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クリティカル・ワード ファッション・スタディーズ——私と社会と衣服の関係
¥2,420
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現代文化を考えるうえで知っておきたい基本と、多様な視点・アプローチを学ぶことができる、新時代のファッションスタディーズの入門書が登場。 ファッションは「時代を映す鏡」だと言われています。社会状況や文化の変容にともない、ファッションを取り巻く状況も大きく変化しています。流行の変遷や資本主義グローバリズムの加速、その反省や批判的視点からもたらされたサステナビリティやエコロジーへの意識、多様性/ジェンダー/マイノリティへの多角的な視座といった、現代社会において最重要である問題は、ファッションの分野から新たな事例や議論が生まれ続けていると言っても過言ではありません。 さらに、3DプリンターやAR/VR等、テクノロジーの進化や成熟がもたらすファッションの新たな可能性と展開は常に注目を集めており、その一方で、人間の身体性の再考の重要性も議論されています。このように、ファッションについて考えることは、現代文化のあり方を多角的に考えることにもなると言えるでしょう。 本書は、「ファッションスタディーズ」という分野について、その歴史や文脈と紐付けながら、理論や事項をマッピング・整理し直すことで、ファッションスタディーズの新たな射程を見通すことを試みた、まったく新しい「ファッションスタディーズ入門」です。 現代ファッションをとりまくものの多様性・横断性に特に注目し、哲学、社会学、文化人類学、メディア論、ジェンダー論、環境学、デザイン論といった、多様な分野とファッションの結びつきを照らし出します。 [出版社より] 編著者|蘆田裕史・藤嶋陽子・宮脇千絵 出版社|フィルムアート社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|292 ISBN|978-4-8459-2109-6 初 版|2022年03月 Contents はじめに 蘆田裕史 第1部 理論編──過去から現在にわたるファッションのとらえ方 1 流行 香室結美 2 消費 藤嶋陽子 3 メディア 平芳裕子 4 コミュニケーション 高馬京子 5 アイデンティティ 宮脇千絵 6 ジェンダー 西條玲奈 7 身体 小澤京子 8 テクノロジー 水野大二郎 第2部 事例編──ファッションを理解するための重要トピック 個とグローバリゼーション 1 民族衣装 宮脇千絵 2 ストリートファッション 有國明弘 3 ルッキズム 蘆田裕史 自己の演出 4 映画と衣裳 北村匡平 5 宗教と衣服 野中葉 6 ヴァーチャルファッション 難波優輝 規範と作法 7 ドレスコード 赤阪辰太郎 8 コピー 朝倉三枝 9 子ども服 新實五穂 価値のシステム 10 セレブリティ/インフルエンサー 田中里尚 11 ブランド 菊田琢也 12 文化の消費 田本はる菜 サステナビリティ 13 グローバルマーケットと生産 南出和余 14 リサイクルとバイオファッション 川崎和也 15 天然繊維 落合雪野 第3部 文献で読みとくファッションスタディーズ(分野別ブックガイド) 1 哲学・美学 赤阪辰太郎 2 社会学 田中里尚 3 文化人類学 中谷文美 4 ファッション史・服飾史 鈴木彩希 5 批評 五十棲亘 6 メディア論 五十棲亘 7 記号論 ⾼橋⾹苗・劉芳洲 8 ジェンダー論 関根麻里恵 9 環境学 平田英子 10 デザイン論 川崎和也 11 身体論 村上由鶴 人名索引 事項索引 Editor 蘆田 裕史 Hiroshi Ashida 京都精華大学デザイン学部准教授/副学長。専門はファッション論。著書に『言葉と衣服』(アダチプレス、二〇二一年)。訳書にアニェス・ロカモラ&アネケ・スメリク編『ファッションと哲学──16人の思想家から学ぶファッション論入門』(監訳、フィルムアート社、二〇一八年)などがある。ファッションの批評誌『vanitas』(アダチプレス)編集委員、本と服の店「コトバトフク」の運営メンバーも務める。 藤嶋 陽子 Yoko Fujishima 東京大学学際情報学府博士課程、理化学研究所革新知能統合研究センター(AIP)研究パートタイマー。専門は文化社会学、ファッション研究。共著に『ソーシャルメディア・スタディーズ』(北樹出版、二〇二一年)、共訳に『ファッションと哲学──16人の思想家から学ぶファッション論入門』(フィルムアート社、二〇一八年)などがある。 宮脇 千絵 Chie Miyawaki 南山大学人類学研究所准教授。専門は文化人類学。著書に『装いの民族誌──中国雲南省モンの「民族衣装」をめぐる実践』(風響社、二〇一七年)、論文に“‘New Style’ of Ethnic Clothing: Dress between Tradition and Fashion among the Hmong in Yunnan, China” (Nakatani, Ayami ed., Fashionable Traditions: Asian Handmade Textiles in Motion, Lexington Books, 2020)などがある。
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クリティカル・ワード 現代建築——社会を映し出す建築の100年史
¥2,420
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現代建築を知るための235のキーワード。 都市、技術、政治、文化、メディア。5つの切り口で建築の現代(いま)に迫る。基本用語から、時事、サブカル、最新テクノロジーまで、建築を取り巻く幅広いトピックを一冊で学べる“クリティカル”なキーワード集。 ー 建築は、複雑な社会との応答関係のなかで生まれる。1920年代から2010年代までの100年に起きた建築にまつわる出来事を厳選し、コンパクトに収録。現代建築へ至る100年史を10年ごとに区切り、各時代の建築を理解するための重要なキーワードを、すべて書き下ろしのテキストで解説します。 都市、技術、政治、文化、メディアという5つの分野を専門とする、5人の著者がキーワードを選定し執筆。また各著者による、100年を串刺しにした巻頭論文も収録しました。235に渡るキーワードは、建築だけでなく関連分野にも踏み込んでいるため、人文や社会、芸術などそれぞれの学問分野に関心のある方にもおすすめの一冊です。建築関係者はもちろん、学生や社会人、近現代建築ファンにとっても必携の、充実のキーワード集の誕生です。 [出版社より] 編著者|山崎泰寛・本橋仁 著 者|勝原基貴・熊谷亮平・吉江俊 出版社|フィルムアート社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|328 ISBN|978-48459-1812-6 初 版|2022年03月 Contents はじめに──建築から社会を見る、その態度についての補記 論考1 国土の破壊と再編 近代化とその両義性の都市論 ──合理化とヒューマニティ、消費と主体性をめぐって 吉江俊 論考2 国境の無効と固執 近現代技術における普遍性と多様性の模索と実現 熊谷亮平 論考3 権力の顕示と弱体 DXと分散型社会、メタバースがもたらす建築の新たな地平 勝原基貴 論考4 経済の成長と衰退 「ハイそれまでョ」と、割食う建築家の大正・戦後・現代 本橋仁 論考5 メディアの発生と展開 知のゆりかご ──建築メディアの100年史 山崎泰寛 第1章 1920年代──二つの災禍から始まる日本のモダニズム 装飾と犯罪/ドミノシステム/外装タイル/植民地建築/第三インターナショナル記念塔/都市計画法と市街地建築物法/分離派建築会/民家/平和記念東京博覧会/関東大震災/帝都復興院/バラック/考現学と生活学/田園都市株式会社/帝国ホテル/建築をめざして/モダニズム建築/シュレーダー邸/近隣住区論/シカゴ学派/バウハウス・デッサウ校/エスプリ・ヌーヴォー館/明治神宮外苑/近代建築の五原則/ヴァイセンホーフ・ジードルンク/映画『メトロポリス』と機械美/CIAM/聴竹居/SRC造/バルセロナ・パビリオン 第2章 1930年代──都市文化の爛熟 国家と消費社会の表現 アウトバーン/大大阪/アールデコ/スカイスクレイパー/阪神間モダニズム/銀座/東京中央郵便局/新建築工芸学院/乾式工法と市浦健自邸/インターナショナル・スタイル/ニューヨーク近代美術館/アテネ憲章/ブルーノ・タウト来日/函館大火/築地本願寺/光のカテドラル/国会議事堂と帝冠様式/黒部川第二発電所/パリ万国博覧会日本館/東京オリンピック中止/新興工業都市計画/ジョンソンワックス本社ビル 第3章 1940年代──第二次世界大戦を経て、民へ 空間・時間・建築/伝統・選択・創造展/国民住宅/住宅営団/大東亜建設記念営造計画/レーモンドと第二次世界大戦/建物疎開/原爆ドームとアウシュヴィッツ/GHQ/闇市/衛生陶器と伊奈製陶所/建築計画学/ケース・スタディ・ハウス/昼の都市・夜の都市/プレモス/紀伊國屋書店/新日本建築家集団/近代建築論争(民衆論争)/アパルトヘイト/建設省/戸山ハイツ 第4章 1950年代──都市・建築の55年体制 戦後復興の志向 建築基準法/住宅政策の三本柱/住宅金融公庫と自邸/木賃アパート/八勝館御幸の間/神奈川県立近代美術館/51C型と住宅産業/アルミサッシュと工業化住宅/ジャパニーズ・モダン/チームX/ブルータリズム/SHシリーズ/昭和基地と川合健二/世界平和記念聖堂/伝統論争と原爆堂/国際文化会館/広島平和記念公園および資料館/丹下健三と技術/現場打ちコンクリート/秩父セメント第二工場/ヴェネチア・ビエンナーレ日本館/シチュアシオニスト/新建築問題/東京タワー/郵政スタイル/人民大会堂 第5章 1960年代──オリンピックに見た夢 高度成長期の都市で メタボリズム/群造形/か・かた・かたち/オープンシステム/八郎潟と干拓事業/市浦健と千里ニュータウン/アメリカ大都市の死と生/アーキグラム/苗場プリンスホテル/建物区分所有法/住宅は芸術である/建築家なしの建築/カーテンウォール/ユニットバス/東京オリンピック1964/日本武道館/京都タワー/ハイレッド・センター/ジャズ喫茶・クラブ/博物館明治村/ヒルサイドテラス/塔の家/空間から環境へ/フラー・ドーム/ホール・アース・カタログ/プレファブリケーション/霞が関ビル/帝国ホテルの様式保存/月面着陸 第6章 1970年代──巨大化する見えない国土 ポストモダニズムの潮流/大阪万博/広場/まちづくり/原広司と集落調査/都市住宅/セキスイハイムM1/列島改造論/見えない都市/神殿か獄舎か/大石寺正本堂/基町・長寿園団地/住宅双六/プーライエ/孤風院/ツーバイフォー/巨大建築論争/重要伝統的建造物群保存地区/KEP/幻庵・開拓者の家/セゾン美術館(西武美術館)/ポンピドゥー・センター/パタン・ランゲージ/錯乱のニューヨーク/プリツカー賞 第7章 1980年代──超芸術トマソン 都市の奪還を目指して 広告=都市/神戸ポートアイランドと水谷頴介/地区計画制度/生闘学舎・자립/ゲニウス・ロキ/名護市庁舎/ホテルニュージャパン火災/風景学/ラ・ヴィレット公園国際設計コンペティション/ハイテック・スタイル/批判的地域主義/東京ディズニーランド/超芸術トマソン/AT&Tビル/九龍城砦/東京画/ルーヴル美術館(増築)/チェルノブイリ/リゾート法/OMソーラー/DOCOMOMO/くまもとアートポリス/シムシティ/ベルリンの壁崩壊 第8章 1990年代──世界都市博覧会 バブル崩壊と止まる時代 東京都庁舎/ANY会議/梅田スカイビル/ハイパービルディング/TOKYO STYLE/新宿西口ダンボール村/阪神・淡路大震災/開放系技術/オウム真理教とガリバー王国/世界都市博覧会/CAD/ビルバオ・グッゲンハイム美術館/メイド・イン・トーキョー/没場所性と郊外化/ジェントリフィケーション/近代化遺産/ブラウンフィールドとニューアバニズム/腰巻き保存/建築基準法改正・性能規定 第9章 2000年代──グローバル化する都市 CCTV的なるもの アメリカ同時多発テロ/せんだいメディアテーク/サード・プレイス/ソーシャル・キャピタル/都市再生特別措置法/お台場/タワーマンション/ショッピングセンター/リノベーション/大改造‼︎劇的ビフォーアフター/限界集落/地域アート/金沢21世紀美術館/アルゴリズミック・デザイン/耐震改修/構造計算書偽造問題/東京駅復原/中国中央電視台/ウィキペディア/ザ・タワー 第10章 2010年代──世界を見渡す技術と公共性のゆくえ 東日本大震災/コミュニティデザイン/シェア/PPP・PFI/オールドタウン/少子高齢化とおひとりさま/建築展の隆盛/国立近現代建築資料館/Google Earth/BIM/デジタル・ファブリケーション/三菱地所を見に行こう/虎ノ門ヒルズ/豊洲移転/ル・コルビュジエ世界遺産/エストニア国立博物館/京都市立芸術大学移転/銀座ソニーパーク/東京オリンピック2020・新国立競技場問題 おわりに 図版出典 参考文献 Editor 山崎 泰寛 Yasuhiro Yamasaki 滋賀県立大学准教授、博士(学術)。専門は建築メディア論。横浜国立大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科修了、京都工芸繊維大学大学院博士後期課程修了。建築ジャーナル編集部、京都工芸繊維大学KYOTO Design Labを経て現職。著書に『リアル・アノニマスデザイン:ネットワーク時代の建築・デザイン・メディア』(共編著、学芸出版社、2013年)、『「住む」ための事典』(共著、2020年、彰国社)『日本の図書館建築』(共著、2021年、勉誠出版) 本橋 仁 Jin Motohashi 博士(工学)。専門は日本近代建築史。メグロ建築研究所取締役、早稲田大学建築学科助手、京都国立近代美術館特定研究員を経て無職。現在は文化庁在外芸術家研修員としてThe Canadian Centre for Architecture (CCA)に滞在。作品に「旧本庄商業銀行煉瓦倉庫」(1896年竣工、2017年改修)、著書に『ホルツ・バウ 近代初期ドイツ木造建築』(共編著、ガデン出版、2020年)、キュレーションした展覧会に「分離派建築会100年 建築は芸術か?」(京都国立近代美術館、パナソニック汐留美術館、朝日新聞社、2020年)など。
