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自然〈じねん〉の哲学——おカネに支配された心を解放する里山の物語
¥2,200
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里山から始まる持続可能な未来。 自然〈しぜん〉と人間を区別することなく、両者が一体となった自然〈じねん〉の世界。里山とはそのような場所であり、変わりつつある今も、さまざまなことを教えてくれる。里山に移住してきた若い人たちとの対話を手がかりに、自らも里山に移住した環境学者が思索を深めてたどりついた、サステナブルな生き方とは――。 田舎暮らしにあこがれているけれど、迷っている人、必読。もちろん、移住を決めた人、すでに移住した人にもおすすめ。そして、移住者を受け入れる側の人たちにもぜひ読んでいただきたい。 この危機の時代に、田舎に暮らすことの意味が掘り下げられ、同時に問題点も明らかにされますが、それでも希望が見えてきます。人とつながって、自然とつながって、生態系の一員として暮らしていくこと。それがいまある生態系を維持し、その恵みを将来世代へとつないでいく。 田畑を借りて自家用のコメや野菜をつくり、山で木を伐って燃料を調達する。そんな日常が、おカネに支配された心を解放してくれる。 持続可能な自分も、未来も、里山から始まります [出版社より] 著 者|高野雅夫 出版社|ヘウレーカ 定 価|2,000円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|240 ISBN|9784909753106 初 版|2021年08月 Contents はじめに 第1章 里山世界と村の成り立ち――自然の一部としての人間の暮らし ・里山とは何か――さまざまな生き物が息づく場所 ・村のルーツをたどる ・楽しいから集まって仕事をする―― 結と普請 ・信仰のグループからおカネの相互扶助へ ・「村はよそ者に冷たい」はほんとうか ・生きた化石 第2章 せめぎあう村と国家――自治vs.統制のゆくえ ・明治維新で中央の村への介入が始まった ・心の統制の始まり、廃仏毀釈 ・格差を広げた地租改正 ・田舎が最も輝いた時代 ・禁断の果実 ・共有される物語を求めて 第3章 森と農の物語 ―― 自然から浮き上がっていく人間の姿 ・宇宙から見える日本の人工林 ・山で働くことの意味 ・そして雑木林は失われた ・森づくりビジョン ・慣行農法の功罪 ・第2種兼業農家という生き方 ・有機農業・自然農・自然栽培 第4章 水俣と福島から「生国」を学ぶ――生命に対する責任とは ・滅びゆく里海 ・水俣病 ・「チッソは私であった」 ・おカネでは解決できない ・放射能あふれる里山で ・生 死 ・原生林 ・死という使命 第5章 「おカネ」の物語から自由になる―― 巨大な力に翻弄されないために ・我が心の中の「日本国」 ・現代人が共有する物語としてのおカネ ・主人公は資本 ・疎外のない企業活動は可能か ・モード ・オフグリッドで生きる人たち ・おカネ道 第6章 解けなくなった人生方程式 ―― 「人並みな暮らし」は幸せなのか ・だれもが夢見た一生安泰物語 ・成長時代の夢のまま変わらない教育 ・変化の兆しとかすかな希望 第7章 第2次移住ブームがやってきた―― 自分らしい生き方を求めて ・なぜ田舎から出ていくのか ・なぜ田舎にやってくるのか ・どんな仕事をして食べていくか ・里山の子育て 第8章 「弱さ」の物語 ―― 価値の大逆転 ・「to do 」から「to be」へ ・「弱さ」がもつ求心力 ・弱さの情報公開 第9章 自然の哲学――物語を書き換える ・科学の物語 ―― もう一つの信仰 ・「いのち」の物語―― 生態系×進化の織物 ・せめぎあい――メガソーラーによる環境破壊に思うこと ・じねんに生き、じねんに死ぬ ・木の声を聞く―― 「いのち」の物語へのレッスン ・ご縁 ・いまを生きる おわりに Author 高野 雅夫 1962年山口県生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科教授・博士(理学)。 木質バイオマスエネルギーやマイクロ水力発電などの再生可能エネルギーの技術開発とそれらの普及を通した里山再生について農山村をフィールドとして研究を行う。 再生可能エネルギーを普及させるには豊富な自然資源が存在する農山村が持続しなくてはいけないものの、人口減少と高齢化によって集落消滅が進む事態に直面していることを知る。そこで、愛知県豊田市の山村部を主なフィールドに、若者の移住支援を中心にした農山村地域再生の研究および実践に取り組む。 また、2014年4月に立ち上がった、大学と社会との連携を進める名古屋大学・臨床環境学コンサルティングファームの部門長として、自治体や企業、NPO に対して持続可能な地域づくりのためのコンサルティング活動を進めている。2013年には国連の専門家会議で日本の里山がもつ持続可能な社会づくりにとっての意義について報告した。 主な著書に『人は100W で生きられる』(大和書房、 2011年)、編著に『持続可能な生き方をデザインしよう』(明石書店、2017年)、共著に『 千年持続社会――共生・循環型文明社会の創造』(資源協会編、日本地域社会研究所、2003年)、『 市民参加型社会とは――愛知万博計画過程と公共圏の再創造』(町村敬志、吉見俊哉編、有斐閣、2005年)などがある。
