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貧困理論入門——連帯による自由の平等
¥2,200
貧困問題は、依然として深刻な社会問題であり続けている。 私たちはどうすればこの問題を緩和し、根絶することができるのだろうか? それを考えるためにも、そもそも「貧困とは何か?」と改めて問うことは重要な課題だ。 本書では、ブース、ラウントリーらの貧困調査による「絶対的貧困」からはじまり、べヴァリッジの社会保障論を経由して、タウンゼントの「相対的貧困」、EUの「社会的排除」へといたる、「貧困概念」の歴史的な拡大過程を追いながら、貧困対策の理論的核心を探っていく。 貧困研究で期待の若手が、資本主義における階級と階層の両概念に改めて光をあてつつ「貧困理論」を基礎から解説する初の入門書。 [出版社より] 「いくら研究が増えても、理論が間違っていたら、現状は変えられない。必要なのは階級論的貧困理論。貧困克服のための「脱資本主義宣言」!」 ──橋本健二[社会学者] 「「貧困に陥ったら自己責任である」あなたがそう思っているのなら、車椅子ユーザーの私が電車に乗る時、毎回不便を感じ、時には乗せてもらえないのは仕方がないことなのでしょうか? 改善を求めるのはワガママなのでしょうか。平等に見えながらも、違いを受け入れない社会はつらいです。この本の「選んだ貧困ではなく、社会的排除による、押し付けられた貧困がある」の視点に、私は救われました。自由の平等を求め続けたいです」 ──伊是名夏子[コラムニスト] 「貧困問題は、僕らが生きているこの時代に終わらすことができる。そのためには、みんなが関心をもって取り組むことが大切だ。本書は、貧困問題を正しく理解する上での良書である」 ──田口一成[株式会社ボーダレス・ジャパン] 著 者|志賀信夫 出版社|堀之内出版 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|224 ISBN|978-4-909237-65-1 初 版|2022年05月 Contents まえがき [第1章] 「貧困」とは何か――諸概念の整理 貧困理解の前提となることばの整理 貧困概念とは「貧困の意味内容」のこと 貧困の定義とは「貧困と非貧困の区別・境界」を言語化したもの 貧困の測定とは「貧困の広がりと深刻さの計量」 「格差」「不平等」「貧困」の概念的区別 階層論と階級論 貧困概念は人びとの要求によって拡大してきた 貧困理論の学説史に関する概要説明 [第2章] 絶対的貧困理論 ブースの貧困調査と貧困の捉え方 ブースの調査研究にひそむ「分断と統治の論理」 ラウントリーの貧困研究と貧困調査 「絶対的貧困」の概念 ブースとラウントリーの相違点の整理 「絶対的貧困」から考える現代日本の生活保護 [第3章] 相対的貧困理論 相対的貧困理論の考え方 相対的剝奪概念から定義づけられる貧困 ベヴァリッジ体制の成熟とタウンゼントの貧困理論 タウンゼントの貧困理論 「普通の生活」と「社会参加」 タウンゼントの貧困理論と現在 「相対的剝奪」と「相対的貧困」に関する補足説明 [第4章] 社会的排除理論 社会的排除とは EUの社会政策と「社会的排除/社会的包摂」 「社会的排除」概念が一般化した社会背景 「自由」と「自己決定型社会参加」 「自己決定」を可能にする「自由」 「自由」の実質的広がりを規定する三つの要素 自由獲得の歴史 自由拡大の担い手 「権利の擁護」と「権利の保障」 [第5章] 「自由の欠如」と現代日本の貧困問題 本章の目的 自由の平等と幸福 貧困と差別、および貧困者への差別 権利の有用性および有効性と自己決定の限界性に関する検討 「子どもの貧困」問題 「経済的投資アプローチ」と「Well-beingアプローチ」 普遍主義と脱商品化 社会的包摂と社会参加 [第6章] 階層論的貧困理論と階級論的貧困理論 「あってはならない生活状態」再考 階級論的(資本‐賃労働関係)視点の必要性 失業者対策と相対的過剰人口対策 日本の労働者階級と階級意識の喪失という問題 無所有に対する抵抗 あとがき 引用文献一覧 Author 志賀 信夫 Nobuo Shiga 県立広島大学保健福祉学部准教授 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。NPO法人結い理事。日向市子ども未来応援会議副会長(宮崎県日向市による子どもの貧困対策会議)。主な著書に、『貧困理論の再検討―相対的貧困から社会的排除へ』(単著、法律文化社、2016年)、『地方都市から子どもの貧困をなくす』(畠中亨・志賀信夫共編、旬報社、2016年)、『ベーシックインカムを問いなおす―その可能性と現実』(佐々木隆治・志賀信夫共編、法律文化社、2019年)、『どうする日本の福祉政策』(埋橋孝文編著、担当相:第5章「貧困―反貧困の貧困理解」、ミネルヴァ書房、2020年)、『福祉再考―実践・政策・運動の現状と可能性』(田中聡子・志賀信夫共編、旬報社、2020年)などがある。
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ポストヒューマン・スタディーズへの招待——身体とフェミニズムをめぐる11の視点
¥2,200
SOLD OUT
私たちはテクノロジーと不可分なポストヒューマンな時代を生きている。テクノロジーは私たちの身体の内奥に入り込み、「人間」の存在を根底から揺さぶっている。 「人間」の再定義が求められている時代に、私たちはいかに身体とフェミニズムを思考すべきか。待望のポストヒューマン・スタディーズ入門書。 [出版社より] 編 者|竹﨑一真・山本敦久 出版社|堀之内出版 定 価|2,000円+税 判 型|A5判/並製 頁 数|216 ISBN|978-4-909237-71-2 初 版|2022年03月 Contents 序 ポストヒューマン・スタディーズ——限界において思考すること 山本敦久 第1部 トランスジェンダー・アスリートと性別二元論 第1章 トランスジェンダー・アスリートのリアル 杉山文野 第2章 近代スポーツをゆるめ、解体する 岡田桂 第2部 サイエンス・スタディーズから考える「フェムテック」 第3章 「フェムテック」とは何か?―その可能性と抱えるジレンマ 渡部麻衣子 第4章 フェムテックは「科学技術への市民参加」のきっかけになりうるか? 標葉靖子 第5章 「わかりやすい」フェムテックが抱える落とし穴 隠岐さや香 第3部 女の子たちのメタモルフォーゼ ―シンデレラテクノロジーのその先へ 第6章 「シンデレラテクノロジー」はどのように生まれたか? 久保友香 第7章 自分の身体を愛でる/取り戻す体験――人間ラブドール製造所 関根麻里恵 第8章 シンデレラテクノロジー研究が抱える危うさと可能性 田中東子 第4部 生殖技術を問い直す 第9章 生殖と身体のテクノロジーをめぐる統治性 山本由美子 第10章 生殖技術の現在地 重田園江 第5部 〈ポスト〉の思想 第11章 ポストヒューマンの後に誰が来るのか? 門林岳史 おわりに ポストヒューマン時代の身体とフェミニズムを考える 竹﨑一真
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中動態の映像学――東日本大震災を記録する作家たちの生成変化
¥2,420
SOLD OUT
酒井耕・濱口竜介、鈴尾啓太、小森はるか――。 震災を記録してきた3組の作家たちの実践から、映像メディア理論の新境地を開く。 今日のメディア・テクノロジーは、世界のあれこれの出来事をほとんどリアルタイムに私たちに見せる一方で、それらを次々と処理していくことを同時に要求している。そのなかで私たちは、日々膨大な情報に埋もれてしまい、眼前に存在する他者や未知の出来事をアクチュアルに見る能力を著しく低下させてはいないだろうか? 東日本大震災を記録した3組の「作家」たちの実践を通じて、「中動態」という概念を手がかりに他者と共生するための想像力の可能性を探る。 [出版社より] 「東日本大震災後に生まれた市民アーカイヴ、せんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター(通称:わすれン!)」という場の重要性はどれだけ語っても語り尽くせないが、本書の記述の瑞々しさは当時のざわめきを甦らせてくれた。事態のただ中へと巻き込まれ、学び、変わってゆくこと。「中動態の映像学」はここから始まる」 ――濱口竜介(映画監督) 「映像テクノロジーの歴史性や、環境映像環境学の成果をとりいれつつ、東日本大震災にまつわる膨大な映像群を「芸術的中動態」の概念からとらえ、ドゥルーズの『シネマ』論の「世界への信」へと至る。本書は、「見ること」と「作ること」を巡り、「災害」と全員が当事者でありうるこの時代の映像のあり方を鮮烈に示す必読書」 ――檜垣立哉(哲学者) 著 者|青山太郎 出版社|堀之内出版 定 価|2,200円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|273 ISBN|978-4909237637 初 版|2022年01月 Contents はじめに 序 章 〈見る〉をめぐる困難について 第一節 〈見る〉と映像生態系 第二節 〈見る〉の上滑り 第三節 震災をめぐる表現への批判 第四節 〈隔たり〉を行き来する回路 第五節 ポストメディア概念と〈見る〉 第一章 〈見る〉とメディア・テクノロジーの系譜学 第一節 マスメディア批判の言説の系譜 第二節 日本における映像受容空間の変遷 第三節 「意識の技術」としてのニューメディアへの疑念 第四節 フランスのメディア事情の変遷 第五節 ポストメディア論の輪郭 第二章 様々なるアーカイブ論への問い 第一節 アーカイブ理念の再検討 第二節 東日本大震災をめぐるデジタルアーカイブ 第三節 災害アーカイブにおける映像記録の位置づけ 第四節 災害アーカイブ論批判 第三章 映像生態系としての「わすれン!」の特異性 第一節 〈作る〉を支えるせんだいメディアテーク 第二節 「わすれン!」の理念と役割 第三節 コミュニティ・アーカイブとしての位相 第四節 〈見る〉と〈作る〉をアップデートさせる「場」 第四章 三つの映像制作論と作家たちの生成変化 第一節 酒井耕・濱口竜介と〈いい声〉 東北記録映画三部作の概要 対話を記録するという方法 〈いい声〉をめぐる編集 第二節 鈴尾啓太の反復 『沿岸部の風景』という作品について 震災をめぐる姿勢と葛藤 逡巡と葛藤のなかで成立する制作 第三節 小森はるかの触発的記録 記録と表現のあわいをゆく 『あいだのことば』の方法論 『波のした、土のうえ』の方法論 第四節 イメージが立ち現れるということ 第五節 未知なるイメージをつかまえるということ 第五章 〈作る〉と〈見る〉を結び直す中動態論 第一節 中動態をめぐる言語学的検討 第二節 芸術学への中動態の導入 第三節 複眼的中動態と主体性の生成変化 終 章 〈見る〉から〈信じる〉へのイメージ論 第一節 世界への信を回復するということ 第二節 「より深い外部」のイメージ 第三節 〈わからなさ〉を探索するということ おわりに 参考文献 Author 青山 太郎 Taro Aoyama 1987年、愛知県生まれ。京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(学術)。現在、名古屋文理大学准教授。今日のメディア環境における映像制作の美学と倫理学のあり方を探求している。また、映像デザイナーとして国内外で制作・展示活動を手がける。
