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海とサルデーニャ
¥1,540
SOLD OUT
五官と魂が震える旅。 一九二一年一月、作家は妻を伴い、シチリアからサルデーニャへと旅立つ。躍動感溢れる筆致で描かれる孤高の島の自然と人々。五官を震わせる名紀行。 「薄曇りの夜空のひろがるその下で、はるかかなたイオニア海の水平線に、金属が溶けあうように曙光がさしはじめた。よしと、一杯の紅茶とトーストのかけらを飲みこんだ」。 1921年1月、作家は妻“女王蜂”を伴い、居住していたシチリアからサルデーニャに向けて旅立つ。近代化のさなかにあっていまだ野性味を残す島の自然と人々。市場の野菜。山々を行く汽車とバス。だがこの島にも第一次世界大戦後の世情が影を落とし……。作家は確かな直感と観察によって、旅の跡を活き活きと書き綴る。本文庫では原書初版で削除された箇所を復元。ロレンス文学の頂点と評される傑作旅行記を名訳で。 [出版社より] 著 者|D. H. ロレンス 訳 者|武藤浩史 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|368 ISBN|978-4-480-51283-3 発 行|2025年02月 Contents 1 パレルモまで 2 海 3 カリアリ 4 マンダス 5 ソルゴノへ 6 ヌーオロへ 7 テッラノーヴァへ、そして汽船 8 帰る 訳者あとがき 文庫版訳者あとがき Author D. H. ロレンス David Herbert Lawrence 1885-1930年。炭坑の「採炭請負人」の息子として生まれ、南仏ヴァンスで亡くなる。20世紀イギリス文学を代表する作家。『恋する女たち』『息子と恋人』『チャタレー夫人の恋人』『羽毛ある蛇』など12作の長篇小説を始め、数多くの中・短篇小説、戯曲、紀行文、評論・エッセイを遺した。 Translator 武藤 浩史 Hiroshi Muto 1958年東京生まれ。英国ウォリック大学大学院博士課程修了。慶應義塾大学名誉教授。専門は英文学。
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移動そのもの
¥1,980
言葉が奔り、物語が跳ねる。 一文ごと一語ごとに世界が相貌を変えていく――めくるめく体験に満ちた9つの小宇宙。 語りは未知なる情景を相手に伝えるためのものだが、一方で言葉はそれ自身次の言葉を求めて自在に繁茂していく。そのふたつが合わさったとき、小説は一文一文、一語一語、圧倒的な速度で跳躍しながら、読む者を〈現在〉の強度へと誘いつづける。 2019年『する、されるユートピア』で中原中也賞、2023年『この世の喜びよ』で芥川賞に輝く、詩人・作家が放つ、言葉を読む原初的な快楽に溢れる最新短編集! [出版社より] 「この小説は迷うための地図。一文ずつ小さく折り畳まれたそれをひらけば、言葉を読むんじゃなくて、言葉に読まれているよう」 ――尾崎世界観[ミュージシャン・小説家] 著 者|井戸川射子 出版社|筑摩書房 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|160 ISBN|978-4-480-80523-2 発 行|2025年03月 Contents 移動そのもの 花瓶 市場 本汚し皿割り 軽薄 老いる彼女は家で 人々の大いなる口 通い路 旅は育ての親 Author 井戸川 射子 Iko Idogawa 1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。2019 年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。2021年に小説集『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞を、2023年に『この世の喜びよ』で第168回芥川龍之介賞を受賞。他の著作として、詩集に『遠景』、小説に『共に明るい』『無形』がある。
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曇りなく常に良く
¥1,980
SOLD OUT
私たちの声はよく似ているのでどれも混ざる、来年も私たちは五人でいるだろう――。 母の再婚で「姉」になったハルア、恋愛に打ち込みたいスポーツ少女ナノパ、鼻の低さがコンプレックスのダユカ、「空気の読めなさ」を自覚するシイシイ、家計のためバイトに明け暮れるウガトワ。 高校二年生の仲良し五人組。同じ時を過ごしていても、見据える景色が同じとは限らない。芥川賞作家が描く、澄みわたる青春群像劇。 [出版社より] 著 者|井戸川射子 出版社|中央公論新社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|160 ISBN|978-4-12-005899-8 発 行|2025年03月 Author 井戸川 射子 Iko Idogawa 1987年、兵庫県生まれ。作家、詩人。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。19年、同詩集にて第24回中原中也賞、21年、小説集『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞、22年『この世の喜びよ』で第168回芥川龍之介賞をそれぞれ受賞。
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[増補]お砂糖とスパイスと爆発的な何か——不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門
¥990
いつのまにか、「男子」の眼で観てない? ミス・マープルの本当のすごさや、文学史に輝く “キモくて金のないおっさん”を描いた名作、そして新時代のディズニーアニメの悪戦苦闘。あの名作が100倍面白くなり、見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、フェミニスト批評集がついに文庫化。 書き下ろし「どうもありがとう、パメラ・アンダーソン」を含む、型にはめない、はまらないものの見方を教えてくれる批評6本を増補してお届けします。 [出版社より] 著 者|北村紗衣 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判[並製] 頁 数|368 ISBN|978-4-480-44008-2 発 行|2025年02月 Contents まえがき 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 1 自分の欲望を知ろう さよなら、マギー ――内なるマーガレット・サッチャーと戦うために バーレスクってなんだろう? BL視点で読む『嵐が丘』 ――関係性のセクシーさを求めて 檻に入っているのは、犬じゃなくて私 ――ヴァージニア・ウルフ『フラッシュ』 女はなぜ悪い男にばかり引っかかるのか? ――『西の国のプレイボーイ』に見る良い男、悪い男 〈コラム〉初任給とヴァージニア・ウルフ 2 男らしさについて考えてみよう キモくて金のないおっさんの文学論 ――『二十日鼠と人間』と『ワーニャ伯父さん』 アメ車、男たちの絆、この惑星最後の美しき自由な魂 ――『バニシング・ポイント』 対等な女を怖がる男たち ――男の幻想に逆襲する喜劇『負けるが勝ち』 プリンセスは男のロマン! ――映画に出てくるお姫様と男たち ロマンティックな映画としての『ファイト・クラブ』 〈コラム〉発展を続けるバーレスク 3 ヒロインたちと出会おう シェイクスピア劇の魅惑のヒロイン、無限に変化する女王クレオパトラ 世紀末の悪女? 自己実現のため戦うヒロイン? ゲイのアイコン? ――オスカー・ワイルドの『サロメ』 べ、別にあんたのためにツンデレを分析してるわけじゃないんだからね! ――シェイクスピア『十二夜』を考える ディズニーに乗っ取られたシンデレラ ――民話の変貌をたどる 理想宮か、公共彫刻か? ――『アナと雪の女王』 〈コラム〉北米のシェイクスピア祭 4 わたしたちの歴史を知ろう 女の子がムラムラしてはいけないの? イギリス文学における女と性欲 「#女性映画が日本に来るとこうなる」の「女性映画」ってなに? ――変わりゆく女たちの映画 女性映画としてのトランスジェンダー女子映画 ――『タンジェリン』と『ナチュラルウーマン』 読書会に理屈っぽい男は邪魔? 女性の連帯を強める読書会の歴史を探る ミス・マープルは何でも知っている ――変わりゆくアガサ・クリスティの世界 〈コラム〉フェミニストの洋服えらび 5 ユートピアとディストピアについて考えよう 愛の理想世界における、ブス ――夢見るためのバズ・ラーマン論 隠れたるレズビアンと生殖 ――『わたしを離さないで』 父の世界からの解放 ――「フェミニスト的ユートピア」を描いた『バベットの晩餐会』 「女だけの街」を考える 女は自由な社会の邪魔者なの? ――ディストピアSFの性差別 〈コラム〉『ダウントン・アビー』と女性参政権運動 6 型にはめない、はまらない 『人魚姫』は何の話なのか? ――『リトル・マーメイド』の原作に戻る ビ ートルズが歌う「ボーイズ」はなぜ面白いか ――歌手のジェンダーと歌詞のジェンダーステレオタイプ ハリー・ポッターとイギリス文学における同性愛 ――『ハリー・ポッターと死の秘宝』精読 レズビアン死亡症候群、サイコレズビアン ――ステレオタイプなマイノリティ描写はなぜ問題? 発達障害と診断された私 ――ASDとADHDだとわかるまでに出会った本や映画について どうもありがとう、パメラ・アンダーソン 単行本版あとがき 批評家は探偵 文庫版あとがき お砂糖とスパイスの賞味期限 Author 北村 紗衣 Sae Kitamura 1983年生まれ。武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評。ウィキペディアンとしても活動する。著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』(白水社)、『批評の教室』(ちくま新書)、『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード』(文藝春秋)、『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』(書肆侃侃房)がある。
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平熱のまま、この世界に熱狂したい[増補新版]
¥968
注目の文芸評論家、エッセイストである著者が等身大の言葉で日常を鮮やかに描いた文章集。増補を加えて待望の文庫化。 アルコール依存症、離婚を経て、取り組んだ断酒。自分の弱さを無視して「何者か」になろうとするより、生活を見つめなおし、トルストイとフィッシュマンズなどに打ちのめされながらも、すでにあるものを感じ取るほうが人生を豊かにできると確信する。様々な文学作品を引きながら、日常の風景と感情の機微を鮮やかに言葉にする。新たに3篇を加え増補新版として文庫化。解説=山本貴光・吉川浩満。 [出版社より] 「真の意味で優しい人が書いた、読んでいるだけで気持ちがどんどん落ち着いていく本です」 ――吉本ばなな 著 者|宮崎智之 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|880円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|288 ISBN|978-4-480-43963-5 初 版|2024年06月 Contents 1章 僕は強くなれなかった 打算的な優しさと「〇を作る理論」 「何者か」になりたい夜を抱きしめて 僕は強くなれなかった ありのままの世界 平熱のまま、この世界に熱狂したい 2章 わからないことだらけの 世界で生きている 朝顔が恋しているのは誰? 不快だけど大切なことを教えてくれた作品 私はそうは思いません 35歳問題 わからないことだらけの世界で生きている 3章 弱き者たちのパレード 二瓶さんとの雅な蹴鞠 舌の根が乾かないおじさん ヤブさん、原始的で狂おしい残念な魅力 紳士は華麗にオナラする 肉と人と醜いアヒルの子 中田英寿に似た男 4章 弱くある贅沢 「細マッチョ」をめぐる冒険 クローゼットの中の時間 弱くある贅沢 僕の好きだった先輩 補章 川下への眼 一生懸命で寂しい人 八〇〇回目くらいの話 川下への眼 あとがき 文庫版あとがき 飄然と、弱い自分を語ることから始める 山本貴光 全身随筆家 吉川浩満 Author 宮崎 智之 Tomoyuki Miyazaki 1982年生まれ。東京都出身。文芸評論家、エッセイスト。明治大学文学部卒業。地域紙記者、編集プロダクションなどを経て、フリーライターに。人間観察、現代の常識・非常識、カルチャーなどについての執筆を得意とする。著作に『モヤモヤの日々』(晶文社)、『モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ』(幻冬舎)、『平熱のまま、この世界に熱狂したい』(幻冬舎)、『宮崎智之セレクト 中原中也名詩選』(アンソロジー、田畑書店)、『モヤモヤの日々』(晶文社)、共著に『吉田健一ふたたび』(冨山房インターナショナル)などがある。共著は「紀伊國屋じんぶん大賞2020」の14位に入選。文學界2023年9月号「特集 エッセイが読みたい」号に巻末を飾るエッセイ論を寄稿。
