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雌犬
¥2,640
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これはわたしの犬《むすめ》。 もし何かしたら、殺してやる。 この世から忘れ去られた海辺の寒村。子どもをあきらめたひとりの女が、もらい受けた一匹の雌犬を娘の代わりに溺愛することから、奇妙で濃密な愛憎劇《トロピカル・ゴシック》が幕を開ける……。 人間と自然の愛と暴力を無駄のない文体で容赦なく描き切り、世界15か国以上で翻訳され物議をかもしたスペイン語圏屈指の実力派作家による問題作が、ついに邦訳。 ☆2018年コロンビア・ビブリオテカ小説賞受賞 ☆2019年英国PEN翻訳賞受賞 ☆2020年全米図書賞翻訳部門最終候補 ☆RT Features制作による映画化決定! [出版社より] 「全篇に乾いた〈距離〉が満ちる。人が愛に渇いて、世界中が愛の雨を枯渇させて、乾いて。物語はまさに〈断崖〉の上に立つ」 ーー古川日出男 「『雌犬』は、真の暴力を描いた小説だ。作者キンタナは、私たちが知らないうちに負っていた傷口を暴き、その美しさを示して、それからそこに一握りの塩を擦り込んでくる」 ――ユリ・エレーラ 著 者|ピラール・キンタナ 訳 者|村岡直子 出版社|国書刊行会 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|176 ISBN|978-4-336-07317-4 初 版|2022年04月 Author ピラール・キンタナ Pliar Quintana 1972年コロンビア・カリ生まれ。教皇庁立ハベリアナ大学卒業後、2003年に長編『舌のこそばゆさ』でデビュー。国内外で文学的力量が高く評価され、2007年にはヘイ・フェスティバルの「39歳以下の傑出したラテンアメリカ作家39人」の一人に選出。代表作『雌犬』は、世界15か国語以上に翻訳され、2018年コロンビア・ビブリオテカ小説賞、2019年英国PEN翻訳賞を受賞、2020年には全米図書賞翻訳部門最終候補にノミネートされた。 その他の作品に、長編『珍奇な埃の蒐集家たち』(2007、ラ・マル・デ・レトラス小説賞受賞)、『イグアナの陰謀』(2009)、短編集『赤ずきんはオオカミを食べる』(2012)がある。最新長編『深淵』(2021)で、スペイン語圏最高の文学賞の一つであるアルファグアラ賞を受賞。暗く複雑な人間の側面を、簡潔かつ濃密に描くスタイルを特徴とし、現在、世界的に大きな注目を集める実力派作家である。 村岡直子 Naoko Muraoka スペイン語翻訳者、(有)イスパニカ翻訳講座講師、校正者。兵庫県出身、同志社大学文学部卒業。グラナダ大学セントロ・デ・レングアス・モデルナス留学。訳書にマイク・ライトウッド『ぼくを燃やす炎』(サウザンブックス)、フェデリコ・アシャット『ラスト・ウェイ・アウト』(早川書房)、トニ・ヒル『ガラスの虎たち』(小学館)、共訳書にペドロ・バーニョス『地政学の思考法』(講談社)、マリア・ピラール・ケラルト・デル・イエロ『ヴィジュアル版スペイン王家の歴史』(原書房、青砥直子名義)などがある。
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愚か者同盟
¥4,180
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1960年代。さまざまな人種と階層の人間が行き交う混沌の街、ニューオーリンズ。 無職、肥満、哲学狂、傍若無人な怠け者にして、口達者なひねくれ者の30歳崖っぷち問題児イグネイシャスは、子煩悩な母アイリーンとふたりで郊外の小さな家で暮らしながら、どこに発表するというあてもない論文を、子供向けレポート用紙に書き散らしていた。 しかしある時、ふたりで街に出かけた帰り、母が自動車で他人の家に突っ込んで多額の借金をこさえ、その返済のため、イグネイシャスはしぶしぶ就活を始める。 イグネイシャスは、潰れかけのアパレル工場、次いで零細ホットドッグ移動販売業者で職を得るが、職場では仕事を放り出し、事務所をリボンで飾り付けつつ黒人たちの労働デモを扇動したり、ホットドッグをつまみ食いした挙句に声を掛けてきた怪しい男に屋台を押し付けて映画に出かけたりするなど、好き勝手やり放題。やがて今度は職場から放り出され、警察にも追われるようになったイグネイシャスは、一癖も二癖もある奇人変人たちを巻き込んだり巻き込まれたりしながら逃亡劇を繰り広げ、ニューオーリンズの街に大騒動を巻き起こす――!!! ー デヴィッド・ボウイも愛読した、全世界200万部超のロングセラー&1981年度ピュリツァー賞受賞作、J・スウィフト、W・ギャディス、J・ヘラー、D・F・ウォレスの系譜に連なる、アメリカカルト文学史上の伝説的傑作にして、奇人変人たちが暴走する、爆笑《労働ブラックコメディ》が、ついに邦訳!!! ☆全世界200万部超の大ベストセラー ☆1981年度ピュリツァー賞受賞作 ☆デヴィッド・ボウイが選ぶ100冊 [出版社より] 著 者|ジョン・ケネディ・トゥール 訳 者|木原善彦 出版社|国書刊行会 定 価|3,800円+税 判 型|四六変型判/並製 頁 数|552 ISBN|978-4-336-07364-8 初 版|2022年07月 Author ジョン・ケネディ・トゥール John Kennedy Toole 1937年ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれ。小説家。テュレーン大学、コロンビア大学大学院卒業後、大学で教鞭を取る。1961年、軍隊に入隊しスペイン語話者に英語を教える傍ら『愚か者同盟』を執筆しはじめ、除隊後、ニューオーリンズに戻り完成させる。いくつもの出版社に原稿を送るも出版に至らず、1969年、失望の中で出た旅の途中で自死。その後、母テルマが作家ウォーカー・パーシーのもとに原稿を持ち込んだことがきっかけとなり、1980年に刊行。翌年にピュリツァー賞を受賞し、全世界で200万部超のベストセラーとなった。その他の作品に、16歳のときに書いた『ネオン・バイブル』(1989年刊)がある。 木原善彦 Yoshihiko Kihara 1967年生まれ。京都大学大学院修了。大阪大学大学院人文学研究科教授。著書に『UFOとポストモダン』(平凡社)、『ピンチョンの『逆光』を読む』(世界思想社)、『実験する小説たち』(彩流社)、『アイロニーはなぜ伝わるのか?』(光文社)、訳書にウィリアム・ギャディス『JR』『カーペンターズ・ゴシック』、デイヴィッド・マークソン『ウィトゲンシュタインの愛人』(いずれも国書刊行会)、トマス・ピンチョン『逆光』、リチャード・パワーズ『幸福の遺伝子』『オルフェオ』『オーバーストーリー』、アリ・スミス『両方になる』『秋』『冬』『春』『夏』、オーシャン・ヴオン『地上で僕らはつかの間きらめく』(いずれも新潮社)、ハリー・マシューズ『シガレット』、ハリ・クンズル『民のいない神』、ベン・ラーナー『10:04』、アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』(いずれも白水社)、デイヴィッド・マークソン『これは小説ではない』(水声社)など。ギャディス『JR』は日本翻訳大賞、日本翻訳出版文化賞受賞。
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キリング・アンド・ダイング
¥3,740
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アメリカン・グラフィック・ノヴェルの旗手による不器用で、奇妙で、愛おしい人々の人生模様――。〈アート・ブック×コミック×純文学〉を達成した最新作品集。 突如アートに目覚める植木職人の理想と現実、ポルノ女優そっくりの顔で悩む娘の告白、口下手なのにスタンダップ・コメディアンを目指す少女とその父の葛藤……現代で最も才能あるグラフィック・ノヴェリストの一人エイドリアン・トミネが、6通りのビジュアル・語り口で繊細かつ鮮烈に描く、静かに胸に突き刺さる6つの人生の物語。オールカラー愛蔵版で登場! 解説=クリス・ウェア。 [出版社より] 「彼の描く20コマには、小説家が一生かけて描くよりも多くのアイデアが詰まっている」 ——ゼイディー・スミス 「純文学寄りの漫画家として、ひそかに願う――「そういう本」を創りたい、と。そういう本とは、普段漫画を読まない、文学好きの人にも届く本。事前に説明や釈明をしなくても、作品の姿勢や人間性、複雑さを通して、雄弁に語る本のことだ。エイドリアン・トミネの『キリング・アンド・ダイング』は、ついに登場した「そういう本」なのかもしれない。僕はこの本に度肝を抜かれ、勇気づけられている」 ——クリス・ウェア 著 者|エイドリアン・トミネ 訳 者|長澤あかね 出版社|国書刊行会 定 価|3,400円+税 判 型|B5変型判/上製 頁 数|128 ISBN|978-4-336-06167-6 初 版|2017年05月 Author エイドリアン・トミネ Adrian Tomine 1974年カリフォルニア生まれ。現在ブルックリン在住の日系4世。カリフォルニア大学バークレー校では英語文学を専攻。コミック作家として〈オプティック・ナーヴ〉シリーズを描き続けるかたわら、イラストレーター、アーティストとしても活躍。インディーバンドのアルバムジャケットから「ニューヨーカー」誌の表紙まで数多く手掛ける。著書に32 Stories(1998)『スリープウォーク』(98、邦訳プレスポップ刊)、Shortcomings(2007)などがある。 Translator 長澤 あかね Akane Nagasawa 関西学院大学社会学部卒業。広告代理店に勤務したのち、通訳を経て翻訳者に。訳書にニーナ・ルヴォワル『銀幕に夢をみた』(PHP研究所)、ミック・オシェイ『ワン・ダイレクション・ノー・リミット』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、トム・シャドヤック『恐れと真実の対話 生命の取扱説明書(トリセツ)』(講談社)などがある。
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法の書[増補新訳]愛蔵版
¥6,380
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稀代の魔術師アレイスター・クロウリーが遺した人類への提言、『法の書』が世紀を経てついに真の姿を現す! ◇ 最新の研究に基づき全面改訳した決定版 ◇ 本邦初訳の〈序文〉全13頁を増補 ◇ 『法の書』誕生の鍵となった〈啓示の銘板〉のカラー写真および全訳詩文を増補 ◇ 自筆原稿全65点の写真をより鮮明に収録 ◇ クロウリーの言葉に基づき「法の書」本文の一部に特色赤インクを使用 ◇ 附属の特別小冊子には小森健太朗氏、Hieros Phoenix 氏、江口之隆氏、滝本誠氏によるエッセイを収録 この書を読むことは、もはや〈儀式〉というべき特別な体験――。 ー 「汝は食し、子を産み、死ぬために造られたのか? そんなふうに思ってはならない。/汝はある途轍もない〈目的〉のために、現在ある姿に造られているのだ」 「存在とは純粋な歓びである。悲しみとはすべて影の如きものにすぎぬ。」 「すべての男とすべての女は星である」。夜空に輝く星のように、ひとは皆かけがえのない、宇宙にただ一つの存在なのだとクロウリーは説く。「我々の一人ひとりが〈唯一神〉なのだ」と。 法 =〈魂の道しるべ〉を示した、世紀の聖典 旧世紀において「猛毒を含んだ危険文書」「悪魔の福音書」と呼ばれた〈禁断の書〉。 ー [愛蔵版]特殊仕様 ◆ いざ開かれよ魔術の扉―― 業界初、両手で左右に分け開く形態の、特装函入。艶めく烏珠色の布クロスを纏った、聖典の名にふさわしい装い。 ◆ 所有者だけが味わえる、一度きりの〈開封の儀〉―― 一折一折ペーパーナイフで切り開いて読む形態の、袋状アンカット装。 (※開いた際に現れる紙の繊維の立ち上がりこそ、アンカットの封を解いた証。その醍醐味を味わっていただくために、カッターナイフよりもペーパーナイフの使用を推奨いたします) ◆ クロウリーの魂があなたを護る―― 魂の道標たる直筆の金言・魔法円・署名を込めた護符を特典として附属。 装幀 松田行正+杉本聖士。通常仕様の【普及版】も同時発売。 [出版社より] 著 者|アレイスター・クロウリー 訳 者|植松靖夫 出版社|国書刊行会 定 価|5,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|304 ISBN|978-4-336-07254-2 初 版|2022年02月 Contents 第一章 法の書 〈第二二〇之書〉 序 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 『法の書』直筆原稿 第二章 クハブス・アム・ペクト 〈第三〇〇之書〉 第三章 デ・レゲ・リベルム 〈第一五〇之書〉 法 I 自由について Ⅱ 愛について Ⅲ 生について Ⅳ 光について 第四章 NVの書 〈第十一之書〉 第五章 HADの書 〈第五五五之書〉 附録〈啓示の銘板〉 訳者解説 Author アレイスター・クロウリー Aleister Crowley 1875年~1947年。イギリスの神秘主義者、魔術師。 ケンブリッジ大学在学中に「黄金の夜明け団」に入団。その後世界各国遍歴の旅に出、神秘主義結社を開設して数多くのオカルティズム文献を著述した。 Translator 植松 靖夫 Yasuo Uematsu 上智大学大学院博士後期課程修了。現在、東北学院大学文学部教授。訳書に『ヴィクトリア時代ロンドン路地裏の生活誌』(原書房)、『西洋博物学者列伝 アリストテレスからダーウィンまで』(悠書館)、『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』(東京創元社)などがある。