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知への恐れ 相対主義と構築主義に抗して
¥3,300
マルクス・ガブリエルの「新実在論」に大きな影響を与えたアメリカ哲学界の重鎮、ポール・ボゴシアンの名著、ついに日本語で刊行。 「普遍的な事実など存在しない」「知識は、社会的に構築されたものであり、私たちの科学は特別なものではなく、たくさんある世界を知るための方法の一つにすぎない」 このようなポストモダンの相対主義・構築主義が影響力を高めている。もしこれが正しいとすれば、私たちは、聖書による創造説や天動説、ネイティブ・アメリカンの神話などを、現代科学と同様に妥当性を持つものとして扱わなければならなくなってしまう。 しかし、普遍的な事実は存在しないのだろうか? 知識は社会的に構築されたものに過ぎないのか? 本書では、リチャード・ローティ、ウィトゲンシュタイン、トマス・クーンらの議論を整理し、相対主義・構築主義の論理的な誤謬や矛盾を解きほぐしていく。アメリカ哲学界に論争を巻き起こし、マルクス・ガブリエルが「新実在論」の幕開けとして絶賛した名著。 [出版社より] 「事実は社会的に構築されたものにすぎないのか? 普遍的事実を擁護するための哲学的基礎はここにある」 ──斎藤幸平[監訳・解説/経済思想家・大阪市立大学准教授] 「もはや誰もこの本の洞察よりも後退することはゆるされないのである」 ──マルクス・ガブリエル[哲学者/ボン大学教授] 著 者|ポール・ボゴシアン 訳 者|飯泉佑介・斎藤幸平・山名諒 出版社|堀之内出版 定 価|3,000円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|256 ISBN|978-4-909237-57-6 刊 行|2021年12月 Contents 序文 第一章 はじめに 平等妥当性 知識の社会的構築 学界における哲学 第二章 知識の社会的構築 信念・事実・真理 普遍性・客観性・心からの独立性 合理的信念 社会的構築 知識の構築主義的描像 第三章 事実を構築する 記述依存性と社会相対性 事実の記述依存性を唱える 事実構築主義の三つの問題 第四章 事実を相対化する ローティの相対主義的構築主義 ローカルな相対主義、グローバルな相対主義 グローバルな相対主義を拒否する――伝統的な論証 グローバルな相対主義を拒否する――別の論証 結論 第五章 認識論的相対主義の擁護 はじめに ローティ――ベラルミーノ枢機卿について 認識体系と認識実践 ウィトゲンシュタインとアザンデ族 認識論的相対主義を擁護する 第六章 認識的相対化を拒否する 一つの理性か複数の理性か 伝統的反駁 認識体系を受け入れる 一連の不完全な命題としての認識体系? 認識論的多元主義 一連の命法としての認識体系? 結論 第七章 パラドックスの解消 私たちはどこに立っているのか? 規範循環に基づく論証の難点を取り除く 整合性 《出会い》対《正当化》 論証の再定式化? ベラルミーノ アザンデ族の論理 結論 第八章 認識的理由と信念の説明 理由によって信じる 強い構築主義――対称性原理 真理の対称性 合理性の対称性 証拠に基づく信念の過小決定――トーマス・クーン クーンの描像を評価する 過小決定――デュエムの補助仮説 結論 第九章 エピローグ あとがき 終幕、そして幕開け マルクス・ガブリエル 訳者あとがき 飯泉佑介 Author ポール・ボゴシアン ニューヨーク大学哲学科シルバー教授、ニューヨーク哲学研究所所長。ミシガン大学、プリンストン大学、バーミンガム大学、フランス高等師範学校でも教鞭を取る。近年は主に認識論や心の哲学を研究。著書に、Fear of Knowledge (2006) 、Content and Justification (2008)。2012年、アメリカ科学芸術アカデミーの会員に選出。 Translator 飯泉 佑介 Yusuke Iizumi 日本学術振興会特別研究員PD/京都大学。東京農業大学、大正大学非常勤講師。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門は哲学。ヘーゲル哲学を中心にドイツ観念論、現代実在論などを研究。共著に『ヘーゲルと現代社会』(晃洋書房、2018年)。論文に「なぜヘーゲルは『精神現象学』の体系的位置付けを変更したのか」(『哲学』70号、2019年)、「〈研究動向〉復活するヘーゲル形而上学」(『思想』1137号、2018年)など。 斎藤 幸平 Kohei Saito 大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想。Karl Marx's Ecosocialism:Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy(邦訳『大洪水の前に』・堀之内出版)によって「ドイッチャー記念賞」を日本人初、歴代最年少で受賞。その他の著書に『人新世の「資本論」』(集英社新書)。 山名 諒 Ryo Yamana 京都大学人間・環境学研究科博士課程在籍中。専門は分析的形而上学、特に時間論。共著論文に「私たちは過去よりも未来を重視しているのか?」(Contemporary and Applied Philosophy, vol. 13, 2021)。
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ジェネレーション・レフト
¥1,980
SOLD OUT
世界の若者たちは、なぜいま「左傾化」しているのか? 資本主義の中心地であるアメリカでは、いまや20代の若者の70%ちかくが、社会主義を支持していると言われている。さらに、オキュパイ・ウォール・ストリート運動、コービンやサンダースら「左派ポピュリズム」の台頭、グレタさんを中心とする気候危機の問題提起など、いま世界では若者たちによるラディカルな社会運動の輪が次々と広がっている。 世界の若者たちは、なぜいま「左傾化」しているのか? 気鋭の政治理論家キア・ミルバーンが、この「ジェネレーション・レフト」が生まれた背景と可能性を徹底解明。Z世代(1990年代後半生まれ~)が主役となる21世紀の世界情勢を知るための必読書! [出版社より] 「コロナ・ショックを前にして、新自由主義に代わる新しい秩序を志向する可能性や必要性が出てきているのは否定できないはずだ。ここに左傾化の潜在性、21世紀の左派にとっての政治プロジェクトが存在する。その担い手が、急進化している若者たちである」 ──斎藤幸平[監訳・解説/経済思想家・大阪市立大学准教授] 「キア・ミルバーンは、世代についての話に付きまとうナンセンスを粉砕し、年齢の問題のように見える事態の根っこに階級の問題があることを示した。この本を読んで、ジェネレーション・レフトに加わろう」 ──ポール・メイソン[ジャーナリスト、『ポストキャピタリズム』著者] 「急進主義が新しい時代を迎えた原因とその可能性への素晴らしい探求だ。新自由主義を克服し、気候変動を静め、社会の高齢化に対処するためには、もう一度「最高の世代」が必要なのだ」 ──アーロン・バスターニ[ジャーナリスト、『ラグジュアリーコミュニズム』著者、「ノヴァーラ・メディア」共同創設者] 著 者|キア・ミルバーン 監 訳|斎藤幸平 訳 者|岩橋誠・萩田翔太郎 出版社|堀之内出版[Zブックス] 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|189 ISBN|9784909237583 刊 行|2021年08月 Contents 日本語版への序文 謝 辞 第1章 世代の再考 若者の左傾化 スノーフレーク世代か? それともめちゃくちゃにされた世代か? なにが世代を形作るのか? いまの世代を生み出したものはなにか? 出来事が世代を形作る 第2章 取り残された世代 2008年は起こらなかった 新自由主義の時代区分 新自由主義的コモン・センス(意識の破壊) 生き残るゾンビ 2008年がやっと起こった 第3章 ジェネレーションの爆発 過剰の瞬間 一度目は悲劇として…… 2011年世代 告白機能 第4章 選挙論的転回 世代的盲点 左派メランコリーからの脱却 エコロジーの拡大 第5章 成人モデルの改革 なぜ保守主義は年配者に多いのか 機能不全に陥る成人期 道を絶たれた若者 すべてのものをすべての人に! 日本語版への解説 ジェネレーション・レフトになるために 斎藤幸平 Author キア・ミルバーン Keir Milburn 政治理論家。専門は社会組織論。世界の左派の潮流をマルクス主義、とりわけマリオ・トロンティやアントニオ・ネグリに代表されるアウトノミアからの理論的影響のもとで分析し、注目を集めている。レスター大学で講師を務めた後、現在はローザ・ルクセンブルク財団に所属し、ミュニシパリズムや経済民主主義についても研究を進めている。『ジャコビン』や『ガーディアン』などへも寄稿。 Translator 斎藤 幸平 Kohei Saito [監訳・解説] 大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想。Karl Marx's Ecosocialism:Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy(邦訳『大洪水の前に』・堀之内出版)によって「ドイッチャー記念賞」を日本人初、歴代最年少で受賞。その他の著書に『人新世の「資本論」』(集英社新書)。 岩橋 誠 Makoto Iwahashi NPO法人POSSEスタッフ。POSSEで技能実習生など外国人労働者やクルド人など難民の支援に携わる。国際NGO・Clean Clothes Campaign運営委員。withnews「やさしい日本語で答える仕事の悩み」執筆。京都大学経済学部卒。北海道大学公共政策学研究センター研究員。翻訳家。国際ジャーナリスト。 萩田 翔太郎 Shotaro Hagita 歴史研究者。イギリスのヨーク大学に留学し、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。専門はイギリス労働史・文化史。特に18世紀以降の都市暴動や労働運動とメディアの関係。NPO法人POSSEにボランティアとして参加。雑誌『POSSE』でラダイト運動(機械打ちこわし運動)について連載中。
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マルクスの物象化論[新版]