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いかにして抹殺の〈思想〉は引き寄せられたか 相模原殺傷事件と戦争・優生思想・精神医学
¥2,750
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妄信、世迷言……。相模原殺傷事件の被告、植松聖の主張をそう切り捨ててしまうのは思考停止である――。 精神科医として不登校、ひきこもり、発達障害、人格障害などについて、社会の構造の変化を視野にいれながら分析し、精力的に発言してきた著者が、「大麻解禁」、「世界平和」、「障害者排除」に集約される植松の〈思想〉に正面から向き合い、批判を展開。 なぜ植松はその〈思想〉を引き寄せたのかを、第一次世界大戦から第二次世界大戦期の社会思想、優生思想、精神医学の歴史をたどりながら解明。事件の悲劇の本質に迫る。 [出版社より] 著 者|高岡健 出版社|ヘウレーカ 定 価|2,500円+税 判 型|四六判 頁 数|216 ISBN|978-4-909753-02-1 初 版|2019年4月 Contents ■第一部 相模原殺傷事件の〈思想〉 序 章 相模原事件が問いかけるもの 事件の流れと〈思想〉/三つの論点/措置入院から退院までの経緯/措置入院制度強化をめざす法改正の動き/長期収容施設か地域移行か /植松の示す人間の定義と「秩序」/植松は戦争に反対している/大麻支持、反タバコ、反精神薬 第一章 〈思想〉の見取り図――大麻・戦争・障害者殺害 植松の〈思想〉とヒトラーの思想 /大麻解禁の意図/スピリチュアルとエコロジー/ファシズムと戦争/トランプは〈リベラル〉の政治的交代者/反ユダヤ主義と障害者殺しは別物/家族に対する「恩恵」としての安楽死/「安倍晋三様のお耳に」とは何か 第二章 いかにして植松聖は〈思想〉を引き寄せたか 植松聖の個人精神病理/行動とイデオロギーを引き寄せるモメント/軍隊と徴兵制を引き寄せるモメント/美としての軍隊/国民精神形成の戦争と現実の戦争との乖離/植松が引き寄せたイデオロギー/植松聖にとっての人種問題 ■第二部 優生思想と戦争 第三章 優生思想の精神医学 植松の〈思想〉は優生思想か?/イギリスとアメリカの優生思想/北欧の優生思想 /英米の優生思想とドイツの優生思想の共通点/優生思想の日本への輸入/中絶禁止法として機能した国民優生法/優生保護法への道/優生保護法の成立と改正/一九七〇年代の優生保護法改正反対闘争/岐阜大学胎児解剖実験/優生保護法に対する日本精神神経学会の意見/母体保護法へ/新型出生前診断に対する危惧 第四章 戦争の精神医学 第一次世界大戦とフロイト/戦争を遠ざける視点を堅持していたフロイト/第二次世界大戦とドイツ精神医学/ナチスの優生思想と反タバコキャンペーン/ベトナム戦争とアメリカ精神医学 /精神医学は戦争から手を引くべきときに来ている 第五章 国家意思・戦争・精神医学――主に日本の場合 第二次世界大戦で日本の軍事精神医学が果たした役割/国家意思を体現した精神科医/若き神谷美恵子/現在の日本の民衆は戦争を求める必然性を持っていない/日本の殺人心理学/自衛隊と自殺/反-軍事精神医学 ■第三部 イデオロギーと精神医学 第六章 相模原殺傷事件の倫理学――社会・イデオロギー・精神病理学 平常と異常の境界は明確か/連合赤軍事件/ナチスによるT4作戦・人体実験・ユダヤ人絶滅収容所/ノルウェー連続テロ事件/事例の補足――シュレーバー/ナチズムが定着するまでの機序/イデオロギーと結合しても行動化しない場合/まとめと補足――トランプ米大統領をめぐる言説 終章 戦争と福祉国家の逆説――相模原殺傷事件の影 暴かれたアスペルガーとナチスとの関係/情性欠乏というレッテル/役に立つ子どもと立たない子どもはいかに分類されたか/戦争と福祉国家の逆説/再び相模原殺傷事件の〈思想〉について/優生思想と戦争/イデオロギーと行動と精神医学 Author 高岡 健 Ken Takaoka 1953年生まれ。精神科医。岐阜大学医学部卒。岐阜赤十字病院精神科部長、岐阜大学医学部精神病理学分野准教授などを経て、現在、岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター。自閉症スペクトラムの臨床研究、少年事件の精神鑑定、不登校・引きこもりの臨床社会的研究などに取り組む。日本児童青年精神医学会理事。雑誌「精神医療」(編集=「精神医療」編集委員会、発行批評社)編集委員。主な著書に『発達障害は少年事件を引き起こさない』『精神鑑定とは何か』(ともに明石書店)、『やさしい発達障害論』(批評社)、『自閉症論の原点』(雲母書房)など多数。
