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到来する女たち——石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学
¥2,640
不揃いなままで「わたし」が「わたしたち」になる──。 1958年に創刊された雑誌『サークル村』に集った石牟礼道子、中村きい子、森崎和江が聞書きなどの手法で切り拓いた新たな地平を、『中上健次論』が話題を呼んだ著者が「思想文学」の視点で読み解く。 「『サークル村』を通して、彼女たちが手に入れたのは、儚い「わたし」(たち)の小さな「声」を顕すための言葉であったにちがいない。この新しい集団の言葉は、異質なものと接触し遭遇することで自らを鍛え、異質な他者とともに葛藤を抱えながらも不透明な現実を生きようとする言葉でなければならなかった。支配や権力、垂直的な位階制や序列的な差別から自由で、不揃いなままで水平的に「わたし」は「わたしたち」になる。 三人の女たちは、そのような「わたし」と「わたしたち」を創造/想像し、「わたし」と「わたしたち」とを表現しうる言葉を発明しようとしたのではなかったか」 ・石牟礼道子(1927-2018)【熊本】……熊本県天草生まれ。詩人、作家。生後すぐに水俣へ。著書に『苦海浄土』『椿の海の記』『西南役伝説』ほか。 ・中村きい子(1928-1996)【鹿児島】……鹿児島生まれ。小説家、作家。母をモデルにした小説『女と刀』は大きな話題を呼び、木下恵介監督によりドラマ化もされた。 ・森崎和江(1927-2022)【福岡】……朝鮮大邱生まれ。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、58年筑豊炭鉱近郊の中間に転居、谷川雁らと『サークル村』創刊。著書に『まっくら』『慶州は母の呼び声』『非所有の所有』など。 [出版社より] 著 者|渡邊英理 出版社|書肆侃侃房 定 価|2,400円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|400 ISBN|978-4-86385-678-3 発 行|2025年07月 Contents はじめに 1 集団・聞書き・女たち 2 「思想文学」として読む 3 三人の横顔 4 本書の構成と概要 第1章 はじまりとしての『サークル村』 1 戦後文化運動と『サークル村』 2 『サークル村』の「女性表現」 3 九州の「南」 4 「南」の女たち 5 「南九州」の集団と文化 6 「戦争小説」/「戦後文学」 7 「エロス」と女たち 8 〈非所有の(非)所有〉 第2章 母の肖像/群像──中村きい子『女と刀』 1 娘による母の伝記 2 「南九州」の宗教と「差別」 3 下級武士の娘 4 不適切な擬態 5 意に沿わぬ結婚 6 抜かれぬ刀、女の争闘 7 〈借り物〉からはじめる 8 あらがねの肌と性愛(エロス) 第3章 連なり越えゆく世界を感受する──石牟礼道子『椿の海の記』 1 あわいを漂う言葉 2 交通と(被)開発の時空 3 分解と再生産、「生類世界」とコモンズ 4 家父長制とケアの実践 5 ケアする人びと 6 「女」という階級 第4章 不透明な他者と女同志の絆──森崎和江『遙かなる祭』 1 小フィクション説という言葉の機構 2 放浪という運動性 3 日本の二重構造 4 批判としてのフィクション 5 階級/性/「民族」 6 異郷の神々と女たちの「交流」 7 海と女の思想圏 第5章 交差する言葉、流動する女たち 1 「失対人夫」、「都市雑業層」 2 階級と性、あるいは労働と愛 3 「流民/型労働者」と被差別民 4 「流民」の女たち 5 到来する女/言葉 註 あとがき Author 渡邊英理 Eri Watanabe 熊本県生まれ、鹿児島県(霧島市・鹿児島市)育ち。大阪大学大学院人文学研究科教授。日本語 文学、批評/批評理論、思想文学論。東京大学大学院総合文化研究科単位取得後満期退学。博士 (学術、東京大学、二〇一二年)。 主要著書に、単著『中上健次論』(インスクリプト、二〇二二年七月、第一四回表象文化論学会 賞)、共編著『クリティカルワード 文学理論』(三原芳秋・鵜戸聡との編著、フィルムアート社、 二〇二〇年)、共著『〈戦後文学〉の現在形』(紅野謙介・内藤千珠子・成田龍一編、平凡社、二 〇二〇年)、共著『文学理論の名著50』(大橋洋一・三原芳秋編著、平凡社、二〇二五年)、共著 『二十一世紀の荒地へ』(酒井直樹・坪井秀人との鼎談収録、以文社、二〇二五年)など。 論文に、「戦争と女たち― 鈴木忠志の演劇における「現代世界」と「戦後日本」」『思想』二〇 二四年八月号(岩波書店、二〇二四年七月)、「復讐と砂漠― 安部公房『砂の女』と〈戦後文 学〉」『現代思想』一一月臨時増刊号(青土社、二〇二四年一〇月)、「未完の晩年様式、未決の 「アジア的想像力」」『群像』二〇二四年七月号(講談社、二〇二四年六月)など。文芸批評では、共同通信・文芸時評「いま、文学の場所へ」(二〇二三年四月〜)、「女たちの群像」 『群像』(講談社、二〇二五年五月号〜)、「おごじょの本棚」『西日本新聞』(二〇二五年六月〜)、 「新人小説月評」『文學界』(文藝春秋、二〇二三年八月号〜二〇二四年七月号)などを連載。森崎和江 『能登早春紀行』「解説・旅する言葉、海と女の思想圏」(中公文庫、二〇二五年)、温又柔 『魯肉飯のさえずり』「解説」(中公文庫、二〇二三年)など、文庫解説も手がけている。
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夢を描く女性たち イラスト偉人伝[OUTLET]
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教科書に出てくる偉人はなぜ男性だけ? なのでつくった、女性偉人伝! 世界各地に、さまざまな国籍、時代、活動分野で活躍した女性たちがいる。夢に向かって行動したその人生を、現代の女性作家たちのイラストとともに描く。韓国のフェミニズム出版社ボムアラムによる、歴史上の女性のあたらしい検証。 [出版社より] 編 集|ボムアラム 訳 者|尹怡景 出版社|タバブックス 定 価|1,700円+税 判 型|B5変型判・並製 頁 数|64 ISBN|978-4-907053-41-3 発 行|2020年05月 Contents フロレンス・ナイチンゲール エメリン・パンクハースト チャ・ミリサ ヘレン・ケラー キム・ジョムドン 山川菊栄 キム・ミョンスン ヴァージニア・ウルフ クォン・キオク ナ・へソク ブ・チュンファ ローザ・パークス ホ・ジョンスく イ・テヨン キャサリン・ジョンソン 石牟礼道子 ト・ユウユウ パク・ナムオク ジェーン・グドール 田中美津 ベルタ・カセレス マリアム・ミルザハニ チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ ジャシンダ・アーダーン マララ・ユスフザイ グレタ・トゥーンベリ Editor ボムアラム 性差別と女性嫌悪に対応するプラットフォームを作ろうとする女性たちが作った韓国の出版社。2016年7月刊行『우리에겐 언어가 필요하다 : 입이 트이는 페미니즘』(私たちには言語が必要である:口を開くフェミニズム)をはじめ、今必要な「多様なフェミニズムの本を出版している。 http://baumealame.com 尹怡景 ユン・イギョン/Yoon Ekyung ソウル生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。専門は文化人類学。慶應義塾大学大学院非常勤講師。
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ケアの倫理——フェミニズムの政治思想
¥1,364
身体性に結び付けられた「女らしさ」ゆえにケアを担わされてきた女性たちは、自身の経験を語る言葉を奪われ、言葉を発したとしても傾聴に値しないお喋りとして扱われてきた。男性の論理で構築された社会のなかで、女性たちが自らの言葉で、自らの経験から編み出したフェミニズムの政治思想、ケアの倫理を第一人者が詳説する。 [出版社より] 著 者|岡野八代 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|1,240円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|342 ISBN|9784004320012 発 行|2024年01月 Contents 序 章 ケアの必要に溢れる社会で 第1章 ケアの倫理の原点へ 1 第二波フェミニズム運動の前史 2 第二波フェミニズムの二つの流れ――リベラルかラディカルか 3 家父長制の再発見と公私二元論批判 4 家父長制批判に対する反論 5 マルクス主義との対決 第2章 ケアの倫理とは何か――『もうひとつの声で』を読み直す 1 女性学の広がり 2 七〇年代のバックラッシュ 3 ギリガン『もうひとつの声で――心理学の理論とケアの倫理』を読む 第3章 ケアの倫理の確立――フェミニストたちの探求 1 『もうひとつの声で』はいかに読まれたのか 2 ケアの倫理研究へ 3 ケア「対」正義なのか? 第4章 ケアをするのは誰か――新しい人間像・社会観の模索 1 オルタナティヴな正義論/道徳理論へ 2 ケアとは何をすることなのか?――母性主義からの解放 3 性的家族からの解放 第5章 誰も取り残されない社会へ――ケアから始めるオルタナティヴな政治思想 1 新しい人間・社会・世界――依存と脆弱性/傷つけられやすさから始める倫理と政治 2 ケアする民主主義――自己責任論との対決 3 ケアする平和論――安全保障論との対決 4 気候正義とケア――生産中心主義との対決 終 章 コロナ・パンデミックの後を生きる――ケアから始める民主主義 1 コロナ・パンデミックという経験から――つながりあうケア 2 ケアに満ちた民主主義へ――〈わたしたち〉への呼びかけ あとがき 参考文献 Author 岡野 八代 Yayo Okano 1967年三重県生まれ.早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了.博士(政治学).現在―同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授.専攻―政治思想,フェミニズム理論. 著書―『シティズンシップの政治学――国民・国家主義批判 増補版』(白澤社),『フェミニズムの政治学――ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房),『戦争に抗する――ケアの倫理と平和の構想』(岩波書店),『ケアするのは誰か?――新しい民主主義のかたちへ』(共著・訳,白澤社),エヴァ・F.キテイ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(共監訳,白澤社),アイリス・M.ヤング『正義への責任』(共訳,岩波書店)など.
