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世代とは何か
¥2,530
地球規模の危機を乗り越え、未来を確かなものにするために、わたしたちは何をすべきか——。 巨大な危機に直面したいま、私たちは「古いやり方」に立ち戻る必要がある、とインゴルドは唱える。、脈々と紡がれてきた「知恵」とは、いったいどのようなものだろうか? ティム・インゴルド思想のエッセンスを総動員して語られる、希望の書。 「ティム・インゴルドは、私たちが直面している惑星規模の危機に対処するために、世代をめぐる考え方をひっくり返そうとします。そのために、複数の世代が祖先の道に沿ってともに生き、ともに働くことによって、自らと子孫たちにとっての未来を確かなものにするという失われてしまった考えを、私たちのうちに再び取り戻そうとするのです」(奥野克巳/訳者) [出版社より] 「生者は死者と未来の他者を、同じテーブルに呼び集めて、対話しなければならない。」 ——中島岳志(政治学者) 著 者|ティム・インゴルド 訳 者|奥野克巳・鹿野マティアス 出版社|亜紀書房 定 価|2,300円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|242+カラー2頁 ISBN |978-4-7505-1858-9 発 行|2024年10月 Contents 日本の読者のみなさまへ まえがき 第1章 世代と生の再生 親子関係 系譜学的モデル 相続と持続性 第2章 人の生涯[ライフコース]をモデル化する 年を取り、子をなす 歴史の天使 釣鐘曲線 生と死 第3章 道を覚えていること 薄層で覆われた地面 過去からの道 アーカイブからアナーカイブへ 懐かしむこと 第4章 不確実性と可能性 呪いを解く くぐり抜けながらおこなう 注意の構造 驚愕と感嘆 第5章 喪失と絶滅 種のカタログ 子をなすことの系譜 人種と世代 保全と、ともに生きること[コンヴィヴィアリティ] 第6章 人類を再中心化する 人間を超えて、人間する[ヒューマニング] 例外主義の告訴 進歩と持続可能性 群れとタービンについて 第7章 教育のやり方 学究的な姿勢 理性と応答可能性 新しい人々、古いやり方 知恵と好奇心 第8章 科学技術の後に STEMからSTEAMへ 科学とアーツ デジタル化と手先仕事 結び 解説に代えて 原注 Author ティム・インゴルド Tim Ingold 1948年イギリス・バークシャー州レディング生まれの人類学者。1976年にケンブリッジ大学で博士号を取得。1973年からヘルシンキ大学、マンチェスター大学を経て、1999年からアバディーン大学で教えている。『ラインズ──線の文化史』(2014年、左右社)、『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』(2017年、左右社)、『ライフ・オブ・ラインズ──線の生態人類学』(2018年、フィルムアート社)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『生きていること』(2021年、左右社)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)などがある。 Translator 奥野 克巳 Katsumi Okuno 立教大学異文化コミュニケーション学部教授。著作に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(2018年、亜紀書房)、『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』(2022年、辰巳出版)、『人類学者K』(2022年、亜紀書房)など多数。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える──人間的なるものを超えた人類学』(2016年、亜紀書房)、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ──シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(2018年、亜紀書房)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)。 鹿野 マティアス Matthias Shikano 翻訳家・ライター。本業では、動物遺体を運ぶ特殊運搬業に携わる。将来は文化人類学者を目指している。
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而今而後——批評のあとさき 岡﨑乾二郎批評選集 vol.2
¥4,290
この世界の外、この時間の先で、世界は起こりつづける。 而今而後(=いまから後、ずっと先も)の世界を見通し、芸術・社会の変革を予見する。稀代の造形作家の思想の軌跡を辿り、その現在地を明らかにする、比類なき批評集。毎日出版文化賞受賞のシリーズ、完結巻。 「〈世界(そしてこのわたしもこの社会も)が終わっても、世界は終わらないことをわたしたちはもう知っている。いまの歴史、いや時間そのものが終わっても、その先に世界があること、すでにあったことを知っている。(……)わたしが終わっても、そのわたしを生成させた世界は終わらない。世界は世界を生成させる力を持ちつづける。たえず時間、空間つまり世界は生起している。この世界の外、この時間の先で、世界は起こりつづける」 [出版社より] 「岡﨑乾二郎は稀有な存在である。彼にあっては、芸術制作と哲学的認識、自身の生活と社会運動が一つになっている。」 ——柄谷行人 著 者|岡﨑乾二郎 出版社|亜紀書房 定 価|3,900円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|516 ISBN|978-4-7505-1838-1 初 版|2024年07月 Contents Ⅰ 而今而後:あとさきへの思慮 而今而後 数万年後の「いまでも」 333からトビウツレ 一人のなかの妖怪たち 礼楽の問題 用がすんだら、片づける 認識の三重苦 第Ⅰ章 著者解題 Ⅱ 非同期性:一致しえないものが一致することの意味 無関係性あるいは非同期性を考察するための差し当たっての注意 非同期性について 現代美術とセンチメント センチメントと形態 でもの哲学 Before And After Article 9:そして誰もいなくなる ドアはいつも開いている。 ディランの頭蓋を開ける。:ディランの思想、夢を覗く 愚かな風 第Ⅱ章 著者解題 Ⅲ 何事のおはしますかはしらねども 雨の中に流れる涙。:“PUBLIC ART” の「領域」 日々の諍い、あるいは法外な経験 to be continued :ビリー・クルーヴァーとE.A.T 美術館における現在 メモ 一億年前の森の中で 第Ⅲ章 著者解題 Ⅳ 配景的対応 弱い身体/強い身体 クール 助動詞的空間 天国と地獄 形態の黴 「ウォッチタワー」から「ウォッチマン」へ:二〇年ぶりのジャスパー・ジョーンズ展 絵画の上の「うわの空」:追悼リキテンスタイン 別の美術館:ラウシェンバーグ回顧展 知覚のカルタ:「没後20年 熊谷守一」展 起源なき夢:建築家アルド・ロッシの死 富士山の曲げごこち:描写の限界 空間の捻挫:描写の限界2 藤森照信《秋野不矩美術館》 落ち葉の気持ち:「近代日本美術の軌跡」展 吉田五十八の呪縛:あらかじめ解かれていた問い デジタルな感傷:モボ・モガとクラフトワーク 二〇世紀の通常建築:「建築の20世紀」展 蝿をくっつけた蝿取り紙:「ポップ・アート 20世紀の大衆芸術革命」展 返景:「クロード・ロランと理想風景」展 配景的対応:現在望みうる最高のブラック展 菱田春草を見る 第Ⅳ章 編集部解題 Ⅴ アトピーな報せ 彫刻の支持体 ホームレスについて カテゴリー:移行する記述の運動、としての批評 「芸術」をいかに使うか 放射能/芸術:どこにも帰属しえないメディアとしての 倫理‐植物の報せ まえがき/あとがき(誰か に教わったこと) 第Ⅴ章 著者解題 あとがき 図版引用・出典一覧 Author 岡﨑 乾二郎 Kenjiro Okazaki 一九五五年東京生まれ。造形作家、批評家。絵画、彫刻、映像、建築など、ジャンルを超えて作品を創造するとともに、美術批評を中心に執筆を続けてきた。一九八二年のパリ・ビエンナーレに招聘されて以来、数多くの国際展に出品し、二〇〇二年にはセゾン現代美術館にて大規模な個展を開催。また、同年に開催された「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」の日本館にディレクターとして参加するなど幅広い活動を行っている。 主な著書に『近代芸術の解析 抽象の力』(亜紀書房)『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー)、『芸術の設計』(編著、フィルムアート社)、『れろれろくん』(ぱくきょんみとの共著、小学館)、『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』(谷川俊太郎との共著、クレヨンハウス)、『絵画の準備を!』(松浦寿夫との共著、朝日出版社)、『白井晟一の原爆堂 四つの対話』(共著、晶文社)。作品集に『TOPICA PICTUS とぴか ぴくたす』(urizen)、『視覚のカイソウ』(ナナロク社)、『Kenjiro OKAZAKI』(BankART1929)など。