¥5,500
精緻かつ独創的なテクスト解釈で高く評価されたマルクス研究の名著、最新の研究成果を反映した「補論」を加え、[新版]として刊行。 資本主義社会を根底で規定する論理、「物象化」とは何か? 詳細なテクスト解釈と新MEGA研究の最新成果をもとに、マルクスの「新しい唯物論」を「哲学」ではなく「批判的・実践的」構えとして捉える新解釈を打ち出し、マルクスがその生涯を捧げた経済学批判プロジェクトの核心的概念「物象化」を解明する。そこから見えてきたのは、気候危機の時代に抗するための「素材の思想」としてのマルクスにほかならない。 『カール・マルクス』(ちくま新書)、『マルクス 資本論』(角川選書)などの入門書を執筆し、正確でわかりやすい解説に定評のある著者による、マルクス理論の核心に迫る本格的論考。 [出版社より] 「緻密なテクスト解釈を通じて、「素材の思想」としてマルクスを読み、「物質代謝」という概念に着目することの意義を示してくれた本。安易な批判を向けるのではなく、マルクスを丁寧に読み、困難に寄り添うことこそが、その現代的意義を明らかにするのである」 ――斎藤幸平[大阪市立大学准教授/honto「哲学読書室」] 「過去の党哲学的な折衷から自由な若い世代による内在的マルクス研究の展開……著者の若々しさと妥協をさけようとする強い意志を感じさせる」 ――田畑稔(『唯物論研究』編集長/『社会思想史研究』書評) 「MEGA研究の最新の成果を反映させる形で、マルクスの物象化論体系にこれまでにない具体的で明晰な解明を提示している」 ――吉原直毅[マサチューセッツ大学教授/『季刊経済理論』書評] 既存社会主義の崩壊後二十余年を経て、ようやく出るべくして出た書…… グローバル資本主義を根底から覆すための基礎理論を提供している。() ――表三郎[予備学校講師/『図書新聞』書評] 著 者|佐々木隆治 出版社|堀之内出版 定 価|5,000円+税 判 型|A5判/上製 頁 数|520 ISBN|978-4-909237-62-0 初 版|2021年07月 Contents 序論 第Ⅰ部 「実践的・批判的」構えとしての「新しい唯物論」 第1章 マルクスの「唯物論」にかんする諸説 第1節 「マルクス・エンゲルス問題」を考慮しないアプローチ 第2節 「外挿法」的なアプローチ 第3節 「実践的唯物論」によるアプローチ 第4節 「マルクスの唯物論そのもの」を考察対象とするアプローチ 第5節 小 括 第2章 マルクスにおける「新しい唯物論」 第1節 『資本論』における「唯物論的方法」 第2節 初期の諸著作における唯物論 第3節 『経済学哲学手稿』の唯物論 第4節 テーゼ(一)と『経済学哲学手稿』の差異 第5節 「フォイエルバッハ・テーゼ」におけるフォイエルバッハ批判の意味 第6節 テーゼ(四)における「唯物論的方法」 第7節 小 括 補 注 『ドイツ・イデオロギー』における唯物論の用語法 第3章 哲学批判と「実践的・批判的」構えとしての「新しい唯物論」 第1節 「哲学的良心の清算」と「新しい唯物論」の確立 第2節 『経哲手稿』と「テーゼ」・『ドイツ・イデオロギー』における哲学批判の差異 第3節 「実践的・批判的」構えとしての「新しい唯物論」 第4節 哲学批判の深化とプルードン批判 1 『経哲手稿』および『聖家族』におけるプルードン評価 2 「アンネンコフへの手紙」および『哲学の貧困』におけるプルードン評価 3 哲学批判から経済学批判へ 第5節 小 括 第Ⅱ部 物象化論の「実践的・批判的」意義 第4章 物象化論の理論構成 第1節 物象化論をめぐる諸説 第2節 物象化とはなにか 第3節 物象化論の核心と無意識の形態的論理としての「商品語」 1 「相対的価値形態の内実」について (1) 「価値物Werthding」について (2) 「回り道」について (3) 「内実論」第六段落以降 2 「商品語」とはなにか 3 「商品語」の論理とその現れ 第4節 認識論的転倒としての物神崇拝 1 「物神性」節における物象化と物神崇拝 2 「等価形態」における物神崇拝 3 近代主義としての「実体」批判 第5節 物象化のもとでの実践的態度の形成 1 物象の人格化 2 物象化による素材に対する態度の変容 (1) 貨幣の成立 (2) 貨幣蓄蔵 第6節 小 括 補論1 物象化論と『資本論』第一部第一篇の理論構造 第1節 『資本論』第一部第一篇の基本構造 第2節 物象化(商品章) 第3節 物象の人格化(交換過程章) 第4節 制度および法律(貨幣章) 第5節 三つの次元の関連とその意義 第5章 物象化と疎外 第1節 「疎外論」の陥穽 第2節 『経哲手稿』と『要綱』における外化と疎外 第3節 マルクス疎外論の核心 第4節 小 括 第6章 物象化と所有 第1節 既存の所有論解釈の諸困難 第2節 近代的私的所有の特異性 1 物象化と近代的私的所有 2 共同体的所有と近代的私的所有 第3節 取得法則転回と本源的蓄積の差異と意義 1 近代的私的所有にたいする批判としての取得法則転回 2 マルクスにおける共同性と「個人的自由」 3 「個人的所有」の再建の意義 第4節 小 括 第7章 価値の主体化としての資本と素材的世界 第1節 価値概念と素材的次元 1 叙述の方法と論理的展開の意義 2 価値の発生と歴史的次元 3 価値と価値実体 4 価値量について 5 価値概念の「実践的・批判的」意義 第2節 価値の主体化としての資本 1 価値の自立化の深化 2 資本の存立と物象の人格化および人格の物象化 (1) 資本家 (2) 賃労働者 (3) 生産過程における資本家と賃労働者 第3節 資本による素材的世界の編成―直接的生産過程を題材として 1 資本のもとへの労働の形態的包摂と素材的編成 2 資本のもとへの労働の実質的包摂と素材的論理の変容 (1) 形態的包摂にともなう変化 (2) 素材的次元での従属的態度の形成 (3) 社会的労働の資本の生産力としての現象 第4節 小 括 補論2 マルクスの賃労働論 第1節 労働とはなにか 第2節 労働の自由と社会的形態 第3節 賃労働と物象化 第4節 賃労働による資本の産出 第5節 物象による自発的従属の強制 第6節 物象にもとづく特異な承認関係 第7節 マルクスにおける労働の自由 第8節 労働の自由をこえて 補論3 マルクスにおける労働を基礎とする社会把握 第1節 マルクスの「新しい唯物論」 第2節 労働形態と経済的形態規定 第3節 素材代謝と労働 補論4 物象化論と『資本論』第一部の理論構造 第1節 生産関係の物象化(第一篇) 第2節 生産過程の物象化 1 賃労働と生産過程の物象化(第三篇) 2 生産過程の物象化の実質化(第四篇) 第3節 再生産過程の物象化(第七篇) 1 単純再生産における再生産過程の物象化(第二一章) 2 資本蓄積における再生産過程の物象化の深化(第二三章) むすびにかえて 結 論 素材の思想家としてのマルクス あとがき 増補改訂版あとがき 新版あとがき 人名・著作索引 Author 佐々木 隆治 Ryuji Sasaki 1974年生まれ。立教大学経済学部准教授。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。日本MEGA編集委員会編集委員。著書に、A New Introduction to Karl Marx, Palgrave Macmillan, 2021、『マルクス 資本論』(角川選書、2018年)、『カール・マルクス』(ちくま新書、2016年)、『私たちはなぜ働くのか』(旬報社、2012年)、『ベーシックインカムを問いなおす』(共編著、法律文化社、2019年)、『マルクスとエコロジー』(共編著、堀之内出版、2016年)など。
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緊縮ノスタルジア
¥2,970
「KEEP CALM AND CARRY ON」。 この言葉は第二次世界大戦中にイギリス情報省が作成した「空襲を受けてもそのまま日常を続けよ」という意味のスローガンである。このノスタルジックな言葉が現代イギリスであふれかえっている。これはいったいなぜなのか? イギリスでもっとも精力的な若手批評家の一人であるオーウェン・ハサリーが明らかにする。 本書では、緊縮財政下の現代イギリスが、いかに第二次大戦期(=以前の緊縮時代)へのノスタルジアで覆われているのかを、デザイン、建築、食品、映画、音楽など幅広い視点から論じる。 『ガーディアン』『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』『アーキテクチュラル・レビュー』などの雑誌に数多く寄稿。イギリスでの著書は10冊以上。期待の論客によるイギリス文化論が、満を持して日本上陸。 [出版社より] 「本書は、2010年代の緊縮イギリスにおける、1940年代──もうひとつの緊縮と、福祉国家建設の時代──への文化的ノスタルジアを批判的に検証することで、新自由主義と緊縮政策を超え、同時にかつての福祉国家をノスタルジックに理想化することなしに未来の社会を構想するには何が必要なのかを指ししめしてくれる。そのためには、新しいパンだけではなく、新しいバラも必要なのだ」 ——河野真太郎[専修大学教授] 著 者|オーウェン・ハサリー 訳 者|星野真志・田尻歩 出版社|堀之内出版 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|287 ISBN|978-4909237484 刊 行|2021年04月 Contents 終わりなきノスタルジア 日本語版への序文 序章 緊縮財政のがらくた市 第一章 殴って隠せ 第二章 クレメント・アトリーの亡霊はわたしたちを救うことができるか? 第三章 英国社会主義の美的帝国 第四章 家族写真 第五章 緊縮都市の建設 訳者解説――ノスタルジアの功罪 星野真志 訳者解説――緊縮ノスタルジア美学の効用 田尻 歩 翻訳にあたっての謝辞 版元から一言 装丁 nipponia Author オーウェン・ハサリー Owen Hatherley 1981年、イングランドのサウサンプトン生まれ。ロンドン大学バークベック校で博士号取得後、フリーランスの批評家として、モダニズム建築などについて『ガーディアン』、『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』などに執筆しながら、多数の著書を発表。現在は『トリビューン』誌の文化欄編集者。本書は日本語に訳される最初の著作。 Translator 星野 真志 Masashi Hoshino 1988年群馬県太田市生まれ。一橋大学で学士号・修士号取得後、マンチェスター大学英米学科で博士号を取得。2020年4月より日本学術振興会海外特別研究員(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)。訳書にナオミ・クライン『楽園をめぐる闘い』(堀之内出版、2019年)など。研究対象は1930~40年代英国の文化と政治、とくにジョージ・オーウェル、ドキュメンタリー運動、英国のシュルレアリスムなど。2019年1月、論文 ‘Humphrey Jennings’s "Film Fables": Democracy and Image in "The Silent Village"’で英国モダニズム学会新人論文賞を受賞。 田尻 歩 Ayumu Tajiri 1988年東京都生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(学術)。翻訳にピーター・ホルワード「自己決定と政治的意志」『多様体 1』(月曜社、2018年)など。専門は写真理論、20世紀後半以後の芸術理論、マルクス主義美学。論文に「理論と実践の間の写真――アラン・セクーラの写真理論再読」『年報カルチュラル・スタディーズ』第6号(カルチュラル・スタディーズ学会、2018年)など。