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クィア
¥1,100
麻薬中毒者リーは「触れあい」を求めて近づいた青年アラートンとともに南米へと旅に出る……笑いにまみれた孤独と喪失感、デビュー直後に執筆されながら長らく封印されてきた告白的純愛小説。 [出版社より] 著 者|ウィリアム・バロウズ 訳 者|山形浩生・柳下毅一郎 出版社|河出書房新社[河出文庫] 定 価|1,000円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|208 ISBN|978-4-309-46813-6 発 行|2025年04月 Author ウィリアム・S・バロウズ William S. Burroughs 1914年、米国ミズーリ州生まれ。作家。53年、麻薬中毒者を描いた『ジャンキー』でデビュー。『裸のランチ』は世界的な反響を呼び、ビートニク文学の代表作となる。著書に『ソフトマシーン』『ノヴァ急報』他。 Translator 山形 浩生 Hiroo Yamagata 1964年東京都生まれ。評論家、翻訳家。訳書にオーウェル『動物農場』、ケインズ『新訳 平和の経済的帰結』、ミルグラム『服従の心理』、ピケティ『21世紀の資本』(共訳)他。著書に『翻訳者の全技術』他。 柳下 毅一郎 Kiichiro Yanashita 1963年大阪府生まれ。特殊翻訳家、映画評論家。訳書に、ウルフ『ケルベロス第五の首』、ラファティ『第四の館』他。監修に『J・G・バラード短編全集』、著書に『皆殺し映画通信』『新世紀読書大全』他。
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働きたいのに働けない私たち
¥2,090
女性は投資の対象外? 女性は好きでパートをしている!? 韓国の子持ち高学歴女性は労働市場から退場していく。社会は有能な人材を失い続け、母親たちは代わりにわが子の教育で競争に参戦する。男性本位の職場、個人化されたケアを解体するために何が必要か。スウェーデン、アメリカとの比較から考える。解説=中野円佳。 [出版社より] 「女が仕事も夢も子どもや家庭も持ちたいと願うことって、図太いからなんかじゃないよね?! とことん論理的な分析の向こうに涙が滲み出る。」 ――小林エリカ[作家・アーティスト] 「ガラスの天井、L字カーブ、ケアの個人化。労働と出産をめぐる性差別が蔓延するこの国で、〈男たち〉はずっと透明のままでいいのか」 ――清田隆之[文筆家] 著 者|チェ・ソンウン 訳 者|小山内園子 出版社|世界思想社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|160 ISBN|9784790718000 発 行|2025年05月 Contents プロローグ 図太い女の社会 1 「平等な競争」という幻想 2 女性に「学歴プレミアム」はあるか 3 母になるのは拒否します 4 より多くの女性が働けるように エピローグ 機会の平等を論じる 補論 日本の「働けない女たち」へ(チェ・ソンウン) 解説 手を取り合える日韓の女性たち(中野円佳) 訳者あとがき ブックガイド/参考文献 Author チェ・ソンウン 行政学博士。延世大学行政学科で修士号、博士号を取得後、国会立法調査処児童保育立法調査官補を経て、淑明女子大、延世大、明知大などで教鞭をとる。現在は大田世宗研究院世宗研究室の責任研究委員として、世宗特別自治市の女性、子ども、少子化政策の課題を研究。キャリア女性の雇用対応政策、子どもの遊ぶ権利を保障した公共の遊び場の活性化、ワーキングママ支援センターの運営などについて提言を行ってきた。合計特殊出生率0.75と深刻な少子化に悩む韓国にあって、世宗特別自治市は1.03を記録(韓国統計庁、2024年の合計特殊出生率〔暫定値〕)。特別市・広域市の中で唯一1を超える自治体であり、その実践が注目を集めている。 Translator 小山内 園子 Sonoko Osanai 韓日翻訳家、社会福祉士。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学校などで韓国語を学ぶ。訳書にク・ビョンモ『破果』『破砕』(岩波書店)、チョ・ナムジュ『耳をすませば』(筑摩書房)、『私たちが記したもの』(すんみとの共訳、筑摩書房)、カン・ファギル『大仏ホテルの幽霊』(白水社)、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』『失われた賃金を求めて』(すんみとの共訳、タバブックス)など、著書に『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』(NHK 出版)がある。
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新版 女から生まれる
¥4,180
創立65周年記念 アドリエンヌ・リッチ三部作、待望の復刊! 1989~1990年にかけて小社より刊行されたアドリエンヌ・リッチ著『女から生まれる』『噓、秘密、沈黙。』『血、パン、詩。』復刊を望む声が多く寄せられていた三部作をこの度、新たに解説を加え、新装版で復刊いたします。今なお古びることがないリッチの力強い論考をこの機会に。 ー 父権制によって形作られる「母性」を、自身の体験を交えながらラディカルに解体する70年代フェミニズム論の名著。 地球上の人間はすべて女から生まれる――。そのことは、女を理想化し、母性神話をはびこらせる一方、女が自分自身の生き方を選択する自由を奪ってきた。男中心の社会のなかで、制度化された「母性」がかかえこむあらゆる問題を検討し、女のからだとこころを解放する視点をあきらかにする。三人の息子の母としての体験を問いなおし、歴史的文献を緻密に分析し、「あたらしい古典」としていまや世界中で大きなインパクトをもって読みつがれる、リッチのフェミニズム「母性論」の名著。解説=小川公代。 [出版社より] 著 者|アドリエンヌ・リッチ 訳 者|高橋茅香子 出版社|晶文社 定 価|3,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|536 ISBN|978-4-7949-7464-8 発 行|2025年03月 Contents はじめに 1 怒りと愛と 2「聖なる職業」 3 父親たちの王国 4 母親ー 至上なるもの 5 飼いならされた母性 6 人の手、鉄の手 7 疎外される出産 8 母親と息子、女と男 9 母であること、娘であること 10 暴力――闇をかかえる母性 おわりに 新版に寄せて――十年ののちに 訳者あとがき 訳者あとがき――新版に寄せて 解説 小川公代 原注 Author アドリエンヌ・リッチ Adrienne Rich 1929-2012年。ボルティモア生まれ。現代アメリカを代表する詩人、フェミニスト批評家。ハーバード大学ラドクリフ・カレッジ在学中に、詩集『世界の変化』(イエール青年詩人賞受賞)で詩人としてデビュー。60 年代初頭以降、母性、セクシュアリティ、人種差別、反ユダヤ主義、戦争などの問題を探求する詩や論考において、個人的なものと政治的なものを結びつけることにこだわった。ルース・リリー賞、全米図書賞、ラナン財団生涯功労賞、マッカーサー・フェローなど受賞多数。 Translator 高橋 茅香子 Chikako Takahashi 1938年生まれ。東京外国語大学卒。朝日新聞社国際本部を経て翻訳家。訳書にクローディア・テイト編『黒人として女として作家として』(晶文社)、アリス・ウォーカー『メリディアン』(ちくま文庫)、チャンネ・リー『最後の場所で』『空高く』(いずれも新潮クレスト・ブックス)。著書に『英語で人生をひろげる本』(晶文社)、『英語となかよくなれる本』(文春文庫)など。
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あなたのフェミはどこから?