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ヒロインたちの聖書ものがたり——キリスト教は女性をどう語ってきたか
¥2,970
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旧約聖書・新約聖書に登場する40人以上の女性たちの生き方を、聖書学の最新の知見をふまえながら、ジェンダーの視点から読み解く意欲作。それぞれの時代の制約のなかで、機知と機転によってたくましく生き延びた女性もいれば、権力や社会に屈して失意のうちに生を終えた女性もいる。そうしたヒロインたちの躍動する姿を生き生きと現代によみがえらせることによって、聖書全体の流れと歴史を俯瞰しようというのが本書の狙いである。何度チャレンジしても聖書を読みつづけられなかった方も本書で聖書に魅了されること間違いありません。 [出版社より] 著 者|福嶋裕子 出版社|ヘウレーカ 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|304 ISBN|9784909753090 初版|2020年10月 Contents 第1章 祝福された女たち 第2章 生き残りを賭けて 第3章 語り出す女たち 第4章 権威と権力を身に纏う女たち 第5章 イエスと共に生きる Author 福嶋 裕子 Yuko Fukushima 青山学院大学理工学部教授、宗教主任(チャプレン)としてキリスト教概論を担当。ハーバード大学神学部博士課程修了(専門:新約聖書と初期キリスト教の諸起源)。聖書に登場する「寡婦(やもめ)」のように古代社会で周辺に生きる人びとに関心を持つ。訳書に『叫び声は神に届いた──旧約聖書の12人の祈り』(W. ブルッゲマン著、日本キリスト教団出版局、2014年)、共著『3.11以降の世界と聖書──言葉の回復をめぐって』(日本キリスト教団出版局、2016年)がある。
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片品村のカヲルさん 人生はいーからかん
¥1,650
老いる力が、私たちに教えてくれること。 尾瀬の近く、群馬県の片品村で農業を営む須藤カヲルさん(92歳)が、食の雑誌『うかたま』(農文協)の「カヲル婆さんのいーからかん人生相談」コーナーにデビューして10年。 恋愛、人づきあい、仕事、子育てなどさまざまな悩みについての、ゆるっと「いーからかん」(カヲルさんの口ぐせで、いいかげん、好い塩梅の意味)な回答が人気を集めてきました。その答えの中から「おもしろい」「役立つ」「いやされる」名(迷)言をピックアップ。カヲルさんの日常をとらえた写真と組み合わせて、一冊にまとめたのが本書です。 この本の編者、カヲル組は、フリー編集者のしまざきみさこ、フォトグラファーの高木あつ子、片品村の住人で炭アクセササリー作家の瀬戸山美智子で構成されたユニットです。 しまざきは、『うかたま』の創刊時から2017年まで編集統括として関わり、人生相談も彼女が企画しました。本書では構成と文章を担当。 高木は、『うかたま』をはじめ、食や農に関する雑誌などを中心に活躍。そのかたわら、約10年前から片品村に通い、カヲルさんを撮り続けてきました。2017年には新宿で写真展「片品村のカヲルさん」を開催。 瀬戸山は、15年ほど前、20代のときに片品村に移住した農女子。カヲルさんから味噌づくりや炭焼きなどさまざまなことを学び、それを自らの暮らしに役立てています。『うかまた』連載ではカヲルさんの答えを聞きだす係です。 カヲルさんは、この3人の女性それぞれにとって特別な存在。カヲルさんのどこを魅力に感じているかは少しずつ違うかもしれないけれど、多くの人にカヲルさんを知ってもらい、いっしょに楽しんでほしい、という気持ちは同じです。人生経験豊かな婆ちゃんらしい、含蓄のある答えもあれば、意表をつくことばも。老いる力のすごさを発見するかもしれません。 ことばと写真の組み合わせなので、どこから読んでも、楽しめるつくりです。傍らに置いて、いつでも好きなときに本を開いて、カヲルさんの世界を味わってください。 [出版社より] 著 者|カヲル組[しまざきみさこ・高木あつ子・瀬戸山美智子] 出版社|ヘウレーカ 定 価|1,500円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|112 ISBN|978-4-909753-03-8 初版|2019年04月 Contents 恋愛のハナシ 夫婦のハナシ 女子のハナシ 親子のハナシ 仕事と人づきあいのハナシ カヲルのハナシ 人生のハナシ Author カヲル組 カヲルさんをリスペクトする、しまざきみさこ、高木あつ子、瀬戸山美智子のユニット。