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読者に憐れみを——ヴォネガットが教える「書くことについて」
¥3,520
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『スローターハウス5』『タイタンの妖女』などで知られる戦後アメリカを代表する作家、カート・ヴォネガットの「書くこと」と「人生について」。 辛辣で、機知に富み、心優しきニヒリスト、ヒューマニストで、教師としては熱血漢。「書くことは魂を育むこと」を生涯の信条としたヴォネガットの教えを、彼自身の言葉と小説の引用、そして周囲の人々の談話からまとめた、「ヴォネガット流・創作指南+回顧録的文章読本」。生誕100年を記念し、待望の邦訳。 [出版社より] 著 者|カート・ヴォネガット&スザンヌ・マッコーネル 訳 者|金原瑞人・石田文子 出版社|フィルムアート社 定 価|3,200円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|616 ISBN| 978-4-8459-2003-7 初 版|2022年06月 Contents はじめに 第1章 何かを書こうとしているすべての人へのアドバイス 第2章 小説を書くことについて 第3章 原動力 第4章 回り道をしながら前進 第5章 まっしぐらに前進 第6章 突破 第7章 価値あるテーマを見つけることへの不安、すなわち死の欠乏 第8章 原動力の切り札、すなわち恐れないこと 第9章 魂の成長 第10章 避難所 第11章 偉大な芸術をつくるもの、すなわち芸術と魂 第12章 変化の触媒 第13章 教師、すなわちもっとも気高い職業としての作家 第14章 教室のヴォネガット 第15章 重みと感触 第16章 才能 第17章 勤勉さ 第18章 落とし穴 第19章 方法論主義 第20章 実体化 第21章 増殖 第22章 再生 第23章 真珠の中の真珠 第24章 冒頭部 第25章 プロット 第26章 登場人物 第27章 耳で聞く散文 第28章 目で見る散文 第29章 ジョーク好き 第30章 ブラックユーモア 第31章 もっといい話になるように──見直しと校閲 第32章 どれにしようかな、すなわち選択 第33章 生計を立てること 第34章 心身のケアをすること 第35章 人生と芸術で遊びほうけること 第36章 愛、結婚、そしてベビーカー 第37章 いっしょのほうがいい、すなわちコミュニティ Author カート・ヴォネガット Kurt Vonnegut 1922年インディアナ州インディアナポリス生まれ。2007年没。現代アメリカ文学を代表する作家。14の長編小説のほか、講演集、エッセイ集、書簡集、戯曲などさまざまな作品がある。代表作に『プレイヤー・ピアノ』『タイタンの妖女』『母なる夜』『猫のゆりかご』『スローターハウス5』『チャンピオンたちの朝食』ほか多数。アイオワ大学文芸創作講座での教師時代には、ジョン・アーヴィングらも指導した。 ヴォネガットの小説は、想像力が生きる力となることを示し、今なお新たな世代に影響を及ぼし続けている。ヴォネガット生誕100年を迎え、新たなヴォネガット像を鮮やかに伝える本書が彼の教え子の手で書かれたことは、世界中の読者にとって思いがけない幸運といえるだろう。 スザンヌ・マッコーネル Suzanne McConnell 作家、編集者、文芸創作の教師。1965年から67年まで、アイオワ大学文芸創作講座でカート・ヴォネガットに教えを受けた(ヴォネガットは『スローターハウス5』を執筆中の時期だった)。ヴォネガットとマッコーネルは友人となり、その友情はヴォネガットが亡くなるまで続いた。マッコーネルはヴォネガットに関する短い回想録を『ブルックリン・レイル』と『ライターズ・ダイジェスト』の二誌に発表している。2014年には、作家および文芸創作教育協会(AWP)主催の「ヴォネガットのレガシー:戦争その他の人間の存在を脅かす災難について書くこと」という討論会でパネリストを務めた。また、ハンター・カレッジで30年間文芸創作の教師を務め、『ベルヴュー・リテラリー・レヴュー』誌で小説部門の編集者を務めている。彼女の小説はプッシュカート賞に二度ノミネートされ、『ニュー・オハイオ・レヴュー』誌の2015年度小説コンテストで最優秀賞、『プライム・ナンバー・マガジン』誌の2014年度超短編小説部門で最優秀賞、『ソー・トゥー・スピーク』誌の2008年度小説コンテストで次席賞を受賞している。 Translator 金原 瑞人 Mizuhito Kanehara 1954年岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。児童書、ヤングアダルト小説、一般書、ノンフィクションなど600点近くの翻訳を手がける。訳書にヴォネガット『国のない男』、シールズ『人生なんて、そんなものさ カート・ヴォネガットの生涯』、マコックラン『不思議を売る男』、シアラー『青空のむこう』、グリーン『さよならを待つふたりのために』、モーム『月と六ペンス』、クールマン『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』、サリンジャー『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年』など。エッセイ集に『サリンジャーにマティーニを教わった』、日本の古典の翻案に『雨月物語』『仮名手本忠臣蔵』など。HPはhttp://www.kanehara.jp/ 石田 文子 Fumiko Ishida 1961年大阪府生まれ。大阪大学人間科学部卒業。金原氏に師事して翻訳関係の仕事にたずさわる。訳書にドイル『シャーロック・ホームズの冒険』『名探偵シャーロック・ホームズ』、アーバイン『小説タンタンの冒険』、シアラー『スノー・ドーム』、ハプティー『オットーと空飛ぶふたご』、ローズ『ティモレオン』(共訳)、アームストロング『カナリーズソング』(共訳)、カリー『天才たちの日課』『天才たちの日課 女性編』(共訳)、バーサド&エルダキン『文学効能事典』(共訳)などがある。京都府在住。
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サスペンス小説の書き方——パトリシア・ハイスミスの創作講座
¥2,200
「あらゆる物語には、サスペンスがある」——。 鋭利な観察眼と執拗な心理描写、深い洞察と巧みな構成で世界中の読者を魅了するサスペンスの巨匠が、「書くこと」と「仕事にすること」についてのノウハウを明かす。 「私は物語のきっかけになるような日々の出来事からこの本を始めている。作家はそこから進んでいく——まず作家が、次に読者が動き出す。芸術はいつでも、おもしろいことや、数分ないし数時間を費やす価値があると思えることを語って、読者の気を惹けるかどうかの問題なのである」(本文より) 鋭利な観察眼と執拗な心理描写、深い洞察と巧みな構成で多くの文芸ファンをも魅了するサスペンスの巨匠、パトリシア・ハイスミス。「この本はハウツー式の手引き書ではない。どうすれば成功する本、つまり読みやすい本が書けるかを説明することは不可能である」と本書冒頭で確言する著者が、自らの「小説を書くことと、それを職業にすること」についてのノウハウを明かした、文章読本・執筆論。 [出版社より] 著 者|パトリシア・ハイスミス 訳 者|坪野圭介 出版社|フィルムアート社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|216 ISBN| 978-4-8459-2113-3 初 版|2022年02月 Contents 序 新版のためのまえがき 第1章 アイディアの芽 第2章 主に経験を用いることについて 第3章 サスペンス短編小説 第4章 発展させること 第5章 プロットを立てる 第6章 第一稿 第7章 行き詰まり 第8章 第二稿 第9章 改稿 第10章 長編小説の事例──『ガラスの独房』 第11章 サスペンスについての一般的な事柄 訳者解説 坪野圭介 Author パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmith 1921年テキサス州フォートワースに生まれ、ニューヨークで育つ。生涯の大半をヨーロッパで過ごした。初期長編作品『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』が映画化され、人気作家に。『太陽がいっぱい』でフランス推理小説大賞(1957年)、『殺意の迷宮』で英国推理作家協会(CWA)賞(1964年)を受賞。鋭利な観察眼と執拗な心理描写、深い洞察に裏打ちされた巧みな構成の作品は、サスペンスのジャンルを超え、今なお多くの文芸ファンを魅了している。1995年没。 Translator 坪野 圭介 Keisuke Tsubono 1984年東京都生まれ。和洋女子大学国際学部助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門はアメリカの文学と文化。主な訳書・共訳書にエミリー・アプター『翻訳地帯──新しい人文学の批評パラダイムに向けて』(共訳、慶應義塾大学出版会)、ベン・ブラット『数字が明かす小説の秘密──スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで』(DU BOOKS)、チップ・キッド『判断のデザイン』(朝日出版社)、デイヴィッド・シールズ&シェーン・サレルノ『サリンジャー』(共訳、KADOKAWA)など。
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翻訳のスキャンダル 差異の倫理にむけて
¥2,860
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「よい翻訳」とはなにか? 翻訳研究(トランスレーション・スタディーズ)の第一人者による代表的著作にして古典、待望の邦訳。差異を見つめ、よく読み、よく訳すための必読書。 ー 翻訳がなぜスキャンダラスなのか──それは世界の文化、政治、経済を覆う不平等を暴いてしまうからだ。 本書の著者、ローレンス・ヴェヌティは、翻訳研究の第一人者のひとりである。ヴェヌティは言う──現今翻訳が置かれている状況こそ、スキャンダルなのだ。企業や政府、宗教団体、出版社などは、いまや翻訳なしには成り立たない。だがそれゆえに、翻訳に着目することで、それらが暗黙の裡に依拠する不均衡が暴かれる。 聖書、ホメロスの詩、プラトンの議論、ウィトゲンシュタインの理論、日本や西アフリカの小説、広告、ビジネス・ジャーナリズム……。多様な分野の事例を通じて、複雑でデリケートな諸問題が追及される。 世の主流の価値観におもねる「同化」的圧力に抗して、マイノリティの声に耳を傾け、多様性を擁護する「異化」的翻訳を提唱する本書こそ、グローバル時代を生きるために必読の書である。 [出版社より] 著 者|ローレンス・ヴェヌティ 訳 者|秋草俊一郎・柳田麻里 出版社|フィルムアート社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|408 ISBN|978-4-8459-2106-5 初 版|2022年05月 Contents イントロダクション 第一章 異種性 マイナー文学を書くということ/マイノリティ化プロジェクト/言語学の限界/科学的モデル 第二章 著者性 二次的な著者性/学問のバイアス/翻訳の再定義 第三章 著作権 現況/矛盾まみれの「独自な著者性」/翻訳者の著者性の根拠/救済策 第四章 文化的アイデンティティの形成 外国文化の表象/国内の主体の創造/翻訳の倫理 第五章 文学の教育 教室での翻訳/翻訳文学の教育学 第六章 哲学 翻訳により得られるもの/哲学翻訳の方略 第七章 ベストセラー 受容/編集と翻訳/ハイブラウのベストセラー 第八章 グローバリゼーション 商業と文化の非対称/トランスナショナル・アイデンティティ/抵抗としての翻訳/モダニティを翻訳する/場所の倫理 訳者あとがき 秋草俊一郎 Author ローレンス・ヴェヌティ Lawrence Venuti 1953年生まれ。コロンビア大学で博士号取得後、テンプル大学で40年にわたって教鞭をとった。現在はテンプル大学名誉教授。北米における翻訳研究(トランスレーション・スタディーズ)の第一人者として知られ、その同化・異化概念は後続の研究に影響をあたえた。著書に『翻訳者の不可視性──ある翻訳の歴史』(1995)、『翻訳はすべてを変える──理論と実践』(2013)、編著に『トランスレーション・スタディーズ・リーダー』(初版2000、第4版2021)がある。自身、イタリア語・フランス語・カタルーニャ語の翻訳者としても活動し、数々の賞を受けている。 Translator 秋草 俊一郎 Shunichiro Akikusa 1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。 現在、日本大学大学院総合社会情報研究科准教授。専門は比較文学、翻訳研究など。 著書に、『「世界文学」はつくられる 1827–2020』、『アメリカのナボコフ──塗りかえられた自画像』など。訳書にクルジジャノフスキイ『未来の回想』、バーキン『出身国』、アプター『翻訳地帯──新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(共訳)、レイノルズ『翻訳──訳すことのストラテジー』などがある。 柳田 麻里 Mari Yanagita 1988年生まれ。上智大学国際教養学部卒業、日本大学大学院総合社会情報研究科博士前期課程修了。現在、出版物やメディカル文書の翻訳者として活動中。
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虚像培養芸術論 アートとテレビジョンの想像力
¥3,850