¥1,980
あなたの"フェミ"はいつ、どこから始まりましたか? 個人的でありながらも共通する体験でもあり、連帯する基盤ともなるフェミニズムとの出会いを綴るリレーエッセイ。 文筆家、写真家、彫刻家、翻訳家、編集者、ライター、演出家、イラストレーター、学者、ソーシャルワーカー、精神科医など19人の書き手が、個人的でありながらも共通する体験でもあり、連帯する基盤ともなるフェミニズムとの出会いを綴るリレーエッセイ。「ウェブ平凡」連載に書きおろしも加えて単行本化。 著者は安達茉莉子、石原真衣、上田久美子、小川たまか、長田杏奈、小田原のどか、金井冬樹、鴻巣麻里香、高島鈴、武田砂鉄、長島有里枝、能町みね子、野中モモ、藤高和輝、星野概念、松尾亜紀子、松橋裕一郎(少年アヤ)、水上文、森山至貴の19人。 [出版社より] 出版社|平凡社 定 価|1,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|176 ISBN|9784582472349 発 行|2025年04月 Contents 安達茉莉子「自分の岸辺からはじめる」 松尾亜紀子「やばい間違ったかも、と震えてはじまることもある」 森山至貴「ぬるっと出会って、ずっと繫がって」 高島鈴「生まれ変わり」 石原真衣「先住民フェミニストでございます」 藤高和輝「i am a feminist.」 鴻巣麻里香「脱抑圧の三代記 ─ 私たちはなぜフェミニストでなくなるのか」 上田久美子「私のフェミはどこから。」 小川たまか「風が吹く野原が心の中にある」 星野概念「パワーのこと」 野中モモ「聞こえているから自分も言える」 水上文「BLとフェミニズム(のようなもの)」 金井冬樹「The Powerless Do Have Power.」 長田杏奈「シルバニアで遊べない子」 小田原のどか「受け取って、渡していく」 松橋裕一郎(少年アヤ)「わたし、そしてわたしたち」 能町みね子「神はいないが」 長島有里枝「わたしが千なら、フェミニズムはハク。」 武田砂鉄「ハッキリ答える前に」
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失われた賃金を求めて[OUTLET]
¥935
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『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』で日本にも鮮烈な印象を与えたイ・ミンギョン、次は男女の賃金格差に斬り込んだ! 男女賃金格差がOECD加盟国中「不動のワースト1位」の韓国の社会事情は、「不動のワースト2位」の日本でも共感必至。賃金差別は存在する! 解説=西口想。 [出版社より] 著 者|イ・ミンギョン 訳 者|小山内園子・すんみ 出版社|タバブックス 定 価|1,700円+税 判 型|四六変型判/並製 頁 数|216 ISBN|978-4-907053-47-5 初 版|2021年02月 Contents はじめに 1. 昇進 止まっているエスカレーター 2. 考課 「ふりだしに戻る」と「3つ前へ」 3. 同一職級 傾いた床 4. 与えられた条件 ハイヒールと砂袋 5. 雇用安定性 消えていく女性たち 6. 就職 7. 進路選択 8. 達成度評価 9. 資源 終わり-あるいははじまり 解説 日本で、女性がもっと受け取れるはずだった賃金の金額を求めよ 西口想 Author イ・ミンギョン Lee Min-Gyeong 延世大学校仏語仏文学科、社会学科を卒業後、韓国外国語大学校通訳翻訳大学院韓仏科で国際会議通訳専攻修士学位を取得。2016年に起きた江南駅殺人事件をきっかけに『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』を発表。女性が女性であるという理由で人生をあきらめなくてもすむ瞬間のため、ことばを書き訳している。最近はテキストを媒介にして女性たちが出会える場を作ることに力を注いでいる。主な著作に『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『脱コルセット:到来した想像』、共著に『笛を吹く女たち』『ヨーロッパ堕胎旅行』、訳書に『대리모 같은 소리(原題訳:代理出産、人権侵害)』『임신중지(原題訳:幸せな中絶)』『나, 시몬 베유(原題訳:ある人生)』などがある。現在、延世大学校文化人類学科修士課程で学びながら、女性の人生で手にすることのできるまた別の可能性を模索中である。 Translator 小山内 園子 Sonoko Osanai 東北大学教育学部卒業。社会福祉士。訳書に、ク・ビョンモ『四隣人の食卓』(書肆侃侃房)、キム・ホンビ『女の答えはピッチにある』(白水社)、共訳書に、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』(タバブックス、すんみと共訳)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房、すんみと共訳)など。 すんみ Seungmi 翻訳家。早稲田大学大学院文学研究科修了。訳書にキム・グミ『あまりにも真昼の恋愛』(晶文社)、チョン・セラン『屋上で会いましょう』(亜紀書房)、共訳書にイ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(タバブックス、小山内園子と共訳)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房、小山内園子と共訳)など。
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脱コルセット 到来した想像[OUTLET]
¥1,100
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脱コルセット運動は、苦痛や搾取、虐待を今、この場所で経験している女性たちの人生を変える最適のツールだった——。 韓国フェミニズム、最大のムーブメント「脱コルセット」とは何か。『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『失われた賃金を求めて』に続く、イ・ミンギョン第3弾。 ルックス至上主義、規範的女性性に抵抗する脱コルセット運動。韓国の若い女性たちが化粧品を捨て、髪を短くした写真をSNSにアップ、急速に広まった。女性らしさを「電撃的に打ち切る」強いアプローチを取った背景とは。イ・ミンギョンが「脱コル」実践者たちと対話し、読解を試みた渾身の1冊。 日本版は、多くの女性たちの声からなるこの本の特徴をふまえ複数の訳者が参加。韓国・日本在住の女性8人のチームで翻訳、それぞれのことばで脱コルセットを考えるリレーブログも公開中。 [出版社より] 著 者|イ・ミンギョン 訳 者|生田美保/オ・ヨンア/小山内園子/木下美絵/キム・セヨン/すんみ/朴慶姫/尹怡景 出版社|タバブックス 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|336 ISBN|978-4-907053-53-6 初 版|2022年03月 Contents 日本の読者のみなさんへ イ・ミンギョン 0 観念から感覚へ 1 女から人へ 2 する自由からしない自由へ 3 努力から忘却へ 4 美しさから痛みへ 5 平面的な自我イメージから立体的な自分へ 6 美の観点から機能の観点へ 7 男性の他者から、女性として同一視された女性へ 8 画一的な日課から多様な日常へ 9 順応から違反へ 10 分裂から統合へ 11 今、ここから、別の世界へ 12 死から生へ 13 さあ、次の世代へ Author イ・ミンギョン Lee Min-Gyeong 女性が女性だという理由で 人生の何ひとつも あきらめないことを願う 延世大学校仏語仏文学科、社会学科を卒業後、韓国外国語大学校通訳翻訳大学院韓仏科で国際会議通訳専攻修士学位を取得。ENSパリ・サクレー校博士課程在籍中。フェミニストのためのことばを物し、訳す活動を行う。著書に『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』『私たちにも系譜がある』『失われた賃金を求めて』、共著に『ヨーロッパ堕胎旅行』など。訳書に『妊娠中止(임신중지)』『母の国(어머니의 나라)』『国家ではなく女性が決めなければならない(국가가 아닌 여성이 결정해야 합니다)』『私、シモーヌ・ヴェイユ(나, 시몬 베유)』『すべての女性が同じ闘争をしているのではない(모든 여성은 같은 투쟁을 하지 않는다)』『ホイッスルが鳴ったら(휘슬이 울리면)』『主たる敵(주적)』などがある。
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編むことは力
¥2,970
