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氷
¥1,056
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「見たこともないような美しく冷酷なものに、からめとられる」 ——川上弘美 異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて姿を消した少女を追って某国に潜入した私は、要塞のような“高い館”で絶対的な力を振るう長官と対峙するが…。迫り来る氷の壁、地上に蔓延する略奪と殺戮。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで、世界中に冷たい熱狂を引き起こした伝説的名作。 [出版社より] 著 者|アンナ・カヴァン 訳 者|山田和子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|960円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|288 ISBN|978-4-480-43250-6 発 行|2015年03月 Author アンナ・カヴァン Anna Kavan イギリスの作家。1901年、フランスのカンヌ生まれ。ヘレン・ファーガソン名義で長篇数作を発表後、『アサイラム・ピース』(40)からアンナ・カヴァンと改名。不安定な精神状態を抱え、ヘロインを常用しながら、不穏な緊迫感に満ちた先鋭的作品を書き続ける。世界の終末を描いた傑作『氷』(67)で注目を集めたが、翌68年に死去。宙年代記は読書界に衝撃を与えた。他の代表作に『オッド・ジョン』『火炎人類』などがある。 Translator 山田 和子 Kazuko Yamada 1951年生まれ。翻訳家・編集者。訳書にアンナ・カヴァン『氷』(ちくま文庫)、ポール・コリンズ『バンヴァードの阿房宮』(白水社)、P・K・ディック『時は乱れて』『シミュラクラ』(ハヤカワ文庫)、J・G・バラード『太陽の帝国』(創元SF文庫)などがある。
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最後にして最初の人類
¥1,650
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20億年後の〈最後の人類〉が現在の人類に語る未来の歴史。壮大な人類進化の年代記を驚異の想像力と神話的ビジョンで描く伝説的名作、改訳文庫化。 20億年後の〈最後の人類〉からのメッセージ。世界滅亡の危機、火星人の侵略、超人類の誕生……。神話的想像力で描く幻想の人類史。『2001年宇宙の旅』のアーサー・C・クラークに衝撃を与えた至高のSF。 [出版社より] 著 者|オラフ・ステープルドン 訳 者|濱口稔 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,500円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|528 ISBN|978-4-480-43954-3 発 行|2024年06月 Contents まえがき――アメリカ版初版に寄せて はしがき――イギリス版に寄せて 序――〈最後の人類〉のひとりより 年代記 第 一 章 バルカン・ヨーロッパ 第 二 章 ヨーロッパの没落 第 三 章 アメリカと中国 第 四 章 アメリカと化した惑星 第 五 章 〈第一期人類〉の凋落 第 六 章 過渡期 第 七 章 〈第二期人類〉の興隆 第 八 章 火星人類種 第 九 章 地球と火星 第 十 章 荒野の〈第三期人類〉 第十一章 人間の自己改造 第十二章 最後の地球人類 第十三章 金星の人類種 第十四章 海王星 第十五章 〈最後の人類〉 第十六章 人間の最期 訳者あとがき Author オラフ・ステープルドン Olaf Stapledon 1886-1950年。イギリスの作家、哲学者。初の著作『現代の倫理学』を発表した翌年、20億年もの人類の未来史を描いた『最後にして最初の人類』(1930)で注目を集め、『スターメイカー』(1937)など、独自の哲学的思弁とヴィジョンに満ちた壮大な宇宙年代記は読書界に衝撃を与えた。他の代表作に『オッド・ジョン』『火炎人類』などがある。 Translator 浜口 稔 Minoru Hamaguchi 1953年沖縄県生まれ。明治大学名誉教授。著書に『言語機械の普遍幻想』(ひつじ書房)。訳書にO・ステープルドン『スターメイカー』(ちくま文庫)、J・ノウルソン『英仏普遍言語計画』(工作舎)、M・H・ニコルソン『ピープスの日記と新科学』(白水社)、P・ルンダ『大図鑑 コードの秘密』(明石書店)などがある。
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シリウス
¥1,430
人類と同等の知性と感性をもつ超犬シリウスの愛と孤独。 実験により人工的に創造された高い知能を持つ超犬シリウスは、科学者トレローンの末娘プラクシーと共に育てられる。人間と同等の知性を獲得し、プラクシーとは強い愛情で結びつくが、噴出する野性が時に彼を悩ませた。やがて人々の異質な存在への敵意がシリウスに向けられていく。孤高の精神を宿した超犬の成長の軌跡と、それゆえの苦悩と葛藤を描く感動の名作SF。解説=ヤマザキマリ。 [出版社より] 著 者|オラフ・ステープルドン 訳 者|中村能三 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,300円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|384 ISBN|978-4-480-44038-9 発 行|2025年07月 Author オラフ・ステープルドン Olaf Stapledon 1886-1950年。イギリスの作家、哲学者。初の著作『現代の倫理学』を発表した翌年、20億年もの人類の未来史を描いた『最後にして最初の人類』(1930)で注目を集め、『スターメイカー』(1937)など、独自の哲学的思弁とヴィジョンに満ちた壮大な宇宙年代記は読書界に衝撃を与えた。他の代表作に『オッド・ジョン』『火炎人類』などがある。 Translator 中村 能三 Yoshimi Nakamura 1903-81年。福岡県生まれ。翻訳家。モーム、サキ、クローニンなどの文学作品からミステリ、SF、児童文学まで多くの訳書がある。主な訳書にクローニン『城砦』、モーム『要約すると』、『サキ短編集』、コリンズ『月長石』、クリスティー『カーテン』など。
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領土
¥1,430
