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まっくら——女坑夫からの聞き書き
¥880
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筑豊の地の底から石炭を運び出す女性たち。その逞しい生き様を記録した森崎和江のデビュー作。解説=水溜真由美。 「女も男と同じごと仕事しよったですばい」「どんなことにでも堂々とむかってやる、こい」。 筑豊の炭鉱で働いた女性たちの声を聞き取り、その生き様を記録した一九六一年のデビュー作。意志と誇りを失わず、真っ暗な地の底で過酷な採炭労働に従事した彼女たちの逞しさが、生き生きと描かれている。 [出版社より] 著 者|森崎和江 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|800円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|330 ISBN|9784003122617 発 行|2021年10月 Contents はじめに 無音の洞 流浪する母系 棄郷 灯をもつ亡霊 のしかかる娘たち セナの神さま ヤマばばあ 赤不浄 共有 地表へ追われる 坑底の乳 あとがき [付録] 聞き書きの記憶の中を流れるもの 解説……………水溜真由美 図版一覧
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バルセロナで豆腐屋になった——定年後の「一身二生」奮闘記
¥1,056
異国での苦労、カミさんとの二人三脚の日々──定年後の新たな挑戦をめざす全ての人へ、元朝日新聞記者が贈る小気味よいエッセイ。 元朝日新聞の記者が定年後、バルセロナで豆腐店を開業した。修業の日々、異国での苦労、新しい出会いと交流、ヨーロッパから見た日本の姿──ジャーナリストならではの洞察力で、「蛮勇」のカミさんと二人三脚の日々を綴った小気味よいエッセイ。一身にして二生を経る──人生後半の新たな挑戦をめざす全てのひとに贈ります。 [出版社より] 著 者|清水建宇 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|960円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|254 ISBN|9784004320517 発 行|2025年01月 Contents はじめに 第1章 一身にして二生を経る 第2章 「失敗したって、たいしたこたぁないよ」 第3章 不況のどん底こそ起業のチャンス 第4章 崖っぷちに舞い降りた天使たち 第5章 うれしい誤算、うれしくない誤算 第6章 我が家はバルセロナ市の文化財 第7章 忙人不老 第8章 異国の文化は「新しい、良い」 第9章 日本食ブームは、より広く、より深く 第10章 「どちらから来られました?」「北極から」 第11章 南仏プロヴァンスと比べたら 第12章 コロナ禍、お客は半径五〇〇メートルの住民だけ 第13章 欧州はプラスチックを規制し、検査ビジネスを育てる 第14章 事業の継承は険しい山道を登るが如し 第15章 カミさんと私 おわりに Author 清水建宇 Tateo Shimizu 1947年生まれ. 神戸大学経営学部卒.1971年,朝日新聞社入社.東京社会部で警視庁,宮内庁などを担当.出版局へ異動し,『週刊朝日』副編集長,『論座』編集長.2000年1月から2003年3月までテレビ朝日「ニュースステーション」でコメンテーター.2007年,論説委員を最後に定年退職.この間,『大学ランキング』創刊の1995年版から2008年版まで13冊の編集長を務めた. これまでたずさわった本に『ふぐ』『世界名画の旅 1〜3』(いずれも朝日新聞社),『就職お悩み相談室』(森永卓郎氏との共著,講談社)などがある.
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ブラック・カルチャー 大西洋を旅する声と音
¥1,056
奴隷とされた人々は、いかにして新大陸で声と音の伝統を再創造していったのか。ブラック・カルチャーの歴史と現在を旅する。 約400年にわたり、大西洋を航海した奴隷船。「裸の移住者」としてアメリカ大陸に連行された人々は、いかにしてアフリカの声と音の伝統を再創造し、次世代へと繋いでいったのか。アフリカへの帰還という主題から、音楽、文学、アートなどを横断的に捉え、その歴史と現在を旅する。世界にひろがるブラック・カルチャーへの招待。 [出版社より] 著 者|中村隆之 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|960円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|254 ISBN|9784004320616 発 行|2025年04月 Contents はじめに ブラック・カルチャーをめぐる旅へ 第一章 アフリカの口頭伝承 教室のなかのアフリカ 口承の伝統 口頭伝承のなかの音文化 マンデ系社会のグリオ 語り継がれる叙事詩 第二章 奴隷船の経験 奴隷貿易を想像する 奴隷制と西アフリカ 西欧人を取引相手とした奴隷売買 『ルーツ』にみる大西洋奴隷貿易 奴隷船上での歌と反乱 女性たちの抵抗、死者たちの声 第三章 アメリカスに渡ったアフリカの声と音 奴隷制社会をめぐる資料 聞き書きという方法 裸の移住者 ネオ・アフリカ文化 アフリカ由来の精神文化 ヴードゥーの儀式 文化維持という抵抗 ドラミングと太鼓 第四章 自由を希求する共同体の歌 合衆国の奴隷制時代の歌 アメリカスに息づくアフリカの声 スピリチュアルと呼ばれる歌 「ブラック」という共同体意識 哀しみの歌 黒人神学におけるスピリチュアルの意義 世俗的スピリチュアルとしてのブルース 第五章 合衆国のブラック・ミュージック 変わりゆく同じもの ジャズの始まり アームストロングの声 ジャズにおける創意と即興 混交するジャンル ソウル・オブ・ア・ネーション カバーによる伝統の構築 第六章 アメリカスからアフリカへ アメリカスのブラック・ミュージック アフロ・ブラジル音楽の展開 アフロ・カリブ音楽の多様性 アフリカへの帰還 同じリズム、いくつもの歴史 ブラック・カルチャーをめぐる次の旅へ 第七章 文字のなかの声 文字世界への参入 「トーキング・ブック」としての奴隷体験記 声の作家ハーストン 集団としての黒人の声の表現 クレオール語の口承性 声の歴史 第八章 奴隷貿易・奴隷制の記憶の光と影 記憶の場所 ユネスコの取り組み 「奴隷の道」プロジェクト 構築される記憶 文学のなかで語られる闇の記憶 奴隷貿易の闇 第九章 ブラック・ミュージックの魂 ブラック・パワーの潜在力 ナショナリズムを越えて ブラック・アーツ運動 ブラック・ジャズ共同体 ブラック・スピリチュアル ラップのスピリチュアリティ 第一〇章 ブラック・スタディーズとは何か 知の枠組みのラディカルな変革 アフリカ中心主義 ブラック・エクスペリエンス主義 ブラック・フェミニズム、ブラック・クィア・スタディーズ 『ブラックパンサー』とアフロフューチャリズム アフロフューチャリスト アフロペシミズム理論 ブラック・スタディーズの再規定 第一一章 ブラック・カルチャーは誰のものか 知の脱植民地化 収集と分類 脱植民地化と返還 ミュージアムの脱植民地化 文化の盗用とは何か ブラックをめぐる呼称 文化は混交する 第一二章 未来に向けて再構築されるルーツ 〈関係〉の思想 環大西洋的連帯 存在論的傷 記憶の継承と発掘 クレオール化のダイナミズム ルーツの再構築 〈全−世界〉のヴィジョン 主要参考文献 あとがき 〈関係〉のなかの私的物語 Author 中村 隆之 Takayuki Nakamura 1975年東京都生まれ.2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了.博士(学術).早稲田大学法学学術院教授.専攻―フランス語圏文学,環大西洋文化研究. 著書―『カリブ世界論』(人文書院,2013),『エドゥアール・グリッサン』(岩波書店,2016),『野蛮の言説』(春陽堂書店,2020),『魂の形式 コレット・マニー論』(カンパニー社,2021),『第二世界のカルトグラフィ』(共和国,2022),『環大西洋政治詩学』(人文書院,2022)ほか. 訳書―『痕跡』(水声社,2016),『マニフェスト 政治の詩学』(以文社,2024)ほか. 編訳書―『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社,2019). 共訳書―『アフリカ文学講義』(みすず書房,2022),『黒人法典』(明石書店,2024),『カリブ海序説』(インスクリプト,2024)ほか.
