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スペース・プラン 鳥取の前衛芸術家集団1968-1977
¥2,530
SOLD OUT
ここ数年のアート・コレクティヴ(集団によるアート活動)隆盛のなか、 再発掘された鳥取の前衛集団「スペースプラン」。 1960-70年代に展開された、知られざる活動の詳細を貴重な資料群で紹介し、 日本の現代美術史のもうひとつの展開を追いかける。 1968年、鳥取に生まれた前衛芸術家集団スペース・プラン。その構成メンバーとなる谷口俊(1929~)、フナイタケヒコ(1942~)、山田健朗(1941~)らによる活動は、単純な色と形に還元された立体物に代表されるミニマリズムとして特徴づけられる。作品発表は市民会館や画廊だけでなく、鳥取市の各地での野外展を積極的に試みた。とりわけ第2回展における鳥取砂丘での作品展示は、壮大なスケールであったが、地元のメディア等では注目を集めたものの、全国的に広く紹介されることはなかった。 本書は、そんなスペース・プランの記録写真や印刷物を可能な限り収録。ミニマリズムという現代美術の出発点ともいえる形式が、鳥取というローカルな地域でどのように展開されたのか。60~70年代の鳥取の文化状況を踏まえながら、歴史的文脈のなかで、その活動を検証していく。 [出版社より] 編著者|筒井宏樹 出版社|ART DIVER 定 価|2,300円+税 判 型|A4判・中綴じ 頁 数|96 ISBN|978-4-908122-14-9 刊 行|2019年4月 Contents 論考│Text スペース・プランとその時代 筒井宏樹 ステートメント│Statement 1 檄文「脱出計画No.1 新しい芸術グループ結成のために」(1968.11.10) 2 SPACE PLAN NO.2 空間化計画展 3 SPACE PLAN NO.2 1969年 4月鳥取砂丘にて 4 船井武彦・計羽孝之 2人展/1969.10.1-10 5 SPACE PLAN NO.3 異常空間の提示 6 ’71 UNTITLED EXHIBITION(無題展) 7 「現代美術を語る会」を終えて 図版│Plates 第1章 スペース・プラン前夜:1950~60年代の鳥取美術 第2章 1968年:スペースプランの結成と起点としてのミニマリズム 第3章 SPACE PLAN NO.1 空間化計画展 第4章 鳥取砂丘におけるミニマリズムの野外展 第5章 ミニマリズムの追求:「物の姿」および「異常空間」 第6章 第4回展~第8回展:実験的な試み 第7章 第9回展~第13回展:予言する乳母車 スペース・プラン プロフィール│SPACE PLAN Profile 資料│Appendix 1 鳥取青年美術家集団の歩み 2 鳥取市の文化行政に対する要望と提案 3 北白川美術村にて聞く! 4 新聞資料 用語集│Glossary 年表│Chronology 参考文献│Bibliography
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ぽっかりちゃん
¥2,200
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心の中に住んでいるぽっかりちゃんは、 いつもぽっかり。 たのしいとも、かなしいとも、 うれしいとも、くるしいとも、感じません そんなぽっかりちゃんの目の前に ぷつりくんという男の子が現れます。 ぷつりくんと出会って、 ぽっかりちゃんは「だいすき」という 気持ちを持つようになり……。 画家・和田唯奈による描き下ろし絵本「ぽっかりちゃん」。 誰の心にも住んでいる「ぽっかりちゃん」の姿を、 オリジナルのペインティングとストーリーで描き出す。 孤独、出会い、愛、絶望、トラウマと克服、そして安息……。 幾重ものコンテクストが織り込まれた心の冒険譚。 お子さまはもちろん、 心を見つめなおしたい大人に読んでほしい、珠玉の絵本です。 [出版社より] 作・絵|和田唯奈 出版社|ART DIVER 定価|2000円+税 判型|B5判変形・上製本 ページ数|60(オールカラー) ISBN|978-4-908122-13-2 Author 和田唯奈(わだ・ゆいな) 画家。1989年岐阜県生まれ。加納高等学校美術科、名古屋芸術大学洋画2コース卒業。Gallery Delaive(オランダ)所属。