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ベルリン・オリンピック反対運動[OUTLET]
¥1,430
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ナチスが大々的に関与して国際政治の抗争の場になった1936年のベルリン・オリンピックについては、ドイツの政治・外交との関係や宣伝・映像・芸術の実態など、様々な角度から論じられてきた。 このオリンピックに対してイギリスは反対運動を展開したが、その実像は明らかにされてこなかった。そこで本書では、まず反対運動でイニシアチブを握ったイギリス労働者スポーツ協会の活動を史料から掘り起こす。さらに、フィリップ・ノエル=ベーカーとウォルター・シトリーンの2人に焦点を当てて、彼らの理念や抱えた矛盾も踏まえて反対運動の内実を照らし出す。 バルセロナ人民オリンピアードとの距離感、オリンピック憲章擁護の闘い、ナチ・スポーツ独裁批判――オリンピックという巨大イベントにそれぞれの立場から反対運動を展開した歴史のアクターを追尾し、現代のオリンピックの問題点をも浮き彫りにする。 [出版社より] 著 者|青沼裕之 出版社|青弓社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|224 ISBN|978-4-7872-2089-9 発 行|2020年05月 Contents 序 章 なぜベルリン・オリンピック反対運動を研究するのか 1 国家プロジェクトとしてのオリンピックとパラリンピック 2 ベルリン・オリンピック研究の蓄積 3 本書の課題 第1章 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動 1 国際的なベルリン・オリンピック反対運動の開始 2 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動の起点 3 イギリス・ドイツ対抗フットボール・マッチへの反対とベルリン・オリンピック・ボイコットの提案 4 赤色スポーツインター国際協議会(プラハ)へのイギリス代表参加 5 国際フェアプレー委員会パリ国際会議へのイギリス代表参加 6 バルセロナ人民オリンピアードへの参加準備とスペイン内戦による中止 7 その後の祭典とスペイン支援 第2章 ノエル=ベーカーによるオリンピック憲章擁護の闘い 1 ノエル=ベーカーによる最初の問い合わせ(一九三三年五月) 2 ノエル=ベーカーとハロルド・エイブラハムズの往復書簡 3 ノエル=ベーカーへの反対運動援助の要請 4 ノエル=ベーカーが投書を「タイムズ」に公表しなかった理由 5 エイブラハムズの主張とイギリス・オリンピック協議会の決定 6 ノエル=ベーカーの二通の投書 7 「マンチェスター・ガーディアン」に掲載されたモンタギューの論説 8 ノエル=ベーカーの投書に対する国内外の反響 9 一九三六年前半のベルリン・オリンピック参加をめぐる動向 10 ノエル=ベーカーの決断の歴史的意義 補 論 ノエル=ベーカー文書に収められた亡命者によるナチ・スポーツ情報 1 亡命ドイツ人の活動とナチ・スポーツ情報の発信 2 亡命者によるナチ・スポーツ情報の要点と特徴 3 ノエル=ベーカーの論述の論拠となった亡命者によるナチ・スポーツ情報 第3章 ウォルター・シトリーンのナチ・スポーツ独裁批判 1 イギリス・ドイツ対抗フットボール・マッチとシトリーン 2 シトリーンのパンフレット『ヒトラーの支配下に』 3 国際フェアプレー委員会とシトリーン 4 バルセロナ人民オリンピアードとシトリーン 5 国際労働運動の指導者としてのシトリーンの判断 終 章 イギリスのベルリン・オリンピック反対運動の思想と行動 主要参考文献 あとがき Author 青沼 裕之 Hiroyuki Aonuma 1958年、長野県生まれ。武蔵野美術大学教授。専攻はイギリススポーツ史。著書に『イギリス労働者スポーツ運動史――一九二三―五八年』(青弓社)、共著に『体育・スポーツの近現代――歴史からの問いかけ』(不昧堂出版)、『幻の東京オリンピックとその時代――戦時期のスポーツ・都市・身体』(青弓社)など。
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運命の旅[OUTLET]
¥2,640
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孤高の作家によるナチス占領下フランスからの脱出記。家族との離散、難民収容所、ハリウッドへの亡命……1933年から48年までの戦火の暮らしを克明に綴った迫真のドキュメント。 [出版社より] 著 者|アルフレート・デーブリーン 訳 者|長谷川純 出版社|河出書房新社 定 価|4,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|400 ISBN|978-4-309-20771-1 発 行|2019年06月 Contents 第1篇 ヨーロッパよ、君を残して 見知らぬものへの旅 座礁 救済 第2篇 アメリカ ハリウッドでのなりゆき 心のざわめき 内面の教会と宗教 その後;終戦、そしてある知らせ 出発の合図 第3篇 帰還 ヨーロッパ バーデン=バーデンにて 一九四六年のドイツ チャンスがあったのに マインツへの小旅行 ベルリンとの再会 フリードリヒ通り駅からリンデンまで アレクサンダー広場 一九四八年 報告の終わりとフィナーレ Author アルフレート・デーブリーン Alfred Döblin 1878年プロイセン生まれ。近年世界的に再評価著しいドイツ文学の巨匠。代表作に『ベルリン・アレクサンダー広場』『ハムレット』『たんぽぽ殺し』『マナス』『王倫の三跳躍』など。1957年没。 Translator 長谷川 純 Jun Hasegawa 和光大学表現学部講師。著書に『語りの多声性──デーブリーンの小説『ハムレット』をめぐって』など。
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ナショナリズムとセクシュアリティ——市民道徳とナチズム
¥1,760
何がリスペクタブルな振舞か。ナチズムへと至る国民主義の高揚の中で、性的領域も正常/異常に分けられていく。セクシュアリティ研究の先駆的著作。 ー 18世紀の宗教復興とフランス革命を経て、西洋では「礼にかなった」作法を重んじる市民的価値観が浸透していった。リスペクタブルか否か? その問いかけはセクシュアリティをも正常/異常に区分し、国民主義と結びついて社会の管理・統制を強化した。逸脱行為と見なされた同性愛や売春は社会秩序を乱すものとされ、自制する「男らしさ」と、性欲を排した男同士の友情が市民道徳の基盤となっていく──。 宗教、医学、芸術、性別分業、人種主義などの諸要素が絡まり合って作用し、市民的価値観と国民主義が手を取り合ってナチズムへ至る道が鮮やかに描き出される。文庫化にあたって、心理学者メアリー・ルイーズ・ロバーツによる新たな解説を付した。 [出版社より] 著 者|ジョージ・L・モッセ 訳 者|佐藤卓己 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,600円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|484 ISBN|978-4-480-51210-9 発 行|2023年12月 Contents 第1章 序論―国民主義と市民的価値観 第2章 男らしさと同性愛 第3章 身体の再発見 第4章 友情と国民主義 第5章 どんな女性? 第6章 戦争と青年と美しさ 第7章 血と性―アウトサイダーの役割 第8章 ファシズムとセクシュアリティ 第9章 結論―万人の道徳 Author ジョージ・L・モッセ George L. Mosse 1918‐99年。ベルリン生まれ。ウィスコンシン大学・ヘブライ大学名誉教授。専門はドイツ社会史。1933年ナチスの迫害を逃れて亡命。37年ケンブリッジ大学入学。39年にアメリカ移住後、ハーヴァード大学で博士号を取得。著書に『大衆の国民化』『英霊』(ともにちくま学芸文庫)などがある。 Translator 佐藤 卓己 Takumi Sato 1960年生れ。1989年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。東京大学新聞研究所助手、国際日本文化研究センター助教授を経て、現在は京都大学大学院教育学研究科准教授。著書として『「キング」の時代』(岩波書店、サントリー学芸賞)、『言論統制』(中公新書、吉田茂賞)のほか、『増補 大衆宣伝の神話』(ちくま学芸文庫)、『メディア社会』(岩波新書)、『輿論と世論』(新潮選書)、『テレビ的教養』(NTT出版)、『物語 岩波書店百年史2』(岩波書店)など多数ある。
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政治的なものの概念
¥924
政治的なものの本質を「味方と敵の区別」に見出したカール・シュミット(1888-1985)の代表作。一九三二年版と三三年版を全訳し、各版での修正箇所を示すことで、初出論文である二七年版からの変化をたどれるように編集。さらに六三年版の序文や補遺等も収録した。行き届いた訳文と解説によって、「第三帝国の桂冠法学者」の知的軌跡が浮かび上がる。 [出版社より] 著 者|カール・シュミット 訳 者|権左武志 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|840円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|298 ISBN|9784003403020 発 行|2022年08月 Contents 政治的なものの概念(一九三二年版) 1 国家的と政治的/2 政治的なものの基準としての味方と敵の区別/3 敵対関係の現象形態としての戦争/4 政治的統一の形式としての国家、多元主義による疑問視/5 戦争と敵に関する決定/6 世界は政治的統一でなく、政治的多元体である/7 政治理論の人間学的前提/8 倫理と経済の両極による脱政治化/後記 政治的なものの概念(一九三三年版) 序/1 政治的なものの基準としての味方と敵の区別/2 敵対関係の現象形態としての戦争/3 続/4 政治的統一の形式としての国家、多元主義による疑問視/5 戦争と敵に関する決定/6 続/7 世界は政治的統一でなく、政治的多元体である/8 政治理論の人間学的前提/9 倫理と経済の両極による脱政治化/ 10続 政治的なものの概念(一九六三年版) 序文 補遺二「戦争概念と敵概念の関係」(一九三八年) 注記 訳者解説 文献一覧 あとがき 人名索引
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ヒトラーはなぜ戦争を始めることができたのか
¥3,080
