・ゴッフマン Alice Goffman 1982年生まれのアメリカの社会学者。2004年にペンシルベニア大学を卒業した後、2010年にプリンストン大学で博士号を取得。本書の元となった博士論文は、2011年にアメリカ社会学会の最優秀博士論文賞に選ばれた。ウィスコンシン大学社会学部助教を経て、現在はポモナ大学社会学部客員准教授。 Translator 二文字屋 脩 Shu Nimonjiya 愛知淑徳大学交流文化学部准教授。早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター講師を経て、2021年より現職。首都大学東京(現・旧:東京都立大学)大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(社会人類学)。 著作に『人類学者たちのフィールド教育——自己変容に向けた学びのデザイン』(共編著、2021年、ナカニシヤ出版)など。共訳書にエドゥアルド・コーン著『森は考える——人間的なるものを超えた人類学』(2016年、亜紀書房)。 岸下 卓史 Takashi Kishishita 筑波大学ほか非常勤講師。立教大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。主な論文に「ミルパルテンセ概念の多様性に関する実証的研究——先住民世をめぐる葛藤についての一試論」(2010年、『イベロアメリカ研究』)、「『先住民性』の多分脈化をめぐるミルパアルタ村落の民俗誌——『伝統』と社会的帰属のローカリズム」(2015年、博士学位論文)がある。
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黒い皮膚・白い仮面[新装版]
¥4,070
「黒人の不幸は奴隷化されたということである。白人の不幸と非人間性はどこかで人間を殺してしまったということである。…黒人であるこの私の欲することはただひとつ。道具に人間を支配させてはならぬこと。人間による人間の、つまり他者による私の奴隷化が永遠に止むこと。…ニグロは存在しない。白人も同様に存在しない」 精神科医、同時にフランス領マルチニック島に生まれたひとりの黒人として、ファノンは最初の著作である本書で、植民地出身の黒人が白人社会で出会う現実と心理を、精神分析学的なアプローチを含め、さまざまな側面からえぐり出してみせた。 他からの疎外があるとき、内面においても自己を疎外する黒人に向けて、そこからの解放を訴えたファノンの言葉は、彼自身の生を出発点として実践のただ中から発せられたものであるゆえに、読む者の心に迫る。 [出版社より] 原 書|PEAU NOIRE, MASQUES BLANCS 著 者|フランツ・ファノン 訳 者|海老坂武・加藤晴久 出版社|みすず書房 定 価|3,700円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|328 ISBN|978-4-622-08950-6 初 版|2020年08月 Contents 序 (フランシス・ジャンソン) はじめに 1 黒人と言語 2 黒い皮膚の女と白人の男 3 黒い皮膚の男と白人の女 4 植民地原住民のいわゆる依存コンプレックスについて 5 黒人の生体験 6 ニグロと精神病理学 7 ニグロと認知 結論に代えて ファノンの認知 (フランシス・ジャンソン) 注 あとがきにかえて Author フランツ・ファノン Frantz Fanon 1925-61。カリブ海に浮かぶ西インド諸島(アンティル諸島)の南端近くのフランス領マルチニック島で黒い皮膚をしたマルチニック人として生まれる。第二次大戦中、ドイツならびにこれと協力するフランスのヴィシー政権支配下の島から出て、ド・ゴールの「自由フランス」に志願して参加し、各地で戦った。戦後はフランス本国に学び、リヨン大学で精神医学を専攻して学位を取得、この頃白い皮膚のフランス人と結婚した。 1952年に本書『黒い皮膚・白い仮面』をスイユ社から刊行。1953年11月、フランス領アルジェリアのブリダ・ジョアンヴィルにある精神病院に赴任。翌年、アルジェリア独立戦争が勃発し、ファノンの人生は決定的な転機をむかえる。戦争初期は民族解放戦線(FLN)の活動を密かに助けていたが、1957年以来病院の職を辞し全面的にFLNに身を投じるようになる。FLNの機関誌『エル・ムジャヒド』に精力的に寄稿するなど、アルジェリア革命のスポークスマン的役割を果たした。 