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法の書[増補新訳]普及版
¥3,080
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稀代の魔術師アレイスター・クロウリーが遺した人類への提言、『法の書』が世紀を経てついに真の姿を現す! ◇ 最新の研究に基づき全面改訳した決定版 ◇ 本邦初訳の〈序文〉全13頁を増補 ◇ 『法の書』誕生の鍵となった〈啓示の銘板〉のカラー写真および全訳詩文を増補 ◇ 自筆原稿全65点の写真をより鮮明に収録 ◇ クロウリーの言葉に基づき「法の書」本文の一部に特色赤インクを使用 ◇ 附属の特別小冊子には小森健太朗氏、Hieros Phoenix 氏、江口之隆氏、滝本誠氏によるエッセイを収録 この書を読むことは、もはや〈儀式〉というべき特別な体験――。 ー 「汝は食し、子を産み、死ぬために造られたのか? そんなふうに思ってはならない。/汝はある途轍もない〈目的〉のために、現在ある姿に造られているのだ」 「存在とは純粋な歓びである。悲しみとはすべて影の如きものにすぎぬ。」 「すべての男とすべての女は星である」。夜空に輝く星のように、ひとは皆かけがえのない、宇宙にただ一つの存在なのだとクロウリーは説く。「我々の一人ひとりが〈唯一神〉なのだ」と。 法 =〈魂の道しるべ〉を示した、世紀の聖典 旧世紀において「猛毒を含んだ危険文書」「悪魔の福音書」と呼ばれた〈禁断の書〉。 その新の姿が、ついに明かされる。装幀=松田行正+杉本聖士。特殊仕様の【愛蔵版】も同時発売。 [出版社より] 著 者|アレイスター・クロウリー 訳 者|植松靖夫 出版社|国書刊行会 定 価|2,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|304 ISBN|978-4-336-07319-8 初 版|2022年02月 Contents 第一章 法の書 〈第二二〇之書〉 序 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 『法の書』直筆原稿 第二章 クハブス・アム・ペクト 〈第三〇〇之書〉 第三章 デ・レゲ・リベルム 〈第一五〇之書〉 法 I 自由について Ⅱ 愛について Ⅲ 生について Ⅳ 光について 第四章 NVの書 〈第十一之書〉 第五章 HADの書 〈第五五五之書〉 附録〈啓示の銘板〉 訳者解説 Author アレイスター・クロウリー Aleister Crowley 1875年~1947年。イギリスの神秘主義者、魔術師。 ケンブリッジ大学在学中に「黄金の夜明け団」に入団。その後世界各国遍歴の旅に出、神秘主義結社を開設して数多くのオカルティズム文献を著述した。 Translator 植松 靖夫 Yasuo Uematsu 上智大学大学院博士後期課程修了。現在、東北学院大学文学部教授。訳書に『ヴィクトリア時代ロンドン路地裏の生活誌』(原書房)、『西洋博物学者列伝 アリストテレスからダーウィンまで』(悠書館)、『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』(東京創元社)などがある。
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新版 近代スピリチュアリズムの歴史
¥3,300
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芥川賞作家にして心霊研究家の三浦清宏が繙く、スピリチュアリズムの歴史の決定版! コナン・ドイルがとりこになった! ポルターガイスト、降霊会、エクトプラズム、心霊写真、念写……。ハイズヴィル事件からはじまり英国ヴィクトリア期に黄金時代を迎え、アメリカの超心理学へ――驚異の霊媒と科学的分析の相克に、新たな可能性の扉が開く! 湯浅泰雄賞受賞作(2008年講談社刊)に、フォックス姉妹、D.D.ホーム、エヴァ・C、マージェリ―、ユーサピア・パラディーノ、ウィリアム・ホープら霊媒たちの、驚異の超常現象など図版140余点を増補。さらに貴重な英国物理霊媒コリン・フライの来日降霊会レポートを50頁以上併録する充実の新版。 [出版社より] 著 者|三浦清宏 出版社|国書刊行会 定 価|3,000円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|400 ISBN|978-4-336-07354-9 初 版|2022年06月 Contents はじめに ◎第一章 ハイズヴィル事件とその波紋 ハイズヴィル事件 フォックス姉妹と「ロチェスターのノック音」 スピリチュアリズムが生んだ最初の職業霊媒 熱狂するアメリカ社会 ハイズヴィル事件の注目すべき点 現象はフォックス姉妹が起こしたのか? 「伝染」していく叩音現象 伝播の社会的背景 ◎第二章 ハイズヴィルに至る道のり 「予言者」アンドリュー・ジャクソン・デイヴィス 驚くべきトランス・トーク 『自然の原理――その聖なる啓示と人類への声』 デイヴィスの描く霊界観 「超自然ではない」 エマヌエル・スウェーデンボルグ――最初のスピリチュアリスト 生まれながらの霊的素質 科学者スウェーデンボルグの葛藤 照応の原理 十九世紀文学者たちと神秘思想 霊界探訪者 メスメリズム 「動物磁気」がもたらしたもの ◎第三章 心霊研究の黄金時代 I――霊能者の活躍 英国での開幕――ハイデン夫人の渡英 パックス・ブリタニカ その頃の日本――「黒船」から日清戦争へ 実験科学の発達と心霊研究 唯物思想への警戒感 「霊媒の王」D・D・ホーム 広範囲におよんだホームの霊能力 ホームの空中浮遊 「スピリチュアリズムの歩く大広告塔」 潔癖な霊能力者の後半生 英国知識者層の反応①――ブラウニングの風刺詩 英国知識者層の反応②――冷淡なファラデイ ロンドン・ダイアレクティカル・ソサイエティの調査 アルフレッド・ウォレス、スピリチュアリズム擁護 「心霊研究の立役者」ウィリアム・クルックス クルックスとケイティ・キング 「何も撤回することはない」 ◎第四章 心霊研究の黄金時代 II――霊能者たちVS.研究者たち 「縄抜け」ダベンポート兄弟 「石板書き」ヘンリー・スレード 心霊研究協会(SPR)の発足 フレデリック・マイヤーズとSPR 『生者の幻像』――最初の成果 『人間個性とその死後の存続』 SPRの葛藤と分裂 「SPRの審問官」リチャード・ホジソン パイパー夫人への調査 調査はイギリス本部でも ホジソン、自らもスピリチュアリストへ クロス・コレスポンデンス ◎第五章 心霊研究後期――英国以外の研究者たちとその成果 ツェルナーによるスレードの実験 セイバート委員会 ユーサピア・パラディーノの多彩な霊能 科学者たちの調査 ユーサピアは詐欺師か? マージェリ・クランドンと霊の指紋 マージェリとヴァリアンタイン、そして浅野和三郎 エクトプラズム研究①――ノティングによる化学分析 エクトプラズム研究②――ジュレーと霊の手の塑像 エクトプラズム研究③――クロフォードの「心霊の杖」論 エクトプラズム研究④――フィンドレーの「直接談話」のしくみ 心霊写真家の誕生――W・マムラー、F・ハドソン ウィリアム・ホープの心霊写真 ホープと福来友吉による念写実験 ◎第六章 スピリチュアリズムの発展と挫折 フランス人アラン・カルデックの伝道 「スピリチュアリズムの女パウロ」エマ・ブリテン SPR分裂後――ステイントン・モーゼズの活躍 ジョージ・ヴェール・オーエン牧師『ヴェールの彼方の生活』 その他のスピリチュアリズム重要文献 フォックス姉妹晩年のスキャンダル 第一次世界大戦の影響――『レイモンド』ベストセラーに コナン・ドイル、「スピリチュアリズムの宣教師」となる スピリチュアリズム再考①――科学との関係 スピリチュアリズム再考②――英国の風土と英国人の気質 スピリチュアリズム再考③――宗教との関係 スピリチュアリズム再考④――大衆化 スピリチュアリズム再考⑤――研究の対象となる心霊現象 ◎第七章 超心理学の時代 二十世紀・超心理学時代の到来 ライン革命――「超感覚的知覚(ESP)」 サイ(PSI)研究 二つの不祥事 マイモニデス夢実験室 「念写」――福来友吉の研究 テッド・シリアス、ポラロイドカメラでの念写 死後生存①――臨死体験 死後生存②――生まれ変わり(再生) 動物サイ スプーン曲げ キルリアン写真 心霊治療(治療能力:生体PK) ブレークスルーにむけて ◎第八章 日本の事情 心霊研究後発国――平田篤胤から福来友吉の登場まで 長尾郁子念写事件 三田光一が念写した月の裏側 福来以後――戦後日本の超心理学 独自の研究 日本のスピリチュアリズムの古い伝統 高橋五郎――スピリチュアリストの先駆者 浅野和三郎――英文学者から心霊研究家へ 浅野、大本教に入信 鎮魂帰神の法 欧米心霊行脚 夫婦による霊界通信 心霊科学研究会と日本心霊科学協会 日本スピリチュアリズムの問題点 守護霊の多様さとその特殊性 日本人霊能者たちに求められること 【付録】 ◎降霊会レポート(英国物理霊媒コリン・フライ) ・降霊実験会(第一・二・三回) ………………秦 靖幸 ・リンカーン氏によるトランス・トーク(1) ・リンカーン氏によるトランス・トーク(2) ・「ノアの方舟協会」の降霊会 in 東京………………三浦清宏 あとがき 索引/掲載図版リスト/主要参考文献/スピリチュアリズム年表 附録 泥の海――あるいは円盤文献瞥見 Author 三浦 清宏 Kiyohiro Miura 1930年北海道室蘭生まれ。小説家、心霊研究家。東京大学文学部英文学科を中退し渡米、アイオワ大学ポエトリー・ワークショップ修了。留学中に小島信夫の知遇を得る。1967-2001年明治大学工学部(英語)助教授・教授。1978年から1年間英国でスピリチュアリズムを研究。1988年『長男の出家』で芥川龍之介賞受賞。2006年『海洞』で日本文芸大賞受賞。1991-99年、2021年~日本心霊科学協会理事。 小説に『長男の出家』『ポエトリ・アメリカ』『カリフォルニアの歌』『摩天楼のインディアン』『海洞――アフンルパロの物語』、スピリチュアリズム関連に『イギリスの霧の中へ――心霊体験紀行』『幽霊にさわられて――禅・心霊・文学』『見えない世界と繫がる――我が天人感応』、エッセイに『文学修行――アメリカと私』『運命の謎――小島信夫と私』など。
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黄昏映画館 わが日本映画誌
¥7,700