編み物は、フェミニズムや社会運動を支えるツールでもあった。フランス革命時のトリコテウス、アメリカ革命時のスピニング・ビーズ、大戦時のニッティング・スパイ、トランプ政権時のプッシーハット・プロジェクト……。個人と政治、愛と経済を結びつけ、社会を幾度となく編み直してきたパワーの歴史をたどるエッセイ。 [出版社より] 著 者|ロレッタ・ナポリオーニ 訳 者|佐久間裕美子 出版社|岩波書店 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|206 ISBN|9784000616751 発 行|2024年12月 Contents 著者の言葉 イントロダクション 愛、政治と経済を編む 1 なぜ編み物をするのか 2 糸の檻を開ける 3 革命のために編む 4 フェミニズムと糸の愛憎関係 5 ウール・イズ・クール 6 編み物のネットワークの魔法 7 神経科学時代の編み物 8 ともに編もう──社会を編み直す エピローグ 必要なのは愛だけ 謝 辞 訳者あとがき 佐久間裕美子 パターン 西村知子 訳 注 参考文献 Author ロレッタ・ナポリオーニ Loretta Napoleoni 幼い頃イタリアで祖母から編み物を学ぶ.エコノミスト,コンサルタント,コメンテーター.フルブライト奨学生としてジョンズ・ホプキンス大学ポール・H・ニッツェ高等国際問題研究大学院,ロータリー奨学生としてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学.国際関係と経済学の修士号,経済学の博士号を取得.国際金融,テロリズム,9.11以降の社会変動,ヨーロッパや中国,北朝鮮経済に関し執筆.邦訳書に『人質の経済学』(文藝春秋)『「イスラム国」はよみがえる』(文春文庫)など. Translator 佐久間 裕美子 Yumiko Sakuma ライター,アクティビスト.慶應義塾大学卒業,イェール大学大学院修士課程修了.ニューヨーク在住.カルチャー,ファッション,政治,社会問題などに関し執筆.著書に『Weの市民革命』(朝日出版社)『みんなで世界を変える! 小さな革命のすすめ』(偕成社)など.訳書に『テロリストの息子』(朝日出版社).Sakumag Collectiveを通じて勉強会や情報発信などの活動を行っている.
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持続可能な魂の利用
¥836
会社に追いつめられ、無職になった三十女が、女性アイドルに恋して日本の絶望を粉砕!? 現実を生き抜くための最高エネルギーチャージ小説。解説=松尾亜紀子。 [出版社より] 著 者|松田青子 出版社|中央公論新社[中公文庫] 定 価|760円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|280 ISBN|978-4-12-207369-2 初 版|2023年05月 Author 松田 青子 Aoko Matsuda 1979年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。2013年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞及び野間文芸新人賞候補に、14年にTwitter文学賞第1位となり、19年には『ワイルドフラワーの見えない一年』収録の「女が死ぬ」(英訳:ポリー・バートン)がアメリカのシャーリィ・ジャクスン賞短編部門の候補となった。
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男の子になりたかった女の子になりたかった女の子
¥814
あなたを救う“非常口”はここ。 『おばちゃんたちのいるところ』が海外で大反響の著者が贈る、はりつめた毎日に魔法をかける最新短篇集。解説=小林エリカ。 [出版社より] 著 者|松田青子 出版社|中央公論新社[中公文庫] 定 価|740円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|264 ISBN|978-4-12-207511-5 発 行|2024年04月 Contents 天使と電子 ゼリーのエース クレペリン検査はクレペリン検査の夢を見る 桑原さんの赤色 この世で一番退屈な赤 許さない日 向かい合わせの二つの部屋 誰のものでもない帽子 物語 斧語り 男の子になりたかった女の子になりたかった女の子 解説 小林エリカ Author 松田 青子 Aoko Matsuda 1979年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。2013年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞及び野間文芸新人賞候補に、14年にTwitter文学賞第一位となり、19年には『ワイルドフラワーの見えない一年』収録の「女が死ぬ」(英訳:ポリー・バートン)がアメリカのシャーリィ・ジャクスン賞短編部門の候補となった。
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差別と資本主義
¥2,970
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人種やジェンダーをめぐる差別・不平等は、グローバル資本主義の構造と深くかかわって、全世界的な社会分断を生んでいる。差別問題に正面から切り込んだトマ・ピケティの論考をはじめ、国際的な識者たちが問題の深淵と解決への道筋を語る、最先端の論集。 [出版社より] 著 者|トマ・ピケティ、ロール・ミュラ、セシル・アルデュイ、リュディヴィーヌ・バンティニ 訳 者|尾上修悟、伊東未来、眞下弘子、北垣徹 出版社|明石書店 定 価|2,700円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|216 ISBN|9784750356037 発 行|2023年06月 Contents 訳者序文[尾上修悟] 第一章 人種差別の測定と差別の解消[トマ・ピケティ] 第二章 キャンセルカルチャー――誰が何をキャンセルするのか[ロール・ミュラ] 第三章 ゼムールの言語[セシル・アルデュイ] 第四章 資本の野蛮化[リュディヴィーヌ・バンティニ] 訳者解説[尾上修悟] Author トマ・ピケティ Thomas Piketty フランス国立社会科学高等研究院の研究所長、パリ経済学校の教授、ならびにグローバル不平等研究所の共同主宰者。 ロール・ミュラ Laure Murat カリフォルニア大学ロサンゼルス校ヨーロッパ言語・越境文化学科教授。 セシル・アルデュイ Alduy C'ecile スタンフォード大学(米国)フランス文学・文明学の教授、パリ政治学院政治学研究センターCEVIPOFの准研究員。 リュディヴィーヌ・バンティニ Ludivine Bantigny 歴史家、教員・研究者、ルーアン大学GRHisラボメンバー。社会参加、社会運動・反乱・革命の歴史を研究
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82年生まれ、キム・ジヨン
¥748
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作。韓国で100万部突破。異例の大ベストセラー小説、待望の文庫化。解説=伊東順子、文庫版解説=ウンユ。 [出版社より] 著 者|チョ・ナムジュ 訳 者|斎藤真理子 出版社|筑摩書房[ちくま文庫] 定 価|680円+税 判 型|文庫判/並製 頁 数|256 ISBN|978-4-480-43858-4 発 行|2023年02月 Contents 二〇一五年秋 一九八二年 - 一九九四年 一九九五年 - 二〇〇〇年 二〇〇一年 - 二〇一一年 二〇一二年 - 二〇一五年 二〇一六年 評論『82年生まれ、キム・ジヨン』以後に女性が語り、書くということ(ウンユ) Author チョ・ナムジュ 1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。『ソヨンドン物語』(古川綾子訳、筑摩書房)が近刊予定。 Translator 斎藤 真理子 Mariko Saito 翻訳家。訳書にパク・ミンギュの『カステラ』(共訳、クレイン)、『ピンポン』(白水社)、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)、ファン・ジョンウン『誰でもない』(晶文社)など精力的に韓国現代文学を翻訳している。『カステラ』で第一回日本翻訳大賞を受賞。
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韓国、男子——その困難さの感情史
¥3,300