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非暴力主義の誕生——武器を捨てた宗教改革
¥1,034
宗教改革の渦中に生まれ、迫害されながらも非暴力を貫くある少数派の信仰は私たちに何をもたらしたか。愛敵と赦しの五〇〇年史。 一五二五年、宗教改革の渦中、幼児洗礼を拒むキリスト教の一派が誕生した。異端として迫害されながらも聖書の教えを守り、非暴力を貫いた彼らの信仰は、戦争の止まない現代に生きる私たちに何を語りかけるのか。メノナイト、アーミッシュ、良心的兵役拒否、被爆者の日米交流まで、五〇〇年にわたる愛敵と赦しの軌跡を辿る。 [出版社より] 著 者|踊共二 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|940円+税 判 型|新書判/並製 頁 数|238 ISBN|9784004320494 発 行|2025年01月 Contents はじめに――再洗礼派というマイノリティ 第1章 複数の宗教改革 1 中世までのキリスト教 2 ルターとドイツ宗教改革 3 ツヴィングリとスイス宗教改革 4 再洗礼派の誕生 第2章 迫害と離散――ヨーロッパの片隅で 1 二一世紀のウクライナ 2 迫害・殉教・ノンレジスタンス 3 ザトラーの殉教 4 愛敵と赦しの精神 5 兵士の改宗と亡命 第3章 追跡する国家 1 ベルンの再洗礼派狩り 2 アルザス移民とアーミッシュの誕生 3 クライヒガウの定住地 4 集団追放の試練 第4章 新天地アメリカ 1 ドイツ人のメイフラワー 2 アーミッシュの定住 3 ノースキルの悲劇 4 アメリカ独立戦争 第5章 近代国家と徴兵制 1 「先進国」フランス 2 軍国化するドイツ 3 スイスとオランダの変化 4 南北戦争によるアメリカの分断 第6章 両大戦の試練 1 ドイツ・メノナイトとナショナリズム 2 ロシア・メノナイトの苦難 3 アメリカの代替役務制度 第7章 核の時代の非暴力主義 1 ある被爆者の訪米とメノナイト宣教師の来日 2 国際化する人道支援事業 3 良心的兵役拒否の合法化 4 ノンレジスタンスの代償 5 ガザに平和を 終 章 ノンレジスタンスの限界と可能性 1 イエスは抵抗を教えたか 2 古今東西の平和思想・戦争論 3 ノンレジスタンスの限界と可能性 あとがき 図版出典 参考文献 Author 踊 共二 Tomoji Odori 1960年福岡県生まれ. 1983年早稲田大学第一文学部卒業,1991年同大学大学院文学研究科博士課程を満期退学,2002年同大学博士(文学)学位を取得.武蔵大学リベラルアーツ&サイエンス教育センター教授. 専攻─スイス史,中近世ヨーロッパ史. 著書─『改宗と亡命の社会史──近世スイスにおける国家・共同体・個人』(創文社,2003年,『図説 スイスの歴史』(河出書房新社,2011年). 共著─『忘れられたマイノリティ──迫害と共生のヨーロッパ史』(山川出版社,2016年). 編著─『記憶と忘却のドイツ宗教改革──語りなおす歴史 1517ー2017』(ミネルヴァ書房,2017年), 『アルプス文化史──越境・交流・生成』(昭和堂,2015年). 監修─『一冊でわかるスイス史』(河出書房新社,2024年).
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編むことは力
¥2,970
編み物は、フェミニズムや社会運動を支えるツールでもあった。フランス革命時のトリコテウス、アメリカ革命時のスピニング・ビーズ、大戦時のニッティング・スパイ、トランプ政権時のプッシーハット・プロジェクト……。個人と政治、愛と経済を結びつけ、社会を幾度となく編み直してきたパワーの歴史をたどるエッセイ。 [出版社より] 著 者|ロレッタ・ナポリオーニ 訳 者|佐久間裕美子 出版社|岩波書店 定 価|2,700円+税 判 型|四六判/上製 頁 数|206 ISBN|9784000616751 発 行|2024年12月 Contents 著者の言葉 イントロダクション 愛、政治と経済を編む 1 なぜ編み物をするのか 2 糸の檻を開ける 3 革命のために編む 4 フェミニズムと糸の愛憎関係 5 ウール・イズ・クール 6 編み物のネットワークの魔法 7 神経科学時代の編み物 8 ともに編もう──社会を編み直す エピローグ 必要なのは愛だけ 謝 辞 訳者あとがき 佐久間裕美子 パターン 西村知子 訳 注 参考文献 Author ロレッタ・ナポリオーニ Loretta Napoleoni 幼い頃イタリアで祖母から編み物を学ぶ.エコノミスト,コンサルタント,コメンテーター.フルブライト奨学生としてジョンズ・ホプキンス大学ポール・H・ニッツェ高等国際問題研究大学院,ロータリー奨学生としてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学.国際関係と経済学の修士号,経済学の博士号を取得.国際金融,テロリズム,9.11以降の社会変動,ヨーロッパや中国,北朝鮮経済に関し執筆.邦訳書に『人質の経済学』(文藝春秋)『「イスラム国」はよみがえる』(文春文庫)など. Translator 佐久間 裕美子 Yumiko Sakuma ライター,アクティビスト.慶應義塾大学卒業,イェール大学大学院修士課程修了.ニューヨーク在住.カルチャー,ファッション,政治,社会問題などに関し執筆.著書に『Weの市民革命』(朝日出版社)『みんなで世界を変える! 小さな革命のすすめ』(偕成社)など.訳書に『テロリストの息子』(朝日出版社).Sakumag Collectiveを通じて勉強会や情報発信などの活動を行っている.
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調査する人生
¥2,530
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長い年月をかけて対象となる社会に深く入り込み、そこで暮らす人びとの人生や生活を描くフィールドワーカーたちは、自分たちの人生もまた調査に費やしている。生活史調査で知られる著者が、打越正行、齋藤直子、丸山里美、石岡丈昇、上間陽子、朴沙羅の卓越した6人のフィールドワーカーたちと「調査する人生」を語り合う。 [出版社より] 著 者|岸政彦 出版社|岩波書店 定 価|2,300円+税 判 型|四六版/並製 頁 数|308 ISBN|9784000616720 発 行|2024年11月 Contents 序 第1回 打越正行×岸 政彦 相手の一〇年を聞くために、自分の一〇年を投じる 暴走族の中でパシリをはじめる 「大学生のくせによく頑張ってるじゃないか」 「地元」はどうやら優しい共同体ではない ネットワーク全体の中に埋め込まれて関係性や作業が進んでいく 地元の実践感覚を数年かけて身に付けていく パシリを引き継ぐ後輩が入ってこない 製造業は「書かれた言語」、建設業は「話し言葉」のコミュニケーションが中心 リスクを最小限にしてうまく生き残り続ける能力 暴走族が一〇年間で激減 ストレートな地元愛を聞くことはほとんどない 敬意を持つ相手は、妻や彼女を殴る男でもある 調査の初日にパクられる いつまでたっても自分はよそもの 関わり続けたら完全に中立的ではいられない 本は燃えてもフィールドノートは燃えなかった 沈黙に耐えきれずカラオケで曲を入れてしまう 「別世界のビックリ話」で終わらせないためにどう書くか 暴力の問題を自分の問題として書く 調査対象でもフィールドワークでもなく、人生である 第2回 齋藤直子×岸 政彦 生活そのものを聞き取り続けて見えてくること 社会学との出会い 複数の「しんどさ」がつながったとき 生活史の第一人者たちから学ぶ 部落問題の調査でなにを聞くのか 生い立ちを肯定するための「自分史」運動 テーマだけを聞くのはもったいない 「何をされたか?」ではなく「どう思ったか?」 からの広がり 質的調査も量が大事 詳しくなるのはストーリーやインタビューの技術ではない 当事者と当事者でないところの接点 「社会問題が実在する」とは 差別する側のパターン化 部落問題と結婚・家制度 「結婚には反対だが差別ではない」の疑わしさ 差別する側の非合理的で過剰な拒否感 やればやるほど離れられなくなる 第3回 丸山里美×岸 政彦 簡単に理解できない、矛盾した語りを掘り下げたい ホームレス研究から排除された女性 調査をお願いする勇気 畳の上で寝ることよりも大事なこと 「改善」より先に「理解」したい 人は矛盾を抱えて生きている これまでの研究は「男性ホームレス研究」だった 問いの前の問い 社会学者が「責任解除」をすること 語りを理由に還元しない 語りの矛盾や飛躍こそもう一度聞く 理論がないと何十人聞いてもわからない 一つの行為に一つの理由、ではない 第4回 石岡丈昇×岸 政彦 生きていくことを正面に据えると、なかなか威勢よく言えない 「咬ませ犬」ボクサーに話を聞く フィリピン、マニラのボクシングジムへ なぜボクサーになるのか? 