クラシック音楽とアマチュア——W・W・コベットとたどる二十世紀初頭の音楽界[OUTLET]
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バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン……。クラシック音楽といえば、男性作曲家の名前や作品が思い浮かぶだろう。しかし、音楽は男性だけが作るのではない。書かれた作品がすべてでもない。
19世紀後半から20世紀前半、「音楽なき国」とさえいわれたイギリスで、音楽は国中に鳴り響いていた。音楽を愛する人々=アマチュアには、奏で、聴く楽しみがある。アマチュアは、家庭や友人だけではなく、多くの人々と楽しみを分かち合おうと、女性も男性も音楽の場を作り出していた。
室内楽を熱愛するアマチュア・ヴァイオリニスト、W・W・コベット(1847-1937)は、その生きた証しである。新しい音楽形式「ファンタジー」コンペの実施、楽譜ライブラリーの設立、『室内楽事典』の刊行、戦時下の音楽界での活動、次世代の育成――私財を投じ、さまざまな組織や音楽家との協力によって展開したコベットの実践を軸に、 アマチュアや無名の音楽家たちの豊饒な活躍を史料から再現、クラシック音楽史の新たな一面を照らし出す。
[出版社より]
著 者|西阪多恵子
出版社|青弓社
定 価|2,400円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|232
ISBN|978-4-7872-7411-3
発 行|2018年05月
Contents
はじめに
序 章 「音楽なき国イギリス」のアマチュア
1 音楽史のアマチュアとプロ
2 コベット――室内楽、プロのまなざし
3 音楽のアマチュア像
第1章 コベットの生涯
1 アマチュア・ヴァイオリニストへの道
2 〈ファンタジー〉の幕開けとコベット・コンペティション
3 戦争は音楽の敵
4 新しい時代
5 晩年の輝き
第2章 〈ファンタジー〉熱(ルビ:マニア)は何処(ルビ:どこ)から――〈ファンタジー〉と音楽家組合
1 過ぎ去った〈ファンタジー〉熱(ルビ:マニア)
2 音楽家組合むかし・いま
3 〈ファンタジー〉コンペティションの始まり
4 ファンシーと音楽家組合と〈ファンタジー〉
5 遠ざかる〈ファンタジー〉
第3章 男性の集いと音楽界の女性たち
1 男性の集い
2 音楽界の女性たちとコベット
第4章 兵士に音楽を、音楽家に仕事を――戦時音楽委員会とその周辺
1 戦時下の音楽界
2 戦時音楽委員会のスタート――音楽・音楽家
3 発展――音楽・音楽家・兵士
4 振り返って
終 章 アマチュアから「アマチュア」へ
1 アマチュアだけのためではなく
2 男性同士の結び付き、「女性」という括り
3 パトロン、あるいは音楽の奉仕者
4 理想を追う有能ビジネスマン
5 アマチュアから「アマチュア」へ
主要参考文献
付表
あとがき
Author
西阪 多恵子 Taeko Nishizaka
1954年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒。国立音楽大学附属図書館勤務を経てお茶の水女子大学大学院博士前期課程・後期課程修了。お茶の水女子大学基幹研究院研究員。博士(人文科学)。専攻は音楽ジェンダー史、近現代音楽文化史(イギリス)。共著に『クラシック音楽と女性たち』(青弓社)、『女性作曲家列伝』(平凡社)、『視覚表象と音楽』(明石書店)など。