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ヒトラーはなぜ戦争を始めることができたのか
¥3,080
民主主義の危機から、戦争は現れる。 格差、移民、差別、陰謀論……分断社会に解決策を示せないリベラル諸国。渦巻く不安と不信、露わになるナチズムの脅威。アメリカを代表する歴史家が描く、緊迫の第二次大戦前夜。 ー 「他国が脅威として現れたとき、民主主義はどう対応すればいいのか」 「自国のリーダーが無謀で危険、あるいは無能とわかったとき、私たちはどう行動すべきか」 平和を望む民意を背景に、ヒトラーに譲歩を重ねる英首相チェンバレン。ナチの脅威を一人訴え続けるチャーチル。孤立主義の立場から機を窺う米大統領ローズヴェルト。国内で粛清の嵐を吹き荒らすソ連のスターリン。様々な思惑が交錯しながら、世界は戦争への道を進んでいく──。 『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか──民主主義が死ぬ日』続編 。 [出版社より] 著 者|ベンジャミン・カーター・ヘット 訳 者|寺西のぶ子 出版社|亜紀書房 定 価|2,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|488 ISBN|978-4-7505-1817-6 初 版|2023年09月 Contents 主な登場人物 プロローグ……民主主義の危機 〈 PARTI・危機 〉 1……首相の野望──「生存圏」の拡大 2……グライヴィッツ市で何があったのか──ポーランド侵攻のきっかけ 3……「同罪」──赤軍将校の命運 4……「計画は模索中」──チャーチル、チェンバレン、ローズヴェルト 5……「王は、ここでは理解していらっしゃる」──スキャンダル 6……「将来がとても心配だ」──イギリス空軍戦闘機、スピットファイア 7……鉄格子をこすり続ける──移民受け入れ 〈 PARTII・ミュンヘン 〉 8……「これだ、私が求めていたのは!」──将官たちの企て 9……「この危険という茨のなかから」──ミュンヘン会談 10……銃口を突きつけられて──民主主義の苦難 11……「不和の種を蒔く」──分断と差別 〈 PARTIII・戦争 〉 12……「国民のみなさんに申し上げねばなりません......」──宣戦布告 13……「これがプロイセンの将校か!」──指導者への抵抗 14……「力を合わせて、ともに進もうではありませんか」──就任演説 エピローグ……「始まりの終わり」──大西洋憲章 訳者あとがき 参考文献 主な出来事 Author ベンジャミン・カーター・ヘット Benjamin Carter Hett 1965年、ニューヨーク州ロチェスター市生まれ。ハーバード大学にて歴史学博士号取得。専門はドイツ史。ヒトラーの台頭とヴァイマル共和国の崩壊を取りあげた著作、Death in the Tiergarten: Murder and Criminal Justice in the Kaiser's BerlinとCrossing Hitler: The man Who Put the Nazis on the Witness Standは広く知られ、複数の賞を受賞した。邦訳に『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか』(亜紀書房)がある。 Translator 寺西 のぶ子 Nobuko Teranishi 京都府生まれ。訳書にブース『英国一家、日本を食べる』『英国一家、ますます日本を食べる』(以上角川文庫)、『英国一家、インドで危機一髪』『英国一家、日本をおかわり』(以上KADOKAWA)、『ありのままのアンデルセン』(晶文社)、レヴェンソン『ニュートンと贋金づくり』(白揚社)、タッカー『輸血医ドニの人体実験』(河出書房新社)、ヘット『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか』(亜紀書房)など。
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優しい地獄
¥1,980
「『雪国』を読んだ時「これだ」と思った。私がしゃべりたい言葉はこれだ。何か、何千年も探していたものを見つけた気がする。自分の身体に合う言葉を」 社会主義政権下のルーマニアに生まれたイリナ。祖父母との村での暮らしは民話の世界そのもので、町では父母が労働者として暮らす。川端康成『雪国』や中村勘三郎の歌舞伎などに魅せられ、留学生として来日。いまは人類学者として、弘前に暮らす。 日々の暮らし、子どもの頃の出来事、映画の断片、詩、アート、人類学……。時間や場所、記憶や夢を行ったり来たりしながらつづる自伝的なエッセイ。本書は、社会にうまく適応できない孤独な少女の記録であり、社会主義から資本主義へ移っていくルーマニアの家族三代にわたる現代史でもある。 [出版社より] 「五歳の娘は寝る前にダンテ『神曲』の地獄の話を聞いてこう言った。「でも、今は優しい地獄もある、好きなものを買えるし好きなものも食べられる」。彼女が資本主義の皮肉を五歳という年齢で口にしたことにびっくりした」 ——本文より 著 者|イリナ・グリゴレ 出版社|亜紀書房 定 価|1,800円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|256 ISBN|978-4-7505-1754-4 初 版|2022年07月 Contents 生き物としての本 上 生き物としての本 下 人間の尊厳 私の遺伝子の小さな物語 上 私の遺伝子の小さな物語 下 蛇苺 家 マザーツリー 無関心ではない身体 自転車に乗っていた女の子 天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 上 天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 下 なんで日本に来たの? シーグラス ちあう、ちあう 透明袋に入っていた金魚 社会主義に奪われた暮らし トマトの汁が残した跡 冬至 リボンちゃんはじめて死んだ 毎日の魚 山菜の苦味 優しい地獄 上 優しい地獄 下 パジャマでしかピカソは描けない 紫式部 あとがき Author イリナ・グリゴレ Irina Grigore 1984年ルーマニア生まれ。2006年に日本に留学し2007年に獅子舞の調査をはじめる。一時帰国後2009年に国費留学生として来日。弘前大学大学院修士課程修了後、東京大学大学院博士課程に入学。主な研究テーマ北東北の獅子舞、日本で生活して女性の身体とジェンダーに関する映像人類学的研究。現在はオートエスノグラフィー、日本における移民の研究を始めている。
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文にあたる
¥1,760
本を愛するすべての人へ——。 人気校正者が、書物への止まらない想い、言葉との向き合い方、仕事に取り組む意識について——思いのたけを綴った初めての本。 〈本を読む仕事〉という天職に出会って10年と少し。無類の本読みでもある校正者・牟田都子は、今日も校正ゲラをくり返し読み込み、書店や図書館をぐるぐる巡り、丹念に資料と向き合う。1冊の本ができあがるまでに大きな役割を担う校正・校閲の仕事とは? 知られざる校正者の本の読み方、つきあい方。 「校正者にとっては百冊のうちの一冊でも、読者にとっては人生で唯一の一冊になるかもしれない。誰かにとっては無数の本の中の一冊に過ぎないとしても、べつの誰かにとっては、かけがえのない一冊なのだ」 [出版社より] 著 者|牟田都子 出版社|亜紀書房 定 価|1,600円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|256 ISBN|978-4-7505-1754-4 初 版|2022年08月 Contents 1 赤鉛筆ではなく鉛筆で 2 常に失敗している仕事 3 探し続ける日々 Author 牟田 都子 Satoko Muta 1977年、東京都生まれ。図書館員を経て出版社の校閲部に勤務。2018年より個人で書籍・雑誌の校正を行う。これまで関わった本に『へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々』(鹿子裕文、ナナロク社/ちくま文庫)、『何度でもオールライトと歌え』(後藤正文、ミシマ社)、『ブスの自信の持ち方』(山崎ナオコーラ、誠文堂新光社)、『家族』(村井理子、亜紀書房)、『はじめての利他学』(若松英輔、NHK出版)ほか多数。共著に『あんぱん ジャムパン クリームパン 女三人モヤモヤ日記』(亜紀書房)、『本を贈る』(三輪舎)。
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つながり過ぎないでいい——非定型発達の生存戦略
¥1,760
SOLD OUT