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経済の本質——自然から学ぶ
¥1,540
生態学(エコロジー)と経済学(エコノミクス)は、同じ問題を扱う「双子」だ。経済の成長は自然と反目するものでなく、二つは共通の法則に従う。それを自覚することで、人間は自然と調和しつつ経済を営むことができるのだ──。 市民生活から乖離していく都市計画や市場経済へ、批判の対象をひろげてきたジェイコブズ。人間のモラルを二体系にわけ相対する立場をどう調整できるか探った前著『市場の倫理 統治の倫理』から、本書は更に発展して、生物学的な視点を取り入れる。進化論や複雑系理論などの知見を引きつつ、共発展・協力・共生・相互依存など、経済と生態系に共通するメカニズムを探り出す。 解説=平尾昌宏。 [出版社より] 著 者|ジェイン・ジェイコブズ 訳 者|香西泰・植木直子 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-51289-5 発 行|2025年02月 Contents まえがき 第1章 なんと、またエコロジストだって 第2章 発展の本質 第3章 拡大の本質 第4章 活力自己再補給の本質 第5章 崩壊を避ける 第6章 適者生存の二重の法則 第7章 予測不可能性 第8章 アームブラスターの約束 エピローグ 文庫版解説 そろそろ本気でジェイコブズを 平尾昌宏 Author ジェイン・ジェイコブズ Jane Jacobs 1916 -2006年。ペンシルベニア州スクラントン生まれ。都市活動家、都市研究家、ジャーナリスト。邦訳されたものに『発展する地域 衰退する地域』『アメリカ大都市の生と死』『市場の倫理 統治の倫理』『壊れゆくアメリカ』がある。 Translator 香西 泰 Yutaka Kosai 1933-2018年。経済企画庁経済研究所総括主任研究官、東京工業大学教授、日本経済研究センター会長、内閣府経済社会総合研究所所長、政府税制調査会会長などを歴任。著書に『高度成長の時代』『日本経済展望』(共著)など、訳書に『市場の倫理 統治の倫理』(ジェイン・ジェイコブズ著)などがある。 植木 直子 Naoko Ueki 明治学院大学英文科卒。日本経済研究センターにて、研究開発部長、総務部総務・広報担当部長などを歴任。
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アーベド・サラーマの人生のある一日——パレスチナの物語
¥2,640
2024年ピューリッツァー賞受賞作/『ニューヨーカー』『タイム』『エコノミスト』他15誌の年間ベストブック。ヨルダン川西岸地区で園児たちの乗ったバスが燃えた。アーベドは息子を探して奔走する。占領とは何かを問う悲劇のノンフィクション。 ー 「お前らはあの子たちを殺した!」 2012年ヨルダン川西岸地区で、園児たちを乗せた遠足バスがセミトレーラーと衝突した。壁、検問所、無関心に阻まれる救助活動。ある事故の一日を軸に、さまざまな人生、愛、敵意、暴力と歴史が交錯する。 [出版社より] 「イスラエルの占領下にあるパレスチナの痛ましい日常生活を、これまで読んだどの本よりもよく捉えている。傑出した作品であり、必読である」 ――ユージン・ローガン(『オスマン帝国の崩壊』『アラブ500年史』著者) 「イスラエルとパレスチナについて、これほど深い認識と理解に達した著作を、わたしは他に知らない」 ――ダニエル・シュルマン(『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』) 「アーベドの一日にイスラエルの占領支配の歴史を凝縮している。多くを教えられた」 ――高橋和夫(国際政治・中東研究) 「胸をえぐるような文章と、たぐいまれな政治的洞察を併せ持つ」 ――ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者) 著 者|ネイサン・スロール 訳 者|宇丹貴代実 出版社|筑摩書房 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-480-83729-5 発 行|2025年01月 Contents 登場人物 プロローグ 第一章 三つの結婚式 第二章 ふたつの火 第三章 多数傷病者事故 第四章 壁 第五章 三つの葬式 エピローグ 謝辞 訳者あとがき 出典 用語索引 地名索引 Author ネイサン・スロール Nathan Thrall アメリカ・カリフォルニア州生まれ、エルサレム在住のジャーナリスト。『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』、『ガーディアン』などに寄稿。世界の紛争予防のための調査・政策提言をおこなう非政府組織「国際危機グループ」に10年間在籍し、アラブ・イスラエルプロジェクトのディレクターも務めた。「この地域の紛争について最も情報に精通し、最も鋭い観察者の一人」(『フィナンシャル・タイムズ』)と評されている。著書にThe Only Language They Understand: Forcing Compromise in Israel and Palestineがある。 Translator 宇丹 貴代実 Kiyomi Utan 翻訳家。訳書に、モス『鳥が人類を変えた』、アドリントン『アウシュヴィッツのお針子』、デイ『わが家をめざして』、ミッチェル『今日のわたしは、だれ?』など多数。
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パレスチナ詩集
¥1,540
パレスチナに生まれ、入獄と亡命を生きた大詩人。 惨事と野蛮に抗して、詩は可能か。 「世界の果てに辿り着いたとき、われらはどこへ行けばよいのか。/最後の空が終わったとき、鳥はどこで飛べばよいのか。」 詩を喪失したとき、敗北した国はさらに敗北する。ホメロスに始まる西洋文学がつねに勝者の側から語られてきたとするならば、今こそ敗者の声を詩に結実させなければならない。本書はパレスチナの亡命詩人の、生涯を懸けた絶唱である。 [出版社より] 著 者|マフムード・ダルウィーシュ 訳 者|四方田犬彦 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|208 ISBN|978-4-480-43953-6 発 行|2024年07月 Author マフムード・ダルウィーシュ Mahmoud Darwish 1941-2008。パレスチナに生まれ、イスラエル建国後は入獄と亡命の生を生きる。アラブ現代詩におけるもっとも重要な詩人の一人。ベイルートにてPLOに参加するが、オスロ合意に疑念を抱き、自治政府の組閣に参加せず。1969年にロータス賞を、83年にレーニン平和賞を受ける。サイードの著作に霊感を与え、ゴダール映画に出演する。 Translator 四方田 犬彦 Inuhiko Yomota 1953年生まれ。批評家・エッセイスト・詩人。著作に『見ることの塩』(河出文庫)、翻訳に『パゾリーニ詩集』(みすず書房)がある。