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50年にわたる日本映画論を集成。練達の案内人(チチェローネ)が誘う異貌の映画史。 映画評論家上野昂志による50年分の日本映画論を集成。鈴木清順、大島渚、吉田喜重、加藤泰、黒木和雄、川島雄三、山田洋次、北野武、阪本順治などの作品評論を監督別に収録、異貌の映画史を形作る。 [出版社より] 「外国映画も存分に見ている上野昻志は、伊藤大輔から鈴木清順を介して濱口竜介まで、一世紀を超えんとする日本映画を語ることにもっぱら集中し、主張よりも描くことに徹しているさまは、本人にその意識があろうとなかろうと、ひたすら優雅である。不意に視界に浮上したその「優雅さ」の歴史的な意味を噛みしめよ。試されているのは、われわれ読者なのだから」 ——蓮實重彦 「上野昻志は声高には話さない。ぼそぼそと独り言のように語る。そこで気楽に聴いていると、どきりとする瞬間がある。映画についての文章も同じで、軽口めく調子で始まることが多いが、ギラリと批評の刃が飛び出す。なぜそうなるのだろう。見たという体験にこだわり、考え、言葉を紡ぎ、映画を発見しつづけるからにちがいない。本書はその動態のドキュメントである」 ——山根貞男 著 者|上野昻志 出版社|国書刊行会 定 価|7,000円+税 判 型|四六変型判/上製・函入 頁 数|984 ISBN|978-4-336-07297-9 初 版|2022年06月 Contents 伊藤大輔 われわれはほとんど伊藤大輔を知らない 清水宏 清水宏が山道を歩く人を撮るとき 楽しげな軍事練習――『花形選手』 小津安二郎 小津の戦後における家庭劇が行き着いた地平 成瀬巳喜男 成瀬巳喜男の一九六〇年代と現在 マキノ雅弘 複数的なるもの――マキノ 感性の反応にこだわる 映画に飢えてマキノを見る 甘美にして残酷な経験を強いたマキノ映画――マキノ雅広追悼 山中貞雄 山中貞雄を読む快楽と悲哀――『山中貞雄作品集』『監督山中貞雄』書評 加藤泰 一生活者の不断の格闘――『遊侠一匹 加藤泰の世界』にふれて 〈生〉への痛恨の想い――加藤泰論 黒い画面とひとつの光 情熱と力の行方――『日本侠花伝』に見る“裸形の生” 加藤泰監督の一周忌に『ざ・鬼太鼓座』の公開を望む これからの加藤泰 加藤泰の女の映画五本 語りがそのまま生きた映画史に――『加藤泰資料集』『加藤泰、映画を語る』書評 川島雄三 川島雄三の場所 残酷な忘却装置、東京 田中徳三 女の愛を描く作家 鈴木清順 振り出しに戻る監督 魯迅が魯迅であるためには 『悲愁物語』の前後 鈴木清順の運動――『ツィゴイネルワイゼン』 無垢の魂を隠しもつ――『孤愁』書評 泉鏡花と鈴木清順――『陽炎座』をめぐって ナイーヴな男は罰せられる――『陽炎座』 聞こえるはずのない歌――清順映画の媚薬 すべてを解体する――『カポネ大いに泣く』 みなづきに時代錯誤の贅沢を求めて 一人の批評家の死、そして理不尽ということ 『夢二』――贅沢な映画 清順、ロッテルダムを行く 鈴木清順の過激な批評――『ピストルオペラ』 世界は一瞬のうちに変貌する――追悼鈴木清順 石井輝男 石井輝男の新しい一歩――『ゲンセンカン主人』 活動屋・石井輝男の『ねじ式』 増村保造 愛の化身、そして若尾文子は、いつ微笑むのか? 道行きの道はいつも上り坂――『曽根崎心中』 森崎東 森崎東のボトム 現在のただ中に描き出された老荘的な共同体への熱い思い ――『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』 森崎東における炭鉱と原発 現在と過去を自由に往還することで見えてくるもの――『ペコロスの母に会いに行く』 土本典昭 『ドキュメンタリーの海へ 記録映画作家・土本典昭との対話』から土本典昭の仕事を考える 深作欣二 深作欣二と笠原和夫 黒木和雄 敗北への志向、あるいは複数の空間と時間――黒木和雄論 山田洋次 死との過激な戯れ、そしてその喪失 山田洋次論 帰ってくる男 続・山田洋次論 夏が過ぎ、そして秋が来ました…… 続々・山田洋次論 キネマは何処に消えたか――『キネマの天地』 大島渚 大島渚論 創造社時代の大島渚 大島渚、創造社時代の幕あけ 大島渚の一九六八年 創造社の終焉 終わりの始まり 性愛の政治学へ――ポスト創造社時代 ワイセツでケッコウ 改めて「わいせつ」を生きる 漆黒の闇に塗り込めた希望――『天草四郎時貞』 買われる女、買う男――『悦楽』 楕円運動の遠心力と求心力――『無理心中 日本の夏』 スクリーンの破れ目としての穴――『愛の亡霊』 大島渚ベスト3――いま見直した作品こそが最高なのだ 〈顔〉の映画――『マックス、モン・アムール』、そして『ゆきゆきて、神軍』 批評的な作家からの挑戦状――『大島渚1960』書評 吉田喜重 曖昧さのなかへ――『煉獄エロイカ』 記憶を喚起しながら、それを絶えず破砕していく運動――『鏡の女たち』から 吉田喜重全映画+α 映画にもっとプロの力を!――『戒厳令』の現場 二・二六事件と『戒厳令』 記憶を修正しない姿勢貫く――『吉田喜重 変貌の倫理』書評 三村晴彦 『天城越え』あるいは対応の方法 曽根中生 閉された空間を作る――『天使のはらわた 赤い教室』 小沼勝 ロマン・ポルノ、小沼勝の揺るぎない磁場 澤井信一郎 資質も好みも違うが、澤井信一郎と森崎東は虚実が互いに入れ替る場を共有している ――『ロケーション』と『Wの悲劇』 「永遠の現在」を映画に転換する工夫――『めぞん一刻』 アクションとしての演奏あるいは横顔のドラマ――『わが愛の譜 滝廉太郎物語』 サスペンシブな『日本一短い「母」への手紙』は決して母もの映画ではない 布川徹郎とNDU NDUは、境界を往く 原一男 『ゆきゆきて、神軍』の言の葉 柳町光男 新たなる地図を描く――『十九歳の地図』 外に向けられた映画の開放感――『旅するパオジャンフー』 長谷川和彦 死体、その後――『青春の殺人者』 弾むモノとしての原爆――『太陽を盗んだ男』 荒戸源次郎 死出の旅路に導かれ――『赤目四十八瀧心中未遂』 原作の埃を入念に払った後に映画が見つめたもの――『人間失格』 荒戸源次郎――ある風雲児の記憶 北野武 歩く人と見る人――映画作家、北野武 『ソナチネ』には絶えず胸騒ぎを覚える 生の不可逆的な時間を捉える――『キッズ・リターン』① 世界の残酷さに触れる――『キッズ・リターン』② たけしの顔、そして絵――『HANA-BI』 アクションとしてのチャンバラという明確な戦略意識――『座頭市』 組織暴力の純粋形態――『アウトレイジ ビヨンド』 飯塚俊男 土と手と水の映画――縄文三部作に寄せて 相米慎二 運動体としての「世界」――『魚影の群れ』 この映画には秩序が要請する滑らかさとは逆の凸凹があり、 それが饒舌とは反対の絶句へとわれわれを導くのである――『ションベン・ライダー』 夏の終りに――『台風クラブ』 『お引越し』は相米慎二の見事な成熟ぶりを示す 『トカレフ』や『夏の庭』は、アホな評論家の頭を越えて映画の現在に向かう 相米慎二は新しい境地に立った――『あ、春』 崔洋一 必要不可欠な筋肉だけでできてる映画――『友よ、静かに瞑れ』 散逸する物語――『月はどっちに出ている』 ピカレスクロマンの快作――『犬 走る DOG RACE』 小手先の演技を超えた陰影――『刑務所の中』 歴史を個の肉体の体現として描いた強固な志――『血と骨』 原将人 原将人の旅、そして『初国知所之天皇』 井筒和幸 「日常」に風穴をあける―― 『ガキ帝国』 井筒和幸は深化する――『ヒーローショー』に寄せて 『ガキ帝国 悪たれ戦争』を巡って 黒沢清 『地獄の警備員』は潔く倫理的な映画である 『CURE』は、バモイドオキ神を顕現する 虚から現への反復――『スパイの妻』 山本政志 アホもまた進化する――『アトランタ・ブギ』 佐藤真 映画、その奇蹟的時間――『阿賀に生きる』 見ることのレッスン――『SELF AND OTHERS』 表現を受けとめるということの大事さ 映画『花子』を見て 世界が立ち現れる瞬間に出会う――『ドキュメンタリー映画の地平』書評 ドキュメンタリー映画はどこに向かうのか 阪本順治 久しぶりだぜ。『どついたるねん』で日本映画に興奮する 再生のための闘い――『鉄拳』 大阪で『王手』を見よう 非対称の視線――『トカレフ』 素朴なアクションがファンタジーを支える――『ビリケン』 『顔』を支える肯定の力――阪本順治の新作を追いかけて 二〇〇七年は阪本順治の『魂萌え!』で始まる! 痛みを体感すべく映画に向かう――『闇の子供たち』 弱点をも凌駕するほどパッションが噴出した――『行きずりの街』 ハバロフスクの『人類資金』 単純であることの強さ――『ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年』 理想が失われた時代に向けて――『エルネスト』 瀬々敬久 瀬々敬久の軌跡――アテネ・フランセ文化センター講演 『雷魚』の風景にうたれる 誰ともしれぬ主観の影が重なるように――『ユダ』 諏訪敦彦 決定的な時間が流れた――『2/デュオ』 青山真治 悲しみの風景を疾走する――『死の谷'95』書評 圧倒的な音の渦――『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』 大いなる父の死と女たちの力――『共喰い』 豊田利晃 敗者たちの覚醒――『アンチェイン』 明確な輪郭で描く画面と確かな構成力に感じる力――『青い春』 滑稽にして悲惨な色に染まりながらも、純な魂は……――『ナイン・ソウルズ』 小栗判官から『鋳剣』へと蘇る豊田利晃――『蘇りの血』 雪に埋もれた山中から、いま、孤独なテロリストが降り立つ――『モンスターズ・クラブ』 大森立嗣 新たなる混沌に向けて……――『ゲルマニウムの夜』 大森立嗣は直球勝負でくる!――『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』 煉獄をさまよう孤独な魂――『ぼっちゃん』 隔たりを生きるということ――『さよなら渓谷』 横浜聡子 生死の彼岸 陽人は超人か?――『ウルトラミラクルラブストーリー』 一人の少女の成長に立ち会う――『いとみち』 濱口竜介 日本映画では極めて稀な純粋恋愛映画――『寝ても覚めても』 日本映画ベスト50――映画状況の変化に独断も偏見もままならず選んだベスト あとがき 索引(人名・映画題名) Author 上野 昻志 Koshi Ueno 1941年東京生まれ。評論家。66年、東京都立大学大学院在籍中(専攻は中国文学)に漫画雑誌「ガロ」の社会時評的コラム〈目安箱〉連載で執筆活動に入る。69年から山根貞男・波多野哲朗・手島修三編集の雑誌「シネマ69」にて映画批評も執筆し始める。2008~10年、日本ジャーナリスト専門学校校長。著書に『沈黙の弾機 上野昂志評論集』(青林堂、71年)『魯迅』(三一書房、74年)『巷中有論 街にケンカのタネを拾う』(白夜書房、78年)『現代文化の境界線』(冬樹社、79年)『紙上で夢みる 現代大衆小説論』(蝸牛社、80年/清流出版、2005年)『映画=反英雄たちの夢』(話の特集、83年)『肉体の時代 体験的60年代文化論』(現代書館、89年)『ええ音やないか 橋本文雄・録音技師一代』(橋本文雄と共著、リトル・モア、96年)『映画全文 1992~1997』(リトル・モア、九八年)『写真家 東松照明』(青土社、九九年)『戦後60年』(作品社、05年)、編著に『鈴木清順全映画』(立風書房、86年)、『映画の荒野を走れ プロデューサー始末半世紀』(伊地智啓著、木村建哉と共編、インスクリプト、15年)がある。
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大島渚全映画秘蔵資料集成
¥13,200
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各所に秘蔵されていた膨大な製作時の未公開写真・ノート類など新発見資料や生々しい記録、記事スクラップなどを作品ごとに集大成し、それぞれ詳細に解説。また別途映画本編についての詳細な解説を付し、さらにそれぞれの時代についての大島渚本人の回想をも加えて贈る、大島映画の根本資料にして時代の記念碑。戦後日本映画史研究に必備の書。2021年キネマ旬報映画本大賞・第1位受賞。 [出版社より] 監 修|大島渚プロダクション 編 著|樋口尚文 出版社|国書刊行会 定 価|12,000円+税 判 型|B5判/上製 頁 数|820 ISBN|978-4-336-07202-3 初 版|2021年12月 Contents 第一章 出生から学生時代、そして撮影所へ 第二章 ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として 『愛と希望の街』 『青春残酷物語』 『太陽の墓場』 『日本の夜と霧』 【アルバム】生涯の伴走者、小山明子 第三章 松竹退社と模索の季節 『飼育』 『天草四郎時貞』 『忘れられた皇軍』とテレビドキュメンタリー 『小さな冒険旅行』とPR映画 『アジアの曙』とテレビドラマ 『悦楽』 『ユンボギの日記』 第四章 独立プロ・創造社の挑戦 『白昼の通り魔』 『忍者武芸帳』 『日本春歌考』 『無理心中 日本の夏』 『絞死刑』 『帰って来たヨッパライ』 『新宿泥棒日記』 『少年』 『東京战争戦後秘話』 『儀式』 『夏の妹』 【アルバム】作家の肖像 *《センターカラー・未公開カラーショット集》 第五章 創造社の解散と国際的活躍 『愛のコリーダ』 『愛の亡霊』 『戦場のメリークリスマス』 『マックス、モン・アムール』 第六章 大島映画の美的参謀、戸田重昌 【アルバム】各国の映画人との交流 第七章 幻の企画と晩年 未実現企画の数々 未実現企画『日本の黒幕』 未実現企画『ハリウッド・ゼン』 『御法度』 幻の出演作 テオ・アンゲロプロス作品『憶えているかい、君は』 【アルバム】闘病、そして逝去 大島渚略年譜 人名索引 おわりに Editor 樋口 尚文 Naofumi Higuchi 映画評論家、映画監督。著作に『秋吉久美子 調書』(秋吉久美子共著・筑摩書房)、『実相寺昭雄 才気の伽藍――鬼才映画監督の生涯と作品』(アルファベータブックス)、『万華鏡の女――女優ひし美ゆり子』(ひし美ゆり子共著・筑摩書房)、『黒澤明の映画術』(筑摩書房)、『「砂の器」と「日本沈没」――70年代日本の超大作映画』(筑摩書房)、『大島渚のすべて』(キネマ旬報社)などがある。