コミュニケーションで悩む人たちへ——。 コミュニケーションや感情表現が上手できないと悩んだ著者はやがて、当たり障りなく人とやり取りする技術を身につけていく。 だが、難なく意思疎通ができることは、本当に良いこと、正しいことなのか。 なめらかにしゃべれてしまうことの方が、奇妙なのではないか。 「言語とは何なのか」「自分を言葉で表現するとは、どういうことなのか」の深層に迫る、自身の体験を踏まえた「当事者研究」。 自分だけのものであるはずの感情を、多くの人に共通する「言葉で表す」ことなど、どうしてできるのだろうか。そして、人に「伝える」とはどういうことなのか――。言葉、存在、コミュニケーションをめぐる思考の旅が始まる。 [出版社より] 著 者|尹雄大 出版社|亜紀書房 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|216 ISBN|978-4-7505-1726-1 初 版|2022年05月 Contents はじめに 1章 それぞれのタイムラインを生きるしかない——定型発達という呪縛 2章 胚胎期間という冗長な生き延び方 3章 社会なしに生きられないが、社会だけでは生きるに値しない 4章 自律と自立を手にするための学習 5章 絶望を冗長化させる あとがき Author 尹 雄大 Yoon Woong-Dae 1970年神戸市生まれ。インタビュアー&ライター。政財界人やアスリート、アーティストなど約1000人に取材し、その経験と様々な武術を稽古した 体験をもとに身体論を展開している。主な著書に『さよなら、男社会』(亜紀書房)、『異聞風土記 1975-2017』『親指が行方不明』(以上、晶文社)、『モヤモヤの正体』(ミシマ社)、『脇道にそれる』(春秋社)など。
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中野ブロードウェイ物語
¥1,870
SOLD OUT
中野ブロードウェイ竣工55周年記念出版。 来る者を拒まず、去る者を追わず――。その存在は常に変わりゆく時代とともあった。1966年から変転を続けるNBW(中野ブロードウェイ)の世界へようこそ 屋上プール付き分譲マンションと「まんだらけ」などのサブカル店舗群が同居した異空間。活況のインバウンドとコロナ禍を経て、“昭和の不沈艦” は今なおアメーバ的進化を続ける。 当地に暮らす著者がその全貌に迫った異色ルポ。中央線文化圏を先導した巨大建造物の伝説と現在。 〈本書に登場する中野ブロードウェイのお店とゆかりの人々〉 ・古川会長率いる「まんだらけ」 ・激安弁当の「シャルマン」 ・8段ソフトクリームの「デイリーチコ」 ・店内コンサートで賑わう「中野名曲堂」 ・高級時計店の老舗「ジャックロード」 ・占いの「染心堂」「ばるばら」 ・村上隆の「Tonari no Zingaro」 ・「TRIO」三田隆司、渡辺浩弐、大槻ケンヂ、タブレット純、沖縄電子少女彩、春日武彦、青島美幸、金子義孝……他多数。 [出版社より] 著 者|長谷川晶一 出版社|亜紀書房 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|288 ISBN|978-4-7505-1738-4 初 版|2022年04月 Contents はじめに――魅せられて 第一章 個性派店主、それぞれの思い 第二章 商店街振興組合の名物理事は88歳 第三章 「魔窟」の生みの親 第四章 ほどよい野放図の館 第五章 「まんだらけ」旋風、吹き荒れる 第六章 「TRIO」の隆盛と撤退 第七章 マンガ・小説はどう描いたか 第八章 作家と中野ブロードウェイ 第九章 時計と占いと世界的モダンアート 第十章 百周年の幻影 おわりに――新時代へ Author 長谷川 晶一 Shoichi Hasegawa 1970年5月13日東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクションライターに。05年より中野ブロードウェイに在住。『最弱球団 高橋ユニオンズ青春記』(白夜書房)、『私がアイドルだった頃』(草思社)、『ギャルと「僕ら」の20年史 女子高生雑誌Cawaii!の誕生と終焉』(亜紀書房)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『詰むや、詰まざるや 森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『生と性が交錯する街 新宿二丁目』(角川新書)他、著書多数。
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告発と呼ばれるものの周辺で
¥1,980
日本では、多くの女性が痴漢に遭う。 みんな、あまりにも日常的すぎて、なんでもないことのようにやり過ごしてしまう。 日本では、レイプに遭ったら、必ずしも法律が被害者を守ってはくれない。長い間、これはおかしいと声を上げてきた人たちがいるが、その声はかき消されてきた。 性犯罪や性暴力に対して声を上げてもなかなか信じてもらえない。単に告発だと受け取られる。でも、その声からは、内省も、やさしさも、前に行こうと信じる力も感じられるはずだ。 2017年性犯罪刑法が改正され、#metoo が続き、2019年4つの性犯罪裁判が立て続けに無罪となり、フラワーデモが起こった。本書は、まだ社会に届かない小さな声の集積だ。 あなたの隣人、友人、家族も当事者になりうる。性犯罪、性暴力への偏見や誤解をほぐし、やさしい社会を築くため、2017年から2021年、女性たち、支援者たちの声の記録。 [出版社より] 「たまかさんほど被害者目線に立って性暴力について書いてきた人を知らない。 もう社会は変わらなければいけない」 ——長田杏奈[ライター] 著 者|小川たまか 出版社|亜紀書房 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|280 ISBN|978-4-7505-1732-2 初 版|2022年02月 Contents はじめに 1 性犯罪刑法と#me tooとフラワーデモ 2 高校生が、電車で、性暴力被害にあう 3 キメツけられる 4 人はフェミニストになる 5 女は怖いのか 6 境にいる人 7 未来のことを考え隊 8 男社会の門番 9 痴漢は短いスカートのせい 10 痴漢が「お客様」だった頃 あとがき Author 小川 たまか Tamaka Ogawa 1980年東京生まれ。大学院卒業後、2008年に共同経営者と編集プロダクションを起ち上げ取締役を務めたのち、2018年からフリーライターに。Yahoo!ニュース個人「小川たまかのたまたま生きてる」などで、性暴力に関する問題を取材・執筆。著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)、共著に『わたしは黙らない――性暴力をなくす30の視点』(合同出版)。
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愛と家族を探して
¥1,540
法律婚ではない契約を取り交わして結婚生活を送る夫婦。恋愛関係にはないが、同性パートナーシップ制度を利用して「家族」になることを検討中の女性二人。「家庭が欲しい」と 精子バンクを利用して子どもを産んだXジェンダーの当事者。母の呼びかけで集まった多くの人たちによる共同保育で育った子ども。 自分らしく、深く息をして生きるために。「愛」と「家族」の多様な形を実践する人々にインタビューし、自らに問い直す。 自分がほんとうに安心できる「愛と家族のかたち」は、どこにあるのだろう? [出版社より] 「こんな話、聞きたかった。偏見や思い込みを丁寧にならしていく作業は時間と根気が要るけれど、楽しいものでもある。「家族」の定義なんか決められたくないよね」 ——能町みね子 著 者|佐々木ののか 出版社|亜紀書房 定 価|1,400円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|136 ISBN|978-4-7505-1734-6 初 版|2020年06月 Contents 第1章 二つの出会い 第2章 長谷川(26)・江添(31) 第3章 華京院レイ(32) 第4章 加納土(24) 第5章 中村みどり(33) 第6章 オノマリコ(34)・モスクワカヌ(34) 第7章 綾乃(35)・あお(21) 第8章 古藤千佳(35) Author 佐々木 ののか Nonoka Sasaki 1990年、北海道生まれ。文筆業。「家族と性愛」を主なテーマに据え、エッセイや取材記事を執筆。映像の構成企画やアパレルの制作、映画・演劇のアフタートーク登壇など、ジャンルを越境して自由に活動している。家の前で遭遇した愛猫みいちゃんと仲良く同居中。
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自分を愛するということ(あるいは幸福について)
¥1,650