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1960年代、テレビジョンの想像力=「虚像」がアートを起動した。 磯崎新は都市デザインを虚業と称し、横尾忠則は虚像となり、高松次郎は影を演じた。今野勉はテレビの日常性を主張し、東野芳明は「テレビ環境論」を書いた。マスメディアの想像力を分母に、現代を逆照射する戦後日本芸術論。 本書の目的は、現代芸術がマスメディアを分母とした表現活動を再配置し、テレビジョン=「虚像」が想像力とされた時代の作家像、作品概念を、現代の視点で分析することである。 マスメディア(放送文化と出版文化)を介してはかられる領域横断は、芸術家相互の新たなネットワークを生成し、旧来の制度化された芸術諸分野を解体していた。「虚像の時代」を問い直すこと、つまりオールド・メディア成熟期をテーマにすることは、ニュー・メディア成熟期を迎える現在の批判理論に繋がる。 本書では、東野芳明・磯崎新・今野勉の思考を軸にマスメディアの中の芸術家像を検証しながら、現代美術、現代思想、現代メディア論を縦横無尽に横断し、メディア芸術の歴史的な視座を編み直していく。現代芸術は、抵抗文化としてのラディカルな戦略をいかに設計してきたのかを分析する。 [出版社より] 著 者|松井茂 出版社|フィルムアート社 定 価|3,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|312 ISBN|978-4-8459-2030-3 初 版|2021年03月 Contents プロローグ:テレビをつける 第一部 虚像培養国誌 第一章 知覚のボディ・ビルディング──その日常性への上昇 第二章 東野芳明と横尾忠則──ポップ・アートから遠く離れて 第三章 戦後日本におけるマスメディア受容と現代芸術の文化学──高松次郎の場合 第二部 磯崎新論──出来事(ハプニング)の編纂(アーキテクチヤ) 第四章 出来事(ハプニング)の編纂(アーキテクチヤ)──都市デザインとしての《SOMETHING HAPPENS》 第五章 イソ、サム、トーノの《建築空間》──福岡相互銀行大分支店にみる建築と美術の協働 第六章 「かいわい」に「まれびと」が出現するまで──「お祭り広場」一九七〇年 第七章 繰り返し語り、騙られる《コンピューター・エイディド・シティ》をめぐって──一九六八年のテレヴィジョンと幻視者(ヴイジヨナリー) 第三部 アートとテレビジョンの想像力 第八章 マスメディア空間における芸術表現と情報流通──雑誌『現代詩』を事例に 第九章 テレビ環境論 その2──《あなたは…》と《ヴォイセス・カミング》と 第一〇章 流通するイメージとメディアの中の風景 エピローグ:ゼロ地点から向かいます──放蕩娘たちのストリーク あとがき Author 松井 茂 Shigeru Matsui 1975年東京生まれ。詩人、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]准教授。共編に『虚像の時代 東野芳明美術批評選』(河出書房新社、2013)、『日本の電子音楽 続 インタビュー編』(engine books、2013)等。共著に『FABに何が可能か 「つくりながら生きる」21世紀の野性の思考』(フィルムアート社、2013)、『キュレーションの現在 アートが「世界」を問い直す』(フィルムアート社、2015)、『テレビ・ドキュメンタリーを創った人々』(NHK出版、2016)等。監修に『美術手帖』の特集「坂本龍一」(2017)、「平成の日本美術史 30年総覧」(2019)、『現代思想』「磯崎新」(2020)等。キュレーションに「磯崎新12×5=60」(ワタリウム美術館、2014)、「磯崎新の謎」(大分市美術館、2019)等。詩集に『二●二●』(engine books、2020)等。
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ラディカント グローバリゼーションの美学に向けて
¥2,860
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イメージやモノが氾濫し、群島化した世界にふさわしい「オルターモダニティ」とは? 翻訳の思考を通して現代の美術批評を素描する。 今日の旅する人(ホモ・ウィアートル)としてのアーティストたち──。時空間のなかを浮遊しながら根を伸ばし張りなおしていくような、その「ラディカント」的実践の分析から、文化や想像力の標準化に抗するしなやかな美学が浮かびあがる。 「関係性の美学」を提唱したキュレーター、ニコラ・ブリオーの著書、待望の初邦訳! ー グローバル化され「大きな物語」「歴史」を失って久しい現代、さまざまな形態、イメージ、モノ、言説が氾濫し、差異が重要性をもつ世界を読み解くのにふさわしい美学とはどのようなものだろうか? ブリオーは、起源としての唯一の「根」を讃えた「ラディカル」なモダニズムとも、多文化主義的なポストモダンや多様で同時的な組織網たるリゾーム(地下茎)とも異なる、前進するにつれて根を伸ばし張りなおしていく「ラディカント(radicant)」的あり方を備えたモダニティ=オルターモダンという視座を提示する。 そこで重要なのは、翻訳の身振りであり、イメージを他のコードに変換し、みずからの根を異質なフォーマットに移植することである。 アーティストたちは他の時代や場所の素材を使用・転用し、記号航海士として放浪しながら現代の文化的風景の中に道筋をつくりだしていく。 1998年、『関係性の美学(原題:Esthétique relationnelle)』で美術の新たなパラダイムを切り拓いたブリオーが、21世紀の今日的状況を考察するため、旅人としてのアーティストたちの実践を通して新しい時代のしなやかな美学を描き出した、文化や想像力の標準化に抗するための挑戦的一冊。 [出版社より] 著 者|ニコラ・ブリオー 訳 者|武田宙也 出版社|フィルムアート社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|296 ISBN| 978-4-8459-1818-8 初 版|2022年01月 Contents まえがき 序論 第一部 オルターモダニティ 1 根――ポストモダン理性批判 2 ラディカルとラディカント 3 ヴィクトル・セガレンと二一世紀のクレオール 第二部 ラディカントの美学 1 美学的不安定性と放浪する形態 2 形態゠行程 3 移転 第三部 航海論 1 文化的な雨のなか(ルイ・アルチュセール、マルセル・デュシャン、芸術的形態の使用) 2 芸術的集産主義(コレクティヴィズム)と道筋の生産と道筋の生産 ポスト・ポスト、あるいはオルターモダンの時代 訳者あとがき Author ニコラ・ブリオー Nicolas Bourriaud 1965年生。キュレーター、作家、美術批評家。パレ・ド・トーキョー、テート・ブリテン、エコール・デ・ボザールなどの要職を経て、現在モンペリエ・コンタンポラン・ディレクター。本書以外の主な著書に以下がある。Esthétique relationnelle, Dijon, Les Presses du réel, 1998 ; Formes de vie. L’art moderne et l’invention de soi,, Paris, Denoël, 1999 ; Postproduction. La culture comme scénario : comment l’art reprogramme le monde contemporain, Dijon, Les Presses du réel, 2002 ; L’Exforme. Art, idéologie et rejet, Paris, PUF, 2017 ; Inclusions. Esthétique du capitalocène, Paris, PUF, 2021. Translator 武田 宙也 Hironari Takeda 1980年生。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学、美学。主な著書に、『フーコーの美学――生と芸術のあいだで』(人文書院、2014年)、『フーコー研究』(共著、岩波書店、2021年)、『ミシェル・フーコー『コレージュ・ド・フランス講義』を読む』(共著、水声社、2021年)、主な訳書に、ロベルト・エスポジト『三人称の哲学――生の政治と非人称の思想』(共訳、講談社、2011年)、ジャン・ウリ『コレクティフ――サン・タンヌ病院におけるセミネール』(共訳、月曜社、2017年)、マキシム・クロンブ『ゾンビの小哲学──ホラーを通していかに思考するか』(共訳、人文書院、2019年)などがある。
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転んでもいい主義のあゆみ 日本のプラグマティズム入門
¥2,200
「ふわふわ」を正し、じたばたしながら、「くよくよ」を守れ。 ポジティブになれない日本人のための試行錯誤論、ここに見参!! 在野研究者・荒木優太が日本のプラグマティズム受容史を探索しながら「転んでもいい主義」をガイドする、待望の新刊! ー 試行錯誤は人間の最大の武器であるはずなのに、今の日本には「可謬主義=転んでもいい主義」が足りない──! 「失敗すること」を日本人はどう考えてきたのか? 異様に前向きなアメリカ文化によって開拓されたプラグマティズム思想が日本でどのように受容されてきたのか(されてこなかったのか)、その歴史をたどりながら人間の生の営みのその根本へと手探りで進んでいく。 人生はクソゲー。だけど「七転び八起き」で生きていく勇気がわいてくる、「八回目に起き上がるための」日本式プラグマティズム入門書。 ★プラグマティズムって……なに? ・間違ってもいいんだよ、人間だもの。 ・習うより慣れろ。 ・やってみなくっちゃ分からない! ……だいたいこんな感じのやつ。 [出版社より] 著 者|荒木優太 出版社|フィルムアート社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/仮フランス装 頁 数|248 ISBN|978-4-8459-2110-2 初 版|2021年11月 Contents 序 八回目に起き上がるために もう起きたくなーい!|失敗は成功の母?|ポンコツイズムと自暴自棄|可謬主義に回収されないもの 第一章 プラグマティズムを大雑把に理解する プラグマ御三家、きみに決めた!|テオリアvsプラクシス|パース、かわいそうな奴|名づけ親知らず|子供に《硬い》を教えるには|意味から真理へ|モテの永久機関|パースは共同体に開かれている|第三の男|みんなおいでよデューイ学校|御三家から学ぶ三つの教え 第二章 評論×プラグマティズム=田中王堂 日本初のプラグマティスト|師匠には触れない|vsクワッキー|驚くべきこともっとある|エッセイとクリティック|具体理想主義とはなにか?|漱石批判|テオリアは「見方」と訳すべし|具体理想主義と代議制|どちらも哲人主義|アメリカ哲学とは別の仕方で|タゴールに反駁す|味噌汁でパンを食うかのように 第三章 政経×プラグマティズム=石橋湛山 王堂先生、マジ、リスペクト|坊主とジャーナリスト|枝分かれする具体理想主義|電車独学術|無料よくない論|師匠よりもリベラルに|冷笑主義は許さない|象牙の塔としての評論|小日本主義とはなにか|格率ふたたび|資本は牡丹餅、土地は重箱|無力なプラグマティズム? 第四章 教育×プラグマティズム=田制佐重 謎めいた男|デューイに先行するシラー翻訳|巻尺としての人間|ソクラテスもソフィスト|ソフィストの在野精神?|スコラは煩瑣|言葉の使用から考える|社会化された教育のために|ゲーリ学校|トルストイはプラグマティスト?|反革命の思想 第五章 スポーツ×プラグマティズム=三隅一成 動くものは動く|G・H・ミードとは?|未来を意識するからアガる|厄介なフィードバック|創発とはなにか|弁証法とは違う|ミードの現在主義|イヌ派の社会論|一般化された他者|行動科学は全体主義か?|労働者の技能を測定する|心だって測れる|プラグマ全体主義? 第六章 倫理×プラグマティズム=清水幾太郎 さらば、三隅野球団|挫折を経て出会うアメリカ|クレアタ・エト・クレアアンス|習慣とエス|習慣改善の技法|自己啓発との距離|習慣と慣習は違う|私のなかの能動面|ヴィトゲンシュタインと教育|子供から考える|戦後思想としてのプラグマティズム|精神的なものが最後のフロンティア|それってつまり侵略ですよね?|堕落するコモン・マン 第七章 『思想の科学』の周辺 古在由重に学ぶ|鶴見和子のデューイ批判|革命よりも離婚を狙え|断ち切れ、循環小数|コモン・マンと生活綴方運動|三段階だから似たようなもの?|人間魚雷で人生終わった|武将の血が流れている?|危険な意味|お願い桑原親分|デューイ芸術論|経験の拡張としての文学|共同研究を組織する|研究は楽しくてよい|多田道太郎とカイヨワ|ゲーミフィケーションとは|遊んでいるのか遊ばれているのか 第八章 哲学×プラグマティズム=鶴見俊輔 不良アコガレ|総理大臣の名前を貰う|マチガイ主義|敵性外国人として|パースの門|測りながら考える|マイナー固有名の群立|サークルの思想|思想の母胎|日本の地下水|三つの学風|煙仲間|攻撃としての書くこと|限界系|自我のくみかえ|時間のなかで変わりうる私|コミュニティのなかで変わりうる私|受け継がれた群れ群れ 終章 試行錯誤のアンチノミーのなかで 歴史から見出されるプラグマティズム|アメリカ限定?|演繹(トップダウン)と帰納(ボトムアップ)|こう仮定するとうまく説明できる|なんか似てる|アブダクティブなあゆみの果てに|試行錯誤の定立命題と反定立命題|誤ること/謝ること|そして測り知れない《私》へ あとがき Author 荒木 優太 Yuta Araki 1987年東京生まれ。在野研究者。明治大学文学部文学科日本文学専攻博士前期課程修了。2015年、第59回群像新人評論優秀賞を受賞。著書に『これからのエリック・ホッファーのために』(東京書籍、2016年)、『貧しい出版者』(フィルムアート社、2017年)、『有島武郎』(岩波新書、2020年)など。編著に『在野研究ビギナーズ』(明石書店、2019年)。
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「書き出し」で釣りあげろ——1ページ目から読者の心を掴み、決して逃さない小説の書き方
¥2,200