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アフリカ哲学全史
¥1,430
人類の起源以来、最長の歴史をもつ大陸の哲学。 これまでの哲学を相対化する、未踏の思考の沃野へ。 サハラ以南のアフリカ、カリブ海諸国の哲学と欧米でのアフリカ人の哲学を解説する日本初の入門書。従来の哲学を相対化し、複数世界に共通する思考を解明する。 ー アフリカ哲学は、北アフリカのイスラム文化に基づく哲学、サハラ以南地域の哲学、アフリカ大陸の外で発展したアフリカーナ哲学に分けられ、アフリカーナ哲学はカリブ海の島々で発展した哲学も含む。本書は日本初のアフリカ哲学の入門書として、サハラ以南のアフリカ、カリブ海諸国で展開された哲学、アフリカ大陸での哲学に影響を及ぼしたアメリカやヨーロッパでのアフリカ人の哲学を解説。これまでの哲学を相対化し、複数の世界に共通する人間の思考のあり方を解明する試み。 [出版社より] 著 者|河野哲也 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|1,300円+税 判 型|新書判 頁 数|480 ISBN|978-4-480-07636-6 発 行|2024年07月 Contents 序 章 アフリカ哲学への誘い I 歴史篇――アフリカ哲学全史 第1章 古代からキリスト教哲学へ 第2章 前植民地期から反植民地闘争へ 第3章 西洋の植民地主義と人種主義の哲学 第4章 反植民地主義闘争と汎アフリカ主義の哲学 第5章 汎アフリカ会議からハーレム・ルネサンスへ――哲学としての音楽 第6章 ネグリチュード運動 第7章 ファノンとカブラル II テーマ篇――現代哲学への視角 第8章 エスノフィロソフィーとその批判 第9章 アパルトヘイトの超克――ガンディーとファノンからビコとマンデラへ 第10章 赦しとウブントゥ 第11章 現代哲学における重要な哲学者 第12章 世界に問いかけるアフリカ哲学 おわりに 人名索引 Author 河野 哲也 Tetsuya Kono 1963年生まれ。立教大学文学部教育学科教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程哲学専攻修了。博士(哲学)。著書『問う方法・考える方法』(ちくまプリマー新書)、『道徳を問いなおす』(ちくま新書)、『世界哲学史8』(共著、ちくま新書)、『暴走する脳科学』(光文社新書)など。
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暗闇のなかの希望 増補改訂版
¥1,100
2003年、イラク戦争が始まった時期に、「希望を擁護する」ために本書は書かれた。あの時代は過ぎ去ったが、あらたな戦争が生じ、破壊的な気候変動が到来している。絶望と冷笑主義が残りつづける現代に、希望をもつことはいかに可能なのか。解説=小川公代。 「希望は光を浴びた舞台の真ん中ではなく、周縁の暗がりにある」(本文より) [出版社より] 著 者|レベッカ・ソルニット 訳 者|井上利男・東辻賢治郎 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|1,000円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-43827-0 発 行|2023年04月 Contents 日本のみなさんへ 第三版への序文(二〇一五年) 希望が拠って立つもの 1 暗闇を覗きこむ 2 私たちが敗北したとき 3 私たちが勝ち取ったもの 4 偽りの希望と安易な絶望 5 影の歴史 6 千年紀の到来 ―― 一九八九年一一月九日 7 千年紀の到来 ―― 一九九四年一月一日 8 千年紀の到来 ―― 一九九九年一一月三〇日 9 千年紀の到来 ―― 二〇〇一年九月一一日 10 千年紀の到来 ―― 二〇〇三年二月一五日 11 変革のための想像力を変革する 12 直接行動の間接性について 13 もうひとつの歴史の天使 14 カリブーのためのバイアグラ 15 楽園からの脱出 16 大いなる分断を越えて 17 イデオロギーの後に ―― あるいは時間の変容 18 グローバルなローカル ―― あるいは場所の変容 19 テキサスの三倍大きな夢 216 20 疑い 21 世界の中心への旅 振り返る平凡な人びとの非凡な偉業(二〇〇九年) すべてがばらばらになり、すべてがまとまりつつある(二〇一四年) あとがき後ろ向きに、前向きに 謝辞 巻末注記 訳者あとがき 東辻賢治郎 解説 ネガティヴ・ケイパビリティのなかの希望 小川公代 Author レベッカ・ソルニット Rebecca Solnit 1961年生まれ。作家、歴史家、アクティヴィスト。カリフォルニアに育ち、環境問題・人権・反戦などの政治運動に参加。アカデミズムに属さず、多岐にわたるテーマで執筆をつづける。主な著書に、『ウォークス歩くことの精神史』(左右社)、『オーウェルの?K薇』(岩波書店)がある。 Translator 井上 利男 Toshio Inoue 1944-2019年。翻訳家。奄美で石油基地反対運動に参加後、福島第一原発事故に遭遇。 東辻 賢治郎 Kenjiro Totsuji 1978年生まれ。翻訳家、文筆家。関心領域は近代の技術史、建築史、紀行、地図制作。
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本は眺めたり触ったりが楽しい
¥880
積みあげたり、適当に開いたり、声に出して読んだり、ただ手にとって眺めたり……。本の読み方に決まりはない、自由にやろう! 本が好きな人は、みんな、いろんなふうに読んでいる。読まずに読む方法を知る人だっている。こころが軽くなり、読書が楽しくなって、もっと本を読みたくなる名著『眺めたり触ったり』が題名をすこし変えて、待望の文庫化。楽しい絵も満載! 「文庫版への追記」もあり。 [出版社より] 著 者|青山南 絵 |阿部真理子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|800円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|240 ISBN|978-4-480-43932-1 発 行|2024年02月 Author 青山南 Minami Aoyama 1949年、福島県生まれ。翻訳家、エッセイスト。早稲田大学卒業。著書に『小説はゴシップが楽しい』(晶文社)、『60歳からの外国語修行』(岩波新書)、『ピーターとペーターの狭間で』(ちくま文庫)、『南の話』(毎日新聞出版)、『短編小説のアメリカ52講』(平凡社ライブラリー)ほか。訳書にカルヴィン・トムキンズ『優雅な生活が最高の復讐である』(田畑書店)、ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』(河出文庫)、阿部真理子のイラスト満載のアメリカ現代短編傑作選『世界は何回も消滅する』(筑摩書房)ほかがある。 Illustrator 阿部 真理子 Mariko Abe 1959年、福島県生まれ。イラストレーター。大阪芸術大学デザイン学科卒業。絵本に『ボクがこんなにふとった理由』(こぐま社)、『むしゃむしゃマンモス』(講談社)、青山南との共作で『あんなかいぶつみたことない』(BL出版)がある。2010年没。