合言葉はもちろん「いーからかんでいこう」。 しまざきみさこ(文&構成) 編集者。フリーランスとして旅・食・農・手仕事などをテーマに雑誌、書籍、Webに携わる。現在はイベントや商品企画なども手がける。季刊『うかたま』では編集統括として、カヲルさんの連載を企画。 高木あつ子(写真) フォトグラファー。第一次産業周辺の撮影が得意。10年前の取材でカヲルさんと出会って以来、片品村に通ってカヲルさんの写真を撮り続ける。2017年には写真展「片品村のカヲルさん」を開催。 瀬戸山美智子(取材) 炭アクセサリー作家。片品村に2003年に移住。カヲルさんに出会い、味噌づくり、炭焼きなどさまざまな生業とともに生き方を学ぶ。屋号「iikarakan」でワークショップや野菜販売を展開中。
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ジェンダーからソーシャルワークを問う
¥3,300
困難な状況に置かれた人々を生み出す社会の矛盾に目を向け、当事者主体の支援を展開しながら、人々を抑圧する構造の変革をもめざすソーシャルワーク。だが、その本質を失いかけているといわれて久しい。ソーシャルワークはなぜ視野を狭め、非政治化したのか。フェミニズムとジェンダーを通して、ソーシャルワークを批判的に検証し、その変革への糸口を示す意欲的論考集。 [出版社より] 編著者|横山登志子・須藤八千代・大嶋栄子 出版社|ヘウレーカ 定 価|3,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-909753-08-3 初版|2020年5月 Contents はじめに 1 語られていない構造とは何か ――ソーシャルワークと「ジェンダー・センシティブ」(横山登志子) はじめに 1 ソーシャルワークと「ジェンダー・センシティブ」 2 事例で考える おわりに 2 女性福祉からフェミニストソーシャルワークへ ――バトラー以後に向けて(須藤八千代) はじめに 1 社会福祉学に登場する女性 2 ジェンダーとセクシュアリティ 3 ソーシャルワークのポストモダン的転回 4 バトラーが見落としている「障害」という問題 まとめにかえて 3 家族福祉論を通して、ジェンダーを社会福祉学に位置づける(鶴野隆浩) はじめに 1 社会福祉学と家族福祉論 2 独特なジェンダー概念の社会福祉学への導入 3 女性福祉への収斂化 4 ジェンダー概念からの組み立て直し:現状認識から 5 ジェンダー概念からの組み立て直し:社会福祉学の問い直し 6 ジェンダー概念からの社会福祉学の再構築 結 論 4 性被害体験を生きる――変容と停滞のエスノグラフィー(大嶋栄子) はじめに 1 2017年12月:ホームレス(Homeless)/ハウスレス(Houseless) 2 2010年2月:記憶の欠落/解離 3 2003年8月:再生のための自閉/グループホームでの日々 4 1999年5月:生き延びるためのアディクション/性被害という開示 5 心的外傷を抱える人へのソーシャルワーク 6 加害者の生/援助者のポジショナリティ/おわりに 5 〝LGBT〟とソーシャルワークをめぐるポリティクス(宮﨑 理) はじめに:個人的なことは政治的なこと 1 死と哀悼をめぐって:Yさんとの「個人的なこと」 2 ソーシャルワークにおけるジェンダーとセクシュアリティ 3 多様性と非政治化 4 哀悼可能性(grievability)の損なわれ 5 「自身の輪郭をたどる」ということ おわりに 6 「晩年の自由」に向けてのフェミニストソーシャルワーク ――老いゆく人との女性史的実践と〈継承〉(新田雅子) はじめに――怒りを表出することの意味 1 高齢者福祉の課題特性と社会的機能としての〈継承〉 2 歴史学における女性史、社会学におけるライフヒストリー 3 エイ子さんのライフヒストリー 4 女性史的実践の価値 7 内面化したジェンダー規範と戸惑い、葛藤 ――母子生活支援の最前線に立つ援助者の語りから(中澤香織) はじめに 1 家族を支える施設 2 支援の場でみえてくるもの 3 支援における葛藤 おわりに Editor 横山 登志子 Toshiko Yokoyama 同志社大学大学院博士後期課程単位取得退学。博士(社会福祉学)、精神保健福祉士。精神科ソーシャルワーカーとして勤務経験を有する。現在は札幌学院大学人文学部教授。専門はソーシャルワークの理論と実践、経験的世界の探求、家族支援や女性支援。最近は、DV被害母子の支援に関する質的研究を行っている。主著は『ソーシャルワーク感覚』(単著、弘文堂、2008年)、『社会福祉実践の理論と実際』(編著、放送大学教育振興会、2018年)など。 