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ラグジュアリーコミュニズム
¥2,970
SOLD OUT
資本主義がもたらす破滅的な危機を避けるため、いまこそテクノロジーの恩恵を人々の手に。万人に贅沢(ラグジュアリー)を。 めざましい技術革新の果てにあらわれるポスト資本主義社会へ向けた新たな政治=「完全自動のラグジュアリーコミュニズム」の構想。 資本主義リアリズム、加速主義を超えて、イギリスの若手ジャーナリスト、アーロン・バスターニが新しい未来を提示する。 [出版社より] 「ほんとに技術革新で贅沢なコミュニズムができるの? 「脱成長コミュニズム」への挑戦!」 ——斎藤幸平 原 書|Fully Automated Luxury Communism 著 者|アーロン・バスターニ 訳 者|橋本智弘 出版社|堀之内出版 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|360 ISBN|978-4-909237-43-9 刊 行|2021年01月 Contents 序文 未来を求める六人の人物 【第一部】楽園のもとの混沌 第一章 大いなる無秩序 第二章 三つの断絶 第三章 「完全自動のラグジュアリーコミュニズム」とは何か? 【第二部】新たな旅人たち 第四章 完全な自動化――労働におけるポスト欠乏 第五章 無限の動力――エネルギーにおけるポスト欠乏 第六章 天空の掘削――資源におけるポスト欠乏 第七章 運命を編集する――老いと健康におけるポスト欠乏 第八章 動物なしの食物――栄養におけるポスト欠乏 【第三部】楽園の発見 第九章 大衆からの支持――ラグジュアリー・ポピュリズム 第一〇章 根本原理――新自由主義との決別 第一一章 資本主義国家の改革 第一二章 FALC――新たな始まり 訳者あとがき 橋本智弘 Author アーロン・バスターニ Aaron Bastani ジャーナリスト。Novara Mediaの共同創設者・編集主任。ロンドン大学にて博士号取得。ニューメディア、社会運動、政治経済などを研究分野としてVice、Guardian、London Review of Books、New York Timesなどに執筆、BBCやSky Newsでコメンテーターとして出演。 Translator 橋本 智弘 Tomohiro Hashimoto 一橋大学言語社会研究科博士課程在学中。ケント大学英文科修士課程修了(MA in Postcolonial Studies)。専修大学、明治大学で非常勤講師。専門は、ポストコロニアル理論・文学。共著に『クリティカル・ワード 文学理論』(フィルムアート社)、『バイリンガルな日本語文学』(三元社)、『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち――いま読みたい38人の素顔と作品』(青月社)。
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新たな極右主義の諸側面
¥2,750
ヨーロッパでグレタ世代を熱狂させた、アドルノの《新刊》。 『新たな極右主義の諸側面』は、テーオドル・アドルノがオーストリア社会主義学生同盟の招待に応じて一九六七年四月六日に行った講演であり、これまで音声記録しか残されていなかった。二〇一九年、アドルノの没後五〇年に改めて出版されたところ、週刊誌『シュピーゲル』のベストセラーリストに七ヶ月もの間名前を連ね、二〇二〇年四月時点で七万部という古典的な思想家の書物としては異例な売れ行きを見せたほか、各新聞に取り上げられるなど、ドイツ国内で大変な反響を呼んだ。 Warum die Generation Greta plötzlich Adorno liest 50周年を迎えて、アドルノは彼が決して望んでいなかった姿になった。そう、ポップスターに! [出版社より] 著 者|テーオドル・アドルノ 訳 者|橋本紘樹 出版社|堀之内出版[nyx叢書] 定 価|2,500円+税 判 型|174×110mm/並製 頁 数|122 ISBN|978-4-909237-51-4 刊 行|2020年12月 Author テーオドル・アドルノ Theodor Ludwig Adorno-Wiesengrund 1903-1969。ドイツの思想家。ナチスの台頭とともにアメリカに亡命、戦後はドイツへ帰国。フランクフルト社会研究所を中心に活躍。主著『啓蒙の弁証法』『ミニマ・モラリア』『文学ノート』『否定弁証法』『美の理論』他。 Translator 橋本 紘樹 Hiroki Hashimoto 1992年滋賀生まれ。2017年~2019年日本学術振興会特別研究員(DC2)。2018年~大阪大学大学院医学系研究科医の倫理公共政策学特任研究員、2019年~京都大学他非常勤講師。 訳書:『アーレント=ショーレム往復書簡』岩波書店2019年(共訳:細見和之・大形綾・関口彩乃・橋本紘樹) 主要論文:「アドルノにおける二つのハイネ講演、あるいは文化批判と社会」日本独文学会機関誌『ドイツ文学』第156号(第59回ドイツ語学文学振興会奨励賞受賞)
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神話・狂気・哄笑 ドイツ観念論における主体性
¥3,850
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アメリカにおけるヘーゲル・ルネッサンスの賑わいと、フランスのメイヤスーに代表される思弁的実在論の新展開。 本書は今ドイツでもっとも注目を浴びる若き天才が、ジジェクとともにドイツ観念論の古典再解釈を通じて、そうした現代思想の新潮流を敢然と批判する。しかし、その展開は批判だけに留まらず、「存在論」を再び哲学の中心に据えることで世界を新たな理解へと導く。ドイツでブームとなっているガブリエルの書籍『なぜ世界は存在しないのか』のダイジェスト版論文の翻訳も特別収録。 本書は、2018年にドイッチャー記念賞を受賞し話題となった斎藤幸平氏が出版を企画し、監訳の一人を務めている。 [出版社より] 著 者|マルクス・ガブリエル、スラヴォイ・ジジェク 監 修|大河内泰樹・斎藤幸平 訳 者|飯泉佑介・池松辰男・岡崎佑香・岡崎龍 出版社|堀之内出版[nyx叢書] 定 価|3,500円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|360 ISBN|978-4-906708-54-3 初 版|2015年11月 Contents 日本語版へのまえがき マルクス・ガブリエル 緒論 ポスト・カント的観念論への回帰を求めて マルクス・ガブリエル スラヴォイ・ジジェク 第一章 反省という神話的存在——ヘーゲル、シェリング、必然性の偶然性について マルクス・ガブリエル 1 仮象―ヘーゲルの反省論 2 神話という思考以前の存在 ―反省の限界についてのシェリングの考察 3 必然性の偶然性 第二章 二つの自由をめぐる規律訓練——ドイツ観念論における狂気と習慣 スラヴォイ・ジジェク 1 ヘーゲルの習慣 2 自己のオート―ポイエーシス〔自己―制作〕 3 何も指示しない表現 4 習慣、動物、人間 第三章 フィヒテの哄笑 スラヴォイ・ジジェク 1 フィヒテの自我からヘーゲルの主体へ 2 絶対者と現象 3 フィヒテ的な賭け 4 障害(Anstoß)と事―行(Tat-Handlung) 5 分割と限定 6 有限な絶対者 7 定立された前提 付録 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル 訳者解説 あとがき 参考文献 索引
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《時間》のかたち
¥2,200
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「時間」って何だろう? 誰でもそのような疑問を何となく抱いたことがあるだろう。時計の蓋を開いても、そこには「時間」はない。すぐそこにあるはずなのに、私たちには捉えることのできない「時間」。 本書は、近代と苦闘する夏目漱石から、映画が持つスジガキに抵抗した寺山修司、日常のなかにある「小さな物語」を描く是枝裕和まで、日本を代表する表現者たちが生み出した多彩な映画や小説作品を横断しながら、そこで紡がれる時間のイメージを読み取る。 捉えることのできない、この不思議な「時間」をめぐって対話を挑む、比類なき哲学的探究がはじまる――。 [出版社より] 著 者|伊藤徹 装 丁|末吉亮(図工ファイブ) 装 画|モノ・ホーミー 出版社|堀之内出版 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|246 ISBN|978-4-909237-54-5 初 版|2020年09月 Contents 序章 《時間》のかたち 第1章 寺山修司《書を捨てよ町へ出よう》―映画における音楽の機能 1 寺山修司とはだれか 2 寺山修司と芸術経験の変容 3 断ち切られるプロット 4 四つのシーン 5 音楽が開く別な場所 第2章 小津安二郎の時空表象 1 時空とその変容 2 小津映画の画面構成とその特徴 3 溝口健二の時空 4 断片化した空間と滞留する時間 第3章 是枝裕和《歩いても歩いても》―時間の淀み 1 現在に潜む過去と「小さな物語」 2 たった一日の物語 3 「普通」という言葉 4 日常に走る亀裂 第4章 可能性としての「用即美」・柳宗悦―ものがある場所 1 「有用性の蝕」と「用即美」という神話 2 柳・民芸思想の歴史的布置 3 個人の没落と機能主義 4 「用即美」を解体する 第5章 夏目漱石『道草』が書かれた場所 1 『草枕』・「非人情」の世界 2 「だらしない自然」のリアリズム 3 「人情」対「非人情」を超えて 4 「盲動」する眼差し 5 『道草』の眼差しと未完了の過去 6 「人格」が解体され続ける世界としての金銭 7 断念が開く場所 おわりに Author 伊藤 徹 Toru Ito 1957年 静岡市に生まれる。1980年 京都大学文学部卒業。1985年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。現在、京都工芸繊維大学教授(哲学・近代日本精神史専攻)。京都大学博士(文学)。著書『柳宗悦 手としての人間』(平凡社、2003年)、『作ることの哲学―科学技術時代のポイエーシス』(世界思想社、2007年)、『芸術家たちの精神史―日本近代化を巡る哲学』(ナカニシヤ出版、2015年)、『作ることの日本近代―1910-40年代の精神史』〔編著〕(世界思想社、2010年)、Wort-Bild-Assimilationen. Japan und die Moderne〔編著〕(Gebr. Mann Verlag、2016年)他。
