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激しい生
¥2,750
思想に新たな風が吹く。 バディウ、メイヤスーの教えを受けたフランスの俊英、待望の初邦訳。 本書は現代思想界でもっとも注目される才能のひとり、トリスタン・ガルシアの初の翻訳である。近代を強さ=激しさに取り憑かれた時代とし、強迫観念のように刺激を求め続ける人間の生と思考を鮮烈に抉り出す。哲学、科学、文学、芸術、社会など様々な分野を駆け抜ける軽やかな足取りと巧みな手さばきは、著者の才気を伝え、読む者を実存の深みへと連れ出すだろう。新しい現代思想の注目作であるのみならず、近代の捉え方に新たな視点をもたらす意欲作。 [出版社より] 著 者|トリスタン・ガルシア 訳 者|栗脇永翔 出版社|人文書院 定 価|2,500円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|230 ISBN| 9784409031124 発 行|2021年09月 Contents イントロダクション 1 イメージ――電気が思考に対し行ったこと ライプチヒの接吻 電気の啓蒙=光の約束 琥珀と雷雨と私たちの神経のなかの同じ短い流体 電流を測ることによって 観念のイメージ 2 観念――事物をそれ自体と比較するために 潜在的な力のおかげで 多かれ少なかれ 力のおかげで ニュートン以後の落ち込み イメージの観念 3 概念――「すべてを強さ=激しさのなかで解釈しなければならない」 強さ=激しさという例外 野生的な例外 例外が法則になる すべてを強さ=激しさで解釈するために 強さ=激しさを保持するために 4 道徳的な理想――強い=激しい人間 新タイプの電気人間 放蕩者、神経人間 ロマン主義者、雷雨人間 ロック歌手、電化された青春期の若者 形容詞的な道徳、副詞的な倫理 5 倫理的な理想――強く=激しく生きること 強さ=激しさのブルジョワ化 第一の策略――変異することによって 第二の策略――加速することによって 第三の策略――「初体験信仰」 崩壊にいたるまで 6 反対の概念――ルーチーン効果 強さ=激しさの論理がある 変異するすべてのものにおいて何かが減少する 増加するすべてのものの中で何かが減少する 第一回目がますます小さくなる もはや生に残されているのはその反対物を望むことだけである 7 反対の観念――倫理的な鋏に挟まれて 生は強く=激しくし、思考は平等にする 英知のおかげで 救済のおかげで ジレンマ 行き詰まり 8 反対のイメージ――何かが抵抗する ソウルのイヴ 電子の約束 どちらの肩も持たずに 思考の観点から、生の観点から 幸運 謝辞 訳者解説 第一節 トリスタン・ガルシア紹介 第二節 『激しい生』を読む 第三節 方法叙説 結びに代えて 人名索引 Author トリスタン・ガルシア Tristan Garcia 1981年生まれ。パリ高等師範学校でアラン・バディウやカンタン・メイヤスーらに哲学を学び、2008年にアミアン大学で博士号を取得。現在、リヨン第3大学准教授。現代フランスにおける気鋭の哲学者のひとり。著書に、L’image(2007)、Forme et objet(2011)、Nous(2016)など。 Translator 栗脇 永翔 Hisato Kuriwaki 1988年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程単位取得満期退学。専門はフランス文学・思想。共訳書に、ジュリア・クリステヴァ『ボーヴォワール』(法政大学出版局、2018年)。
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ピアノを弾く哲学者——サルトル、ニーチェ、バルト[OUTLET]
¥1,320
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いっこうに上達しないショパンを弾くサルトル、驚くほど美しく繊細な手で弾くニーチェ、ピアノを弾いていると「何かが勃起する」バルト——。 ピアノ演奏をこよなく愛した三人の思想家の知られざる側面を浮き彫りにする 哲学と音楽が豊かに共演したエッセイ。 三人の思想家、サルトル、バルト、ニーチェ。彼らはともにアマチュアのピアニストで、ピアノをこよなく愛していた。とくに、彼ら三人の哲学者=ピアノ奏者には、三者ともに同時代の現象を論じていながらも、ショパンやシューマンといった19世紀ロマン派のピアノ曲を好んで演奏していたという共通点がある。本書は、彼らのピアノ演奏、音楽体験を取りあげながら、哲学的思考、時間性、家族・友人関係と演奏がいかに交錯していたのかを明らかにする。 [出版社より] 「著者は、三人の思想家の音楽に関する考えを整理分析するのではなく、むしろ、彼らの知られざる相貌を、音楽、ことにピアノとの関わりをとおして描く。サルトルはメロディーに、ニーチェは音色に、バルトはリズムに敏感だったと、それぞれの個性を見極めながら、哲学者とピアノとの具体的な関わりを、豊富なエピソードとともに示してくれる。 哲学者にとって音楽を実践する(演奏する)ことの意味が、彼らの哲学的実践と照らし合わせながら、問われるのだ。この名人芸的な節回しに身を任せることで、読者は、敷居の高い哲学者たちの内面に難なく招じ入れられることになる。本書の魅力は、このように肩肘張ることなく、哲学と音楽の共演を楽しめる点にある」 ——澤田 直(フランス哲学・文学者) 著 者|フランソワ・ヌーデルマン 訳 者|橘明美 解 説|澤田直 出版社|太田出版 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/仮フランス装 頁 数|232 ISBN|9784778314156 発 行|2014年11月 Contents プロローグ 直観 オフビートのピアノ――サルトルの場合 なぜわたしはこんなにすばらしいピアニストなのか――ニーチェの場合 ピアノがわたしに触れる――バルトの場合 エピローグ 共鳴 Author フランソワ・ヌーデルマン François Noudelmann フランスを代表するサルトル研究者。パリ第8大学教授。ジョン・ホプキンス大学やニューヨーク大学の客員教授、全— 世界学院のコーディネーターなどを歴任。ドキュメンタリー映画でサルトルがショパンを弾くところを見て「新たなサルトル」を発見し、それを機に思想家とピアノの関係を探求、本書の上梓につながった。自らも優れたピアノ演奏者である。2002年以来、ラジオ・フランス・キュルチュールで哲学番組のパーソナリティを務め、哲学・文学・芸術について幅広く語り、人気を博している。著書多数。
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斜め論
¥2,420