GEISAI#17鈴木心賞受賞、ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校第1期夏野剛賞受賞。 [主な展覧会] 2012年 個展「KIRAKIRA」YEBISU ART LABO(愛知) 2012年 個展「GEISAI#17 鈴木心賞受賞 和田唯奈個展」Hidari Zingaro(東京) 2013-2014年 個展 Gallery Delaive(アムステルダム) 2016年 個展「和田唯奈のお誕生日パーティ」ゲンロン カオス*ラウンジ 五反田アトリエ(東京) 2017年 ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校上級コース成果展「まつりのあとに」連動企画「あなたのわたしで描いた絵」B.Esta337(東京) 2018-2019年 お絵描きのお家による絵画展「しんかぞく」都内各所、B.Esta337(東京) 2019年 絵本原画展「ぽっかりちゃん」B.Esta337(東京)
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梅津庸一 ラムからマトン
¥2,200
1982年生まれの現代美術家・梅津庸一の存在感は、ここ数年、非常に高まっています。実作での評価はもちろんのこと、その鋭利でイメージ豊かな言説や、私塾「パープルーム予備校」の創設は、多くの人を巻き込みながら、美術界にひとつのうねりをおこしています。 梅津の作品は、近代洋画の様式から受験絵画メソッドなどをベースに、柔らかな色彩に溢れた官能的なものですが、その背後には一貫したコンセプトが流れています。それはデビュー作となる2005年の《フロレアル(わたし)》にすでにあらわれており、その後もバリエーションを加えながら、現在まで深化し続けています。 タイトルの『ラムからマトン』には、「ラム」(子羊の肉=デビュー時)から「マトン」(成長した羊の肉=現在)までという意味が含まれています。同様に、この本には、デビュー作から現在に至るまでの代表作をカラー図版で掲載しています。 そして、それら梅津の作品や活動に対し、気鋭の評論家やクリエイターたちがそれぞれの視点から文章を寄せていただいたのがこの書籍です。1980年代生まれを中心とした、間違いなく今後の美術批評を担うことになる論客たちによるテキストは、いかに梅津庸一を読み解き、美術に新たな展望を与えるのでしょうか。 加えて、梅津自身によるテキストで、多くの批評家に注目を浴びた「優等生の蒙古斑」も再収録。こちらも必読です。 また、デザインには『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス、2014)での美しい装丁が記憶に新しい木村稔将さんを招き、上製本+スリーブケースの豪華なつくりとなりました。ケースに貼られた表紙絵は4パターン。アートブックともいえるような美しい仕上がりになっておりますので、ご期待ください。 [出版社より] 著者|梅津庸一 出版社|ART DIVER 定価|2000円+税 判型|A5判変形 ページ数|96 ISBN|978-4-908122-03-3 刊行|201511月 *当店で現在在庫があるのは表紙D-「第17話、血液、太陽がいっぱい」バージョンのみです (画像2枚目)。 Contents ラムからマトン 梅津庸一 美術予備校とヴィジュアル系 荒木慎也 蒙古斑と美術の余白 原田裕規 演劇ではなく絵画である 岸井大輔 梅津庸一論─アップデートする「美術」=フェティシズムの空間 筒井宏樹 無数の筆触が「私」を構成する─梅津庸一の作品(2005-2015) 星野太 梅津庸一のアトリエ観察から 坂本夏子 鏡とアザと花粉と─梅津庸一と美術史の亡霊たち 新藤淳 優等生の蒙古斑 梅津庸一 作品リスト プロフィール
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芸術論
¥1,760