泣き真似、豪雨、ヘビ 立ち退きは「宿命」か 威勢よく言えることを可能にする条件 まだまだわかる部分があるはず 第5回 上間陽子×岸 政彦 調査する人生と支援する人生 沖縄の女性たちの調査をはじめる インタビューって面白いな、と思った 「沖縄は絶対にやらない」と決心した院生時代 「強いコギャル」の話を書きたかったはずなのに 「話がまとまるまでいなきゃ」って思う 支援に振り切りシェルター開設 私がやっているのは、それぞれを特別扱いすること 加害者の語りをどう書けるのか 調査相手との距離・関わり方 しつこさが大事 第6回 朴 沙羅×岸 政彦 人生を書くことはできるのか 親族の生活史を聞く テーマや問いを設定して……あれ、設定できなくない? インタビューはコントロールできない その場で言語化された言葉の解釈 一時間、二時間の人生、九〇年の人生 「酒がうまい」論文 「わかる」ことと「共感する」こと 「中の人」の体験の面白さ 歴史的事実と個人の語り 「歴史的な出来事」の拡張 ジャーナリズム、カウンセリング、社会学 相手が泣いてしまう経験 著者紹介 Author 岸 政彦 Masahiko Kishi 一九六七年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。社会学。専門は沖縄社会研究、生活史、社会調査方法論。主な著作に『同化と他者化――戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版、二〇一三年)、『街の人生』(勁草書房、二〇一四年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、二〇一五年、紀伊國屋じんぶん大賞二〇一六受賞)、『質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学』(石岡丈昇・丸山里美と共著、有斐閣ストゥディア、二〇一六年)、『はじめての沖縄』(新曜社、二〇一八年)、『マンゴーと手榴弾――生活史の理論』(勁草書房、二〇一八年)、『社会学はどこから来てどこへ行くのか』(北田暁大・筒井淳也・稲葉振一郎と共著、有斐閣、二〇一八年)、『100分de名著ブルデュー「ディスタンクシオン」』(NHK出版、二〇二〇年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(打越正行・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、二〇二〇年)、『生活史論集』(編著、ナカニシヤ出版、二〇二二年)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、二〇二一年、紀伊國屋じんぶん大賞二〇二二受賞)、『沖縄の生活史』(石原昌家と共同監修、沖縄タイムス社編、二〇二三年、みすず書房)、『大阪の生活史』(編著、筑摩書房、二〇二三年)など。「岩波講座社会学」編集委員。 戦後沖縄の本土就職とUターンにおけるアイデンティティの歴史的構築、沖縄的共同性と階層格差という二つの大きな調査プロジェクトを終えて、現在は沖縄戦の生活史調査をおこなっている。あわせて『街の人生』『東京の生活史』などのスタイルで「生活史モノグラフ」を書いている。 打越 正行 Masayuki Uchikoshi 一九七九年生まれ。和光大学現代人間学部講師。社会学。専門は沖縄、参与観察法。主な著書に『ヤンキーと地元――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』(筑摩書房、二〇一九年(ちくま文庫、二〇二四年)、第六回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞受賞)、『最強の社会調査入門――これから質的調査をはじめる人のために』(前田拓也ほか編、ナカニシヤ出版、二〇一六年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸 政彦・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、二〇二〇年)、『〈生活―文脈〉理解のすすめ――他者と生きる日常生活に向けて』(宮内洋・松宮朝・新藤慶と共著、北大路書房、二〇二四年)など。 沖縄を中心に暴走族・ヤンキーの若者を対象とした、参与観察調査をおこなっている。 齋藤 直子 Naoko Saito 一九七三年生まれ。大阪教育大学総合教育系特任准教授。社会学。専門は部落問題研究、家族社会学。主な著書に『結婚差別の社会学』(勁草書房、二〇一七年)、『入門家族社会学』(共著、新泉社、二〇一七年)、Educaciones y Racismos, Reflexiones y casos(共著、el Centro Universitario del Norte en Universidad de Guadalajara y Universidad Pedagógica Nacional, 2021)、『恋愛社会学――多様化する親密な関係に接近する』(共著、ナカニシヤ出版、二〇二四年)など、論文に「交差性をときほぐす――部落差別と女性差別の交差とその変容過程」(『ソシオロジ』第六六巻一号、社会学研究会、二〇二一年)など。 被差別部落出身者への結婚差別問題、部落女性をめぐる交差性、被差別部落へ/からの転入/転出、部落問題と「家」の関係性などについて研究している。 丸山 里美 Satomi Maruyama 一九七六年生まれ。京都大学大学院文学研究科准教授。社会学。専門はホームレス、貧困、ジェンダー研究、福祉社会学。主な著書に『女性ホームレスとして生きる――貧困と排除の社会学』(世界思想社、二〇一三年(増補新装版二〇二一年))、『質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学』(岸 政彦・石岡丈昇と共著、有斐閣ストゥディア、二〇一六年)、『貧困問題の新地平――〈もやい〉の相談活動の軌跡』(編著、旬報社、二〇一八年)、Living on the Streets in Japan: Homeless Women Break their Silence(Trans Pacific Press, 2018)、『女性たちで子を産み育てるということ――精子提供による家族づくり』(牟田和恵・岡野八代と共著、白澤社、二〇二一年)などがある。「岩波講座 社会学」編集委員。 大学院在籍時から、女性ホームレスを対象に、ジェンダー化された貧困の様相をとらえる研究をおこなってきた。最近は、世帯のなかに隠れた貧困や、貧困の概念や把握の仕方について、ジェンダーの視点から研究している。 石岡 丈昇 Tomonori Ishioka 一九七七年生まれ。日本大学文理学部教授。社会学。専門は身体文化論、都市エスノグラフィー研究。主な著書に『ローカルボクサーと貧困世界――マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、二〇一二年(増補新装版 二〇二四年)、第一二回日本社会学会奨励賞・著書の部受賞)、Southern Hemisphere Ethnographies of Space, Place, and Time(共著、R. Rinehart eds., Peter Lang, 2018)、『タイミングの社会学――ディテールを書くエスノグラフィー』(青土社、二〇二三年)、『エスノグラフィ入門』(ちくま新書、二〇二四年)など。 フィリピン・マニラの貧困世界を事例に、ボクシングジムやスクオッター地帯を調査しながら、貧困を生きる人びとの生活実践を記述している。現在は、身体と時間の関係を「タイミングの社会学」という切り口から、理論的に考察する仕事をおこなっている。 上間 陽子 Yoko Uema 一九七二年生まれ。琉球大学教育学研究科教授。教育学。主な著書に、『裸足で逃げる――沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版、二〇一七年)、『海をあげる』(筑摩書房、二〇二〇年、Yahoo!