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はじまりよければ全てよし! 小説の「書き出し」に特化した唯一無二の物語執筆術、ここに登場。 トルーマン・カポーティ、レイモンド・カーヴァー、ガブリエル・ガルシア゠マルケス、ロバート・A・ハインライン……一流の作家から小説のはじめかたを学べば、もう躓(つまづ)かない! ー 名作に共通する揺るぎない事実。それは「書き出し」がすぐれている点です。 やっとの思いで書き上げた作品なのに、文学賞に応募しても審査を通過しない、小説投稿サイトでアクセスが伸びない、同人誌を作ったものの手にとってもらえない……もしかしたら大多数の読者や編集者は、最初の数行で読むことを止めてしまっているのかもしれません。 本書では、オープニングシーンを構成する10の要素を細かく分析するだけでなく、レイモンド・カーヴァーやガブリエル・ガルシア゠マルケスといった一流の作家たちによる多種多彩な作品を例に、その書き出しのどこがどのようにすぐれ、なぜ読者を惹きつけるのかを具体的に解説していきます。また、きっかけとなる出来事を作りあげるための詳細な手順や、バックストーリーを詰めこみすぎるといったよくある失敗を避けるコツ、オープニングシーンの適切な長さや場面転換の方法、登場人物の紹介や伏線の張り方に加え、多数の出版エージェントや編集者からのアドバイスも聞くことができます。 名作の書き出しのみを集めた書籍や特集などはあるものの、具体的に何をどう書けば良い作品になるのか、オープニングがどれほど重要な意味を持つのかを詳細に説いた書籍はこれまでありませんでした。本書では、読者が思わず唸る物語の書き出し方について指南する、唯一無二にして絶対的な一冊と言えるでしょう。 書き出しの一文から読者を引き込み、思わず最後まで読んでしまう物語の書き方を伝授した、ありそうでなかった「はじまり」の書き方指南書です。 [出版社より] 著 者|レス・エジャートン 訳 者|倉科顕司・佐藤弥生・茂木靖枝 出版社|フィルムアート社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-8459-2105-8 初 版|2021年11月 Contents 序文 書き出しはきわめて重要 イントロダクション なぜ「書き出し」の本なのか 書き出しの定義 第1章 ストーリー構成とシーン ストーリー構成の進化 現代のストーリー構成 シーンの基礎――初級編 オープニングシーン対それ以外のシーン プロローグ 第2章 書き出し――そのあらまし 書き出しを構成する要素 書き出しの目的 よくなると思えた書き出しがうまくいかなくなるのはなぜか 第3章 きっかけとなる出来事、最初の表層の問題、核心の問題 きっかけとなる出来事 引き金としてのきっかけとなる出来事 核心の問題と表層の問題 ストーリーの問題と目的を作る 小説はいくつの問題を含むべきか 登場人物が核心の問題に気づく 内なる悪魔:核心の問題を探し出す 第4章 設定とバックストーリー 設定 バックストーリー 書き出しの設定とバックストーリーのバランス 第5章 構成要素を結びつけていく 重要な要素をつなぎ合わせる すぐれた書き出しを解体してみる 自分の作品にまとめる 第6章 登場人物を紹介する まず登場人物を確立させる 風変わりな登場人物による書き出し 登場人物の心の声ではじめる 第7章 伏線、ことばづかい、舞台背景 書き出しを伏線として使用する 書き出しでのことばの節約 書き出しで舞台背景を紹介する 第8章 はじまりの文章で心をとらえる 第9章 避けるべき書き出し 注意信号その一 夢ではじまる 注意信号その二 目覚まし時計が鳴っている 注意信号その三 意図していない笑いを呼ぶ 注意信号その四 会話が少なすぎる 注意信号その五 会話ではじまる 第10章 書き出しの長さと場面転換の方法 書き出しの長さを決める 書き出しに求められること 場面を切り替えてオープニングシーンを確立する 第11章 出版エージェントと編集者からのアドバイス ブックスキャンの威力 進化する出版業界 出版エージェントと編集者からのアドバイス エピローグ ゲームを進めよう Author レス・エジャートン Les Edgerton アメリカ、テキサス州生まれ。作家。短編小説や長編小説だけでなく、エッセイや脚本なども執筆し、これまでに『The Death of Tarpons』『Monday’s Meal』『The Rapist』といった小説を刊行している。小説家として、プッシュカート賞、オー・ヘンリー賞、エドガー・アラン・ポー賞(短編部門)などにノミネートされた実績を持つ。また、作家志望の人に向けた本も執筆しており、小説の指南書として本書『「書き出し」で釣りあげろ』のほかに『Finding Your Voice』も発表している。加えて、野球に関する著書も持つ。 Translator 倉科 顕司 Kenji Kurashina 大阪府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。国内メーカーで宣伝担当として勤務後、映画配給の手伝いなどをおこなう。その後、翻訳家の越前敏弥に師事し、翻訳の仕事にたずさわる。協力した書籍に『世界物語大事典』(三省堂)などがある。本書では、第3章、第6章、第11章の翻訳を担当。 佐藤 弥生 Yayoi Sato 東京都生まれ。幼少期を返還前の香港で暮らす。商社などの勤務を経て、国内メーカー、在日米海軍などで20年以上技術翻訳に携わる。訳書に『スター・ウォーズ スーパーグラフィック』『アメコミ・ヒーロー スーパーグラフィック』『映像編集の技法』(フィルムアート社/共訳)など。本書では、第2章、第5章、第8章、第9章、第10章の翻訳を担当。 茂木 靖枝 Yasue Mogi 東京都生まれ。ロンドンで英語とコンピューターを学ぶ。金融系システム会社などの勤務を経て、現在は翻訳業と会社員を兼務。訳書に『アテンション』(飛鳥新社/共訳)、『スター・ウォーズ スーパーグラフィック』『アメコミ・ヒーロー スーパーグラフィック』『映像編集の技法』(フィルムアート社/共訳)など。本書では序文、イントロダクション、第1章、第4章、第7章、エピローグ、謝辞の翻訳を担当。
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スニーカーの文化史——いかにスニーカーはポップカルチャーのアイコンとなったか
¥2,200
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ケッズ、コンバース、プーマ、アディダス、オニツカ、ナイキ、ニューバランス、リーボック、ヴァンズ etc… 競技場からストリートへ、ストリートからSNSへ。ライフスタイルとカルチャーの変革を見つめ、誕生から現在までをたどるスニーカー・クロニクル。 ー われわれにとっても最も身近なファンションアイテムであり、誰もが一足は持っているスニーカー。なぜスニーカーは現代を代表するポップカルチャーやファッションのアイコンになり得たのでしょうか? 今日のスニーカー産業はかつてない規模に巨大化しています。アスリートやセレブと巨額のエンドースメント契約が結ばれ、ハイブランドとのコラボモデルのスニーカーが続々と登場。そしてスニーカー情報を発信するメディアやSNSは多くの読者を獲得し、「スニーカーヘッズ」と呼ばれるスニーカーファンは、お目当てのアイテムを求めてショップに長蛇の列をつくります。 スポーツウェアとして誕生したスニーカーは、その後ストリートに飛び出し、カリフォルニアのスケートボーダーやニューヨークのラッパーのアイコンとなりました。時にはギャングの暴力や暴動の原因となり、世界的な経済論争の中心となり、スポーツを巨大ビジネスに変えるための探求の糸口となり、ハイファッションのミューズとなったスニーカー。 スニーカーの誕生から現代までの間に、スニーカーは、スポーツ、ファッション、消費文化、音楽、セレブ、広告、グローバリゼーションの発展に重要な役割を果たしてきました。 本書では、1830年代のゴム底製スニーカーの誕生から現代までの180年に及ぶ壮大なスニーカーの歴史を丁寧に紐解くと同時に、スポーツやストリートのポップカルチャーの中にスニーカーがどのように浸透し、現在のような巨大産業になり得たのかを解説しています。 天才的なゴムの発明者チャールズ・グッドイヤーからコンバースの靴を売るために全米を飛び回った「巡回販売員」のチャック・テイラー、確執がもとで分裂しアディダスとプーマを設立したダスラー兄弟、妻が作る焼き菓子のワッフルにヒントを得て「ワッフルソール」を生み出し、スポーツの世界を変えてしまったビル・バウワーマン(ナイキ共同創設者)まで、スニーカーの歴史をつくってきた数々の人物やエピソードを紹介しています。 スニーカー・ヘッズ必携の一冊。 [出版社より] 著 者|ニコラス・スミス 訳 者|中山宥 出版社|フィルムアート社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|384 ISBN|978-4-8459-2017-4 初 版|2021年04月 Contents プロローグ 第1章 発明の父 第2章 桃入れ籠とテニスセット 第3章 コーチのコーチ 第4章 ストライプとクーガー 第5章 ビルダーマン 第6章 スウッシュ 第7章 スポーツからストリートへ 第8章 誰もがアスリート 第9章 一方、西海岸では 第10章 レッツ・ゲット・フィジカル 第11章 スタイルとフロウ 第12章 ヒズ・エアネス 第13章 マーズとマイク 第14章 ブランド間の攻防 第15章 スニーカーの罪と罰 第16章 スニーカーヘッズ 第17章 バック・トゥ・ナウ エピローグ 謝辞 訳者あとがき 註 索引 Author ニコラス・スミス Nicholas Smith 2014年にコロンビア大学ジャーナリズム学部を卒業、Lynton Fellowship in Book Writingを受賞。現在はオーストリアのウィーンに在住し、ジャーナリストとして活動。第二次世界大戦中に盗まれた美術品、氷河の融解、オーストリアのインディーゲーマー、ニューヨーク市長選挙など、広範かつ多様なテーマを取り扱っている。 Translator 中山 宥 Yu Nakayama 翻訳家。1964年生まれ。主な訳書に『マネーボール[完全版]』『〈脳と文明〉の暗号』(ともにハヤカワ・ノンフィクション文庫)、『ジョブズ・ウェイ』(SBクリエイティブ)、『動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話』(フィルムアート社)、『生き抜くための12のルール』(朝日新聞出版)、『新訳ペスト』(興陽館)などがある。
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みんなの現代アート——大衆に媚を売る方法、あるいはアートがアートであるために
¥1,980
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英国を代表する美術家グレイソン・ペリーが、アートに関する素朴な疑問に皮肉と愛を込めて答える。誰もがアートを理解し、楽しむために。不思議なアートの国をめぐるインサイダーガイド。 ー SNS上で写真付きで話題になる現代アートの展覧会や各地で観光客を集める地域アートなど、いまやすっかり身近な存在となっている“アート”ですが、実は「今さら聞けないかも…」という疑問をもっている人も多いはず。 作品ってどう鑑賞すればいいの? アートとそうでないものとの違いは? 「良い」アートって何? アートの価値はどう決まる? アーティストとして生きるには?…… 大衆の人気、権威たちの評価、マーケット論理などが渦巻く現代のアートワールドを、ターナー賞作家グレイソン・ペリーがユーモアたっぷりに御案内。アーティストとしての個人的経験を交え、またキュレーターやコレクター、画商などが動かす業界の仕組みも踏まえながら、現代アートの分かりづらさを読み解いていきます。 アートの世界においてもポピュリズムの勢いが増す時代に、批評的視点からやさしく理解を深めることができる世界的ベストセラー、待望の邦訳。 [出版社より] 「本書には、軽妙なジョークや風刺画がたくさんあり、心に残るエピグラムもたくさんあり、そして何よりも、誰かに話したくなるような示唆に富むアイデアがすべてのページに詰まっている。これほどまでに刺激的な芸術に関するガイドブックは読んだことがない。すべての学校で教科書にすべきだ」 ――サンデー・タイムズ紙 「パンチが効いていて、茶目っ気がある非常に面白い内容。2ページごとに格言や引用文として用いることができるだろう。素晴らしくも罪深い書物であり、アートへのラブレターでもあり、快楽の書物でもある。21世紀の多様性に対してのお茶目な賛美歌だ」 ――タイムズ紙 著 者|グレイソン・ペリー 訳 者|ミヤギフトシ 出版社|フィルムアート社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判 頁 数|184 ISBN|978-4-8459-2014-3 初 版|2021年08月 Contents 序 おいくら?! 1.民主主義は趣味が悪い クオリティとは何か、私たちはそれをどう判断するのか、誰の意見を取り入れるのか、そもそもそれはもう意味をなさないのか? 2.境界を叩いて 何がアートだとみなされるのか? すべてがアートになり得る時代に私たちは生きているが、すべてがふさわしいわけではない。 3.素敵な反抗、どうぞ入って! アートはまだ私たちを驚かせることができるのか、私たちはもうすべて見てしまったのか? 4.気づいたら私はアート界にいた どうすれば現代アートの作家になれるのか? おわりに Author グレイソン・ペリー Grayson Perry 1960年イギリス生まれ、ロンドン在住のアーティスト。グレイソン・ペリーが初めて受け取った賞は、1980年に大学で行ったパフォーマンスアート作品の一部として自分自身に授与したハリボテの大きな頭。それ以降、2003年のターナー賞を含む、数多くの賞を受賞。イギリスで最も名の知れたアーティストのひとりであり、世界各地で個展を開催している。本書の元となったBBCラジオ「リース・レクチャー」での講義は同番組始まって以来一番の人気となった。6つのタペストリー作品の制作過程を記録したChannel 4のドキュメンタリー「The Vanity of Small Differences, Best Possible Taste(小さな差異の虚無、最高に近いセンス)」で英国アカデミー賞を受賞。同作でグリアソン・ドキュメンタリー賞のベストプレゼンターにも選出されている。邦訳書に『男らしさの終焉』(フィルムアート社、2019年)。 Translator ミヤギ フトシ Futoshi Miyagi 現代美術作家。1981年沖縄県生まれ、東京都在住。2006年ニューヨーク市立大学・シティカレッジ美術学部卒業。アーティストランスペースXYZ collectiveの共同ディレクター。国籍や人種、アイデンティティといった主題について、映像、オブジェ、写真、テキストなど多様な形態で作品を発表。2019年に小説『ディスタント』(河出書房新社)を刊行。