ケアは、どうひらかれたのか? 「生き延び」と「当事者」の時代へと至る「心」の議論の変遷を跡付ける。垂直から水平、そして斜めへ。時代を画する、著者の新たな代表作。 自己実現や乗り越えること、あるいは精神分析による自己の掘り下げを特徴とする「垂直」方向と、自助グループや居場所型デイケアなど、隣人とかかわっていくことを重視する「水平」方向。 20世紀が「垂直」の世紀だとすれば、今世紀は「水平」、そしてそこに「ちょっとした垂直性」を加えた「斜め」へと、パラダイムがシフトしていく時代と言える。 本書は、ビンスワンガー、中井久夫、上野千鶴子、信田さよ子、当事者研究、ガタリ、ウリ、ラカン、ハイデガーらの議論をもとに、精神病理学とそれにかかわる人間観の変遷を跡付け、「斜め」の理論をひらいていこうとする試みである。 著者は、2015年のデビュー作『人はみな妄想する』でラカン像を刷新し、國分功一郎、千葉雅也の両氏に絶賛された気鋭の精神医学者。デビューから10年、新たな代表作がここに誕生する。 [出版社より] 著 者|松本卓也 出版社|筑摩書房 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-84333-3 発 行|2025年08月 Contents 第一章 水平方向の精神病理学に向けて──ビンスワンガーについて 第二章 臨床の臨界期、政治の臨界期──中井久夫について 第三章 「生き延び」の誕生──上野千鶴子と信田さよ子 第四章 当事者研究の政治 第五章 「自治」する病院──ガタリ、ウリ、そしてラカン 第六章 ハイデガーを水平化する──『存在と時間』における「依存忘却」について 補論1 精神分析とオープンダイアローグ 補論2 依存症臨床の空間──平準化に抗するために Author 松本 卓也 Takuya Matsumoto 1983 年、高知県生まれ。2008 年3 月、高知大学医学部医学科卒。2015 年3 月、自治医科大学大学院医学研究科修了、博士(医学)。2016 年4 月より、京都大学大学院人間・環境学研究科総合人間学部准教授。研究分野は、精神病理学、精神分析学、精神医学史、病跡学、フランス現代思想。 著作に『人はみな妄想する』(青土社)、『心の病気ってなんだろう?』(平凡社)、『創造と狂気の歴史――プラトンからドゥルーズまで』(講談社)、『享楽社会論――現代ラカン派の展開』(人文書院)、翻訳に『現実界に向かって――ジャック=アラン・ミレール入門』(人文書院)、共訳にダリアン・リーダー『ハンズーー手の精神史』(左右社)、ヤニス・スタヴラカキス『ラカニアン・レフト―ラカン派精神分析と政治理論』(岩波書店)、共編著に『コモンの「自治」論』(集英社)など。
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建築と触覚——空間と五感をめぐる哲学
¥3,300
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すべてが視覚情報化され消費されていくかのような昨今、建築が本来もつ「五感を統合する」という役割を今こそ見直すべきである。 メルロ=ポンティ、バシュラールらの議論を踏まえながら、建築における触覚、聴覚、味覚、嗅覚の重要性を再考し、あるべき本流の空間とは何かを問う。 ラスムッセン、クリスチャン・ノルベルグ=シュルツらの精神を継承する、北欧の最重要建築理論家による著、待望の邦訳。世界的建築情報サイトArchiDailyが選ぶ、名建築書ベスト150に選出。 [出版社より] 「パッラスマーは単なる理論家ではない。現象学的に洞察する力をもつすぐれた建築家だ。分析不可能な諸感覚の建築を実践に移し、その現象学的な性質でもって自身が建築哲学について著してきたものを具象化している」 ——スティーブン・ホール 著 者|ユハニ・パッラスマー 訳 者|百合田香織 出版社|草思社 定 価|3,000円+税 判 型|四六判/並製・函入 頁 数|208 ISBN|9784794226167 発 行|2022年12月 Contents 前書き 「薄氷」スティーブン・ホール 序論 世界に触れる 第一部 視覚と知識 視覚中心主義への批判 ナルシストの眼とニヒリストの眼 声の空間と視覚の空間 網膜の建築、立体感の喪失 視覚イメージとしての建築 物質性と時間 「アルベルティの窓」の拒絶 視覚と感覚の新たなバランス 第二部 身体中心 複数の感覚による経験 陰影の重要性 聴覚の親密さ 静寂、時間、孤独 匂いの空間 触覚の形状 石の味 筋肉と骨のイメージ 行為のイメージ 身体的同化 身体の模倣 記憶と想像の空間 多感覚の建築 建築の役割 Author ユハニ・パッラスマー Juhani Palllasmaa 代のフィンランドを代表する建築家、建築思想家。ヘルシンキ工芸大学学長、フィンランド建築博物館館長、ヘルシンキ工科大学建築学部教授・学部長を歴任。 Translator 百合田 香織 Kaori Yurita 神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了。専攻は建築/建築史研究室。公務員として公共プロジェクトに従事し英国赴任同行を機に退職。建築を巡りつつ翻訳スクールに通い翻訳者として活動を始める。
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ケアの倫理——フェミニズムの政治思想
¥1,364
SOLD OUT
身体性に結び付けられた「女らしさ」ゆえにケアを担わされてきた女性たちは、自身の経験を語る言葉を奪われ、言葉を発したとしても傾聴に値しないお喋りとして扱われてきた。男性の論理で構築された社会のなかで、女性たちが自らの言葉で、自らの経験から編み出したフェミニズムの政治思想、ケアの倫理を第一人者が詳説する。 [出版社より] 著 者|岡野八代 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|1,240円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|342 ISBN|9784004320012 発 行|2024年01月 Contents 序 章 ケアの必要に溢れる社会で 第1章 ケアの倫理の原点へ 1 第二波フェミニズム運動の前史 2 第二波フェミニズムの二つの流れ――リベラルかラディカルか 3 家父長制の再発見と公私二元論批判 4 家父長制批判に対する反論 5 マルクス主義との対決 第2章 ケアの倫理とは何か――『もうひとつの声で』を読み直す 1 女性学の広がり 2 七〇年代のバックラッシュ 3 ギリガン『もうひとつの声で――心理学の理論とケアの倫理』を読む 第3章 ケアの倫理の確立――フェミニストたちの探求 1 『もうひとつの声で』はいかに読まれたのか 2 ケアの倫理研究へ 3 ケア「対」正義なのか? 第4章 ケアをするのは誰か――新しい人間像・社会観の模索 1 オルタナティヴな正義論/道徳理論へ 2 ケアとは何をすることなのか?――母性主義からの解放 3 性的家族からの解放 第5章 誰も取り残されない社会へ――ケアから始めるオルタナティヴな政治思想 1 新しい人間・社会・世界――依存と脆弱性/傷つけられやすさから始める倫理と政治 2 ケアする民主主義――自己責任論との対決 3 ケアする平和論――安全保障論との対決 4 気候正義とケア――生産中心主義との対決 終 章 コロナ・パンデミックの後を生きる――ケアから始める民主主義 1 コロナ・パンデミックという経験から――つながりあうケア 2 ケアに満ちた民主主義へ――〈わたしたち〉への呼びかけ あとがき 参考文献 Author 岡野 八代 Yayo Okano 1967年三重県生まれ.早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了.博士(政治学).現在―同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授.専攻―政治思想,フェミニズム理論. 著書―『シティズンシップの政治学――国民・国家主義批判 増補版』(白澤社),『フェミニズムの政治学――ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房),『戦争に抗する――ケアの倫理と平和の構想』(岩波書店),『ケアするのは誰か?――新しい民主主義のかたちへ』(共著・訳,白澤社),エヴァ・F.キテイ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(共監訳,白澤社),アイリス・M.ヤング『正義への責任』(共訳,岩波書店)など.