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労働と思想
¥3,850
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私たちは働かねば生きていけない。それは本当だろうか。思想家たちはそれぞれのテーマを思索する中で「労働」を自明のものとせず、「働く」とは何か、「生きる」とは何かについて考えていた。「労働」から見える人・社会・世界とは。年代・出身地・分野も異なる個性豊かな思想家たち―それぞれの思想と労働観をこの1冊に収録。 [出版社より] 編著者|市野川容孝・渋谷望 出版社|堀之内出版 定 価|3,500円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|512 ISBN|9784906708567 初 版|2015年01月 Contents はじめに 市野川容孝 シェイクスピア 演劇と労働の力学─「以降」の思想のために 本橋哲也 ロック 労働が所有権を基礎づける? 植村邦彦 ルソー 『社会契約論』を読む 市野川容孝 ヘーゲル 人倫的生活における市民社会の「絶対的否定性」 斎藤幸平 マルクス 「潜勢的貧民」としての「自由な労働者」 佐々木隆治 モース 社会主義・労働・供犠 溝口大助 グラムシ ポスト・フォーディズム時代のヘゲモニー 明石英人 ラカン 労働と「うつ」─四つのディスクールと資本主義 松本卓也 サルトル ストライキは無理くない! 永野潤 ウィリアムズ ストライキ、共同体、そして文化 大貫隆史/河野真太郎 デリダ 職業(プロフェッション)としての言語行為 宮﨑裕助 カステル 労働という重力─「社会問題の変容」を巡って 前川真行 ネグリ゠ハート マルチチュードとマルクスの「物象化」論 斎藤幸平 ラクラウ アーティキュレーション(節合)の政治理論 山本圭 ヒルシュ 近代国家─資本主義社会の「政治的形態」 隅田聡一郎 ホックシールド 快適な職場と不機嫌な家庭─感情労働論以降のホックシールド 渋谷望 スピヴァク 思想と「労働者」─ロウロウシャとは何だ 西亮太 ムフ ムフのヘゲモニー論について 佐々木隆治 ベック 個人化する社会 鈴木宗徳 サッセン グローバル・シティの出現と移民労働者 伊豫谷登士翁 ジジェク 二一世紀のコミュニズム─ベケット的なレーニンとともに 清水知子 ホネット 承認・物象化・労働 大河内泰樹 労働を可視化するために 渋谷望
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私の労働研究
¥2,420
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労働研究の碩学が、その研究人生を振り返る散文集。『POSSE』の連載、自身のホームページの論稿、研究人生を振り返る「回想記・労働研究の道ゆき」、映画ファンの愛執を綴った「スクリーンに輝く女性たち」などを収録。 [出版社より] 著 者|熊沢誠 出版社|堀之内出版 定 価|2,200円+税 判 型|A5判/並製・カバー装 頁 数|284 ISBN|978-4-906708-58-1 初 版|2015年01月 Contents 一章 私の労働研究─テーマと問題意識 はじめに 1 研究史の初期(一九六七~七八年) その時代/初期のテーマと問題意識/著作 2 研究史の中期(一九七九~九六年) その時代/問題意識・テーマ・方法論/著作 3 研究史の後期(一九九七年以降) この時代の研究環境/著作/むすびにかえて 二章 われらの時代の働きかた はじめに 1 シューカツをめぐって 2 なにが就職の「成功度」を決めるのか 3 非正規雇用とキャリア分断 4 流転の職歴 5 有期雇用を規制する必要性と可能性 6 正社員のしんどさの根にあるもの 7 ノルマのくびき 8 人べらしの修羅 9 パワーハラスメント論序説 10 〈被差別者の自由〉のゆくえ─女性労働論の今日 11 産業民主主義と組合民主主義 三章 公務員バッシング対抗論─橋下「改革」と公務員労働組合 1 組合つぶしの論理と背景─新自由主義と大阪市の事情 2 日本の公務員労働運動─厳冬の風土と季節 3 公務員の労働条件維持にどう取り組むのか 4 公共部門の労働運動に期待されるフロンティア 四章 労働・社会・私の体験─ホームページ・エッセイ抄 1 仕事のありかたをめぐって 福島第一原発の「復旧」作業を担う人びと/卒業して五年─浜野美帆の軌跡/労働者としての教師/関越自動車道の事故に思うこと 2 日本社会の影をみつめて 若い世代の貧困と医療格差/小さな生活圏のいじめと暴力/熱中症に斃れる貧しい高齢者/大津市立中学校のいじめ自殺 3 回顧と体験 わが街四日市で脱原発を訴える市民デモができた!/研究会「職場の人権」の再出発/わが高校時代の新聞部活動─桜宮高校事件にふれて/五月の一〇日間/追悼・熊沢光子 五章 書評と紹介─近年の読書ノートから はじめに 1 労働の世界 スティーヴン・グリーンハウス『大搾取!』/飯島裕子、ビッグイシュー基金『ルポ 若者ホームレス』/西谷 敏『人権としてのディーセント・ワーク』/戸村健作『ドキュメント 請負労働180日』/榎本まみ『督促OL修行日記』/森岡孝二『過労死は何を告発しているか』/伊藤大一『非正規雇用と労働運動』 2 現代日本の社会と生活 A・ファーロング、F・カートメル『若者と社会変容』/本田由紀『教育の職業的意義』/宮本太郎『生活保障』/岩村暢子『家族の勝手でしょ!』/ノーマ・フィールド『天皇の逝く国で』/井上芳保編著『健康不安と過剰医療の時代』/生活保護論 ふたつの好著 3 日本近代史・現代史の諸相 夏木静子『裁判百年史ものがたり』/草野比佐男詩集『定本・村の女は眠れない』/アンドルー・ゴードン『日本労使関係史 1853~2010』/菊池史彦『「幸せ」の戦後史』/大田英昭『日本社会民主主義の形成』/水溜真由美『「サークル村」と森崎和江』/鄭玹汀『天皇制国家と女性』 4 アラブ世界から デボラ・ロドリゲス『カブール・ビューティスクール』/アミン・マアルーフ『アラブが見た十字軍』 六章 スクリーンに輝く女性たち はじめに 1 女たちの絆 『女の子ものがたり』ほか─生きがたさを超えて/『フローズン・リバー』の溶けるとき 2 歴史の原罪をわが身に負って 『サラの鍵』─フランスの過去のあやまちをみつめて/『オレンジと太陽』─福祉国家の影を問う良心/『東ベルリンから来た女』─そこにあえて留まること/『故郷よ』─失われた大地の語り部として 3 狂気の時代を生きぬく 『悲しみのミルク』─トラウマを解き放って/『愛の勝利を』─精神病院の内と外/『キャタピラー』─若松孝二作品の頂点/『清作の妻』─軍国の明治の村を刺し通す/『やがて来たる者へ』─殺戮の彼方に届くまなざし 4 闘う女たちの群像 ドキュメント『外泊』にみる解放の息吹き/『ファクトリー・ウーマン』─ノンエリート的階級意識の光/『追憶』─忘れられない青春の名作 終章 回想記・労働研究の道ゆき 1 青春前期の模索 2 徒弟時代 3 自立のとき─研究と生活の条件に恵まれて 4 働きざかり─労働者の実像をもとめて 5 ゆるやかな登り坂─状況批判のさまざまの試み 6 高齢期の日々 7 顧みて思えば 資料:著書リスト/共著(収録論文)リスト あとがき Author 熊沢 誠 Makoto Kumazawa 1938年三重県生まれ。京都大学経済学部卒業。経済学博士。甲南大学名誉教授。著書に「国家のなかの国家」「労働組合運動とはなにか」など。
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暗い世界 ウェールズ短編集
¥1,980
日本初のウェールズ小説集。 炭鉱/戦争/女性/日常、ウェールズに根ざした、でも私たちにとても近い5編の物語たち。 「まわりの全てが新しい王国」。 「本書の編集方針は、ウェールズの歴史とウェールズ文学の歴史をバランスよく過不足なく伝えることは最初から放棄し、個々の作品がそれ自体で独自に、ある種普遍的な「面白さ」を持っているものを選ぶ、というものでした。 その意味で、本書のために選んだ作品は、ウェールズという、多くの読者にとって縁遠い国の経験を描くものというよりは、「近代」と呼ぶしかない、私たちに共有された経験を描くものです。ですがやはり、その一方で、それぞれの作品には、ウェールズの、それぞれの時代における特殊な経験が見まごうことなく刻みこまれています」。(編者「あとがき」より) [出版社より] 編 者|河野真太郎 訳 者|川端康雄・中井亜佐子・西亮太・山田雄三 出版社|堀之内出版 定 価|1,800円+税 判 型|B6変型判/並製 頁 数|244 ISBN|978-4-907986-72-8 初 版|2020年8月 Contents はじめに 「暗い世界」 リース・デイヴィス(川端康雄 訳) Rhys Davies, ‘The Dark World’ 解題 川端康雄 「あんたの入用」 グウィン・トマス(山田雄三 訳) Gwyn Thomas ‘Thy Need’ 解題 山田雄三 「失われた釣り人」 マージアッド・エヴァンズ(中井亜佐子 訳) Margiad Evans ‘The Lost Fisherman’ 解題 中井亜佐子 「徒費された時間」 ロン・ベリー(西 亮太 訳) Ron Berry, ‘Time Spent’ 解題 西 亮太 「ハード・アズ・ネイルズ」 レイチェル・トリザイス(河野真太郎 訳) Rachel Trezise, ‘Hard as Nails’ 解題 河野真太郎 おわりに Editor 河野 真太郎 Shintaro Kono 専修大学教授。1974年山口県生まれ。関心領域はイギリスの文化と社会。著書に『戦う姫、働く少女』(堀之内出版、2017年)、『〈田舎と都会〉の系譜学』(ミネルヴァ書房、2013年)、共著に『文化と社会を読む 批評キーワード辞典』(研究社、2013年)訳書にピーター・バーク『文化のハイブリディティ』(法政大学出版局、2012年)、共訳書にレイモンド・ウィリアムズ『共通文化に向けて―文化研究1』(みすず書房、2013年)など。
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地域アートはどこにある?