長いこと、「もっと愛されたい」と苦しんできた著者。 でも、「愛すること」、まずは自分自身で自分をいたわり、愛することが、幸福の始まりなのではないか。 自分をどうしたら愛せるのか。 他者とどう関わればいいのか。 ――そんな悩みに苦しむ、名前も顔も知らない仲間たちへ。 他者との関係に悩み、心細さを抱えている人たちへ贈るエッセイ集。 [出版社より] 「もがいて見つけたものを私は信じる。それが世の感覚からズレていたとしても」 ——こだま 「一読、自分へのこだわりが半減し愛が倍になった。幸せとはこれか! と膝を打ちました」 ――吉村萬壱 著 者|佐々木ののか 出版社|亜紀書房 定 価|1,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|136 ISBN|978-4-7505-1734-6 初 版|2022年03月 Contents 愛 猫 相撲 時間 悲しみ 憂鬱 実家暮らし 安心 逃げる 絶縁 犬になる ていねいな暮らし 手触り 贈り物 東京 古本 パンの種 不健康 選ばない 赤い髪 創作 物語 絶望 本を推す 服 羊毛 老い 写真 孤独と孤立 おわりに Author 佐々木 ののか Nonoka Sasaki 文筆家。1990年北海道帯広市生まれ。自分の体験や読んだ本を手がかりにしたエッセイを執筆するほか、新聞や雑誌の書評欄に寄稿している。著書に『愛と家族を探して』(亜紀書房)。2021年1月、愛猫とともに北海道・十勝に拠点を移し、執筆を続けている。
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かわいいウルフ
¥1,870
ヴァージニア・ウルフを囲んだ、盛大なティーパーティーへ、ようこそ! モダニズム文学の旗手、フェミニスト、レズビアン……文学史の中で燦然と輝くウルフ。でも、その文章の味わいは、ミニマムでかわいい! ヴァージニア・ウルフは、時代を切り拓いた作家として、いま世界的に見直しが進んでいる。その作品は、映画、バレエ、オペラとなって蘇り、日本でも新訳が次々と出版。 本書はウルフをもっと身近に感じるためのファンブック。作品解説、翻訳、まんが、『灯台へ』のなかの料理再現、『オーランドー』のボリウッド版構想など盛りだくさん。片山亜紀、小川公代、西崎憲、水原涼、イ・ミンギョンら、多くの方もお招きして、ウルフのかわいい部分を1冊に凝縮。 同人誌『かわいいウルフ』のリニューアル完全版にして、文芸エンターテインメント決定版。 [出版社より] 編 者|小澤みゆき 出版社|亜紀書房 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|296 ISBN|978-4-7505-1690-5 発 行|2021年03月 Contents ごあいさつ 【まんが】Who is Virginia Woolf? 1.ウルフのかわいい長篇作品へ……小澤みゆき 2.ウルフ作品の探求者たち 『ダロウェイ夫人』の音楽たち――万霊節の調べ……片山亜紀 〈わがまま〉の中にある普遍性……西崎憲インタビュー ウルフと「ヒロイン」たちの声を伝える英語劇……小川公代インタビュー 役を通して変わっていく……上智大学英語劇サークルメンバー座談会 『自分ひとりの部屋』が愛される理由……イ・ミンギョン(すんみ訳) 3.ウルフのティーパーティーへ、ようこそ 夢のような話……にゃんこ ありがとうはてなダイアリー……西村駿人 【まんが】うさぎの消えた後に……赤口樒 ハード・ファン……勝本雄一朗 遠い記憶の、ヴァージニア・ウルフ……今沢裕 かわいいジュリア……鈴木うどん 灯台と踊ろう、そしてあなたは灯台で踊る……戸田恵一 池と水仙……白井結城 それぞれの自由を求めて……小川彩子 宝石で飾られた夜を、もっと……竹中万季 百合は何が為に咲く……佐藤泰介 恍惚と陶酔の「Sympathy」……吉岡泉美 ゆれうごく語りによる空間のブリコラージュ……熱海凌 ウルフの物質的想像力……シャンピン コンシャスネス・オブ・ストリーム――Google+のUIに寄せて……太田知也 ウルフという亡霊、あるいは『ヴァージニア・ウルフ短篇集』を語り損なう事……佐々木未来也 月曜日あるいは火曜日――三回言ってみようか……斉藤賢爾 ウルフと一緒に少女の頃……木花なおこ 井戸、三葉虫、妹、……水原涼 4.オーランドー・アラカルト 「彼は女だった」で、すべてを変える演劇のちから……樹。 オーランドーとカルト映画にまつわるおしゃべり会……赤口樒×小澤みゆき 一瞬を生きる服……田村俊明 映画『オルランド』のボリウッドリメイクを妄想する……ヨリタム 妄想映画『カンダーリー』(ボリウッド版『オルランド』)……構成・ヨリタム 5.ウルフとロンドンとわたし……小澤みゆき 『灯台へ』の料理を作ってみた——「牛肉の赤ワイン煮込み」調理レポート キュー・ガーデン(Kew Gardens) ヴァージニア・ウルフ、小澤みゆき訳 ゆめみるロンドン彷徨 ウルフ・ニュース2021 夫・レナードへの最後の手紙 ヴァージニア・ウルフ、小澤みゆき訳 あとがき Editor 小澤 みゆき Miyuki Ozawa 1988年生まれ。会社員。2016年より同人活動をはじめる。2020年には出版プロジェクト「海響舎(かいきょうしゃ)」を立ち上げ、文芸同人誌『海響一号 大恋愛』を発表。ほか、『新潮』『文學界』『しししし』『〈Rhetorica#03〉』といった雑誌にエッセイ/書評/コラム等を執筆している。
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青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集
¥1,980
じつに、ウルフ的、もっとも、実験的。 イマジズムの詩のような「青と緑」、姪のために書かれたファンタジー「乳母ラグトンのカーテン」、園を行き交う人たちの意識の流れを描いた「キュー植物園」、レズビアニズムを感じさせる「外から見たある女子学寮」など。 短篇は一つ一つが小さな絵のよう。言葉によって、時間や意識や目の前に現れる事象を点描していく。21世紀になってますます評価が高まるウルフ短篇小説の珠玉のコレクション。――ウルフは自在に表現世界を遊んでいる。 ウルフの短篇小説が読者に伝えるものは緊密さや美や難解さだけではない。おそらくこれまでウルフになかったとされているものもここにはある。 たぶんユーモアが、そして浄福感が、そして生への力強い意志でさえもここにはあるかもしれない。(「解説 ヴァージニア・ウルフについて 」より) [出版社より] 著 者|ヴァージニア・ウルフ 編訳者|西崎憲 出版社|亜紀書房 定 価|1,800円+税 判 型|B6判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-7505-1692-9 発 行|2022年01月 Contents ラピンとラピノヴァ……Lappin and Lapinova 青と緑……Blue & Green 堅固な対象……Solid Objects 乳母ラグトンのカーテン……Nurse Lugton's Curtain サーチライト……The Searchlight 外から見たある女子学寮……A Woman's College from Outside 同情……Sympathy ボンド通りのダロウェイ夫人……Mrs Dalloway in Bond Street 幸福……Happiness 憑かれた家……A Haunted House 弦楽四重奏団……The String Quartet 月曜日あるいは火曜日……Monday or Tuesday キュー植物園……Kew Gardens 池の魅力……The Fascination of the Pool 徴……The Symbol 壁の染み……The Mark on the Wall 水辺……The Watering Place ミス・Vの不思議な一件……The Mysterious Case of Miss V. 書かれなかった長篇小説……An Unwritten Novel スケッチ ・電話……The Telephone ・ホルボーン陸橋……Holborn Viaduct ・イングランドの発育期……English Youth 解説 ヴァージニア・ウルフについて——西崎憲 年表 Author ヴァージニア・ウルフ Virginia Woolf 1882年―1941年、イキリスのロンドンに生まれる。父レズリーは高名な批評家で、子ども時代から文化的な環境のもとで育つ。兄や兄の友人たちを含む「ブルームズベリー・グループ」と呼ばれる文化集団の一員として青春を過ごし、グループのひとり、レナード・ウルフと結婚。30代なかばで作家デビューし、レナードと出版社「ホガース・プレス」を立ち上げ、「意識の流れ」の手法を使った作品を次々と発表していく。代表作に『ダロウェイ夫人』『灯台へ』『波』など、短篇集に『月曜日か火曜日』『憑かれた家』、評論に『自分ひとりの部屋』などがある。 Translator 西崎 憲 Ken Nishizaki 1955年生まれ。翻訳家、作家。著書に『世界の果ての庭』『蕃東国年代記』『ヘディングはおもに頭で』『未知の鳥類がやってくるまで』『全ロック史』ほか。訳書に『郵便局と蛇』コッパード、『第二の銃声』バークリー、『ヘミングウェイ短篇集』など多数。電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」主宰。
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絡まり合う生命