須藤 八千代 Yachiyo Sudo 愛知県立大学名誉教授。単著に『歩く日――私のフィールドノート』(ゆみる出版、1995年)、『ソーシャルワークの作業場――寿という街』(誠信書房、2004年)、『増補 母子寮と母子生活支援施設のあいだ』(明石書店、2010年)、共著に『フェミニズムと社会福祉政策』(ミネルヴァ書房、2012年)、『婦人保護施設と売春・貧困・DV問題』(明石書店、2013年)、『社会福祉とジェンダー 杉本貴代栄先生退職記念論集』(ミネルヴァ書房、2015年)など。訳書にレナ・ドミネリ著『フェミニストソーシャルワーク――福祉国家・グローバリゼーション・脱専門職主義』(明石書店、2015年)。 大嶋 栄子 Eiko Oshima 北星学園大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会福祉学)。特定非営利活動法人リカバリー代表、日本精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員。主な著書に『その後の不自由――「嵐」のあとを生きる人たち』(上岡陽江との共著、医学書院、2010年)、『生き延びるためのアディクション――嵐の後を生きる彼女たちへのソーシャルワーク』(単著、金剛出版、2019年)。
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時をかける台湾Y字路
¥1,870
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右に行こうか、左に行こか ──まるで人生の岐路を象徴するようなY字路。 日本で出会った台湾人との結婚を機に台北に移住した著者は、台湾のあちらこちらで出会うY字路の魅力にとりつかれ、Y字路形成の理由や歴史を調べはじめた。 すると、原住民族が暮らしていたころから清代、日本時代、戒厳令時代、そして現代に至るまで、Y字路にはそれぞれの時代の出来事や人々の息吹が地層のように積み重なっていることがわかってきた。 実際に現地を訪ね歩き、古地図と重ね合わせ、資料をくりながら、忘れられた記憶と物語に耳を傾ける。著者が訪れた百数十カ所のY字路の中から、特に魅力的な約50カ所のY字路を、写真や古地図をふんだんに使いながら紹介する。 [出版社より] 著 者|栖来ひかり 出版社|ヘウレーカ 定 価|1,700円+税 判 型|四六判 頁 数|248 ISBN|978-4-909753-05-2 初版|2019年10月 Contents まえがき Ⅰ 台北、Y字路さがし。 1 Y字路さがし時間旅行──同安街とN記者 旅のはじまり 夢のY字路 ファーストY字路 「踏切り感」のY字路 「紀州庵」の川遊び 〔道草Y字路〕瑠公とY字路 2 水の旅──最古の水路・霧裡薛圳を辿って ぶちぬき屋根のY字路 ビオトープY字路 ヤンヤンのY字路 泰順公園のY字路 3 タイムカプセル、ひらく─南昌路をあるく 地球儀のみえるY字路 南菜園のY字路 4 石とY字路とわたし─「辺界」に出会う 石隠れのY字路 境界Y字路 オアシスY字路 5 味覚の記憶地図──師範大学から永康街へ 死体拾いのY字路 連雲街のY字路 〔道草Y字路〕アメリカ西海岸なY字路 6 忘却のタイムスリップ──わすれ形見のY字路 老街入り口のY字路 凶悪事件現場のY字路 7 台北の下を水は流れ──安和路をめぐる旅 橋を渡るY字路 誠品書店裏のY字路 上埤頭の神さまY字路 象のY字路 〔道草Y字路〕Forgotten Time:被遺忘的Y字路 8 北門ちゃん──都市計画のY字路 「北門ちゃん」のY字路 夜更けに濡れるY字路 9 艋舺の動く城──台北下町物語 動く城なY字路 皮を剥いだY字路 萬華林宅のあるY字路 違法増築のY字路 市場前のY字路 北斗七星のY字路 〔道草Y字路〕高橋才治郎の梵鐘 10 風水なY字路──台北府城いまむかし 風刺漫画家のいたY字路 電影街のY字路 台湾一有名なY字路 11 カフェー桃源──女たちのY字路 民族運動のY字路 赤線地帯のY字路 184 処刑場のY字路 〔道草Y字路〕下奎府町のY字路 12 描かれたY字路──台湾アイデンティティを探して 「小故宮」と呼ばれた骨董店 台湾アイデンティティの模索 「台湾には文化がない」 〔道草Y字路〕名前のない通りにいます。 Ⅱ 台湾、Y字路ところどころ。 1 Y字路の部屋貸します。──新荘 2 福和橋のフリーマーケット──永和 3 板橋に、お城?──板橋 4 戯夢人生──三芝 5 Y字路のあたまとしっぽ──三峡 6 台湾の見世物小屋・日本の見世物小屋──内湾 7 台南一の肉まん──台南 8 ラブのリバー──高雄 あとがき Author 栖来ひかり Hikari Sumiki 文筆家・道草者。1976年うまれ。山口県出身。京都市立芸術大学美術学部卒、2006年より台湾在住。台湾に暮らす日々、旅のごとく、新鮮なまなざしを持って失われていく風景や忘れられた記憶を見つめ、重層的な台湾の魅力を伝える。著書に『在台灣尋找Y字路/台湾、Y字路さがし。』(玉山社、2017年)、『山口、西京都的古城之美:走入日本與台灣交錯的時空之旅』(幸福文化、2018年)、『台湾と山口をつなぐ旅』(西日本出版社、2018年)。挿絵、イラストも手がける。