「男」は理不尽な観念だ。ジェンダー間の格差・分断・差別の歴史の中で、男性は「男」であるがゆえに抑圧する主体だった。他方、「男なら……」という期待は、当事者に「失敗と挫折でがんじがらめ」の内的経験をもたらしてもきた。日本においても然り。だが韓国では、この問題を感情史的アプローチで探究する試みがいち早く登場した。 韓国ドラマの男たちが“おんな子どもを守る強い男”の類型を引きずり続けるのはなぜだろう? フェミニズムへの関心の高い国で、なぜ若者がバックラッシュの政策を支持するのか? その背景にある男性性の問題、すなわち「韓国男子」のこじれの源を、本書は近現代史上の事象や流行語を手がかりに辿る。 「男子(ナムジャ)」の苦難や煩悶が、非‐男性への抑圧と表裏をなしながら、いかにして社会を構成する人々全体の生きづらさに与ってきたか。朝鮮王朝時代、植民地化、南北分断と軍政、民主化、新自由主義化といった局面に応じて、男性性をめぐる新たな困難と、そこから噴き出る抑圧と暴力の構図が繰り返し出現した。終盤では、兵役が生む軋轢や、オンラインで拡散する苛烈なミソジニーとバックラッシュに揺れる2000年以降の社会の様相を見る。 「このような作業が必要な理由は、まず理解するためだ。」今日の韓国の人々の心性を理解するための重要な知見と示唆に溢れた論考であるとともに、日本における同じ問題を合わせ鏡で見るような書だ。 [出版社より] 原 書|한국, 남자 귀남이부터 군무새까지 그 곤란함의 사회사 著 者|チェ・テソプ 訳 者|小山内園子・すんみ 解 説|趙慶喜 出版社|みすず書房 定 価|3,000円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|312 ISBN|978-4-622-09745-7 初 版|2024年12月 Contents ■序 いま、韓国の男たち■ ソン・ジェギと男性「連帯」 仁義なき戦い ボタンを押した男たち 韓(国)男(子)の起源と現在 ■1 問題になる男■ ──「貴男[グィナム]」たちが招いた危機 跡を継ぐ息子 戸主制と女性の再植民化 「貴男」たち 削除された女児たち 人口抑制計画 没落する男たち 男の終末 in 韓国 溜まりつづける男たち ■2 “真の男”を探して■ ──「ヘゲモニックな男性性」の起源 トレードマークは“真の男” 男らしさの身体的起源 「男」対「野生」 作られた男 ヘゲモニックな男性性 支配のコスト ■3 韓国男子の憂鬱な起源■ ちゃっかりした無能力者たち 輸入された男──植民地男性の不遇な誕生 反共戦士を作る 朝鮮戦争──男性性の墓 傷痍軍人、兵役忌避者、そして女たち 軍靴をはいた継父──徴兵制と産業の担い手 「いい暮らしをしよう」──仲むつまじい中産層を目指して 男性性の極限──80年光州の空挺部隊 光州の息子たち──不正な父に立ち向かって ■4 変化と没落■ ──1990年代と韓国、男子 Xな新時代の男たち うなだれている男──IMF通貨危機と「男性性の危機」 ■4.5 ピンクの服をまとった男たち■ メトロセクシュアルと新たな男性性? ■5 悔しい男たち■ 軍オウム[グンムセ]の歌と悔しい男たちの誕生 女性嫌悪の年代記1──味噌女の誕生 女性嫌悪の年代記2──キムチ女からメガルまで 出口のない循環──遊び文化と女性嫌悪 でっち上げられた嫌悪 「代替現実」としての女 ■結び 韓国男子に未来はあるか■ 謝辞 日本語版へのあとがき──2023、依然として、“韓国、男子”たち 解説──フェミニズムへの応答としての韓国男子論(趙慶喜) 訳者あとがき 参考文献 索引 Author チェ・テソプ 최태섭 1984年生まれ。文化評論家、社会学研究者。聖公会大学校社会学科にて博士課程修了。ジェンダー、政治、労働問題に重点を置いて執筆活動をしている。2011年の共著書『열정은 어떻게 노동이 되는가〔情熱はいかにして労働になるのか〕』(ウンジン知識ハウス)では、韓国社会の若者世代に「情熱」という形態をとって強要される不合理な労働について論じた。2013年、世代論だけでは説明できない搾取と疎外を「余剰」をキーワードに考察する単著『잉여사회〔余剰社会〕』(ウンジン知識ハウス)を発表。2018年に本書の原書『한국, 남자〔韓国、男子〕』(ウネンナム)、2021年にはゲーム産業・文化について考察した『모두를 위한 게임 취급 설명서─게임에 대해 궁금하지만 게이머들은 답해줄 수 없는 것들〔みんなのためのゲーム取扱説明書──ゲームについて疑問に思うが、ゲーマーは答えることができないもの〕』(ハンギョレ出版)を上梓した。ほかの著書に、『억울한 사람들의 나라〔やりきれない者たちの国〕』(ウィズダムハウス、2018)など。 Translator 小山内 園子 Sonoko Osnai 1969年生まれ。韓日翻訳者、社会福祉士。訳書に、ク・ビョンモ『破果』(岩波書店、2022)など。すんみとの共訳書にイ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(タバブックス、2018)。 すんみ 1986年生まれ。韓日、日韓翻訳者。訳書に、チェ・ジニョン『ディア・マイ・シスター』(亜紀書房、2024)、ウン・ソホル他『5番レーン』(鈴木出版、2022)など。小山内園子との共訳書にイ・ミンギョン『失われた賃金を求めて』(タバブックス、2021)。 Commentary 趙 慶喜 1973年生まれ。韓国・聖公会大学東アジア研究所教員。主な共著書に『残余の声を聴く──沖縄・韓国・パレスチナ』(明石書店、2021)、『주권의 야만─밀항・수용소・재일조선인〔主権の野蛮──密航・収容所・在日朝鮮人〕』(ハンウル、2017)。
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妾と愛人のフェミニズム——近・現代の一夫一婦の裏面史
¥3,080
SOLD OUT
一夫一婦制度が確立した明治期から2010年代までの新聞・雑誌や文学を精読し、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。 ー 夫婦関係に不和を生じさせる存在、倫理にもとるものとして現在ではタブー視されている「愛人」や、かつて「妾」と呼ばれた人たちは、どのような女性だったのか。 フェミニズムの分野で「妾」や「愛人」が議論の対象にされてこなかったことに疑問をもった著者が、明治期から2010年代までの「妾」と「愛人」にまつわる「読売新聞」や「週刊文春」の記事分析と文学作品の読解を通して、時代ごとに形作られた社会的イメージの変遷をたどっていく。 森鴎外や尾崎紅葉の小説に描かれる近代男性の妾囲い、有島武郎と波多野秋子などの大正期に新聞紙上をにぎわせた知識人の愛人関係、太宰治「斜陽」で「道徳革命」を成就させる戦後の愛人、「嫉妬する妻」による刃傷沙汰事件、「おいしい生活」を望む女性たちの間で流行した愛人バンク、政治家の「女房役」やハイクラス男性のビジネスパートナーとしての愛人、2000年代以降の政治家のスキャンダルのなかで性的に消費される愛人像などを取り上げ、近・現代日本に現れる「妾」と「愛人」像と、その評価を詳細に検討する。 一夫一婦制度が確立した明治期以降、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として近代知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。 [出版社より] 著 者|石島亜由美 出版社|青弓社 定 価|2,800円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|280 ISBN|978-4-7872-3517-6 発 行|2023年03月 Contents はじめに 第1章 明治の妾――一夫一婦の裏面の妾という存在 1 法制度からみる妾の位置づけ 2 妾の近代文化 3 文学に描かれた妾 第2章 戦前の愛人――恋愛をする人 1 近代日本フェミニズムの出発点――恋愛/一夫一婦/妾の否定 2 愛人の登場――一九一〇年代まで 3 一九二〇年代の愛人像――文学作品・婦人雑誌・新聞から 第3章 一九三〇年代の妻と妾――妻の嫉妬と閉塞感 1 「嫉妬する妻」の構築 2 一九三〇年代の「妻」「妾」の身の上相談 第4章 戦後の愛人――働く女性、性的存在、不道徳な存在 1 戦後愛人の原型――一九四〇年代後半から五〇年代 2 週刊誌のなかの愛人 初出一覧 おわりに Author 石島 亜由美 Ayumi Ishijima 1980年、栃木県生まれ。城西国際大学大学院人文科学研究科女性学専攻(修士課程)修了、比較文化専攻(博士課程)単位取得満期退学。博士(比較文化)。専攻は女性学、東洋医学。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師。共著に『ジェンダーの視点からみる日韓近現代史』(梨の木舎)、『韓流サブカルチュアと女性』(至文堂)、論文に「私にとっての「女性学」という場――水田宗子の女性学と草創期の議論を再考して」(「WAN女性学ジャーナル」2019年)、「近代日本における「妾」に関する新聞記事のジェンダー分析――「嫉妬」の社会的構築と「妻」の危機・「妾」の排除」(「女性学」第25号)、「「夫」「妻」「妾」近代的主体とジェンダー文化の構築」(「女性・戦争・人権」第14号)など。
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顔のない遭難者たち――地中海に沈む移民・難民の「尊厳」
¥2,200