1958年には『アルジェリア革命第五年』(後に『革命の社会学』と改題)を発表、そして1961年には、白血病に冒されつつも『地に呪われたる者』をわずか10週間で執筆。闘争の生涯を貫いたその思想の総決算である同書が刊行されてからわずか数日後の1961年12月6日、ファノンは息を引き取った。36歳の若さであった。死後、『エル・ムジャヒド』その他に書かれた文章を集めた『アフリカ革命に向けて』が出版された。 Translator 海老坂 武 Takeshi Ebisaka 1934年東京に生まれる。東京大学文学部仏文科卒業。同大学院(仏語・仏文学)博士課程修了。著書『フランツ・ファノン』(講談社、1981、みすず書房、2006)『戦後思想の模索』(みすず書房、1981)『雑種文化のアイデンティティ』(みすず書房、1986)『シングル・ライフ』(中央公論社、1986)『パリ ボナパルト街』(ちくま文庫、1990)『記憶よ、語れ』(筑摩書房、1995)『〈戦後〉が若かった頃』(岩波書店、2002)『かくも激しき希望の歳月』(岩波書店、2004)『サルトル』(岩波新書、2005)『戦争文化と愛国心』(みすず書房、2018)など。訳書 ニザン『番犬たち』(晶文社、1967)ボーヴォワール『別れの儀式』(共訳、人文書院、1989)サルトル『植民地の問題』(共訳、人文書院、2000)ほか多数。 加藤 晴久 Haruhisa Kato 1935年東京に生まれる。仏文学専攻。東京大学・恵泉女学園大学名誉教授。著書『ブルデュー 闘う知識人』(講談社、2015)『《ル・モンド》から世界を読む』(藤原書店、2016)ほか。
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アメリカ黒人史 奴隷制からBLMまで
¥1,034
奴隷制が始まって以来、黒人は白人による差別や迫害に常に遭ってきた。奴隷船やプランテーションでの非人間的な扱いを生き延び、解放され自由民になっても、「約束の地」である北部に逃れても、彼らが人種差別から解放されることはなかった。四〇〇年にわたり黒人の生活と命を脅かしつづけてきた差別と、地下鉄道、公民権運動、そしてブラック・ライブズ・マター(BLM)に至る「たたかい」の歴史を、アメリカ南部出身の著者が解説する。 [出版社より] 著 者|ジェームス・M・バーダマン 訳 者|森本豊富 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|940円+税 判 型|新書判 頁 数|320 ISBN|978-4-480-07358-7 初 版|2020年12月 Contents 第1章 アフリカの自由民からアメリカの奴隷へ 第2章 奴隷としての生活 第3章 南北戦争と再建―一八六一〜一八七七 第4章 「ジム・クロウ」とその時代―一八七七〜一九四〇 第5章 第二の「大移動」から公民権運動まで―一九四〇〜一九六八 第6章 公民権運動後からオバマ政権まで―一九六八〜二〇一七 第7章 アメリカ黒人の現在と未来 Author ジェームス・M・バーダマン 早稲田大学名誉教授。テネシー州メンフィス生まれ。著書に『ロックを生んだアメリカ南部』『アメリカ黒人の歴史』(以上、NHKブックス)、『アメリカ南部』(講談社現代新書)、『黒人差別とアメリカ公民権運動』(集英社新書)、『わが心のディープサウス』(河出書房新社)、『ミシシッピ=アメリカを生んだ大河』(講談社選書メチエ)など多数。
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レイシズムとは何か
¥1,034
「日本に人種差別は本当にあるのか」。そのように疑問に思う人も多くいるだろう。だが日本にも人種差別撤廃条約で禁止されている差別が現実に起きている。間違えていけないのだが、現在の人種差別は人種を表に出せないかわり、文化の差異などを理由に差別を扇動しているのだ。なぜそのような差別は起きるのか?日本ではそれが見えにくい理由は?レイシズムの力学を解き明かす。 [出版社より] 著 者|梁英聖 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|940円+税 判 型|新書判 頁 数|320 ISBN|978-4-480-07353-2 初版|2020年11月 Contents 第1章 レイシズムの歴史―博物学から科学的レイシズムへ 第2章 レイシズムとは何か―生きるべきものと死ぬべきものとを分けるもの 第3章 偏見からジェノサイドへ―レイシズムの行為 第4章 反レイシズムという歯止め 第5章 一九五二年体制―政策無きレイシズム政策を実施できる日本独自の法 第6章 日本のレイシズムはいかに暴力に加担したのか 第7章 ナショナリズムとレイシズムを切り離す Author 梁 英聖 リャン・ヨンソン 1982年生まれ。東京都立大学卒。一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程。専門は在日コリアンへのレイシズム。政治家や極右のレイシズムを調査・分析する日本初のヘイトウォッチNGO「反レイシズム情報センター(ARIC)」の代表を務める。
