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『白雪姫』から『アナと雪の女王』まで、ディズニーの夢のような世界の裏側で忘れ去られた女性たち。彼女たちの創造の軌跡がいま明かされる。
ノンフィクションである本書では、ウォルト・ディズニー・スタジオに所属していた5人の女性アーティストを中心に、女性やアジア系などマイノリティのアーティストが果たしてきた創造的な役割と、歴史から忘れ去られた彼女たちの多大なる貢献の真実を明らかにします。彼女たちの創造性によってディズニー・アニメーションが夢の世界へと変わっていくさまが描かれるだけでなく、才能豊かな女性アーティストたちを妬む男性スタッフからの嫌がらせや功績の横取りなど耳を疑うような創造の裏側が当時を知る人々のインタビュー、文献、ドローイング(アートワーク)などから暴かれていきます。
女性というだけで入れる部署が限定され、同じ仕事をしながらも男性と女性では給与が全然違うという不公平。大きな貢献をしているにもかかわらずクレジットには名前が載らないという不条理。ねぎらいの言葉もなく会社を追い出されるという理不尽。そんなスタジオの中でも女性アーティストたちは友情を育み、優れた作品やアートワークを生み出していきます。そして次の世代が、彼女たちが遺した作品やアートワークを継承し、「ディズニー・プリンセス」を、そしてスタジオ自体を生まれ変わらせていく様子が綴られます。
初の長編カラーアニメーション映画である『白雪姫』から新しいディズニー・プリンセス像をつくった『アナと雪の女王』まで、それぞれの制作秘話や女性アーティストの活躍が語られていくだけでなく、コピー機やコンピュータの技術革新が作品に与えた影響なども知ることができます。アニメーションと技術との関係を浮き彫りにするパートは、サイエンスライターでもある著者ナサリア・ホルトの知識と経験が活きています。また公民権運動や黒人差別など社会の問題と、アニメーション作品との関係についても語られていきます。
大人から子供まで世代を超えて親しまれる作品を送り出し、数多くの成功を収めてきたウォルト・ディズニー・スタジオ。多くの本や映画が、ウォルト・ディズニーとそのスタジオの歴史と功績を褒め称えています。しかし、そこで描かれるスタジオの軌跡は男性、特に白人の男性の名前にかたちづくられているものがほとんどです。その歴史の裏側がいま、明らかになります。
[出版社より]
著 者|ナサリア・ホルト
訳 者|石原薫
出版社|フィルムアート社
定 価|2,600円+税
判 型|四六判・並製
頁 数|456
ISBN|978-4-8459-2002-0
初 版|2021年02月
Contents
序文
年表
1 若かりし日
2 口笛吹いて働こう
3 星に願いを
4 花のワルツ
5 リトル・エイプリル・シャワー
6 私の赤ちゃん
7 ブラジルの水彩画
8 ユア・イン・ジ・アーミー・ナウ
9 ジッパ・ディー・ドゥー・ダー
10 これが恋かしら
11 私だけの世界
12 きみもとべるよ!
13 いつか夢で
14 ダルメシアン・プランテーション
15 小さな世界
16 おいっちに、おいっちに
17 パート・オブ・ユア・ワールド
18 闘志を燃やせ!
19 生まれてはじめて
エピローグ ハピリー・エバー・アフター
謝辞
Author
ナサリア・ホルト Nathalia Holt
1980年生まれ。ノンフィクション作家。南カリフォルニア大学、テュレーン大学、ハーバード大学で学び、マサチューセッツ総合病院ラゴン研究所、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学などで研究職に就く。サイエンスライターとして『ニューヨーク・タイムズ』、『ロサンゼルス・タイムズ』、『タイム』等に寄稿。また、カリフォルニア工科大学図書館、ハーバード大学のシュレシンガー図書館などでも執筆活動を行っている。邦訳された著書に『完治』(岩波書店)や『ロケットガールの誕生』(地人書館)がある。
Translator
石原 薫 Kaoru Ishihara
翻訳家。国内メーカー、米系デザイン会社勤務を経て、書籍の翻訳や企業向けの翻訳に携わる。訳書に『ピクサー流 創造するちから』、『よい製品とは何か』(以上ダイヤモンド社)、『姿勢としてのデザイン』、『HELLO WORLD』、『NYの「食べる」を支える人々』、『シビックエコノミー』(以上フィルムアート社)、『未来をつくる資本主義』(英治出版)、『Sustainable Design』(ビー・エヌ・エヌ)などがある。
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