身元不明の遺体のアイデンティティを求めて——。 ガリレオ文学賞受賞作。 「あの人たち」の権利を守り、「私たち」と「あの人たち」の死を同じように扱うことが、私たちの挑戦だったーー(本文より) いまも昔も、世界中のあらゆる国々で、「身元不明の遺体」が発見されてるが、その多くの身元を特定されない。身元不明者が移民・難民である場合、その遺体を「放っておけ」と言う人々がいる。それはなぜか? イタリア(ヨーロッパ諸国)には、領海内で遭難した外国人の身元特定にかかわる法律が存在しなかったが、法医学者である著者は仲間たちと協力し、ヨーロッパではじめて移民遭難者向けデータバンクの創設に取り組む。 近しい人の身元がわからず、藁にもすがる思いでときには親族のDNA(髪の毛や爪、唾液など)を携え、著者のもとへ訪れる人々たちの怒り、慟哭、悲痛。そして「ここに来てよかった」という言葉。数字としてまとめられる身元不明の遺体、「顔のない遭難者たち」の背後にも、それぞれの名前と物語がある。遺された人が死と向き合うため尽力し続ける人々の法医学ノンフィクション。 [出版社より] 著 者|クリスティーナ・カッターネオ 訳 者|栗原俊秀 監 修|岩瀬博太郎 出版社|晶文社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|258 ISBN|978-4-7949-7336-8 初 版|2022年11月 Contents 第1章 二〇一三年十月 死者に名前を与えること 第2章 「あの人たち」の死を、「私たち」の死と同じように 第3章 ランペドゥーザの挑戦 見いだすには、まず求めよ 第4章 最初の同定 「ここに来てよかった」 第5章 「故郷の土を、肌身離さずもっているんです」 第6章 メリッリ 海辺の霊安室 第7章 バルコーネ 死者は生者よりも雄弁である 最8章 最終幕 あるいは、第一幕の終わり 訳者あとがき 文献案内 Author クリスティーナ・カッターネオ Cristina Cattaneo 一九六四年、ピエモンテ州に生まれる。ミラノ大学教授、ラバノフ(犯罪人類学歯科医学研究所)所長。専門は法医学。二〇一四年より、地中海で命を落とした移民・難民の遺体の同定作業に従事している。その体験を綴った本書『顔のない遭難者たち』(Naufraghi senza volto: Dare un nome alle vittime del Mediterraneo, Raffaello Cortina Editore, 2018)で、ガリレオ文学賞を受賞。「犯罪と蝶々 自然科学が解き明かす謎」(Monica Maldarellaとの共著、二〇〇六年)、「体、骸骨、犯罪:ラバノフの物語」(二〇一九年)などの著作を通じて、法医学の魅力を一般読者にもわかりやすく伝えている。 Translator 栗原俊秀 Toshihide Kurihara 一九八三年生まれ。翻訳家。主な訳書にアンドレア・バイヤーニ『家の本』(白水社)、アントニオ・スクラーティ『小説ムッソリーニ 世紀の落とし子』(河出書房新社)、イゴルト『ウクライナ・ノート』(花伝社)、ジョン・ファンテ『ロサンゼルスへの道』(未知谷)など。カルミネ・アバーテ『偉大なる時のモザイク』(未知谷)の翻訳で、須賀敦子翻訳賞、イタリア文化財文化活動省翻訳賞を受賞。 Supervisor 岩瀬博太郎 Hirotaro Iwase 解剖医、千葉大学大学院医学研究院法医学教室教授。東京大学医学部医学科卒業。同大学法医学教室を経て二〇〇三年より現職。二〇一四年より東京大学大学院医学系研究科法医学教室教授併任、千葉大学附属法医学教育研究センター設立に伴いセンター長併任。著書に『焼かれる前に語れ』、『法医学者、死者と語る』(いずれもWAVE 出版)、『死体は今日も泣いている―日本の「死因」はウソだらけ』(光文社新書)。
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トランスジェンダー問題――議論は正義のために
¥2,200
SOLD OUT
トランス女性である著者が、トランス嫌悪的な社会で生きるトランスジェンダーの現実を幅広い調査や分析によって明らかにする。これまで自伝や研究書に偏っていたトランスジェンダーを扱った書籍の中で、事実に基づき社会変革に向けて開かれた議論を展開する画期的な一冊である。トランスジェンダーの実態を何ら顧みない、排除のための偏見に満ちた言説が拡大される中、日本における「トランスジェンダー問題」を考える上でも必読の書。 [出版社より] 「議論は知識を踏まえ、事実に基づき、正義のために行われなければならない。「女が消される」「性犯罪が増える」「多くの人が性別移行を後悔する」――「トランスジェンダー問題」にまつわる数々の虚偽(デマ)から解放される時が来た。これは全身全霊で推薦すべき、正義の書だ」 ――李琴峰[芥川賞作家] 「トランス女性はどちらのトイレを使うべきかというような、反対派によってでっち上げられた「問題」ではなく、当事者の経験する本当の「問題」を論じている。20年以上コミュニティに関わるわたしから見て、ひろく一般の読者にお勧めできるはじめてのトランスジェンダーについての本」 ――小山エミ[シアトル在住活動家、脱植民地化のための日米フェミニストネットワーク共同創設者、性労働者の権利と安全のための連帯代表] 著 者|ショーン・フェイ 訳 者|高井ゆと里 解 説|清水晶子 出版社|明石書店 定 価|2,000円+税 判 型|四六判・並製 頁 数|436 ISBN|9784750354637 初 版|2022年10月 Contents プロローグ イントロダクション 見られるが聞かれない 第1章 トランスの生は、いま 第2章 正しい身体、間違った身体 第3章 階級闘争 第4章 セックスワーク 第5章 国家 第6章 遠い親戚――LGBTのT 第7章 醜い姉妹――フェミニズムの中のトランスたち 結論 変容(トランスフォーム)された未来 謝辞 解説 スーパー・グルーによる一点共闘――反ジェンダー運動とトランス排除[清水晶子] 訳者解題 日本で『トランスジェンダー問題』を読むために 訳者あとがき 原注 Author ショーン・フェイ Shon Faye イギリス・ブリストル出身。現在はロンドンを拠点に活動。弁護士としての訓練を受けた後、執筆活動やキャンペーン活動を行うために退職し、慈善団体Amnesty InternationalやStonewallで働いている。Dazedの編集長を務めたほか、Guardian、Independent、Viceなどで執筆活動を行っている。最近、LGBTQの先駆者たちにインタビューするポッドキャストシリーズ「Call Me Mother」を立ち上げ、高い評価を得ている。本作は初の著書。 Translator 高井 ゆと里 Yutori Takai 群馬大学情報学部准教授。石川県立看護大学講師などを経て現職。東京大学大学院人文社会系研究科・倫理学研究室博士課程修了。博士(文学)。専門は倫理学、主専攻はハイデガー哲学と研究倫理。単著に『極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる』(講談社選書メチエ)。 Commentary 清水 晶子 Akiko Shimizu 東京大学大学院人文科学研究科英語英米文学博士課程修了。ウェールズ大学カーディフ校批評文化理論センターで博士号を取得し、現在東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はフェミニズム/クィア理論。著書に『読むことのクィア――続 愛の技法』(共著、中央大学出版部)、『Lying Bodies:Survival and Subversion in the Field of Vision』(Peer Lang Publishing)など。
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女性のいない民主主義
¥902
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政治権力が男性に集中する日本は,民主主義国と呼ぶに値するのか.男性支配からの脱却に挑む新たな政治学. 日本では男性に政治権力が集中している.何が女性を政治から締め出してきたのか.そもそも女性が極端に少ない日本の政治は,民主主義と呼べるのか.客観性や中立性をうたってきた政治学は,実は男性にとって重要な問題を扱う「男性の政治学」に過ぎなかったのではないか.気鋭の政治学者が,男性支配からの脱却を模索する. [出版社より] 著 者|前田健太郎 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|820円+税 判 型|新書判 頁 数|238 ISBN|9784004317944 初 版|2019年09月 Contents はじめに 第1章 「政治」とは何か 1 話し合いとしての政治 2 政治における権力 3 マンスプレイニングの罠 4 政治の争点 5 多数決と争点 第2章 「民主主義」の定義を考え直す 1 女性のいない民主主義 2 代表とは何か 3 民主化の歴史を振り返る 4 民主化の理論と女性 第3章 「政策」は誰のためのものか 1 男性のための福祉国家 2 政策は誰の利益を反映するのか 3 福祉国家が変わりにくいのはなぜか 4 政策の変化はどのようにして生じるか 第4章 誰が,どのように「政治家」になるのか 1 日本政治の二つの見方 2 有権者は誰に票を投じるか 3 政党と政治家の行動原理 4 選挙制度の影響 おわりに あとがき 主な参考文献・データベース Author 前田健太郎 Kentaro Maeda 1980年,東京都生まれ.2003年,東京大学文学部卒業.2011年,東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了,博士(法学).首都大学東京大学院社会科学研究科准教授を経て,現在東京大学大学院法学政治学研究科准教授. 専攻―行政学・政治学. 著書に『市民を雇わない国家――日本が公務員の少ない国へと至った道』(東京大学出版会,第37回サントリー学芸賞〔政治・経済部門〕).