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逃走の権利 移民、シティズンシップ、グローバル化
¥3,740
欧州への移民・難民40万人(2015年)、日本への難民認定申請5000人(2014年)。 世界を揺るがす喫緊の課題、現代移民研究の第一人者による力作。 いま世界は、かつてない規模で流動している。グローバル化の影響を潜り抜けた移民は、ただ保護される対象ではなく、移動元、移動先の社会を様々に変えていく下からのグローバル化を体現する存在でもある。市民権、国境、法、植民地主義、資本主義、移民の自律性など、制度的問題から思想的課題まで、現代世界を覆う多様な問題を「移民」という視角からクリティカルに読み換える、イタリアから届けられた現代社会論の重要作。 [出版社より] 著 者|サンドロ・メッザードラ 訳 者|北川眞也 出版社|人文書院 定 価|3,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|370 ISBN|9784409241035 初 版|2015年11月 Contents 第Ⅰ部 序論 第一章 プロローグ 若きマックス・ウェーバー、ドイツ人移民たちの逃走の権利、ポーランド人たちの胃 極めて珍しい鳥たち 自由の魔力 敵の社会 異なってつくられた胃 第二章 はじまりはさらし絞首台だった――移民、労働の移動性、資本主義史 歴史なき人びと 鉄の檻 逃走と制御 第三章 境界地帯の市民とシティズンシップの境界 シティズンシップの危機のなかで 排除 移民たちの二重空間 国民を越えた市民? 移民、逃走の権利、シティズンシップの境界 あやふやな所属 第四章 世界、植民地以後 イギリス、一九四八 古いセグリゲーション ひとつの世界 諸文化 さまよえる近代 カルカッタのマルクス 第Ⅱ部 新版へのはしがき(原著第二版序文) 第五章 ここでもなく、よそでもなく――ヨーロッパとオーストラリアのあいだで、移民・拘禁・脱走、ブレット・ニールソンとの会話 二重の運動――移民たちの移動と境界管理 拘禁センターと剝き出しの生 シティズンシップ、多文化主義 〈帝国〉とヨーロッパ 第六章 移民の主体性、従属的包摂を越えて――コレクティボ・シトゥアシオネスとの対話 移民の主体性 逃走の権利 下からのグローバル化 移民労働 第七章 境界、シティズンシップ、戦争、階級――エティエンヌ・バリバールらとの討論 イスラーム主義、反イスラーム主義 ヨーロッパ――シティズンシップと構成する過程 戦争の遍在性 階級闘争 第八章 自律性のまなざし――移民・資本主義・社会闘争 移民、資本主義、移動性の飼い馴らし 移民の新しい経済学 移民の管理運営、非正規性の生産 家族、世帯、コミュニティ 政治的想像力の諸限界に挑戦する 結論 訳者解説 参考文献 人名索引 Author サンドロ メッザードラ Sandro Mezzadra 1963年生。ボローニャ大学政治・社会科学研究科教員。現代政治理論、社会理論を専門とし、ヨーロッパの移民研究における第一人者のひとり。ポスト・オペライズモを牽引する知識人として知られる。マルクスやポストコロニアル研究を用いて、グローバル資本主義の批判分析に取り組む。また、政治的ヨーロッパをめぐる昨今の論争にも積極的に介入してきた。 翻訳に以下がある。『金融危機をめぐる10のテーゼ 金融市場・社会闘争・政治的シナリオ』(アンドレア・フマガッリとの共編、朝比奈佳尉、長谷川若枝訳、以文社、2010年)、「社会運動として移民をイメージせよ? 移民の自律性を思考するための理論ノート」(北川訳、『空間・社会・地理思想』12号、2008年)、「ポストコロニアル状況」「方法としての境界、あるいは労働の多数化」(ともに北川訳、『空間・社会・地理思想』13号、2010年)、「地中海の自由」(柱本元彦訳、『現代思想』2011年9月)。 