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甘美、恍惚、陶酔…… 。魔術的な、文字と音律との夜宴。 哀れな四肢欠損の少女らの蠢く闇夜の花電車(「市民薄暮」)、宝石の光沢を帯びる少年期の記憶の腫瘍(「真珠譚」)、途方もない全長で人を行き惑わせる冥府的地下街(「中央駅地底街」)……。 目も眩むような幻覚的イメージ、言葉の形象と韻律がいざなう迷宮的幻想小説集。現実と夢、記憶と幻視、揺籃期の故郷と見も知らぬ異国とが、鮮烈に錯綜し切り結ぶ、一度読んだら忘れられぬ10の麻薬的桃源郷を、山下陽子のコラージュ作品とともに。 [出版社より] 著 者|諏訪哲史 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,300円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|384 ISBN|978-4-480-44035-8 発 行|2025年07月 Contents シャトー・ドゥ・ノワゼにて 尿 意 市民薄暮 真珠譚 百貨店残影 聖家族学園 甘露経 湖中天 中央駅地底街 先カンブリア あとがき 文庫版あとがき 解説 来るべき小説――『領土』の衝撃 富岡幸一郎 解説 『領土』復権の義 山尾悠子 Author 諏訪 哲史 Tetsushi Suwa 小説家・批評家・随筆家。1969年名古屋市生まれ。國學院大學文学部哲学科卒業。独文学者の種村季弘、美学者の谷川渥に師事。2007年に小説『アサッテの人』で群像新人文学賞・芥川賞を受賞。他の小説に『りすん』『ロンバルディア遠景』『岩塩の女王』『昏色の都』。また文学批評集に『偏愛蔵書室』『紋章と時間──諏訪哲史文学芸術論集』、エッセー集に『スワ氏文集』『うたかたの日々』『スットン経』、編著に『驚異の函──種村季弘コレクション』などがある。
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斜め論
¥2,420
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ケアは、どうひらかれたのか? 「生き延び」と「当事者」の時代へと至る「心」の議論の変遷を跡付ける。垂直から水平、そして斜めへ。時代を画する、著者の新たな代表作。 自己実現や乗り越えること、あるいは精神分析による自己の掘り下げを特徴とする「垂直」方向と、自助グループや居場所型デイケアなど、隣人とかかわっていくことを重視する「水平」方向。 20世紀が「垂直」の世紀だとすれば、今世紀は「水平」、そしてそこに「ちょっとした垂直性」を加えた「斜め」へと、パラダイムがシフトしていく時代と言える。 本書は、ビンスワンガー、中井久夫、上野千鶴子、信田さよ子、当事者研究、ガタリ、ウリ、ラカン、ハイデガーらの議論をもとに、精神病理学とそれにかかわる人間観の変遷を跡付け、「斜め」の理論をひらいていこうとする試みである。 著者は、2015年のデビュー作『人はみな妄想する』でラカン像を刷新し、國分功一郎、千葉雅也の両氏に絶賛された気鋭の精神医学者。デビューから10年、新たな代表作がここに誕生する。 [出版社より] 著 者|松本卓也 出版社|筑摩書房 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-84333-3 発 行|2025年08月 Contents 第一章 水平方向の精神病理学に向けて──ビンスワンガーについて 第二章 臨床の臨界期、政治の臨界期──中井久夫について 第三章 「生き延び」の誕生──上野千鶴子と信田さよ子 第四章 当事者研究の政治 第五章 「自治」する病院──ガタリ、ウリ、そしてラカン 第六章 ハイデガーを水平化する──『存在と時間』における「依存忘却」について 補論1 精神分析とオープンダイアローグ 補論2 依存症臨床の空間──平準化に抗するために Author 松本 卓也 Takuya Matsumoto 1983 年、高知県生まれ。2008 年3 月、高知大学医学部医学科卒。2015 年3 月、自治医科大学大学院医学研究科修了、博士(医学)。2016 年4 月より、京都大学大学院人間・環境学研究科総合人間学部准教授。研究分野は、精神病理学、精神分析学、精神医学史、病跡学、フランス現代思想。 著作に『人はみな妄想する』(青土社)、『心の病気ってなんだろう?』(平凡社)、『創造と狂気の歴史――プラトンからドゥルーズまで』(講談社)、『享楽社会論――現代ラカン派の展開』(人文書院)、翻訳に『現実界に向かって――ジャック=アラン・ミレール入門』(人文書院)、共訳にダリアン・リーダー『ハンズーー手の精神史』(左右社)、ヤニス・スタヴラカキス『ラカニアン・レフト―ラカン派精神分析と政治理論』(岩波書店)、共編著に『コモンの「自治」論』(集英社)など。
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個人空間の誕生——食卓・家屋・劇場・世界
¥1,430
広間での雑居から個室住まいへ。回し食いから個々人用食器の成立へ。多様なかたちで起った「空間の分節化」を通覧し、近代人の意識の発生をみる。 人間と環境の関係を追い続ける地理学者トゥアン。本書では、個人の自由を求めつつ共同体にあこがれてきた人間による、“空間の分節化と再統合”の過程を追う。 大騒ぎの食卓から用途別の食器とテーブルマナーが確立した食事へ、広間での雑居から個室への引きこもりへ、観客と役者が一体化した劇から純粋に見る劇へ——。 豊富な事例で浮かびあがるのは、ヨーロッパ近代における個人意識の発生だ。中国等の事例に照らし、「部分」に目をこらしつつ「全体」を求める「自己」は、一地域の歴史的産物であることを解明。人間社会を、空間の分節と統合という二つの運動の均衡状態として読み直す。 [出版社より] 著 者|イーフー・トゥアン 訳 者|阿部一 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,300円+税 判 型|文庫判 頁 数|368 ISBN|978-4-480-09886-3 発 行|2018年09月 Contents 全体 分節化・意識・自己 結合体 部分 飲食とマナー 家屋と家庭 劇場と社会 環境と視覚 自己 自己 自己と再構成された全体 Author イーフー・トゥアン Yi-Fu Tuan 1930年中国で生れる。中国系アメリカ人。オックスフォード大学で修士号、カリフォルニア大学バークレー校で博士号取得。現在、ウィスコンシン大学マディソン校名誉教授。70年代に現象学的地理学の旗手として颯爽と登場し、今日では、世界的な第一人者として知られている。本書のほか『空間の経験』『トポフィリア』『愛と支配の博物誌』『コスモポリタンの空間』『感覚の世界』『モラリティと想像力の文化史』などがある。 Translator 阿部 一 Hajime Abe 1961年生れ。東洋学園大学教授。
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遺言——対談と往復書簡
¥1,045
未曽有の大災害の後、言葉を交わしあうことを強く望んだ作家と染織家。残された時間を自覚する中で実現した対談と往復書簡。 東日本大震災後、自らの仕事の根本が揺らぐように感じた染織家・志村ふくみが、長年交流のあった作家・石牟礼道子へ手紙を送って始まった往復書簡。折しも、石牟礼は生涯最後の作品として新作能を構想しているところだった。作家と染織家が新しいよみがえりを祈って紡いだ次世代へのメッセージ。往復書簡と二度の対談、遺作となった「沖宮」を収録。解説=志村洋子、志村昌司。 [出版社より] 著 者|石牟礼道子・志村ふくみ 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|950円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-480-43531-6 発 行|2018年09月 Contents 二〇一一(平成二十三)年 書簡 二〇一二(平成二十四)年 書簡 第一回対談(四月二十二日) 沖宮 二〇一三(平成二十五)年 書簡 第二回対談(五月三十一日) Author 石牟礼 道子 Michiko Ishimure 1927-2018年。作家。熊本県天草郡に生まれ水俣市に育つ。69年『苦海浄土――わが水俣病』を刊行。73年マグサイサイ賞、86年西日本文化賞を受賞。93年に本作『十六夜橋』で紫式部文学賞受賞。2001年度朝日賞受賞。02年『はにかみの国――石牟礼道子全詩集』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。他の著書に『アニマの鳥』『椿の海の記』『石牟礼道子全集 不知火』などがある。 志村 ふくみ Fukumi Shimura 1924年滋賀県近江八幡生まれ。55年植物染料による染色を始め、57年第四回日本伝統工芸展に初出品で入選。83年『一色一生』で大佛次郎賞受賞。86年紫綬褒章受賞。90年国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。93年『語りかける花』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書に『色を奏でる』『小裂帖』『ちよう、はたり』『つむぎおり』など。