¥2,200
もうすぐ絶滅する人類のために——。 狩猟に疲れ、ボルネオの闇夜の森で微睡(まどろ)む人類学者は、寝袋を這うアリたちの足音を確かに聴き、自分がアリの世界の一員となったと感じる……。 「この世界は人間だけのものではない」という深い実感から出発し、動物、死者、そして生命そのものへと向かう全く新しい人類学の探求が幕を開ける。 ボルネオの森から、多種的世界とアニミズムを経て、「生命とは何か」という根源的な問いへ。インゴルド、コーン『森は考える』、ウィラースレフ『ソウル・ハンターズ』、アナ・チン『マツタケ』ら最新の人類学の議論を積極的に吸収しつつ、人類学の新たな可能性が展開される。 世界の覇者を自認してあらゆるものを食い尽くし、絶滅の淵に立つ人類に、世界観の更新を迫る、壮大な「来たるべき人類学」の構想。 [出版社より] 著 者|奥野克巳 出版社|亜紀書房 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|376 ISBN|978-4-7505-1724-7 初 版|2021年12月 Contents 序論 平地における完全なる敗者 第1部 アニマルズ 第1章 鳥たち 第2章 リーフモンキーの救命鳥 第3章 2でなく3、 そして4 第4章 ネコと踊るワルツ 第2部 スピーシーズ 第5章 多種で考える――マルチスピーシーズ民族誌の野望 第6章 明るい人新世、暗い人新世 第7章 人間以上の世界の病原体 第8章 菌から地球外生命体まで 第3部 アニミズム 第9章 人間だけが地球の主人ではない 第10章 科学を凌ぐ生の詩学 第11章 ぬいぐるみとの対話 第4部 ライフ 第12章 考える森 第12章補論 考える、生きる 第13章 記号生命 第14章 バイオソーシャル・ビカミングス――ティム・インゴルドは進化をどう捉え、どう超えたか 終章 人類の残された耐用年数――厚い記述と薄い記述をめぐって あとがき 参考文献 Author 奥野 克巳 Katsumi Okuno 立教大学異文化コミュニケーション学部教授。1962年生まれ。20歳でメキシコ・シエラマドレ山脈先住民テペワノの村に滞在し、バングラデシュで上座部仏教の僧となり、トルコのクルディスタンを旅し、インドネシアを一年間経巡った後に文化人類学を専攻。1994~95年に東南アジア・ボルネオ島焼畑民カリスのシャーマニズムと呪術の調査研究、2006年以降、同島の狩猟民プナンとともに学んでいる。 著作に、『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』、『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(以上、亜紀書房)、『マンガ人類学講義』など多数。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える』、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ』、ティム・インゴルド著『人類学とは何か』(以上、亜紀書房)など。
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ラカンと哲学者たち
¥2,200
SOLD OUT
ラカンにとって哲学とはいったい何だったのか? そしてラカンは哲学に何をもたらしたのか? デカルト、ヘーゲル、カント、そしてソクラテス。哲学と精神分析の交点に立ち上がる、誰も見たことのないジャック・ラカン。 「私たちがこれから目撃しようとしているのは、「反哲学」をぶちあげる以前に、ソクラテスやデカルトをはじめとした第一級の哲学者たちと対決し、格闘することで、精神分析を再創造しようとしたラカンである」(本文より) [出版社より] 「哲学と精神分析の根源には「恋」があった。これを僕らはどうすればいいのか。人生で初めて一気読みしてしまったラカンの本」 ーー東畑開人 著 者|工藤顕太 出版社|亜紀書房 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|288 ISBN|978-4-7505-1723-0 初 版|2021年12月 Contents まえがき 第1部 デカルトを読むラカン 第1章 哲学は狂気をどう考えるか――ラカンの「デカルトへの回帰」 第2章 失われた現実を求めて――フロイトと精神の考古学 第3章 疑わしさの向こう側――デカルト的経験としての無意識 第4章 哲学者の夢――コギトの裏面、欺く神の仮説 第5章 言葉と欲望――フーコー/デリダ論争の傍らで 第6章 科学にとって神とは何者か――精神分析の始まりと終わり 第2部 精神分析的現実のほうへ 第7章 恋愛は存在しない?――「転移性恋愛についての見解」再読 第8章 道徳か情欲か――カントともうひとつのアンチノミー 第9章 目覚めるとはどういうことか――現実の再定義としての夢解釈 第10章 狼の夢の秘密――トラウマとしての現実界(1) 第11章 フロイトという症例――トラウマとしての現実界(2) 第12章 ヘーゲルに抗するラカン――精神分析的時間の発明 第3部 ソクラテスの欲望をめぐって 第13章 起源の誘惑――フロイトとソクラテス 第14章 愛とメタファー――少年愛から神々のほうへ 第15章 永遠の愛の裏面――止まらないしゃっくりの謎 第16章 あなたは愛を知らない――分裂するソクラテス 第17章 とり憑かれた哲学者――美のイデアと死の欲望 第18章 物語の外に出る――精神分析家の欲望とは何か 結びに代えて あとがき 注 Author 工藤 顕太 Kenta Kudo 1989年東京都生まれ。専門は精神分析、哲学を中心とした思想史。早稲田大学文学部フランス語フランス文学コース卒業。日本学術振興会特別研究員DC1、パリ高等師範学校留学などを経て、2019年2月に早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在は日本学術振興会特別研究員PD(京都大学人文科学研究所)。早稲田大学、群馬県立女子大学にて非常勤講師。 著書に『精神分析の再発明 フロイトの神話、ラカンの闘争』(岩波書店、2021年)。
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バッド・フェミニスト
¥2,090
多くの女性に勇気を与え、全米で大反響を巻き起こした批評=エッセイ集、ついに邦訳登場! 私はピンクの服も着たいし男性も好きなダメ・フェミニスト。でも、矛盾を抱えて完璧ではない自分や他人を受け入れ、分断を乗り越えて差別のない世界を夢見たい。 映画やテレビドラマや音楽などのポップカルチャー、社会に衝撃を与えた犯罪や事件を取りあげ、性差別と人種差別、経済格差などが交差するアメリカの文化状況を鋭く読み解く。 [出版社より] 「ユーモアがあって、刺激的で、切実。彼女の視点を自分の中に蓄えることができるのは、本当に幸せなことだ。みんなバッド・フェミニストで生きよう!」 ——松田青子[小説家] 著 者|ロクサーヌ・ゲイ 訳 者|野中モモ 出版社|亜紀書房 定 価|1,900円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|394 ISBN|978-4-7505-1494-9 初 版|2017年01月 Contents はじめに―フェミニズム(名詞):複数 私について ジェンダーとセクシュアリティ 人種とエンタテインメント 政治、ジェンダー、人種 ふたたび私について Author ロクサーヌ・ゲイ Roxane Gay ハイチにルーツを持つ、アメリカの女性作家・大学教授。著書に短編小説集『アイチ』、映画化が予定されている長編『アンテイムド・ステイト』。2017年には体重と自己イメージの問題をテーマに綴ったエッセイ集『ハンガー』、短編小説集『むずかしい女たち』を刊行。 Translator 野中 モモ Momo Nonaka ライター、翻訳家。訳書に『GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝』(DU BOOKS)、ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』(草思社)、アリスン・ピープマイヤー『ガール・ジン 「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』(太田出版)など。著書『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房)。
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飢える私 ままならない心と体
¥2,090