ニュース|本屋大賞2021ノンフィクション本大賞受賞、池田晶子記念わたくし、つまりNobody賞受賞、沖縄書店大賞受賞)、『沖縄子どもの貧困白書』(加藤彰彦・鎌田佐多子・金城隆一・小田切忠人と共編、かもがわ出版、二〇一七年)、『誰も置き去りにしない社会へ――貧困・格差の現場から』(平松知子ほかと共著、新日本出版社、二〇一八年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸政彦・打越正行・上原健太郎と共著、ナカニシヤ出版、二〇二〇年)、『復帰50年沖縄子ども白書2022』(川武啓介・北上田源・島村聡・二宮千賀子・山野良一・横江崇と共編、かもがわ出版、二〇二二年)など。 学校から逸脱する少年・少女や沖縄の貧困などについて学校内・学校外から調査してきた。現在は若年女性の特定妊婦の出産・子育ての応援シェルター「おにわ」の代表として支援もおこなっている。 朴 沙羅 Sara Park 一九八四年生まれ。ヘルシンキ大学文学部講師。社会学。専門はナショナリズム研究、社会調査方法論。主な著作に『外国人をつくりだす――戦後日本における「密航」と入国管理制度の運用』(ナカニシヤ出版、二〇一七年)、『家の歴史を書く』(筑摩書房、二〇一八年(ちくま文庫、二〇二二年))、『ヘルシンキ 生活の練習』(筑摩書房、二〇二一年(ちくま文庫、二〇二四年))、『ヘルシンキ 生活の練習は続く』(筑摩書房、二〇二四年)、『記憶を語る、歴史を書く――オーラルヒストリーと社会調査』(有斐閣、二〇二三年)ほか、論文に “Colonialism and Sisterhood: Japanese Female Activists and the ‘Comfort Women’ Issue”(Critical Sociology, 2019)など。 戦後日本における出入国管理政策の歴史を調査しつつ、歴史認識とオーラルヒストリー収集プロジェクトとの関係も調査している。
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戦争は、
¥2,200
戦争は、何も知らない人たちの柔らかな夢に入りこむ。 戦争は、物語を語れたこともない。 ——気づかぬうちに進行する病気のように日常をずたずたにし、野心や憎しみを糧に貪欲に育つ戦争。自らも独裁政権に抗した、ポルトガルを代表する文学者の詩とその息子による絵で、戦争の残酷な本質を描く。今こそ読まれるべき、衝撃的な絵本。 [出版社より] 著 者|ジョゼ・ジョルジェ・レトリア [文]、アンドレ・レトリア[絵] 訳 者|木下眞穂 出版社|岩波書店 定 価|2,000円+税 判 型|A4変形判/上製 頁 数|64 ISBN|9784000616393 発 行|2024年04月 Author 文:ジョゼ・ジョルジェ・レトリア José Jorge Letria 詩人、作家、戯曲家、ジャーナリスト。1951年カスカイス生まれ。ユネスコ国際賞、カストロ児童文学賞など。児童向けの作品はEU「異文化間教育のための書籍と読書」リストに掲載されている。EU文学賞審査委員長(2012)、レジスタンス音楽家でもある。息子アンドレとの合作に『もしもぼくが本だったら』(宇野和美訳、アノニマ・スタジオ刊)などがある。 絵:アンドレ・レトリア André Letria 画家。ジョゼの息子。1973年リスボン生まれ。グルベンキアン賞、ブラティスラヴァ世界絵本原画展、ボローニャ国際絵本原画展でのイラストレーションやデジタル(アニメーション)賞など受賞多数。 Translator 木下 眞穂 Maho Kinoshita ポルトガル語翻訳家。上智大学ポルトガル語学科卒業。訳書にサラマーゴ『象の旅』(書肆侃侃房)、アグアルーザ『忘却についての一般論』(白水社)、タヴァレス『エルサレム』(河出書房新社)、絵本『どうぶつせんきょ』(ほるぷ出版)など。ペイショット『ガルヴェイアスの犬』(新潮社)で第5回日本翻訳大賞受賞(2019)。
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定本 批評メディア論——戦前期日本の論壇と文壇
¥1,738
「論壇」「文壇」とは何か。日本において「批評」はいかにして可能か。言論を支えてきたインフラやシステムの生成過程にさかのぼることから再起動しなければならない。膨大な資料博捜に裏づけられた圧倒的な文体で知の基本構造をえぐり出す。注目を集める批評家による著書が、全面的な改稿をへて「定本」として再生する。 [出版社より] 著 者|大澤聡 出版社|岩波書店[岩波現代文庫] 定 価|1,680円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|462 ISBN|9784006023553 発 行|2024年01月 Contents 序 章 編集批評論 1 商品としての言論 ギルドから市場へ 2 批評のマテリアリズム 課題設定 3 出版大衆化 円本・革命・スペクタクル 4 ジャーナリズム論の時代 総合雑誌史 5 時限性と非属領性 本書の構成 第1章 論壇時評論 1 論壇とはなにか 第一の課題設定 2 レジュメ的知性 総合雑誌の論壇時評 3 空間画定と再帰性 学芸欄の論壇時評 4 メディア論の予感 相互批評の交叉点 5 消滅と転生 自己準拠的なシステム 第2章 文芸時評論 1 問題消費の時代 第二の課題設定 2 アリュージョンと多重底 批評無用論争 3 後発者たちの憂鬱 自律した批評の誕生 4 複数化する宛先 文壇村という読者集団 5 職業としての批評 文芸批評のプロトコル 第3章 座談会論 1 ふたつの欲望 第三の課題設定 2 合評から討議へ 「新潮合評会」の変成 3 劇場化とロールプレイ 行動主義論争 4 擬態する親密圏 『文學界』の文壇政治 5 造語の氾濫 メディア=形式の一義化 第4章 人物批評論 1 人物による時代診断 第四の課題設定 2 横断性と大衆性 普通選挙時代の批評 3 固有名消費 有名性生成のメカニズム 4 複数の表象様式 記号的身体とキャラ化 5 有名、匿名、無名 現実的権威の発動 第5章 匿名批評論 1 スターシステム 第五の課題設定 2 精神か経済か フリーランサー論争 3 声と批評 輿論・社会化・カタルシス 4 責任の所在 学芸/文芸欄という例外圏 5 固有名化する匿名 名をめぐる四象限 終 章 批評環境論 1 速度 編集的批評/批評的編集 2 綜合 アカデミズムとジャーナリズム 3 再編 境界条件の壊乱と地殻変動 4 局外 いまはそれと名指されぬもの 5 集団 全体性はいかにして可能か 註 あとがき(単行本版) あとがき(岩波現代文庫版) 人名索引 Author 大澤 聡 Satoshi OSAWA 1978年生まれ.批評家.近畿大学文芸学部准教授.東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).専門はメディア史.主な著書に『教養主義のリハビリテーション』(筑摩書房),編著に,『1990年代論』(河出書房新社),『三木清教養論集』(講談社文芸文庫)など.本書『批評メディア論』(岩波書店)で第37回日本出版学会奨励賞,第6回内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞を受賞.
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空間〈機能から様相へ〉
¥1,672
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現代世界を支配してきた機能的な均質空間の支配に抗して,著者は新しい「場」の理論を構想する.工学的な知識はもとより,哲学,現象学,仏教学などの知見を駆使,長年にわたる集落調査の成果にも依拠して,著者は設計の現場から21世紀の建築は「様相」に向かうというテーゼを発信する.著名な建築家の手になる野心的な哲学的著作.1988年サントリー学芸賞〔芸術・文学〕. [出版社より] 著 者|原広司 出版社|岩波書店[岩波現代文庫] 定 価|1,520円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|334 ISBN|9784006001902 発 行|2007年12月 Contents 序 均質空間論 〈部分と全体の論理〉についてのブリコラージュ 境界論 機能から様相へ 〈非ず非ず〉と日本の空間的伝統 岩波現代文庫版のためのあとがき 参考文献 人名索引・事項索引 Author 原 広司 Hiroshi Hara 1936年神奈川県に生まれる.建築家.東京大学名誉教授.1970年代に世界の集落調査に従事.また80年代以降の創作活動の中軸にある「多層構造モデル」は国の内外で大きな反響を呼んだ.主な著書に『建築に何が可能か』(学芸書林),『集落への旅』(岩波新書),『集落の教え 100』(彰国社),編著に『住居集合論I・II』(鹿島出版会)がある.