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最初の哲学、最後の哲学——形而上学と科学のあいだの西洋の知
¥2,090
西洋の知を支配し諸科学を基礎づけてきた形而上学に、いまなお存在意義はあるのか。アリストテレス、スコトゥス、カント、ハイデガーを読み解きながら哲学史における形而上学の機能を剔抉し、その放浪の歴史を描き出す。アガンベンによる最良の形而上学入門。 [出版社より] 著 者|ジョルジョ・アガンベン 訳 者|岡田温司 出版社|平凡社[平凡社ライブラリー] 定 価|1,900円+税 判 型|B6変型判/並製 頁 数|224 ISBN|9784582769913 発 行|2025年06月 Contents Ⅰ 第二哲学 Ⅱ 分裂した哲学 Ⅲ 超越論批判 Ⅳ 無限の名 Ⅴ 超越論的対象=X Ⅵ 形而上学的動物 原註 訳註 ドン・キホーテの存在論──訳者あとがきに代えて 参考文献 索引 Author ジョルジョ・アガンベン Giorgio Agamben 1942-。イタリアの哲学者・美学者。 Translator 岡田温司 Atsushi Okada 1954年、広島県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。専門は西洋美術史・思想史。著書『モランディとその時代』(人文書院、2003年)で吉川秀和賞、『フロイトのイタリア』(平凡社、2008年)で読売文学賞を受賞。
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開かれ——人間と動物
¥1,430
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人間と動物が交錯する未決定な例外状態の閾を、バタイユのアセファルから、コジェーヴのスノッブ、ユクスキュルのダニ、ハイデガーの倦怠へと縦横無尽に描き出す、生政治の超克と人類学機械の停止へむけた壮大な系譜学。“剥き出しの生”のさらなる探究。 [出版社より] 著 者|ジョルジョ・アガンベン 訳 者|岡田温司・多賀健太郎 出版社|平凡社[平凡社ライブラリー] 定 価|1,300円+税 判 型|B6変型判/並製 頁 数|240 ISBN|9784582767452 発 行|2011年10月 Contents 動物人 無頭人 スノッブ 分接の秘儀 至福者たちの生理学 経験的認識 分類学 序列なし 人類学機械 環世界 ダニ 世界の窮乏 開かれ 深き倦怠 世界と大地 動物化 人類創生 あいだ 無為 存在の外で Author ジョルジョ・アガンベン Giorgio Agamben 1942-。イタリアの哲学者・美学者。
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私たちはどう生きるべきか
¥1,650
社会の10%の人が倫理的に生きれば、政府が行う社会変革よりもずっと大きな力となる。環境・動物保護の第一人者が、現代に生きる意味を鋭く問う。 私的利益と倫理が衝突する場合、あなたならどうするか。もしもあなたが姿を消して、誰にも知られずに何でも好きなものを手に入れられるような場合、すべての倫理的基準を捨て去るのが合理的な判断なのだろうか。それでも正義を重んじるとすれば、そこにはどんな理由があるだろう。 西洋倫理学の伝統からプラトン、ルソー、カント等の豊富な議論をとりあげて新たな角度から解明しつつ、経済倫理、遺伝子操作等のアクチュアルな問題を考察。『実践の倫理』『動物の解放』の著者であり、環境・動物保護運動のリーダーとしても活躍する著者が、理論と実践の両側面から現代倫理を徹底的に再考する! [出版社より] 著 者|ピーター・シンガー 訳 者|山内友三郎 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,500円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|472 ISBN|9784480095817 発 行|2013年12月 Contents 第1章 究極の選択 第2章 「そのどこが私のためになるんだ」 第3章 世界を使い果たす 第4章 この生き方の由来はどこにあるのか 第5章 利己心は人の遺伝子の中にあるか 第6章 日本人の生き方 第7章 お返し戦術 第8章 倫理的に生きる 第9章 倫理の本性 第10章 ある目的のために生きる 第11章 よい生き方 Author ピーター・シンガー Peter Singer 1946年生まれ。オーストラリア生まれ。メルボルン大学をへてオックスフォード大学で、R.M.ヘアのもとで学位取得。メルボルンのモナッシュ大学生命倫理学センター所長、国際生命倫理学会会長歴任。現在プリンストン大学、モナッシュ大学教授。優れた倫理学者として世界的に高名なだけでなく、動物解放、菜食主義、難民救済、環境保護などの実践運動のリーダーとして国際的、精力的に活躍。 Translator 山内 友三郎 Tomosaburo Yamauchi 年秋田県生まれ。京都大学文学部卒業。大阪教育大学名誉教授。
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崩壊概論
¥1,540
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現代の黙示録、ここに甦る。 透徹した懐疑が矛盾の総体たる世界を熾烈なまでに問いただす。信念は解体され、拠って立つ基盤は崩壊する――。幻影の破棄と新たな幻影を希求した本書は、シオランが母語であるルーマニア語ではなくフランス語で初めて著した作品。未来に倦み、同時に言いようのない渇きに襲われながら、思想家は敗滅へと向かう人間の宿命を凝視する。繊細と皮肉、陶酔と幻滅、憤怒と倦怠、明視と錯乱……。不眠の夜々に咲いた断章群、それは、まぎれもなく現代の黙示録としてわれわれの精神に浸潤し、揺さぶりをかけるだろう。解説=大谷崇。 [出版社より] 著 者|E.M.シオラン 訳 者|有田忠郎 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|352 ISBN|978-4-480-51297-0 発 行|2025年04月 Contents 日本語版への序 崩壊概論 発作的な思想家 頽廃(デカダンス)のさまざまな顔 聖性と「絶対」のしかめ面 知の舞台装置 放棄 訳者あとがき 解説 大谷崇 Author E.M.シオラン E. M. Cioran 1911-95年。ルーマニア生まれの作家、思想家。1937年パリに移り住み、後年はフランス語で数多くの著作を残した。『歴史とユートピア』によりコンバ賞を受賞。著書に『絶望のきわみで』『思想の黄昏』『告白と呪詛』(以上、紀伊國屋書店)、『敗者の祈?書』『悪しき造物主』『四つ裂きの刑』(以上、法政大学出版局)など。 Translator 有田 忠郎 Tadao Arita 1928-2012年。九州大学大学院第二期修了。詩人、翻訳家、フランス文学者。専門はフランス詩。西南学院大学名誉教授。
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啓蒙の海賊たち あるいは実在したリバタリアの物語
¥2,640
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西洋なんて存在しなかった? 近代知の起源とされる「啓蒙思想」は、ヨーロッパ貴族のサロンではなく、じつはマダガスカルの海賊と女性たちの社会実験によって創造されたのではないか。海賊王国の知湧き心躍る「本当の」歴史をたどり直し、自由、国家、民主主義をめぐる無数の常識をくつがえす。グレーバー生前最後の著作。 [出版社より] 著 者|デヴィッド・グレーバー 訳 者|酒井隆史 出版社|岩波書店 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|230 ISBN|9784000616850 発 行|2025年04月 Contents 序 文 (とびきり)ラディカルな啓蒙主義 第一部 マダガスカル北東部の海賊と偽王 海賊がマダガスカルにやってきた 掠奪品の問題 サントマリーの実体経済 実在のリバタリアⅠ──アンブナヴラ さらなる偽王、ジョン・プランタン 年代にかんするいくつかの問題 第二部 マダガスカル人の目に映った海賊の来訪 アブラハムの子孫たちに抗する性革命? 政治のコマとしての女性 女商人と魔法のお守り 家内の諸事象 軍事的権力と性的権力の対立について 第三部 海賊の啓蒙 発端の状況 最初の挑戦 大カバリ 誓約儀礼 王になったラツィミラフ 英雄たちの戦い 宮廷と王国、そしてザナマラタの台頭 結 論 実在のリバタリアⅡ──ベツィミサラカ連合 地 図 海賊と啓蒙の時系列 訳者あとがき 文献注 参考文献 Author デヴィッド・グレーバー David Graeber ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス人類学教授.単著に『負債論──貨幣と暴力の5000年』『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』,共著に『万物の黎明──人類史を根本からくつがえす』など.「ハーパーズ・マガジン」「ガーディアン」「バフラー」などの新聞雑誌に寄稿.思想家・活動家としても名高く,ズコッティ公園の集会をオキュパイ・ウォールストリート運動につなげた.2020年9月2日死去. Translator 酒井 隆史 Takashi Sakai 1965年生まれ.大阪公立大学教授.専門は社会思想,都市史.著書に『通天閣』(青土社,サントリー学芸賞),『暴力の哲学』『完全版 自由論』(ともに河出文庫),『賢人と奴隷とバカ』(亜紀書房)など.訳書にデヴィッド・グレーバー『負債論』(共訳,以文社),『官僚制のユートピア』(以文社),『ブルシット・ジョブ』(共訳,岩波書店),グレーバー+デヴィッド・ウェングロウ『万物の黎明』(光文社),ピエール・クラストル『国家をもたぬよう社会は努めてきた』(洛北出版)など.