あの日の私を守るために食べてしまう。 そんな自分を愛したいけど、愛せない。 レイプ、過食、嘔吐、超肥満、差別、同情……。少女時代から作家になっても続く苦悩と辛酸の日々。 『バッド・フェミニスト』を超えた骨のきしむような回顧録! [出版社より] 「ユーモアがあって、刺激的で、切実。彼女の視点を自分の中に蓄えることができるのは、本当に幸せなことだ。みんなバッド・フェミニストで生きよう!」 ——松田青子[小説家] 著 者|ロクサーヌ・ゲイ 訳 者|野中モモ 出版社|亜紀書房 定 価|1,900円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|288 ISBN|978-4-7505-1577-9 初 版|2019年02月 Author ロクサーヌ・ゲイ Roxane Gay 1974年米国・ネブラスカ州生まれ。ハイチ系アメリカ人の作家。大学で教鞭を執りながら、フィクション、ノンフィクションの両方の分野で執筆活動を行う。2014年、初のエッセイ集『バッド・フェミニスト』がベストセラーに(邦訳版小社刊)。同年刊行された長編小説『アンテイムド・ステイト』は映画化計画が進行中。他にマーベル社のコミック『ブラックパンサー:ワールド・オブ・ワカンダ』のストーリー等も担当。2017年には短編小説集『むずかしい女たち』(河出書房新社)を上梓。本作は2冊目のエッセイ集となる。 Translator 野中 モモ Momo Nonaka ライター、翻訳家。ロクサーヌ・ゲイ『バッド・フェミニスト』(小社刊)、レイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社)、ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』(草思社)、アリスン・ピープマイヤー『ガール・ジン 「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』(太田出版)など訳書多数。著書に『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房)、共編著書に『日本のZINEについて知ってることすべて』(誠文堂新光社)がある。
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ぜんぶ運命だったんかい おじさん社会と女子の一生
¥1,540
SOLD OUT
「#検察庁法改正案に抗議します」のTwitterデモ仕掛け人による、初の著作! 男性中心の広告業界でがむしゃらに働いてきた20代。気が付けば、同世代の男性は結婚し、仕事でも飛躍している。なのに自分は彼氏もできない。焦って婚活したものの、高学歴・高所得・仕事での成功が壁となる。 容姿で判断されたり、会議で意見が通らなかったり、男性との賃金格差だったり、ーーなんだか辛くて生きにくい。 あるとき、その理由がわかった。それは、女性がひとりで生きていくことが難しくなるように、男性に依存しなければいけないように、この社会が作られているからだった。 「…………ぜんぶ運命だったんかい」 「私の運命は、この社会の構造の上に敷かれたものだったんだ」 ひとりの女性がフェミニズム、そして社会活動に目覚めるまでを涙と笑いで綴るエッセイ集。 [出版社より] 著 者|笛美 出版社|亜紀書房 定 価|1,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|304 ISBN|978-4-7505-1704-9 初 版|2021年07月 Contents おじさん社会と女子の青春 おじさん社会と婚活女子 おじさん社会の真実 おじさん社会からの脱落 おじさん社会への逆襲 声を上げてみたくなったら あとがき Author 笛美 Fuemi 2020年5月8日にTwitterに広がった「# 検察庁法改正に抗議します」を作った張本人。ハッシュタグは瞬く間に拡散し、400万を超すツイートを生み出し、Twitterトレンド大賞2020の2位に。現在も広告関連の仕事をしている。
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ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届ける
¥1,650
SOLD OUT
「面白おかしくしたいから聞いているんだろ」 「いや、何が問題かと思っているかを聞きたいから、聞いているんです」 2021年2月4日。女性蔑視発言に関する謝罪会見で森喜朗氏に迫った澤田記者の「更問い」は、世論のうねりを引き起こし、社会を動かすきっかけとなった。 特別なことをしたわけではない。おかしいと思ったことに声を上げ、真意を確かめ、その声を放送にのせる。人数は絶滅危惧種並み、取材予算もテレビや新聞と比べてはるかに少ない「ラジオ記者」。マイク一本で伝えられることは限られているのか? そんなことはない。逆境をものともせず日々取材に奔走する記者から届いた、令和の時代のラジオ論。 TBSラジオ「Session」「アシタノカレッジ」など、ニュースを日々声で伝える #澤田記者、初の著書。 [出版社より] 「澤田さんの声は、1人の「記者」あるいは職業人である前にまず1人の個人として、1人の父として、そしてこの国に生きる市民として精一杯の叫びを届けているように感じます。だからこそ、どんな権威にも屈せず、私たちの声を届ける力があると思うのです」 ──辻愛沙子[クリエイティブディレクター] 著 者|澤田大樹 出版社|亜紀書房 定 価|1,500円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|232 ISBN|978-4-7505-1715-5 初 版|2021年11月 Contents ■ プロローグ ■ 第一章 自分にとってラジオとは ラジオの原点 TBSラジオとの出会いは「アクセス」 TBSラジオへ 社内で新聞を読む日々 森本毅郎さんに学んだ、ニュースを複眼で見る力 「人脈を作ってこい!」……突然のテレビ出向 「オン日程」と「オフ取材」 「代表おろし」で出し抜かれ、そして出し抜き返す 男性記者、育休をとる 「サンデーモーニング」でテレビ番組の作り方を学ぶ 大人になって実感した得手不得手 ■ 第二章 ラジオ記者とはどういう仕事か ニュース番組ディレクターとして再出発 森友学園・籠池理事長の生インタビュー! ラジオでの発言が国会へ 「薬物報道ガイドラインを作ろう!」が変えた薬物報道 国会をもっと身近に、「国会論戦・珍プレー!好プレー!」 既存のニュース番組に対する受け手側の不満 ラジオ記者とは何者か? ラジオ記者は説滅危惧種!? 〝非主流メディア〟だからこそできること 「パンケーキ懇談」に見るメディアと政治の距離 ■ 第三章 森喜朗会見と東京オリンピック・パラリンピック報道 それは前日から始まった 会見場ではなく〝ぶら下がり〟 怒濤の十九分が始まった 元首相との対峙 あっけない幕切れ 会見に対する森氏、組織委員会の姿勢 電撃辞任、後任人事のゴタゴタ Clubhouseでリスナーと作戦会議 準備万端で会見へ……のはずが 橋本会長の誕生、女性理事の就任、組織委員会のジェンダー平等 「声を上げる」大事さ 国民感情は無視! オリンピック・パラリンピック関係者取材 ■ 第四章 国会はいかなる場所か――ニュースの現場を歩く 国会担当ラジオ記者は何をしているのか? 国会が好きすぎるラジオ記者 入れないなら裏側をしゃべる――ひとり記者の戦い方 映像では伝えられないニュースの一面を伝える 継続して伝える 永田町を飛び出し、チームで取り組む「新型コロナ取材」 ひとり記者、だけど「ひとり」じゃない 会見・囲み取材はチーム戦――更問いで言質をつかむ ■ 第五章 声を上げる、声を届ける――ラジオジャーナリズムはどこへ 経験の上に成り立つリアリティ 細部から本質を見る――東日本大震災取材 市町村によって被災の景色が変わる理由 内に向けて話すこと、外に向けて話すこと 東京から伝え続ける意味、演劇を通して福島に向き合う ラジオは斜陽メディアなのか――始まった新たな取り組み 声を上げ続けること 顔の見えるメディアへ ■ あとがき Author 澤田 大樹 Daiki Sawada 1983年福島県出身。演劇一家に生まれ、高校時代は演劇部にて演出を担当。民俗学を学ぶため琉球大学に進学し、クイズサークルに所属。大学院は東北大学に進み、教育学を学ぶ。当初は広告業界への就職を目指していたが、紆余曲折あり2009年TBSラジオに入社。バラエティー番組ADを経て2010年にラジオ記者となる。東日本大震災取材後、2013年にTBSテレビに出向し報道局政治部記者、ニュース番組ディレクターを務め、2016年に再びTBSラジオへ戻る。ニュース番組のディレクターを担当したのち、2018年からは国会担当記者となる。取材範囲は政府、国会、省庁のほか、新型コロナ、東日本大震災、高校演劇など。好きな色はピンク。 Twitter @nankuru_akabeko
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Bowie's Books デヴィッド・ボウイの人生を変えた100冊
¥2,420