民主主義の危機から、戦争は現れる。 格差、移民、差別、陰謀論……分断社会に解決策を示せないリベラル諸国。渦巻く不安と不信、露わになるナチズムの脅威。アメリカを代表する歴史家が描く、緊迫の第二次大戦前夜。 ー 「他国が脅威として現れたとき、民主主義はどう対応すればいいのか」 「自国のリーダーが無謀で危険、あるいは無能とわかったとき、私たちはどう行動すべきか」 平和を望む民意を背景に、ヒトラーに譲歩を重ねる英首相チェンバレン。ナチの脅威を一人訴え続けるチャーチル。孤立主義の立場から機を窺う米大統領ローズヴェルト。国内で粛清の嵐を吹き荒らすソ連のスターリン。様々な思惑が交錯しながら、世界は戦争への道を進んでいく──。 『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか──民主主義が死ぬ日』続編 。 [出版社より] 著 者|ベンジャミン・カーター・ヘット 訳 者|寺西のぶ子 出版社|亜紀書房 定 価|2,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|488 ISBN|978-4-7505-1817-6 初 版|2023年09月 Contents 主な登場人物 プロローグ……民主主義の危機 〈 PARTI・危機 〉 1……首相の野望──「生存圏」の拡大 2……グライヴィッツ市で何があったのか──ポーランド侵攻のきっかけ 3……「同罪」──赤軍将校の命運 4……「計画は模索中」──チャーチル、チェンバレン、ローズヴェルト 5……「王は、ここでは理解していらっしゃる」──スキャンダル 6……「将来がとても心配だ」──イギリス空軍戦闘機、スピットファイア 7……鉄格子をこすり続ける──移民受け入れ 〈 PARTII・ミュンヘン 〉 8……「これだ、私が求めていたのは!」──将官たちの企て 9……「この危険という茨のなかから」──ミュンヘン会談 10……銃口を突きつけられて──民主主義の苦難 11……「不和の種を蒔く」──分断と差別 〈 PARTIII・戦争 〉 12……「国民のみなさんに申し上げねばなりません......」──宣戦布告 13……「これがプロイセンの将校か!」──指導者への抵抗 14……「力を合わせて、ともに進もうではありませんか」──就任演説 エピローグ……「始まりの終わり」──大西洋憲章 訳者あとがき 参考文献 主な出来事 Author ベンジャミン・カーター・ヘット Benjamin Carter Hett 1965年、ニューヨーク州ロチェスター市生まれ。ハーバード大学にて歴史学博士号取得。専門はドイツ史。ヒトラーの台頭とヴァイマル共和国の崩壊を取りあげた著作、Death in the Tiergarten: Murder and Criminal Justice in the Kaiser's BerlinとCrossing Hitler: The man Who Put the Nazis on the Witness Standは広く知られ、複数の賞を受賞した。邦訳に『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか』(亜紀書房)がある。 Translator 寺西 のぶ子 Nobuko Teranishi 京都府生まれ。訳書にブース『英国一家、日本を食べる』『英国一家、ますます日本を食べる』(以上角川文庫)、『英国一家、インドで危機一髪』『英国一家、日本をおかわり』(以上KADOKAWA)、『ありのままのアンデルセン』(晶文社)、レヴェンソン『ニュートンと贋金づくり』(白揚社)、タッカー『輸血医ドニの人体実験』(河出書房新社)、ヘット『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか』(亜紀書房)など。
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ヒトラー 虚像の独裁者
¥1,276
ヒトラー(一八八九─一九四五)とは何者だったのか。 ナチ・ドイツを多角的に研究してきた第一人者が、最新の史資料を踏まえて「ヒトラー神話」を解き明かす。生い立ちからホロコーストへと至る時代背景から、死後の歴史修正主義や再生産される「ヒトラー現象」までを視野に入れ、現代史を総合的に捉え直す決定版評伝。 [出版社より] 著 者|芝健介 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|1,160円+税 判 型|新書判 頁 数|380 ISBN|9784004318958 初 版|2021年09月 Contents はじめに 第1章 兵士ヒトラー――勲章と沈黙と 一 少年アードルフ/二 ウィーンへ/三 第一次世界大戦 第2章 弁士から党総統へ――カリスマの源泉とテロル 一 停戦と革命/二 カリスマ弁士の誕生/三 総フューラー・パルタイ統の党/四 ミュンヒェン一揆 第3章 国民的政治家への道――『わが闘争』と党の躍進 一 『わが闘争』/二 ナチ党の躍進/三 首相へ 第4章 総統兼首相として――一党独裁のなかの多頭制 一 一党独裁の完成と対ユダヤ人政策/二 政敵の粛清──「長いナイフviiiの夜」/三 再軍備と戦争への布石 第5章 「天才的将帥」から地下要塞へ――第二次世界大戦とホロコースト 一 史上最高の将帥(グレーファツ)/二 絶滅収容所の開設/三 独ソ戦の帰結/四 敗戦の足音 第6章 ヒトラー像の変遷をめぐって――生き続ける「ヒトラー」 一 戦後の混乱とニュルンベルク国際軍事裁判/二 脱魔術化の過程/三 ヒトラー研究・ホロコースト研究の本格化/四 二〇〇〇年代──新たなるまなざし おわりに あとがき 参考文献/図版・地図出典一覧 Author 芝 健介 Kensuke Shiba 1947年、愛媛県生まれ。東京大学法学部政治学科卒業後、同大学大学院社会学研究科博士課程(国際関係論)修了。國學院大學助教授、東京女子大学教授を歴任。現在東京女子大学名誉教授。専攻ドイツ現代史・ヨーロッパ近現代史。 著書に『武装 SS』(講談社)、『ヒトラーのニュルンベルク』(吉川弘文館)、『ホロコースト』(中公新書)、『ニュルンベルク裁判』(岩波書店)ほか。訳書にN.フライ『総統国家』、M.フルブルック『二つのドイツ1945─1990』、G.アリー『ヒトラーの国民国家』(以上、岩波書店)、L.ブレンナー『ファシズム時代のシオニズム』(法政大学出版局)ほか。
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「命のヴィザ」言説の虚構——リトアニアのユダヤ難民に何があったのか?
¥5,720
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第2次世界大戦中、ナチスの〈ホロコースト〉からユダヤ難民を救うために、リトアニアの在カウナス日本国総領事館から発給された、「命のヴィザ」をめぐる物語。しかし、そのヴィザの真の目的は何だったのか。1940年夏のリトアニアで、いったい何が起きたのか。 ニューヨークのユダヤ系機関に保管されている第一級資料にメスを入れ、「神話」から歴史の真実を取り戻し、「もう一つの脅威」をあらわにする迫真の学術ドキュメント。「日本のシンドラー」に関する伝説は、今後、本書によって書き換えられなければならない。 徹底的に歴史の細部を検証する648ページ。主要関係者人名録、関連年譜、索引、参考資料を附す。ブックデザイン=宗利淳一。 [出版社より] 著 者|菅野賢治 出版社|共和国 定 価|5,200円+税 判 型|菊変型判/並製 頁 数|648 ISBN|978-4-907986-81-0 初 版|2021年07月 Contents はじめに ----- 本書の主眼 JDC資料――文書保存の重要性 スルガイリスの史料研究 既存言説と一次資料、その驚くばかりの齟齬 ----- 第一章 リトアニアのソヴィエト化以前(一九三九年九月~四〇年五月) ----- JDCとリトアニア――第二次大戦開戦の報をうけて ヴィルノ/ヴィルニュスのリトアニア併合をうけて ユダヤ人=リトアニア人合同委員会 リトアニア政府の対応(一)新しい国籍法 脱出者が伝える占領下ポーランドの状況 併合直後のヴィルニュス――ヒレル・レヴィン『スギハラを求めて』を批判する リトアニア人、ポーランド人、ソ連人、そしてユダヤ人 リトアニア政府の対応(二)支援組織の公認 スヴァウキ地区の状況 ベッケルマンによるリトアニアの情勢分析 リトアニア政府の対応(三)難民登録の実施 戦争難民の実数 難民たちの日常生活 支援金の分配方法をめぐって ブンド派の独立独歩(一) ナチスの蛮行をめぐる資料体構築の試み 「エストニア」号拿捕事件 ブンド派の独立独歩(二) ルバヴィチ派からの支援要請(一)ポーランドに残された同胞たちのために リトアニア政府の対応(四)ヴィルニュス地区既存住民の処遇 難民の国内分散移住 ヴァルハフティグの行動の軌跡(一)通常のアリヤー事業 ソ連領内から六十名の救出計画 中立国リトアニアからの国外移住 中立国リトアニアにおける反ユダヤ主義とナチズムの脅威 ----- 第二章 ソヴィエト・リトアニアの成立からソ連国籍の強制まで(1940年6月~12月) ----- 一九四〇年六月~七月の大激動 体を殺すドイツ人、魂を殺すロシア人――「ユダヤ的ユダヤ人」に迫る危険 JDC現地資金確保のための奔走(一)資産凍結のあおり アメリカ国籍者の脱出――フィンランド北端ペツァモ経由 JDC現地資金確保のための奔走(二)JDCの法令順守主義とベッケルマンの苛立ち 共産主義体制下におけるユダヤ難民の立場 ブンド指導者ボルフ・シェフネルの場合 ソ連領通過の可能性 「キュラソー・ヴィザ」言説の論理矛盾――ヤン・ブロッケン『義人』を批判する ヴァルハフティグの行動の軌跡(二)ヴィザ取得の推奨 杉原千畝・幸子証言と一次資料の明白な乖離 記憶と歴史――日本版〈ホロコースト産業〉への警鐘 「宣誓供述書」による日本通過ヴィザの発給 ギテルマンのために作成された「宣誓供述書」 ドイツ・ユダヤ移民との関係(一)ドイツからリトアニア経由、日本へ 移住支援という選択肢の急浮上 ラビ・カルマノヴィツのイニシアティヴ イェシヴァー救出のためのユダヤ教組織全体会議(一九四〇年八月十五日) ルバヴィチ派からの支援要請(二)現地支援から移住支援へ イェシヴァー救出のための小委員会(一九四〇年九月九日) JDC現地資金確保のための奔走(三)移住費用「立て替え」案 シオニスト集団の最初の移送計画 JDC現地資金確保のための奔走(四)リトアニア政府からの借款 「キュラソー」への言及――「ヒアス」上海支部からヴィルニュス支部への手紙 イェシヴァー救出計画の顚末(一)重い足取り ヴァルハフティグの行動の軌跡(三)日本へ、そして横浜からJDCへの提言 イェシヴァー救出計画の顚末(二)ドイツ籍ユダヤ教神学生たちの命運 イェシヴァー救出計画の顚末(三)国務省との折衝 ヴァルハフティグの行動の軌跡(四)「オデッサ・ルート」の開通 イェシヴァー救出計画の顚末(四)一九四〇年十二月二十六日の全体委員会 JDC現地資金確保のための奔走(五)財務省の許可 ----- 第三章 大脱出(1941年1月~2月) ----- ソ連人となるか、無国籍者となるか イェシヴァー救出計画の顚末(五)「外交上」の言語 ベッケルマンの奮闘(一)「今さもなくば無」 モスクワないし日本での最終ヴィザ受給 「キュラソー・ヴィザ」と「杉原ヴィザ」の存在価値(一)ともかくモスクワまで ベッケルマンの奮闘(二)ソ連出国ヴィザの大量発給 「パレスティナ移送」と「非=パレスティナ移送」の切り分け ベッケルマンの奮闘(三)「ヒツェム」主導による五百名 「キュラソー・ヴィザ」と「杉原ヴィザ」の存在価値(二)イントゥーリストを介しての日本通過許可 忘れられた実務者たち ベッケルマンの奮闘(四)JDCニューヨーク本部の誤解払拭 ドイツ・ユダヤ移民との関係(二)リトアニア残留者の命運 「セント・ルイス号事件」との思わぬ関連 ベッケルマンの奮闘(五)最後の二週間 ----- 結論と今後の課題 ----- ベッケルマンによる総括(一) ベッケルマンによる総括(二) ベッケルマンによる総括(三) ナチスの脅威の存否 彼らは何〈から〉逃れたのか――証言の扱い、画すべき一線 ひとつの「論争誘発的」な比較 ギテルマンのその後 「ユダヤ難民」という言葉がもたらす非思考 出立しなかった(できなかった)人々の命運――避難地としてのソ連領 アメリカと日本に何ができたか 自己を主張しない功労者たち あるがままの〈好意〉を〈フツパー〉へと貶めないために ----- 補遺 ----- エマヌエル・リンゲルブルムによるイツハク・ギテルマン伝(抄) 書き手不明のJDC文書「リトアニアにおけるユダヤ人の絶滅」(一九四三年) 註 主なJDCメンバー略歴 関連年表 あとがき 人名索引 Author 菅野 賢治 Kenji Kanno 1962年、岩手県に生まれる。東京理科大学理工学部教授。パリ第10(ナンテール)大学博士課程修了。専門は、フランス語フランス文学、ユダヤ研究。主な著書に、『フランス・ユダヤの歴史』(上下、慶應義塾大学出版会、2016年)、『ドレフュス事件のなかの科学』(青土社、2002年)、主な訳書に、ヤコヴ・ラブキン『トーラーの名において』(平凡社、2010年)、レオン・ポリアコフ『反ユダヤ主義の歴史』(共訳、全5巻、筑摩書房、2005~07年)がある。