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非暴力主義の誕生——武器を捨てた宗教改革
¥1,034
宗教改革の渦中に生まれ、迫害されながらも非暴力を貫くある少数派の信仰は私たちに何をもたらしたか。愛敵と赦しの五〇〇年史。 一五二五年、宗教改革の渦中、幼児洗礼を拒むキリスト教の一派が誕生した。異端として迫害されながらも聖書の教えを守り、非暴力を貫いた彼らの信仰は、戦争の止まない現代に生きる私たちに何を語りかけるのか。メノナイト、アーミッシュ、良心的兵役拒否、被爆者の日米交流まで、五〇〇年にわたる愛敵と赦しの軌跡を辿る。 [出版社より] 著 者|踊共二 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|940円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|238 ISBN|9784004320494 発 行|2025年01月 Contents はじめに――再洗礼派というマイノリティ 第1章 複数の宗教改革 1 中世までのキリスト教 2 ルターとドイツ宗教改革 3 ツヴィングリとスイス宗教改革 4 再洗礼派の誕生 第2章 迫害と離散――ヨーロッパの片隅で 1 二一世紀のウクライナ 2 迫害・殉教・ノンレジスタンス 3 ザトラーの殉教 4 愛敵と赦しの精神 5 兵士の改宗と亡命 第3章 追跡する国家 1 ベルンの再洗礼派狩り 2 アルザス移民とアーミッシュの誕生 3 クライヒガウの定住地 4 集団追放の試練 第4章 新天地アメリカ 1 ドイツ人のメイフラワー 2 アーミッシュの定住 3 ノースキルの悲劇 4 アメリカ独立戦争 第5章 近代国家と徴兵制 1 「先進国」フランス 2 軍国化するドイツ 3 スイスとオランダの変化 4 南北戦争によるアメリカの分断 第6章 両大戦の試練 1 ドイツ・メノナイトとナショナリズム 2 ロシア・メノナイトの苦難 3 アメリカの代替役務制度 第7章 核の時代の非暴力主義 1 ある被爆者の訪米とメノナイト宣教師の来日 2 国際化する人道支援事業 3 良心的兵役拒否の合法化 4 ノンレジスタンスの代償 5 ガザに平和を 終 章 ノンレジスタンスの限界と可能性 1 イエスは抵抗を教えたか 2 古今東西の平和思想・戦争論 3 ノンレジスタンスの限界と可能性 あとがき 図版出典 参考文献 Author 踊 共二 Tomoji Odori 1960年福岡県生まれ. 1983年早稲田大学第一文学部卒業,1991年同大学大学院文学研究科博士課程を満期退学,2002年同大学博士(文学)学位を取得.武蔵大学リベラルアーツ&サイエンス教育センター教授. 専攻─スイス史,中近世ヨーロッパ史. 著書─『改宗と亡命の社会史──近世スイスにおける国家・共同体・個人』(創文社,2003年,『図説 スイスの歴史』(河出書房新社,2011年). 共著─『忘れられたマイノリティ──迫害と共生のヨーロッパ史』(山川出版社,2016年). 編著─『記憶と忘却のドイツ宗教改革──語りなおす歴史 1517ー2017』(ミネルヴァ書房,2017年), 『アルプス文化史──越境・交流・生成』(昭和堂,2015年). 監修─『一冊でわかるスイス史』(河出書房新社,2024年).