本はボウイの音楽と人生の羅針盤だった。 ――ボウイ自身が選んだ100冊を語り尽くすファン垂涎の一冊。 兄の影響を受けて、ビートやモッズにはじまり当時のカルチャーの洗礼を受けた少年は、生涯かけて数えきれない数の本を読んできた。文学、音楽、アート、ファッションなど膨大な知識は、ありとあらゆるものに解体され、歌詞、曲、ヴィジュアルなど、もう一度ボウイの創造物として作り直されている。 「デヴィッド・ジョーンズは、金ずくの音楽業界、薬物中毒による脱線の危機、最大のスターになるという壮大で冷酷ですらある野望のなかで、いかにしてこのような人になったのか? その答えは、いまあなたの手のなかにあるかもしれない」――「はじめに」より [出版社より] 著 者|ジョン・オコーネル 訳 者|菅野楽章 出版社|亜紀書房 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|376 ISBN|978-4-7505-1716-2 初 版|2021年09月 Contents ・時計じかけのオレンジ(アントニイ・バージェス)1962年 ・異邦人(アルベール・カミュ)1942年 ・Awopbopaloobop Alopbamboom(ニック・コーン)1969年 ・神曲 地獄篇(ダンテ・アリギエーリ)1308~20年ごろ ・オスカー・ワオの短く凄まじい人生(ジュノ・ディアス)2007年 ・午後の曳航(三島由紀夫)1963年 ・Selected Poems(フランク・オハラ)2009年 ・アメリカの陰謀とヘンリー・キッシンジャー(クリストファー・ヒッチェンズ)2001年 ・ロリータ(ウラジーミル・ナボコフ)1955年 ・Money(マーティン・エイミス)1984年 〔ほか〕 Author ジョン・オコーネル John O’Connell 1972年生まれ。音楽ジャーナリスト。『タイム・アウト』のシニア・エディター、『ザ・フェイス』の音楽コラムニストをつとめたのち、現在はフリーランスとなり、主に『タイムズ』と『ガーディアン』に寄稿している。2002年に実際にボウイにインタヴューを行った。ロンドン在住。 Translator 菅野 楽章 Tomoaki Kanno 1988年生まれ。訳書にエリス『帝国のベッドルーム』(河出書房新社)、ラッド『世界でいちばん虚無な場所――旅行に幻滅した人のためのガイドブック』(柏書房)、パイン『ホンモノの偽物――模造と真作をめぐる8つの奇妙な物語』、レンジ『1924――ヒトラーが“ヒトラー”になった年』、クラカワー『ミズーラ――名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』(以上、亜紀書房)などがある。
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月の番人
¥1,650
SOLD OUT
「ニューヨーク・タイムズ」紙のベストセラー・リストに選出された、世界で大人気のマンガ家による、不思議で、愛おしくて、切ない、SFマンガの新境地。オール2色刷り。 ー 「子どもの頃、警官になって月面で暮らすことが夢だったんだ」 主人公は月のコロニーの安全を守る警察官。しかし、過疎化が進み、事件らしい事件はなにひとつ起こらない。最近の重大事件といえば、迷子の犬の捜索だ。やがて住人は、彼を残してつぎつぎと地球に戻っていき、あたりは月の静寂に包まれていく。 [出版社より] 「無人の月の寂寥がホントで地球の賑わいがウソみたい」 ーー谷川俊太郎 著 者|トム・ゴールド 訳 者|古屋美登里 出版社|亜紀書房 定 価|1,500円+税 判 型|A5変型判/並製 頁 数|96 ISBN|978-4-7505-1707-0 初 版|2021年09月 Author トム・ゴールド Tom Gauld 1976 年、スコットランドのアバディーンシャー生まれ。漫画家、イラストレーター。彼の作品は「ガーディアン」「ニューヨーク・タイムズ」「ニュー・サイエンティスト」などに定期的に掲載される。漫画本に『ゴリアテ』『You're All Just Jealous of My Jetpack』『Baking with Kafka』などがある。家族とともにロンドンで暮らしている。 Translator 古屋 美登里 Midori Furuya 翻訳家。神奈川県平塚生まれ。早稲田大学卒。著書に、『雑な読書』『楽な読書』。訳書に、イーディス・パールマン『蜜のように甘く』『幸いなるハリー』、エドワード・ケアリー『飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集』『おちび』、〈アイアマンガー三部作〉『堆塵館』『穢れの町』『肺都』、デイヴィッド・マイケリス『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』、ジョディ・カンター他『その名を暴け』など多数。
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感覚のエデン 岡﨑乾二郎批評選集 vol.1
¥3,960
SOLD OUT
世界に可能性はまだあるのか、「芸術」はその問いに答える方法である。 時を超えて交錯する思考の運動が、星座のように明晰なる一つの図形となって、新たな知覚と認識を導く。稀代の批評家・造形作家による美術史の解体=再構築。デビュー以来紡いできた膨大な批評文を精選した、その思想の精髄。シリーズ第1弾。 [出版社より] 「感覚と存在、感覚と真理(イデア)を分けるという誤った図式があります。存在や真理は認識であり物質ではない。感覚は(物質によって起こされる事実であり、つまり)物質です。存在や真理を食べることはできません。食べることができるのはむしろ感覚です。林檎を食べているのではない。セザンヌがそう考えたように、赤という感覚こそを私たちは食べているのです。だから決して林檎は知恵の実ではない。林檎とは無数の感覚が作り出す、いわば星座なのです。音楽は星座です。絵画とは星座です。それは無数の感覚のさまざまな方向への運動、物質的な運動の交錯が作り出す編成体です」 ——本書より 著 者|岡﨑乾二郎 出版社|亜紀書房 定 価|3,600円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|488 ISBN|978-4-7505-1711-7 初 版|2021年09月 Contents Ⅰ 捲土重来――再開する時間 ふたたび、うまれる 墓は語るか(墓とは何か)。 墓は語るか 歴史とよばれる絵画 知覚のバリケード 捲土重来――再起する絵画(絵画の変容そして勝利) あふるるもの 聴こえない旋律を聴く Ⅱ 天体は抵抗する――確率論的抵抗 天体は抵抗する 確率論的主体性(放射能的アソシエーション) 理性の有効期限――理性批判としての反原発 国家というタブロー――マネ《マクシミリアンの処刑》をめぐって Ⅲ 感覚のエデン――約束としての了解可能性 芸術教育とは何か?──教育と芸術そして科学 準備と注解 火星の住民と地球の芸術家 ルールはいつでも、「世界に一つしか存在しない具体的事物」として現れる。 メルヒエン クリティック――アリにもハナにも心があり、言葉がある 魚の教え――ΙΧΘΥΣ 感覚のエデン――蛇に学ぶ ウナギイヌという官能について 詩という認識 (言葉の真理あるいは)言葉の心と理――藤富保男『詩の窓』に寄せて トリシャ・ブラウン――思考というモーション 運動イメージの構造的な把握に向けて 人間はロボットによって創造される――芸術を通したロボットの定義。あるいはロボットを通した芸術および人間の定義 生きたアーカイブ――LIVING BETWEEN DIVERSITY OF TIME 8ミリ映画《回想のヴィトゲンシュタイン》への想起(その一つ) Ⅳ 経験のインフラストラクチャー 霧の抵抗 見ることの経験 あとがき 図版出典・引用一覧 Author 岡﨑 乾二郎 Kenjiro Okazaki 一九五五年東京生まれ。造形作家、批評家。絵画、彫刻、映像、建築など、ジャンルを超えて作品を創造するとともに、美術批評を中心に執筆を続けてきた。一九八二年のパリ・ビエンナーレに招聘されて以来、数多くの国際展に出品し、二〇〇二年にはセゾン現代美術館にて大規模な個展を開催。また、同年に開催された「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」の日本館にディレクターとして参加するなど幅広い活動を行っている。 主な著書に『近代芸術の解析 抽象の力』(亜紀書房)『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー)、『芸術の設計』(編著、フィルムアート社)、『れろれろくん』(ぱくきょんみとの共著、小学館)、『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』(谷川俊太郎との共著、クレヨンハウス)、『絵画の準備を!』(松浦寿夫との共著、朝日出版社)、『白井晟一の原爆堂 四つの対話』(共著、晶文社)。作品集に『TOPICA PICTUS とぴか ぴくたす』(urizen)、『視覚のカイソウ』(ナナロク社)、『Kenjiro OKAZAKI』(BankART1929)など。
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森の探偵——無人カメラがとらえた日本の自然[新装版]
¥1,980