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ポピュリズムとファシズム——21世紀の全体主義のゆくえ
¥2,860
コロナ後、世界を揺さぶる“熱狂”は、どこへ向かうのか? 世界を席巻するポピュリズムは新段階に入った。その政治的熱狂の行方に、ファシズム研究の権威が迫る! 本書は、全体主義・ファシズム研究の世界的権威である著者が、現在のポピュリズムとその今後について論じたものである。21世紀世界のゆくえを左右していくであろうポピュリズムに対して、20世紀世界を動かしたファシズムとの比較によって、構造的で能動的な分析が行なわれていく。ポピュリズムの定義付けや現象的な分析を超えて、世界の今後を見通していくためのダイナミックな視座を提示している。 [出版社より] 「ポピュリズムの現象的な分析を超えた、世界の今後を見通していくためのダイナミックな視座……」 ——英『ガーディアン』紙 著 者|エンツォ・トラヴェルソ 訳 者|湯川順夫 出版社|作品社 定 価|2,600円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|322 ISBN|9784861828478 初 版|2021年06月 Contents 第1部 ポピュリズムのゆくえ——歴史としての現在 ファシズムからポピュリズムへ ポピュリズムとアイデンティティ政治 反ユダヤ主義とイスラム嫌悪 第2部 ファシズムの新しい顔——現在の中の歴史 ファシズムの新たなる解釈をめぐって 修正主義と「反・反ファシズム」 「全体主義」の政治利用 消失したユートピアの代替物としてのポピュリズム Author エンツォ・トラヴェルソ Enzo Traverso 歴史家。ファシズム、ナチズム、全体主義などの研究者として世界的に著名。米コーネル大学教授。1957年、イタリアで生まれ、ジェノヴァ大学で現代史を修めた後、パリ社会科学高等研究院(EHESS)で博士号を取得。パリ第8大学、ピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学などを経て、現職。ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、南米諸国の大学に客員教授として招かれ、さらに各国で開催される政治学・社会学のセミナーに参加するなど、世界的に活躍している。著作は十数冊に及ぶが、すべてが世界各国に翻訳されている。
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未来派 百年後を羨望した芸術家たち
¥3,960
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なぜ百年後を羨望するか? 私たちは、なぜ未来に憧れ、そして失敗するのか。 20世紀、そして21世紀における文化・政治・テクノロジー・広告といったさまざまな人間活動の萌芽であった芸術・社会運動「未来派」。 その「未来派」の全容に、宣言・運動・詩法・建築・ネットワーク・ダイナミズム・音楽・ファシズム・起源という9つの切り口で迫り、現代における「未来観」の再考をはかる。 哲学者・美術批評家の多木浩二がイタリアで渉猟した膨大な書物や資料をもとに書いた渾身の遺作。 ◎本書の特色 1.芸術・社会変革運動「未来派」について書かれたモノグラフ。 2.「未来派」にかかわる絵画・彫刻・建築などの図版約120点を収載。 3.「未来派」の数ある宣言文の中からとくに重要な11篇をイタリア語とフランス語から翻訳し収録。 [出版社より] 著 者|多木浩二 出版社|コトニ社 定 価|3,600円+税 判 型|A5変型判・並製 頁 数|352 ISBN|978-4-910108-05-6 初 版|2021年06月 Contents 第一章 未来派という現象 1 始動――『ポエジア』から『フィガロ』へ 2 運動――すべては動く、すべては走る、すべては変わる 3 詩法――人間の言葉を変える 4 建築――あたらしい都市 5 宣言――羽のついた「ことば」が世界を飛びまわる 6 ダイナミズム――未来派がもたらす概念 7 音楽――騒音が世界を変える 8 ファシズム――全体主義の出発点 9 起源――マリネッティの感受性と詩的思考 第二章 未来派ギャラリー 第三章 機械・ファシズム、そして人間 いまを生きる人間の義務/森鷗外と未来派/社会の変革を望んだ芸術運動/羨望される人間になりそこねた私たち/システムと統治権力が日常を覆い尽くす/「未来」の宿命の端緒をひらいた未来派/未来への待機/無力感が未来派というかたちとなってあらわれる/「戦争こそ世界の唯一の健康法(衛生法)だ」/芸術の宿命/未来派の悲惨さ/人間の思想は機械からは生まれない/現在という幸福は未来を羨望しない/未来派を媒介に全体主義を考える/日本の破局の水脈/科学と芸術と言葉を繋ぎ合わせる 付録 未来派宣言の数々 1 未来派創立宣言 2 未来派画家宣言 3 未来派絵画技法宣言 4 未来派音楽家宣言 5 未来派彫刻技法宣言 6 騒音芸術 7 シンタックスの破壊 脈絡なき想像力 自由になった言葉 8 音、騒音、そして匂いの絵画 9 未来派建築宣言 10 全世界の未来派的再建 11 未来派的映画 あとがきにかえて 多木陽介 Author 多木 浩二 Koji Taki 1928~2011年。哲学者。旧制第三高等学校を経て、東京大学文学部美学科を卒業。千葉大学教授、神戸芸術工科大学客員教授などを歴任。1960年代半ばから、建築・写真・現代美術を対象とする先鋭的な批評活動を開始。1968年、中平卓馬らと写真表現を焦点とした「思想のための挑発的資料」である雑誌『プロヴォーク』を創刊。翌年第3号で廃刊するも、その実験的試みの軌跡を編著『まずたしからしさの世界を捨てろ』(田畑書店、1970)にまとめる。思考と表現の目まぐるしい変貌の経験をみずから相対化し、写真・建築・空間・家具・書物・映像を包括的に論じた評論集『ことばのない思考』(田畑書店、1972)によって批評家としての第一歩をしるす。 現象学と記号論を駆使して人間の生と居住空間の複雑なかかわりを考察した『生きられた家』(田畑書店、1976/岩波現代文庫、2001/青土社、2019)が最初の主著となった。この本は多木の日常経験の深まりに応じて、二度の重要な改訂が後に行われている。視線という概念を立てて芸術や文化を読み解く歴史哲学的作業を『眼の隠喩』(青土社、1982/ちくま学芸文庫、2008)にて本格的に開始。この思考の系列は、身体論や政治美学的考察と相俟って『欲望の修辞学』(1987)、『もし世界の声が聴こえたら』(2002)、『死の鏡』(2004)、『進歩とカタストロフィ』(2005、以上青土社)、『「もの」の詩学』、『神話なき世界の芸術家』(1994)、『シジフォスの笑い』(1997、以上岩波書店)などの著作に結晶した。日本や西欧の近代精神史を図像学的な方法で鮮かに分析した『天皇の肖像』(岩波新書、1988)やキャプテン・クック三部作『船がゆく』、『船とともに』、『最後の航海』(新書館、1998~2003)などもある。 1990年代半ば以降は、新書という形で諸事象の哲学的意味を論じた『ヌード写真』、『都市の政治学』、『戦争論』、『肖像写真』(以上岩波新書)、『スポーツを考える』(ちくま新書)などを次々と著した。生前最後の著作は、敬愛する4人の現代芸術家を論じた小著『表象の多面体』(青土社、2009)。没後出版として『トリノ 夢とカタストロフィーの彼方へ』(BEARLIN、2012)、『視線とテクスト』(青土社、2013)、『映像の歴史哲学』(みすず書房、2013)がある。2020年に初の建築写真集『建築のことばを探す 多木浩二の建築写真』を刊行した。
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ナチス絵画の謎——逆襲するアカデミズムと「大ドイツ美術展」
¥4,180
SOLD OUT
「ナチス絵画」とは何か。戦争画をはじめ、そのプロパガンダ的要素や国民にとっての「わかりやすさ」については、ほぼ周知であろう。だが、より広い文脈で考えたとき、そこにはさまざまな要素や背景が絡んでいることがわかる。 本書は、1937年に「頽廃美術展」と同時にミュンヘンで開催された「第1回大ドイツ美術展」、とりわけそこに出品され注目を浴びたアドルフ・ツィーグラーの絵画作品『四大元素』を主な対象に、狭義の美術史やナチス研究とは異なる複合的視点から、ナチス美術のあり方をさぐる考察である。具体的には、ツィーグラーという人物とその背景、ナチスの芸術政策の展開、ミュンヘン造形美術アカデミーの歴史、美術アカデミー制度とモダニズム美術の関係、ナチス美術における絵画技術と複製技術メディアの問題、ドイツ・近代美術史におけるミュンヘンの位置、世紀末ドイツ美術界における「ドイツ芸術論争」などの論点を手がかりに、その全体像に迫る試みである。 「大ドイツ美術展」に展示された無名に近い画家たちの絵画はどのようなものであったか。「頽廃」の烙印を押されたミュンヘンの画家たちは? さらにナチス建築の折衷主義、ヒトラーやゲッベルスの発言を含む歴史的資料の検討、メディア史の理論的考察などを通じて、文化史におけるナチス美術の意味を明らかにする。 [出版社より] 著 者|前田良三 出版社|みすず書房 定 価|3,800円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|296 ISBN|978-4-622-08986-5 初 版|2021年03月 Contents はじめに――ナチス美術のイコン 第1章 1937年夏、ミュンヘン 二つの美術展 褐色都市 1937年の男 ドイツ芸術とは何か ヒトラーの「作品」 ただ一度の夏 第2章 アドルフ・ツィーグラーとは誰か 特性のない男 二人のアドルフ 無名画家の変身 凡庸なるオポチュニスト もう一人のアドルフ 第3章 路線闘争 モダニスト・ゲッベルス? ゲッベルス対ツィーグラー ゲッベルスと文化政策 ローゼンベルクの敗退と延命 エーミール・ノルデの場合 美術アカデミーの強制的同一化 美術団体の強制的同一化 第4章 謎の絵 絵の謎 『四大元素』の謎 フレームの機能 闘争宣言のフォーマット ヌードという問題 「生/性政治」あるいはナチス美術の二つの身体 第5章 『四大元素』を読む 人物像あるいは「自然」のアレゴリー 色の問題 ナチス体制の可視化 「北方ルネサンス」の系譜 「技術」の勝利と「芸術」の敗北 間奏 ナチス建築あるいは決断主義的折衷主義 折衷様式あるいは建築における統合原理 折衷主義建築と受容モード 記憶の場における歴史的記憶の破壊 芸術としての政治と「決断主義」 第6章 美術アカデミーという問題 美術アカデミーの歴史とイデオロギー 反アカデミズムとしての近代美術史 視覚文化の大衆化とアカデミー 第7章 逆襲するアカデミズム アカデミズムと「ナチス美術」 絶対化される「技能」 マックス・デルナーとミュンヘン・アカデミズム 新たなプログラム――手業的技量の復興 アカデミズムの逆襲 「大ドイツ美術展」のスターたち 複製技術時代の「絵画技術」 第8章 世紀転換期ミュンヘンの「芸術時代」 画家の都 シュトゥックという現象 文化闘争のイコン――ベックリン ハンス・トーマの「ドイツ」 第9章 「発端」としての世紀転換期 一九〇五年の「ドイツ芸術」論争 対立の構図 「美術におけるユダヤ人問題」 「美術の都」と日本人 おわりに――事件の顚末 あとがき 参考文献 図版一覧 索引 Author 前田 良三 Ryozo Maeda 1955年生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科修了(文学修士)。