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ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク
¥2,860
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ここでなければ、どこへでもーー。 『ピンク・フラミンゴ』『ヘアスプレー』で知られる伝説のカルト映画監督ジョン・ウォーターズは66歳にして突如アメリカ横断ヒッチハイクを計画した。「刺激がほしいんだ!」 2つのフィクション「最高の旅」「最悪の旅」、そしてノンフィクション「現実の旅」で構成された新しいエンターテインメントの誕生。 「訳しながら笑いが止まらなくなったのはこれが初体験。この本は活字で読むジョン・ウォーターズの新作映画だ!」――柳下毅一郎 ー アメリカが誇る伝説的カルト映画監督にしてバッドテイスト(悪趣味)の王様、ジョン・ウォーターズは66歳にして突如アメリカ横断ヒッチハイクを計画した。ボルチモアからサンフランシスコまで、それはウォーターズにとってのアメリカを再発見する旅となった。 現実の旅の前の予行演習として、2つの中篇小説「最高の旅」「最悪の旅」が書かれる。新作映画の資金を現金でポンとくれる大金持ちの麻薬売人に出会ったり、サーカスに入ってフリークショーに出演したり、懐かしい映画仲間に再会したり、と最高に幸せなヒッチハイク。つづいて、考えるうる限り最低で最悪なヒッチハイクで出会うのは、ウォーターズ映画マニアの親子、アル中の無免許運転手、ゲイ至上主義の過激派、狂った動物愛護運動家ほか多数! そして「事実は小説より奇なり」の言葉通り、最悪で最高な「現実の旅」が始まる。最後にウォーターズを待ち受けるのは果たして天国か、地獄か!? フィクションとノンフィクションで構成された新しい形のエンターテインメントにして、活字で読むジョン・ウォーターズ映画、そしてトウェイン~スタインベック~ケルアックに続く偉大なるアメリカ放浪者文学の誕生。 [出版社より] 著 者|ジョン・ウォーターズ 訳 者|柳下毅一郎 出版社|国書刊行会 定 価|2,600円+税 判 型|四六変型判/上製 頁 数|386 ISBN|978-4-336-07320-4 初 版|2022年01月 Contents プロローグ 我が道を行く? 起こりうるかぎり最高のこと 起こりうるかぎり最悪のこと 本物の旅 Author ジョン・ウォーターズ John Waters 1946年アメリカ・メリーランド州ボルチモアの中流家庭に生まれる。72年にカルト映画史上の古典として不滅の輝きをもつ『ピンク・フラミンゴ』を発表、全世界にショックを与えて〈バッドテイストの王様〉として名を馳せる。以後、メジャー映画シーンで『ヘアスプレー』(88年)『クライ・ベイビー』(90年)『シリアル・ママ』(94年)などヒット作を監督。現在はショーのホストやエッセイストとしても活躍している。ボルチモア在住。 Translator 柳下毅一郎 Kiichiro Yanashita 1963年大阪府生まれ。映画評論家・翻訳家。雑誌『宝島』の編集者を経てフリー。ガース柳下の筆名で『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社/文春文庫)を町山智浩と共著。著書『興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史』(青土社)、『新世紀読書大全 書評1990-2010』(洋泉社)など多数。訳書にR・A・ラファティ『第四の館』(国書刊行会)、アラン・ムーア/J・H・ウィリアムズⅢ『プロメテア1~3』(小学館集英社プロダクション)、監訳書に〈J・G・バラード短編全集〉(東京創元社)など。
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オカルトタロットの歴史 1870-1970年
¥5,940
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タロットの秘儀化はいかにして生まれ、いかにして解体し、さらに広い文化的事象へと展開していったのか――? 黄金の夜明け団やアレイスター・クロウリーによるタロットの扱い、現代において最も流通している「ウェイト=スミス版タロット」の誕生にまつわる経緯など、日本でも関心が高い主題を取り上げ、基本的には遊戯用のカードに過ぎなかったタロットが18世紀末以降、古代以来のありとあらゆる神秘思想を担う図像の集成となり、また人間の運命を見通す占いの道具となっていった歴史を、世界各地で活動したタロティストたちの人生と思想、社会の動きを織り交ぜながら興趣あふれる筆致で描き出した決定的大著。 [出版社より] 著 者|ロナルド・デッカー/マイケル・ダメット 訳 者|今野喜和人 出版社|国書刊行会 定 価|5,400円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|592 ISBN|978-4-336-07277-1 初 版|2022年02月 Contents ◆第Ⅰ部 西洋オカルティズム 第0章 序論 第1章 国際的刷新 第2章 イギリスの継承者たち ◆第Ⅱ部 秘密にされた混合主義(シンクレティズム) 第3章 ルクソールのヘルメス同胞団 第4章 〈黄金の夜明け〉が始まる 第5章 〈黄金の夜明け〉の輝き 第6章 〈黄金の夜明け〉にかかる雲 第7章 〈黄金の夜明け〉の屈折 ◆第Ⅲ部 教義の開示 第8章 ウェイトのタロットと秘密の教義 第9章 秘密のチーフたちとクロウリー=ハリス版タロット 第10章 〈黄金の夜明け〉は微光を放ち続ける ◆第Ⅳ部 東に向かうタロティズム 第11章 スイス 第12章 ドイツ 第13章 ロシア ◆第Ⅴ部 様々な学派、様々な規則 第14章 C・C・ザインと〈光の教会〉 第15章 ナップおよびホールと彼らのタロット 第16章 ケースと〈アディトゥムの建設者たち〉 第17章 ブライトン夫妻と〈MANS聖修道会〉 第18章 リンドとその信奉者たち 第19章 ガレス・ナイトと〈光の侍従会〉 ◆第Ⅵ部 大衆のための神秘 第20章 イーデン・グレイとウェイト=スミス版タロット 第21章 古い観点への新たな焦点 Author ロナルド・デッカー Ronald Decker 1943年ニューヨーク州のウェルズヴィルで生まれる。ニューヨーク州立大学バッファロー校卒業。次いでオハイオ州のシンシナティ大学で絵画を学び、修士号取得。様々な学校で美術と芸術史を教える。1986年から2002年まで、当時オハイオ州ノーウッドにあったUSプレイング・カード社でアンティーク・カードのキュレーターを務め、世界中の初期タロットを研究。The Esoteric Tarot(『秘教タロット』)(2013)など、タロットの歴史およびシンボリズムに関する著作4点を執筆もしくは執筆協力。 マイケル・ダメット Sir Michael Dummett 1925年ロンドン生まれ。オックスフォードのクライストチャーチ・カレッジを最優秀の成績で卒業し、1979年から1992年までオックスフォード大学で論理学を講じる。アメリカのハーバードやプリンストンなどからも招聘され、1999年にはナイトの称号を得る。分析哲学の大家として知られ、関連著作多数。一方、余技として始めたタロット研究の分野でも第一人者と見なされるようになる。タロットゲームに関する大著The Game of Tarot(1980)の他、通史的には本書の前編にあたるA Wicked Pack of Cards, The Origins of the Occult Tarot(『邪悪なカードデッキ――オカルトタロットの起源』)をロナルド・デッカーおよびフランスのタロット研究家ティエリー・ドゥポーリスとの共著で1996年に発表している。2011年、オックスフォードで没。 Translator 今野喜和人 Kiwahito Konno 1954年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、静岡大学名誉教授。専攻、比較文学比較文化。 著書に、『啓蒙の世紀の神秘思想――サン=マルタンとその時代』(東京大学出版会、2006)、訳書に、[ルイ=クロード・ド・サン=マルタン]『クロコディル――一八世紀パリを襲った鰐の怪物』(国書刊行会、2013)、イーヴリン・アンダーヒル『神秘主義』(ナチュラルスピリット、2016、共訳)、オズヴァルド・ヴィルト『中世絵師たちのタロット』(国書刊行会、2019)、ジャン゠クリストフ・リュファン『永遠なるカミーノ』(春風社、2020)、他多数。
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マルセイユ・タロット教室——タロット・マスターをめざして
¥3,300
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78枚の絵柄について理解を深め、自由自在にリーディングできるよう基本からていねいに解説した入門の書。各章に、恋愛・結婚・離婚・不動産・ペットロスなどの相談に挑戦できる練習問題つき。 [出版社より] 著 者|井上教子 出版社|国書刊行会 定 価|3,000円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|360 ISBN|978-4-336-07261-0 初 版|2022年01月 Contents はじめに この本の使い方 主なマルセイユ・タロット 第1部 大アルカナ 第1章 魔術師 第2章 女教皇 第3章 女帝 第4章 皇帝 第5章 教皇 第6章 恋人 第7章 戦車 第8章 正義 第9章 隠者 第10章 運命の輪 第11章 力 第12章 吊るされた男 第13章 死神 第14章 節制 第15章 悪魔 第16章 神の家 第17章 星 第18章 月 第19章 太陽 第20章 審判 第21章 世界 第22章 愚者 大アルカナ キーワード&切り札としての解釈 一覧表 第2部 小アルカナ 第1章 概略 特徴と起源 4スートと4つのアイテム スートにより異なるアイテムの配列 形について、4つの配列=4つのコード 第2章 数札 カップの札 コインの札 ソードの札 ワンドの札 第3章 人物札 カップの人物札 コインの人物札 ソードの人物札 ワンドの人物札 第4章 キャスティングとシグニフィケイター 第5章 小アルカナを使った実践鑑定 小アルカナ コード解析表 おわりに Author 井上 教子 Kyoko Inoue 占術家、講師、執筆家。著書に『タロット解釈実践事典』『タロット象徴事典』(国書刊行会)、『タロットの歴史』(山川出版社)など。日本タロット占術振興会、日本易道学校でタロットと西洋占星術を指導中。
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愛蔵版 お楽しみはこれからだ
¥2,970