Translator 北川 眞也 Shinya Kitagawa 1979年大阪府生。関西学院大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(地理学)。現在、三重大学人文学部准教授。訳書に、フランコ・ベラルディ『ノー・フューチャー イタリア・アウトノミア運動史』(廣瀬純との共訳、洛北出版、2010年)。 論文に、「移動=運動=存在としての移民ヨーロッパの「入口」としてのイタリア・ランペドゥーザ島の収容所」(『VOL』第4 号、2010年)、「ヨーロッパ・地中海を揺れ動くポストコロニアルな境界 イタリア・ランペドゥーザ島における移民の「閉じ込め」の諸形態」(『境界研究』3 号、2012年)、「大都市をいまここでスクウォットせよ ミラノ郊外における社会的場所への欲求」(『社会文化研究』第17号、2015年)、「移民の墓場と化す地中海ヨーロッパに求められる応答責任」(竹中克行編『グローバル化時代の文化の境界 多様性をマネジメントするヨーロッパの挑戦』昭和堂、2015年)など。
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ザ・ディスプレイスト 難民作家18人の自分と家族の物語
¥1,870
SOLD OUT
難民としての出自を持つ世界各地の作家18人が、「場所を追われる」体験をみつめなおし、祖先、家族や知人、さまざまな「難民として生きる人たち」の声に耳を傾けていく。排外主義が強まる世界で、掻き消されそうになる人間的な声を丁寧に拾い上げた本書は、私たちの心の奥にある感情を揺さぶり、痛みとともに新たな光を投げかける。喪失した「物語」を編みなおすことの意味を伝える異色のアンソロジー。 「難民になること、それは過去がたんなる時間の経過でなく喪失でもあると知ることにほかならない――愛する者、国、アイデンティティ、自己の喪失。わたしたちは、こういった喪失のすべてに声を与えたい」――ヴィエト・タン・ウェン「はじめに」より。 [ 背景と意図 ] 本書がアメリカで刊行された背景には、ドナルド・トランプの大統領就任とそれにつづく排外的政策・感情の高まりがあった。エイブラムス社の編集長で元難民の妻を持つジェイミソン・ストルツが、イスラム諸国からの入国禁止令に対する抗議運動に心を動かされて立案したのが本書だ。ピューリッツァー賞作家で自身も難民であるヴィエト・タン・ウェンをはじめ、世界中の優れた「難民作家」がつづるエッセイは、喪失の痛みを通して、新たな人間の物語を編みなおそうとする試みでもある。 [出版社より] 原 書|The Displaced 編 者|ヴィエト・タン・ウェン 訳 者|山田文 出版社|ポプラ社 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|255 ISBN|978-4-591-16212-5 初 版|2019年02月 Contents ヴィエト・タン・ウェン「はじめに」 ジョセフ・アザム「ラスト、ファースト、ミドル」 デイヴィッド・ベズモーズギス「ありふれた物語」 ファーティマ・ブットー「肉と砂」 ティ・ブイ「何が違うのか、そして何を失う?」 アリエル・ドルフマン「トランプの壁は、つくられる前からおいしい食べものに負けていた」 レフ・ゴリンキン「神聖ローマ帝国の女王、マリア・テレジアのゲスト」 レイナ・グランデ「とどまることのできる親」 メロン・ハデロ「追体験」 アレクサンダル・ヘモン「神の運命」 ジョセフ・カーテス「第二の国」 ポロチスタ・カークプール「移民でいる十三の方法」 マリーナ・レヴィツカ「難民と流浪者」 マーザ・メンギステ「旅の道のりで起こること」 ディナ・ナイェリー「恩知らずの難民」 ヴ・トラン「ふたたび難民に」 ノヴヨ・ローサ・チュマ「新たな土地、新たな自己」 カオ・カリア・ヤン「難民の子ども――ヤン一族の勇士たち」 訳者あとがき/執筆者紹介
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よい移民
¥2,640
SOLD OUT