ドイツ・ボン大学Dr. phil. 東京大学助手、埼玉大学助教授、一橋大学助教授を経て1995年から立教大学文学部教授(ドイツ文学)。主要著作『可視性をめぐる闘争──戦間期ドイツの美的文化批判とメディア』(三元社 2013)、Mythen, Medien, Mediokritäten. Zur Formation der Wissenschaftskultur der Germanistik in Japan(Fink 2010), Transkulturalität. Identitäten in neuem Licht(編著iudicium 2012), Schriftlichkeit und Bildlichkeit. Visuelle Kulturen in Europa und Japan(共編著Fink 2007)。訳書 テオドール・アドルノ『文学ノート1・2』(共訳、みすず書房 2009)、マンフレート・シュナイダー『時空のゲヴァルト――宗教改革からプロスポーツまでをメディアから読む』(共訳、三元社 2001)、フリードリヒ・キットラー『キットラー対話 ルフトブリュッケ広場』(共訳、三元社 1999)ほか。
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ファシズムの日本美術——大観、靫彦、松園、嗣治
¥3,080
SOLD OUT
戦争美術の隠された本質。 「日本ファシズム」というイデオロギーの枠組みのなかで、いかに絵画が戦闘や兵士を描くことなく、戦争を支持し、暴力に加担したか。非戦闘画に内在する政治思想を明らかにする。 [出版社より] 著 者|池田安里 訳 者|タウンソン真智子・池田安里 出版社|青土社 定 価|2,800円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|236 ISBN|9784791772841 初 版|2020年05月 Contents 日本語版まえがき 序文 第一章 絵画、ファシズム、戦争 第二章 横山大観の富士 第三章 安田靫彦の《黄瀬川陣》と「ファシスト・モダニズム」 第四章 上村松園の美人画 第五章 藤田嗣治と《秋田の行事》 結論 日本語主要参考文献 英語主要参考文献 索引 Author 池田安里 Asato Ikeda フォーダム大学美術史准教授。専門は日本美術史。ブリティッシュ・コロンビア大学大学院博士課程を首席で修了しカナダ政府総督府より金メダルを受賞後、スミソニアン博物館とロイヤルオンタリオ博物館で研究者として在籍。主な著書に『The Politics of Painting: Fascism and Japanese Art during the Second World War』(University of Hawai'i Press, 2018)、共著に『A Third Gender: Beautiful Youths in Japanese Prints』(Royal Ontario Museum, 2016)、共編著に『Art and War in Japan and its Empire: 1931-1960』(Brill, 2012)などがある。 Translator タウンソン 真智子 翻訳家。ビクトリア大学大学院修士課程修了。主な業績に『The Encyclopedia of Saskatchewan』(University of Regina Press, 2005)への寄稿などがある。
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収容所のプルースト
¥2,750
1939年のナチスとソ連による相次ぐポーランド侵攻。このときソ連の強制収容所に連行されたポーランド人画家のジョゼフ・チャプスキ(1896 - 1993)は、零下40度の極寒と厳しい監視のもと、プルースト『失われた時を求めて』の連続講義を開始する。 その2年後にチャプスキは解放されるが、同房のほとんどが行方不明となるという歴史的事実の過程にあって、『失われた時を求めて』はどのように想起され、語られたのか? 現存するノートをもとに再現された魂の文学論にして、この長篇小説の未読者にも最適なガイドブック。 [出版社より] 著 者|ジョゼフ・チャプスキ 訳 者|岩津航 出版社|共和国 定 価|2,500円+税 判 型|四六変型判 頁 数|228 ISBN|978-4-907986-42-1 初 版|2018年1月 Contents 編者による注記 収容所のプルースト 後注 ジョゼフ・チャプスキ略年譜 ジョゼフ・チャプスキ著作一覧 プルースト、わが救い 訳者解説にかえて 岩津航 グリャーゾヴェツ・ノート ✶ 別丁 Author ジョゼフ・チャプスキ Joseph Czapski 1896年、ポーランド貴族の息子としてプラハに生まれ、1993年、パリ近郊に沒する。 ポーランドの画家、美術批評家、エッセイスト。 帝政ロシア軍に入隊後、反戦主義を理由に離脱。ポーランドに帰国後、対ソ戦争に従軍。1920年代にパリで絵画修行。1939年、ドイツ軍のポーランド侵攻とともにソ連軍の捕虜となるが、41年に解放される。第二次大戦後は、月刊誌『クルトゥーラ』の編集に参加し、世界各地で個展を開催するなど精力的に活動した。 単著の邦訳は本書が初となる。 Translator 岩津 航 Ko Iwatsu 1975年、大阪府に生まれる。関西学院大学大学院を経て、パリ第四大学博士課程修了、博士(文学)。現在は、金沢大学人間社会学域准教授。専攻は、フランス文学、比較文学。 主な著書に、『死の島からの旅―福永武彦と神話・芸術・文学』(世界思想社、2012)、『近代日本とフランス象徴主義』(共著、水声社、2016)、『文学海を渡る――〈越境と変容〉の新展開』(共著、三弥井書店、2016)など、訳書に、ロマン・ガリ『夜明けの約束』(共和国、2017)、ウーク・チャング『キムチ』(青土社、2007)などがある。
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ファシズムへの偏流[上]
¥3,740
SOLD OUT
貧しい製鉄工の家に生まれたジャック・ドリオ(1898~1945)は、類まれなる弁舌とカリスマ性でフランス共産党の若き指導者となり、「赤い都市」サン・ドニの市長としても絶大なる人気を誇る。しかし、その信念からコミンテルンに反逆。除名されたのち、共産主義に対する根深い憎悪をたぎらせながら、ファシスト政党「フランス人民党」を結成する。[上巻] フランスのドイツへの宣戦布告、休戦協定を経て、ドリオは、反ボルシェヴィズム・フランス義勇団の創設者のひとりとしてドイツ国防軍の制服を着て東部戦線で戦うなど、熱烈なナチス協力者へと変じる。その後ドイツの敗色が濃厚になるなか、ドイツ・マイナウ湖に亡命したドリオは、ヒトラーとも会見。自身の政権を画策するが、1945年、移動中に飛行機からの機銃掃射を受け謎の死を遂げる。[下巻] もっとも著名な政治的転向者のひとりジャック・ドリオの謎に包まれた生涯を、政治、経済、社会、思想史などさまざまな背景から丹念にたどり、あらゆる思想がひしめいた激動の20世紀史をも照射する傑作評伝。 [出版社より] 著 者|竹岡敬温 出版社|国書刊行会 定 価|3,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|387 ISBN|978-4-336-06663-3 初 版|2020年11月 Contents 地図 はしがき 第一部 共産主義からファシズムへ―ジャック・ドリオとフランス人民党 はじめに―左翼からファシズムへの移行 第1章 生い立ち 第2章 モスクワへ 第3章 代議士になるまで 第4章 共産党代議士として 第5章 反植民地主義の闘士 第6章 権力のための闘い 第7章 動揺 第8章 自己批判 第9章 「赤い」都市の市長 第10章 反逆と除名 第11章 サン・ドニ地区多数派 第12章 ファシズムへ向かって 第二部 フランス人民党 1936~1940年 第1章 フランス人民党の結成 第2章 フランス人民党の組織 第3章 フランス人民党はファシストか 第4章 「自由戦線」の提唱 第5章 フランス人民党の危機 註 図版出典一覧 Author 竹岡敬温 Yukiharu Takeoka 1932年、京都市に生まれる。京都大学文学部卒業、大阪大学大学院経済学研究科博士課程中退。1964年から66年まで、フランス政府給費留学生・文部省在外研究員としてパリ大学文学部、高等研究実習学院第6部門(経済学・社会科学部門)に留学。大阪大学経済学部講師、助教授、教授、大阪学院大学経済学部教授を経て、現在、大阪大学名誉教授、大阪学院大学名誉教授、経済学博士。専門は社会経済史。 主要編著書に、『近代フランス物価史序説』(創文社、1974年)、『概説西洋経済史』共編著、有斐閣、1980年)、Des entreprises françaises et japonaises face à la mécatronique, LEST-CNRS, 1988(共著)、『「アナール」学派と社会史 「新しい歴史」へ向かって』(同文館、1990年)、『新技術の導入 近代機械工業の発展』(共編著、同文館、1993年)、『社会史への途』(共編著、有斐閣、1995年)、『世界恐慌期フランスの社会―経済 政治 ファシズム―』(御茶ノ水書房、2008年)、主要訳書に、シャルル・モラゼ『経済史入門』(共訳、創元社、1961年)、ジョン・ネフ『工業文明の誕生と現代世界』(共訳、未来社、一九六三年)、ジャック・エリュール『技術社会』2巻(共訳、すぐ書房、1976年)、ペーター・フローラ『ヨーロッパ歴史統計 国家・経済・社会 1815-1975』2巻(原書房、1985年)などがある。
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ファシズムへの偏流[下]
¥3,520