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トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉
¥4,180
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大切なことは、いつも同じ。 仕事、愛、そして遊び──。 “ムーミン”の原作者であり、画家、イラストレーター、小説家…と多才に活躍した芸術家、トーベ・ヤンソンの決定版評伝が新訳で刊行。 本人とも親交のあった研究者が日記や手紙、草稿など膨大な資料から、その生涯を鮮やかに描き出す。 ー 「私たちのトーベは、きっと偉大な芸術家になると思うんだ。とてつもなく偉大な!」 フィンランドで内戦が勃発していた頃、若き兵士ヴィクトル・ヤンソンは、前線から愛する妻シグネに宛てた手紙にこう記した。父ヴィクトルの言葉どおり、トーベ・ヤンソンはやがて画家、イラストレーター、漫画家、小説家、そして「ムーミン」を生み出した偉大な芸術家として世界中にその名を知られることになっていく。 10代でイラストレーター、画家としてアーティストのキャリアをスタートさせたトーベは、戦禍の中で青春時代を過ごしている。最初はスノークという名だったムーミンは、そんな状況下で理不尽に対する怒りや自由への希望、表現への夢など、さまざまな想いの中から生まれてきた生きものだった。 「ムーミン」が世界的な人気を獲得したのち、トーベは「ムーミン」とその他の芸術活動のバランスに悩まされるようになる。義務や責任、人々の期待と自身の想いとのあいだの駆け引きは、次第に苦痛を伴うようになり、その割り切れない気持ちは、生涯トーベを悩ますことになった。 「仕事と愛」はトーベの人生を表す最も重要な言葉だった。 トーベは人生の始まりから終わりまで働き続けた。そして、最初に描いた絵から最後の本まで、トーベは生涯にわたって新しい芸術表現を追求したのだ。 トーベ・ヤンソン本人から私的な記録を自由に閲覧することを許された唯一の研究者である著者が、その膨大な資料(家族や友人への手紙をはじめ、覚書、草稿、物語、プレゼンテーション用の資料、分類表、キャラクター設定、スケッチ、ドローイング、さまざまなプロジェクトの計画、写真、日記、切り抜き、記事、パンフレット、カタログなど)を丹念に読み解き、トーベ・ヤンソンの豊かでダイナミックな人生を色鮮やかに描く。 家族や自然を愛し、自由を求め続けた芸術家トーベ・ヤンソンの生き様に迫った評伝の決定版。 [出版社より] 著 者|ボエル・ヴェスティン 訳 者|畑中麻紀・森下圭子 出版社|フィルムアート社 定 価|3,800円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|656 ISBN|978-4-8459-2104-1 初 版|2021年10月 Contents 1章 私は働く 2章 家族 3章 芸術家の卵 4章 旅する画家 5章 男たちの戦い 6章 ムーミンの物語と記念碑的絵画 7章 黙示録の時代 8章 ムーミンへの情熱 9章 トロールと人間と 10章 果敢な1950年代 11章 トロール、凍てつく世界に踏み出す 12章 表現への渇望 13章 島と恋に落ちた女 14章 石と物語 15章 谷を夢見て 16章 トーベとの旅 17章 言葉の時代 謝辞 訳者あとがき トーベ・ヤンソン 略年譜 図版クレジット Author ボエル・ヴェスティン Boel Westin 1951年生まれ。ストックホルム大学名誉教授。専門は比較文学と児童文学。ルイス・キャロルやアウグスト・ストリンドベリについての著作があるほか、トーベ ・ヤンソン研究の第一人者でもある。トーベ書簡集『Brev från Tove Jansson』(2014)をヘレン・スヴェンソンと共同編集。2014年よりアストリッド・リンドグレーン記念文学賞の審査員長を務める。 Translator 畑中 麻紀 Maki Hatanaka 1967年生まれ。神奈川大学外国語学部英語英文学科卒。トーベ・ヤンソンの作品を原書で読みたいという思いからスウェーデン語を学ぶ。民間企業に勤務後、フリーの翻訳者に。ムーミン75周年にリニューアル刊行された新版ムーミン全集(講談社刊・全9巻)1巻~8巻を、原書準拠で全面的に改訂翻訳した。 森下 圭子 Keiko Morishita 1969年生まれ。日本大学藝術学部卒業、のちにヘルシンキ大学にて舞台芸術とフィンランドの戦後芸術を学ぶ。1994年秋に渡フィンし、現在はヘルシンキ在住。翻訳や通訳のほか、現地視察や取材のコーディネート、連載などでフィンランドのレポートをする傍ら、今もムーミンとトーベ・ヤンソンの研究を続けている。
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デューティーフリー・アート:課されるものなき芸術
¥2,860
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デジタル・グローバリゼーション時代のアートの機能とは何なのか? 現代美術、資本主義、政治、戦争、破壊されたインターネットの交差点で、不平等の時代のアートと、その生産・流通・消費の変容を考察する。挑発的でクリティカルな、“カミング・ダーク・エイジ”の芸術論。 ー スパム、ボット軍団、ウィキリークス・ファイル、電子メールのロマンス詐欺、通貨としてのアート、3Dプリンター技術、ビデオゲーム、政治的アクション、ファシズム、言語……無数の複雑で現代的なトピックを用い、驚くべき方法論で、グローバリゼーションによる富と権力の格差、高度にコンピュータ化された時代の視覚文化やアート制作における矛盾を明らかにする。 グローバル資本主義と結託したアート界を批判する姿勢を貫き、アート、政治、テクノロジーの交差点で思考するアーティストによる現代メディア批評/芸術論、待望の邦訳。 [出版社より] 「理論と芸術の最たる義務は、同時代性を認識しそれを明確に語ることである。今日、他の追随を許さぬほどにこの義務を果たすヒト・シュタイエルの思考は、グローバルに流通する今日のイメージと言語の行く末に投げかけられ、つねに透徹している。大胆で予想を裏切り、そして魅力的である」 ──ボリス・グロイス(美術理論家、哲学者) 著 者|ヒト・シュタイエル 訳 者|大森俊克 出版社|フィルムアート社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|384 ISBN| 978-4-8459-1831-7 初 版|2021年09月 Contents 1 台座の上の戦車 2 いかに人々の生を奪うか ──デザインをめぐる一つの問題 3 容赦なき現存在の戦慄 ──美術界における「居ること」の経済性 4 プロキシの政治 ──シグナルとノイズ 5 茫洋たるデータ ──アポフェニアとパターンの認識(または誤認) 6 メディア ──イメージの自律性 7 デューティーフリー・アート 8 デジタルの肉片 9 彼女の名はエスペランサ 10 インターナショナル・ディスコ・ラテン 11 インターネットは死んでいるのか 12 あえてゲームを(または、アートワーカーは考えることができるか) 13 ファシズムについて語ろう 14 パンがなければアートを食べろ! ──コンテンポラリー・アートとデリバティブ・ファシズム 15 リッピングされる現実 ──3Dの死角と破損データ Author ヒト・シュタイエル Hito Steyerl アーティスト、映像作家、著述家。1966年ドイツ、ミュンヘン生まれ。日本映画学校(現・日本映画大学)に学び、ミュンヘン映像単科大学でドキュメンタリー制作を専攻。オーストリアのウィーン美術アカデミーで哲学の博士号を取得。単著に『真実の色』(2008)、『スクリーンに呪われたる存在』(2012)、『表象の向こう側』(2016)がある。2019年にケーテ・コルヴィッツ賞を受賞。主な個展に、「アイ・ウィル・サバイブ」(ノルトライン゠ヴェストファーレン美術館、ポンピドゥー・センター、2020–21)。現在、ベルリン芸術大学美術学部教授。 Translator 大森 俊克 Toshikatsu Omori 欧米現代美術史研究。ベルリン自由大学美術史学科、基礎および本課程修了(修士)。著書に『コンテンポラリー・ファインアート』(美術出版社)。訳書にクレア・ビショップ『人工地獄──現代アートと観客の政治学』(フィルムアート社)。
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インターネットは言葉をどう変えたか デジタル時代の〈言語〉地図
¥2,420
顔文字、絵文字、アスキーアート、スラング、ミーム……。 気鋭の〈インターネット言語学者〉が軽妙な語り口で紡ぐ、言葉とコミュニケーションの現在地。 ー 本書は気鋭の〈インターネット言語学者〉が鋭い分析をユーモラスに語った、デジタル時代の新たな言語学への情熱あふれたガイドブックである。 大文字の“LOL”が小文字の“lol”になる過程でどう定義や意味が変化したか、日本で生まれた絵文字がなぜ世界で市民権を得たのか、年代によって句読点の使い方が違うのはなぜか、オンライン上での会話で語尾を伸ばすのはどうしてか(「はい〜」「よろしくー」)……など、SNSやチャットなどで使われる、一見無秩序でカオティックな言葉の中にあるパターンや一定のルールをひも解き、人間の言語全般についての理解を深めていく。 また、手紙や印刷機、電話といったインターネット以前のメディアが言葉に与えた影響、方言などの共同体特有の言語とネットワークの関係、スペルチェックなどのソフトウェアがもたらす言葉の変容など、進化しつづけるテクノロジーと言語の変化との関連をさまざまな角度から紹介。 言語は人類にとって最も壮大なオープンソース・プロジェクトであり、インターネットはその言語に急速かつ興味深い方法で変化をもたらしている。オンラインコミュニティ上でおこなわれる会話は、次々に新しいスラングや専門用語を生み出し、目まぐるしいスピードで広まっていく。「弱いつながり」を多く生み出すことで言語の変化を早め、それがハッシュタグや面白動画がバズる現象にもつながっていると著者は述べる。 言葉とコミュニケーションの変容を見つめ、言語が持つしなやかな強さと柔軟さ、そしてなによりも言葉というものの面白さと興味深さを実感できる、革新的で希望にあふれた一冊。 [出版社より] 著 者|グレッチェン・マカロック 訳 者|千葉敏生 出版社|フィルムアート社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|400 ISBN| 978-4-8459-2028-0 初 版|2021年09月 Contents 第1章 カジュアルな書き言葉 第2章 言語と社会 第3章 インターネット人 第4章 口調のタイポグラフィ 第5章 絵文字とその他のインターネット・ジャスチャー 第6章 会話はどう変化するか 第7章 ミームとインターネット文化 第8章 新しい比喩 Author グレッチェン・マカロック Gretchen McCulloch インターネット言語学者。一般の読者向けに言語学(特にインターネット言語)についての記事を数多く執筆しており、『WIRED』では Resident Linguist コラムを連載。マギル大学にて言語学の修士号を取得。ブログ「All Things Linguistic」を運営し、ポッドキャスト「Lingthusiasm」の共同ホストも務める。モントリオール、そしてインターネット在住。 https://gretchenmcculloch.com/ Translator 千葉 敏生 Toshio Chiba 1979年、神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。2006年よりフリーランスの翻訳家として活動。主な訳書に『デザインはどのように世界をつくるのか』(フィルムアート社)、『おバカな答えもAIしてる』(光文社)、『億万長者だけが知っている教養としての数学』(ダイヤモンド社)、『デザイン思考が世界を変える』(早川書房)などがある。
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文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室
¥2,200