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機械状エロス 日本へのまなざし
¥3,740
日本に深く魅了され、じつに8度来日したフェリックス・ガタリ。現代日本の芸術家たちとの出会いと対話は、その思想に何をもたらしたのか――。ガタリの日本をめぐるテクストを精選・読解。 日本に深く魅了された稀代の思想家による日本社会のスキゾ分析。誰も気づかなかった日本がここにある。 田中泯、田原桂一、今井俊満、高松伸、草間彌生……。日本の芸術家たちとの出会いと対話は、何をもたらしたのか? 田原桂一『顔貌』よりガタリの肖像写真を掲載。粉川哲夫の導入的インタビュー、欧米の代表的ガタリ研究者による秀逸な解説も。 [出版社より] 著 者|フェリックス・ガタリ 編 者|ギャリー・ジェノスコ、ジェイ・ヘトリック 訳 者|杉村昌昭、村澤真保呂 出版社|河出書房新社 定 価|3,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|242 ISBN|978-4-309-20912-8 発 行|2024年12月 Contents Ⅰ フェリックス・ガタリの日本論 誇らしげな東京 粉川哲夫によるインタビュー──〈トランスローカル〉をめぐって 舞踏 田中泯との対話──身体の動的編成をめぐって 田原桂一の顔貌機械 田原桂一の〈未視感〉 〈カオスモーズ〉の画家、今井俊満 草間彌生の〈豊かな情動〉 高松伸の〈建築機械〉 高松伸との対話──特異化とスタイル エコゾフィーの実践と主体的都市の復興 Ⅱ ガタリにとって日本とは何か 情動的転移と日本の現代アート(ギャリー・ジェノスコ) 批判的ノマディズム?──日本におけるフェリックス・ガタリ(ジェイ・ヘトリック) 訳者解説 ガタリの「日本論」について(杉村昌昭) 編者の二論文について(村澤真保呂) Author フェリックス・ガタリ Pierre-Félix Guattari 1930-1992年。哲学者・精神分析家。ドゥルーズとともに『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』などの歴史的名著を遺す。単著も『分子革命』『三つのエコロジー』など多数。 Translator 杉村 昌昭 Masaaki Sugimura 1945年生まれ。龍谷大学名誉教授。フランス現代思想専攻。 村澤 真保呂 Mahoro Murasawa 1968年生まれ。龍谷大学社会学部教授。
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私が諸島である——カリブ海思想入門
¥2,530
この海の下で我々は手を取り合う——。 カリブ海思想について新たな見取り図をえがく初の本格的な入門書。 西洋列強による植民地支配の結果、カリブ海の島々は英語圏、フランス語圏、スペイン語圏、オランダ語圏と複数の言語圏に分かれてしまった。それらの国々をそれぞれ孤立したものとしてではなく、諸島として見るということ。カリブ海をひとつの世界として認識し、その独自の思想を体系化する画期的著作。これからのカリブ海思想研究のためのリーディングリストを付す。 「web侃づめ」の大好評連載が大幅増補され、ついに書籍化。カリブ海思想研究の俊英による待望のデビュー作。 [出版社より] 著 者|中村 達 出版社|書肆侃侃房 定 価|2,300円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|343 ISBN|9784863856011 発 行|2023年12月 Contents 序章 冒険の季節 第1章 ひとつの世界としてのカリブ海 第2章 1492を越えて、人間であること 解呪の詩学 第3章 カリブ海を定義する者へ 存在論的不純性 第4章 神話とカリブ海 悲しくも希望に満ちた叙事詩 第5章 出会いを押し進めるために 相互歓待 第6章 カリブ海の社会モデル論 プランテーション、多元、クレオール 第7章 環カリブ海的経験のクレオライゼーション この海の下で、我々は手を取り合う 第8章 カリブ海によるクレオール的時政学 海が歴史である 第9章 ミサイルとカプセル 円環性の実践としての弁潮法 第11章 カリブ海のポストモダンの地平 カリビアン・カオス(前編) 第12章 カリブ海のポストモダンの地平 カリビアン・カオス(後編) 第13章 押し付けられた言語は誰の存在の家か 私‐像を描く言語 第14章 クレオール礼賛の裏で カリビアン・フェミニズム 第15章 クレオールの精神 カリビアン・クィア・スタディーズ Author 中村 達 Toru Nakamura 1987年生まれ。専門は英語圏を中心としたカリブ海文学・思想。西インド諸島大学モナキャンパス英文学科の博士課程に日本人として初めて在籍し、2020年PhD with High Commendation(Literatures in English)を取得。現在、千葉工業大学助教。主な論文に、“The Interplay of Political and Existential Freedom in Earl Lovelace's The Dragon Can't Dance”(Journal of West Indian Literature, 2015)、“Peasant Sensibility and the Structures of Feeling of "My People" in George Lamming's In the Castle of My Skin”(Small Axe, 2023)など。
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アフリカ哲学全史
¥1,430
人類の起源以来、最長の歴史をもつ大陸の哲学。 これまでの哲学を相対化する、未踏の思考の沃野へ。 サハラ以南のアフリカ、カリブ海諸国の哲学と欧米でのアフリカ人の哲学を解説する日本初の入門書。従来の哲学を相対化し、複数世界に共通する思考を解明する。 ー アフリカ哲学は、北アフリカのイスラム文化に基づく哲学、サハラ以南地域の哲学、アフリカ大陸の外で発展したアフリカーナ哲学に分けられ、アフリカーナ哲学はカリブ海の島々で発展した哲学も含む。本書は日本初のアフリカ哲学の入門書として、サハラ以南のアフリカ、カリブ海諸国で展開された哲学、アフリカ大陸での哲学に影響を及ぼしたアメリカやヨーロッパでのアフリカ人の哲学を解説。これまでの哲学を相対化し、複数の世界に共通する人間の思考のあり方を解明する試み。 [出版社より] 著 者|河野哲也 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|1,300円+税 判 型|新書判 頁 数|480 ISBN|978-4-480-07636-6 発 行|2024年07月 Contents 序 章 アフリカ哲学への誘い I 歴史篇――アフリカ哲学全史 第1章 古代からキリスト教哲学へ 第2章 前植民地期から反植民地闘争へ 第3章 西洋の植民地主義と人種主義の哲学 第4章 反植民地主義闘争と汎アフリカ主義の哲学 第5章 汎アフリカ会議からハーレム・ルネサンスへ――哲学としての音楽 第6章 ネグリチュード運動 第7章 ファノンとカブラル II テーマ篇――現代哲学への視角 第8章 エスノフィロソフィーとその批判 第9章 アパルトヘイトの超克――ガンディーとファノンからビコとマンデラへ 第10章 赦しとウブントゥ 第11章 現代哲学における重要な哲学者 第12章 世界に問いかけるアフリカ哲学 おわりに 人名索引 Author 河野 哲也 Tetsuya Kono 1963年生まれ。立教大学文学部教育学科教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程哲学専攻修了。博士(哲学)。著書『問う方法・考える方法』(ちくまプリマー新書)、『道徳を問いなおす』(ちくま新書)、『世界哲学史8』(共著、ちくま新書)、『暴走する脳科学』(光文社新書)など。
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黒人理性批判
¥2,365
