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ジェンダーからソーシャルワークを問う

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困難な状況に置かれた人々を生み出す社会の矛盾に目を向け、当事者主体の支援を展開しながら、人々を抑圧する構造の変革をもめざすソーシャルワーク。だが、その本質を失いかけているといわれて久しい。ソーシャルワークはなぜ視野を狭め、非政治化したのか。フェミニズムとジェンダーを通して、ソーシャルワークを批判的に検証し、その変革への糸口を示す意欲的論考集。
[出版社より]


編著者|横山登志子・須藤八千代・大嶋栄子
出版社|ヘウレーカ
定 価|3,000円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|336

ISBN|978-4-909753-08-3
初版|2020年5月


Contents
はじめに

1 語られていない構造とは何か
 ――ソーシャルワークと「ジェンダー・センシティブ」(横山登志子)
 はじめに 
 1 ソーシャルワークと「ジェンダー・センシティブ」 
 2 事例で考える 
 おわりに 

2 女性福祉からフェミニストソーシャルワークへ
  ――バトラー以後に向けて(須藤八千代)
 はじめに 
 1 社会福祉学に登場する女性 
 2 ジェンダーとセクシュアリティ 
 3 ソーシャルワークのポストモダン的転回 
 4 バトラーが見落としている「障害」という問題 
 まとめにかえて 

3 家族福祉論を通して、ジェンダーを社会福祉学に位置づける(鶴野隆浩)
 はじめに 
 1 社会福祉学と家族福祉論 
 2 独特なジェンダー概念の社会福祉学への導入 
 3 女性福祉への収斂化 
 4 ジェンダー概念からの組み立て直し:現状認識から 
 5 ジェンダー概念からの組み立て直し:社会福祉学の問い直し 
 6 ジェンダー概念からの社会福祉学の再構築 
 結 論 

4 性被害体験を生きる――変容と停滞のエスノグラフィー(大嶋栄子)
 はじめに 
 1 2017年12月:ホームレス(Homeless)/ハウスレス(Houseless) 
 2 2010年2月:記憶の欠落/解離 
 3 2003年8月:再生のための自閉/グループホームでの日々 
 4 1999年5月:生き延びるためのアディクション/性被害という開示 
 5 心的外傷を抱える人へのソーシャルワーク 
 6 加害者の生/援助者のポジショナリティ/おわりに 

5 〝LGBT〟とソーシャルワークをめぐるポリティクス(宮﨑 理)
 はじめに:個人的なことは政治的なこと 
 1 死と哀悼をめぐって:Yさんとの「個人的なこと」 
 2 ソーシャルワークにおけるジェンダーとセクシュアリティ 
 3 多様性と非政治化 
 4 哀悼可能性(grievability)の損なわれ 
 5 「自身の輪郭をたどる」ということ 
 おわりに 

6 「晩年の自由」に向けてのフェミニストソーシャルワーク
   ――老いゆく人との女性史的実践と〈継承〉(新田雅子)
 はじめに――怒りを表出することの意味 
 1 高齢者福祉の課題特性と社会的機能としての〈継承〉 
 2 歴史学における女性史、社会学におけるライフヒストリー 
 3 エイ子さんのライフヒストリー 
 4 女性史的実践の価値 

7 内面化したジェンダー規範と戸惑い、葛藤
  ――母子生活支援の最前線に立つ援助者の語りから(中澤香織)
 はじめに 
 1 家族を支える施設
 2 支援の場でみえてくるもの
 3 支援における葛藤 
 おわりに 


Editor
横山 登志子 Toshiko Yokoyama
同志社大学大学院博士後期課程単位取得退学。博士(社会福祉学)、精神保健福祉士。精神科ソーシャルワーカーとして勤務経験を有する。現在は札幌学院大学人文学部教授。専門はソーシャルワークの理論と実践、経験的世界の探求、家族支援や女性支援。最近は、DV被害母子の支援に関する質的研究を行っている。主著は『ソーシャルワーク感覚』(単著、弘文堂、2008年)、『社会福祉実践の理論と実際』(編著、放送大学教育振興会、2018年)など。

須藤 八千代  Yachiyo Sudo
愛知県立大学名誉教授。単著に『歩く日――私のフィールドノート』(ゆみる出版、1995年)、『ソーシャルワークの作業場――寿という街』(誠信書房、2004年)、『増補 母子寮と母子生活支援施設のあいだ』(明石書店、2010年)、共著に『フェミニズムと社会福祉政策』(ミネルヴァ書房、2012年)、『婦人保護施設と売春・貧困・DV問題』(明石書店、2013年)、『社会福祉とジェンダー 杉本貴代栄先生退職記念論集』(ミネルヴァ書房、2015年)など。訳書にレナ・ドミネリ著『フェミニストソーシャルワーク――福祉国家・グローバリゼーション・脱専門職主義』(明石書店、2015年)。

大嶋 栄子 Eiko Oshima
北星学園大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会福祉学)。特定非営利活動法人リカバリー代表、日本精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員。主な著書に『その後の不自由――「嵐」のあとを生きる人たち』(上岡陽江との共著、医学書院、2010年)、『生き延びるためのアディクション――嵐の後を生きる彼女たちへのソーシャルワーク』(単著、金剛出版、2019年)。

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