¥3,850
SOLD OUT
来場者4万人突破! 大都市から離れた美術館が多くの来場者を集めた展覧会「ウソから出た、まこと」展。 北澤潤、Nadegata Instant Party、藤浩志という3組のアーティストを迎えたこの展覧会は、作品展示にとどまらず、十和田市の住民を巻き込んだ「地域アートはどこにある?」というプロジェクトに位置付けられていました。 地域におけるアートは住民、アーティスト、行政など様々な関係者とそれぞれの思考が混ざり合って成り立っています。 それは「地域アート」という言葉で語れることなのか。 展示紹介やプロジェクト中のクロストークを収録、十和田という現場の実践と思考の軌跡・論稿を、住民や様々なゲストとともにまとめた1冊です。 [出版社より] 編著者|十和田市現代美術館 出版社|堀之内出版 定 価|3,500円+税 判 型|A5判 頁 数|240 ISBN|978-4-909237-47-7 初版|2020年3月
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みんなのコミュニズム
¥1,760
いまの世界、マジ限界。 次の「私たちの、私たちによる、私たちのための」世界をつくるためのささやかな物語。 蔓延する資本主義リアリズムを打破して次の道を思い描くために必要なセオリーは「コミュニズム」! でもさ、それってだいじょうぶなの?サヨクってヤバくね……? ってほんとかな。 ドイツの人気アクティビストがシンプルな物語で力強く「ラディカルな夢を見ることは可能で、価値があること」を教えてくれます。ドイツ、スペイン、アメリカでもミレニアム世代を中心に熱狂的な支持を集めたコモンの物語が、あなたに「革命」の勇気を与えてくれるでしょう。 [出版社より] 著 者|ビニ・アダムザック 訳 者|橋本紘樹 出版社|堀之内出版 定 価|1,600円+税 判 型|B6変型判 頁 数|144 ISBN|978-4-909237-46-0 初版|2020年3月 ■企画・斎藤幸平(マルクス研究者)さんより ドイツやイギリス、南アフリカ。私が海外でマルクスや資本主義に関する講演すると熱心な若者たちに質問をされて、時にはこっちがたじろぐほどの熱気を感じる。 「マジ限界」な今の社会をどうしたらいいか、みんなが考えたり行動することが、実に自然だ。 それは、もしかしたらうまくいかないかもしれない。 1度じゃなく、何度も。 でも、何もしなければ変わらないことを知っているから、みんな考えるし、行動してる。 ある時、ドイツの書店でビニの『みんなのコミュニズム』をみつけた。 短い寓話の中で、やっぱり失敗は繰り返されている。 でも、それは問題じゃない。 自分の力で考えて前に進もうとすることが大事なんだ。 ビニは 「ラディカルな夢をみることは可能で、価値があること。」と書いている。 ここに私が加えるなら、「そして、実現できること。」 まずはこの本を読んでほしい。 そしてコミュニズムを知り、失敗をおそれずトライして、夢みたいな社会を現実のものにしよう。 ■訳者・橋本紘樹(ドイツ文学・思想研究者)さんより 「コミュニズム」がどんな理念で、どんなふうに役に立つのか、きちんと説明することって難しい。この本はまず、とっても面白い物語でそれを伝えてくれる。後半のエッセイは、難しい言葉が並んでいて少し厄介。でも、世界の見方を変えてくれる知的な材料にあふれている。「コミュニズムなんてきれいごとだし、時代遅れ」、って思う人もぜひ手に取ってほしい。相手の戦略をしっかり知っておかないと、批判もできないんだから。 Author ビニ・アダムザック Bini Adamczak 1979年生まれ。ドイツで活動するアクティビスト。本書『KOMMUNISMUS』は世界15か国以上で翻訳された。他の著書にGestern Morgen. Uber die Einsamkeit kommunistischer Gespenster und die Rekonstruktion der Zukunft(2015),Beziehungsweise Revolution. 1917, 1968 und kommende (2017), Der schonste Tag im Leben des Alexander Berkman. Vom womoglichen Gelingen der Russischen Revolution.(2017)など。 Translator 橋本 紘樹 Hiroki Hashimoto 1992年滋賀生まれ。2017年~2019年日本学術振興会特別研究員(DC2)。2018年~大阪大学大学院医学系研究科医の倫理公共政策学特任研究員、2019年~京都大学他非常勤講師。 訳書:『アーレント=ショーレム往復書簡』岩波書店2019年(共訳:細見和之・大形綾・関口彩乃・橋本紘樹) 主要論文:「アドルノにおける二つのハイネ講演、あるいは文化批判と社会」日本独文学会機関誌『ドイツ文学』第156号(第59回ドイツ語学文学振興会奨励賞受賞) 斎藤 幸平 (企画・翻訳協力) 1987年生まれ。大阪市立大学経済学研究科准教授。日本MEGA編集委員会編集委員。2018年、ドイッチャー記念賞を受賞。単著に『大洪水の前に』(
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資本主義リアリズム
¥2,200
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ポップカルチャーと社会に鋭い光をあて、ヨーロッパで熱狂的な注目を浴びたイギリスの批評家、マーク・フィッシャーの主著、待望の邦訳刊行。 2017年に急逝した彼の、「ぼくらの」、言葉とため息、叫びを、未来へ届けるために。 未来の創造を諦め、ノスタルジア・モードにとらわれるポップカルチャー、即時快楽の世界に放置される若者の躁鬱的ヘドニズム。後期資本主義の不毛な「現実」に違和感を覚えつつも、その要請を淡々と受け入れてしまう人々の主体性を、マークは映画、音楽、小説の中に見出していく。 生活世界をめぐる具体的事象から、社会構造に関わる抽象的問題へのすみやかな視点移動は、ネオ・マルクス主義理論の系統を踏まえているが、彼の文章がなかでも読みやすいのは、単なる哲学的思弁に留まることなく、自らの講師、ブロガー、音楽批評家としての生きた経験をもとに発せられた言葉だからだろう。この言葉を通じて、マークは2000年代以降、みながぼんやりと実感していながらも、うまく言語化できなかった不安感に的確な表現を与えてきた。 [出版社より] 「はっきり言わせてもらおう。たまらなく読みやすいこのフィッシャーの著書ほど、われわれの苦境を的確に捉えた分析はない」 ——スラヴォイ・ジジェク 著 者|マーク・フィッシャー 訳 者|セバスチャン・ブロイ、河南瑠莉 出版社|堀之内出版 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|212 ISBN|978-4-909237-35-4 初版|2018年2月 Contents 第1章 資本主義の終わりより、世界の終わりを想像する方がたやすい 第2章 もし君の抗議活動にみなが賛同したとしたら? 第3章 資本主義とリアル 第4章 再帰的無能感、現状維持、そしてリベラル共産主義 第5章 一九七九年一〇月六日―「何事にも執着するな」 第6章 形あるものみな広報へと消えゆく―市場型スターリニズムとお役所型反生産 第7章 「…二つの現実が折り重なって見えるとき」夢作業および記憶障害としての資本主義リアリズム 第8章 「中央電話局というものはない」 第9章 マルクス主義のスーパーナニー Author マーク・フィッシャー Mark Fisher 1968年生まれ。イギリスの批評家。ウォーリック大学で博士号を取得した後、英国継続教育カレッジ、およびゴールドスミス・カレッジ視覚文化学科で客員研究員・講師を務める。著書に『資本主義リアリズム』、The Resistible Demise of Michael Jackson(2009年)、Ghosts of My Life: Writings on Depression, Hauntology and Lost Futures(2014年)、The Weird and the Eerie(2017年)。2017年1月逝去。 Translator セバスチャン・ブロイ Sebastian Breu 1986年、南ドイツ・バイエルン生まれ。ウィーン大学・大阪大学・ベルリン自由大学で日本語と比較文学を専攻。池澤夏樹と安部公房の翻訳で第一JLPP翻訳コンクール最優秀賞。現在、東京大学大学院博士後期課程。研究領域はエピステモロジー、メディア技術論。 河南 瑠莉 Mari Kawanami 1990年、東京生まれ。早稲田大学、ベルリン自由大学で政治経済学・文化政策を学んだ後、ベルリン・フンボルト大学の文化科学研究科修士課程に在籍。ベルリン森鴎外記念館の研究助手として制作・リサーチ・翻訳を担当し、常設展示の新設に携わる。近代思想史、美術館学・博物館学を専攻。
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出逢いのあわい 九鬼周造における存在論理学と邂逅の倫理
¥4,400
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個体としての「私」が雑多な現実の中でどのように普遍・倫理と出会うのか。九鬼周造の「偶然性」を、西洋哲学との関連性や位置づけも整理しながら、感性ではなく論理的帰結として確立した哲学に昇華させた近年随一の明晰な九鬼論。 [出版社より] 著 者|宮野 真生子 出版社|堀之内出版 定 価|4,000円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|328 ISBN|978-4-909237-42-2 初版|2019年9月 Contents はじめに 第一部 九鬼哲学の来歴 序 章 九鬼哲学を考えるための準備作業 第一節 九鬼哲学研究への視点 第二節 近代日本哲学の問題圏―生と論理― 第三節 九鬼哲学の根本問題 第一章 「哲学」とは何か 第一節 ヴィンデルバントの学問論と「偶然論(Die Lehre vom Zufall)」 1.新カント派の位置づけ 2.ヴィンデルバント「自然科学と歴史」における二つの学的方法 3.「偶然論(Die Lehre vom Zufall)」 第二節 九鬼周造の「人間観」と「哲学」 1.「人間学とは何か」 2.「哲学私見」における哲学観 第三節 『偶然性の問題』から考える九鬼哲学の問題設定 1.偶然性とは何の問題なのか 2.『偶然性の問題』概要 3.偶然性をいかに扱うべきか 第二部 存在論理学としての九鬼哲学 第二章 「存在論理学」への道 第一節 人間の現実と哲学―「講義 偶然性」― 第二節 存在と無をめぐる問題系 第三節 「文学概論」における問題の発見 第四節 存在論理学の狙い 1.ハイデガー『存在と時間』からの影響 2.「哲学私見」から見る存在論理学の全体像 第三章 「存在論」と「様相論理」―ニコライ・ハルトマンの批判的受容― 第一節 新たなる様相論理へ 1.