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十六夜橋 新版
¥1,100
うつつとまぼろし、生と死、恋の道行き――。 石牟礼道子、名著復刊。 南九州・不知火(しらぬい)の海辺の地「葦野」で土木事業を営む萩原家。うつつとまぼろしを行き来する当主の妻・志乃を中心に、人びとの営み、恋、自然が叙情豊かに描かれる傑作長編。作者の見事な筆致で、死者と生者、過去と現在、歓びと哀しみが重なり、豊饒な物語世界が現れる。第三回紫式部文学賞受賞作品。解説=米本浩二。 [出版社より] 著 者|石牟礼道子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,000円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|432 ISBN|978-4-480-43860-7 発 行|2023年01月 Author 石牟礼 道子 Michiko Ishimure 1927-2018年。作家。熊本県天草郡に生まれ水俣市に育つ。69年『苦海浄土――わが水俣病』を刊行。73年マグサイサイ賞、86年西日本文化賞を受賞。93年に本作『十六夜橋』で紫式部文学賞受賞。2001年度朝日賞受賞。02年『はにかみの国――石牟礼道子全詩集』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。他の著書に『アニマの鳥』『椿の海の記』『石牟礼道子全集 不知火』などがある。
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ラテン語の世界史
¥1,155
ローマ帝国は滅びても、ラテン語は滅びない。 いかにして西洋文化の基盤となったのか「世界最強言語」の謎に満ちた運命に迫る。 イタリアの一地方言語に過ぎなかったラテン語は、ローマ帝国の公用語として世界に広まり、西ローマ帝国崩壊後もキリスト教と結びついて普遍的公用語としての地位を築いた。しかし、やがて主要言語としての地位を失い、「教養」語となって現代に至る。長く歴史上に君臨したラテン語はいかにして広まり、生き続けてきたのか。ギリシア語との覇権争い、キリスト教との蜜月、各国の近代俗語との交代──「世界最強の言語」が歩んだ2000年以上に及ぶ数奇な運命に迫る。 [出版社より] 著 者|村上寛 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|1,050円+税 判 型|新書判 頁 数|304 ISBN|978-4-480-07687-8 発 行|2025年06月 Contents 第1章 現代のラテン語 「ラテン」とは何か?/ラテン文字の広がり/日本の大学ではラテン語が人気/キリスト教とラテン語/現代に「生きている」ラテン語/身の回りにはこんなにラテン語がある/学術用語はなぜラテン語なのか? 第2章 ラテン語の起源 ローマ建国の伝説/エトルリア語とラテン語/ギリシア語という先駆者/ギリシア語の韻律/ギリシアに魅了されたローマ/弁論家キケロの生涯/ギリシア哲学の導入/散文ラテン語の完成/ウェルギリウス――ラテン文学最高の詩人/ウェルギリウス『アエネイス』/ギリシアとローマを接続する叙事詩/ホラティウス――多彩なる韻文/オウィディウス――諧謔の詩人/ラテン語独自の恋愛詩/オウィディウス『変身物語』 第3章 古代末期までのラテン語 劇作家/古代ローマの出版流通/古代ローマの図書館/ラテン語の識字率/古代ローマの教育/役立つラテン語/ラテン語はいかにして伝わったのか?/ギリシア語圏への伝播/古典ラテン語と俗ラテン語/俗ラテン語の台頭/古典教養の衰退 第4章 ラテン語とキリスト教 「公用語」としてのラテン語/キリスト教は何を信じているのか?/原始教会とその言語状況/ラテン語圏の初期キリスト教とその言語/ローマ司教とキリスト教/東方ギリシア語圏との溝/新旧訳聖書/聖書のギリシア語訳/ヒエロニュムス/ウルガタ訳聖書/アウグスティヌスの生涯/聖書の文体とラテン語/中世キリスト教のラテン語へ 第5章 初期中世から盛期中世のラテン語 中世という時代/ラテン語からロマンス語へ/ラテン語発音の変化/ゲルマン諸王国はなぜラテン語を使ったのか?/修道院の生活/修道院における古典伝承/北方の修道院における古典伝承/古典を継承する修道士、ベタ・ウェネラビリス/イベリア半島の古典伝承/カロリング朝の教育復興/正しいラテン語を取り戻せ/正書法と発音/写本はいかに伝わったのか?/写本のために考案された書体/「ゴート族風の」ゴシック体 第6章 学校・教育のラテン語 修道院での教育/キリスト教と古典文学の葛藤/修道院に弁証論は必要?/移動する教師と生徒/弁証論の大流行/教科書や選集での教育/女性はラテン語とは無縁だったのか?/「教養ある女性」へ/修道女、ビンゲンのヒルデガルト/世俗女性の学識、エロイサ/フランス語前夜/ラテン語を駆逐するフランス語/聖書の俗語翻訳 第7章 イタリア・ルネサンスから現代へ ラテン語からイタリア語へ/ラテン語の復興/大学で使われ るラテン語/ラテン語と教育/ラテン語賛美の陰り/エラス ムスの『キケロ主義者』/人文主義の陰り/ラテン語からス ペイン語へ/翻訳運動/日本宣教とラテン語/明治以後のラ テン語 文法コラム 1:文字・発音/2:動詞/3:名詞/4:前置詞・人称代名詞/ 5:形容詞/6:不定詞・命令法/7:修辞学・現在分詞 読書案内 人名・書名索引 Author 村上 寛 Hiroshi Murakami 1981年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。立教大学、明治学院大学、早稲田大学などで講師を務めるほか、人文知のプラットフォーム「クェス(QeS:Quid est Sapientia)」代表。2017年度よりKUNILABOでラテン語の講座を開講。専門は西洋中世思想。著書に『鏡・意志・魂─ポレートと呼ばれるマルグリットとその思想』(晃洋書房、2018年)などがある。
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ユーモアの鎖国 新版
¥990