技巧(クラフト)が芸術(アート)を可能にする——。 『ゲド戦記』『闇の左手』のアーシュラ・K・ル=グウィンによる小説家のための手引き書。 「芸術には運もある。それから資質もある。それは自分の手では得られない。ただし技術なら学べるし、身につけられる。学べば自分の資質に合う技術が身につけられる」 ——本書「はじめに」より ー ハイファンタジーの傑作『ゲド戦記』や両性具有の世界を描いたフェミニズムSF『闇の左手』などの名作を生み出し、文学史にその名を刻んだアーシュラ・K・ル=グウィン。本書は、ル=グウィンが「自作の執筆に励んでいる人たち」に向けて、小説執筆の技巧(クラフト)を簡潔にまとめた手引書である。 音、リズム、文法、構文、品詞(特に動詞、副詞、形容詞)、視点など、ライティングの基本的なトピックを全10 章で分かりやすく解説。各章には、ジェイン・オースティンやヴァージニア・ウルフ、マーク・トウェイン、チャールズ・ディケンズなど偉大な作家が生み出した名文が〈実例〉として収録され、ル=グウィン自身がウィットに富んだ〈解説〉を加えている。また章末に収録されている〈練習問題〉を活用することで、物語のコツと様式について、自らの認識をはっきりと強固にすることが可能になる。 小説の執筆は、技芸(アート)であり、技巧(クラフト)でもあり、物作りでもある。執筆の楽しみを満喫することができる一冊。 [出版社より] 著 者|アーシュラ・K・ル=グウィン 訳 者|大久保ゆう 出版社|フィルムアート社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-8459-2033-4 初 版|2021年08月 Contents はじめに 第1章 自分の文のひびき 第2章 句読点と文法 第3章 文の長さと複雑な構文 第4章 繰り返し表現 第5章 形容詞と副詞 第6章 動詞――人称と時制 第7章 視点(POV)と語りの声(ヴォイス) 第8章 視点人物の切り換え 第9章 直接言わない語り――事物が物語る 第10章 詰め込みと跳躍 付録:合評会 用語集 訳者解説 Author アーシュラ・K・ル=グウィン Ursula Kroeber Le Guin 1929年カリフォルニア州バークレーに生まれる。1962年に作家としてデビュー。斬新なSF/ファンタジー作品を次々に発表し、ほどなく米国SF界の女王ともいうべき輝かしい存在になる。SF/ファンタジー以外の小説や、児童書、詩、評論などの分野でも活躍。主な作品に、『闇の左手』、『所有せざる人々』、「ゲド戦記」シリーズ、「空飛び猫」シリーズ、「西のはての年代記」三部作など。ネビュラ賞、ヒューゴー賞、ローカス賞を何度も受賞しているほか、ボストングローブ=ホーンブック賞、全米図書賞、マーガレット・A・エドワーズ賞など数々の賞に輝く Translator 大久保 ゆう Yu Okubo フリーランス翻訳家。幻想・怪奇・探偵ジャンルのオーディオブックや書籍のほか、絵画技法書や映画・アートなど文化史関連書の翻訳も手がける。既刊訳書に、『物語を書く人のための推敲入門』(フィルムアート社)、画集『コンプリート ワークス オブ ドゥルー・ストゥルーザン』『アート オブ ロバート・マッギニス』、テリル・ウィットラッチ『幻獣と動物を描く』『幻獣デザインのための動物解剖学』『幻獣キャラクターを創る』(マール社)、『H・P・ラヴクラフト 朗読集1〜3』(パンローリング社)などがある。
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メッセージ トーベ・ヤンソン自選短篇集
¥3,080
SOLD OUT
ねえ、自由を感じているんでしょう? じゃなきゃ、許さないから。 ムーミンに魅せられた大人たちへ贈る――。人を、自然を、芸術を愛し、あるがままを生きたトーベが生涯最後に編んだ傑作選、待望の邦訳。 ー 児童文学作家、画家、イラストレーター、漫画家などさまざまな分野で活躍してきたトーベ・ヤンソンは、大人向けの小説を書く「小説家」としての顔ももっています。 1968年に発表した自伝的小説『彫刻家の娘』以降、ヤンソンはいくつもの小説を執筆してきました。 本書は、1971年から1991年の間に発表された作品の中からヤンソン自身が選定したベストセレクションに書き下ろし8篇を加えた傑作選となっており、生前最後に刊行された遺作でもあります。 自伝的作品集としての側面ももっており、学識豊かだった叔父たち、彫刻家だった父、母娘の関係、幼い日の冒険、美術学校の仲間たちなど、身近なひとびとが作品に登場します。 またヤンソンの芸術観やクリエイティビティに関する洞察が窺えるような要素を含んだ作品も収録されています。 日本のヤンソンファン待望の一冊が、ユーモアのある語りを生かした親しみやすい新訳で刊行。 ◎トーベ・ヤンソン没後20 周年 トーベ・ヤンソンの半生を描いた映画『TOVE』(原題)2021 年秋公開決定! [出版社より] 著 者|トーベ・ヤンソン 訳 者|久山葉子 出版社|フィルムアート社 定 価|2,800円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|496 ISBN|978-4-8459-2011-2 初 版|2021年03月 Contents 1:我が愛しき叔父たち[初邦訳] 2:着想(アイデア)を得るということ[初邦訳] 3:コニコヴァへの手紙[初邦訳]※ 4:ボートとわたし 5:卒業式[初邦訳] 6:サミュエルとの対話[初邦訳] 7:ローベット 8:猿 9:黒と白 10:夏の子ども 11:ある愛の物語 12:人形の家 13:軽い鞄ひとつの旅 14:砂を降ろす 15:クララからの手紙 16:春について 17:大旅行 18:自然の中の芸術 19:リス 20:連載漫画家 21:コニカとの旅 22:墓地 23:ウワディスワフ 24:オオカミ 25:カーリン、わたしの友達 26:文通 27:思い出を借りる女 28:リヴィエラへの旅 29:絵 30:娘[初邦訳] 31:メッセージ[初邦訳] ※トーベ・ヤンソン・コレクション4『石の原野』(筑摩書房、1996年)にて日本語版のみ発表されていた「若き日の友情」をもとに改稿された作品 Author トーベ・ヤンソン Tove Jansson 画家・作家。1914年8月9日フィンランドの首都ヘルシンキに生まれ、父は彫刻家、母は挿絵画家という芸術一家に育つ。母語はスウェーデン語。14 歳の頃にはイラストや創作の仕事を始め、ストックホルム、ヘルシンキ、パリでデザインと絵を学ぶ。1948 年出版の「ムーミン」シリーズ第三作『たのしいムーミン一家』が世界中で評判になると、「ムーミン・コミックス」の新聞連載も始まり多くの読者を得る。1970年代からは一般向け小説も精力的に発表した。1966年に国際アンデルセン賞、1982年に三度目のフィンランド国民文学賞受賞。おもな作品に「ムーミン全集」(全9巻)のほか、『少女ソフィアの夏』『彫刻家の娘』などがある。2001年6月逝去。 Translator 久山 葉子 Yoko Kuyama 1975年生。神戸女学院大学文学部英文学科卒。2010年よりスウェーデン在住。著書に『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』(東京創元社)。訳書に『許されざる者』(レイフ・GW・ペーション著、創元推理文庫)、『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、新潮新書)、『北欧式インテリア・スタイリングの法則』(共訳、フリーダ・ラムステッド著、フィルムアート社)など多数。
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クリティカル・ワード メディア論——理論と歴史から〈いま〉が学べる
¥2,420
SOLD OUT
メディアの織りなす世界を読み解く35のキーワード。 ゲーム、ソフトウェア、モバイルから、資本、ジェンダー、観光、軍事まで……。 現在/過去の文化と社会を一望できる、メディア論の新しい教科書! 2020年代を迎えた現在、インターネット以降のテクノロジーやスマートフォン、SNSの一般化はさらに進み、メディアの在り方は大きく変容し続けています。今やグローバル資本主義と政治的分断の加速は前提となり、メディアを取り巻く社会や文化、私たち人間の状況は、かつてないほどの大きな変化にさらされています。「メディア論」は常にアップデートされ続ける研究分野であり、その意味でも現代社会を考える上でますます重要な分野になっていると言えるでしょう。 本書では、メディア論における近年の新たな動向や、メディア理論の歴史的な系譜を現代的な視点で整理し直し、さらにメディアの実践を横断的にとらえて論じることを試みた、これまでになかったメディア論の入門書です。 豪華執筆陣による、メディア論の新たな射程を編み直す一冊! [出版社より] 編著者|門林岳史・増田展大 出版社|フィルムアート社 定 価|2,200円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|296 ISBN|978-4-8459-2006-8 初 版|2021年02月 Contents はじめに 門林岳史・増田展大 第1部 理論編──メディア理論の現在 1 身体 門林岳史・増田展大 2 知能 原島大輔 3 遊び/ゲーム 吉田寛 4 ニューメディア/ソフトウェア 堀潤之 5 アーカイヴ 大久保遼 6 メディアエコロジー 門林岳史 7 プラットフォーム 増田展大 8 政治とメディア 清水知子 9 資本とメディア 水嶋一憲 10 ポストヒューマン 飯田麻結 第2部 系譜編──メディア思想の潮流 1 フランクフルト学派 竹峰義和 2 マクルーハンとトロント学派 門林岳史 3 ドイツのメディア哲学 鈴木恒平 4 カルチュラル・スタディーズとメディア論 毛利嘉孝 5 ジェンダーとメディア 田中洋美 6 ポストメディア 門林岳史 7 アートとメディア 馬定延 第3部 歴史編──メディア考古学の実践 1 複製メディア 増田展大 2 出版メディア 門林岳史 3 画像メディア 増田展大 4 聴覚メディア 福田貴成 5 音声メディア 秋吉康晴 6 触覚メディア 水野勝仁 7 没入メディア 岩城覚久 8 憑依メディア 浜野志保 9 ヴァナキュラー・メディア 前川修 10 スクリーン・メディア 大久保遼 11 インターネット・メディア 喜多千草 12 モバイル・メディア 光岡寿郎 13 観光メディア 佐藤守弘 14 物流メディア 遠藤英樹 15 通信メディア 飯田豊 16 金融メディア 山本泰三 17 軍事メディア 松谷容作 18 司法メディア 橋本一径 人名索引 事項索引 Editor 門林 岳史 Takeshi Kadobayashi 関西大学文学部映像文化専修教授。専門はメディアの哲学、映像理論。著書に『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?──感性論的メディア論』(NTT出版、2009年)、訳書にマーシャル・マクルーハン&クエンティン・フィオーレ『メディアはマッサージである──影響の目録』(河出文庫、2015年)、ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン──新しい人文学に向けて』(監訳、フィルムアート社、2019年)など。 増田 展大 Nobuhiro Masuda 九州大学大学院芸術工学研究院講師。専門は写真史・写真論、映像メディア論。著書に『科学者の網膜──身体をめぐる映像技術論:1880-1910』(青弓社、2017年)、『インスタグラムと現代視覚文化論──レフ・マノヴィッチのカルチュラル・アナリティクスをめぐって』(分担執筆、ビー・エヌ・エヌ、2018年)、『スクリーン・スタディーズ──デジタル時代の映像/メディア経験』(分担執筆、東京大学出版会、2019年)など。
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アニメーションの女王たち——ディズニーの世界を変えた女性たちの知られざる物語
¥2,860
『白雪姫』から『アナと雪の女王』まで、ディズニーの夢のような世界の裏側で忘れ去られた女性たち。彼女たちの創造の軌跡がいま明かされる。 ノンフィクションである本書では、ウォルト・ディズニー・スタジオに所属していた5人の女性アーティストを中心に、女性やアジア系などマイノリティのアーティストが果たしてきた創造的な役割と、歴史から忘れ去られた彼女たちの多大なる貢献の真実を明らかにします。彼女たちの創造性によってディズニー・アニメーションが夢の世界へと変わっていくさまが描かれるだけでなく、才能豊かな女性アーティストたちを妬む男性スタッフからの嫌がらせや功績の横取りなど耳を疑うような創造の裏側が当時を知る人々のインタビュー、文献、ドローイング(アートワーク)などから暴かれていきます。 女性というだけで入れる部署が限定され、同じ仕事をしながらも男性と女性では給与が全然違うという不公平。大きな貢献をしているにもかかわらずクレジットには名前が載らないという不条理。ねぎらいの言葉もなく会社を追い出されるという理不尽。そんなスタジオの中でも女性アーティストたちは友情を育み、優れた作品やアートワークを生み出していきます。そして次の世代が、彼女たちが遺した作品やアートワークを継承し、「ディズニー・プリンセス」を、そしてスタジオ自体を生まれ変わらせていく様子が綴られます。 初の長編カラーアニメーション映画である『白雪姫』から新しいディズニー・プリンセス像をつくった『アナと雪の女王』まで、それぞれの制作秘話や女性アーティストの活躍が語られていくだけでなく、コピー機やコンピュータの技術革新が作品に与えた影響なども知ることができます。アニメーションと技術との関係を浮き彫りにするパートは、サイエンスライターでもある著者ナサリア・ホルトの知識と経験が活きています。また公民権運動や黒人差別など社会の問題と、アニメーション作品との関係についても語られていきます。 大人から子供まで世代を超えて親しまれる作品を送り出し、数多くの成功を収めてきたウォルト・ディズニー・スタジオ。多くの本や映画が、ウォルト・ディズニーとそのスタジオの歴史と功績を褒め称えています。しかし、そこで描かれるスタジオの軌跡は男性、特に白人の男性の名前にかたちづくられているものがほとんどです。その歴史の裏側がいま、明らかになります。 [出版社より] 著 者|ナサリア・ホルト 訳 者|石原薫 出版社|フィルムアート社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|456 ISBN|978-4-8459-2002-0 初 版|2021年02月 Contents 序文 年表 1 若かりし日 2 口笛吹いて働こう 3 星に願いを 4 花のワルツ 5 リトル・エイプリル・シャワー 6 私の赤ちゃん 7 ブラジルの水彩画 8 ユア・イン・ジ・アーミー・ナウ 9 ジッパ・ディー・ドゥー・ダー 10 これが恋かしら 11 私だけの世界 12 きみもとべるよ! 13 いつか夢で 14 ダルメシアン・プランテーション 15 小さな世界 16 おいっちに、おいっちに 17 パート・オブ・ユア・ワールド 18 闘志を燃やせ! 19 生まれてはじめて エピローグ ハピリー・エバー・アフター 謝辞 Author ナサリア・ホルト Nathalia Holt 1980年生まれ。ノンフィクション作家。南カリフォルニア大学、テュレーン大学、ハーバード大学で学び、マサチューセッツ総合病院ラゴン研究所、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学などで研究職に就く。サイエンスライターとして『ニューヨーク・タイムズ』、『ロサンゼルス・タイムズ』、『タイム』等に寄稿。また、カリフォルニア工科大学図書館、ハーバード大学のシュレシンガー図書館などでも執筆活動を行っている。邦訳された著書に『完治』(岩波書店)や『ロケットガールの誕生』(地人書館)がある。 Translator 石原 薫 Kaoru Ishihara 翻訳家。国内メーカー、米系デザイン会社勤務を経て、書籍の翻訳や企業向けの翻訳に携わる。訳書に『ピクサー流 創造するちから』、『よい製品とは何か』(以上ダイヤモンド社)、『姿勢としてのデザイン』、『HELLO WORLD』、『NYの「食べる」を支える人々』、『シビックエコノミー』(以上フィルムアート社)、『未来をつくる資本主義』(英治出版)、『Sustainable Design』(ビー・エヌ・エヌ)などがある。