「黒人」の歴史は奴隷制や植民地の過去と切り離すことができない。1957年にカメルーンに生まれ、フランスやアメリカで学んだアシル・ムベンベ(Achille Mbembe)は、主著となる本書(2013年)を「世界が黒人になること」と題された「序」から始めた。それは、奴隷制や植民地が特定の人種に限られたものではないこと、そしてすでに過去のものとなった事態ではないことを冒頭で宣言することを意味している。新たな奴隷制や植民地、そして人種差別は形を変えて席捲しうるし、現にしている。それを可能にする構造が今の世界にはある、ということにほかならない。 だからこそ、不幸や苦痛、弾圧や収奪の歴史だった「黒人」の歴史を知り、共有しなければならない。そのとき「黒人」には新たな意味が与えられる。著者は言う。「途上にある者、旅に出ようとしている者、断絶と異質性を経験する者の形象として、「黒人」を新たに想像しなければならない。しかし、この行路と大移動の経験が意味をもつためには、アフリカに本質的な役割を与えなければならない。この経験は私たちをアフリカに回帰させ、または少なくともアフリカというこの世界の分身を通じて方向転換しなければならない」。 アフリカから到来する何か、「黒人」から到来する何かにこそ、悲惨にあふれ、いや増すことを予感するしかない現在の世界を普遍的に、そして原理的に転換する可能性はある。歴史的事実を踏まえつつその意味を明らかにした本書は、エドゥアール・グリッサンの言葉を借りるなら〈全-世界〉に向けられる希望の書である。 [出版社より] 著 者|アシル・ムベンベ 訳 者|宇野邦一 出版社|筑摩書房[講談社選書メチエ] 定 価|2,150円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|344 ISBN|978-4-06-537793-2 初 版|2024年11月 Contents 序 世界が黒人になること 眩暈するような組み立て/未来の人種 1 人種主体 仮構作用と精神の閉域/新たな等級化/「黒人」という実詞/外観、真実、幻影/囲い地の論理 2 幻想の井戸 猶予中の人類/所属決定、内面化、そして反転/白人の黒人と黒人の白人/名前のパラドックス/世界の巨像/世界の分割/国家‐植民地主義/軽薄さとエキゾティズム/みずから理性を失うこと/友愛の限界 3 差異と自己決定 自由主義と急進的悲観主義/誰もと同じ人間/普遍的なものと特殊なもの/伝統、記憶、そして創造/諸々の世界の交通 4 小さな秘密 支配層の諸々の歴史/謎の鏡/商品のエロティシズム/黒人の時間/身体、彫像、肖像 5 奴隷のためのレクイエム 多様性と超過/ぼろぼろの人間/奴隷と亡霊について/生と労働について 6 主体の臨床医学 主人とその黒人/人種の闘争と自己決定/人間への上昇/大いなる喧噪/被植民者の解放的暴力/栄光の影/民主主義と人種の詩学 エピローグ たった一つの世界しかない 訳者あとがき Author アシル・ムベンベ Achille Mbembe 1957年生まれ。カメルーンの哲学者・歴史学者・政治学者。パンテオン=ソルボンヌ大学で歴史学の博士号を取得し、パリ政治学院で政治学の専門研究課程を修了。コロンビア大学、ペンシルヴェニア大学、イェール大学などで教鞭を執ったのち、アフリカに戻る。現在、ウィットウォーターズランド社会経済研究所(ヨハネスブルグ)研究主任。主な著書として、本書(2013年)のほか、Les jeunes et l’ordre politique en Afrique noire (1985); De la postcolonie (2000); Sortir de la grande nuit (2010); Brutalisme (2020)などがある。 Translator 宇野 邦一 Kuniichi Uno 1948年生まれ。パリ第8大学哲学博士。立教大学名誉教授。専門は、フランス文学・思想、映像身体論。主な著書として、『ドゥルーズ 流動の哲学』(講談社選書メチエ、のち講談社学術文庫(増補改訂))、『反歴史論』(せりか書房、のち講談社学術文庫)、『非有機的生』(講談社選書メチエ)ほか。主な訳書として、アントナン・アルトー『神の裁きと訣別するため』、『タラウマラ』(以上、河出文庫)、ジル・ドゥルーズ『フランシス・ベーコン』(河出書房新社)、『プルーストとシーニュ』(法政大学出版局)、ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『アンチ・オイディプス』(河出文庫)、『カフカ』(法政大学出版局)ほか。
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モヤモヤする正義――感情と理性の公共哲学
¥2,860
「表現の自由は大切だが、あまりに攻撃的な表現は許容すべきでない」 「少数派や女性に対してより配慮すべきだが、多数派や男性のことが無視されるのもおかしい」 意見が対立するさまざまな問題について、多くの人はどちらの「正義」にも同意や共感を示し揺れている。こうした正義にまつわるモヤモヤに対し、どの意見が正しいのか、社会の規範はどうあるべきなのか、その「答え」を提示する政治哲学的論考。 キャンセル・カルチャー、マイクロアグレッション、トーン・ポリシング、弱者男性論など重要な概念・議論を題材に、感情に流されない「公共的理性」による問題解決を試みる画期的なテキスト。「晶文社スクラップブック」の連載に大幅加筆・全面改稿した大ボリュームで。 [出版社より] 「理性を公共的に使用せよ──これは多数者と少数者双方への挑戦である」 ──森本あんり 「時代を覆う「正義」と「権利」のインフレ、その核心を突く本書に刮目すべし!」 ──マライ・メントライン 著 者|ベンジャミン・クリッツァー 出版社|晶文社[犀の教室] 定 価|2,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|560 ISBN|978-4-7949-7443-3 発 行|2024年09月 Contents ■第一部 社会的批判と自由の問題 第一章 キャンセル・カルチャーの問題はどこにある? 1 「キャンセル・カルチャー」が問題視されるようになった背景 2 デュー・プロセスの侵害 3 キャンセルをする人たちはどこが「おかしい」のか? 第二章 「思想と討論の自由」が守られなければならない理由 1 アカデミアでは「真実」よりも「社会正義」が重視されている? 2 「思想と討論の自由」を擁護するJ・S・ミルの議論 3 ロナルド・ドゥオーキンの「表現の自由」論 4 ネットやマスメディア、書籍の議論があてにならない理由 5 「言論の闘技場」としてのアカデミア ■第二部 マイノリティとレトリックの問題 第三章 特権理論と公共的理性 1 特権理論とはなんだろうか 2 レトリックとしての特権理論 3 「物象化」された特権理論 4 在日外国人の視点から「日本人特権」を考えてみる 5 アイデンティティ・ポリティクスが引き起こす問題 6 いまこそ「公共的理性」が必要だ 第四章 トーン・ポリシングと「からかいの政治」 1 「トーン・ポリシング」という概念とその問題 2 「怒り」に関する哲学者たちの議論 3 マジョリティは「理性的」であるか? 4 公共的理性を毀損する「からかいの政治」 5 「トーン・ポリシング」というレトリックがもたらす弊害 第五章 マイクロアグレッションと「被害者意識の文化」 1 「マイクロアグレッション」理論とはなにか 2 「名誉の文化」「尊厳の文化」から「被害者意識の文化」へ 3 「感情的推論」に対処するための認知行動療法とストア哲学 4 在日アメリカ人の目から見たマイクロアグレッション ■第三部 男性学と弱者男性の問題 第六章 男性にも「ことば」が必要だ 1 男性の不利益や被害は社会から無視されている? 2 ひとりの男性としての経験と感情 3 なぜ現在の「男性学」は頼りにならないか 4 「弱者男性論」の有害な影響 5 男性のための「ことば」をどう語ればいいか 第七章 弱者男性のための正義論 1 「理念」に基づいた弱者男性論が必要な理由 2 恋人がいないことや結婚できないことの不利益とはなにか? 3 リベラリズムと弱者男性 4 フェミニズムと「幸福度」と弱者男性 5 潜在能力アプローチと弱者男性 6 「あてがえ論」と「上昇婚」 7 弱者男性の問題に社会はどのように対応できるか 終章 これからの「公共性」のために 1 「壁と卵」の倫理とその欠点 2 インターネット/SNS時代の「公共性」という難問 3 「理性的」で「中立的」な政治はあり得るのか? 4 フランクフルト学派の批判理論 5 討議、承認、自尊 6 リベラリズムと理性の未来 Author ベンジャミン・クリッツァー Benjamin Kritzer 1989年京都府生まれ。哲学者、書評家。哲学を中心に、進化論・心理学・社会学などの知見を取り入れながら、社会や政治と人生の問題について考えて執筆。著書に『21世紀の道徳 学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える(犀の教室)』(晶文社、2021年)、論考に「感情と理性:けっきょくどちらが大切なのか?」(『群像』2022年7月号、講談社)など。