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すべての人がアートと共に生きる世界をめざす「Art in You」 宮島達男の最新の芸術論が詰まった箴言集 1988年、最も権威ある国際美術展「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の若手作家部門「アペルト88」にて世界の注目を浴びて以来、国際的な活躍を続ける宮島達男。1999年のヴェネツィア・ビエンナーレでは日本代表として参加し、その評価を確実なものにしました。これまでの作品発表は、世界30カ国250カ所以上に及びます。 2000年代に入ってからは、2006年〜2016年に東北芸術工科大学副学長、2012年〜2016年に京都造形芸術大学副学長と教育の現場に立ち、後進の指導にあたってきました。 とりわけ教育に関わったこの10年は、作品発表とは違って、「言葉」を用いてメッセージを伝えることが多く、それをまとめたいという想いからできあがったのが、この書籍です。 構成は、大きく3つの章にわかれています。 第Ⅰ章「哲学の深淵を語る」は、宮島が信頼を置く編集者・東晋平によるインタビューをもとに、新たに書き下ろされました。宮島の作品に通底する「3つのコンセプト」=〈それは、変化し続ける/それは、あらゆるものと関係を結ぶ/それは、永遠に続く〉の解説にとどまらず、さらにその深層にありながら、これまで発表されてこなかったフランス思想や仏教思想のルーツにまで迫った、まさにアーティスト宮島達男の核となるテキストです。 第Ⅱ章「日々の言葉」では、2010年~16年までの宮島のツイートから、「アーティストとしての心得」や「考えるためのヒント」などが平易な言葉で語られ、第Ⅲ章「芸術と平和」では、2001年~15年に新聞などに寄稿したテキストの数々などをまとめました。 また、作品制作の過程で生まれるアイデアスケッチやドローイングなど、書籍初収録となる貴重な図版も多数掲載し、言葉のみならずビジュアルでも、宮島芸術の根幹に触れることができる書籍となっています。 近年、宮島は前述の3つのコンプトに加え、「Art in You」という概念を提唱しています。これは、アーティストだけがアートの主体者ではなく、あらゆる人にアート的な感性があり表現が可能であるという意味であり、すべての人がアートを通じてよりよい人生を送ることを提示しているのです。この本を通じて、読者のみなさまがそれぞれの「Art in You」を体得するきっかけになりますように。 [出版社より] 著者|宮島達男 編集|東 晋平、大森貴久(東晋平事務所) 出版社|ART DIVER 定価|1600円+税 判型|四六判・上製本 ページ数|136 刊行|2017年3月 ISBN|978-4-908122-07-1 Contents Ⅰ 哲学の深淵を語る 「それ」とは何か 三つのコンセプト 作品(ドローイング) Ⅱ 日々の言葉 アーティストとして生きる君へ 創造の海 思考する石 Ⅲ 芸術と平和 被爆「柿の木」二世根づく 旭日興年 芸術と評価 卒業 子どもにもっと芸術を アーティストとして生きること 教育に携わる理由 作品の名前 マチュピチュと東北R計画 エイズ孤児と芸術の出会い 冬は必ず春となる Art in You 枯山水における「見立て」 芸術と平和学 ドローイングとデッサン 作品の永遠性と保存 アーティストの未来 作品リスト あとがき Author 宮島 達男 Tatsuo Miyajima 現代美術家。1986年東京芸術大学大学院修了。1988年ヴェネツィア・ビエンナーレ、新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催。世界30カ国250カ所以上で作品を発表している。1993年ジュネーブ大学コンペティション優勝。1998年第5回日本現代芸術振興賞受賞。1998年ロンドン・インスティテュ―ト名誉博士授与。2006-2016年 東北芸術工科大学副学長。2012-2016年京都造形芸術大学副学長。代表作に「メガ・デス」など。また、長崎で被爆した柿の木2世を世界の子どもたちに育ててもらう活動、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」も推進している。
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リボーンアート・フェスティバル 公式記録集
¥2,200