様相性の三体系 2.ハルトマンにおける存在論的現実性 3.九鬼のハルトマン批判 第二節 ハルトマンの「存在論」と「様相論理」 1.『存在論の基礎付け』から見るハルトマンの存在論 2.『可能性と現実性』における様相分析 3.ハルトマンの問題点 第四章 「存在論理学」とは何か 第一節 存在形態と存在様相 第二節 現実と様相 第三節 現実の生産点としての偶然性 第五章 存在論と実存論的分析―ハイデガーからの影響― 第一節 第一の批判―実存論的視点から 1.実存をめぐる問題設定 2.『存在と時間』へのまなざし 3.偶然性という結び目 第二節 第二の批判―存在論的視点から 1.「現在」をいかに捉えるか 2.他と出会うことと超越の構造 3.なぜ、「出会いの今」を重視するのか 第三部 偶然を生きる倫理を目指して 第六章 偶然性の形而上学と個体論 第一節 田辺元・九鬼周造往復書簡からみる問題の所在 1.九鬼周造博士論文「偶然性」 2.往復書簡における二つの批判 第二節 初期田辺における偶然性と合目的性 第三節 『偶然性の問題』における個体性の真相 1.分裂する形而上的絶対者と個体 2.「個物の起源」と他者との出会い 第七章 偶然と選択、あるいは運命について 第一節 田辺元における個体と偶然性 1.生成する身体と現在の動性 2.「社会存在の論理」から考える「個体」と九鬼偶然論の問題点 3.「社会存在の論理」における個体の行方 第二節 運命を生きるとはどういうことか? 1.『マラルメ覚書』における絶対偶然 2.偶然性を生きるという選択をめぐって 3.九鬼周造の運命論 第八章 偶然性の倫理とは何か 第一節 二つの間柄論 1.「私である」ということ 2.「私がある」ということ 第二節 実存と「がある」「である」こと 1.二つの「存在」と「実存」 2.「この私がある」とはどういうことか? 第三節 九鬼と和辻の交差する地点 1.日常における「私がある」ことの唯一性とは何か 2.「やましさ」という倫理 結論 引用文献リスト 九鬼周造関係年譜 追悼―あとがきに代えて 伊藤徹 Author 宮野 真生子 Makiko Miyano 福岡大学人文学部准教授。一九七七年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程(後期)単位取得満期退学。博士(人間科学)。著書に『なぜ、私たちは恋をして生きるのか』(ナカニシヤ出版、二〇一四年)、共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社、二〇一九年)、『愛・性・家族の哲学』シリーズ全三巻(ナカニシヤ出版、二〇一六)。論文に「九鬼周造の存在論理学」(『西日本哲学年報』第19号、二〇一一年、西日本哲学会若手奨励賞受賞)、「個体性と邂逅の倫理―田辺元・九鬼周造往復書簡から見えるもの」(『倫理学年報』第55集、二〇〇六年、日本倫理学会和辻賞受賞)、他。
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アナザー・マルクス
¥3,850
近年、「新MEGA」の刊行など、マルクス・レーニン主義の終焉によって、政治的イデオロギーの世界の足枷を外されたマルクスの思想を見直す「マルクス・リバイバル」が起きています。 本書は、積極的にこの「マルクス・リバイバル」を世界中で発信するイタリアのマルクス研究者、マルチェロ・ムストによる新しいカール・マルクスを描く伝記です。 日本の読者へ向けた「日本語版序文」も書き下ろし収録しています。 [出版社より] 著 者|マルチェロ・ムスト 訳 者|江原 慶、結城 剛志 出版社|堀之内出版 定 価|3,500円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|506 ISBN|978-4-909237-37-8 初 版|2018年11月 Contents 日本語版序文 はじめに 1. マルクス・リバイバル 2. 新しい思索に向けて 3. マルクスの著作の年表 第1部 知的形成過程と初期の論考 I. 子供の頃、青年時代、そして大学での勉学 1. 聖職者になりそこねて 2. トリーアの学校にて、そしてボンでの法学徒として 3. 敵の腕の中へ 4. ベルリンの青年ヘーゲル派として II. 経済学との出会い 1. 十九世紀の首都・パリ 2. 古典派経済学と疎外された労働 3. 草稿と抜粋ノート――一八四四年の草稿 4. 哲学から革命の実践へ 第2部 経済学批判 III. 恐慌を待ちわびて 1. 経済学研究の継続 2. 孤独な亡命生活の中で 3. 一八五〇年から五三年にかけての研究ノート 4. 共産主義者の裁判とプライベートでの苦難 5. 恐慌についての『ニューヨーク・トリビューン』紙への寄稿 IV. 『経済学批判要綱』の頃 1. 一八五七年の金融恐慌と革命の時 2. 歴史と社会的個人 3. ロンドンで貧苦にあえぐ 4. 方法を求めて 5. 『要綱』を書きながら 6. ブルジョワ社会との戦い V. カール・フォークトとの論争 1. 『フォークト君』 2. 貧困・病気との戦い 3. 「経済学」を待たせる一方… 4. ジャーナリスト活動と国際政治 VI. 『資本論』--未完の批判 1. 剰余価値の諸理論に対する批判的分析 2. 三巻本の執筆 3. 第一巻の完成 4. 決定版を追究して 第3部 政治的闘争 VII. 国際労働者協会の創立 1. うってつけの人材 2. 組織の発展と成長 3. 相互主義者の敗北 VIII. 一八七一年:パリの革命 1. アイルランドの自由のための闘争 2. フランス=プロイセン戦争への反対 3. パリ・コミューンによる権力の獲得 4. ロンドン大会における政治的転換 IX. バクーニンとの対立 1. インターナショナルの危機 2. マルクス対バクーニン 3. 二つの対立する革命論 第4部 最晩年の研究 X. 人生の煩わしさと新しい研究の地平 1. 「闘争!」 2. メイトランド・パーク・ロードの部屋 3. 人類学と数学の狭間で 4. 世界市民 XI. 国際政治とロシア論争 1. 農村共同体の未来について 2. 共産主義社会に至るためには資本主義を必ず経過しなければならないのか? 3. 別の道を進む可能性 XII. オールド・ニックの苦しみ 1. ヨーロッパで普及し始めた『資本論』 2. 人生の回転木馬 3. 妻の死と歴史学への回帰 XIII. モールの最後の旅 1. アルジェとアラブ世界の考察 2. 公国の共和主義者 3. 「それがマルクス主義であるならば、私はマルクス主義者ではない」 4. 最後の数週間 訳者あとがき Author マルチェロ・ムスト Marcello Musto ヨーク大学准教授。1976年生まれ。著書に『アナザーマルクス』『ラストマルクス』他。 Translator 江原 慶 Kei Ehara 大分大学経済学部准教授。1987年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了(博士(経済学))。東京大学大学院経済学研究科助教等を経て現職。著書に『資本主義的市場と恐慌の理論』(2018年、日本経済評論社)。 結城 剛志 Tsuyoshi Yuki 埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授。1977年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了(博士(経済学))。著書に『労働証券論の歴史的位相:貨幣と市場をめぐるヴィジョン』(日本評論社:、2013年)。
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欲望の主体
¥4,400
ジュディス・バトラーについては、すでに多くの著作の訳書があり、日本でも受容が進んでいる。しかし、彼女の思想的出発点となったヘーゲル研究については十分な理解が進んでいるとは言えない。バトラーのフェミニズム、クィア理論、さらには政治的主張を理解する上でも、その基礎となっている彼女のヘーゲル理解、そしてそれに基づくフランス二〇世紀哲学についての理解を示した本著の邦訳刊行は、日本における哲学、フェミニズム、政治思想における議論に大きく貢献することになるだろう。 [出版社より] 「現代思想の源流としてのヘーゲルを別の仕方で読むこと。それは、全体化へと向かう単一の主体をずらし、変容を生み出す思想を可能にした。哲学のみならずさまざまな社会運動にも影響を与えつづけるバトラーの原点。」 ——松本卓也[京都大学准教授] 著 者|ジュディス・バトラー 訳 者|大河内泰樹・岡崎佑香・岡崎龍・野尻英一 出版社|堀之内出版[nyx叢書] 定 価|4,000円+税 判 型|四六判 頁 数|492 ISBN|978-4-909237-38-5 初版|2019年6月 Contents 日本語版への序文 ペーパーバック版への序文 序文 序章 第一章 ヘーゲル『精神現象学』における欲望、修辞、承認 欲望の存在論 身体をめぐる逆説―主人と奴隷 第二章 歴史的欲望―フランスにおけるヘーゲル受容 コジェーヴ―欲望と歴史的行為体 イポリット―欲望、消失、絶対者 ヘーゲルからサルトルへ 第三章 サルトル―存在の想像的探求 像、感情、欲望 前反省的選択という戦略―『存在と無』における実存的欲望 トラブルと願望―『存在と無』における性的欲望の円環 『聖ジュネ』と『家の馬鹿息子』における欲望と承認 第四章 欲望の生死を賭けた闘争―ヘーゲルとフランス現代思想 疑わしき父系―デリダとフーコーにおける(ポスト)ヘーゲル的主題 ラカン―欲望の不透明さ ドゥルーズ―奴隷道徳から生産的欲望へ フーコー―錨を上げた弁証法 ヘーゲルの「克服」についての最後の反省 解説 あとがき 参考文献一覧 索引 Author ジュディス・バトラー Judith P. Butler カリフォルニア大学バークレー校教授。主な著書に『ジェンダー・トラブル:フェミニズムとアイデンティティの攪乱』、『アンティゴネーの主張:問い直される親族関係』(以上、竹村和子訳、青土社)、『権力の心的な生:主体化=服従化に関する諸理論』、『自分自身を説明すること:倫理的暴力の批判』(以上、佐藤嘉幸・清水知子訳、月曜社)、『生のあやうさ:哀悼と暴力の政治学』(本橋哲也訳、以文社)、『戦争の枠組み:生はいつ嘆きうるものであるのか』(清水晶子訳、筑摩書房)、『触発する言葉:言語・権力・行為体』(竹村和子訳、岩波書店)、『偶発性・ヘゲモニー・普遍性:新しい対抗政治への対話』(エルネスト・ラクラウ、スラヴォイ・ジジェクとの共著、竹村和子・村山敏勝訳、青土社)、『国歌を歌うのは誰か?:グローバル・ステイトにおける言語・政治・帰属』(ガヤトリ・スピヴァクとの共著、岩波書店)。 Translator 大河内 泰樹 Taiju Okouchi 一橋大学大学院社会学研究科教授。一九七三年生まれ。専門は哲学、ドイツ観念論、批判理論。著書に、Ontologie und Reflexionsbestimmungen. Zur Genealogie der Wesenslogik Hegels, Würzburg, 2008.共著に、Logik und Realität. Wie systematisch ist Hegels System? München, 2012、『マルクスの構想力:疎外論の射程』(社会評論社、二〇一二年)など。 岡崎 佑香 Yuka Okazaki ヴッパタール大学博士課程。一九八二年生まれ。共著に『ヘーゲルと現代社会』(晃洋書房、二〇一八年)。 岡崎 龍 Ryu Okazaki フンボルト大学ベルリン博士課程。一九八七年生まれ。共著に『ヘーゲルと現代社会』(晃洋書房、二〇一八年)。 野尻 英一 Eiichi Nojiri 大阪大学人間科学研究科准教授。一九七〇年生まれ。専門は哲学、社会理論、精神分析、表象文化論。主著に『意識と生命:ヘーゲル『精神現象学』における有機体と「地」のエレメントをめぐる考察』(社会評論社、二〇一〇年)、共著に『哲学の戦場』(行人社、二〇一八年)等。