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キングコング・セオリー
¥1,870
「私はケイト・モスというより、キングコングみたいな女だ。誰も妻にしたり、一緒に子どもをつくったりしないタイプの女。常に自分自身でありすぎる女。そういう立場から私は話している」。 #MeToo運動をきっかけに再注目され、フランスで20万部のベストセラーとなったフェミニズムの名著がついに邦訳。 人気女性作家が17歳の時に経験したレイプ被害と、その後の個人売春の経験をもとに、性暴力、セックスワーク、ポルノグラフィについての独自の理論を展開するフェミニズム・エッセイ。自分自身を、男性でも女性でもないカオスな存在としての「キングコング」にかさね、ジェンダー規範にとらわれない女性の在り方を、力強く、小気味いい文体で模索していく。 [出版社より] 著 者|ヴィルジニー・デパント 訳 者|相川千尋 出版社|柏書房 定 価|1,700円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|222 ISBN|9784760152483 初 版|2020年11月 Contents 第1章__ バッド・ガールズ 「私はブスの側から書いている。ブスのために、ババアのために、男みたいな女のために、不感症の女、欲求不満の女、セックスの対象にならない女、ヒステリーの女、バカな女、「いい女」市場から排除されたすべての女たちのために。」(本書10頁) 第2章__ やるか、やられるか 「全能の国家は、私たちのためだといって、私たちを幼稚化し、ありとあらゆる意思決定に干渉する。そして私たちを守るという名目で、私たちを無知な子供の状態、制裁や排除を恐れる状態にとどめようとする。女を孤立させ、受け身にさせ、消極的にさせるすぐれた道具である〈恥〉を利用して。」(37頁) 第3章__ 堕落しきった女をレイプすることはできない 「あの夜、私は私の性別におしつけられている規範から外に出て、やつらの喉をひとりずつ掻き切ってやりたかった。女だから、暴力は女のやることじゃないから、男の体が無傷であることは女の体がそうであることよりも重要だからという理由で抵抗しない人間として生きるよりも。」(61頁) 第4章__ 敵と寝る 「女が合意し、きちんとした報酬が支払われる場合、男の性欲それ自体は女に対する暴力にならない。暴力的なのは私たちに対しておこなわれる管理の方だ。つまり、私たちのかわりに私たちにとって、なにがふさわしく、なにがそうでないのかを決める権力の方である。」(115頁) 第5章__ ポルノは暴く 「私の性欲は複雑だ。性欲が私に教えてくれることは、必ずしも私の気に入るわけでなく、私がそうありたいと願うあり方と常に一致するわけでもない。それでも私は、私の性欲について知りたい。安全な社会的イメージを保つために目を背け、自分について知っていることを否定するかわりに。」(125頁) 第6章__ キングコング・ガール 「キングコングはオスともメスともつかない、人間と子ども、善と悪、原始と文明、白と黒のあわいの存在を体現している。男女の性別二分法が義務づけられる前のハイブリッド。映画の[髑髏]島は多様な、きわめて強力なセクシュアリティの可能性を示している。」(152頁) 第7章__ 女の子たち、さようなら。よい旅を 「フェミニズムは女性、男性、それ以外の人々がみんなでする冒険だ。現在進行形の革命。世界の見方、選択。女性のちっぽけな特権を男性のちっぽけな既得権と対立させるものではなく、それらすべてを捨て去ることなのだ。」(198頁) Author ヴィルジニー・デパント Virginie Despentes 1969年、フランス・ナンシー生まれ。現代フランスを代表する女性作家。小説、エッセイの執筆や映画製作、翻訳、歌手活動など多方面で活躍する。パンクロックのライブに通い10代を過ごす。15歳の時に精神病院に入院。1994年に『バカなヤツらは皆殺し』(原書房 刊)で作家デビュー。本書『キングコング・セオリー』でラムダ文学賞(LGBTを扱った優れた文学作品に与えられる賞)、『ヴェルノン・クロニクル』(早川書房)でアナイス・ニン賞など、これまでに10あまりの文学賞を受賞。俗語を多用した口語に近い文体で、社会から排除された人々や、現代に生きる女性たちの姿を描く。シャルリー・エブド襲撃事件や性的暴行で有罪となったロマン・ポランスキーのセザール賞受賞、BLM運動にいち早く反応し、メディアに寄稿文を投稿するなど、現実社会に向けて常に発信を続ける作家でもある。35歳の時に女性に恋をしたことをきっかけに、レズビアンになったことを公表している。 Translator 相川千尋 Chihiro Aikawa 1982年生まれ。フランス語翻訳者。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科修了。主な訳書にリーヴ・ストロームヴィスト『禁断の果実 女性の身体と性のタブー』、リリ・ソン『私のおっぱい戦争 29歳フランス女子の乳がん日記』(ともに花伝社)。フェミニズム入門ブック『シモーヌ』やエトセトラブックスのウェブマガジンなどに翻訳やコラムを寄稿している。
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フェミニスト・シティ
¥2,200
男性基準で計画された都市で、女性たちはどう生きのびてきたか——。 なぜ、ベビーカーは交通機関に乗せづらいのか? 暗い夜道を避け、遠回りして家に帰らなければならないのはどうしてか? 女性が当たり前に感じてきたこれらの困難は、じつは男性中心の都市計画のせいかもしれません。 これからの都市は、男だけでなくあらゆるジェンダーに向けて作られなければならない。 近代都市は男性による男性のための計画によって形作られてきた。多くの公共スペースは女性のために設計されておらず、母親、労働者、介護者として生活する女性たちに不自由を強いてきた。ヨーロッパでは街を歩くだけで売春婦と思われた時代があり、現代においても危険な夜道は解決されない問題として残っている。フェミニズムを建築的に展開させた本書が、世界を作り出す新しい力(パワー)になるだろう。 [出版社より] 著 者|レスリー・カーン 訳 者|東辻賢治郎 出版社|晶文社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|282 ISBN|978-4-7949-7329-0 初 版|2022年09月 Contents イントロダクション:男の街 女は厄介者 都市について書いているのは誰か? 自由と恐怖 フェミニズム地理学について 一章:母の街 フラヌーズ パブリックなからだ 女性の場所 都市という難所 母親業のジェントリフィケーション 性差別のない街とは 二章:友達の街 友情に生きる ガールズ・タウン 友情と自由 クィア女性の空間 死ぬまで友達 三章:ひとりの街 パーソナルスペース おひとりさま ひとりでいる権利 公共空間の女 尾籠な話 女が場をもつこと 四章:街で声を上げること 都市への権利 安全をDIYする アクティヴィズムにおけるジェンダー アクティヴィストの旅 行動が教えてくれるもの 五章:恐怖の街 恐怖心の正体 危険の地理 恐怖のコスト 押し戻す方法 女の大胆さ 交差性と暴力 あとがき:可能性の街 Author レスリー・カーン Leslie Kern マウント・アリソン大学地理・環境学准教授。女性・ジェンダー研究ディレクター。専門は、ジェンダー、ジェントリフィケーション、フェミニズム。著書に『Sex and the Revitalized City: Gender, Condominium Development, and Urban Citizenship』(2010)がある。 Translator 東辻 賢治郎 Kenjiro Totsuji 1978年生まれ。翻訳家、建築・都市史研究。関心領域は西欧初期近代の技術史と建築史、および地図。訳書にレベッカ・ソルニット『迷うことについて』『私のいない部屋』などがある。
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「女の痛み」はなぜ無視されるのか?