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精神と自然
¥1,243
私たちこの世の生き物すべてを、片やアメーバへ、片や統合失調症患者へ結びつけるパターンとは? 日常の思考の前提を問い直し、二重記述、論理階型、散乱選択といった道具立てによって、発生も進化も学習も病理も包み込むマインドの科学を探究したベイトソン(1904-80)。そのエコロジカルな認識論の到達点を自ら語った入門書。 [出版社より] 著 者|グレゴリー・ベイトソン 訳 者|佐藤良明 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|1,130円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|446 ISBN|9784003860182 発 行|2022年01月 Contents Ⅰ ――イントロダクション Ⅱ ――誰もが学校で習うこと Ⅲ ――重なりとしての世界 Ⅳ ――精神過程を見分ける基準 Ⅴ ――重なりとしての関係性 Ⅵ ――大いなるストカスティック・プロセス Ⅶ ――類別からプロセスへ Ⅷ ――それで? 付記――時の関節が外れている 用語解説 訳者あとがき 索引
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政治的なものの概念
¥924
政治的なものの本質を「味方と敵の区別」に見出したカール・シュミット(1888-1985)の代表作。一九三二年版と三三年版を全訳し、各版での修正箇所を示すことで、初出論文である二七年版からの変化をたどれるように編集。さらに六三年版の序文や補遺等も収録した。行き届いた訳文と解説によって、「第三帝国の桂冠法学者」の知的軌跡が浮かび上がる。 [出版社より] 著 者|カール・シュミット 訳 者|権左武志 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|840円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|298 ISBN|9784003403020 発 行|2022年08月 Contents 政治的なものの概念(一九三二年版) 1 国家的と政治的/2 政治的なものの基準としての味方と敵の区別/3 敵対関係の現象形態としての戦争/4 政治的統一の形式としての国家、多元主義による疑問視/5 戦争と敵に関する決定/6 世界は政治的統一でなく、政治的多元体である/7 政治理論の人間学的前提/8 倫理と経済の両極による脱政治化/後記 政治的なものの概念(一九三三年版) 序/1 政治的なものの基準としての味方と敵の区別/2 敵対関係の現象形態としての戦争/3 続/4 政治的統一の形式としての国家、多元主義による疑問視/5 戦争と敵に関する決定/6 続/7 世界は政治的統一でなく、政治的多元体である/8 政治理論の人間学的前提/9 倫理と経済の両極による脱政治化/ 10続 政治的なものの概念(一九六三年版) 序文 補遺二「戦争概念と敵概念の関係」(一九三八年) 注記 訳者解説 文献一覧 あとがき 人名索引
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史的システムとしての資本主義
¥990
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資本主義をひとつの歴史的な社会システムとみなし、その成立・機能・問題点を鋭く描き出す。 壮大な〈世界システム論〉を唱えたウォーラーステイン(1930-2019)。資本主義をひとつの歴史的な社会システムとみなし、「中核/周辺」「ヘゲモニー」「帝国」「反システム運動」などの概念を用いて、その成立・機能・問題点を鋭く描き出す。現代世界を批判的に検討し、未来を展望するうえで示唆に富む一冊。 [出版社より] 著 者|イマニュエル・ウォーラーステイン 訳 者|川北稔 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|900円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|270 ISBN|9784003840016 発 行|2022年07月 Contents 日本の読者へ はじめに 史的システムとしての資本主義 Ⅰ 万物の商品化──資本の生産 Ⅱ 資本蓄積の政治学──利益獲得競争 Ⅲ 真理はアヘンである──合理主義と合理化 Ⅳ 結論──進歩と移行について 資本主義の文明 Ⅰ バランス・シート Ⅱ 将来の見通し 訳者あとがき 訳者解説
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動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある
¥1,760
動物における諸問題を扱った伝説的な講演を編集したデリダ晩年の到達点。聖書や西洋哲学の動物観を考察、脱構築する。 一糸まとわぬ自分の姿を猫に見つめられた哲学者は、正当化不可能な、そして告白不可能な恥に襲われる――何が恥ずかしいのか、誰の前で裸なのか、と。 本書は、動物についての諸問題を扱った伝説的なコロックにおける講演と、補論として即興で語られたハイデッガー論を収録。自らの体験を「自伝」的語りとして差し出し、聖書や神話を分析しつつ〈動物〉をめぐるこまやかな考察を展開する。デカルト、カント、レヴィナス、ラカン、ハイデッガーの動物観を検証し、動物をロゴスが欠落した存在とみなして排除してきた哲学伝統の脱構築に向かう思考の挑戦。 エッセイ=福山知佐子。 [出版社より] 著 者|ジャック・デリダ 編 者|マリ=ルイーズ・マレ 訳 者|鵜飼哲 出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫] 定 価|1,600円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|448 ISBN|978-4-480-51087-7 初 版|2023年11月 Contents 1 動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある(続く) 2 3 ではもし動物が応答したら? 4 Author ジャック・デリダ Jacques Derrda 1930-2004年。仏領アルジェリア生まれ。エコール・ノルマル・シュペリウール卒業。西洋形而上学のロゴス中心主義に対する脱構築を唱え、文学、芸術、言語学、政治哲学、歴史学など多くの分野に多大な影響を与えた。著書に『声と現象』『グラマトロジーについて』『エクリチュールと差異』『ヴェール』(シクスーとの共著)『獣と主権者Ⅰ・Ⅱ』ほか多数。 Translator 鵜飼 哲 Satoshi Ukai 1955年、東京都生まれ。京都大学大学院文学研究科修了後、パリ第8大学に留学し社会科学高等研究院のジャック・デリダのセミネールに通う。一橋大学名誉教授。著書に『いくつもの砂漠、いくつもの夜』ほか。デリダ、ジュネなどの翻訳も多く手掛ける。
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他者の単一言語使用
¥1,001
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ヨーロッパ近代の原理たる植民地主義。その暴力の核心にある言語の政治、母語の幻想と自己同一性の神話を瓦解させる脱構築の力。 「私は一つしか言語をもっていない、ところがそれは私のものではない」――植民地支配下のアルジェリアに生を受けた〈フランス-マグレブ-ユダヤ人〉の特異な自伝的回想が告げる言語的追放、本来性なき離散する〈私〉の経験。ヨーロッパ近代原理を脱構築するデリダ、その不可能なアイデンティティ・ポリティックス。 [出版社より] 著 者|ジャック・デリダ 訳 者|守中高明 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|910円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|216 ISBN|9784003860229 初 版|2024年08月 Contents Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ エピローグ 註 訳者解説 Author ジャック・デリダ Jacques Derrda 1930-2004 アルジェリア生まれ。フランスの哲学者、思想家。パリ高等師範学校教授を経て、1984年、社会科学高等研究院(フランス、パリ)教授に就任。主な著書に『グラマトロジーについて』『エクリチュールと差異』『弔鐘』などがある。 Translator 守中 高明 Takaaki Morinaka 1960年東京生まれ。早稲田大学法学学術院教授。詩人。著書に『浄土の哲学』『他力の哲学』『ジャック・デリダと精神分析』『脱構築』などが、翻訳にデリダ『コーラ』、ドゥルーズ&ガタリ『千のプラトー』(共訳)などがある。