14歳から銀行で働き、焼けた東京で詩を書いた。日本を代表する詩人が己の人生とくらしを鮮やかにつづった自伝的傑作エッセイ集、復刊! 戦後日本を代表する詩人・石垣りん。実母を4歳で亡くし、その後3人の母を持った1920年生まれの少女は、自ら生きる糧を求めて銀行に就職。単身、定年まで勤めあげる。戦火をくぐり抜けながら、復興する都市に働きながら、あるいは暮らしの窓辺から、転換期にある国を見つめた。人ひとりの自由と時を重ねる日々の強さを真摯かつ鮮やかに綴った、自伝的エッセイ集。解説=牟田都子。 [出版社より] 著 者|石垣りん 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|320 ISBN|978-4-480-44040-2 発 行|2025年06月 Contents 待つ Ⅰ 新巻/花嫁/宿借り/夜叉/朝のあかり/はまぐり/甘栗/美味/ラーメン/バナナ/お茶/うわさ/季節/シジミ/おそば/まじめな魚 Ⅱ 夏の日暮れに/試験管に入れて/鍵/ユーモアの鎖国/炎える母の季節/お酒かかえて/お礼/日記/春の日に/けちん坊/絵の中の繭/花よ、空を突け Ⅲ 事務員として働きつづけて/五円が鳴いた/花とお金/目下工事中/よい顔と幸福/事務服/晴着/領分のない人たち/生活の中の詩 Ⅳ 詩を書くことと、生きること/女湯/立場のある詩/事実とふれ合ったとき/持続と詩/表札のうしろ/第一行はとび出してきます/あとがきのこと/清岡卓行『四季のスケッチ』感想/生活詩/出来ること出来ないこと/風信 Ⅴ 食扶持のこと/眠っているのは私たち/買えなかったもの/私の新しい空/仕事/個人の手・公の手/生活と詩/犯された空の下で 文庫版あとがき 解説 牟田都子 Author 石垣 りん Rin Ishigaki 1920年、東京生まれ。詩人。2004年没。高等小学校時代から詩作を始め、少女雑誌に投稿。卒業後、14歳で日本興業銀行に就職し、25歳の時に敗戦を迎えた。1938年、同人誌「断層」創刊。福田正夫に師事する。1959年、第一詩集『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』刊行。1969年に第二詩集『表札など』でH氏賞、1972年に『石垣りん詩集』で田村俊子賞、1979年に『略歴』で地球賞をそれぞれ受賞。エッセイに『ユーモアの鎖国』『焔に手をかざして』『夜の太鼓』などがある。
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私たちはどう生きるべきか
¥1,650
社会の10%の人が倫理的に生きれば、政府が行う社会変革よりもずっと大きな力となる。環境・動物保護の第一人者が、現代に生きる意味を鋭く問う。 私的利益と倫理が衝突する場合、あなたならどうするか。もしもあなたが姿を消して、誰にも知られずに何でも好きなものを手に入れられるような場合、すべての倫理的基準を捨て去るのが合理的な判断なのだろうか。それでも正義を重んじるとすれば、そこにはどんな理由があるだろう。 西洋倫理学の伝統からプラトン、ルソー、カント等の豊富な議論をとりあげて新たな角度から解明しつつ、経済倫理、遺伝子操作等のアクチュアルな問題を考察。『実践の倫理』『動物の解放』の著者であり、環境・動物保護運動のリーダーとしても活躍する著者が、理論と実践の両側面から現代倫理を徹底的に再考する! [出版社より] 著 者|ピーター・シンガー 訳 者|山内友三郎 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,500円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|472 ISBN|9784480095817 発 行|2013年12月 Contents 第1章 究極の選択 第2章 「そのどこが私のためになるんだ」 第3章 世界を使い果たす 第4章 この生き方の由来はどこにあるのか 第5章 利己心は人の遺伝子の中にあるか 第6章 日本人の生き方 第7章 お返し戦術 第8章 倫理的に生きる 第9章 倫理の本性 第10章 ある目的のために生きる 第11章 よい生き方 Author ピーター・シンガー Peter Singer 1946年生まれ。オーストラリア生まれ。メルボルン大学をへてオックスフォード大学で、R.M.ヘアのもとで学位取得。メルボルンのモナッシュ大学生命倫理学センター所長、国際生命倫理学会会長歴任。現在プリンストン大学、モナッシュ大学教授。優れた倫理学者として世界的に高名なだけでなく、動物解放、菜食主義、難民救済、環境保護などの実践運動のリーダーとして国際的、精力的に活躍。 Translator 山内 友三郎 Tomosaburo Yamauchi 年秋田県生まれ。京都大学文学部卒業。大阪教育大学名誉教授。
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詩の構造についての覚え書——ぼくの《詩作品入門》
¥1,210
詩とは何か。 詩を、作者の心情の直接的発露であり、それを伝える手段だとする見方は根強い。だが、詩において言葉は日常の用法とは異なる態度で取り扱われる。それゆえ、著者が「詩は表現ではない」と明言したとき、旧来の詩観は大きく揺さぶられることとなった。 言葉を関係性によって捉えることが重視され、「作者─発話者─主人公」の区別に紙幅が費やされる。これらを通し、われわれは詩がどのようにして成り立つのか、その秘密に近づけるだろう。詩とはいったい何か。この問題を追究したものとして本書に並び立つ書はいまもって少ない。実作者も鑑賞者も一度は読んでおきたい詩作品入門。解説=野村喜和夫。 [出版社より] 著 者|入沢康夫 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,100円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|208 ISBN|978-4-480-51292-5 発 行|2025年03月 Contents 第1回 はじめに Ⅰ 手もちの材料と道具の点検 A 詩は表現ではない B 作品の構成の素材は単語だけではない 第2回 C 詩が、主として語のイマージュに依存するという考えは不適当であり、同様に、比喩(直喩・暗喩)に主な拠り所を持つという説にも、無限定には同意できない D 個々の要素の持つ意味の重層性や潜在的情動力は、適切な構造の中にところを得て、はじめて発揮される E 擬物語詩は、あり得べき詩作品の構造の一つのタイプである 第3回 Ⅱ なぜ詩の構造を云々するのか 第4回 Ⅲ 基本的な諸問題についての雑然たるメモと、そのまとめ A 作品とその要素(素材) B 素材としての言葉のありよう C 言葉を素材とするということ 第5回 D 詩人 ―― 発話者 ―― 主人公 E どんな作品においても《詩人》と《発話者》は別である Author 入沢 康夫 Yasuo Irisawa 1931-2018年。島根県生まれ。詩人、フランス文学者。東京大学文学部フランス文学科卒業。同大学大学院フランス語フランス文学科修士課程修了。詩集『季節についての試論』でH氏賞を受賞。長詩と注釈からなる『わが出雲・わが鎮魂』で読売文学賞を受賞。『入澤康夫〈詩〉集成 1951-1994』『唄──遠い冬の』の詩作で毎日芸術賞受賞。詩論も多数執筆。『ネルヴァル全集』の監修や『新校本宮沢賢治全集』の編集にも携わる。
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新編 人と人との間
¥1,430