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キネマ/新聞/カフェー 大部屋俳優・斎藤雷太郎と『土曜日』の時代
¥2,750
日本が戦争へと突き進もうとする1930年代半ば、京都で『土曜日』という週刊新聞が刊行された。1年4カ月という短い刊行期間にもかかわらず、『土曜日』は民衆への志向を持ち、人間への信頼を語りつづけた新聞として、戦後、研究者らから「日本における反ファシズム文化運動の記念碑的な出版物」と賞賛された。 その編集・発行名義人である斎藤雷太郎は、小学校を4年で中退し、職人をへて映画界へ転出したものの、役者としては無名の大部屋俳優で終わった人物である。そんな彼がなぜあの「暗い時代」に身の危険を冒してまで自ら新聞を発行しようとしたのか。知識人が書く新聞ではなく「読者の書く新聞」を目指したのはなぜか。 最後まで「貧乏人に対する裏切りができなかった」斎藤雷太郎という人物への聞き書きを通して、『土曜日』とその時代を描き出す京都新聞長期連載の書籍化。 連載終了当時、複数の出版社から書籍化の話が提案されたというが、この時点では中村は出版に同意しなかった。それからも機会あるごとに書籍化がすすられたが、話は進まないまま30年余りの歳月が流れ、そしてようやく出版化に向けての話し合いが始まった矢先の2019年1月、中村は病によってこの世を去った。今回の書籍化に力を尽くしたのは、近現代史研究者の井上史、『古都の占領』などの著作で知られる西川祐子、そして中村の後輩である元京都新聞記者の永澄憲史である。それぞれ中村と親交があり、本書刊行のためにチームを組んだ。 斎藤雷太郎が映画界に入るきっかけともなる関東大震災が起こった1923年から、『土曜日』が公権力により廃刊を余儀なくされる1937年前後までの日本社会を熟視すると、市民に不自由を強い、戦争につながっていく出来事に嫌でも目が留まる。そして私たちは、2011年3月の東日本大震災以来、あの時代と相似形のような時代の流れが日本で続いていることに気づく。 斎藤の次のような言葉を私たちは重く受け止めなければならない時代にいるのではないだろうか。 「権力に対する憎しみ、ですねえ。この気持ちは今でも同じですよ。力をもったものの偽善性。人間がどこまで悪くなるかという一つの見本ですよ、権力をもったものが腐敗する過程は……」 「自分でいうのもおかしいけど、私は事業をやれる人間だと思っているのですよ。新聞をやっていたら、おそらくやれた。でも、総会屋のような人間になっていたかも知れない。映画にいたときでも、もう少し要領よく監督につけ入って、月給の十円や二十円あげることはできたと思うが、見栄でそれはできなかった。それが人間の誇りというものではないかな、それをやらなかったということは。私の人生をふりかえって結局、貧乏人に対する裏切りができなかった、ということだと思う」 [出版社より] 著 者|中村勝 編 集|井上史 出版社|ヘウレーカ 定 価|2,500円+税 判 型|四六判 頁 数|272 ISBN|978-4-909753-06-9 初 版|2019年12月 Contents “反新聞記者”中村勝──序にかえて 永澄憲史 第1章 週刊新聞が京に 第2章 職人から役者へ 第3章 映画界の片隅で 第4章 読者の書く新聞 第5章 夢の後始末 解題・その男、貧乏人を裏切らず 井上史 「土曜日」の発行者 鶴見俊輔 父・雷太郎のこと 齋藤嘉夫 口伝のあとさき──あとがきにかえて 西川祐子 Author 中村 勝 Masaru Nakamura 1940年、山口県周防大島生まれ。同志社大学経済学部卒業後、63年に京都新聞入社。主に文化部畑を歩み、94年に編集委員に。「枯れぬ雑草 斎藤雷太郎と『土曜日』」、「京都いきあたりばったり 甲斐扶佐義・写真館」などの長期連載を手掛けた。著書に『京都みちくさの景色』(京都新聞社)、『ほんやら洞と歩く 京都いきあたりばったり』(淡交社)など。2019年1月10日、78歳で死去。 Editor 井上 史 Fumi Inoue 1957年、京都市生まれ。同志社大学大学院文学部文学研究科修了。新聞社、編集プロダクション勤務の後、生協運動史編纂などに従事。共編著『与謝野晶子を学ぶ人のために』(世界思想社)、『大学の協同を紡ぐ 京都の大学生協』(コープ出版)、『能勢克男における“協同"』(同志社大学人文科学研究所研究叢書43)など。