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貧しい製鉄工の家に生まれたジャック・ドリオ(1898~1945)は、類まれなる弁舌とカリスマ性でフランス共産党の若き指導者となり、「赤い都市」サン・ドニの市長としても絶大なる人気を誇る。しかし、その信念からコミンテルンに反逆。除名されたのち、共産主義に対する根深い憎悪をたぎらせながら、ファシスト政党「フランス人民党」を結成する。[上巻] フランスのドイツへの宣戦布告、休戦協定を経て、ドリオは、反ボルシェヴィズム・フランス義勇団の創設者のひとりとしてドイツ国防軍の制服を着て東部戦線で戦うなど、熱烈なナチス協力者へと変じる。その後ドイツの敗色が濃厚になるなか、ドイツ・マイナウ湖に亡命したドリオは、ヒトラーとも会見。自身の政権を画策するが、1945年、移動中に飛行機からの機銃掃射を受け謎の死を遂げる。[下巻] もっとも著名な政治的転向者のひとりジャック・ドリオの謎に包まれた生涯を、政治、経済、社会、思想史などさまざまな背景から丹念にたどり、あらゆる思想がひしめいた激動の20世紀史をも照射する傑作評伝。 [出版社より] 著 者|竹岡敬温 出版社|国書刊行会 定 価|3,200円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|297 ISBN|978-4-336-06664-0 初 版|2020年11月 Contents 地図 第三部 ヴィシー政権下のフランス人民党 1940~1942年 第1章 元帥の一兵卒として 第2章 フランス人民党の再生―反ユダヤ主義の激化 第3章 親独反共 第4章 反ボルシェヴィズム・フランス義勇軍団 第四部 ヴィシー政権下のフランス人民党 1942~1944年 第1章 政権を目指して 第2章 再び東部戦線へ 第3章 強制労働徴用 第4章 戦況の悪化 第五部 フランス人民党 最後の日々 第1章 亡命 第2章 最後の闘い 第3章 ジャック・ドリオの死 第4章 不条理な偏流 註 あとがき ジャック・ドリオとフランス人民党略年譜 図版出典一覧 人名・地名・事項索引 Author 竹岡敬温 Yukiharu Takeoka 1932年、京都市に生まれる。京都大学文学部卒業、大阪大学大学院経済学研究科博士課程中退。1964年から66年まで、フランス政府給費留学生・文部省在外研究員としてパリ大学文学部、高等研究実習学院第6部門(経済学・社会科学部門)に留学。大阪大学経済学部講師、助教授、教授、大阪学院大学経済学部教授を経て、現在、大阪大学名誉教授、大阪学院大学名誉教授、経済学博士。専門は社会経済史。 主要編著書に、『近代フランス物価史序説』(創文社、1974年)、『概説西洋経済史』共編著、有斐閣、1980年)、Des entreprises françaises et japonaises face à la mécatronique, LEST-CNRS, 1988(共著)、『「アナール」学派と社会史 「新しい歴史」へ向かって』(同文館、1990年)、『新技術の導入 近代機械工業の発展』(共編著、同文館、1993年)、『社会史への途』(共編著、有斐閣、1995年)、『世界恐慌期フランスの社会―経済 政治 ファシズム―』(御茶ノ水書房、2008年)、主要訳書に、シャルル・モラゼ『経済史入門』(共訳、創元社、1961年)、ジョン・ネフ『工業文明の誕生と現代世界』(共訳、未来社、一九六三年)、ジャック・エリュール『技術社会』2巻(共訳、すぐ書房、1976年)、ペーター・フローラ『ヨーロッパ歴史統計 国家・経済・社会 1815-1975』2巻(原書房、1985年)などがある。
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ホロコーストから届く声 非常事態と人のこころ
¥3,080
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コロナ禍の現在とホロコーストに行き着いた1930年代。私たちの心は同じような危うさに触れている。 誰にも自分を晒したくない引きこもりの心性と、四六時中つながっていたい気持ち。引き裂かれている私たちの心の病理をコロナ禍はまざまざと示すことになった。そしてその心性は、先の見通せない息苦しさのなかで狂おしく未来を希求した末、強制収容所に行き着いた1930年代と深く通底している。 ザクセンハウゼン強制収容所を訪問し、記念碑や博物館のあり方に触れ、生還者プリーモ・レーヴィの見続けた夢を分析。スティーブ・ライヒやピナ・バウシュの作品に時代の心性を聴き取る臨床心理学者たちのホロコースト試論。 [出版社より] 編著者|猪股剛 著 者|植田静、鹿野友章、小杉哲平、古川真由美、宮澤淳滋、W・ギーゲリッヒ、西山葉子、清水めぐみ、山本民惠 出版社|左右社 定 価|2,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|320 ISBN|978-4-86528-002-9 初 版|2020年11月 Contents はじめに 一九三六年と二〇二〇年 猪股剛 第一章 ホロコーストのかなしみ 小杉哲平 第二章 ホロコーストの語られ方 猪股剛 第三章 語りに耳を傾けること 植田静 第四章 遊び、演劇、異界とのかかわり 鹿野友章 第五章 プリーモ・レーヴィの生きた夢 宮澤淳滋 第六章 死者と共に在ること 古川真由美 第七章 抑圧された忘却 ヴォルフガング・ギーゲリッヒ [ コラム ] ・ホロコースト読書案内(鹿野友章) ・プリーモ・レーヴィ(宮澤淳滋) ・ユングとは?(鹿野友章) ・ホロコーストとアート(山本民惠) ・ホロコーストと日本(西山葉子) ・ホロコーストと映画(清水めぐみ) ・ホロコーストと関連都市(清水めぐみ) ・ヴォルフガング・ギーゲリッヒ(猪股剛) おわりに 愚かな人間の一人として 山本民惠 Editor & Author 猪股剛 Tsuyoshi Inomata 1969年生まれ。ユング派分析家、臨床心理士/公認心理師。帝塚山学院大学准教授。精神科や学校臨床において実践に携わるとともに、表現やパフォーマンスの精神性や、現代人の心理の深層を思索することを専門としている。著書に『心理学の時間』(単著、日本評論社)、『遠野物語、遭遇と鎮魂』(共著、岩波書店)、訳書に『近代心理学の歴史』『分析心理学セミナー1925 ユング心理学のはじまり』(いずれもC・G・ユング著、創元社)などがある。 Author ヴォルフガング・ギーゲリッヒW olfgang Giegerich 1942年生まれ。ニュージャージー州立大学ドイツ文学の教授職を辞して心理学へ転じ、1976年よりユング派分析家。→本文268頁コラム参照 植田 静 Shizuka Ueda 臨床心理士/公認心理師。獨協医科大学病院小児科・とちぎ子ども医療センター在。山王教育研究所スタッフ。難病サバイバーの心理療法をはじめ、さまざまな小児臨床に携わる。音楽家としても作詞・作曲を行い、現在ファースト・アルバム製作中。 鹿野 友章 Tomoaki Kano 臨床心理士/公認心理師。横浜西口カウンセリングルーム在籍。文京学院大学非常勤講師。子どもとのプレイセラピー、大人との心理療法を専門とし、描画療法である風景構成法の実践・研究も行う。訳書に『近代心理学の歴史』『分析心理学セミナー1925 ユング心理学のはじまり』(いずれもC・G・ユング著、創元社、共訳)などがある。 小杉 哲平 Teppei Kosugi 精神科医。特定医療法人群馬会群馬病院精神科、慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程在籍。精神科病院において、心理療法的アプローチに軸足を置いた臨床を実践している。訳書に『組織と個人を同時に助けるコンサルテーション 企業や学校、対人援助サービスで使えるシステムズセンタード・アプローチ』(共訳、金剛出版)がある。 古川 真由美 Mayumi Furukawa 臨床心理士/公認心理師。現在、東京大学相談支援研究開発センター及び開業施設などにおいて臨床実践を行っている。夢やイメージ、表現にあらわれる心の深層を探究することに関心がある。著書に『発達の非定型化と心理療法』(創元社、共著)などがある。 宮澤 淳滋 Junji Miyazawa 臨床心理士/公認心理師。カウンセリングオフィスクローバーリーフ在籍、相模女子大学非常勤講師。主に精神科領域において夢を主体とした心理療法を実践し、心を通して開けてくる世界を探究している。訳書に『近代心理学の歴史』『分析心理学セミナー1925 ユング心理学のはじまり』(いずれもC・G・ユング著、創元社、共訳)などがある。 西山 葉子 Yoko Nishiyama 臨床心理士/公認心理師。現在、医療法人社団碧水会長谷川病院心理療法科にて心理臨床に携わっている。夢や箱庭、描画、遊び、身体を通したイメージとその表現と心の変容について探求している。神田久男編『心理援助アプローチのエッセンス』(樹村房)第一部第四章「子どもの心理援助 箱庭療法の効果的な適応」を担当。 清水 めぐみ Megumi Shimizu 臨床心理士/公認心理師。東北福祉大学総合福祉学部福祉心理学科准教授。遊びや夢を媒介にした心理臨床に携わっている。共訳書にP・ペリー『まんがサイコセラピーのお話』(金剛出版)、M・カーン『ベイシック・フロイト』(岩崎学術出版社)がある。 山本 民惠 Tamie Yamamoto 臨床心理士/公認心理師。目白大学心理カウンセリングセンター、天王町心理臨床オフィスにて勤務。人の生と死の本質に興味を持っており、現代における個の心のありよう、感情という機能の理や暴力の本性を探究しつつ臨床を実践している。
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ボランティアとファシズム
¥4,950
それは自発か、強制か? 日本のボランティアは、東京帝大の学生たちによる関東大震災後の救護活動およびセツルメントの開設に端を発する。だが、ヒトラー・ドイツに学んだ日本国家は彼らの社会貢献を制度化し、「勤労奉仕」に組み換える形で戦時体制に取り込んでゆく。20世紀史を鏡に、私たちの自発性と強制性の境を揺さぶる渾身の書。 [出版社より] 著 者|池田浩士 出版社|人文書院 定 価|4,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|400 ISBN|9784409520772 初 版|2019年05月 Contents 序章 いまなぜ「ボランティア」なのか? Ⅰ 日本の「ボランティア元年」――デモクラシーの底辺で 1 この私を待つ人たちがいる! 2 自発性と社会貢献の歴史を見つめなおすために Ⅱ 自発性から制度化へ――奪われたボランティア精神 1 発展する国家を巨大自然災害が襲った 2 震災救護活動のなかで――ある大学生たちの歩み 3 「東京帝国大学セツルメント」の創生 Ⅲ ヒトラー・ドイツの「労働奉仕」――日本が学んだボランティア政策 1 ボランティア労働とナチズム 2 労働奉仕と自発性――そもそもボランティアとは何か? 3 自発性とファシズム――労働奉仕が歩んだ道 Ⅳ ボランティア国家としての「第三帝国」――結束と排除の総活躍社会 1 国民だれもがボランティアとなる 2 「帝国労働奉仕」の日々――数字と証言 3 ボランティアの日々、ホロコーストへの道 Ⅴ 「勤労奉仕」と戦時体制――日本を支えた自発性 1 大きな目標の達成に向けて――労働が青少年を組織する 2 銃後のボランティアたち――期待される女性と家庭 3 大陸の花嫁、特攻隊、愛路村――戦時下ボランティアの諸相 終章 迷路のなかのボランティア 1 世の中がボランティアを必要とする… 2 ボランティアの歴史と現実 Author 池田 浩士 Hiroshi Ikeda 1940年生まれ。ドイツ文学・ファシズム文化研究。京都大学名誉教授。主著に『ルカーチとこの時代』(平凡社、1975年)、『ファシズムと文学』(白水社、1978年)、『抵抗者たち』(TBSブリタニカ、1980年/増補新版=共和国、2018年)、『池田浩士コレクション』(インパクト出版会、刊行中)など。主編訳書として、『ルカーチ初期著作集』全4巻(三一書房、1975-76年)、『ドイツ・ナチズム文学集成』(柏書房、刊行中)など。