「あいだ」理論の出発点。 精神病理を人間の在り方の一様相として論じてきた著者によるキー概念「間」(「あいだ」)。自己存在の根底にある超個人的な場所としての「人と人との間」は、現代思想に大きな影響を与えた。本書は、ドイツ留学時に思索した日本人論としてこの概念を世に問うた一冊である。 日本人特有の精神病的生き方をさまざまな現象を通して思索するとともに、日本的精神症状とされる対人恐怖、貰子幻想の病理を解明。さらに「間」理論を和辻哲郎の『風土』、土居健郎の「甘え」理論と併せて検討して、人間存在の様相を詳らかにする。文庫化にあたり講演「人と人とのあいだの病理」を併録。解説=清水健信。 [出版社より] 著 者|木村敏 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,300円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|320 ISBN|978-4-480-51299-4 発 行|2025年03月 Contents 人と人との間――精神病理学的日本論 はしがき 第一章 われわれ日本人 第二章 日本人とメランコリー 第三章 風土と人間性 第四章 日本語と日本人の人間性 第五章 日本人の精神病理 第六章 文化を超えた精神医学 人と人とのあいだの病理 一 交換不可能な個人の心 二 人と人との“あいだ”への関心 三 “あいだ”をめぐる病理 四 自己と“あいだ” 文庫解説 木村敏とドイツの間、木村敏と京都学派の間 清水健信 Author 木村 敏 Bin Kimura 1931年、旧朝鮮生まれ。1955年、京都大学医学部卒業。現在、京都大学名誉教授、河合文化教育研究所所長・主任研究員。専攻、精神病理学。著書に『自覚の精神病理』(紀伊國屋書店)、『異常の構造』(講談社現代新書)、『時間と自己』(中公新書)、『木村敏著作集』全8巻(弘文堂)、『関係としての自己』(みすず書房)、『臨床哲学講義』(創元社)、『あいだ』『自己・あいだ・時間』『分裂病と他者』(ちくま学芸文庫)など。訳書多数。1981年にシーボルト賞、1985年にエグネール賞、2003年に和辻哲郎文化賞、2010年に『精神医学から臨床哲学へ』(ミネルヴァ書房)で毎日出版文化賞を受賞。
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エスノグラフィ入門
¥1,056
SOLD OUT
「場面を描く、生活を書く」『タイミングの社会学』(紀伊國屋じんぶん大賞2024第2位)の著者、最新刊。エスノグラフィの息遣いを体感する入門書。 生活を書く、それがエスノグラフィの特徴です。そして、もっとも良質なエスノグラフィの成果は、 苦しみとともに生きる人びとが直面している世界を表し出すところに宿るものです。もともと人類学で発展したこの手法は、シカゴ学派を拠点に、 社会学の分野でも広がっていきました。本書では、5つのキーワードに沿って、そのおもしろさを解説していきます。予備知識はいりません。ぜひ、その魅力を体感してください。 [出版社より] 著 者|石岡 丈昇 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|960円+税 判 型|新書判 頁 数|304 ISBN|978-4-480-07646-5 発 行|2024年09月 Contents はじめに エスノグラフィとは/本書の著者について/エスノグラフィの核心/本書のスタイル/あるひとつの入門書 第1章 エスノグラフィを体感する 通夜と賭けトランプ/センス・オブ・ワンダー/海の少年/場面と主題/二重写しに見る/フィールド調査の十戒/フィールドの人びととの関係のあり方/調査の進め方/社会学的に観察する/フィールド調査のねらい/本章のまとめ コラム1 サイクリストの独自世界 第2章 フィールドに学ぶ 経験科学/フィールド科学/雪かきの現場から/モノグラフ/可量と不可量/不可量を書く/ボクサーの減量の事例/人びとの経験に迫る/身体でわかる/フィールドへのエントリー/漁民から見る/人びとの対峙する世界/本章のまとめ コラム2 ペットによる社会的影響とその効果 第3章 生活を書く シカゴ学派/生活を見る眼/アフリカの毒/同時代の人びとへ/地続きの人類学/生活実践へ/日常生活批判/差別の日常/「いま―ここ」の注視/「人びとの方法」への着目/遠近法的アプローチ/まひるのほし/本章のまとめ コラム3 遊びとしての公的空間での眠り 第4章 時間に参与する 生活論/生活を読み取る/生活環境主義/「森林保護」による生活破壊/時間へ/ボクサーの「典型的な一日」/時間的単位を知る/周期性とリズム/時間をめぐる困難/生が「生活」になるとき/共に活動すること/私の失敗談/本章のまとめ コラム4 手話サークルから見るろうコミュニティとコロナウイルス 第5章 対比的に読む 図書館の歩き方/探索することの魅力/「赤青」の色鉛筆/読みの体感/エスノグラフィを読む/裏舞台だけを読まない/着眼点の移植/対比的に発見する/データをつくる/本章のまとめ コラム5 リスクから見るサブカルチャー 第6章 事例を通して説明する フィリピンとの出会い/繰り返し通うこと/対比という方法/事例を通した説明/論理の解明へ/羅生門的手法/客観性から客観化へ/ミクロ・マクロ問題/バンコクのバイクタクシー/エスノグラフィとルポルタージュ/本章のまとめ コラム6 部活動におけるケガの社会学 おわりに――次の一歩へ 学ぶこと/受苦を生きる/楽しみと苦しみ あとがき――読書案内をかねて 参考文献 索引 Author 石岡 丈昇 Tomonori Ishioka 1977年、岡山市生まれ。専門は社会学/身体文化論。日本大学文理学部社会学科教授。フィリピン・マニラを主な事例地として、社会学/身体文化論の研究をおこなう。著作に『タイミングの社会学──ディテールを書くエスノグラフィー』(青土社、2023年、紀伊國屋じんぶん大賞2024第2位)、『ローカルボクサーと貧困世界──マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、2012年、第12回日本社会学会奨励賞。2024年に増補新版)、共著に『質的社会調査の方法──他者の合理性の理解社会学』(岸政彦・丸山里美との共著、有斐閣、2016年)など。
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ヘルシンキ 生活の練習はつづく
¥1,980
SOLD OUT
ガチ多様性。 「1日8時間労働だったら、3時間ちょっと、ぼんやりしてください」。ふたりの子どもと北欧へ渡った社会学者による、現地レポート。 「一日八時間労働だったら、三時間ちょっと、ぼんやりしてください」――健康診断の看護師さん 「自分のホームはフィンランドだと思って、ここに根づいてほしい」――ゲオルギー 「母ちゃんは戦争になったら、ユキとクマをすぐ日本に連れていってくれる?」――ユキ 「ここでどんなにたくさんのことを教わったか、みんながどれだけよく僕をお世話してくれたか、僕は言葉では言えない」――クマ 「日本ではどうも、おじいさんが偉くなるルールがあるっぽいな」――ユキ 「言葉で世界があんねん」――ユキ 「みんしゅしゅぎのくにでは、みんながいやだといったら、せんそうが続けられない」――クマ etc. 「多様なのが普通」って、こういうことなのか。 [出版社より] 著 者|朴沙羅 出版社|筑摩書房 定 価|1,800円+税 判 型|四六版/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-480-81581-1 発 行|2024年08月 Contents はじめに 1 大人と働く 2 戦争と平和(前編) 3 戦争と平和(後編) 4 特殊なのは誰か 5 見えないルール 6 エリライシアが普通 7 みんなのための善いこと おわりに 注 装丁・装画・本文設計 寄藤文平+垣内晴(文平銀座) Author 朴 沙羅 パク・サラ 専攻は社会学(ナショナリズム研究)。ヘルシンキ大学文学部文化学科講師。著作に『ヘルシンキ 生活の練習』、『家(チベ)の歴史を書く』(ちくま文庫)、『外国人をつくりだす』(ナカニシヤ出版)など。