¥2,200
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臨床試験で女性が排除される、コロナ禍でマイノリティの人々が受ける影響。 アメリカで中絶の権利が争点になる理由は。 著者がアメリカで出産したとき、彼女は死にかけた。痛み止めが効いていないと訴えても無視された。痛みを証明するために手術台まで歩くように言われた。彼女はこの医療トラウマ体験をきっかけに、女性の痛み、特に有色人種の訴えがまともに受け止められない事実を、あらゆるデータ・記事・証言をもとに執筆した。さらにコロナ禍で女性、マイノリティの人々が受けた甚大な影響も考察する。 初期設定が男性になっている現状は、医療ケアにおいても例外ではない。「女の痛み」が軽視されている事実と、医療ケアにおける性差別・人種差別に切り込むノンフィクション。 [出版社より] 著 者|アヌシェイ・フセイン 訳 者|堀越英美 出版社|晶文社 定 価|2,000円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|282 ISBN|978-4-7949-7334-4 初 版|2022年10月 Contents 日本の読者へ 本書に寄せて——ジェシカ・ヴァレンティ はじめに 第1章 私が出会った最初のフェミニスト 第2章 バングラデシュ女子、キャピトル・ヒルに立つ——アメリカでの中絶の権利をめぐる混沌 第3章 気のせいにされる有色人種の女性の痛み 第4章 見えない症状 第5章 知られざる女性の身体 第6章 コロナ禍で妊娠するということ 第7章 代替手段の模索 第8章 自分の体の声の一番の代弁者になるには 第9章 自分の声を届ける おわりに 謝辞 訳者あとがき 出典 Author アヌシェイ・フセイン Anushay Hossain 著述家、女性の健康関連の法律に重点的に取り組むフェミニスト政策アナリスト。CNN、MSNBC、PBSにレギュラー出演し、Forbes、CNN.com、Daily Beast、Mediumに政治・ジェンダー・人種に関する寄稿を行う。また、ポッドキャスト「Spilling Chai」のホストも務める。本書が初の著書となる。 Translator 堀越 英美 Hidemi Horikoshi 1973年生まれ。文筆家。早稲田大学第一文学部卒。著書に『エモい古語辞典』(朝日出版社)、『女の子は本当にピンクが好きなのか』(河出文庫)、『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)、『スゴ母列伝』(大和書房)など、訳書に『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』(河出書房新社)、『だからわたしはここにいる』(フィルムアート社)、『ギタンジャリ・ラオ STEMで未来は変えられる』(くもん出版)、 『ガール・コード』(Pヴァイン) など。
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戦争日記——鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々
¥1,595
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侵攻前夜から始まる地下室での避難生活、ハリコフ(ハルキウ)からリヴォフ(リヴィウ)、ポーランドを経てブルガリアへ逃れる過程を絵と文章で綴った、鉛筆で描かれた ドキュメンタリー。 [出版社より] 著 者|オリガ・グレベンニク 監 修|奈倉有里 訳 者|渡辺麻土香/チョン・ソウン 出版社|河出書房新社 定 価|1,450円+税 判 型|四六変型判/仮フランス装 頁 数|136 ISBN|978-4-309-20863-3 初 版|2022年09月 Author オリガ・グレベンニク 1986年ウクライナのハリコフ(ハルキウ)生まれ。絵本作家。9歳の息子と4歳の娘の母。『ママ、怒らないで』などの絵本を出版。挿絵を描いたすべての本はベストセラーとなり、イラスト作品も世界各国で人気。 監修 奈倉 有里 Yuri Nagura 82年東京生まれ。ロシア国立ゴーリキー文学大学卒業、東京大学大学院博士課程満期退学。著書に『夕暮れに夜明けの歌を』『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』、訳書に『手紙』『陽気なお葬式』など。 Translator 渡辺 麻土香 Madoka Watanabe 東京女子大学現代文化学部卒業。書籍やウェブ小説、テレビ番組の字幕など幅広いジャンルの翻訳に携わる。訳書に『アンコンタクト非接触の経済学』『マンガで学ぶ恐竜の生態』『韓国の「街の本屋」の生存探究』など。 チョン・ソウン ロシア文化の専門家でおもに執筆や通訳・翻訳を行っている。
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シモーヌ VOL.1 シモーヌ・ド・ボーヴォワール
¥1,430
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「女である」とは、どういうこと? 想像しよう。 姉たちが「女である」ことをどう受けとめ、その扱われかたにどう抗ってきたか。 考えよう。どんな性であっても、どんな立場であっても、どんな世代であっても、そこに弱者がつくられないように何ができるか。 語ろう。 美味しいごはん、ファッション、アイドル、恋……、私たちのこれからのこと。 雑誌感覚で読めるフェミニズム入門ブック。若者に芽吹いた意識とフェミニズムをつなぐ新媒体の登場! [編集部より] 出版社|現代書館 定 価|1,300円+税 判 型|A5判・並製 頁 数|132 ISBN|978-4-7684-9101-0 初 版|2019年11月 Contents <巻頭グラビア連載>インベカヲリ★ Renaitre――女は生まれなおしている No1 石川優実 <特集>シモーヌ・ド・ボーヴォワール「女であること」:70年後の《第二の性》 木村信子 シモーヌ・ド・ボーヴォワール『第二の性』 棚沢直子 『第二の性』から七〇年後、日本から問う新たな女性思想 佐野泰之 哲学的問題を生きるということボーヴォワールの小説作品の魅力 中村彩 「育ちの良い娘」はどうやって知識人になったのかボーヴォワール『娘時代』と女性解放 藤高和輝(「なる」ものとしてのジェンダー ボーヴォワール・ストーリー はじめてのボーヴォワール <エッセイ・コラム寄稿> 斎藤美奈子 「冬の時代」に関するちょっとしたお話 北村紗衣 シモーヌのBB、スタイネムのマリリン――フェミニストが愛したセックスシンボルたち 鈴木みのり 好きなリップを塗る自由――ハロプロの新しい魅力を模索するアイドルたち 福田和香子 乾いた喉、土砂降りの夜。 上間常正 ファッションとジェンダー、フェミニズム 坂井セシル 日仏間の女性の眼差し 山下恒男 「かわいい」と「怖い」 小林美香 身体の見方を学ぶために 玖保樹鈴 裸のかかとを踏み鳴らし、彼女は今日も声をあげる――女優・石川優実のこと なとせ #0727 #その後 想田和弘 夫婦別姓訴訟の原告になる 新行内美和 魔女たちのスープ 小野春 マンガ・女同士で子育てしたら 和田靜香 「第1回わんぱく相撲女子全国大会」を観に行く <連載> ふみがわのフェミ短歌塾 二三川練 パリのシモーヌたち Les Simones a Paris アトランさやか シモーヌ シネマレビュー 中野理惠 シモーヌ ブックレビュー 書店からはじまるフェミニズム 西荻窪・今野書店/水越麻由子 ずるこのおんな食べ物帖 江戸川ずるこ 未来のシモーヌ Les Simones du futur 岩瀬日大高校3年・相野谷叶乃さん