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力と交換様式
¥3,850
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生産様式から交換様式への移行を告げた『世界史の構造』から一〇年余、交換様式から生まれる「力」を軸に、柄谷行人の全思想体系の集大成を示す。戦争と恐慌の危機を絶えず生み出す資本主義の構造と力が明らかに。呪力(A)、権力(B)、資本の力(C)が結合した資本=ネーション=国家を揚棄する「力」(D)を見据える。 [出版社より] 著 者|柄谷行人 出版社|岩波書店 定 価|3,500円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|428 ISBN|9784000615594 初 版|2022年10月 Contents 序論 1 上部構造の観念的な「力」 2 「力」に敗れたマルクス主義 3 交換様式から来る「力」 4 資本制経済の中の「精神」の活動 5 交換の「力」とフェティッシュ(物神) 6 交換の起源 7 フェティシズムと偶像崇拝 8 エンゲルスの『ドイツ農民戦争』と社会主義の科学 9 交換と「交通」 第一部 交換から来る「力」 予備的考察 力とは何か 1 見知らぬ者同士の交換 2 自然の遠隔的な「力」 3 「見えざる手」と進化論 4 貨幣の「力」 5 定住化と交換の問題 6 共同体の拡大と交換様式 第一章 交換様式Aと力 1 贈与の力 2 モースの視点 3 原始的な遊動民と定住化 4 トーテミズムと交換 5 後期フロイト 6 共同体の超自我 7 反復強迫的な「力」 第二章 交換様式Bと力 1 ホッブズの契約 2 商品たちの「社会契約」 3 首長制社会 4 原始社会の段階と交換様式 5 首長が王となる時 6 カリスマ的支配 7 歴史の「自然実験」 8 臣民と官僚制 9 国家をもたらす「力」 第三章 交換様式Cと力 1 貨幣と国家 2 遠隔地交易 3 帝国の「力」 4 帝国の法 5 世界帝国と超越的な神 6 交換様式と神観念 7 世界宗教と普遍宗教 第四章 交換様式Dと力 1 原遊動性への回帰 2 普遍宗教的な運動と預言者 3 ゾロアスター 4 モーセ 5 イスラエルの預言者 6 イエス 7 ソクラテス 8 中国の諸子百家 9 ブッダ 第二部 世界史の構造と「力」 第一章 ギリシア・ローマ(古典古代) 1 ギリシア芸術の模範性と回帰する「力」 2 亜周辺のギリシアの“未開性” 3 ギリシアの「氏族社会の民主主義」 4 キリスト教の国教化と『神の国』 5 悲惨な歴史過程の末の到来 第二章 封建制(ゲルマン) 1 アジア的なあるいは古典古代的な共同体との違い 2 ゲルマン社会の特性 3 ゲルマン社会における都市 4 修道院 5 宗教改革 第三章 絶対王政と宗教改革 1 王と都市(ブルジョア)との結託 2 「王の奇蹟」 3 臣民としての共同性 4 近代資本主義(産業資本主義) 5 常備軍と産業労働者の規律 6 国家の監視 7 新都市 第三部 資本主義の科学 第一章 経済学批判 1 貨幣や資本という「幽霊」 2 一八四八年革命と皇帝の下での「社会主義」 3 「物神の現象学」としての『資本論』 4 交換に由来する「力」 5 マルクスとホッブズ 6 株式会社 7 イギリスのヘゲモニー 第二章 資本=ネーション=国家 1 容易に死滅しない国家 2 カントの「平和連合」 3 自然の「隠微な計画」 4 帝国主義戦争とネーション 5 交換様式から見た資本主義 6 資本の自己増殖を可能にする絶え間ない「差異化」 7 新古典派の「科学」 第三章 資本主義の終わり 1 革命運動とマルクス主義 2 十月革命の帰結 3 二〇世紀の世界資本主義 4 新自由主義という名の「新帝国主義」 5 ポスト資本主義、ポスト社会主義論 6 晩年のマルクスとエンゲルスの仕事 7 環境危機と「交通」における「力」 第四部 社会主義の科学 第一章 社会主義の科学1 1 資本主義の科学 2 『ユートピア』とプロレタリアの問題 3 羊と貨幣 4 共同所有 5 「科学的社会主義」の終わり 6 ザスーリチへの返事 7 「一国」革命 8 氏族社会における諸個人の自由 9 私的所有と個人的所有 第二章 社会主義の科学2 1 エンゲルス再考 2 一八四八年革命挫折後の『ドイツ農民戦争』 3 一五二五年の「階級闘争」 4 原始キリスト教に関する研究 5 共産主義を交換様式から見る 第三章 社会主義の科学3 1 物神化と物象化 2 カウツキーとブロッホ 3 ブロッホの「希望」とキルケゴールの「反復」 4 ベンヤミンの「神的暴力」 5 無意識と未意識 6 アルカイックな社会の“高次元での回復” 7 交換様式Dという問題 8 交換様式Aに依拠する対抗運動の限界 9 危機におけるDの到来 注 あとがき Author 柄谷行人 Kojin Karatani 1941年生。思想家。著書に『定本日本近代文学の起源』『トランスクリティーク―カントとマルクス』『世界史の構造』『哲学の起源』(以上、岩波現代文庫)、『世界共和国へ』『憲法の無意識』『世界史の実験』(以上、岩波新書)、『定本 柄谷行人集』(全5巻)、『定本 柄谷行人文学論集』(以上、岩波書店)、『ニュー・アソシエーショニスト宣言』(作品社)ほか多数。
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世界史の構造
¥1,540
資本=ネーション=国家が世界を覆い尽くした現在,私たちはどんな未来も構想し得ないでいる.しかし本書は,世界史を交換様式の観点から根本的にとらえ直し,人類社会の秘められた次元を浮かび上がらせることで,私たちの前に未来に対する想像力と実践の領域を切り開いて見せた.英語版に基づいて改訂した決定版. ー 『トランスクリティーク』につづく主著の文庫化.ロングセラーである単行本に以下のような改訂が加えられた決定版です. 「本書を刊行したあと,英語での出版にそなえて検討している間に,多くの欠落に気づき加筆した.特に大幅に加筆したのは,ギリシアとユダヤ教をめぐる章である.この文庫版はそれに基づくものである.なお,英語版以前に出版された韓国,中国,台湾での版も,加筆したテクストに基づいている」 ――「岩波現代文庫版あとがき」より [出版社より] 著 者|柄谷行人 出版社|岩波書店[岩波現代文庫] 定 価|1,400円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|568 ISBN|9784006003234 初 版|2015年01月 Contents 序文 序説 交換様式論 1 マルクスのヘーゲル批判 2 交換様式のタイプ 3 権力のタイプ 4 交通概念 5 人間と自然の「交換」 6 社会構成体の歴史 7 近代世界システム 第1部 ミニ世界システム 序論 氏族社会への移行 第1章 定住革命 1 共同寄託と互酬 2 交易と戦争 3 成層化 4 定住革命 5 社会契約 6 贈与の義務 第2章 贈与と呪術 1 贈与の力 2 呪術と互酬 3 移行の問題 第2部 世界=帝国 序論 国家の起源 第1章 国家 1 原都市=国家 2 交換と社会契約 3 国家の起源 4 共同体=国家 5 アジア的国家と農業共同体 6 官僚制 第2章 世界貨幣 1 国家と貨幣 2 商品世界の社会契約 3 『リヴァイアサン』と『資本論』 4 世界貨幣 5 貨幣の資本への転化 6 資本と国家 第3章 世界帝国 1 アジア的専制国家と帝国 2 周辺と亜周辺 3 ギリシア 4 ローマ 5 封建制 第4章 普遍宗教 1 呪術から宗教へ 2 帝国と一神教 3 模範的預言者 4 倫理的預言者 5 神の力 6 キリスト教 7 異端と千年王国 8 イスラム教・仏教・道教 第3部 近代世界システム 序論 世界=帝国と世界=経済 第1章 近代国家 1 絶対主義王権 2 国家と政府 3 国家と資本 4 マルクスの国家論 5 近代官僚制 第2章 産業資本 1 商人資本と産業資本 2 労働力商品 3 産業資本の自己増殖 4 産業資本主義の起源 5 貨幣の商品化 6 労働力の商品化 7 産業資本主義の限界 8 世界経済 第3章 ネーション 1 ネーションの形成 2 共同体の代補 3 想像力の地位 4 道徳感情と美学 5 国家の美学化 6 ネーション=ステートと帝国主義 第4章 アソシエーショニズム 1 宗教批判 2 社会主義と国家主義 3 経済革命と政治革命 4 労働組合と協同組合 5 株式会社と国有化 6 世界同時革命 7 永続革命と段階の「飛び越え」 8 ファシズムの問題 9 福祉国家主義 第4部 現在と未来 第1章 世界資本主義の段階と反復 1 資本主義の歴史的段階 2 資本と国家における反復 3 1990年以後 4 資本の帝国 5 つぎのヘゲモニー国家 第2章 世界共和国へ 1 資本への対抗運動 2 国家への対抗運動 3 カントの「永遠平和」 4 カントとヘーゲル 5 贈与による永遠平和 6 世界システムとしての諸国家連邦 注 あとがき Author 柄谷行人 Kojin Karatani 1941年生まれ.思想家.『定本 柄谷行人集』(全5巻,岩波書店)『哲学の起源』(岩波書店)『トランスクリティーク』 『定本 日本近代文学の起源』(岩波現代文庫)『世界共和国へ』(岩波新書)『遊動論』(文春新書)『帝国の構造』(青土社)ほか著書多数.