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少年と罪
¥1,760
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神戸連続児童殺傷事件から20年あまり。いまだ少年への憧れを隠さない子どもがいる。その一人、名古屋大学元学生は知人女性を自宅アパートで殺害、高校時代には同級生にタリウムを飲ませた罪で無期懲役となった。 「人を殺してみたかった」。 少年Aも元名大生もそう口にした。だが社会はそんな少年たちの心の闇に正面から向き合ってきただろうか――。社会を震撼とさせた重大少年事件の加害者、被害者、双方の家族、司法関係者などを丹念に取材。事件の背景や加害少年たちの内面に迫ると共に、被害者家族の悲しみと苦しみ、加害者家族の過酷な現実を描き出した、渾身のルポルタージュ。少年法の適用年齢引き下げの議論が本格化するなか、少年事件の実相を知るために欠かせない一冊。 [出版社より] 編 者|中日新聞社会部 出版社|ヘウレーカ 定 価|1,600円+税 判 型|四六判 頁 数|272 ISBN|978-4-909753-00-7 初 版|2018年10月 Contents 第1部 戦後史に残る2つの少年事件 第1章 「A」、20年 1 自身の不遇を十四歳の凶行に重ね/2 傾倒の日々を公言する少女/3 「透明な存在」捨てた/4 変化した「疲れた子ども」/5 心の深手、理解と疑問/6 自身に負けた敗残者/番外編 妙な少年、極秘マーク―刑事部長・深草雅利氏の証言から interview 雨宮処凛●世界との距離を縮め、Aと決別/土師守●厳罰化より適正化を 第2章 木曽川・長良川連続リンチ殺人事件 1 少年法の壁、遺族置き去り/2 寂しさ抱える「ええ子」/3「居場所」を失い転落/4 集団心理、引けず凶行/5 反省願いつつ墓を探す/6 議論尽くし、全員を極刑に topics 戦後の少年事件の変化と特徴 第2部 ネットの魔力 第3章 翻弄される少年たち 1 十一歳の殺人、漂う偶像/2 言葉の暴力、続く立件/3 カネと注目、求めた末/4 安直な動機、高い代償/5 驚く研究力、捜査後手/6 匿名の攻撃、実害が次々と/7 「答え」は現実の中にこそ 第4章 ライン殺人事件 1 引けぬ応酬、命を奪う/2 侵入許せず、攻撃が加速/3 手軽な交流、共犯招く interview スマイリーキクチ●本当の正義は匿名で人をたたかない/土井隆義●居場所を求める「拡張現実」 topics ネットと少年事件の変遷 第3部 加害者家族、被害者家族 第5章 ある「通り魔殺人」から 1 日常一変、絶望と指弾/2 挫折、孤独、過去を見つめて/3 償うため、一緒に動機を探す 第6章 さまよう家族 1 親の責任を問うために/2 なぜ隠した、親友の悔い/3 発達障害、光明求めて/4 許せない、けれど会う/5 思い上がり、叱り続け/6 永山の教訓、いまこそ interview 阿部恭子●子どものSOSを受け止めて topics 加害者家族からの発信/少年事件の司法手続き 第4部 更生を阻むもの、支えるもの 第7章 塀の中へ再び 1 更生の道、なぜ捨てた/2 刑罰の場、育たぬ自覚/3 変わるために支えが必要/4 居場所は自立への一歩/5 謝罪に導く仮釈放を topics 重大な少年事件の再犯率/報道は実名か、匿名か interview 田島泰彦●実名は大事な情報。事件ごとに慎重判断を 第8章 更生への道 1 分岐点で思う亡き友/2 我慢の先に未来はある/3 給料の重み知り、「受け子」を悔いる/4 孤立させず、雇い守る/5 信じてくれた人を胸に 第9章 生と死の境界で 1 償いきれぬ苦悩残し/2 許されずとも続ける/3 生きて命と向き合う 第10章 少年法改正議論を考える 1 更生か厳罰か、揺れ続け/2 世論や被害者感情配慮、四度の改正 interview 薬丸岳●元少年とどう向き合うのか。『友罪』で周囲の人物描く/武藤杜夫●少年院を日本一の学校に。「だめな集まり」の偏見なく す 第5部 元名大生事件 第11章 元名大生は何を語ったか――初公判から判決まで 第12章 解明されなかった闇 衝撃/支援/更生 special report 私たちは事件から何を学ぶか 元名大生事件 判決要旨 終 章 取材ノートから Author 中日新聞社会部 「新愛知」と「名古屋新聞」を前身に、「中部日本新聞」として1942(昭和17 )年創刊。中日新聞(名古屋本社、東海本社)、東京新聞(東京本社)、北陸中日新聞(北陸本社)などを合わせ、348万部を発行している。 大阪、岐阜、福井に支社、取材拠点となる総支局・通信局部は国内170か所、海外15 か所にある。名古屋本社社会部には56 人(2018年9月現在)が所属し、愛知県警、愛知県庁、名古屋市役所、司法の取材担当記者のほか、幅広いフィールドで連載企画などに取り組む遊軍、大学や病院を取材する医療科学班などで構成している。 中日新聞社会部としての主な編著に『日米同盟と原発 隠された核の戦後史』『君臨する原発 どこまで犠牲を払うのか』(東京新聞出版局)、『祖父たちの告白 太平洋戦争70 年目の真実』(中日新聞社)、『新貧乏物語 しのび寄る貧困の現場から』(明石書店)がある。