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イラストレーター・グラフィックデザイナーとして活躍し、さらにエッセイスト・映画監督・作曲家など多彩な顔をもつ和田誠(1936–2019)の代表作にして、映画エッセイの名著が愛蔵版で復活! 書き下ろしエッセイ=村上春樹。 記憶に残る〈映画の名セリフ〉をイラストレーションとともに紹介する本シリーズは、「キネマ旬報」で1973年から23年のあいだ断続的に連載され、全7巻の単行本にまとまり長年映画ファンに愛されてきた。今回オリジナルのまま再現した本体を函に入れた特別仕様で復刊、各巻に書き下ろしエッセイを掲載した栞を付す。 *次回配本『お楽しみはこれからだPART2』2022年2月刊。 [出版社より] 著 者|和田誠 出版社|国書刊行会 定 価|2,700円+税 判 型|A5判/函入 頁 数|256 ISBN|978-4-336-07300-6 初 版|2022年01月 Author 和田 誠 Makoto Wada 1936年大阪生まれ。多摩美術大学図案科(現・グラフィックデザイン学科)卒業。1959年デザイン会社ライトパブリシティ入社。68年よりフリーのイラストレーター、デザイナーとして活躍。タバコ「ハイライト」のデザイン、「週刊文春」の表紙イラストレーション、2000冊以上の書籍の装丁を手がける。著書は200冊以上にのぼる。映画に関する著書も多く『お楽しみはこれからだ(全7巻)』『シネマッド・ティーパーティ』、『たかが映画じゃないか』(山田宏一との共著)、『これもまた別の話』(三谷幸喜との共著)など。映画監督として『麻雀放浪記』『快盗ルビイ』『怖がる人々』『真夜中まで』などの作品がある。2019年逝去。
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ピーター・シスの闇と夢
¥2,750
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共産党統治下のチェコスロヴァキア(現チェコ共和国)に生まれ、自由を求めてアメリカに亡命した絵本作家、ピーター・シス(1949– )。 『三つの金の鍵ー魔法のプラハ』や『かべー鉄のカーテンのむこうに育って』の代表作をはじめ、幼い子どもたちへ向けた絵本、広い世界を旅した英雄への憧れを込めた物語、ダーウィンやガリレオなど抑圧に屈することなく意志を貫いた偉人たちの伝記絵本など、繊細で詩的な表現で人々を魅了する。世に送りだした30冊以上の絵本は、国際アンデルセン賞や、三度のコールデコット・オナー賞など、数々の絵本賞も受賞している。 本書は、絵本原画をはじめとして、国際的な評価を得たアニメーションの原画、新聞雑誌の挿絵、地下鉄や空港など公共の場のためのアートプロジェクトなど、シスの作品を幅広く収録。影から光へとたどってきたシスが人生をかけてつむいだ、闇と夢が織りなす作品たちを紹介する。 [出版社より] 「重い歴史と、軽やかな想像力。厳しい現実と、飄々としたユーモア。いま・ここを生きることと、ここではないどこかを夢見ること。拮抗する要素が豊かに高めあい、美しい絵物語に結実する。ようこそ、ピーター・シスの闇と夢の世界へ」 ——柴田元幸 著 者|ピーター・シス 対談・訳|柴田元幸 出版社|国書刊行会 定 価|2,500円+税 判 型|B5横判/並製 頁 数|216 ISBN|978-4-336-07266-5 初 版|2021年10月 Contents 1 「かべ」のなか 2 自由の国 3 子どもたちのために 4 探求の旅 5 夢を追う ピーター・シス×柴田元幸 対談 ピーター・シスとアニメーション、そしてロック 赤塚若樹 シスとプレヴェール―自由の執行猶予期間 ジャン=ギャスパール・パーレニーチェック チェコ、絵本の原点:シスのアイデンティティを探って 小野寛子 アメリカでみつけた絵本作家という居場所 岡本梓 チェコの、そして世界の絵本作家 ピーター・シス ヤナ・チェニュコヴァー 年譜 フィルモグラフィー 出版リスト 作品リスト Author ピーター・シス 1949年、チェコスロヴァキアのブルノ生まれ。プラハ工芸美術大学とロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶ。新聞、雑誌、書籍のほかに、アニメーションの分野でも幅広く活躍。ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞、ボローニャ国際絵本展金賞、コールデコット・オナー賞など、数々の賞を受賞。日本では『三つの金の鍵ー魔法のプラハ』『かべー鉄のカーテンのむこうに育って』『マドレンカ』『星の使者―ガリレオ・ガリレイ』などが翻訳出版されている。 Translator 柴田 元幸 Motoyuki Shibata 翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザーなど現代アメリカ小説の翻訳多数。主な訳書にマーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒けん』(研究社、2017年)、スチュアート・ダイベック『シカゴ育ち』(白水Uブックス、2003年)、エドワード・ゴーリー『うろんな客』(河出書房新社、2000年)。主な著書に『ケンブリッジ・サーカス』(新潮文庫、2018年)。文芸誌『MONKEY』(スイッチ・パブリッシング)責任編集。
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ネオノミコン
¥3,080
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言葉が世界を書き換える――物語の魔術師にしてアメコミ界の帝王アラン・ムーア版クトゥルー神話全四部作ついに刊行! 人間をチューリップ型に切り裂く異様な殺人事件、古い教会を改築したクラブに蔓延する謎の白粉……頻発する怪事件を解決すべくFBI捜査官メリルとゴードンはマサチューセッツ州セイラムのオカルトショップに向かうが……ラヴクラフトの内なる深淵に迫り、時空を覆す宇宙最凶の暗黒神話、ここに始まる。2012年ブラム・ストーカー賞グラフィック・ノベル部門受賞作。 ー アメコミ界の金字塔『ウォッチメン』の著者にして、アメコミ史上最重要作家であるアラン・ムーアが、H・P・ラヴクラフトとクトゥルー神話作品の従来のイメージを鮮やかに刷新することに挑んだエポックメイキングなシリーズの第1作。 ラヴクラフトは、1890年アメリカのロードアイランド州プロビデンスに生まれ、クトゥルーをはじめとする地球外生物によるコズミックホラー(=宇宙的恐怖)に満ちた作品群を書いたホラー作家。ラヴクラフトは自身が作り上げた恐怖の神話体系を、当時の作家たちにシェアードワールドとして解放した。この試みにより、さまざまな作家により物語が書き継がれていくこととなった。またラヴクラフトの評価は年々高まっており、今では世界中にファンがいる。 現在においてもクトゥルー神話の世界観は小説や映画、ゲームなどさまざまな分野においてシェアされ続けており、新たな作品群を生みだしながらあらゆるジャンルに多大な影響を与えている。本シリーズも、このようなクトゥルー神話作品のひとつであり、アラン・ムーアが、アメコミにおいてラヴクラフトの新たなる再評価をすべく、クトゥルー神話作品最大の魅力であるコズミックホラーの本質を問いかけてくる画期的な作品となっている。 [出版社より] 作 |アラン・ムーア 画 |ジェイセン・バロウズ 訳 者|柳下毅一郎 出版社|国書刊行会 定 価|2,800円+税 判 型|B5変型判/上製 頁 数|184 ISBN|978-4-336-07268-9 初 版|2021年10月 Contents ◆中庭 中庭1 中庭2 ◆ネオノミコン 第1章|狂気の館にて 第2章|アメリカからの影 第3章|彼方の言葉 第4章|内に潜むもの ギャラリー 訳注 Author アラン・ムーア Alan Moore 1953年、イギリス・ノーサンプトン生まれ。『ウォッチメン』『フロム・ヘル』『Vフォー・ヴェンデッタ』『プロメテア』などの著作で知られる英国コミック界の革新者。魔術や幻想世界への強い関心でも知られており、『プロメテア』は魔術の入門書としても読まれている。コミック引退を宣言したが長編小説『Jerusalem』を上梓、映画『The Show』の脚本出演をつとめるなど多方面で活躍している。 ジェイセン・バロウズ 1972年、カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。サバンナ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン卒業。Caliber Pressなどのコミック出版社で仕事をしたのち、主にAvatar Pressやマーベル社で活躍中。主要作品に、ガース・エニス作『Crossed』『Punisher Soviet』、ウォーレン・エリス作『Scars』など。 Translator 柳下 毅一郎 Kiichiro Yanashita 1963年大阪府生まれ。映画評論家・翻訳家。雑誌『宝島』の編集者を経てフリー。ガース柳下の筆名で『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社/文春文庫)を町山智浩と共著。著書『興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史』(青土社)、『新世紀読書大全 書評1990-2010』(洋泉社)など多数。訳書にR・A・ラファティ『第四の館』(国書刊行会)、アラン・ムーア/J・H・ウィリアムズⅢ『プロメテア1~3』(小学館集英社プロダクション)、監訳書に〈J・G・バラード短編全集〉(東京創元社)など。
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定本 何かが空を飛んでいる
¥3,520
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UFO現象や神秘体験を明快に論じた奇跡的名著がついに復刊! あわせて西洋近代オカルティズム略史、ジョン・ディーの精霊召喚、ナチズムとオカルト、柳田國男・南方熊楠の山人論争など、他界に魅せられし人々の、影の水脈をたどるオカルティズム・民俗学エッセイ・評論を一挙集成。 [出版社より] 著 者|稲生平太郎 出版社|国書刊行会 定 価|3,200円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|456 ISBN|978-4-336-05777-8 初 版|2013年11月 Contents 自序 第一部 何かが空を飛んでいる まえがき 1 私は前科者である 2 踊る一寸法師 3 小人たちがこわいので 4 虐げられた人々 5 セックスと針とフライング・ソーサー 6 私を涅槃に連れてって 7 空飛ぶレイシズム 8 妄執の格納庫18 9 陰謀の泉 10 キャデラックの中の三人男 11 黒い哄笑 12 空を飛んでいるのは何か? 13 光に目が眩んで あとがき 附録 泥の海――あるいは円盤文献瞥見 * 「純」円盤映画を求めて 不思議なセルロイド――怪奇幻想映画オールナイト全五夜 第二部 影の水脈 影の水脈――西洋近代オカルティズム略史 シオンの顕現――アーサー・マッケンと〈オカルト〉 天の影――チャールズ・ウィリアムズの場合 想像力という「呪い」――シャーロット・ブロンテ「ヴィレット」 異界の言葉――テオドール・フルールノワ「インドから火星へ」 地底への旅――カフトン=ミンケル「地下世界」 ログフォゴあるいは『岩の書』――リチャード・シェイヴァーについてのノート 水晶の中の幻影――ジョン・ディーの精霊召喚作業 物語としての同祖論の《起源》 妄想の時空――木村鷹太郎とウィリアム・カミング・ボーモント 獣人と神人の混淆――アドルフ・ランツとフェルキッシュ・オカルティズム ヒトラー、ナチズム、オカルティズム 第三部 他界に魅せられし人々 他界に魅せられし人々―― 『妖精の誘惑』のためのノート 夢と光り物――アナ・キングズフォード、佐々木喜善、泉鏡花 「心界幽玄」のこと――南方熊楠とフレデリック・マイアーズ 先住異民族の「残存」――南方熊楠、柳田國男の山人論争における隠された文脈 牛涎的博士――坪井正五郎をめぐって 家に憑く――『四谷雑談』 平田翁の「夏休み」――『稲生物怪録』をめぐって 後記 索引 Author 稲生 平太郎 Heitaro Inoo 1954年大阪府生まれ。本名、横山茂雄。京都大学卒、博士(文学)。英文学者、作家、奈良女子大学教授。横山名義の著書に『聖別された肉体—オカルト人種論とナチズム』(書肆風の薔薇)、『異形のテクスト—英国 ロマンティック・ノヴェルの系譜』(国書刊行会)、 訳書にマーヴィン・ピーク『行方不明のヘンテコな伯父さんからボクがもらった手紙』、ヒレア・ベロック『子供のための教訓詩集』(共に国書刊行会)、 編著に『遠野物語の周辺』(国書刊行会)、『危ない食卓— 十九世紀イギリス文学にみる食と毒』(新人物往来社)など。『日影丈吉全集』(国書刊行会)の編集、全巻解説も手がける。稲生名義の著書に『アクアリウムの夜』(書肆風の薔薇、のちに角川スニーカー文庫)、『アムネジア』(角川書店)がある。近刊に『映画の生体解剖』(高橋洋と共著、洋泉社)。