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崩壊概論
¥1,540
現代の黙示録、ここに甦る。 透徹した懐疑が矛盾の総体たる世界を熾烈なまでに問いただす。信念は解体され、拠って立つ基盤は崩壊する――。幻影の破棄と新たな幻影を希求した本書は、シオランが母語であるルーマニア語ではなくフランス語で初めて著した作品。未来に倦み、同時に言いようのない渇きに襲われながら、思想家は敗滅へと向かう人間の宿命を凝視する。繊細と皮肉、陶酔と幻滅、憤怒と倦怠、明視と錯乱……。不眠の夜々に咲いた断章群、それは、まぎれもなく現代の黙示録としてわれわれの精神に浸潤し、揺さぶりをかけるだろう。解説=大谷崇。 [出版社より] 著 者|E.M.シオラン 訳 者|有田忠郎 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|352 ISBN|978-4-480-51297-0 発 行|2025年04月 Contents 日本語版への序 崩壊概論 発作的な思想家 頽廃(デカダンス)のさまざまな顔 聖性と「絶対」のしかめ面 知の舞台装置 放棄 訳者あとがき 解説 大谷崇 Author E.M.シオラン E. M. Cioran 1911-95年。ルーマニア生まれの作家、思想家。1937年パリに移り住み、後年はフランス語で数多くの著作を残した。『歴史とユートピア』によりコンバ賞を受賞。著書に『絶望のきわみで』『思想の黄昏』『告白と呪詛』(以上、紀伊國屋書店)、『敗者の祈?書』『悪しき造物主』『四つ裂きの刑』(以上、法政大学出版局)など。 Translator 有田 忠郎 Tadao Arita 1928-2012年。九州大学大学院第二期修了。詩人、翻訳家、フランス文学者。専門はフランス詩。西南学院大学名誉教授。
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毛糸のズボン——直野祥子トラウマ少女漫画全集
¥1,100
甦る恐怖。 いちばん恐ろしいのは、人間――。 誰もが思い当たる人間心理を突き詰めたサスペンスで70年代の少女たちを震え上がらせた直野祥子のトラウマ少女漫画をここに集成。全収録作への自作解説付き。 おばあちゃんの手編みのズボンを穿きたくないひろしが取った行動は?(「毛糸のズボン」)、「両親に似ていない」と言われたマリは不安のあまり弟を……(「マリはだれの子」)、家族旅行を楽しむさち子はアイロンを切り忘れてきたのではと不安に思い始める――(「はじめての家族旅行」)。 [出版社より] 著 者|直野祥子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,000円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|336 ISBN|978-4-480-44009-9 発 行|2025年02月 Contents マリはだれの子 毛糸のズボン おつたさま 宿題 ひも かくれんぼ 復讐 こじきの死 はじめての家族旅行 首かざり 雨 シャイアンの大わし 血ぞめの日記が空を舞う へび神さま 自作解説――漫画と私 Author 直野 祥子 Yoshiko Naono 漫画家、イラストレーター。神戸・六甲で生まれ、夙川で育つ。1968年、「ガロ」の新人募集コーナーで「実験」が入選し、漫画家としてデビュー。1971年~1973年にかけて少女漫画雑誌「なかよし」「少女フレンド」誌上にて、人間心理をえぐるような異色のサスペンス作品の数々を発表、そのショッキングな内容は当時の読者に多大なトラウマを植え付けた。以降は「ビッグコミック」や「女性セブン」、「女性自身」などで活躍を続けるも1995年の阪神淡路大震災で被災し、初期の原稿はほぼ消失。2005年、生まれ育った昭和30年代の夙川での家族の暮らしを絵日記として記した『夙川ひだまり日記』を小学館スクウェアより出版。
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映画 視線のポリティクス——古典的ハリウッド映画の戦い
¥1,210
フィルム・スタディーズという研究領域を切り拓いた画期的な映画生成批評。 スタジオ・システムという強力な支配形態のもとにおかれた、古典的ハリウッド映画産業。利潤追求を至上命令とする製作会社によって俳優・監督・脚本家他あらゆる関係者が管理されるなか、激動期のアメリカで、いかにして映画は製作されたのか。監督と撮影所の対立、陸軍による検閲、自主検閲的倫理規定ヘイズ・コード、第二次世界大戦のプロパガンダ映画、それに携わった黒人映画作家……。複雑な力学が働く映画の生成過程に、文書資料や関係者インタビューなど一次資料を用いて実証的に迫る。映画学(フィルム・スタディーズ)という研究領域を切り拓いた画期的作品。 解説=板倉史明。 [出版社より] 著 者|加藤幹郎 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,100円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|256 ISBN|978-4-480-51299-4 発 行|2025年05月 Contents 第1章 検閲と生成 スクリューボール・コメディ論 プレストン・スタージェス・コレクション/ジャンルと作家/フランク・キャプラと人民喜劇/署名のないフィルム/世界の中心ハリウッド/笑いの数値化/検閲と生成 第2章 喜劇映画作家がプロパガンダを撮るとき キャプラ都へ行く/ハリウッド戦時娯楽映画/戦前の喜劇映画/「キャプラ組」顛末記/システムと戦う個人/プロパガンダ映画のディコンストラクション/ディズニー・アニメーション/最後の人民喜劇 第3章 雇われた黒人 カールトン・モス・インタビュー 老兵は死なず/プロパガンダを撮る/黒人よ銃を取れ/ワシントンから来た男/銃口は誰に向けられたか 第4章 ジャンルとジェンダー ジャンルの混淆/年少犯罪もの/ハリウッドの戦後体制/女のフラッシュバック/?の編集/最後の教訓 補 遺 映画製作倫理規定 文庫版解説 種蒔かれた映画学 板倉文明 映画題名索引 Author 加藤 幹郎 Mikiro Kato 1957-2020年。長崎生まれ。筑波大学比較文化学類卒業、同大学大学院文芸・言語研究科単位取得退学。京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、同名誉教授。日本映画学会初代会長。著書に『映画館と観客の文化史』(中公新書)、『日本映画論 1933-2007』(岩波書店)、『荒木飛呂彦論』(ちくま新書)、『映画とは何か』『映画ジャンル論』(ともに増補改訂版、文遊社)などがある。
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ベオグラード日誌 増補版
¥1,056