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人工地獄 現代アートと観客の政治学
¥4,620
アートと社会の関係性はいかに変化してきたか? 芸術史において見逃されてきた「参加」の系譜をアクロバティックに再編集し、現代アートの動向を批判的に読解する美術評論家クレア・ビショップの代表作、待望の邦訳。 ー 今日のアートにおいては、「参加」――すなわち社会的関与を重視したプラクティスが、非常に重要な位置を占めている。国内では芸術祭やアートプロジェクトが百花繚乱の様相を呈しているが、国際的にも社会的、政治的な側面を重視したプロジェクト型のアートがあらたな文脈を築きつつあり、その規模と影響力は、もはや現代アートのメインストリームを占めているといってよいだろう。特定の集団や地域と相互に歩み寄りながら行なわれるプロジェクトがある一方で、倫理を逸脱した(とみなされる)アートは、ときに衝突と論争を巻き起こしている。 こうした状況がありながら「アートの社会的関与はどの時点で達成といえるのか?」「アートにおける<参加>をいかに評価するか?」「芸術と倫理の衝突をいかに考えるか?」といった根源的な問いについて、いまだ確固たる答えは出ていない。 クレア・ビショップによる『人工地獄(原題:Artificial Hells)』は、このようなアートと社会の関係性について鋭い考察を行なうものである。20世紀以降の芸術史から同時代のアートへと至る全九章の構成は緻密かつ類例のない大胆さをもつが、これには彼女が世界各国のプロジェクト型アートの実例に触れ、また膨大な人物へのインタビューを行なってきた蓄積が存分に生かされている。各章を追いかけることで、彼女自身のアートに対する洞察の深化さえうかがえるだろう。 ビショップは、アートには社会から独立した役割があると確信するが、それはとりもなおさず芸術が倫理を重んじなくともよいという意味ではない。むしろ彼女は作者性と観客性、能動と受動、加害と被害――これらが本質として対立的にはとらえがたいものであることを強調し、複雑に転じていく位相をひもとくことで、より慎重かつ正確な理解を求めようとする。 「敵対」と「否定」に価値を見出しつつ、それらを多層的にとらえ直すビショップの鋭く豊かな思考は、「関係性の美学」以後のアートの構造を理解するうえで必ず踏まえるべきものといえるだろう。 [出版社より] 著 者|クレア・ビショップ 訳 者|大森俊克 出版社|フィルムアート社 定 価|4,200円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|536 ISBN|978-4-8459-1575-0 初版|2016年05月 Contents 序論 第一章 社会的転回:コラボレーションとその居心地の悪さ 1.クリエイティビティと文化政策 2.倫理的転回 3.美学的体制 4.指揮された現実:オーグリーヴの戦い 5.解放された観客 第二章 人工地獄(アーティフィシャル・ヘルズ):歴史的前衛 1.扇動、報道、参加 2.演劇化された生 3.散策と裁判 4.結束と分裂 第三章 私は参加する、君は参加する、彼は参加する…… 1.シチュアシオニスト・インターナショナル:芸術の超克 2.視覚芸術探求グループ:知覚の再教育 3.ジャン=ジャック・ルベル:集団の厄祓い 4.演劇的謀反 第四章 明示された社会のサディズム 1.明示された社会のサディズム 2.加虐者としてのアーティスト 3.封鎖された画廊、暴動や投獄 4.見えない演劇 5.テロ行為としての芸術 第五章 社会主義の内にある社会性 1.プラハ:アクションから儀式へ 2.スロバキア:終わらない表明 3.公共空間の問題 4.モスクワ:識別不可能な位相 5.反体制に抗して 第六章 附帯の人々:芸術家斡旋グループとコミュニティ・アート 1.芸術家斡旋グループの形成 2.プロセスの展示:「イノ70」展 3.斡旋――一九七〇年代とその後 4.コミュニティ・アート運動 5.「ブラッキー」と「インター・アクション」 6.衰退 第七章 旧西側体制(フォーマー・ウェスト):一九九〇年代初期におけるプロジェクトとしての芸術 1.「ユニテ・プロジェクト」、「ソンスベーク93」、「実践の文化」 2.遂行的な展覧会 3.プロジェクトの市民体 第八章 委任されたパフォーマンス:外部に委ねられる真正性 1.分類的試論 2.労働と享楽としてのパフォーマンス 3.倒錯と真正性 4.構築されるパフォーマンス 第九章 教育におけるプロジェクト:「いかに芸術作品であるかのように、授業を生きさせるか」 1.有用芸術(アルテ・ウティル) 2.三部構成のプロジェクト 3.共同作業 4.「機能するもの、生産する」 5.理想としての教育 6.教育資本主義 7.美的教育 結論 1.梯子とコンテナ 2.参加の終焉=目的 謝辞 訳者あとがき 註 索引 Author クレア・ビショップ Claire Bishop 1971年生まれ。美術史家および美術批評。1994年にケンブリッジ大学セント・ジョーンズ校美術史学科を卒業後、エセックス大学の同学科で修士号(1996)および博士号(2002)を取得。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの専任講師(2001-06)、ウォーリック大学の美術史学科の准教授(2006-08)を務める。2008年にニューヨーク市立大学大学院センターに准教授として着任。現在、同校の美術史学科教授。専門は近現代美術史(とくに参加型アート、キュレーティング理論、1989年以降の西欧の美術動向)。単著に『Installation Art』(2010)、共著に『Radical Museology: Or What’s Contemporary in Museums of Contemporary Art?』(2014)、また編書に『Participation』(2006)がある。 Translator 大森俊克 Toshikatsu Omori 美術批評、現代美術史。明治大学英文学科卒。ベルリン自由大学美術史学科基礎および専門課程修了(修士)。東京芸術大学美術研究科博士後期課程満期退学。単著に『コンテンポラリー・ファインアート』(美術出版社、2014年)。
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映像編集の技法——傑作を生み出す編集技師たちの仕事術
¥3,520
SOLD OUT
映画、テレビドラマからドキュメンタリー作品に至るまで、多様な映像ジャンルを手がける編集技師たち50名超にインタビュー。 脚本が書かれ撮影が終わっても、映像というクリエイションをめぐる冒険は続く。 映像編集の最前線で奮闘する「見えざるパフォーマー」たちの極意がここに。 生のままの映像を作品へと昇華させ、傑作を創出するために不可欠な存在、編集技師。本書は、映像制作の最前線で活躍する総勢50名を超える現役の編集技師による架空の座談会として構成され、実作での経緯に基づく技術・方法の解説から、編集という仕事の理念に至るまで、今日における映像編集の極意をうかがい知ることができます。 編集という仕事を手掛ける方々、それを目指す方々に多くの示唆を与える書籍であるばかりでなく、どんな方にも映像制作の知られざる側面への関心を深める、重厚な一冊となっています。 [出版社より] 著 者|スティーヴ・ハルフィッシュ 訳 者|佐藤弥生・茂木靖枝 出版社|フィルムアート社 定 価|3,200円+税 判 型|A5判・並製 頁 数|504 ISBN|978-4-8459-2005-1 初 版|2021年01月 Contents イントロダクション 第1章 プロジェクトの組み立て 第2章 シーンへのアプローチ 第3章 ペイシングとリズム 第4章 構成 第5章 ストーリーを伝える 第6章 パフォーマンス 第7章 サウンドデザイン 第8章 音楽 第9章 コラボレーション 第10章 ドキュメンタリー 第11章 その他のさまざまな知恵 謝辞 編集技師 略歴 索引 Author スティーヴ・ハルフィッシュ Steve Hullfish ドキュメンタリー作品の編集でキャリアをスタートさせ、大学在学中にアメリカ映画編集者協会賞にノミネートされる。10年以上にわたって「オプラ・ウィンフリー・ショー」の編集を務め、長編映画『ファーザーズ』『祈りのちから』『チャンピオン Champion』、ドキュメンタリー映画『クリントン・インク Clinton Inc.』に共同編集技師として携わる。編集および色彩補正について5冊の著作がある。 Translator 佐藤 弥生 Yayoi Sato 東京都生まれ。幼少期を返還前の香港で暮らす。商社などの勤務を経て、国内メーカー、在日米海軍などで20年以上技術翻訳に携わる。訳書に『スター・ウォーズ スーパーグラフィック』『アメコミ・ヒーロー スーパーグラフィック』(フィルムアート社/共訳)など。 茂木 靖枝 Yasue Mogi ロンドンで英語とコンピューターを学ぶ。金融系システム会社などの勤務を経て、現在は翻訳業と会社員を兼務。訳書に『アテンション』(飛鳥新社/共訳)、『スター・ウォーズ スーパーグラフィック』『アメコミ・ヒーロー スーパーグラフィック』(フィルムアート社/共訳)など。
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私たちにできたこと——難民になったベトナムの少女とその家族の物語
¥3,960
親を愛することは、こんなにも簡単なのに どうしてこれほどまでに難しいのだろう? ボートピープルとしてアメリカで育った少女ティー・ブイ。母になった彼女は、両親との溝を埋めるため、祖国ベトナムと再び出会う。それは、両親の苦悩や痛みと向き合うことでもあった……。「分断」の時代に生きる私たちを照らすノンフィクション・グラフィックノベル ビル・ゲイツが年間ベスト・ブックに選出。 アメリカン・ブック・アワード受賞。 ー ベトナム系アメリカ人であるティー・ブイは、母になった。アメリカで新しく家族を築いていくこと、そして子供を育てるという不安の中で、彼女は心が離れてしまった両親と向き合う決意を固める。 フランス、日本、アメリカ……さまざまな国に占領され、貧困と混乱が続いたベトナムを生き抜いてきた両親とその家族。「自分たちの人生を歩んでいきたい」という思いから難民になることを選んだ両親は、新天地アメリカで差別や思い通りにならない現実を前にしながらも、子供たちのために自分たちができる精一杯のことを行なっていく。歴史に翻弄された両親の歩みにふれることで、ティー・ブイの中に変化が生まれていく……。 作者のティー・ブイが、2002年に制作した自身の家族のオーラル・ヒストリーが出発点となった本作は、5世代にわたるベトナム人家族の歩みを描いたノンフィクション・グラフィックノベルである。 第二次世界大戦や第一次インドシナ戦争、ベトナム戦争といった大きな歴史の中で、難民になりながらも必死に生き抜こうとする小さな家族の姿を、独特な絵や色彩、個性的なコマ割り、練られたモノローグによって描き出している。ティー・ブイはデビュー作となる本作によって、アメリカン・ブック・アワードを受賞。ほかに全米批評家協会賞やアイズナー賞にノミネートされるなど高く評価された。 過酷な歴史に翻弄される個人を描いたノンフィクションである本作。『マウス』や『ペルセポリス』といった優れた自伝的作品と同様、個人的だからこそ普遍的な物語が紡がれている。 [出版社より] 著 者|ティー・ブイ 訳 者|椎名ゆかり 出版社|フィルムアート社 定 価|3,600円+税 判 型|B5変型判/並製 頁 数|348 ISBN|978-4-8459-1926-0 初 版|2020年12月 Author ティー・ブイ Thi Bui グラフィックノベル作家。1975年、南ベトナム生まれ。1978年、難民としてアメリカに移住。バード大学大学院にて彫刻、ニューヨーク大学大学院にて美術教育を学ぶ。大学院時代にオーラル・ヒストリーに関心を持ち、自身の家族の記憶をテーマにしたプロジェクトを始動。家族の軌跡を表現するのはグラフィック・ノベルが最適と考え、2005年より制作を開始し、2017年ついに『私たちにできたこと——難民になったベトナムの少女とその家族の物語』を刊行する。ティー・ブイはデビュー作となる本作によって、アメリカン・ブック・アワードを受賞。ほかに全米批評家協会賞やアイズナー賞にノミネートされるなど高く評価された。共著に『A Different Pond』(Raintree)、『Chicken of the Sea』(McSweeneys Books)がある。 Translator 椎名 ゆかり Yukari Shiina 海外マンガ翻訳者。ボーリンググリーン州立大学大学院ポピュラーカルチャー専攻修士課程修了。海外マンガやマンガを対象にした論文の翻訳のほか、海外におけるマンガの状況についての紹介活動なども行なっている。主な訳書には『マンガ学——マンガによるマンガのためのマンガ理論 完全新訳版』(復刊ドットコム)、『アメリカン・ボーン・チャイニーズ——アメリカ生まれの中国人』(花伝社)、『ナンシー——いいね!が欲しくてたまらない私たちの日々』(DU BOOKS)、『ファン・ホーム——ある家族の悲喜劇 新装版』(小学館集英社プロダクション)などがある。