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ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか
¥2,420
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分断、移民、グローバリズム、フェイクニュース……。 独裁者は見慣れた場所から生まれる。 ナチ党の活動は、第一次大戦後に英米が押し進める国際協調、経済的にはグローバリゼーションに対する抵抗だった。戦後賠償だけがドイツを追い詰めたわけではない。 ロシア革命などによる東方からの難民、共産主義への保守層の拒否感、社会の激しい分断、正規軍と準軍事組織の割拠、世界恐慌、「ヒトラーはコントロールできる」とするエリートたちの傲慢と誤算……アメリカを代表する研究者が描くヒトラーがドイツを掌握するまで。 ——現代は1930年代の再来? [出版社より] 著 者|ベンジャミン・カーター・ヘット 訳 者|寺西のぶ子 出版社|亜紀書房 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|416 ISBN|978-4-7505-1667-7 初 版|2020年09月 Contents イントロダクション 1 八月と一一月 2 「信じてはいけない、彼が本当のことを言っていると」 3 血のメーデーと忍び寄る影 4 飢餓宰相と世界恐慌 5 国家非常事態と陰謀 6 ボヘミア上等兵と貴族騎手 7 強制的同質化と授権法 8 「あの男を追い落とさねばならない」 訳者 あとがき ナチ党が政権をとるまでの主な出来事 Author ベンジャミン・カーター・ヘット Benjamin Carter Hett 1965年、ニューヨーク州ロチェスター市生まれ。ハーバード大学にて歴史学博士号取得。専門はドイツ史。ヒトラーの台頭とヴァイマル共和国の崩壊を取りあげた著作、『Death in the Tiergarten : Murder and Criminal Justice in the Kaiser’s Berlin』と『Crossing Hitler : The man Who Put the Nazis on the Witness Stand』は広く知られ、複数の賞を受賞した。 Translator 寺西 のぶ子 Nobuko Teranishi 京都府生まれ。訳書にブース『英国一家、日本を食べる』『英国一家、ますます日本を食べる』(以上角川文庫)、『英国一家、インドで危機一髪』『英国一家、日本をおかわり』(以上KADOKAWA)、『ありのままのアンデルセン』(晶文社)、リッチ『世界の半分、女子アクティビストになる』(晶文社)、レヴェンソン『ニュートンと贋金づくり』(白揚社)、タッカー『輸血医ドニの人体実験』(河出書房新社)など。
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アーレントのマルクス 労働と全体主義
¥4,950
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アーレントはなぜこれほどまでにマルクスを「誤読」したのか? 『全体主義の起源』発表後、アーレントはマルクス研究に没頭した。その成果は、七年後、『人間の条件』に結実する。アーレントはどのようにマルクスを読み、そこに何を見出したのか。誤読・曲解と評されるマルクス批判に、アーレントの可能性の中心を見出す、新鋭による力作。 「今日、再び全体主義の危機が到来しつつあるのだとすれば、その危機はわれわれの社会が抱える「労働」あるいは「雇用」の問題と深く結びつきながら、世界中でその姿を現わしつつあると見ることができるのではないか。「アーレントのマルクス批判」から導き出される「労働と全体主義」というテーマを深掘りしていくことによって、われわれはアーレント思想の新たな魅力とその現代的意義を引き出すことができるだろう。」(本書より) [出版社より] 著 者|百木漠 出版社|人文書院 定 価|4,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|340 ISBN|9784409030974 初 版|2018年02月 Contents 序章 いま、なぜアーレントなのか? 1 問題関心 2 先行研究 3 労働と全体主義 4 本書の構成 第一章 『全体主義の起源』と『人間の条件』のあいだ 1 アーレントのマルクス研究 2 労働が人間を創造する 3 「マルクス批判」から「西欧政治思想の伝統」批判へ 4 労働・仕事・活動の区別 5 「壁としての法」から「運動法則としての法」へ 6 資本主義と全体主義の通底性 7 マッカーシズムにおける「新たな全体主義」の危機 第二章 アーレントとマルクスの労働思想比較 1 「労働」と「仕事」の定義 2 近代における労働観の反転 3 マルクスは労働を「賛美」したか? 4 「労働」と「仕事」の境界線 5 マルクスの「アソシエイトした労働」 6 「キメラ化した労働」に抗して 第三章 労働・政治・余暇 1 マルクスの「はなはだしい矛盾」? 2 労働と政治からの二重の解放 3 「事物の管理」と「無人支配」 4 ナチス的余暇政策 5 〈労働する動物〉の勝利した社会 6 アーレントとマルクスの交差点 第四章 「社会的なもの」の根源 1 「自然なものの不自然な成長」とは何か 2 ノモスの決壊とピュシスの流入 3 円環的な自然の運動と直線的な人間の生 4 「社会的なもの」と「生政治」 5 「自然」と「労働」の必要性=必然性 6 「世界」と「社会」の対立 第五章 「余計なもの」の廃棄 1 資本の膨張と権力の膨張 2 「余計なもの」としてのモッブ 3 人種主義の導入 4 大国帝国主義、種族的ナショナリズム、汎民族運動 5 「余計なもの」としての無国籍者たち 6 人間を「余計なもの」にするシステム 7 全体主義の回帰? 第六章 〈労働する動物〉に「政治」は可能か? 1 労働者の公的領域への「現われ」 2 「始まりの出来事」としてのハンガリー革命 3 〈労働する動物〉と「労働者」の差異 4 「束の間のユートピア」としての評議会空間? 5 構成・憲法・国制 6 「活動」と「仕事」の補完関係 終章 「労働」から「仕事」へ 1 アーレントがマルクスから学んだもの 2 「労働」することと「仕事」すること 3 テーブルとしての「世界」 4 労働・仕事・活動の三角形バランス あとがき 参考文献 Author 百木 漠 Baku Momoki 1982年生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。2018年4月から立命館大学専門研究員。共著に『現代社会理論の変貌 せめぎあう公共圏』(日暮雅夫・尾場瀬一郎・市井吉興編著、ミネルヴァ書房、2016年)、『大学生のための社会学入門』(篠原清夫・栗田真樹編著、晃洋書房、2016年)がある。
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ドイツ植民地研究
¥4,290
後発帝国主義国として最大の領土を得つつも、第一次大戦で消滅。ナチスの生存圏やジェノサイドにも影響を及ぼしたとされる、忘れ去られた幻の領土の謎に迫る。 ・西南アフリカ 「生存圏構想」の端緒となり、ナチ党ジェノサイドの起源とも言われる ・トーゴ キリスト教ミッションと協力し、補助金なしでもやっていけた「模範的植民地」 ・カメルーン アフリカの縮図であり、大幅に領土拡大し「中央アフリカ」構想に繋がる ・東アフリカ キリマンジャロを有し、農業・交通の面で大規模なインフラ開発が行われた ・太平洋 首長を介し間接的に統治し、第一次大戦後に日本が「委任統治領」として後を引き継ぐ ・膠州湾 植民地化は出来ずに「租借地」として海軍省が管轄した中国市場の経済拠点 ・「社会主義者と植民地」「中央アフリカ計画」「日本統治下の太平洋植民地」等のコラムも ・常夏ビーチやジャングルに突如現れるメルヘンチックな植民地建築など1180枚以上の写真 ・地形や民族を無視した 直線過ぎる国境線など73枚もの地図 [出版社より] 著 者|栗原久定 出版社|パブリブ[栗原久定] 定 価|3,900円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|480 ISBN|978-4-908468-24-7 初版|2018年05月 Contents まえがき 4 凡例 5 第一章 ドイツ植民地概観 9 「ドイツ植民地」とはなんだろうか? 10 第二章 西南アフリカ植民地 33 植民地化以前の西南アフリカ 35 領域画定 42 初期の植民地統治 44 分割統治・搾取の進行 53 ヘレロ・ナマの蜂起 55 植民地改革期 61 交通インフラ 64 植民地経済 72 第一次世界大戦中の西南アフリカ 80 第一次世界大戦後の西南アフリカにおけるドイツ系住民 90 結論 93 コラム1 社会主義者と植民地 101 第三章 トーゴ植民地 107 植民地化以前のトーゴ 109 領域画定 113 初期の植民地統治 118 初期の植民地経済 122 ツェヒの統治 126 経済政策 128 地域の共同体の維持 133 1910年代のトーゴ植民地 138 ドイツ帝国のインフラとしての無線 142 第一次世界大戦中のトーゴ 144 両大戦間期における「模範植民地」の神話 146 結論 147 コラム2 中央アフリカ計画 158 第四章 カメルーン植民地 167 植民地化以前のカメルーン 169 領域画定 173 カメルーン植民地における軍事遠征 177 プットカマーの統治 187 特許会社 190 プランテーションでの生産物 192 植民地改革期 199 第一次世界大戦中のカメルーン 210 委任統治期のカメルーン 212 結論 214 コラム3 熱帯植物栽培 228 第五章 東アフリカ植民地 239 植民地化以前の東アフリカ 241 領域画定 249 住民の抵抗運動に対する軍事的鎮圧 253 初期の植民地統治 263 間接統治地区 269 植民地改革期 271 第一次世界大戦中の東アフリカ 291 結論 298 コラム4 ドイツ植民地における医療と支配の正当化 307 第六章 太平洋植民地 311 植民地化以前の太平洋 314 領域画定 317 メラネシアにおける統治 326 ミクロネシアにおける統治 334 ポリネシアにおける統治 343 第一次世界大戦勃発と植民地喪失、そして返還運動 348 結論 352 コラム5 日本統治下の太平洋植民地 363 第七章 膠州湾植民地 369 租借以前の山東半島 372 領域画定 373 初期の租借地統治 379 義和団戦争とその鎮圧後の租借地統治 388 青島経済 393 輸出品 394 中国人商人の政治参加 400 1910年代の租借地経済 403 対中国貿易促進のための文化政策 406 第一次世界大戦中の青島 412 結論 415 総論 425 植民地におけるドイツ系住民 425 本国と植民地との関係 427 現地の住民への影響 428 あとがき 参考文献 年表 地図 索引 Author 栗原 久定 Hisayasu Kurihara 早稲田大学第一文学部卒。千葉大学大学院人文社会科学研究科公共研究専攻博士前期課程修了。千葉大学大学院人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程単位取得退学。「強いられる低開発への抵抗」(三宅芳夫・菊池恵介編 『近代世界システムと新自由主義グローバリズム』内)を執筆。専門はドイツとオーストリアの近現代史。特に第一次世界大戦中の同盟国の戦争目的を研究している。