「よい」「わるい」はいつも他人が決める。 70年代以降に英国で生まれた移民2世・3世の著名なクリエイター21人が、自己存在の意味や葛藤、社会の偏見などを繊細かつ巧みに表現し、大きな反響を呼んだ話題の書が日本語版で登場。J・K・ローリング推薦。 [出版社より] 「移民のひとたちは”よい移民”、つまりモデル・マイノリティでなければならないのだろうか。求められている役割を演じなければ”悪い移民”なのか? 人種も境遇もさまざまな本音の声たちに耳を傾けながら、考え込んでしまっていた。受け入れるとはどういうことか。アジア人であるとはどういうことか。どちらの立場からしても、わたしたちは当事者だ」 ――谷崎由依[作家、翻訳家] 「多様なルーツを持つ人々が暮らすイギリスという国。その日常に深く深く染み込んだ無知と差別、そしていつまでも逃れられない葛藤と戸惑い。「黒人」であることで何かを期待される。「東アジア人」であることで何かを期待される。メディアの上ではステレオタイプが繰り返され、おなじみの「悪いイメージ」を払拭するために「よい移民」として振る舞おうとする子どもたちがいる。なぜ無色透明であることは「白人」だけに許された特権なのか。イギリスで「インド系」であること、「中国系」として生きることは一体何を意味するのか。『よい移民』に収められた21の言葉は、「都合の“よい移民”」に対する既存の安直なイメージを裏切るだろう。突飛な何かが書かれている、ということではない。21人の「移民」たちが描いた日常と感情の揺れ動きが、社会の根っこにある嫌なもの、緊張感、哀しみを驚くほど鮮明に炙り出している」 ――望月優大[ライター/ニッポン複雑紀行編集長] 原 書|The Good Immigrant 編 者|ニケシュ・シュクラ 訳 者|栢木清吾 出版社|創元社 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|328 ISBN|978-4-422-36011-9 初 版|2019年07月 Contents 編者まえがき 執筆者略歴 ナマステ(ニケシュ・シュクラ) 黒人になるためのガイド(ヴァレイッゾ) 私の名前は私の名前 (シメーヌ・スレイマン) 黄色 (ヴェラ・チョック) ケンドー・ナガサキと私(ダニエル・ヨーク・ロー) 機会の窓 (ハイムシュ・パテル) ニシュ・クマールは困惑するイスラム教徒か?(ニシュ・クマール) テレビに映る黒人像と自分なりの「黒さ」 (レニ・エド=ロッジ) 「よい」移民を越えて(ウェイ・ミン・カム) 「そんなのだめだよ! お話は白人についてじゃないと」(ダレン・チェティ) 帰郷の途について(キエラン・イェイツ) 国旗(ココ・カーン) アフリカに切り込む――黒人向けの床屋と男の話(イヌア・エラムス) どこから来たか、どこで着ているか――移民と英国ファッション(サブリナ・マフーズ) 空港とオーディション(リズ・アーメッド) カースト主義の永続(サラ・サヒム) シェード(サリーナ・ゴッデン) テロリストの妻(ミス・L) トークニズムについて我々が語るときに語ること(ビム・アドワンミ) 死は多頭の怪物(ヴィナイ・パテル) 感謝知らずの国(ムサ・オクウォンガ) 謝辞 訳者解題 Editoor ニケシュ・シュクラ Nikesh Shukla 作家。1980年ロンドン北西部ハロー生まれ。デビュー小説Coconut Unlimited(2010)は、イギリスの文学賞コスタ賞処女小説部門の候補作となり、以降の小説作品もイギリスの各種メディアで激賞される。2014年に脚本執筆に携わった短編映画Two Dosasは数々の賞を獲得した。本書の成功を受けて、有色人作家の作品を掲載する雑誌The Good Journal を創刊する。2019年2月には本書のアメリカ版となるThe Good Immigrant: 26 Writers Reflect on Americaを、シメーヌ・スレイマンと共同編集した。子どもや若年層向けの図書出版にも力を入れ、人種差別の問題を扱った学習テキスト『どうして肌の色が問題になるの?』(2018年に創元社から邦訳刊行)をクレア・フーチャンと執筆している。2016、17年と2年連続でイギリスの出版業界誌『ザ・ブックセラー』から同業界で影響力を持つ100人の1人に選ばれた。2019年には『タイム』誌から「次世代のアーティティストをつくる12人のリーダー」の1人に選出された。 Translator 栢木 清吾 Seigo Kayanoki 翻訳者、研究者。1979年大阪生まれ。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門分野は、近現代イギリス史、「人種」と移民をめぐる社会的・文化的問題。翻訳として、ヴロン・ウェアー「戦争を閃かす白人性――兵士・移民・シティズンシップ」(『年報カルチュラル・スタディーズ』第3号、2015年)、スチュアート・ホール「ホームの居心地、場違いな心地」(『現代思想』 2014年4月臨時増刊号)など。主な論文として、「グローバル化・移民・都市空間」(田中東子・山本敦久・安藤丈将編『出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ』ナカニシヤ出版、2017年)、「移民史と海事史を越境する――20世紀初頭のアメリカ諸港における日本海員の「脱船」を事例として」(塩原良和・稲津秀樹編『社会的分断を越境する――他者と出会いなおす想像力』青弓社、2017年)がある。