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ソラリス
¥2,640
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ほぼ全域を海に覆われた惑星ソラリス。その謎を解明すべくステーションに乗り込んだ心理学者ケルビンのもとに今は亡き恋人ハリーが現れる……。「生きている海」をめぐって人間存在の極限を描く傑作。 タルコフスキーとソダーバーグによって映画化された新世紀の古典、ポーランド語原典からの新訳刊行。 [出版社より] 著 者|スタニスワフ・レム 訳 者|沼野充義 出版社|国書刊行会[スタニスワフ・レム・コレクション] 定 価|2,400円+税 判 型|四六変型判/上製 頁 数|369 ISBN|978-4-336-04501-0 初 版|2004年11月 Contents やって来た男 ソラリス学者たち 客 サルトリウス ハリー 『小アポクリファ』 会議 怪物たち 液体酸素 会話 思想家たち 夢 成功 古いミモイド 愛を超えて(訳者解説) Author スタニスワフ・レム Stanisław Herman Lem 1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年には現代SF の全2 冊の研究書『SF と未来学』を完成。70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年に死去。 Translator 沼野 充義 Mitsuyoshi Numano 1954 年、東京都生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科博士課程に学ぶ。ワルシャワ大学講師、東京大学教授を経て、現在名古屋外国語大学副学長、東京大学名誉教授。著書に『徹夜の塊』三部作(『亡命文学論』『ユートピア文学論』『世界文学論』、作品社)、『W文学の世紀へ』(五柳書院)、『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)、編著書に『東欧怪談集』『ロシア怪談集』(河出文庫)、『世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義』全5巻(光文社)、訳書にスタニスワフ・レム『ソラリス』(国書刊行会およびハヤカワ文庫SF)、ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』(未知谷)、クラシツキ『ミコワイ・ドシフャトチンスキの冒険』(岩波書店)、ウラジーミル・ナボコフ『賜物』(新潮社)、『新訳 チェーホフ短篇集』(集英社)などがある。
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高い城・文学エッセイ
¥3,080
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第二次大戦直前のルヴフで暮らした少年時代を、情感豊かに綴った自伝に、ディック、ウェルズ、ドストエフスキー、ボルヘス、ナボコフといった作家論や、『SFと未来学』からの抄訳を収める。 [出版社より] 著 者|スタニスワフ・レム 訳 者|沼野充義・巽孝之・芝田文乃ほか 出版社|国書刊行会[スタニスワフ・レム・コレクション] 定 価|2,800円+税 判 型|四六変型判/上製 頁 数|443 ISBN|978-4-336-04506-5 初 版|2004年12月 Contents 高い城 文学エッセイ ・偶然と秩序の間で―自伝 ・SFの構造分析 ・メタファンタジア―あるいは未だ見ぬSFのかたち ・ツヴェタン・トドロフの幻想的な文学理論 ・ドストエフスキーについて遠慮なく ・H.G.ウェルズ『宇宙戦争』論 ・対立物の統一―ホルヘ・ルイス・ボルヘスの散文 ・ロリータ、あるいはスタヴローギンとベアトリーチェ ・A&B.ストルガツキー『ストーカー』論 ・フィリップ・K.ディック―にせ者たちに取り巻かれた幻視者 Author スタニスワフ・レム Stanisław Herman Lem 1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年には現代SF の全2 冊の研究書『SF と未来学』を完成。70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年に死去。 Translator 沼野 充義 Mitsuyoshi Numano 1954 年、東京都生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科博士課程に学ぶ。ワルシャワ大学講師、東京大学教授を経て、現在名古屋外国語大学副学長、東京大学名誉教授。著書に『徹夜の塊』三部作(『亡命文学論』『ユートピア文学論』『世界文学論』、作品社)、『W文学の世紀へ』(五柳書院)、『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)、編著書に『東欧怪談集』『ロシア怪談集』(河出文庫)、『世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義』全5巻(光文社)、訳書にスタニスワフ・レム『ソラリス』(国書刊行会およびハヤカワ文庫SF)、ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』(未知谷)、クラシツキ『ミコワイ・ドシフャトチンスキの冒険』(岩波書店)、ウラジーミル・ナボコフ『賜物』(新潮社)、『新訳 チェーホフ短篇集』(集英社)などがある。 巽 孝之 Takayuki Tatsumi 1955年、東京生まれ。上智大学卒、コーネル大学英文学科博士課程修了。現在、慶應義塾大学文学部教授。著書に『ニュー・アメリカニズム--米文学思想史の物語学』(青土社)、『アメリカ文学史のキーワード』(講談社現代新書)、『プログレッシヴ・ロックの哲学』(平凡社)、『「2001年宇宙の旅」講義』(平凡社新書)、『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房)、編著に『日本SF論争史』(同)、『事典 現代のアメリカ』(大修館書店、共編)など多数。 芝田 文乃 Ayano Shibata 1964年、神奈川生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家、エディトリアル・デザイナー。1992年より東京、クラクフなどで写真展開催。訳書にレム『高い城・文学エッセイ』『短篇ベスト10』、コワコフスキ『ライロニア国物語』(いずれも共訳、国書刊行会)、ムロージェク『所長』『鰐の涙』(未知谷)、グラビンスキ『動きの悪魔』『狂気の巡礼』『火の書』『不気味な物語』(いずれも国書刊行会)などがある。
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記憶の図書館 ボルヘス対話集成
¥7,480
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ボルヘス、世界文学の迷宮を語る。 ポー、ワイルド、カフカ、フロベール、ダンテ、スピノザ、ルゴーネス、幻想文学、推理小説——偏愛してやまない作家と作品をめぐり20世紀文学の巨匠が縦横自在に語った深遠なる118の対話集。多彩なテーマは日本、仏教、映画や、キリスト、仏陀、母、友情等々までにおよぶ。世界各国で出版されている名著の完訳版、本邦初訳。 [出版社より] 著 者|ホルヘ・ルイス・ボルヘス/オスバルド・フェラーリ 訳 者|垂野創一郎 出版社|国書刊行会 定 価|6,800円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|700 ISBN|978-4-336-07244-3 初 版|2021年09月 Contents 第一部 序文(ホルヘ・ルイス・ボルヘス) 序文(オスバルド・フェラーリ) 第1日 アルゼンチン人のアイデンティティ 第2日 百代の過客 第3日 秩序と時間 第4日 ボルヘスと公衆 第5日 ボルヘスのテキストはいかに生まれ作られるか 第6日 地理上の南部、親密な南部 第7日 コンラッド、メルヴィル、そして海 第8日 政治について 第9日 マセドニオ・フェルナンデスとボルヘス 第10日 プラトン、アリストテレスとボルヘス 第11日 芸術は時代から自由でなくてはならない 第12日 虎、迷宮、鏡、刃物 第13日 カフカは人類の記憶の一部となり得る 第14日 モデルニスモとルベン・ダリオ 第15日 ボルヘスは人格神を信じない 第16日 愛について 第17日 アルフォンソ・レイエスとの友情 第18日 東洋、易経、仏教 第19日 夢について 第20日 リカルド・グイラルデスについて 第21日 ユーモアについて 第22日 ヘンリー・ジェイムズについて 第23日 推測について 第24日 ウェスタンあるいは映画の叙事詩 第25日 ルゴーネス、この厳格で不運な男 第26日 八十五歳の古典 第27日 ダンテ、果てのない読書 第28日 リアリズムの文学と幻想文学 第29日 シルビーナ・オカンポ、ビオイ-カサレス、フアン・R・ウィルコック 第30日 歴史について 第31日 サルミエントへの信頼 第32日 推理小説 第33日 ペドロ・エンリケス・ウレーニャとの友情 第34日 蔵書、闘鶏場、珍しい詩の思い出 第35日 キプリングの呼び起こし 第36日 ボルヘスと記憶 第37日 「フロリダ」「ボエド」両グループ、雑誌「スル」 第38日 対話について 第39日 ガウチョ詩について 第40日 ソネット、啓示、旅、国 第41日 倫理と文化 第42日 日本への二度の旅 第43日 エバリスト・カリエゴ、ミロンガ、タンゴ 第44日 スカンディナヴィアの神話とアングロサクソンの叙事詩 第45日 ボルヘスとアロンソ・キハーノ 第二部 序文(オスバルド・フェラーリ) 第46日 ソクラテス 第47日 合衆国について 第48日 書物崇拝 第49日 アルゼンチンの過去・現在・未来 第50日 哲学 第51日 母レオノール・アセベド・スアレス 第52日 序文について 第53日 フロベール 第54日 ウルグアイについて 第55日 詩の知性 第56日 アルマフエルテ 第57日 仏教 第58日 叙事詩の味わい 第59日 ヴァージニア・ウルフ、ビクトリア・オカンポ、フェミニズム 第60日 『共謀者たち』 第61日 教育について 第62日 バートランド・ラッセル 第63日 「推測の詩」 第64日 詩についての新対話 第65日 人類月に立つ 第66日 ロシアの作家 第67日 スピノザ 第68日 アロンソ・キハーノについての新対話 第69日 ケルト文化 第70日 ケベード 第71日 神秘家スウェーデンボリ 第72日 絵画 第73日 ヴォルテール 第74日 十九世紀 第75日 ウェルギリウス 第76日 友情について 第77日 チェスタトン 第78日 『天国・地獄百科』 第79日 ルクレティウス 第80日 フランスについて 第81日 マーク・トウェイン、グイラルデス、キプリング 第82日 個性と仏陀 第83日 アイルランド文学 第84日 ゴンゴラ 第85日 ニュー・イングランドの詩人たち 第86日 暗喩について 第87日 エドガー・アラン・ポー 第88日 ポール・グルサック 第89日 シェイクスピア 第90日 『共謀者たち』についての新対話 第三部(補遺) 序文(オスバルド・フェラーリ) 補遺第1日 最初の対話、一九八四年三月九日 補遺第2日 『天国・地獄百科』、スティーヴンスン、バニヤン 補遺第3日 因果律 補遺第4日 幻想文学とSF 補遺第5日 ジェイムズ・ジョイス 補遺第6日 砂の本 補遺第7日 パスカル 補遺第8日 物真似の国 補遺第9日 『天国・地獄百科』 補遺第10日 リベラリズムとナショナリズム 補遺第11日 エマソンとホイットマン 補遺第12日 ストア主義 補遺第13日 イエス・キリスト 補遺第14日 友情の讃美 補遺第15日 ポール・ヴァレリー 補遺第16日 「じゃま者」 補遺第17日 オスカー・ワイルド 補遺第18日 荒地と平原 補遺第19日 アドルフォ・ビオイ-カサレス 補遺第20日 政治と文化 補遺第21日 バーナード・ショー 補遺第22日 映画の批評 補遺第23日 グルサックについてふたたび 補遺第24日 文学の危機 補遺第25日 W・B・イェイツ その一 補遺第26日 W・B・イェイツ その二 補遺第27日 文学の思想家 補遺第28日 時間 索引及び人名註 訳者あとがき Author ホルヘ・ルイス・ボルヘス Jorge Luis Borges 1899年ブエノスアイレスに生まれる。