戦争の傷、読書の歓び、セルビアでの暮らし。 日記文学の傑作、待望の増補文庫化。読売文学賞受賞作に、新たに最近6年間の日誌を増補。 セルビア語と日本語の詩を読み書く毎日、街角で語られるNATO空爆の悲惨な記憶、難民のこどもたちとの触れ合い、各地の戦争や東日本大震災へ寄せられる人びとの言葉、友人たちとの親密な時間、そして別れ……セルビアの首都ベオグラードで詩人が記した、歓びと哀しみの日々のかけら。読売文学賞受賞の日記文学の傑作に新たに最近6年間をまとめた日誌を増補。解説=小林エリカ。 [出版社より] 「激動の時代は続く。それでもささやかな営みが、出会いと別れが、細やかな他者との繋がりが、きっと世界を変える」 ――宇垣美里 著 者|山崎佳代子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|960円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|286 ISBN|978-4-480-44019-8 発 行|2025年04月 Contents はじめに またひとつ舟が出ていく ―― 2001年6月23日~12月26日 貝のための子守唄 ―― 2002年1月26日~12月27日 血まみれの童話 ―― 2003年1月1日~12月25日 痕跡 ―― 2004年1月2日~12月26日 谷に響く笛 ―― 2005年1月1日~12月24日 骸骨の瞳、骸骨の口 ―― 2006年1月5日~10月8日 軽くて小さいが麗しいもの ―― 2007年1月3日~5月7日 あきらめないでください ―― 2009年5月~2012年6月 終わりに ―― 「小さな言葉」という小窓から 続・ベオグラード日誌 ―― 2019年1月1日~2025年2月18日 解説 小林エリカ Author 山崎 佳代子 Kayoko Yamasaki 詩人、翻訳家。1956年生まれ、静岡市に育つ。北海道大学露文科卒業。サラエボ大学文学部、リュブリャナ民謡研究所留学を経て、1981年よりセルビア共和国ベオグラード市在住。ベオグラード大学文学部にて博士号取得(比較文学)。著書に『そこから青い闇がささやき』(ちくま文庫)、『パンと野いちご』(勁草書房)、『ドナウ、小さな水の旅』(左右社)など、詩集に『黙然をりて』『みをはやみ』(書肆山田)、『海にいったらいい』(思潮社)など、翻訳書にダニロ・キシュ『若き日の哀しみ』『死者の百科事典』(創元ライブラリ)などがある。
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傷のあわい
¥880
『傷を愛せるか』の著者の原点となるエスノグラフィ。 米国で何者かになろうと海を越えた青年、夫の海外転勤に合わせて渡米した女性、人生に詰んで海外へ拠点を移した男性──。異国の地で、不安定さや傷つきに揺れながらも、そのとき成しえる最良の力で人生にぶつかっていく。その語りに、若き日の著者が耳を傾け、生きるということを同じ目線で考えた記録。解説=奈倉有里。 [出版社より] 著 者|宮地尚子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|800円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|240 ISBN|978-4-480-44015-0 発 行|2025年04月 Contents 文庫版まえがき はじめに 孤独の物語 アメリカン・ドリーム 移民候補生 リミナリティ PTSD(前編) PTSD(後編) ステレオタイプ 恋愛と結婚 邦人援護 二〇歳の人生落伍者 謎の女 パレスチナ レクイエム GOOD BYE=THANK YOU あとがき 解説 ひとりひとりの顔が見える 奈倉有里 Author 宮地 尚子 Naoko Miyaji 一橋大学大学院社会学研究科特任教授。専門は文化精神医学・医療人類学・トラウマとジェンダー。精神科の医師として臨床をおこないつつ、研究をつづけている。1986年京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。主な著書に『傷を愛せるか 増補新版』(ちくま文庫)、『トラウマ』(岩波新書)、『ははがうまれる』(福音館書店)、『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房)、『傷つきのこころ学』(NHK出版)がある。
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傷を愛せるか 増補新版
¥792
SOLD OUT
どれほど医療が進んでも、傷ついた心を癒す薬はない。悲痛に満ちた被害者の回復には何が必要か。臨床医による深く沁みとおるエッセイ。 たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること──。 バリ島の寺院で、ブエノスアイレスの郊外で、冬の金沢で。旅のなかで思索をめぐらせた、トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。解説=天童荒太。 [出版社より] 著 者|宮地尚子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|720円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|256 ISBN|978-4-480-43816-4 発 行|2022年09月 Contents Ⅰ 内なる海、内なる空 なにもできなくても 〇(エン)=縁なるもの モレノの教会 水の中 内なる海 泡盛の瓶 だれかが自分のために祈ってくれるということ 予言・約束・夢 Ⅱ クロスする感性――米国滞在記+α 二〇〇七―二〇〇八 開くこと、閉じること 競争と幸せ ブルーオーシャンと寒村の海 冬の受難と楽しみ 宿命論と因果論 ホスピタリティと感情労働 右も左もわからない人たち 弱さを抱えたままの強さ 女らしさと男らしさ 動物と人間 見えるものと見えないもの 捨てるものと残すもの ソウル・ファミリー、魂の家族 人生の軌跡 Ⅲ 記憶の淵から 父と蛇 母が人質になったこと 母を見送る 溺れそうな気持ち 本当の非日常の話 張りつく薄い寂しさ Ⅳ 傷のある風景 傷を愛せるか あとがき 文庫版あとがき 解説 切実な告白と祈り 天童荒太 初出一覧 エピグラフ・出典 Author 宮地 尚子 Naoko Miyaji 一橋大学大学院社会学研究科特任教授。専門は文化精神医学・医療人類学・トラウマとジェンダー。精神科の医師として臨床をおこないつつ、研究をつづけている。1986年京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。主な著書に『傷を愛せるか 増補新版』(ちくま文庫)、『トラウマ』(岩波新書)、『ははがうまれる』(福音館書店)、『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房)、『傷つきのこころ学』(NHK出版)がある。
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目的をもたない意志 増補版 ——山川方夫エッセイ・コレクション
¥1,100