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BLACK LIVES MATTER 黒人たちの叛乱は何を問うのか
¥1,980
コロナ以降の世界をゆるがすBLACKLIVESMATTERが問うものは何か。アメリカ、人種主義、ブラックカルチャーなどからこの動きが意味するものと未来を考えるための緊急刊行。 [出版社より] 編 者|河出書房新社編集部 出版社|河出書房新社 定 価|1,800円+税 判 型|A5判・並製 頁 数|208 ISBN|978-4-309-24973-5 初 版|2020年08月 Contents ・マニュエル・ヤン/ブラック・ライヴズ・マターとは何か ・渡辺靖/「白人ナショナリズム」は何を問うのか ・アンジェラ・デイヴィス/ブラック・ラディカリズムのいくつもの未来 ・長澤唯史/黒人の命は軽くない——黒人抵抗運動の歴史とBLM運動 ・山崎雄史/Black Lives Matter論序説 ・中村隆之/〈全‐世界〉におけるブラック・ライヴズ・マターは反欧米中心主義、反血統主義を掲げる ・酒井隆史/「わたしは逃げながら、武器を探すのです」——ジョージ・ジャクソン、アボリショニズム、BLM ・友常勉/アメリカ黒人暴動史 ・木澤佐登志/ダークの系譜——ヨーロッパ新右翼から暗黒啓蒙へ ・五十嵐舞/路上の身体、公の哀悼——Black Lives Matterと危険を冒して集まること 〔ほか〕
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暗黒の啓蒙書
¥2,090
SOLD OUT
民主主義と平等主義の欺瞞を暴け。 資本主義を加速せよ。 民主主義を棄て去り、資本主義を極限まで推し進め、 この世界から〈イグジット〉するのでなければ、真の自由は獲得できないーー。 ”現代思想の黒いカリスマ”が放つ、禁断の書。 ー 「声などどこにもない、ただ自由な出口だけがある。」 近代の啓蒙のプロセスを嘲笑い、民主主義的かつ平等主義的な価値観をも転倒せんとするニック・ランドの「暗黒啓蒙(The Dark Enlightenment)」は、ピーター・ティールやカーティス・ヤーヴィンらリバタリアン起業家たちが主導する「新反動主義」に理論的フレームを与え、哲学の最新潮流である「思弁的転回」や「加速主義」、そして「オルタナ右翼」へのインスピレーションをも喚起しつづけてきた。 果たしてそれは、人類の進歩的プロセスを否認する反動主義であり、野蛮な人種主義にすぎないのか。それとも、来たるべき未来を照らすオルタナティヴな光源なのか――。 [出版社より] 著 者|ニック・ランド 訳 者|五井健太郎 解 説|木澤佐登志 出版社|講談社 定 価|1,900円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|272 ISBN|9784065197035 初 版|2020年05月 Contents 序文 『暗黒の啓蒙書』への「入口」 木澤佐登志 Part 1 新反動主義者は出口(イグジット)へと向かう Part 2 歴史の描く弧は長い、だがそれはかならず、ゾンビ・アポカリプスへと向かっていく Part 3 Part 4 ふたたび破滅へと向かっていく白色人種 Part 4a 人種にかんする恐怖をめぐるいくつかの副次的脱線 Part 4b 厄介な者たちの発言 Part 4c 〈クラッカー・ファクトリー〉 Part 4d 奇妙な結婚 Part 4e 暗号に横断された歴史 Part 4f 生物工学的な地平へのアプローチ 訳者解説 なにから離脱するべきか 五井健太郎 Author ニック・ランド Nick Land 1962年、イギリス生まれ。初期にはバタイユを専攻。ドゥルーズ+ガタリの研究を経て、90年代中頃にはウォーリック大学の講師として「サイバネティック文化研究ユニット(Cybernetic Culture Research Unit: CCRU)」を設立。