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贈与と共生の経済倫理学
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経済合理性の荒波のなかで切り離された人々がふたたびつながり、尊厳と自由を取り戻す。お礼制を作り出してきた関係性に着目し、その倫理的意味を考察した意欲作。 食と農を切り口とし近代化、産業化、経済合理性に対する抵抗運動として展開されてきた「有機農業運動」に関心を抱いていた著者は、埼玉県小川町の有機農業者・金子美登氏らが40年にわたって実践してきた「お礼制」という仕組みに注目する。 お礼制とは、生産者と消費者が直接農産物を流通させる「提携」の一種だが、特異なのは農産物を売買するのではなく、贈与と返礼というかたちで流通させてきたこと。その実態や意味はこれまであまり検討されることはなかったが、このお礼制の中にこそ、有機農業運動の「提携」の重要なエッセンスが凝縮されてると著者は考え、その思想や育んだ歴史、可能とした条件を探ろうと、金子氏や彼を取り巻く人々へのインタビューを開始した。 著者はその過程で新たに「もろとも」という関係性を見つけ出す。それは「お礼制」のもう一人の重要なキーパーソンである消費者・尾崎史苗氏が、3・11の原発事故のあと放射能汚染が心配されるなかで語った言葉であった。 お礼制に埋め込まれた「もろともの関係性」とはいったい何なのか。それはいったいどのような意味をもっているのか。 [出版社より] 著 者|折戸えとな 出版社|ヘウレーカ 定 価|3,800円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|400 ISBN|978-4-909753-01-4 初 版|2019年1月 Contents はじめに 序章 「お礼制」と人間的解放 第1部 一人の決意が地域を変えた 第1章 挫折から復活へ―金子美登の物語 1 「有機の里」霜里農場の特色 2 霜里農場前史 3 金子美登の原点 4 生態系農業の確立を目指して 5 自給区構想と会費制 6 会費制のスタートと失敗 7 「お礼制」のはじまり――農夫の再スタート 第2章 消費者はなぜお礼制を求めたか―尾崎史苗の物語 第3章 開かれた「地域主義」―霜里農場を取り巻く人びと 1 地域とは何か 2 遊びと仕事と生きがい―酒蔵の旦那、中山雅義 3 関係性の見える仕組みづくり――豆腐屋の後継ぎ、渡邉一美 4 地域を変えた村の長老――集落の慣行農家、安藤郁夫 5 法人格という人格をもつ企業―― OKUTA社長、山本拓己 第2部 「お礼制」の可能性 第4章 生業からみる「お礼制」 1 農家生計の歴史的連続性からの視座と禁忌作物 2 市場《交換》/非市場《贈与》の関係性 第5章 「お礼制」が農民にもたらした二重の自由 1 自然との関係性における自由 2 人との関係性における自由――農産物の価格と値づけ 第6章 「お礼制」の仕組みと意義―生産[者]と消費[者]の関係 第7章 人間の動機と経済合理性―ヴァルネラビリティというつながりの起点 1 弱者の生存戦略としてのモラル・エコノミー 2 変容する人間の動機――生存から生きがいへ 3 合理的経済人を問い直す 4 ヴァルネラビリティ――不確実性を抱えて生きる 5 地域に根差すこと、ふたたび埋め込まれること 第3部 「お礼制」に埋め込まれた「もろとも」の関係性 第8章 ポランニーの「埋め込み命題」と「もろとも」 1 環境と経済の相互作用をめぐる経済学的アプローチ 2 宇沢弘文とポランニーの共通点 3 「もろとも」が意味するもの 4 経済を社会関係に埋め戻す――ポランニーの思想 第9章 責任・自由・信頼 1 非対称的関係性を乗り越えるための「もろとも」 2 技術と時間 3 「もろとも」の関係性における責任をめぐって 4 「覚悟して受け入れること」と自由 5 「埋め込み」から「もろとも」へ おわりに Author 折戸 えとな Etona Orito 1975年12月7日横浜生まれ。2001年3月津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業、2011年3月立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士前期課程修了(異文化コミュニケーション学修士)、2017年9月東京大学大学院新領域創成科学研究科博士後期課程修了(環境学博士)