大江健三郎、アントニオーニ、若尾文子、東京、戦争、恋愛論……。夭折の天才作家、唯一のエッセイ集。妻・山川みどりの回想などを増補。 『文学』は私にとり、まず私の存在のしかたであり、態度なのだ——。 大江健三郎、サルトル、石原慎太郎、若尾文子、日劇、『去年マリエンバートで』、『キングコング対ゴジラ』……。文学はもちろん映画や自由、恋愛まで作家がクールな文体で語るエッセイ集。新たな7篇のほか、妻・山川みどりによる作家との出会いや夫婦の生活をめぐるエッセイ4篇を増補した決定版。 [出版社より] 著 者|山川方夫 編 者|高崎俊夫 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,000円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|320 ISBN|978-4-480-44020-4 発 行|2025年04月 Contents 第一章 灰皿になれないということ 灰皿になれないということ 〝自由〟のイメージ 永井龍男氏の「一個」 ―― 〈作家論の試み〉 サルトルとの出逢い 早春の記憶 ―― グレアム・グリーンをめぐって 大江健三郎『われらの時代』 高橋和巳『悲の器』 村松剛『文学と詩精神』 獅子文六『町ッ子』 可笑しい奴 ―― 西島大君のこと 江藤淳氏について 中原弓彦氏について 『遠来の客たち』の頃 ―― 曾野綾子氏について 石原慎太郎氏について 第二章 わが町・東京 わが町・東京 神話 「日々の死」の銀座 正常という名の一つの狂気 ―― 「りゅうれんじん」〈仮題〉の原作者として 恋愛について 日劇 ―― 都会化のシンボル 麻美子と恵子と桐子の青春 海を見る 山を見る――ある心象風景として 「ザ・タリスマン」白書 半年の後…… わがままな由来 ―― ペンネーム誕生記 あの頃 一通行者の感慨 私の良妻論 第三章 目的をもたない意志 ―― 映画をめぐる断章 増村保造氏の個性とエロティシズム ―― 主に『妻は告白する』をめぐって 映画批評家への公開状 目的をもたない意志 ―― マルグリット・デュラスの個性 『情事』の観念性 中途半端な絶望 ―― アントニオーニの新作をめぐって 『二十歳の恋』 『去年マリエンバートで』への一つの疑問 『かくも長き不在』 『シルヴィ』の幻 『肉体市場』 『恋や恋なすな恋』 『オルフェの遺言』 『キングコング対ゴジラ』 付録 『山川方夫全集』月報より 山川みどり なにもかも忽然と 最初で最後の夏 ようこそ、はるばる二宮へ 三十三年目の二宮 批評家・エッセイストとしての山川方夫 高崎俊夫 ちくま文庫版のための編者あとがき 高崎俊夫 Author 山川 方夫 Masao Yamakawa 1930年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院中退後、第3次「三田文学」編集長として、江藤淳、坂上弘、曾野綾子をデビューさせるかたわら、自らも創作を発表する。「日々の死」で注目を集め、1958年に商業誌に進出。「演技の果て」「海の告発」など5作が芥川賞、「クリスマスの贈物」が直木賞の候補となる。65年、交通事故にて逝去。著書に『箱の中のあなた』『長くて短い一年』(ちくま文庫)、『親しい友人たち』(創元推理文庫)、『夏の葬列』『安南の王子』(集英社文庫)などがある。 Editor 高崎 俊夫 Toshio Takasaki 1954年福島県生まれ。「スターログ日本版」「月刊イメージフォーラム」「一枚の繪」「AVストア」編集部等を経て、フリーランスの編集者・映画評論家。編集した書籍に『ものみな映画で終わる ―― 花田清輝映画論集』(清流出版)、『テレビの青春』(今野勉著・NTT出版)、『ニセ札つかいの手記 ―― 武田泰淳異色短篇集』(中公文庫)、『親しい友人たち ―― 山川方夫ミステリ傑作選』(創元推理文庫)、『むしろ幻想が明快なのである ―― 虫明亜呂無レトロスペクティブ』(ちくま文庫)ほか多数。著書に『祝祭の日々 ―― 私の映画アトランダム』(国書刊行会)がある。
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海とサルデーニャ
¥1,540
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五官と魂が震える旅。 一九二一年一月、作家は妻を伴い、シチリアからサルデーニャへと旅立つ。躍動感溢れる筆致で描かれる孤高の島の自然と人々。五官を震わせる名紀行。 「薄曇りの夜空のひろがるその下で、はるかかなたイオニア海の水平線に、金属が溶けあうように曙光がさしはじめた。よしと、一杯の紅茶とトーストのかけらを飲みこんだ」。 1921年1月、作家は妻“女王蜂”を伴い、居住していたシチリアからサルデーニャに向けて旅立つ。近代化のさなかにあっていまだ野性味を残す島の自然と人々。市場の野菜。山々を行く汽車とバス。だがこの島にも第一次世界大戦後の世情が影を落とし……。作家は確かな直感と観察によって、旅の跡を活き活きと書き綴る。本文庫では原書初版で削除された箇所を復元。ロレンス文学の頂点と評される傑作旅行記を名訳で。 [出版社より] 著 者|D. H. ロレンス 訳 者|武藤浩史 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|368 ISBN|978-4-480-51283-3 発 行|2025年02月 Contents 1 パレルモまで 2 海 3 カリアリ 4 マンダス 5 ソルゴノへ 6 ヌーオロへ 7 テッラノーヴァへ、そして汽船 8 帰る 訳者あとがき 文庫版訳者あとがき Author D. H. ロレンス David Herbert Lawrence 1885-1930年。炭坑の「採炭請負人」の息子として生まれ、南仏ヴァンスで亡くなる。20世紀イギリス文学を代表する作家。『恋する女たち』『息子と恋人』『チャタレー夫人の恋人』『羽毛ある蛇』など12作の長篇小説を始め、数多くの中・短篇小説、戯曲、紀行文、評論・エッセイを遺した。 Translator 武藤 浩史 Hiroshi Muto 1958年東京生まれ。英国ウォリック大学大学院博士課程修了。慶應義塾大学名誉教授。専門は英文学。
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移動そのもの
¥1,980
SOLD OUT
言葉が奔り、物語が跳ねる。 一文ごと一語ごとに世界が相貌を変えていく――めくるめく体験に満ちた9つの小宇宙。 語りは未知なる情景を相手に伝えるためのものだが、一方で言葉はそれ自身次の言葉を求めて自在に繁茂していく。そのふたつが合わさったとき、小説は一文一文、一語一語、圧倒的な速度で跳躍しながら、読む者を〈現在〉の強度へと誘いつづける。 2019年『する、されるユートピア』で中原中也賞、2023年『この世の喜びよ』で芥川賞に輝く、詩人・作家が放つ、言葉を読む原初的な快楽に溢れる最新短編集! [出版社より] 「この小説は迷うための地図。一文ずつ小さく折り畳まれたそれをひらけば、言葉を読むんじゃなくて、言葉に読まれているよう」 ――尾崎世界観[ミュージシャン・小説家] 著 者|井戸川射子 出版社|筑摩書房 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|160 ISBN|978-4-480-80523-2 発 行|2025年03月 Contents 移動そのもの 花瓶 市場 本汚し皿割り 軽薄 老いる彼女は家で 人々の大いなる口 通い路 旅は育ての親 Author 井戸川 射子 Iko Idogawa 1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。2019 年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。2021年に小説集『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞を、2023年に『この世の喜びよ』で第168回芥川龍之介賞を受賞。他の著作として、詩集に『遠景』、小説に『共に明るい』『無形』がある。