大陸哲学に留まらず、SF、オカルティズム、クラブカルチャーなどの横断的な研究に従事する。「暗黒啓蒙(Dark Enlightenment)」なるプロジェクトを通して、「新反動主義」に理論的フレームを提供し、のちの「思弁的転回」や「加速主義」、「オルタナ右翼」に思想的インスピレーションを与えた。著書に"The Thirst for Annihilation: Georges Bataille and Virulent Nihilism", "Fanged Noumena: Collected Writings 1987-2007"など。 Translator 五井 健太郎 Kentaro Goi 1984年生まれ。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はシュルレアリズム研究。訳書にマーク・フィッシャー『わが人生の幽霊たち:うつ病、憑在論、失われた未来』(ele-king books、2019年)など。 Commentator 木澤 佐登志 Satoshi Kizawa 1988年生まれ。文筆家。インターネット文化、思想など、複数の領域に跨る執筆活動を行う。著書に『ニック・ランドと新反動主義:現代世界を覆う〈ダーク〉な思想』(星海社新書、2019年)、『ダークウェブ・アンダーグラウンド:社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』(イースト・プレス、2019年)がある。
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ホープ・レスリー
¥3,960
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『モヒカン族の最後』と並ぶアメリカ歴史小説の傑作、待望の翻訳! 民族、人種を超えること、それがアメリカの原点だ。 今のアメリカに読ませたい。 深い絆でつながった白人とインディアンには、決して超えられない壁があった――。 信仰に基づく理想的な社会の建設を目指して新天地に渡ったピューリタンたち。 白人とインディアン、開拓者たちと滅びゆきし者の運命は激しく交錯する。新世代の若者たちとインディアンの人種を超えた絆、ロマンス、そして復讐劇……。 マサチューセッツ湾植民地の初代総督ジョン・ウィンスロプ、ピクォート族の長のモノノットなど実在の人物、また白人とインディアンのピクォート戦争など実際の事件のなかで、インディアンの娘マガウィスカ、移民第二世代のホープ・レスリー、エヴェレル・フレッチャーと三人の魅力的な若者が苦悩し、生命を賭する。それがピューリタン社会に反していても……。 フェミニズムの文脈でも再評価著しい激動と葛藤の歴史ロマンス大河小説。 [出版社より] 著 者|キャサリン・マリア・セジウィック 訳 者|高野一良 出版社|国書刊行会 定 価|3,600円+税 判 型|四六変型判/上製 頁 数|576 ISBN|978-4-336-06559-9 初 版|2019年12月 Author キャサリン・マリア・セジウィック Catharine Maria Sedgwick, 1789-1867 19世紀前半のアメリカを代表する女性作家。マサチューセッツ州ストックブリッジ出身。生涯独身を貫き、兄弟たちに支えられながら執筆活動を続けた。父親は合衆国下院の議長を務めたフェデラリストの有力な政治家セオドア・セジウィック。『ニューイングランド物語』(1822)を皮切りに6本の長篇小説を発表。本作『ホープ・レスリー』(1827)はその第3作目にあたる歴史小説。その他短篇小説や子供向けの読み物など、数多くの作品を世に出した。ワシントン・アーヴィング、ジェイムズ・フェニモア・クーパーなどと並んで、アメリカ文学草創期に活躍した作家の一人として知られている。 高野一良 Kazuyoshi Takano 1959年生まれ。首都大学東京教授。アメリカ文学専攻。主な著書に『アメリカン・フロンティアの原風景―西部劇・先住民・奴隷制・科学・宗教』(風濤社、2013)、『アメリカの嘆き―米文学史の中のピューリタニズム』(共編著、松柏社、1999)、『メルヴィル後期を読む』(共著、中央大学出版部、2008)、主な訳書にマーガレット・フラー『五大湖の夏』(未知谷、2011)、ブラック・ホーク『ブラック・ホークの自伝―あるアメリカン・インディアンの闘争の日々』(風濤社、2016)などがある。