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旧ドイツ領全史 「国民史」において分断されてきた「境界地域」を読み解く
¥3,630
そこはなぜドイツになり、そしてなぜドイツではなくなったのか? 周辺各国の地理・歴史だけでなく、多文化主義・地域統合、安全保障・複合国家論・国民国家論・エスニシティ等、あらゆる現代社会科学の研究テーマに波及する。 ●カラーで紋章・旗・歴史観光ガイド ●膨大な量のドイツ時代の古写真 ●時代ごとの境界・国境変遷地図 ●現統治国言語名とドイツ名を必ず併記 ・オストプロイセン 歴代君主の戴冠地ケーニヒスベルクを擁すプロイセンの中核 ・ヴェストプロイセン ポーランド分割後にプロイセンと一体化させられた係争地 ・シュレージエン ピァスト朝・ハプスブルクを経て、工業化を果たした言語境界地域 ・ポーゼン プロイセンによって「ドイツ化」の対象となった「ポーランド揺籃の地」 ・ヒンターポンメルン スウェーデン支配を経て保守派の牙城となったバルト海の要衝 ・北シュレースヴィヒ 普墺戦争からドイツ統一、デンマーク国民国家化への足掛かり ・エルザス=ロートリンゲン 独仏対立の舞台から和解の象徴、欧州連合の中心地に ・オイペン・マルメディ ベルギーの中のドイツ語共同体と、線路で分断された飛び地 ◦カシューブ人、ルール・ポーランド人、オーバーシュレージエン独立運動などマニアックなコラムも [出版社より] 著 者|衣笠太朗 出版社|パブリブ[旧領土スタディーズ] 定 価|3,300円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|464 ISBN|978-4-908468-44-5 初版|2020年8月 Contents はじめに 「分断された歴史叙述」─なぜ今、旧ドイツ領なのか 2 地理概念について 5 本書の構成 5 歴史観光ガイド 20 オストプロイセン 20 ヴェストプロイセン 28 シュレージエン 36 ポーゼン 44 ヒンターポンメルン 48 北シュレースヴィヒ 54 エルザス=ロートリンゲン 60 オイペン・マルメディ 68 序章 「旧ドイツ領」史概観 中・東ヨーロッパにおける国家形成(9-12世紀頃) 74 ポーランド=リトアニアの台頭と宗教改革(13-16世紀) 75 ポーランド=リトアニア共和国の展開と三十年戦争(16-17世紀) 78 ポーランド分割と中・東ヨーロッパの再編(18世紀) 79 ウィーン体制と1848・49年革命(19世紀前半) 83 ドイツ統一(1871-1914年) 85 第一次世界大戦下の中・東ヨーロッパ(1914-1918年) 88 第一次世界大戦の戦後処理・領土問題(1918-1924年頃) 89 戦間期の中・東ヨーロッパ(1918-1933年) 91 ナチ・ドイツと第二次世界大戦(1933-1945年) 95 第二次世界大戦末期の避難と戦後の領土変更にともなう「追放」・「送還」(1945-1950年頃) 99 戦後の中・東ヨーロッパ(1945-1991年頃) 102 第1章 オストプロイセン 歴代君主の戴冠地ケーニヒスベルクを擁すプロイセンの中核 ドイツ領となるまで 111 ・プルーセン族 111 ・ドイツ騎士団の到来と移住政策 113 ・プロイセン諸身分とホーエンツォラーン家の対立 116 ・プロイセン王国の成立 117 ・ナポレオンによる占領 120 ・近代オストプロイセンの住民と言語 121 ドイツ領の中のオストプロイセン 124 ・帝政下の言語政策 124 ・政治・経済 126 ・第一次世界大戦 127 ・アレンシュタインでの住民投票とメーメルの分離 128 ・戦間期の苦境 131 ・第二次世界大戦とオストプロイセン 134 ・オストプロイセンからの避難 137 その後 140 ・ソ連領カリーニングラード州 140 ・ポーランド領ヴァルミア・マズーリィ地域 143 テーマ史 146 ・「ゲルマン対スラヴ」─騎士団・東方移住の評価と東方研究 146 ・「ゲルマン対スラヴ」─2つのタンネンベルク 148 ・アルベルトゥス大学ケーニヒスベルクと「ケーニヒスベルクの世紀」 150 著名出身者 152 第2章 ヴェストプロイセン ポーランド分割後にプロイセンと一体化させられた係争地 ドイツ領となるまで 161 ・十三年戦争と王領プロイセンの成立 161 ・王領プロイセンの展開 162 ・共和国の没落と第一次ポーランド分割 164 ・プロイセン王国領ヴェストプロイセン 167 ・ナポレオンによる占領と「自由国家」ダンツィヒ 168 ・19世紀前半のヴェストプロイセン 170 ドイツ領の中のヴェストプロイセン 172 ・ドイツ帝国におけるヴェストプロイセン 172 ・「ポーランド回廊」と「自由市」ダンツィヒの承認 174 その後 176 ・自由市ダンツィヒ 176 ・第二次世界大戦の勃発とダンツィヒ=ヴェストプロイセン大管区 179 ・第二次世界大戦後の「ヴェストプロイセン」 183 テーマ史 187 ・ 「ヴェストプロイセン」における言語的少数派カシューブ人 187 著名出身者 189 第3章 シュレージエン ピァスト朝・ハプスブルクを経て、工業化を果たした言語境界地域 ドイツ領となるまで 199 ・シロンスク・ピァスト家 199 ・モンゴル軍の襲来と東方移住の開始 201 ・ボヘミア王国の下での繁栄 203 ・ハプスブルク家・宗教改革・三十年戦争 203 ・シュレージエン戦争 207 ・フリードリヒ2世の改革 209 ・ナポレオン戦争とウィーン会議 211 ・シュレージエンにおけるドイツ民族主義の登場と展開 213 ・工業化の時代 214 ・19世紀シュレージエンの言語状況 215 ドイツ領の中のシュレージエン 218 ・文化闘争とポーランド民族運動の興隆 218 ・第一次世界大戦期のシュレージエン 219 ・オーバーシュレージエン問題と住民投票 221 ・ヴァイマル共和国とポーランド共和国の狭間で 226 ・ナチ期のシュレージエン 229 ・第二次世界大戦 231 ・シュレージエンからの避難と追放・送還 234 その後 237 ・「ピァストの地域」 237 テーマ史 240 ・シロンスクの世界遺産 240 ・ ブンツラウ陶器はなぜボレスワヴィエツ陶器(ポーランド陶器)になったのか 244 ・オーバーシュレージエンでの独立運動と集団的帰属意識 246 著名出身者 248 第4章 ポーゼン プロイセンによって「ドイツ化」の対象となった「ポーランド揺籃の地」 ドイツ領となるまで 259 ・ピァスト朝黎明の地「ヴィエルコポルスカ」 259 ・ヴィエルコポルスカ公領─束の間の独立 260 ・ポーランド王冠への統合 262 ・ポーランド黄金時代のポズナニ県・カリシュ県・イノヴロツワフ県 264 ・第二次ポーランド分割によるヴィエルコポルスカの割譲 267 ・プロイセン領ポーゼン州の成立とポーランド人問題の浮上 269 ・1848年革命とポーゼン州におけるポーランド人問題 271 ドイツ領の中のポーゼン 273 ・ビスマルクによるポーゼン州のポーランド人問題への対応 273 ・第一次世界大戦と戦後のヴィエルコポルスカ蜂起 275 その後 279 ・ポーランドの戦間期とその破局 279 ・第二次世界大戦における「ヴァルテラント大管区」 282 ・戦後のヴィエルコポルスカ周辺地域 284 テーマ史 287 ・ルール・ポーランド人 287 ・第二次世界大戦期の「民族ドイツ人」入植政策 290 著名出身者 292 第5章 ヒンターポンメルン スウェーデン支配を経て保守派の牙城となったバルト海の要衝 ドイツ領となるまで 301 ・ポモラニアの黎明 301 ・ポモージェ公領の成立と展開 302 ・東方移住による人口動態・社会構造の変化 303 ・ポンメルンにおける宗教改革 304 ・スウェーデンによる占領とポンメルン公領の分割 305 ・プロイセンによるヒンターポンメルンの再統合 308 ・ナポレオン戦争とウィーン会議 309 ・プロイセン領ポンメルン州と1848年革命 311 ドイツ領の中のヒンターポンメルン 314 ・帝政期のポンメルン 314 ・ヴァイマル期─保守派の牙城 316 ・ナチ期と第二次世界大戦 319 ・ポンメルンにおけるドイツ人の避難 321 その後の「ヒンターポンメルン」 323 ・「ステティンからトリエステまで」─ポーランド領シュチェチン県の誕生 323 ・シュチェチンと戦後ポーランド 325 テーマ史 327 ・スウェーデン領ポンメルン 327 ・フルトン演説におけるシュチェチンの位置 329 著名出身者 331 第6章 北シュレースヴィヒ 普墺戦争からドイツ統一、デンマーク国民国家への足掛かり ドイツ領となるまで 339 ・スレースヴィの黎明 339 ・スレースヴィ公領の成立とシャウエンブルク家の台頭 341 ・分割されるシュレースヴィヒ=ホルシュタイン 343 ・宗教改革の波及と三十年戦争 344 ・近代スレースヴィの言語状況 345 ・シュレースヴィヒ=ホルシュタイン(南ユラン)問題 347 ・1848年革命と第一次スレースヴィ戦争 350 ・ヘールスタートの挫折と第二次シュレースヴィヒ戦争 352 ドイツ領の中のシュレースヴィヒ 356 ・ドイツ帝国における北シュレースヴィヒ問題 356 ・第一次世界大戦下のシュレースヴィヒと戦後の住民投票 359 その後 365 ・戦間期の民族問題 365 ・第二次世界大戦と戦後 366 テーマ史 369 ・デンマークとスカンディナヴィア主義 369 ・デュブル砦の戦い 371 ・著名出身者 373 第7章 エルザス=ロートリンゲン 独仏対立の舞台から和解の象徴、欧州連合の中心地に ドイツ領となるまで 381 ・キリスト教の浸透と神聖ローマ帝国による支配 381 ・三十年戦争による荒廃とフランスへの併合 383 ・フランス王国領「アルザス州」 387 ・フランス革命以後のフランス領アルザスとロレーヌ 389 ドイツ領の中のエルザス=ロートリンゲン 392 ・普仏戦争の帰結とドイツ帝政下のエルザス=ロートリンゲン 396 ・第一次世界大戦とエルザス=ロートリンゲンの行方 396 その後 401 ・戦間期におけるアルザス・ロレーヌのフランス化と自治運動 401 ・第二次世界大戦 402 ・第二次世界大戦後のアルザス・ロレーヌ 405 テーマ史 408 ・アルザスとロレーヌの言語 408 ・ エルザス=ロートリンゲン邦国・共和国構想 410 著名出身者 412 第8章 オイペン・マルメディ周辺地域 ベルギーの中のドイツ語共同体と、線路で分断された飛び地 ドイツ領となるまで 423 ・ガリア族の支配地域と大修道院領 423 ・中近世のオイペン 425 ・フランスによる支配とウィーン会議 426 ドイツ領の中のオイペン・マルメディ 429 ・オイペン・マルメディでの言語政策とフェン鉄道の開通 429 ・第一次世界大戦とパリ講和会議でのオイペン・マルメディ帰属問題 431 ・国際連盟による暫定統治と住民調査 432 その後 436 テーマ史 439 ・ベルギーのドイツ語共同体 439 ・ワロン語(方言)の歴史と標準化への取り組み 440 著名出身者 441 参考文献・ウェブサイト一覧 索引 あとがき Author 衣笠 太朗 Tro Kinugasa 1988年、鳥取県生まれ。博士(学術)。専門はシュレージエン/シロンスク史、中・東ヨーロッパの近現代史、ナショナリズム史。静岡大学人文学部、神戸大学大学院人文学研究科修士課程を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程を修了。元日本学術振興会特別研究員(DC2)。現在は秀明大学学校教師学部助教。主な業績は「上シレジアにおける「ドイツ人の追放」と民族的選別―戦後ポーランドの国民国家化の試み 」(査読論文、2015年)、「第一次世界大戦直後のオーバーシュレージエン/グルヌィシロンスクにおける分離主義運動 」(博士論文、2020年)など。