教養豊かな家庭に育ち、年少よりヨーロッパ諸国を移り住んだ。六歳の頃から早くも作家を志望し、驚くべき早熟ぶりを示す。アルゼンチンに帰国後、精力的な文学活動を開始。一九六一年国際出版社賞を受賞。その後、著作は全世界で翻訳されている。20世紀を代表する作家の一人。驚異的な博識に裏打ちされた、迷宮・鏡・円環といったテーマをめぐって展開されるその幻想的な文学世界は、日本でも多くの愛読者を持ち、全作品のほとんどが翻訳出版されている。一九八六年スイスにて死去。 小説に『伝奇集』『ブロディーの報告書』『創造者』『汚辱の世界史』(以上岩波書店)『エル・アレフ』(平凡社)『砂の本』(集英社)、評論に『続審問』『七つの夜』(以上岩波書店)『エバリスト・カリエゴ』『論議』『ボルヘスのイギリス文学史』『ボルヘスの北アメリカ文学史』『ボルヘスの「神曲」講義』(以上国書刊行会)『永遠の歴史』(筑摩書房)、詩に『永遠の薔薇・鉄の貨幣』(国書刊行会)『ブエノスアイレスの熱狂』(水声社)、アンソロジーに『夢の本』(国書刊行会)『天国・地獄百科』(水声社)などがある。 オスバルド・フェラーリ 1948年生まれ。アルゼンチンの詩人・評論家。 Translator 垂野 創一郎 Soichiro Taruno 1958年、香川県生まれ。東京大学理学部卒。訳書にレオ・ペルッツ『最後の審判の巨匠』(晶文社)、『夜毎に石の橋の下で』『ボリバル侯爵』『スウェーデンの騎士』(国書刊行会)、バルドゥイン・グロラー『探偵ダゴベルトの功績と冒険』、アレクサンダー・レルネット=ホレーニア『両シチリア連隊』(東京創元社)など。
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アフター・クロード
¥2,640
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「捨ててやった、クロードを。あのフランス人のドブネズミ」 あらゆるものに牙を剥き、すべての人間を敵に回す。わきまえない女ハリエットの地獄めぐりがいま始まる……。伝説の作家アイリス・オーウェンスの最高傑作にして40年の時を超えて現代を撃つ、孤高の問題作! 真夏のニューヨーク、ハリエットは同居するクロードと仲違いしてアパートを追い出される危機に陥る。身を守るために悪戦苦闘する彼女を待ち受けていたさらなる地獄とは……速射砲のように放たれる、宗教・人種・セックス・フェミニズム等々のあらゆる問題を無差別攻撃した過激なセリフ、知的で過剰なユーモアにあふれた筆致で描かれる一人の女の残酷物語。『ロリータ』の版元オリンピア・プレスでポルノ作家として活躍し、スーザン・ソンタグをして「彼女は最先端(ヒップスター)」と言わしめた伝説の作家の鮮烈な第一長篇がついに邦訳!(1973年作) [出版社より] 「この凄い小説の破天荒な語りを日本語にできるのは渡辺佐智江さんしかいないと思い、薦めたらたちまち意気投合、二人でオーウェンス・ファンクラブを結成した。ぜひあなたも本書を読んで仲間入りを!」 ——若島正 著 者|アイリス・オーウェンス 訳 者|渡辺佐智江 出版社|国書刊行会 定 価|2,400円+税 判 型|四六変型判/上製 頁 数|282 ISBN|978-4-336-06063-1 初 版|2021年09月 Author アイリス・オーウェンス Iris Owens 生年不詳、ニューヨーク生まれ。父はプロの賭博師。バーナード・カレッジ卒業後、1953年パリに渡り、前衛雑誌の編集人アレグザンダー・トロッキと出会い、彼の仲介によりオリンピア・プレスにてハリエット・ダイムラー名義でポルノ小説を執筆し人気を博す(デビュー作はDarling[56年])。70年にニューヨークに戻り、73年『アフター・クロード』を刊行。84年には2作目Hope Diamond Refuseを執筆する。2008年死去。2010年『アフター・クロード』が〈ニューヨーク・レビュー・ブックス・クラシックス〉叢書で復刊され再評価が高まった。 Translator 渡辺 佐智江 Sachie Watanabe 翻訳家。訳書にリチャード・フラナガン『奥のほそ道』(白水社)、アルフレッド・ベスター『ゴーレム100』(国書刊行会)、アーヴィン・ウェルシュ『フィルス』(パルコ出版)、ビル・カニンガム『ファッション・クライミング』(朝日新聞出版)、レム・コールハース『S,M,L,XL+』(ちくま学芸文庫・共訳)など多数。
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インヴィンシブル
¥2,420
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《レギスⅢへの着陸完了。サブ=デルタ92型砂漠惑星。われわれは第二手順に則ってエヴァナ大陸の赤道地帯へ上陸する》 この通信から40時間後、まったく意味をなさない奇妙な音声を伝えてきたのを最後に消息を絶ったコンドル号を捜索するため、二等巡洋艦インヴィンシブル号は琴座の惑星レギスⅢに降り立った。そこは見わたす限りの広大な大地に生命の気配のない、赤茶けた灰色の空間であった。やがて、偵察のために投入された撮影衛星が人工的な構造物をとらえ、探索隊が写真が示す地点へと向かう。たどり着いたのは、奇怪な形状を有し廃墟と化した《都市》であった。 《都市》の内部へと足を踏み入れ、調査を進める探索隊であったが、そこにコンドル号発見の知らせがもたらされる。急ぎ現地に向かった一行が目にしたのは、あたり一面に物と人骨が散乱し、砂漠にめり込んでそそり立つ、変わりはてたコンドル号の姿であった。謎に満ちたこの惑星でいったい何が起こったのか!? ――『エデン』『ソラリス』からつらなるファースト・コンタクト三部作の傑作のポーランド語原典からの新訳。解説=沼野充義。 [出版社より] 著 者|スタニスワフ・レム 訳 者|関口時正 出版社|国書刊行会[スタニスワフ・レム・コレクション] 定 価|2,200円+税 判 型|四六変型判/上製 頁 数|292 ISBN|978-4-336-07134-7 初 版|2021年09月 Contents 黒い雨 廃墟の谷間で コンドル 一人目 雲 ラウダの仮説 ロアン隊 敗北 長い夜 会話 不死身 訳者あとがき(関口時正) 解説 稼働する物語装置、星の啓示(沼野充義) スタニスワフ・レム年譜 Author スタニスワフ・レム Stanisław Herman Lem 1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年には現代SF の全2 冊の研究書『SF と未来学』を完成。70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年に死去。 Translator 関口 時正 Tokimasa Sekiguchi 1951 年、東京都生まれ。東京大学卒。1992 年から2013 年まで東京外国語大学でポーランド文化を講じた。同大学名誉教授。2021 年、ポーランド文学普及・翻訳の顕著な業績に対してThe Polish Book Institute よりトランスアトランティック賞を授与される。著書に『ポーランドと他者』(みすず書房)、Eseje niecałkiem polskie(ポーランドUniversitas)、『白水社ポーランド語辞典』(共著)、訳書にスタニスワフ・レム『主の変容病院・挑発』(国書刊行会)、チェスワフ・ミウォシュ『ポーランド文学史』(共訳)、ヤン・コハノフスキ『挽歌』、ボレスワフ・プルス『人形』、アダム・ミツキェーヴィチ『バラードとロマンス』、同『祖霊祭──ヴィリニュス篇』、スタニスワフ・イグナツィ・ヴィトキェーヴィチ『ヴィトカツィの戯曲四篇』(以上未知谷)、『ショパン全書簡──ポーランド時代』、『ショパン全書簡──パリ時代』上・下(共訳)、イヴァシュキェヴィッチ『尼僧ヨアンナ』(以上岩波書店)、『ヤン・コット 私の物語』(みすず書房)などがある。
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2084年報告書 地球温暖化の口述記録
¥2,970
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2084年が舞台のSF小説。すでに世界は深刻な気候温暖化で危機に直面している。歴史記録の研究者(2012年生)が、なぜ温暖化を阻止できなかったのかという疑問を念頭に世界各地の記者や学者の歴史証言を取材して執筆。21世紀初めの10年、20年間には深刻な影響が明らかだったのに、政治家や化石燃料推進派は科学的根拠を否定し続け、科学者の警告を握りつぶした。2050年以降世界各地で未曽有の事態が進行し、2084年には人類は生存の危機に瀕している。 [出版社より] 「あなたが生存を脅かす気候変動の不安で眠れないならば、ジェームズ・ローレンス・パウエルの『2084年報告書』を読むと、温暖化と闘って地球を救おうするリーダーを選ぶのに必死になるだろう」 ——マリ・クレール誌 「実に怖い本だ――急いでしっかり行動しないとこうなる。そして本書にはどうやって変化を起こせるかの手がかりが満載であり、予言ではなく、フィクションである」 ——ニューヨークタイムズ紙ベストセラー著者ビル・マッキベン 「未来からのこれらの報告は――科学者、医師、司祭、大使、政治家、ツバル――私に警告した。一日一日を無駄にできないことを教えてくれる。すべきことはたくさんある」 ——ジョージ・メイソン大学気候情報センター エドワード・マイバッハ 「気候変動の甚大な影響が明らかな今、歴史家で優れた作家のジェームズ・パウエルは、切迫する潰滅的な気候変動を避けるために私たちがいま行動しなければ、恐ろしい地球規模の悪夢に直面することを伝える。本書を読んで変化を起こそう」 ——ペンシルベニア州立大学教授マイケル・E・マン 著 者|ジェームズ・ローレンス・パウエル 訳 者|小林政子 出版社|国書刊行会 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|256 ISBN|978-4-336-07263-4 初 版|2021年10月 Contents 第1部 旱魃と火災 第2部 洪水 第3部 海面上昇 第4部 氷 第5部 戦争 第6部 ファシズムと移住 第7部 健康 第8部 種 第9部 出口 Author ジェームズ・ローレンス・パウエル James Lawrence Powell 地質学者。MITにて地球科学博士号を取得し、ベレア大学とオーバリン大学より名誉科学博士号を授与。オーバリン大学で20年間地質学の教鞭をとり、同大学学長代行、リード大学長、フィラデルフィアのフランクリン科学博物館研究所長、ロサンゼルス郡自然史博物館館長を歴任。レーガン、ブッシュ政権下で米国科学委員会委員を務めた。2015年に「懐疑主義的研究のための委員会(CSI、サイコップ)」に選任。著書『白亜紀に夜がくる――恐竜の絶滅と現代地質学』(青土社)ほか多数。 Translator 小林政子 Masako Kobayashi 1972年明治学院大学英文学科を中退し外務省入省。1973年〜1975年リスボン大学にて研修。主に本省では中近東アフリカ局、国連局原子力課に勤務。在外ではブラジル、カナダにて勤務。1998年外務省を退職して翻訳を志す。ユニ・カレッジにて日暮雅道氏、澤田博氏に師事。 訳書には、パール・バック『神の火を制御せよ―原爆をつくった人びと』(2007) 径書房、弊社刊でパール・バック『私の見た日本人』(2013)、シェイマス・オウマハニー『現代の死に方』(2018)、スティーブン・R・バウンの著作『壊血病』(2014)、『最後のヴァイキング』(2017)などがある。