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14歳からの哲学
¥1,320
SOLD OUT
人は14歳以降、一度は考えておかなければならないことがある。 [出版社より] 著 者|池田晶子 出版社|トランスビュー 定 価|1,200円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|209 ISBN|9784901510141 発 行|2003年03月 Contents Ⅰ 14歳からの哲学[A] 1 考える[1] 2 考える[2] 3 考える[3] 4 言葉[1] 5 言葉[2] 6 自分とは誰か 7 死をどう考えるか 8 体の見方 9 心はどこにある 10 他人とは何か Ⅱ 14歳からの哲学[B] 11 家族 12 社会 13 規則 14 理想と現実 15 友情と愛情 16 恋愛と性 17 仕事と生活 18 品格と名誉 19 本物と偽物 20 メディアと書物 Ⅲ 17歳からの哲学 21 宇宙と科学 22 歴史と人類 23 善悪[1] 24 善悪[2] 25 自由 26 宗教 27 人生の意味[1] 28 人生の意味[2] 29 存在の謎[1] 30 存在の謎[2] Author 池田 晶子 Akiko Ikeda 1960年生まれ。慶応大学文学部哲学科卒業。専門用語による「哲学」についての論ではなく、哲学するとはどういうことかを日常の言葉を用いて示し、多くの読者を得る。2007年2月23日、没。
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リマーク 1997-2007
¥1,980
SOLD OUT
思索とは謎を呼吸することだ。読むとは絶句の息遣いに耳を澄ますことである。 存在そのものに迫る、謎の思索日記。亡くなる前1カ月分の新稿を付した、終わりと見えるところから始まる思索の原型の言葉。 [出版社より] 著 者|池田晶子 出版社|トランスビュー 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|229 ISBN|9784901510530 発 行|2007年0月 Author 池田 晶子 Akiko Ikeda 1960年生まれ。慶応大学文学部哲学科卒業。専門用語による「哲学」についての論ではなく、哲学するとはどういうことかを日常の言葉を用いて示し、多くの読者を得る。著作は数多く、中でも『14歳からの哲学』は反響を呼ぶ。2007年2月23日、没。
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[増補]バフチン——カーニヴァル・対話・笑い
¥1,760
じつは哲学、言語学、記号論等々をまたぐ領域横断的な知のあり方が本領のバフチン。全体像をあますところなく描く最良の入門書。 文学論で著名なバフチンだが、じつは哲学、言語学、記号論等々をまたぐ領域横断的な知のあり方が本領。その巨大な知の全体像をあますところなく描く最良の入門書。 平凡社新書『バフチン――カーニヴァル・対話・笑い』(2011年刊)の増補版。 [出版社より] 著 者|桑野隆 出版社|平凡社[平凡社ライブラリー] 定 価|1,600円+税 判 型|B6変型判/並製 頁 数|340 ISBN|9784582768961 発 行|2020年03月 Contents 第1章 不可欠な他者 第2章 交通のなかの記号 第3章 ポリフォニーと対話原理 第4章 脱中心化 第5章 民衆の笑い 第6章 カーニヴァル化とグロテスク・リアリズム Author 桑野 隆 Takashi Kuwano 1947年、徳島県生まれ。元早稲田大学教授、専攻はロシア文化・思想。
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宇宙開発の思想史——ロシア宇宙主義からイーロン・マスクまで
¥2,970
「外の世界」という夢の歴史。われわれは、なぜ〈宇宙〉を目指してきたのか? 宇宙科学と空想科学を縦横に行き来し、「宇宙進出=新たな世界の創造」をめぐる歴史上の7つのパラダイムを検証する。 《本書に登場する主な人名/組織》 フョードロフ/ ツィオルコフスキーらロシア宇宙主義者、エドワード・エヴァレット・ヘイル、J・D・バナール、アレクサンドル・ボグダーノフ、ヴェルナー・フォン・ブラウン、アーサー・C・クラーク、ストルガツキー兄弟、ジェラード・オニール、アーシュラ・K・ル= グウィン、NASA 、そしてジェフ・ベゾス、イーロン・マスク 宇宙。古来、人間は頭上に広がるこの茫漠たる世界に惹きつけられ、天体の運行を観測して、そこに法則性や意味を見出そうとしてきた。やがてはただ観測するだけでは飽き足らず、人間も宇宙に出られるのではないか、出たらどうなるのかと夢想し、その具体的な方策や、宇宙に進出すべき理由を考えはじめる。本書は、そんな人間の一五〇年に及ぶ宇宙開発の思想史を、七つの切り口からたどった本である。(本書「訳者あとがき」より) [出版社より] 著 者|フレッド・シャーメン 訳 者|ないとうふみこ 出版社|作品社 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|288 ISBN|978-4-86793-036-6 発 行|2024年06月 Contents はじめに――宇宙で生きる能力 1 コンスタンティン・ツィオルコフスキーとレンガの月 粒子と惑星/ガラスの月とレンガの月/テクトニクス/すべてのものは感覚をもつ 2 J・D・バナール、赤い星、そして〈異能集団〉 多層構造の球体/海岸の支配者(オーバーロード)/タコの目/宇宙の浜辺で 3 ヴェルナー・フォン・ブラウンの宇宙征服 宇宙の征服/領空飛行とオーバービュー効果/惑星ドーラ/ロケットの軌道 4 アーサー・C・クラークのミステリー・ワールド 時間と空間のオデッセイ/唐突な事象/ヴニェであること/宇宙とその他の海 5 ジェラード・オニールのさがすテクノロジーの強み 2300年未来への旅、サイレント・ランニング、ソイレント・グリーン/人間よりもさらに非人間的に/ル=グウィンの苦言 6 アメリカ航空宇宙局 目に見えるイメージ/「完成予想図」というシグナル/打ち上げはテレビで中継される/FはフェイクのF 7 オールドスペースとニュースペース スペースXとブルーオリジン/フルスタックとガジェット/宇宙を掘りかえす おわりに――別の物語を見つけること ボタンを押す/スペース・イズ・ノー・プレイス/宇宙軍/乱雑ななかで生きる/今、手にしているもの 謝辞/注/訳者あとがき Author フレッド・シャーメン Fred Scharmen モーガン州立大学(米メリーランド州)建築・計画学部准教授。専門は建築と都市デザイン。メリーランド州ボルティモアが拠点のアート・デザインのコンサルタント会社「ザ・ワーキング・グループ・オン・アダプティブ・システムズ」の共同設立者。『the Journal of Architectural Education』、『Atlantic CityLab』、『Slate』などに寄稿するほか、建築批評を『the Architect's Newspaper』や地元のオルタナティブ週刊紙『Baltimore City Paper』に発表している。未邦訳の著書に『Space Settlements』(2019)がある。 Translator ないとう ふみこ Fumiko Naito 上智大学英語学科卒業。翻訳家。訳書に、ジャスパー・フォード『最後の竜殺し』、『クォークビーストの歌』(以上、竹書房文庫)、アラン・グラッツ『貸出禁止の本をすくえ!』(ほるぷ出版)、アンドルー・ラング『夢と幽霊の書』、マティアス・ボーストレム『〈ホームズ〉から〈シャーロック〉へ―― 偶像を作り出した人々の物語』(共訳、以上、作品社)などがある。子どものころからの野球ファンでもあり、フィル・ペペ『コア・フォー――ニューヨーク・ヤンキース黄金時代、伝説の四人』(作品社)の訳書もある。