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北欧式インテリア・スタイリングの法則
¥2,640
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調和のとれた心地よい家をつくるために──。 スウェーデンの人気インテリアデザイナーが、スタイリングの基本原則を徹底解説! 黄金比、三分割法、60:30:10+Bの法則……。豊富な図解で、自分の部屋に合わせて実践できるテクニックが満載です。世界各国語版が刊行されているインテリアの新たなバイブルがついに登場! ー インテリアに関する本は数多く刊行されていますが、バランスのとれたプロポーションやカギになる寸法、色の組合わせ方、照明の種類……といった基礎知識について解説された本は少なく、それらの法則は広く一般的には知られていません。 本書では、スウェーデンの人気インテリアデザイナーが、インテリア・スタイリングの秘訣を、図解とともにわかりやすくアドバイス。インテリアにまつわる基本メソッドがこれ1冊で学べます。 「なぜ洗練されて見えるのか」という原理に則した普遍的なメソッドなので、部屋の大きさや個人の趣味に左右されず、誰にでも役立ち、どんな部屋にも応用できます。今あるものに少し手を加えるだけのアイデアばかりなので、新しくものを買う必要や大がかりな改装も必要ありません。 豪華な邸宅のきらびやかな写真を見て直感やセンスを磨くのではなく、具体的で実用的なルールで「何を」だけではなく「どのように」スタイリングするのかを明解に解説しているため、自分に合わせた解決策を見つけ、自分だけの部屋づくりに役立てられます。 家で過ごす時間が増えている今だからこそ、自分の部屋をくつろげる雰囲気で暮らしやすいインテリアにしたいあなたへ、活用できるヒントに満ちた1冊です! ▼本書公式インスタグラム https://www.instagram.com/hokuo_styling/ [出版社より] 「インテリアについて知りたかったのはセンスではなく、〈何をどのように置き、どうやって心地よい空間をつくるのか〉というアイデア、すなわち豊かな暮らしのメソッドでした。本書ははじめてそれを叶えてくれた──」 ——松浦弥太郎[エッセイスト] 著 者|フリーダ・ラムステッド 訳 者|久山葉子・机宏典 出版社|フィルムアート社 定 価|2,400円+税 判 型|B5変型判/並製 頁 数|240 ISBN|978-4-8459-2008-2 初 版|2020年12月 Contents はじめに──心地よい家をつくるために 絶対音感がなくても、楽譜どおりに弾ければいい! 第1章 あなたはどんなことが好きですか? あなたは家の中でどんな人? 何をしている? 誰のために? インテリアに対して臆病? どう思われたいかではなくて、どう生活したいかで家具を決める 第2章 基本のルールと経験則 インテリアの数学 フォーカルポイント(焦点) ライン(線)の魔法 視覚的な重さ アンカリング 奇数の法則 「コントラスト」と「並列配置」 質感と手触り シンメトリー(左右対称) アシンメトリーとFUKINSEI、WABI SABI 比率とサイズにバリエーションを 余白のプランニング フローチャート/家庭内の動線 アイソヴィスト(可視領域) 収納は「2:8」ルール 東西南北 第3章 全体をうまくまとめるための思考ツール 「見通し線」と「軸性」 赤い糸 家の歴史を取り入れる スウェーデンの家とインテリアの変遷 ミックススタイル 視覚的ノイズ カメラのトリック 第4章 配色 色への挑戦 色とは 配色とは? カラーパレット アートワークを使ったテクニック 自然を配色事典に 60:30:10+Bの法則 白やグレーのビギナー配色 カラーコードの罠 光沢度を正しく選ぶために 条件等色(メタメリズム) 白の選び方 壁紙 色の用語集 第5章 照明 光なければ癒しなし 5~7の法則 邪魔な影 間接照明、もしくは拡散光 まぶしくない照明の寸法 玄関の照明 光の高低差 自然光 チェックリスト──色と光の空間分析 照明器具のテクニック 第6章 スタイリングのテクニック 「最後の仕上げ」のレシピ 「静物画」をつくる 絵を飾ろう 窓を飾る 音響を整えよう 空間への挑戦 本棚のスタイリング ソファセット クッション・カラテ ベッドメーキングのテクニック 植物をスタイリング ラグの寸法 花瓶のクローゼット 目隠し テレビとかくれんぼ 解体せずにキッチンやバスルームを更新 親子のためのインテリア 第7章 購入アドバイス インテリア好きに贈る投資戦略 第8章 カギになる寸法とバランス 家の人間工学 玄関 バスルーム キッチン ダイニングテーブル リビングルーム ベッドルーム 仕事部屋 ランドリールーム 第9章 インテリアのプランニング ムードボード おわりに Author フリーダ・ラムステッド Frida Ramstedt スウェーデンのインテリアデザイナー、スタイリスト。北欧トップクラスの閲覧数を誇るインテリアとデザインのブログ、Trendenser (https://trendenser.se)を運営。エル・デコ アワード(EDIDA)の「今年最高のインテリアブログ(Årets inredningsblogg)賞」や、アフトンブラーデット紙の「ブログ大賞(Stora Bloggpris)」など数々の受賞歴をもつ。セミナー講師、トレンドウォッチャー、個人向け・建設会社向けのインテリアコンサルタントとしても人気。 https://www.instagram.com/trendenser/ Translator 久山 葉子 Yoko Kuyama 1975年生。神戸女学院大学文学部英文学科卒。2010年よりスウェーデン在住。著書に『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』(東京創元社)、MOOK『北欧スウェーデンのガーデン&インテリア』(執筆担当、住まいと暮らしの雑誌編集部編、主婦と生活社)。訳書に『許されざる者』(レイフ・GW・ペーション著、創元推理文庫)、『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、新潮新書)など多数。スウェーデンのお宅の訪問取材も多く、日本のインテリア雑誌やMOOKにも寄稿。 机 宏典 Hironori Tsukue 1970年生。1999年国立ヨーテボリ大学デザイン&クラフト学部インテリア学科修士卒。ストックホルムを拠点に、家具&インテリアデザイン、写真など幅広く活動。家具デザインでは独自開発したデスクワーク用バランス・スツール「スインギー」(イトーキ)が日本で好評に。インテリアはカーペンターのスキルを活かし、デザインから施工までを自身で手がけている。北欧やヨーロッパで撮影取材を行い、ライフスタイル、建築、デザインを中心に雑誌メディア等にて多数掲載。
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脚本の科学——認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ
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映画を見るとき頭の中では何が起きているのか? 一本の映画にのめりこむために観客には何が必要か? 認知神経心理学をフル活用した、一歩先に進むための脚本術! ー 脚本術ミーツ神経科学! 目や耳などの現実の情報を知覚する器官の機能から、感情や意思決定と複雑に結びつく脳神経にいたるまで、人間の知覚/認識のプロセス全体を章を追って詳細に明らかにしていく、これまでにない新しいアプローチの脚本術。 「映画を見ているときに心と脳には何が起きているのか?」ということを科学的に説明しながら、物語を語る手法(=ストーリーテリング)の原則とその戦略を明らかにする。 映画脚本だけでなく、小説、マンガ、ビデオゲームなど、あらゆる「物語」に関わる分野においても大きなヒントになる一冊。 [出版社より] 著 者|ポール・ジョセフ・ガリーノ+コニー・シアーズ 訳 者|石原陽一郎 出版社|フィルムアート社 定 価|2,400円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|248 ISBN|978-4-8459-1925-3 初 版|2021年01月 Contents イントロダクション あるいは、私は猫を救ってヒーローを旅立たせるべきだろうか? 第1章 情報の流れの科学 あるいは、スキーマとトップダウン型vsボトムアップ型の認知的ショートカット 第2章 メインキャラクターと感情的につながることの科学 あるいは、なぜ私は覚醒剤のディーラーが捕まりはしないか気が気でないのか? 第3章 コントラストの科学 あるいは、なぜ『スター・ウォーズ』の冒頭で巨大な宇宙船が小さな宇宙船を追うのか? 第4章 状況説明の科学 あるいは、インフォダンプの何が問題か? 第5章 原因と結果の科学 あるいは、パッカーズは本当に私がチーズヘッドをかぶらなかったから負けたのか? 第6章 共同注意の科学 あるいは、もし木が森の中で倒れる脚本を書けば、読者は途中で眠ってしまう。これで脚本を書いたことになるのだろうか? 第7章 葛藤の科学 あるいは、人々が助け合って仲良くやっていくのを二時間見ることの何が悪いのか? 第8章 想像力の科学 あるいは、側頭葉と創造的思考・創造性の諸段階 第9章 構成の問題 あるいは、脚本が売れるためにはいくつの幕が必要か? 第10章 神経科学で読みとく『スター・ウォーズ』 あるいは、ジョージ・ルーカスはいかにやり遂げたか エピローグ あるいは、前進しクリエイトせよ 訳者あとがき 石原陽一郎 参考文献・資料 Author ポール・ジョセフ・ガリーノ Paul Joseph Gulino 脚本家・劇作家。多数の受賞歴あり。二本の脚本が映画化されているほか、ノンクレジット作品およびスクリプト・ドクターとして関わった作品多数。戯曲はニューヨークとロサンゼルスの劇場で上演された。南カリフォルニア大学で5年間脚本執筆を教えた後、1998年よりカリフォルニア州オレンジカウンティーのチャップマン大学で准教授を務める。著書に『Screenwriting: The Sequence Approach』(Bloomsbury, 2004)がある。 コニー・シアーズ Connie Shears チャップマン大学心理学部准教授、認知行動療法士。専門分野は言語理解と脳。 Translator 石原 陽一郎 Yoichiro Ishihara 著書に『タッチで味わう映画の見方』、編著に『映画批評のリテラシー』、訳書に『ペドロ・アルモドバル 愛と欲望のマタドール』、『クリント・イーストウッド 孤高の騎士』(以上、フィルムアート社)、ドゥルーズ『シネマ2』(共訳)、カヴェル『眼に映る世界』(以上、法政大学出版局)など。
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そして映画館はつづく
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——あなたにとって映画館とはどんな場所ですか? 劇場スタッフ、配給会社、関連機関、映画人の言葉から、いま改めて「映画館」を再考する。 私たちの日常に接し、私たちの記憶に結びつき、私たちの人生を彩る幾多の感動を与えてくれるその場所は、今、何を考え、何を求め、何をしようとしているのか。 映画館の昨日、今日、明日を読み解く。 そこにしかない出会いを求めて、映画館に行こう。 ー 新型コロナウイルスに伴う一連の混乱から、映画興業の状況は明白に変化を迎えました。それは映画館という場だけに限るものではなく、映画館へと作品を広げる配給会社や映画を世に送る制作者、そして私たち観客にとっても地続きの問題であると考えられます。映画の流通をめぐる技術的な変容がこれまでにない速度で進む今日において、改めて映画館という場所を私たちが必要とする理由を見つめ直します。 本書では「映画館」という場所のこれまでのあり方と今後のあり方や、広く「映画」と「上映」をめぐる現状について、多くの方々から言葉を集めました。 全国の映画館支配人、代表、番組編成担当者に映画館をめぐる「これまで」と「これから」について話をうかがい、さらには映画館という場所への映画人による思いや期待、「配給」「上映企画」といったかたちで映画館の外側からかかわる方々、そして今回のコロナ危機をめぐっていち早くその支援に乗り出したミニシアター・エイド事務局の皆様の思いと展望まで。映画館という場をめぐる歴史を踏まえ、その今日的な課題や現状を見つめ直し、いま改めて映画館について考える一冊です。 「全国映画館ガイド」を収録! 現在開館している全国の中・小規模映画館を中心に写真とコメントを添えて紹介します。 [出版社より] 編 者|フィルムアート社編集部 出版社|フィルムアート社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-8459-2016-7 初版|2020年11月 Contents 第1章 映画館と 取材館 ・ユーロスペース ・シアター・イメージフォーラム ・早稲田松竹 ・シネマアイリス ・高田世界館 ・フォーラム山形 ・シネマ・ジャック&ベティ ・名古屋シネマスコーレ ・出町座 ・シネマ尾道 ・シネマ5 ・桜坂劇場 第2章 映画館のまわりで ・黒沢清(映画監督)、橋本愛(俳優)、大島依提亜(グラフィックデザイナー)、トランスフォーマー(配給会社) 第3章 映画館と上映をめぐって ・岩崎ゆう子(コミュニティシネマセンター事務局)、杉原永純(映画キュレーター)、樋口泰人(爆音上映ディレクター)坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任) 第4章 ミニシアター・エイドという試み 座談会:大高健志、岡本英之、高田聡、濱口竜介、深田晃司(ミニシアター・エイド事務局) 全国映画館ガイド