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本は読めないものだから心配するな
¥990
本を読む。忘れる。それは当たり前。内容を覚えてなくても、「読めた」と言えなくても、心配しなくていい。よろこびをもって前に進もう。本書は読書をめぐる思索の書であり、古今東西あらゆる本をめぐるブックガイドであり、世界中の土地や文化について学ぶ手引きである。読めば、心のお天気が変わる。また本を読みたくなる。読む人に勇気を与える「読書の実用論」。解説=柴崎友香。 [出版社より] 著 者|管啓次郎 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-480-43766-2 発 行|2021年09月 Author 管 啓次郎 Keijiro Suga 1958年生まれ。詩人、比較文学者。明治大学大学院ディジタルコンテンツ系教授。著書に『オムニフォン』、『本は読めないものだから心配するな』、『斜線の旅』(読売文学賞受賞)、『Agend’Ars アジャンダルス』など、訳書にリオタール『こどもたちに語るポストモダン』などがある。
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メメントラブドール
¥1,540
第40回太宰治賞受賞作&第46回野間文芸新人賞候補作。 私には幾つか顔がある。裏アカ男子、男の娘キャスト、院卒若手正社員――ペルソナたちがハレーションする新宿区在住20代♂の令和五年。第40回太宰治賞受賞。 ー なにもかも守れていないから私のところに来るんじゃないの。 「私」にはいくつか顔がある。マッチングアプリでノンケの男を釣って喰っては「たいちょー」として行為シーンを裏アカに上げ、平日昼間はSIer企業の院卒若手正社員「忠岡」として労働しながら、新宿区住まいの家賃のために「うたちょ」の姿で男の娘コンカフェのキャストとして立つ元“高専の姫”ポジション――ペルソナたちがハレーションする、どうしようもない人間のどうしようもない梅雨明けまでの一ヶ月。 [出版社より] 「形のない「私」を言葉で照らし出す著者の狂いのなさに、読む者は狂い出しそうになるだろう。事件は起こらない。しかしこの小説の誕生は事件だ」 ――金原ひとみ 著 者|市街地ギャオ 出版社|筑摩書房 定 価|1,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|144 ISBN|978-4-480-80521-8 発 行|2024年10月 Author 市街地 ギャオ Gyao Shigaichi 1993年、大阪府生まれ。大阪府在住。2024年、「メメントラブドール」で第40回太宰治賞受賞。
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孤独への道は愛で敷き詰められている
¥1,760
SOLD OUT
闇雲な愛が孤独を暴走させ、人生の迷路が深まっていく。 アラフォーの柳田譲の前に現れた三人の女との出会いと別れ。愛を求め、また与えようとして却って孤独へと突き進んでしまう魂の悲哀を描く太宰治賞受賞後第一作。 ー 「二年半付き合った方とはどうして別れたんですか? 結婚は考えなかったんですか?」 青春なんて私にはなかった。人が当たり前にできることが何ひとつできなくて、いくつもの後悔を重ねるだけだった。ずっと何かに抑え込まれているみたいに、人の目ばかりを気にして生きていた。そんな自分を解放してくれたのが夕子さんだった。こわばった心をほぐしてくれ、自分に生きる楽しさを教えてくれた唯一人の人。そんな大切な人を、自分は手放した。(本書より) [出版社より] 「隠しておきたい心の部分を、苦しいって叫びながら、でも書くしかなかった。そんな物語だった」 ――高瀬隼子(小説家) 著 者|西村亨 出版社|筑摩書房 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|160 ISBN|978-4-480-80520-1 発 行|2024年08月 Author 西村 亨 Ryo Nishimura 1977年鹿児島県生まれ。東京都在住。鹿児島県立鹿児島水産高等学校卒業。2023年、「自分以外全員他人」で第39回太宰治賞受賞。同年、南日本文化賞奨励賞を受賞。
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神戸——戦災と震災
¥1,320
震災から30年、空襲から80年。 危機からの復興を軸に、明治期から現代までを描く。貴重な図版を多数収録した、都市史の決定版。 1868年の神戸港開港後、1889年の市制施行で「神戸市」が成立する。以降、神戸というまちは、1938年の阪神大水害、1945年の神戸大空襲、1995年の阪神・淡路大震災と、災害や戦争の影響を大きく受けながら発展していく。本書は、こうした危機からの復興を軸に、明治期から現代までの都市史を描く。貴重な図版を多数収録した、神戸都市史の決定版である。 [出版社より] 著 者|村上しほり 出版社|筑摩書房[ちくま新書] 定 価|1,200円+税 判 型|新書判 頁 数|376 ISBN|978-4-480-07661-8 発 行|2024年12月 Contents はじめに 神戸というまちの魅力 第1部 近代 第1章 開港による都市形成 1 兵庫県の成り立ちと旧五国 旧五国と神戸(摂津) 2 神戸開港の前史――兵庫津のはじまり 近世の兵庫津 3 近世から近代へ――神戸港の開港 神戸港の誕生 4 開港に伴う都市形成 神戸外国人居留地の造成/神戸外国人居留地計画図/居留地の下水道布設とコレラの流行/雑居地の形成 5 神戸市域の成立と拡張 第2章 近代都市計画と水害の克服 1 地形とのつきあい方――河川改修の必要性 生田川の付け替えとフラワーロード/湊川の付け替えと新開地本通り 2 近代都市計画事業によるまちづくり・みちづくり 旧都市計画法による神戸の都市計画/神戸における鉄道敷設と街路事業/土地区画整理事業のはじまり 3 阪神大水害による被害と復興 阪神大水害と河川流域の被害/阪神大水害からの復旧・復興/湊川流域の氾濫と痕跡/戦後の水害と都市小河川改修事業の創設 第2部 1945~1995 第3章 戦時下神戸の市民生活と被災 1 防空啓発と市民の防空活動 開戦と言論統制下の地方紙/『神戸市公報』から『神戸市民時報』へ/『神戸市民時報』にみる防空のプロパガンダ 2 配給の滞りと食糧増産・農園化奨励 『神戸市民時報』にみる空閑地利用菜園/公有地の無断使用への注意/戦時下の戦災跡地利用と土地所有者の「協力」/戦後も続いた戦災跡地農園の終わり 3 戦争末期の都市疎開と神戸大空襲 都市疎開のはじまり/神戸市内の建物疎開事業/神戸大空襲の被害状況 第4章 闇市の発生と展開 1 走り出したそれぞれの「復興」 戦後の住宅難と都会地転入抑制/戦時下・戦後の移動と帰れない人びと/不作と配給統制の混迷による闇取引の発生 2 焼け跡の神戸に生まれた闇市 神戸の闇市と戦前三宮の場所性/大闇市「三宮自由市場」の生成と変容/神戸の闇市における経験 3 闇市からマーケット、商店街へ 中心市街地に定着した新興商業集積/拠りどころとしての戦時下の経験/鉄道高架下の商店街と料飲規制/元町高架通商店街の存続と業種 第5章 占領による場所性の喪失と発生 1 広域な連合国軍の駐留 占領のはじまりと神戸ベースの位置づけ/接収された土地・建物/〝KOBE〟の圏域と行政区域とのずれ 2 「接収」による生活環境の収奪 二つのキャンプの設置と経緯/キャンプ地返還と接収解除地整備事業/「接収」による場所性の変化と記録のつなぎ方/「進駐軍」と市民生活 3 旧神戸経済大学の接収と「六甲ハイツ」 占領軍家族住宅「六甲ハイツ」の立地選定/六甲ハイツの施設配置と建築の特徴/六甲ハイツの接収解除と神戸大学の統合 第6章 終わらない戦災復興事業 1 神戸市における復興構想と都市計画 描かれた都市空間の理想と現実/神戸市戦災復興基本計画の策定過程/戦災復興事業の見直しによる縮小/神戸市の戦災復興施策の特徴 2 戦災復興事業から都市改造事業へ 神戸国際港都建設法ができるまで/戦災復興事業の収束と土地区画整理の展開 第7章 伸びゆく神戸市の都市整備 1 都市改造事業の生みだした風景 戦災復興から都市改造へ/戦後神戸の都心形成/不燃防災建築物の建設促進/街路整備から「花と緑と彫刻」へ 2 「山、海へ行く」の都市開発 神戸港の築港から海面埋立てへ/山麓開発による団地造成/海上文化都市の誕生と「ポートピア´81」 第3部 1995~2025 第8章 阪神・淡路大震災と「復興」 1 震災の被害と復興 阪神・淡路大震災の被害/応急仮設住宅の設置/人びとの暮らしと復興 2 震災前後の連続/断絶 震災前の都市再開発/インナーシティエリアと震災/引き継がれた都市整備/震災復興再開発事業による復興 3 震災の記憶・記録 震災の記憶を伝える活動/触れづらい経験と時の経過/公共空間に託された出来事の記念/記録の役割と高まる存在感 第9章 新たな「神戸」へ 1 まちの更新と魅力向上 都心・三宮の再整備/暮らしの場を刷新し、守る 2 自然とともにある人間らしいまち 震災20年と「BE KOBE」/ニュータウンの再整備/海、山とともに生きる 3 「神戸」の記録をつなぐ取り組み 神戸市の収集する「資料」/後世に残すべき公文書の整理・保存/神戸市文書館から歴史公文書館へ おわりに 「神戸」を語るのは誰か 参考文献 図版出典 年表 索引 Author 村上 しほり Shihori Murakami 1987年生まれ、神戸育ち。神戸市役所職員(公文書専門職)。大阪公立大学特任准教授。2014年、神戸大学大学院人間発達環境学研究科修了、博士(学術)。専門は都市史・建築史。著書の『神戸 闇市からの復興』(慶應義塾大学出版会、2018)は日本都市計画学会、日本観光研究学会、日本建築学会で各賞を受賞。共著に『占領下日本の地方都市』(思文閣出版、2021)、『神戸スタディーズ#6 “KOBE”を語る』(デザイン・クリエイティブセンター神戸、2018)など。
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神戸、書いてどうなるのか
¥968
食堂、酒場、喫茶店、銭湯、本、レコード、散歩……108のエッセイで語る、神戸の暮らしと記憶。装画=坂本慎太郎、解説=tofubeats。 神戸。海と山に挟まれたその街には、食堂、酒場、喫茶店、レコード店、書店、映画館、商店街、銭湯など人々に愛される場所があり、その街についての素晴らしい本や歌があり、著者の大切な思い出がある。108のエッセイで語る、ひとつの街の暮らしと記憶。「私が愛した神戸の多くのものは姿を消したけれど、神戸が面白くなくなったとは言わない」。写真・イラストマップも収録。 [出版社より] 著 者|安田謙一 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|880円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|288 ISBN|978-4-480-43966-6 発 行|2024年06月 Contents 第一章 食べたり?んだり、神戸 第二章 ぶらぶら歩く、神戸 第三章 神戸を読む、観る、聴く、買う 第四章 神戸の記憶 第五章 神戸育ちのてぃーんずぶるーす 暴力戦士 西東三鬼――単行本版あとがきにかえて 神戸、そして――文庫版あとがきにかえて 解説 「神戸、書いてどうなるのか」について書いてどうなるのか tofubeats 写真/永田収 イラスト/山内庸資 カバーイラスト/坂本慎太郎 デザイン/中村道高(tetome) Author 安田 謙一 Kenichi Yasuda 1962年神戸生まれ、神戸在住の「ロック漫筆家」。ポップカルチャーを中心に様々な媒体で執筆を行うほか、CD監修、ラジオDJなど多岐にわたって活動する。著書に『ピントがボケる音』(国書刊行会)、『なんとかと なんとかがいた なんとかズ』(プレスポップ)、『ライブ漫筆』(誠光社)があり、市川誠との共著に『すべてのレコジャケはバナナにあこがれる。』(太田出版)、辻井タカヒロとの共著に『ロックンロールストーブリーグ』(音楽出版社)、『書をステディー町へレディゴー』(誠光社)がある。
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百年と一日
¥792
SOLD OUT