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世界の適切な保存
¥1,870
SOLD OUT
ロングセラー『水中の哲学者たち』で話題沸騰。対話する哲学者・永井玲衣、待望の最新刊。 見ることは、わたしを当事者にする。 共に生きるひとにする。 世界をもっと「よく」見ること。その中に入り込んで、てのひらいっぱいに受け取ること。 この世界と向き合うための哲学エッセイ。 ー わたしはどうやら、時間が流れていくにしたがって、何かが消えるとか、失われるとか、忘れられるということがおそろしいらしい。 ここに書かれたもの。その何倍もある、書かれなかったもの。 でも決してなくならないもの――。 生の断片、世界の欠片は、きかれることを待っている。じっとして、掘り出されることを待っている。 [出版社より] 著 者|永井玲衣 出版社|講談社 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|288 ISBN|978-4-06-536172-6 初 版|2024年07月 Contents よくわからない話 たまたま配られる 誰かの記憶 夏だから 届く 奥 「はずでした」 来て 間違える 枯れ葉 哲学モメント いい感じ かわいい 想像と違う かくれる 適切な保存 はらう 余計な心配 適切な説明 書けない〔ほか〕 Author 永井 玲衣 Rei Nagai 人びとと考えあう場である哲学対話を幅広く行っている。せんそうについて表現を通し対話する、写真家・八木咲との「せんそうってプロジェクト」、後藤正文らを中心とするムーブメント「D2021」などでも活動。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。第17回「わたくし、つまりNobody賞」を受賞。詩と植物園と念入りな散歩が好き。
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精神と自然
¥1,243
私たちこの世の生き物すべてを、片やアメーバへ、片や統合失調症患者へ結びつけるパターンとは? 日常の思考の前提を問い直し、二重記述、論理階型、散乱選択といった道具立てによって、発生も進化も学習も病理も包み込むマインドの科学を探究したベイトソン(1904-80)。そのエコロジカルな認識論の到達点を自ら語った入門書。 [出版社より] 著 者|グレゴリー・ベイトソン 訳 者|佐藤良明 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|1,130円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|446 ISBN|9784003860182 発 行|2022年01月 Contents Ⅰ ――イントロダクション Ⅱ ――誰もが学校で習うこと Ⅲ ――重なりとしての世界 Ⅳ ――精神過程を見分ける基準 Ⅴ ――重なりとしての関係性 Ⅵ ――大いなるストカスティック・プロセス Ⅶ ――類別からプロセスへ Ⅷ ――それで? 付記――時の関節が外れている 用語解説 訳者あとがき 索引
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利他・ケア・傷の倫理学
¥1,980
利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学論考。人と出会い直し、つながりを結び直すために「大切にしているもの」をめぐる哲学的考察。 僕たちは、ケア抜きには生きていけなくなった種である——。 多様性の時代となり、大切にしているものが一人ひとりズレる社会で、善意を空転させることもなく、人を傷つけることもなく、生きていくにはどうしたらよいのか? 人と出会い直し、歩み直し、つながりを結び直すための、利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学的考察。 進化生物学、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」、スラヴォイ・ジジェクの哲学、宇沢弘文の社会的費用論、さらには遠藤周作、深沢七郎、サン=テグジュペリ、村上春樹などの文学作品をもとに考察する、書きおろしケア論。『楢山節考』はセルフケアの物語だった! [出版社より] 「訂正可能性の哲学」がケアの哲学だったことを、本書を読んで知った。ケアとは、あらゆる関係のたえざる訂正のことなのだ」 ──東浩紀 著 者|近内悠太 出版社|晶文社[犀の教室] 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-7949-7414-3 発 行|2024年03月 Contents まえがき──独りよがりな善意の空回りという問題 第1章 多様性の時代におけるケアの必然性 第2章 利他とケア 第3章 不合理であるからこそ信じる 第4章 心は隠されている? 第5章 大切なものは「箱の中」には入っていない 第6章 言語ゲームと「だったことになる」という形式 第7章 利他とは、相手を変えようとするのではなく、自分が変わること 第8章 有機体と、傷という運命 終章 新しい劇の始まりを待つ、祈る Author 近内 悠太 Yuta Chikauchi 教育者、哲学研究者。統合型学習塾「知窓学舎」講師。著書『世界は贈与でできている』(NewsPicksパブリッシング刊)で第29回山本七平賞・奨励賞を受賞。 近内悠太WEBサイト https://www.chikauchi.jp
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動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある
¥1,760
動物における諸問題を扱った伝説的な講演を編集したデリダ晩年の到達点。聖書や西洋哲学の動物観を考察、脱構築する。 一糸まとわぬ自分の姿を猫に見つめられた哲学者は、正当化不可能な、そして告白不可能な恥に襲われる――何が恥ずかしいのか、誰の前で裸なのか、と。 本書は、動物についての諸問題を扱った伝説的なコロックにおける講演と、補論として即興で語られたハイデッガー論を収録。自らの体験を「自伝」的語りとして差し出し、聖書や神話を分析しつつ〈動物〉をめぐるこまやかな考察を展開する。デカルト、カント、レヴィナス、ラカン、ハイデッガーの動物観を検証し、動物をロゴスが欠落した存在とみなして排除してきた哲学伝統の脱構築に向かう思考の挑戦。 エッセイ=福山知佐子。 [出版社より] 著 者|ジャック・デリダ 編 者|マリ=ルイーズ・マレ 訳 者|鵜飼哲 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,600円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|448 ISBN|978-4-480-51087-7 初 版|2023年11月 Contents 1 動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある(続く) 2 3 ではもし動物が応答したら? 4 Author ジャック・デリダ Jacques Derrda 1930-2004年。仏領アルジェリア生まれ。エコール・ノルマル・シュペリウール卒業。西洋形而上学のロゴス中心主義に対する脱構築を唱え、文学、芸術、言語学、政治哲学、歴史学など多くの分野に多大な影響を与えた。著書に『声と現象』『グラマトロジーについて』『エクリチュールと差異』『ヴェール』(シクスーとの共著)『獣と主権者Ⅰ・Ⅱ』ほか多数。 Translator 鵜飼 哲 Satoshi Ukai 1955年、東京都生まれ。京都大学大学院文学研究科修了後、パリ第8大学に留学し社会科学高等研究院のジャック・デリダのセミネールに通う。一橋大学名誉教授。著書に『いくつもの砂漠、いくつもの夜』ほか。デリダ、ジュネなどの翻訳も多く手掛ける。