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哲学の起源
¥1,342
デモクラシーの理想とされるアテネの直接民主制は、実は自由ゆえに平等であった古代イオニアのイソノミア(無支配)再建の企てであった。イオニアの自然哲学をイソノミアの記憶を保持するものとして読み解き、アテネ中心のデモクラシー神話を解体する。『世界史の構造』を経て、社会構成体の歴史の起源を刷新する野心的試み。 [出版社より] 著 者|柄谷行人 出版社|岩波書店[岩波現代文庫] 定 価|1,220円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|272 ISBN|9784006004132 初 版|2020年01月 Contents はじめに 序 論 1 普遍宗教 2 倫理的預言者 3 模範的預言者 第一章 イオニアの社会と思想 1 アテネとイオニア 2 イソノミアとデモクラシー 3 アテネのデモクラシー 4 国家と民主主義 5 植民とイソノミア 6 アイスランドと北アメリカ 7 イソノミアと評議会 第二章 イオニア自然哲学の背景 1 自然哲学と倫理 2 ヒポクラテス 3 ヘロドトス 4 ホメロス 5 ヘシオドス 第三章 イオニア自然哲学の特質 1 宗教批判 2 運動する物質 3 制作と生成 第四章 イオニア没落後の思想 1 ピタゴラス a 輪廻の観念 b 二重世界 c 数学と音楽 2 ヘラクレイトス a 反民衆的 b 反ピタゴラス 3 パルメニデス a ヘラクレイトスとパルメニデス b ピタゴラス批判 c 間接証明 4 エレア派以後 a エンペドクレス b 原子論 c ポリスからコスモポリスへ 第五章 アテネ帝国とソクラテス 1 アテネ帝国と民主政 2 ソフィストと弁論の支配 3 ソクラテスの裁判 4 ソクラテスの謎 5 ダイモン 6 ソクラテスの問答法 7 プラトンとピタゴラス 8 哲人王 9 イソノミアと哲人王 注 附録 『世界史の構造』から『哲学の起源』へ 岩波現代文庫版あとがき 古代ギリシア関連地図/古代ギリシア史年表/思想家年表 Author 柄谷行人 Kojin Karatani 1941年兵庫県尼崎市生まれ。評論家。東京大学大学院英文学修士課程修了。法政大学教授、近畿大学教授、コロンビア大学客員教授を歴任。著書に『定本日本近代文学の起源』『トランスクリティーク―カントとマルクス』『世界史の構造』(以上、岩波現代文庫)ほか多数。
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女性のいない民主主義
¥902
政治権力が男性に集中する日本は,民主主義国と呼ぶに値するのか.男性支配からの脱却に挑む新たな政治学. 日本では男性に政治権力が集中している.何が女性を政治から締め出してきたのか.そもそも女性が極端に少ない日本の政治は,民主主義と呼べるのか.客観性や中立性をうたってきた政治学は,実は男性にとって重要な問題を扱う「男性の政治学」に過ぎなかったのではないか.気鋭の政治学者が,男性支配からの脱却を模索する. [出版社より] 著 者|前田健太郎 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|820円+税 判 型|新書判 頁 数|238 ISBN|9784004317944 初 版|2019年09月 Contents はじめに 第1章 「政治」とは何か 1 話し合いとしての政治 2 政治における権力 3 マンスプレイニングの罠 4 政治の争点 5 多数決と争点 第2章 「民主主義」の定義を考え直す 1 女性のいない民主主義 2 代表とは何か 3 民主化の歴史を振り返る 4 民主化の理論と女性 第3章 「政策」は誰のためのものか 1 男性のための福祉国家 2 政策は誰の利益を反映するのか 3 福祉国家が変わりにくいのはなぜか 4 政策の変化はどのようにして生じるか 第4章 誰が,どのように「政治家」になるのか 1 日本政治の二つの見方 2 有権者は誰に票を投じるか 3 政党と政治家の行動原理 4 選挙制度の影響 おわりに あとがき 主な参考文献・データベース Author 前田健太郎 Kentaro Maeda 1980年,東京都生まれ.2003年,東京大学文学部卒業.2011年,東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了,博士(法学).首都大学東京大学院社会科学研究科准教授を経て,現在東京大学大学院法学政治学研究科准教授. 専攻―行政学・政治学. 著書に『市民を雇わない国家――日本が公務員の少ない国へと至った道』(東京大学出版会,第37回サントリー学芸賞〔政治・経済部門〕).
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人新世の科学——ニュー・エコロジーがひらく地平
¥968
今を生きる人類、必読。社会経済のレジリエンスを高めるための、世界共通の基礎知識を生態学者が語る。 人類のさまざまな活動は、「人新世」と呼ばれる新たな地質年代を地球にもたらした。その影響を世界規模で考え、持続可能な社会を維持するには、人間と自然を一体として捉える思考、ニュー・エコロジー(新しい生態学)が必要だ。社会経済のレジリエンスを高め、人類が「思慮深い管財人」として自然と向き合うための必読書。 [出版社より] 著 者|オズワルド・シュミッツ 訳 者|日浦勉 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|880円+税 判 型|新書判 頁 数|246 ISBN|9784004319221 初 版|2022年03月 Contents 日本語版への序文 まえがき――人新世の科学 第1章 持続可能性への挑戦 第2章 種と生態系の価値 第3章 生物多様性と生態系機 第4章 飼い馴らされた自然 第5章 社会―生態システム思考 第6章 驕りから謙遜へ 第7章 人間による人間のための生態学 第8章 生態学者とニュー・エコロジー 訳者あとがき 原注 文献一覧 Author オズワルド・シュミッツ Oswald J. Schmitz イエール大学環境学部教授.ミシガン大学自然資源学部で学位取得.イエール大学環境学部助教,准教授を経て現職. 専攻―群集生態学. 著書―Resolving Ecosystem Complexity(Princeton University Press 2010), Ecology and Ecosystem Conservation(Island Press 2007). Translator 日浦 勉 Tsutomu Hiura 東京大学大学院農学生命科学研究科(生圏システム学専攻)教授. 専攻―森林生態学,群集生態学.
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人種主義の歴史
¥1,034
「人種」という根拠無き考えに基づく差別と排除は、なぜ近現代世界に計りしれぬ惨禍をもたらしたのか——。 「人種」という根拠無き考えに基づいて、人を差別・排除する。人種主義(レイシズム)は、ナショナリズム、植民地主義、反ユダヤ主義等と結びつき、近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし、ヘイトスピーチや黒人差別など、現代にも深い影を落としている。大航海時代から今日まで、その思想と実態を世界史的視座から捉える入門書。 [出版社より] 著 者|平野千果子 出版社|岩波書店[岩波新書] 定 価|940円+税 判 型|新書判 頁 数|270 ISBN| 9784004319306 初 版|2022年05月 Contents 序章 人種主義を問う 第一章 「他者」との遭遇――アメリカ世界からアフリカへ 第1節 大航海時代 第2節 ノアの呪い――黒人蔑視の淵源 第二章 啓蒙の時代――平等と不平等の揺らぎ 第1節 人間を分類する 第2節 思想家たちと奴隷/奴隷制 第三章 科学と大衆化の一九世紀――可視化される「優劣」 第1節 人間の探究と言語学 第2節 人種の理論書 第3節 優劣を判定する科学 第四章 ナショナリズムの時代――顕在化する差異と差別 第1節 諸科学の叢生 第2節 国民国家の形成と人種 第3節 新らたな視角――黄禍論、イスラーム、反ユダヤ主義 第五章 戦争の二〇世紀に 第1節 植民地支配とその惨禍 第2節 ナチズム下の人種政策 第3節 逆転の位相 終章 再生産される人種主義 あとがき 主要参考文献/図版出典一覧 Author 平野 千果子 Chikako Hirano 1958年,東京都生まれ。現在武蔵大学人文学部教授。フランス植民地史専攻。著書に『フランス植民地主義の歴史』(人文書院)『フランス植民地主義と歴史認識』(岩波書店)『アフリカを活用する』(人文書院)『新しく学ぶフランス史』(編著,ミネルヴァ書房)『グローバリゼーションと植民地主義』(共著,人文書院)『欧州統合の半世紀と東アジア共同体』(共著,日本経済評論社)『ヨーロッパ史講義』(共著,山川出版社)マルク・ブロック『奇妙な敗北』(翻訳,岩波書店) ほか。
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真夜中の子供たち[上]
¥1,320