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アドルフに告ぐ オリジナル版
¥22,000
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正義とは何か? 民族とは何か? 戦争とは何か? 手塚治虫不朽の名作にして日本マンガの最高峰、オリジナル版がついに登場。 雑誌掲載版を再現し、大判と高精細印刷でおくる愛蔵版! 〈これはアドルフと呼ばれた三人の男たちの物語である。彼ら三人はそれぞれちがった人生をたどりながら一本の運命の糸で結ばれていた――〉 ドイツ外交官と日本人妻の息子アドルフ・カウフマン、神戸のユダヤ人パン屋の息子アドルフ・カミル、そしてナチ・ドイツ総統のアドルフ・ヒットラー。第二次世界大戦時の日本・ドイツを舞台に、三人のアドルフの数奇な人生をめぐる大河ドラマとして、手塚治虫が自らの戦争体験を渾身の力を込めて描いた後期の代表作『アドルフに告ぐ』、雑誌掲載オリジナル版を初めて完全復刻。連載時の扉や単行本化で削除されたページ、改変された台詞を復元し、大判サイズ(B5判)で原画を高精細印刷した函入り愛蔵版! 刊行35周年記念出版 全3巻(382/382/372頁)+別冊(98頁) *別冊内容 「手塚治虫と戦争」中条省平 『アドルフに告ぐ』三次元化への道」倉田淳〈スタジオライフ〉 『アドルフに告ぐ』二代目担当編集者:池田幹生インタビュー 「手塚治虫が語る『アドルフに告ぐ』……… 単行本あとがき/アドルフに告ぐ――『観たり撮ったり映したり』より/『アドルフに告ぐ』回想(「手塚ファンmagazine」掲載)/著者に聞く(「中学教育」掲載)/著者インタビュー(「女性セブン」掲載) 解題 濱田高志 『アドルフに告ぐ』ラスト/単行本版描き下ろしページ 『アドルフに告ぐ』関連資料(キャラクター・デザイン、原稿下描き他) [出版社より] 著 者|手塚治虫 出版社|国書刊行会 定 価|20,000円+税 判 型|B5判 頁 数|1,234 ISBN|978-4-336-06365-6 初 版|2020年3月 Author 手塚 治虫 Osamu Teduka 1928年~1989年。大阪府豊中市生まれ。大阪帝国大学附属医学専門部卒。医学博士。
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[増補]普通の人びと ホロコーストと第101警察予備大隊
¥1,760
薬剤師や職人、木材商などの一般市民を中心に編成された第101警察予備大隊。ナチス台頭以前に教育を受け、とりたてて狂信的な反ユダヤ主義者というわけでもなかった彼らは、ポーランドにおいて3万8000人ものユダヤ人を殺害し、4万5000人以上の強制移送を実行した。私たちと同じごく平凡な人びとが、無抵抗なユダヤ人を並び立たせ、ひたすら銃殺しつづける―そんなことがなぜ可能だったのか。限られた資料や証言を縒り合わせ、凄惨きわまりないその実態を描き出すとともに、彼らを大量殺戮へと導いた恐るべきメカニズムに迫る戦慄の書。原著最新版より、増補分をあらたに訳出した決定版。 [出版社より] 著 者|クリストファー・R・ブラウニング 訳 者|谷喬夫 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,600円+税 判 型|文庫判 頁 数|528 ISBN|978-4-480-09920-4 初版|2019年5月 Contents ユゼフフのある朝 通常警察 通常警察と最終的解決―ソ連一九四一年 通常警察と最終的解決―強制移送 第一〇一警察予備大隊 ポーランド到着 大量殺戮への通過儀礼―ユゼフフの大虐殺 大虐殺の考察 ウォマジ―第二中隊の急襲 トレブリンカへの八月の強制移送 九月下旬の暗殺 強制移送の再開 ホフマン大尉の奇妙な健康状態 「ユダヤ人狩り」 最後の大虐殺―「収穫感謝祭」作戦 その後 ドイツ人、ポーランド人、ユダヤ人 普通の人びと Author クリストファー・R・ブラウニング Christopher R. Browning 1944年生まれ。アメリカの歴史学者。パシフィック・ルター大学やノース・カロライナ大学チャペルヒル校で歴史学の教鞭をとる。本書『普通の人びと』を含め、全米ユダヤ図書賞ホロコースト部門を三度受賞。2006年には、アメリカ芸術科学アカデミーのフェローに選出される。 Transltor 谷 喬夫 Takao Tani 1947年群馬県生まれ。新潟大学名誉教授。おもな著書に『ヒムラーとヒトラー』、『ナチ・イデオロギーの系譜』などがある。
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鉄道のドイツ史 帝国の形成からナチス時代、そして東西統一へ
¥990
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1815年、大小さまざまな主権国家の集合体・ドイツ連邦が誕生。以降、ドイツは帝国、共和国、ナチス、東西分裂、そして統一へと、複雑な軌道を疾走した。同時代に誕生した鉄道という近代技術を担った人びとと、その組織からドイツを論じる。統一国家の形成や二度の世界大戦などの激動に、鉄路はいかなる役割を果たしたのか。「富と速度」(ゲーテ)の国民経済を模索した苦闘とともに、「欧州の盟主」の実像を描き出す。 [出版社より] 著 者|鴋澤歩 出版社|中央公論新社[中公新書] 定 価|900円+税 判 型|新書判 頁 数|304 ISBN|9784121025838 初版|2020年3月 Contents 序章 ドイツ鉄道史ひと筆がき―「本書の構成」に代えて 第1章 鉄道建設の背景―ドイツをもとめて 第2章 鉄道時代のはじまり―一九世紀初頭~一八三〇年代 第3章 初期鉄道建設の担い手たち―一八三〇~四〇年代 第4章 鉄道の一九世紀ドイツ経済史 第5章 ドイツ的な、あまりにドイツ的な?―国家官僚制と鉄道 第6章 鉄道技師の世界、あるいは怪人vs役人 第7章 幕が下りてから―一八四八・四九年革命とその後 第8章 ドイツ・ライヒの鉄道 第9章 国際化と戦争と 第10章 共和国からナチス・ドイツへ―一九二〇年代後半~一九四五年 第11章 「時流が厳しく分けたもの」―二〇世紀後半のドイツ国鉄 終章 過去と未来の鉄道 Author 鴋澤 歩 Ayumu Banzawa 1966年、大阪府生まれ。大阪大学大学院経済学研究科教授。博士(経済学)。大阪大学経済学部卒、同大学院経済学研究科博士後期課程中退。滋賀大学経済学部助手、在ベルリン日本国総領事館(当時)専門調査員、大阪大学大学院経済学研究科助教授などを経て、2010年より現職。著書『ドイツ工業化における鉄道業』(有斐閣、2006年、第50回日経・経済図書文化賞)、『鉄道人とナチス』(国書刊行会、2018年、第44回交通図書賞、第20回鉄道史学会・住田奨励賞)。
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[決定版]ナチスのキッチン 「食べること」の環境史
¥2,970
国民社会主義(ナチス)による支配体制下で、人間と食をめぐる関係には何が生じたのか? この強烈なモティーフのもと、竃(かまど)からシステムキッチンへ、近代化の過程で変容する、家事労働、レシピ、エネルギーなどから、「台所」という空間のファシズムをつぶさに検証し、従来のナチス研究に新たな一歩を刻んだ画期的な成果。第1回(2013年度)河合隼雄学芸賞を受賞した、著者の代表作。 [出版社より] 著 者|藤原辰史 出版社|共和国 定 価|2,700円+税 判 型|菊変型判 頁 数|480 ISBN|978-4-907986-32-2 初 版|2016年7月 Contents 序章 台所の環境思想史 1、歴史の基層としての台所 2、テイラー・システムとナチズム 3、台所の変革者たち 4、 台所をどうとらえるか──定義とアングル 第1章 台所空間の「工場」化──建築課題としての台所 1、ドイツ台所小史──「煙と煤」から「ガスと電気」へ 2、ドイツ台所外史──「キッチンの集団化」という傍流 3、第一次世界大戦の衝撃──集団給食の登場 4、フランクフルト・キッチン──「赤いウィーン」から来た女性建築家 5、考えるキッチン──エルナ・マイヤーの挑戦 6、ナチス・キッチン? 7、労働者、約一名の「工場」 第2章 調理道具のテクノロジー化──市場としての台所 1、電化される家族愛──快適、清潔、衛生的 2、台所道具の進歩の背景 3、ニュアル化する台所仕事──人間から道具へ 4、市場化する家事──消費者センター「ハイバウディ」の歴史 5、報酬なきテイラー主義の果てに 第3章 家政学の挑戦 1、家政学とは何か 2、家政学の根本問題──『家政年報』創刊号 3、家政学の可能性と限界──『家政年報』1928―1932 4、家政学のナチ化──『家政年報』1933―1935 5、家政学の戦時体制化──『家政年報』1939―1944 6、家政学が台所に与えた影響 第4章 レシピの思想史 1、ドイツ・レシピ小史 2、読み継がれる料理本──食の嗜好の変化のなかで 3、企業のレシピ──ナチズムへの道 4、栄養素に還元される料理 第5章 台所のナチ化──テイラー主義の果てに 1、台所からみたナチズム 2、「第二の性」の戦場 3、「主婦のヒエラルキー」の形成──母親学校、更生施設、そして占領地へ 4、無駄なくせ闘争 5、残飯で豚を育てる──食糧生産援助事業 6、食の公共化の帰結 終章 来たるべき台所のために 1、労働空間、生態空間、信仰の場 2、台所の改革者たちとナチズム 3、ナチスのキッチンを超えて 註 参考文献 「食べること」の救出に向けて──あとがきにかえて 針のむしろの記──新版のあとがきにかえて 付録1 ベストセラーの料理本 付録2 ダヴィディス著『日常的かつ洗練された料理のための実用的料理本』の版別レシピ構成 付録3 ハーン著『市民の台所のための実用的料理本』の版別レシピ構成 人名索引 477 Author 藤原 辰史 Tatsushi Fujihara 1976年、北海道に生まれ、島根県で育つ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中途退学。博士(人間・環境学)。京都大学人文科学研究所准教授。専攻は、食の思想史、農業史。 著書に、『食べること考えること』(共和国、2014)、『稲の大東亜共栄圏』(吉川弘文館、2012)、『カブラの冬』(人文書院、2011)、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房、2005。新装版、2012。第一回日本ドイツ学会奨励賞)、『第一次世界大戦を考える』(編著、共和国、2016)、『第一次世界大戦』(全四巻、共編著、岩波書店、2014)、『大東亜共栄圏の文化建設』(共著、人文書院、2007)、『食の共同体』(共著、ナカニシヤ出版、2008)など、共訳書に、フランク・ユーケッター『ドイツ環境史』(昭和堂、2014)、エルンスト・ブロッホ『ナチズム』(水声社、2008)がある。