自然のサインを読み解き、カメラを仕掛け……。 森の中で撮影された“決定的瞬間”の数々。 自然界の報道写真家・宮崎学、半世紀にわたるその活動を網羅した一冊。 独自に開発した無人カメラのシステムを用いて、野生動物や変容する自然の姿を半世紀以上にわたって撮り続けてきた写真家・宮崎学。あちこちに仕掛けた無人カメラがとらえた写真の数々は、自然を読み解くためのヒントに溢れている。決定的な証拠写真に目を凝らし、自然の発する声なきメッセージを読み解く宮崎は、まさに「森の探偵」である。 [出版社より] 「四つんばいで森を進む男たち。小さな変化に目を凝らす者は、いつかの少年のように世界をまた発見する」 ――加瀬亮[俳優] 著 者|宮崎学 文・構成|小原真史 出版社|亜紀書房 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-7505-1712-4 初 版|2021年08月 Contents はじめに 第1章 動物たちの痕跡 けもの道の見つけ方 〈コラム〉宮崎学の仕事場 〈コラム〉宮崎流山歩き 〈コラム〉我が家のリンゴ泥棒 〈コラム〉野生動物たちの落とし穴 フクロウの棲む谷 〈コラム〉庭のスタジオ 動物たちの住宅事情 〈コラム〉テニスコート脇の動物たち 第2章 生と死のエコロジー 自然界のサプリメント 〈コラム〉糞盆栽 スカベンジャーたち 〈コラム〉カラスの役割 死の終わり 第3章 文明の力、自然の力 被災地の動物たち 〈コラム〉クマクールとマタミール 外来種と在来種 〈コラム〉ノラ竹やぶ 第4章 人間の傍で シナントロープたちの事件簿 〈コラム〉田んぼと渡り鳥 〈コラム〉渋谷のネズミ 〈コラム〉シカたちの楽園 人間の同伴者 〈コラム〉生物たちの電気利用 〈コラム〉パリジャンの鳥たち 終章 森と動物と日本人 おわりに Author 宮崎 学 Manabu Miyazaki 写真家。1949年長野県生まれ。精密機械会社勤務を経て、1972年、プロ写真家として独立。自然と人間をテーマに、社会的視点にたった「自然界の報道写真家」として活動中。1990年「フクロウ」で第9回土門拳賞、1995年「死」で日本写真協会賞年度賞、「アニマル黙示録」で講談社出版文化賞受賞。2013年IZU PHOTO MUSEUMにて「宮崎学 自然の鉛筆」展を開催。2016年パリ・カルティエ現代美術財団に招かれ、グループ展に参加。著書に『アニマルアイズ・動物の目で環境を見る』(全5巻)『カラスのお宅拝見!』『となりのツキノワグマ』『イマドキの野生動物』他多数。 小原 真史 Masashi Kohara キュレーター、映像作家。1978年愛知県生まれ。IZU PHOTO MUSEUM研究員として「荒木経惟写真集展 アラーキー」、「宮崎学 自然の鉛筆」展、「小島一郎 北へ、北から」展、「増山たづ子 すべて写真になる日まで」展、「戦争と平和──伝えたかった日本」展などを担当。監督作品に「カメラになった男──写真家中平卓馬」がある。第10回重森弘淹写真評論賞、第24回「写真の会」賞、日本写真協会賞学芸賞を受賞。単著に『富士幻景──近代日本と富士の病』、共著に『時の宙づり──生・写真・死』『戦争と平和──〈報道写真〉が伝えたかった日本』など。東京工芸大学准教授。
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保健室のアン・ウニョン先生
¥1,760
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この学校には、何かがいる——。 養護教諭のアン・ウニョンが新しく赴任した私立M高校。この学校には原因不明の怪奇現象や不思議な出来事がつぎつぎとまき起こる。霊能力を持つ彼女はBB弾の銃とレインボーカラーの剣を手に、同僚の漢文教師ホン・インピョとさまざまな謎や邪悪なものたちに立ち向かう。 はたしてM高校にはどんな秘密が隠されているのか……。斬新な想像力と心温まるストーリーで愛され続けるチョン・セランの魅力が凝縮した長編小説。 「私はこの物語をただ快感のために書きました。一度くらい、そういうことがあってもいいんじゃないかと思いました。ですから、ここまで読んできて快感を感じられなかったとしたら、それは私の失敗ということになります」——「あとがき」より ★Netflixオリジナルドラマ「保健教師アン・ウニョン」原作! 2020年9月25日配信予定。 [出版社より] 著 者|チョン・セラン 訳 者|斎藤真理子 出版社|亜紀書房 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|280 ISBN|978-4-7505-1698-1 初 版|2021年06月 Contents ・大好きだよ、ジェリーフィッシュ ・土曜日のデートメイト ・幸運と混乱 ・ネイティブ教師マッケンジー ・アヒルの先生、ハン・アルム ・てんとう虫のレディ ・街灯の下のキム・ガンソン ・ムシ捕り転校生 ・穏健教師パク・デフン ・突風の中で私たち二人は抱き合ってたね あとがき 訳者解説 Author チョン・セラン Chung Serang/정세랑 1984年ソウル生まれ。編集者として働いた後、2010年に雑誌『ファンタスティック』に「ドリーム、ドリーム、ドリーム」を発表してデビュー。13年『アンダー、サンダー、テンダー』(吉川凪訳、クオン)で第7回チャンビ長編小説賞、17年に『フィフティ・ピープル』(斎藤真理子訳、亜紀書房)で第50回韓国日報文学賞を受賞。純文学、SF、ファンタジー、ホラーなどジャンルを超えて多彩な作品を発表し、幅広い世代から愛され続けている。 他の小説作品に『保健室のアン・ウニョン先生』(斎藤真理子訳)、『屋上で会いましょう』(すんみ訳、以上、亜紀書房)、『地球でハナだけ』『八重歯が見たい』『シソンから』などがある。 Translator 斎藤 真理子 Mariko Saito 1960年新潟生まれ。訳書にパク・ミンギュ『カステラ』(ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)、チョ・ナムジュ『82 年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)、ハン・ガン『回復する人間』、パク・ソルメ『もう死んでいる十二人の女たちと』(以上、白水社)、ファン・ジョンウン『ディディの傘』(亜紀書房)など。『カステラ』で第1回日本翻訳大賞受賞。
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声をあげます
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地球の滅亡、感染症、種の絶滅、大量消費……。 解決の鍵はいつだって未来にある! 身に覚えのないことで突然、収容所に監禁された英語教師のスンギュン。16名もの教え子が殺人者になっているという。そして、その原因が自分の“ 声” にあるというのだが……(「声をあげます」)。 『フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』の人気作家が放つ初めてのSF短編集。文明社会の行きづまりを軽やかに描き出し、今を生きる女性たちにエールを贈る、シリアスでポップな8つの物語。 [出版社より] 「二十三世紀の人たちを怒らせるのではないかと思うと私は恐ろしい。この正常ではない、腹立たしい豊かさは最悪の結果に終わってしまうだろうと思う。未来の人々に軽蔑されずにすむ方向へ軌道修正できたらいいのに」 ——「あとがき」より 著 者|チョン・セラン 訳 者|斎藤真理子 出版社|亜紀書房 定 価|1,600円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|280 ISBN|978-4-7505-1698-1 初 版|2021年06月 Contents ・ミッシング・フィンガーとジャンピング・ガールの大冒険 ・十一分の一 ・リセット ・地球ランド革命記 ・小さな空色の錠剤 ・声をあげます ・七時間め ・メダリストのゾンビ時代 あとがき 訳者あとがき Author チョン・セラン Chung Serang/정세랑 1984年ソウル生まれ。編集者として働いた後、2010年に雑誌『ファンタスティック』に「ドリーム、ドリーム、ドリーム」を発表してデビュー。13年『アンダー、サンダー、テンダー』(吉川凪訳、クオン)で第7回チャンビ長編小説賞、17年に『フィフティ・ピープル』(斎藤真理子訳、亜紀書房)で第50回韓国日報文学賞を受賞。純文学、SF、ファンタジー、ホラーなどジャンルを超えて多彩な作品を発表し、幅広い世代から愛され続けている。 他の小説作品に『保健室のアン・ウニョン先生』(斎藤真理子訳)、『屋上で会いましょう』(すんみ訳、以上、亜紀書房)、『地球でハナだけ』『八重歯が見たい』『シソンから』などがある。 Translator 斎藤 真理子 Mariko Saito 1960年新潟生まれ。訳書にパク・ミンギュ『カステラ』(ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)、チョ・ナムジュ『82 年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)、ハン・ガン『回復する人間』、パク・ソルメ『もう死んでいる十二人の女たちと』(以上、白水社)、ファン・ジョンウン『ディディの傘』(亜紀書房)など。『カステラ』で第1回日本翻訳大賞受賞。