一九四七年八月一五日、インド独立の日の真夜中に、不思議な能力とともに生まれた子供たち。なかでも〇時ちょうどに生まれたサリームの運命は、革命、戦争、そして古い物語と魔法が絡みあう祖国の歴史と分かちがたく結びつき──。刊行当時「『百年の孤独』以来の衝撃」とも言われた、二〇世紀小説を代表する一作。二〇〇八年ベスト・オブ・ブッカー受賞。(全2巻) [出版社より] 著 者|サルマン・ラシュディ 訳 者|寺門泰彦 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|1,200円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|538 ISBN|9784003725146 初 版|2020年05月 Contents 第1巻 穴あきシーツ マーキュロクロム 痰壺攻め 絨毯の下 公 表 多頭の怪物たち メスワルド ティクタク 第2巻 漁師の人差指 蛇と梯子 洗濯物入れのなかの出来事 全インド放送 ボンベイの恋 私の十歳の誕生日 パイオニア・カフェにて アルファとオメガ
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真夜中の子供たち[下]
¥1,320
「貴君は年老いた、しかし永遠に若くあり続けるインドという国を担ういちばん新しい顔なのです」 ──ついに露顕した出生の秘密。禁断の愛を抱えつつ、〈清浄〉の国との境をさまよう〈真夜中の子供〉サリームは…。稀代のストーリーテラーが絢爛たる語りで紡ぎだす、あまりに魅惑的な物語。(解説=小沢自然)二〇〇八年ベスト・オブ・ブッカー受賞。(全2巻) [出版社より] 著 者|サルマン・ラシュディ 訳 者|寺門泰彦 出版社|岩波書店[岩波文庫] 定 価|1,200円+税 判 型|文庫判・並製 頁 数|550 ISBN|9784003725153 初 版|2020年06月 Contents 第2巻(承前) コリノス・キッド サバルマティ海軍中佐の指揮棒 啓 示 胡椒入れの動き 排水と砂漠 ジャミラ・シンガー サリームはいかにして浄化を達成したか 第3巻 ブッダ スンダルバンにて サムとタイガー モスクの影 結婚式 真夜中 アブラカダブラ 作者自序 解説……………小沢自然
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アレクシエーヴィチとの対話——「小さき人々」の声を求めて
¥3,190
私は耳の作家、魂の歴史家です──。 ジャーナリストとして初めてノーベル文学賞を受賞した作家の創作の道のりと極意を、NHK同行取材記録のほか、充実した講演・対談・評論によって明らかにする。「ドキュメンタリー文学」の手法とは何か。『戦争は女の顔をしていない』や『チェルノブイリの祈り』はいかに書かれたか。 [出版社より] 著 者|スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/鎌倉英也/徐京植/沼野恭子 出版社|岩波書店 定 価|2,900円+税 判 型|四六判・上製 頁 数|382 ISBN|9784000614788 初 版|2021年06月 Contents 日本の皆さんへ――出版に寄せて …………… ◉アレクシエーヴィチ/沼野恭子=訳 負け戦(いくさ)――ノーベル賞受賞講演…………… ◉アレクシエーヴィチ/沼野恭子=訳 I 「小さき人々」への旅立ち――アレクシエーヴィチとは誰か …………… ◉鎌倉英也 第一章 プロローグ――未知の作家 第二章 最初の対話――ミンスクを訪ねて 第三章 旅の計画――目指すべき場所 II 「ユートピア」の残骸で――過去の記憶 …………… ◉鎌倉英也 第四章 流刑地シベリア――収容所のなかの収容所 第五章 ソヴィエトの砦ベラルーシ――「大祖国戦争」の爪痕 第六章 連邦崩壊と自殺者――「ユートピア」の果て III 国家の「神話」を砕く――戦争と抵抗 …………… ◉鎌倉英也 第七章 アフガン・シンドローム――殺人犯となった息子 第八章 アレクシエーヴィチ裁判――そこで何が問われたか 第九章 「我々」から「私」へ――チェチェン戦争に抵抗する人々 IV 核の時代に生きて――未来への証言 …………… ◉鎌倉英也 第一〇章 逃げ場のない世界――チェルノブイリ原発事故 第一一章 未知の顔をした「戦争」――汚染された大地の上で 第一二章 「フクシマ」を訪ねて――問われる「抵抗の文化」 V 「小さき人々」を見つめて――アレクシエーヴィチと徐京植 序 ――ふたつの対話はこのように生まれた 第一三章 「小さき人々」の声を聞く――暴力と破滅の二〇世紀を見据えて …………… ◉アレクシエーヴィチ×徐京植 第一四章 「小さき人々」の愛を信じる――二一世紀の苦悩の底から …………… ◉アレクシエーヴィチ×徐京植 第一五章 長い道――スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんへの手紙 …………… ◉徐京植 VI 声の小説(ロマン)――「赤いユートピア」の文学 第一六章 あるユートピアの物語――東京外国語大学講演…………… ◉アレクシエーヴィチ/佐藤貴之・沼野恭子=訳 第一七章 ユートピアの声――アレクシエーヴィチの文学 …………… ◉沼野恭子 番組・文献一覧 あとがき――「対話」を続けるために Author スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ Святла́на Алякса́ндраўна Алексіе́віч 1948年ウクライナ生まれ。国立ベラルーシ大学卒業後、ジャーナリズムの道を歩む。綿密な聞き書きを通じて一般市民の感情や記憶をすくい上げる、多声的な作品を発表。戦争の英雄神話をうち壊し、国家の圧制に抗いながら執筆活動を続けている。邦訳作品に『戦争は女の顔をしていない』『ボタン穴から見た戦争──白ロシアの子供たちの証言(原題:最後の証人たち──子供の声のための独唱曲)』『アフガン帰還兵の証言──封印された真実(原題:亜鉛の少年たち)』『完全版 チェルノブイリの祈り──未来の物語』『セカンドハンドの時代──「赤い国」を生きた人びと』など。上記作品を「ユートピアの声」五部作と位置づけている。2015年ノーベル文学賞受賞。
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空爆論 メディアと戦争
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「視ること」は「殺すこと」である――。 支配し、侵略し、殺害する「上空からの眼差し」としての空爆は、第一次世界大戦や日本空爆、朝鮮空爆などを経て、いかに変容し、遠隔爆撃ドローンや現在の戦争における空爆の眼差しへと至ったのか。ウクライナ侵攻まで一貫してつながる「メディア技術としての戦争」を問い直す。 [出版社より] 著 者|吉見俊哉 出版社|岩波書店[クリティーク社会学] 定 価|2,300円+税 判 型|四六判/並製 頁 数|266 ISBN|9784000271776 初 版|2022年08月 Contents 序章 アイ・イン・ザ・スカイ――アフガニスタン上空 二〇二一年八月、アメリカの敗戦/高度化した「アメリカ的空爆様式」/アイ・イン・ザ・スカイ/メディアとしての空爆――俯瞰する眼と観察者/本書の位置づけと構成 第1章 日本空爆――上空からの眼差しの支 上空から東京を焼き尽くす/B29という巨大プロジェクト/写真偵察機F13からの視線/日本列島はB29空爆の実験場/「上空からの眼差し」の発達 ――気球と飛行船/空からの植民地主義とドゥーエ・テーゼ/日本軍の中国都市への無差別爆撃/「空の帝国」と〈戦争=映像〉の視覚/路上に転がる無数の焼死体/路上の死体は語ることができるか? 第2章 空爆の冷戦、そしてポスト冷戦 東京から平壌へ――朝鮮戦争と空爆/ベトナム戦争と空爆/巨大爆撃機と森のゲリラ戦/未来を予測する空爆システム/湾岸戦争と「ポルノグラフィックな監視」/軍事における革命?――植民地主義は終わらない 第3章 メディアとしてのドローン爆撃 カミカゼ・ドローンの跳梁跋扈/ドローンの歴史を振り返る/アメリカの「カミカゼ」/「カミカゼ」は、いつ始まったのか?/テレビジョンとしての攻撃型ドローン/対日戦争への攻撃型ドローン投入/安全な場所からの帝国主義戦争/〈銃〉と〈眼〉のメディア論的結合 第4章 空爆という上演――眼差しとふるまい 「自爆」としての「カミカゼ」/特攻兵という爆弾の〈眼〉/空爆する帝国 自爆する野蛮/遠くから眺める――眼差しの帝国/地下への潜伏とカモフラージュ/空爆する眼 見ることの権利/再び、路上の死体は語ることができるか? 終章 プーチンの戦争――モバイル時代と帝国の亡者 プーチンの戦争 帝国への妄執/「スパイ」と「俳優」の間にあるもの/ヴィリリオの誤算?/高さの遠近法とデータの遠近法 文献 解説――眼差しのテクノロジーの臨界を描く……北田暁大 あとがき Author 吉見俊哉 Shunya Yoshimi 1957年生まれ.東京大学大学院情報学環教授.著書に『都市のドラマトゥルギー──東京・盛り場の社会史』(河出文庫,2008年),『博覧会の政治学──まなざしの近代』(講談社学術文庫,2010年),『視覚都市の地政学──まなざしとしての近代』(岩波書店,2016年),『平成時代』(岩波新書,2019年),『大学は何処へ──未来への設計』(岩波新書,2021年),『東京復興ならず──文化首都構想の挫折と戦後日本』(中公新書,2021年)など.