映画館、喫茶店、地下街の噴水広場、島、空港……様々な場所の人間と時間の不思議を描き話題となった新感覚の物語集。一篇を増補。解説=深緑野分。 [出版社より] 著 者|柴崎友香 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|720円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|240 ISBN|978-4-480-43943-7 発 行|2024年03月 Author 柴崎 友香 Tomoka Shibasaki 1973年大阪生まれ。2000年に初の単行本『きょうのできごと』を上梓(03年に映画化)。07年に『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、10年に『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(18年に映画化)、14年に『春の庭』で芥川賞を受賞。他の小説作品に『続きと始まり』『待ち遠しい』『千の扉』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『虹色と幸運』『ビリジアン』、エッセイに『大阪』(岸政彦との共著)『よう知らんけど日記』などがある。
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反解釈
¥1,760
「批評の機能は、作品がいかにしてそのものであるかを、いや作品がまさにそのものであることを、明らかにすることであって、作品が何を意味しているかを示すことではない」 《解釈》を偏重する在来の批評に対し、《形式》を感受する官能美学の必要性をとき、理性や合理主義に対する感性の復権を唱えたマニフェスト。 [出版社より] 著 者|スーザン・ソンタグ 訳 者|高橋康也 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,600円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|512 ISBN|978-4-480-08252-7 発 行|1996年03月 Contents 反解釈 様式について 模範的苦悩者としての芸術家 シモーヌ・ヴェーユ カミュの『ノートブック』 ミシェル・レリスの『成熟の年齢』 英雄としての文化人類学者 ジェルジ・ルカーチの文学論 サルトルの『聖ジュネ』 ナタリー・サロートと小説 ほか Author スーザン・ソンタグ Susan Sontag 1933年生まれ。現在アメリカで最もよく知られ賞賛されている作家・批評家の一人。さらに四つの長編映画の脚本執筆と監督をし、アメリカとヨーロッパにおいて劇の演出も手がけているが、その中には、包囲されたサラエヴォで上演されたベケットの『ゴドーを待ちながら』の演出も含まれる。2001年に「イェルサレム賞」を受賞。2004年死去。
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見るということ
¥1,540
SOLD OUT
すべての芸術は生の文脈とのかかわりを持つ——。 写真が発明されて以来、人間はさらに多くの膨大なイメージに取り囲まれてきた。そこでは、「見る」という行為が人間にとって不可避な事態として浮かび上がってくる。それは自らの生の経験の蓄積を、歴史・社会・文化と構造的に対峙させることでもあった。 ザンダー、ベーコン、マグリットらの作品を通して「見るということ」の地平から、人間の本性と文明にまで肉迫する。強い影響力を持つ新たな美術批評の形を模索していった著者による、写真を学ぶ人、美術を語る人、必携の美術評論集。 [出版社より] 著 者|ジョン・バージャー 監 修|飯沢耕太郎 訳 者|笠原美智子 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|288 ISBN|978-4-480-08930-4 発 行|2005年08月 Contents なぜ動物を観るのか? なぜ動物を観るのか? ―—ジル・エローに捧ぐ 写真を使う スーツと写真 苦悩の写真 ポール・ストランド ほか 生きられた瞬間 素朴派と専門家 ミレーと農夫 シーカー・アーメットと森 ほか Author ジョン・バージャー John Berger 1926年、ロンドン生まれ。美術批評家、脚本家、小説家、ドキュメンタリー作家。美術教師などを経て著述業に入る。著書に『見るということ』(ちくま学芸文庫)『革命と芸術』『ピカソ/その成功と失敗』などの評論の他、多数の小説・脚本がある。
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図説 写真小史
¥1,320
芸術から「いま―ここ」という一回性の「アウラ」が消滅する複製技術の時代にあって、写真はどのような可能性をはらみ、どのような使命を課せられなければならなかったのか? 写真史を考えるとき、だれもが必ず引用する基本文献―ヴァルター・ベンヤミンの「写真小史」。初期写真から1930年代の作品までを通観したこの傑作エッセイに、そこで言及されているブロースフェルト、アジェ、ザンダーらの写真多数と、関連論文を加えて再編集。20世紀最高の批評家による写真論が目で見てわかる実証的な一冊。 [出版社より] 著 者|ヴァルター・ベンヤミン 訳 者|久保哲司 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,200円+税 判 型|文庫判 頁 数|288 ISBN|978-4-480-08419-4 初 版|1998年04月 Contents 写真小史(ヴァルター・ベンヤミン) カール・ブロースフェルト『芸術の原形』への序(カール・ニーレンドルフ) ウジェーヌ・アジェ『写真集』への序(カミーユ・レヒト) 顔、映像、それらの真実について(アルフレート・デーブリーン) Author ヴァルター・ベンヤミン Walter Benjamin 1892(Berlin)~1940年(PortBou)。20世紀ドイツの最も異彩を放つ思想家・批評家。きわめて緻密で繊細な文体をもつ卓越した文章家。青年運動の只中で思想形成期を迎え、ユダヤ神秘主義、観念論的弁証法、マルクス主義的歴史哲学等の影響を受ける。激動の時代状況とアクチュアルにまたラディカルに切り結びながら、同時に近代もしくはモデルネの原史(Urgeschichte)を見据え続けた。亡命行の途上でみずから命を絶った。
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イメージ——視覚とメディア
¥1,540