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楽園をめぐる闘い 災害資本主義者に立ち向かうプエルトリコ
¥1,760
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わたしたちの目的は、災害資本主義がまさにプエルトリコに適用されようとしている様子に光を当て、そうした政策に対して公平で環境にやさしい代替案を後押しし、そして共通の利益のための公教育への計画を強化することだった。 わたしたちはまた自分たちの国の福祉を、とくにわたしたちのなかで最も打たれ弱い住人たちの福祉をないがしろにするようなすでに広く拒絶された新自由主義政策を、ハリケーン・マリアを利用して推し進めることを非難することをねらいとした。 こうした政策は、水道や電気、住宅といった基本的な権利へのアクセスを制限し、わたしたちの環境、健康、民主主義のみならず、生活の質や経済的安定性をも破壊するだろう。そしてそのあいだずっと、勢いを増しながら、富はすでに富めるものたちのもとへと移っていくのだ。 [前書きより] 「これはプエルトリコで今まさに繰り広げられている典型的な「ショック・ドクトリン」をめぐる時宜を得た迫真の報道である。ナオミ・クラインは、プエルトリコの金融のメルトダウン、ハリケーンによる荒廃、そしてワシントンによってアメリカ合衆国の最も重要な植民地に押しつけられた、部外者で構成される管理委員会が引き起こした新自由主義的な民営化とウォール街の欲望に対する、プエルトリコの人びとの目覚しい草の根の抵抗を記録する」 ──フアン・ゴンザレス[デモクラシー・ナウ!共同代表、『帝国の収穫──米国のラティーノの歴史』著者] 「この著作において「ショック」なのは、プエルトリコの人びと(プエブロ・ボリクア)〔スペイン入植以前の先住民のことを指す言葉で、プエルトリコのプライドを強調する際に用いられる〕の強靭な精神である。彼ら彼女らが象徴し、意味し、つくりだすのは、可能性なのである。このことは読者に計り知れない希望を与えるのだ」 ──シュリー・モラガ[カリフォルニア大学サンタバーバラ校英文学教授、チカーノ先住民思想・芸術実践を研究するラス・マエストラス・センター所属] 「ナオミ・クラインは、ハリケーン・マリアの前にも後にも、プエルトリコがショックに次ぐショックのなかで、なにに直面してきたのかということを、そして自分たちの共同体の力強さによってプエルトリコの未来を信じ、築こうとする人びとの声を、簡潔にあきらかにする」。 ──アナ・イルマ・リベラ・ラッセン[フェミニスト、人権活動家、元プエルトリコ弁護士会会長] 著 者|ナオミ・クライン 訳 者|星野真志 出版社|堀之内出版 定 価|1,600円+税 判 型|B6変型判/並製 頁 数|144 ISBN|978-4-909237-39-2 初版|2019年4月 Contents PAReS による序文 太陽光のオアシス プエルトピア人の侵略 外からの実験に悩まされ続ける島々 「魔法の地へようこそ」 ショックの後のショックの後のショック・ドクトリン 悲観、苛立ち、絶望、そして立ち退き 主権の集まる島々 時間との競争 謝辞 インターセプトについて 訳者解説 Author ナオミ・クライン Naomi Klein 1970年、カナダ生まれのジャーナリスト、作家、活動家。デビュー作『ブランドなんか、いらない』は、企業中心のグローバリゼーションへの抵抗運動のマニフェストとして世界的ベストセラーになった。アメリカのイラク戦争後の「復興」に群がる企業の行動に注目したことがきっかけとなった大著『ショック・ドクトリン――惨事便乗型資本主義の正体を暴く』は、日本でも多くの読者に受け入れられた。『これがすべてを変える――資本主義 vs。気候変動』は、「『沈黙の春』以来、地球環境に関してこれほど重要で議論を呼ぶ本は存在しなかった」と絶賛された。2016年、シドニー平和賞受賞。2017年に調査報道を手がける米ネット・メディア「インターセプト」に上級特派員として参加、他に『ガーディアン』『ネーション』などさまざまな媒体で記事を執筆している。 Translator 星野 真志 Masashi Hoshino 1988年群馬県太田市生まれ。一橋大学社会学部、同大学大学院言語社会研究科修士課程を経て、マンチェスター大学英米学科で博士号を取得。共訳に『革命の芸術家──C・L・R・ジェームズの肖像』(こぶし書房、2014年)。研究対象は1930~40年代英国の文化と政治、とくにジョージ・オーウェル、ドキュメンタリー運動、英国のシュルレアリスムなど。2019年1月、論文 ‘Humphrey Jennings’s "Film Fables": Democracy and Image in "The Silent Village" ’で英国モダニズム学会(British Association for Modernist Studies)新人論文賞(BAMS Essay Prize)を受賞。
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再公営化という選択——世界の民営化の失敗から学ぶ
¥1,980
本書は2017年に発行された「Reclaiming Public Services: How cities and citizens are turning back privatisation」の日本語版である。民営化することで高額化したり生活に必要なインフラが劣化することを避けるために、生活に必要なものは何かを見極め、社会、環境、気候変動への課題に対応するため、公共サービスを市民の手に取り戻したり、より効率的な公共サービスを提供する試みが進められている、その調査をまとめたレポート集。最新のデータを元に、最新の理論が展開されている貴重な1冊。 なお、こちらの書籍は下記のウェブサイトにてPDFが無料公開されております。 https://www.tni.org/en/RPS_JP 紙での書籍をお求めの方は本品をご購入くださいませ。 [出版社より] 編 者|岸本聡子、オリヴィエ・プティジャン 出版社|堀之内出版 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|190 ISBN|978-4-906708-82-6 初 版|2019年06月 Contents インフォグラフィックス 世界の公共サービスの(再)公営化 はじめに 語られていない話 岸本聡子&オリヴィエ・プティジャン 第1章 フランスの再公営化―民間の失敗を経て、民主的で持続可能な 公共サービスを地域で再構築する オリヴィエ・プティジャン 第2章 ラテンアメリカにおける再国有化の今日的な動機 エムリサ・コルバート 第3章 貿易投資協定に署名できない835の理由 ラビニア・ステインフォート 第4章 ノルウェー―社会サービスを自治体の手に取り戻す ビヨン・ペタセン&ニナ・モンセン 第5章 ドイツ&オーストリア―労働者にとっての再公営化 ラウレンシアス・テアジック 第6章 潮流に抗するインドの脱民営化 ―すべての人に不可欠なサービスを ベニー・クルビラ 第7章 官民連携の危険な幻想を解明する マリア・ホセ・ロメロ&マチュー・フェアフィンクト 第8章 私たちの送電網―ドイツにおけるエネルギーの再公営化動向 ソーレン・ベッカー 第9章 30年の民営化を経て―公的所有が政治課題となったイギリス デビット・ホール&キャット・ホッブス 第10章 スペイン、カタルーニャ地方 ―民主的な公営水道を取り戻す市民運動の波 ミリアム・プラナス まとめ 公共サービスの未来を創り始めた自治体と市民 オリヴィエ・プティジャン & 岸本聡子 付録 1 (再)公営化リスト 付録2 (再)国有化リスト 付録3 調査方法と参加型調査 Editor 岸本 聡子 Satoko Kishimoto トランスナショナル研究所(TNI)のパブリック・オルタナティヴ・プロジェクトのコーディネーターである。 オリビエ・プティジャン Olivier Petitjean フランスの著述家兼リサーチャーで、フランスの多国籍企業監視団体とそのウエブサイトMultinationals Observatoryの編集長を務める。
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なぜオフィスでラブなのか
¥1,980
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「なぜオフィスでラブなのか」。 「職場で出会った人とつきあっています/結婚しました」という話は一般的で、珍しいことではありません。でも、冷静に考えてみると、仕事を目的とする場で、なぜそんなに恋愛が発生するのでしょうか。小説を題材に日本の「オフィスラブ」について、労働にも造詣が深い新進気鋭の著者が論じます。 [出版社より] 著 者|西口 想 出版社|堀之内出版[POSSE叢書] 定 価|1,800円+税 判 型|四六判 頁 数|206 ISBN|978-4-906708-99-4 初版|2019年2月 Contents まえがき 1 なぜオフィスなのか? よしもとばなな 『白河夜船』 2 祖父母たちのオフィスラブ伝説 田辺聖子 『甘い関係』 3 絶対安全不倫小説 東野圭吾 『夜明けの街で』 4 忘れられた名前を呼ぶとき、オフィスラブが始まる 川上弘美 『ニシノユキヒコの恋と冒険』 5 オフィスラブとセクハラの境界 綿矢りさ 『手のひらの京』 6 私たちが同僚を好きになる不思議 長嶋有 『泣かない女はいない』 7 近代家族と父娘関係の切なさについて 源氏鶏太 『最高殊勲夫人』 8 東京ラブストーリーの貞操をめぐる闘争 柴門ふみ 『東京ラブストーリー』 9 シングルマザーのオフィスラブ 津島佑子 『山を走る女』 10 未来のオフィスラブはプラトニックである 雪舟えま 『プラトニック・プラネッツ』 11 オフィスラブの魔法で人生はときめくか 津村記久子 『カソウスキの行方』 12 オフィスラブと「私」の物語 あとがき Author 西口 想 So Nishiguchi 1984年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、テレビ番組制作会社勤務を経て、現在は労働団体職員。