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死、欲望、人形——評伝ハンス・ベルメール
¥4,950
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すべてのエロティック表現者に捧ぐ! フェティッシュな少女人形――痙攣的な美! ブルトンとバタイユを魅了し、澁澤龍彥と四谷シモンをとりこにした、イマージュの極北! 不屈の生涯、本邦初の評伝。 父親やナチスなど権威への反逆から人形制作を開始し、ベルリン・ダダの洗礼を受けてシュルレアリスムへ接近。フランスへの亡命、エルンストとの収容所生活、従妹ウルスラ、ウニカ・チュルン、再会を待ち焦がれた双子の娘への愛……。「呪われた芸術家」はいかにして暴力的なまでの「肉体のアナグラム」を懐胎したのか。サドを賛美し、快楽の彼方にエロスとタナトスの合一を夢見た激越なる生と芸術――。 ハンス・ベルメールほど日本でエロティックな文脈で好まれる作家もいない。腹や肩や乳房に丸いジョイントを持つ球体関節人形は、澁澤龍彦の紹介で広く知られるようになり、四谷シモンもその雑誌記事を読んで球体関節人形の制作を決意。その後も数々の人形作家、バタイユやサドの挿絵エッチングから銅版画家に影響を与え、そのフォロワーの裾野は舞踏、マンガ、映画へと広がり続ける。ゴスロリブーム、押井守監督『攻殻機動隊2 イノセンス』など、そのさかのぼった先にベルメールがいる。 晩年のベルメールをはじめ、多くの関係者の証言から浮かびあがる不屈の生涯。ファン待望の本邦初評伝! カラー口絵16頁を添えて、約350点の充実の図版。愛蔵の美麗筒函入。 [出版社より] 著 者|ピーター・ウェブ/ロバート・ショート 訳 者|相馬俊樹 出版社|国書刊行会 定 価|4,500円+税 判 型|A5判/上製・筒函入 頁 数|448 ISBN|978-4-336-07225-2 初 版|2021年08月 Contents はじめに 序/新版への序/日本語版序 第1章 ドイツ 1902-1933 第2章 人形 1933-1934 第3章 ベルメールとシュルレアリスム 1933-1938 第4章 人形の遊び 1934-1938 第5章 パリ 1938-1939 第6章 南仏 1939-1945 第7章 イマージュの解剖学 1939-1949 第8章 南仏 1945-1949 第9章 パリ 1949-1955 第10章 パリ 1955-1975 おわりに 謝辞 訳者解説 ハンス・ベルメール略年譜 索引/掲載図版リスト/参考文献 Author ピーター・ウェブ 1941年生まれ。ケンブリッジ大学、ロンドン大学卒業。「ベルメールの生涯と作品」でイースト・アングリア大学の博士号を取得。1970年代~80年代を通じて、英国内及び海外の大学で「エロティック・アート」の講座を担当。主な著書に『エロティック・アート』(1975)、『デヴィッド・ホックニーの肖像』(1988)、『スフィンクス——レオノール・フィニの生涯とアート』(2009)など。 ロバート・ショート 1938年生まれ。サセックス大学卒業。1960年代前半に5年間パリに滞在しシュルレアリスムを研究。アンドレ・ブルトンのグループと交流。ハル大学、またイースト・アングリア大学ヨーロッパ研究学科で講義にあたった。1960年代~80年代初頭に「シュルレアリスムの夕べ」を開催、また1960年代~70年代に映画監督として活躍。主な著書に『シュルレアリスム——永遠の真実』(ロジャー・カーディナルと共著、1971)、『パウル・クレー』(1979)、『ダダとシュルレアリスム』(1980)、『黄金時代——シュルレアリスムの映画』(2004)など。 Translator 相馬 俊樹 Toshiki Soma 1965年生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史専攻卒業。美術評論家。東西のエロティックアートを広く紹介。『エロティック・アートと秘教主義』(エディシオン・トレヴィル)、『アナムネシスの光芒へ——幻景綺論』(芸術新聞社)、『禁断異系の美術館』シリーズ①~③(書苑新社)、『魔淫の迷宮——日本のエロティック・アート作家たち』(ポット出版)ほか。
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サイコマジック
¥4,180
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世界中の人々の意識を変えた、現実を変革するアート——。 アートとセラピーを融合させた、新しい癒しの提言。時代の不安を拭い去り、希望を創る独自の心理療法〈サイコマジック〉。待望の書、ついに邦訳刊行。 「論理的であってほしいと望むこの人生は、気違いじみて、ショッキングで、驚異的で残酷だ。私たちの行動は論理的で、意識的な振りをしているが、実際には、非理性的で、狂っていて、矛盾している」 「ひとは自分自身の狂気を通過することによってのみ、賢者になるんだ」 「蓮の花は泥の中から咲くことを決して忘れてはならない。浄められた空に向かって昇るためには、泥濘を探求し、死と泥に触れる必要がある」 「一度もしたことのない何かをする瞬間に、もう私たちは治癒の道にいる。ルーティーンを破らなければならない」 [出版社より] 著 者|アレハンドロ・ホドロフスキー 訳 者|花方寿行 出版社|国書刊行会 定 価|3,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|460 ISBN|978-4-336-07035-7 初 版|2021年06月 Contents 日本語版への序 プロローグ ▶第一部 サイコマジック――パニック・セラピーの素描 (ジル・ファルセットとの対話) 序文(ジル・ファルセット) 詩的行為 演劇的行為 夢的行為 魔術的行為 サイコマジック行為 サイコマジック行為数例 サイコマジック書簡抄 想像力に力を ▶第二部 ミュータントのためのレッスン (ハビエル・エステバンとのインタビュー) 魂の鍵 人生の航路 不可視の橋 幻視 治癒させる芸術 生を理解する ▶第三部 創造力速修講座 序 想像力のエクササイズ 想像力のテクニック セラピーへの応用 訳者解説 アートからセラピーへ――ホドロフスキーの宇宙 Author アレハンドロ・ホドロフスキー Alexandro Jodorowsky Prullansky 1929年、チリでロシア系ユダヤ人の子として生まれる。映画監督、映画プロデューサー、芸術家、劇作家、俳優、詩人、作家、音楽家、漫画作家、タロット研究家、サイコセラピスト。『エル・トポ』(1970)、『ホーリー・マウンテン』(1973)など前衛的作風の映画がカウンターカルチャーを代表する人々に絶賛され、カルトムービーの鬼才として名を馳せる。日本のアートシーンにも熱狂的なファンが多く、2013年には〈実現しなかった映画〉として知られる『DUNE』を題材とするドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』が話題を集めた。タロット研究家、サイコセラピストとしての活動も長年おこなっており、フィリップ・カモワンとともに製作した〈カモワン・タロット〉によるリーディングセラピーで知られるほか、科学によって精神を治療するのではなく芸術によって魂を解放する独自のセラピー〈サイコマジック〉の取り組みをライフワークとしている。現在はパリを拠点に活動しており、自伝『リアリティのダンス』を原作とする映画2作『リアリティのダンス』(2013)『エンドレス・ポエトリー』(2016)に続く3作目、『エッセンシャル・ジャーニー』を2021年現在製作準備中である。 Translator 花方寿行 Kazuyuki Hanagata 静岡大学人文社会科学部教授。専門は比較文学文化、スペイン・ラテンアメリカ文学。著書に『我らが大地――19世紀イスパノアメリカにおけるナショナル・アイデンティティのシンボルとしての自然描写』(晃洋書房)、共著書に今野喜和人編『翻訳とアダプテーションの倫理』(春風社)、共訳書に『ホセ・マルティ選集1 交響する文学』(日本経済評論社)、フォンターナ『鏡のなかのヨーロッパ』(平凡社)がある。
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精神科医の悪魔祓い——デーモンと闘いつづけた医学者の手記
¥3,080
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奴らは、いる――。「悪魔憑依」に挑む異色のアメリカ人医師が、25年に及ぶ体験を赤裸々に綴った衝撃のドキュメント。 著者のギャラガー博士は一流大学で研鑽を積んだアメリカの精神科医・精神医学者だが、1990年代から、「悪魔憑き」「憑依」と呼ばれる症例に多く接するようになり、医学的観点から〝悪魔憑依〟について診断・研究するようになった。さらにはキリスト教カトリック公認の「祓魔師(エクソシスト)」からもしばしば助力を乞われ、〝悪魔祓い〟の現場に幾度も立ち合い、その現実を目の当たりにしてきた。本書はそんな特異な経歴と実績をもつ精神科医がこれまでの「症例」について詳細にレポートし、かつ深い分析を加えたもので、原著の刊行は2020年。関係者のあいだでは待望されていた1冊である。 科学的・医学的世界と悪魔祓いの世界という2つの対極的世界を長年にわたって歩んできたギャラガー博士によれば、悪魔憑依の症例は、本人がそう思い込んでいるだけ、つまり何らかの精神疾患や精神病に起因するものが圧倒的に多い。しかし、明らかにこれにはあてはまらないケースも確実に存在する。祓魔式の最中に30分間も空中浮揚した女性、憑依状態になると全く知らないはずの複数の言語をわめいて暴れ回る女性、憑依に陥ると体重200ポンドの男性を軽々と投げ飛ばす小柄な女性、消息を絶った真正の悪魔崇拝者……。 このような数多くの瞠目すべき例を紹介しながら、著者は、科学的知見を超越した「悪霊」「悪魔」の存在が疑いえないことを、明らかにしてゆく。現代アメリカにおける悪魔憑依現象の実態について、豊富な実体験にもとづいて冷静に分析してみせた本書は、現代社会がサイキックな問題であふれかえっていることを雄弁に物語っている。 [出版社より] 著 者|リチャード・ギャラガー 訳 者|松田和也 出版社|国書刊行会 定 価|2,800円+税 判 型|四六判 頁 数|352 ISBN|978-4-336-07248-1 初 版|2021年09月 Contents イントロダクション 第1部 懐疑者から観察者へ 第1章 最初の旅 興味を抱いた学生 第2章 司祭来る 外的苛虐の観察 第3章 ジュリア、サタンの女王 その憑依と、驚くべき能力 第2部 研究者にして診断医 第4章 霊による障害 憑依のスペクトラム診断 第5章 苛虐の種類の診断 第6章 心の問題 虚偽の事例およびその他の医学的課題 第7章 キャサリン――母親、主婦、被憑依者 彼女が受けた一連の祓魔式と、儀礼の実際 第8章 真剣な研究者 第9章 悪霊信仰の歴史、超常現象および侵襲という観念の出現 第10章 アリス 悪魔祓いの成功事例と、原因と解決に関する追記 第3部 相談役にして研究者――医師による擁護と警告 第11章 バーバラと見当違いの悪魔への恐怖 第12章 最後の論争 悪魔祓いの濫用、および批判者、研究者、メディアに対する、憑依およびいわゆる超常現象の科学的情勢に関する最後の覚え書き エピローグ これらの現象の背後にある真実 何故悪魔は攻撃するのか Author リチャード・ギャラガー Richard Gallagher アメリカの精神科医。プリンストン大学卒業。ニューヨーク医科大学臨床精神科教授、コロンビア大学精神分析研究所教授会員、国際祓魔師協会会員。1990年代から「悪魔憑き」「憑依」の症例にたびたび遭遇。医師・医学者としてその診断・治療に携わり、またこの問題に取り組むカトリック司祭、ラビなどの宗教的聖職者や祓魔師(エクソシスト)の相談役を務める。「憑依」の診断・研究に関する精神医学分野におけるエキスパートにして第一人者。 Translator 松田 和也 Kazuya Matsuda 翻訳家。スティーブン・ネイフ他『ファン・ゴッホの生涯』、マグナス・ヘイスティングス『WHY DRAG?』(以上国書刊行会)、ジュリア・ブラックバーン『黒の画家 フランシスコ・ゴヤ』、W. W. Y. ウォング『ゴッホ・オンデマンド』(以上青土社)、バート・D. アーマン『書き換えられた聖書』(ちくま学芸文庫)等、翻訳書多数。