イメージが氾濫する時代において、「ものを見る」とはどのような意味をもつのだろうか。今日もなお視覚論の中核でありつづけるこのテーマに、様々な角度から新たな問題提起をしたのが本書である。 メディアとしての油彩画のありよう、裸体の持つ意味と“富=所有”の関係、美術館の成立経緯、古典的絵画から現代のコマーシャル・フォトへとつながる系譜とは?美術史上の名画や巷に流布する広告など、多種多様なイメージ群を提示しつつ、それらを等価に論じ、「見ること」そのものの再検討を迫ったロングセラー。 [出版社より] 著 者|ジョン・バージャー 訳 者|伊藤俊治 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-09503-9 発 行|2013年01月 Contents 1 イメージの変容 2 社会空間になったイメージ 3 「見ること」と「見られること」 4 見られる女たち 取り囲む女たち 5 所有するタブロー 6 「見ること」のなかの「所有すること」 7 広告の宇宙 見ることのトポロジー(伊藤俊治) Author ジョン・バージャー John Berger 1926年、ロンドン生まれ。美術批評家、脚本家、小説家、ドキュメンタリー作家。美術教師などを経て著述業に入る。著書に『見るということ』(ちくま学芸文庫)『革命と芸術』『ピカソ/その成功と失敗』などの評論の他、多数の小説・脚本がある。 Translator 伊藤 俊治 Toshiharu Ito 1953年生まれ。美術史家/美術評論家。現在、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授。著書に『ジオラマ論』『20世紀写真史』など多数ある。
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82年生まれ、キム・ジヨン
¥748
SOLD OUT
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作。韓国で100万部突破。異例の大ベストセラー小説、待望の文庫化。解説=伊東順子、文庫版解説=ウンユ。 [出版社より] 著 者|チョ・ナムジュ 訳 者|斎藤真理子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|680円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-480-43858-4 発 行|2023年02月 Contents 二〇一五年秋 一九八二年 - 一九九四年 一九九五年 - 二〇〇〇年 二〇〇一年 - 二〇一一年 二〇一二年 - 二〇一五年 二〇一六年 評論『82年生まれ、キム・ジヨン』以後に女性が語り、書くということ(ウンユ) Author チョ・ナムジュ 1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。『ソヨンドン物語』(古川綾子訳、筑摩書房)が近刊予定。 Translator 斎藤 真理子 Mariko Saito 翻訳家。訳書にパク・ミンギュの『カステラ』(共訳、クレイン)、『ピンポン』(白水社)、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)、ファン・ジョンウン『誰でもない』(晶文社)など精力的に韓国現代文学を翻訳している。『カステラ』で第一回日本翻訳大賞を受賞。
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私たちが記したもの
¥1,760
大ベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者が、女性たちの今を描く。10代の初恋、子育ての悩み、80歳前後の姉妹の老境まで、全世代を応援する短編集。 [出版社より] 著 者|チョ・ナムジュ 訳 者|小山内園子・すんみ 出版社|筑摩書房 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|272 ISBN|978-4-480-83219-1 初 版|2023年02月 Author チョ・ナムジュ 1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。『ソヨンドン物語』(古川綾子訳、筑摩書房)が近刊予定。 Translator 小山内 園子 Sonoko Osanai 1969年生まれ。東北大学教育学部卒業。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学などで韓国語を学ぶ。 訳書に、『破果』(ク・ビョンモ、岩波書店)、『大仏ホテルの幽霊』(カン・ファギル、白水社)、『女の答えはピッチにある――女子サッカーが私に教えてくれたこと』(キム・ホンビ、白水社)など。すんみとの共訳書に、『私たちにはことばが必要だ』(イ・ミンギョン、タバブックス)、『彼女の名前は』、『私たちが記したもの』(チョ・ナムジュ、筑摩書房)などがある。 すんみ
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戦後空間史——都市・建築・人間
¥1,980
冷戦、高度経済成長、持家社会、革新自治体、バブル経済、アジア戦後賠償、農地の宅地化、東日本大震災……。終戦から二一世紀の現在まで、戦後の日本の都市・近郊空間はさまざまな出来事を経験し、大きく変容してきた。本書では、その戦後のあゆみを建築や都市の研究者が、社会や世界情勢、歴史的事件を含めて多角的に検討する。変質しながらも生き続ける戦後を思考する画期的試み。 [出版社より] 編 者|戦後空間研究会 出版社|筑摩書房[筑摩選書] 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|320 ISBN|978-4-480-01769-7 初 版|2023年03月 Contents 第1章 民衆・伝統・運動体―冷戦と復興、文学と建築、リアリズムとモダニズム 第2章 技術・政策・産業化―一九六〇年代、住宅の現実と可能性 第3章 革新・市民・広場―人間性の回復を目指した革新都市づくりのレガシー 第4章 バブル・震災・オウム真理教―二〇世紀末、流動する戦後空間と建築 第5章 賠償・援助・振興―戦後アジアにおける日本建築の広がり、およびそれを後押ししたもの 第6章 都心・農地・経済―土地にみる戦後空間の果て 終章 引き裂かれる戦後空間 Editor 戦後空間研究会 青井哲人 明治大学教授。著書に『植民地神社と帝国日本』(吉川弘文館)など。/市川紘司 東北大学助教。著書に『天安門広場』(筑摩書房)など。/内田祥士 東洋大学教授。建築家。著書に『営繕論』(NTT出版)など。/中島直人 東京大学准教授。著書に『アーバニスト』(ちくま新書)など。/中谷礼仁 早稲田大学教授。著書に『動く大地、住まいのかたち』(岩波書店)など。/日埜直彦 建築家。著書に『日本近現代建築の歴史』(講談社選書メチエ)など。/松田法子 京都府立大学准教授。著書に『絵はがきの別府』(左右社)など。