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東日本大震災からの復興を願って開催される芸術祭「Reborn Art Festival」。 2017年に開催された伝説の第1回「Reborn Art Festival 2017」に参加した 44名(組)のアーティストの作品を完全収録した決定版作品集! [出版社より] 編者|和多利浩一、リボーンアート・フェスティバル事務局、高城昭夫、明石康正、沢井美里 出版社|ART DIVER 定価|2500円+税 判型|B5判変形 ページ数|192 デザイン|groovisions ISBN|978-4-908122-11-8 掲載作家一覧(44名/組、本書掲載順) ルドルフ・シュタイナー、ヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイク、名和晃平、皆川明、目、八木隆行、Zakkubalan、有馬かおる、犬山キワマリ荘、パープルーム、XYZ Collective、水戸のキワマリ荘、ハスラー・アキラ、カオス*ラウンジ、齋藤陽道、キュンチョメ、クー・ジュンガ、バリー・マッギー、JR、小林武史×WOW×DAISY BALLOON、カールステン・ニコライ、増田セバスチャン、金氏徹平、SIDE CORE(BABU 森田貴宏 BABU EVERYDAY HOLIDAY SQUAD Nampei Akaki BIEN) 、鈴木康広、コンタクトゴンゾ、青木陵子、伊藤存、ブルース・ナウマン、Chim↑Pom、ファブリス・イベール、パルコキノシタ、デイビッド・ハモンズ、宮永愛子、さわひらき、岩井優、島袋道浩、宮島達男、増田拓史、Yotta、草間彌生
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石膏デッサンの100年 石膏像から学ぶ美術教育史
¥2,420
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美大受験生たちの血と汗と涙の結晶 「石膏デッサン」とは、何だったのか? 石膏像を巡る苦闘の歴史がわかる、石膏デッサン研究の決定版!! 美大受験をする者なら誰もが経験する石膏デッサン。とりわけ美術予備校において、その描画メソッドは時代とともに進化を遂げており、短期間の集中的な修練で見違えるほどの優れたデッサンを生み出すことができるようになっている。 しかし、いざ美術大学に入ってみると石膏デッサンは不当な扱いとされているのも実情である。教授によっては、「石膏デッサンの技術は、創作活動には有害だ」とすら指導する。美大受験に必須であった「石膏デッサン」は、大学では一転不要なものとされ、学生はその狭間で立場を問われる。 はたして、石膏デッサンは必要なのか? こうした議論は、教育者側からも作家側からも続いてきたが、いまだにその決着を見ることはない。「石膏デッサンは、制作における基礎体力をつける筋トレである」とか「ものを見る力をつけるにはこれほどいい教材はない」という肯定派がいる一方で、「石膏デッサンは、アカデミズムの悪しき因習で、自由で創造的な創作活動を阻害するものだ」「技術はもはやアートには必要ない」という否定派の意見も根強い。 本書の目的は、こうした膠着状態にある石膏デッサンへの言説を、その受容からいま一度振り返ることで、有効な議論へと発展させ、より構築的な美術教育史の理解を進めることである。前半の1章から3章で石膏像について論じ、後半の4章から6章で石膏デッサン教育について論じるという構成をとっている。そのなかで、これまで正体が不明とされてきた石膏像のオリジナル彫刻、日本における石膏像収集の歴史、近代と現代での石膏デッサンの違い、日本で石膏デッサン教育が普及した経緯、などの様々な事象を明らかにする。 これらの議論を通じて、石膏像の100年を、絶えざる価値観と制度の変転の中で繰り返し新しい定義を与えられてきた流動的な歴史として再定義し、日本における西洋文化の受容が、単に「進んだ」西洋の価値観を日本に不完全に移植したものでなく、その曲がりくねった歴史で構築された、対話的で越境的な石膏デッサン言説の生成過程であることを示していく。 不毛な「石膏デッサン是非論」の先にある新たなアートの創造のためにも、これまであまり日の当たらなかった「石膏像と石膏デッサン」について深く掘り下げることで、近代の美術教育が遺してくれた蓄積を反芻する試みである。教育者はもちろんのこと、美大受験を控えた受験生、さらには日々制作と向き合うアーティストに読んでもらいたい。 ※なお、本書は、2016年に三重大学出版から刊行された「石膏デッサンの100年」の改訂版である。初版300部という刷部数ということもあり数ヶ月で完売となったが、その後再販の予定もなかった。しかし、同書を届けるべき人がまだ世に多くいることを考え、著者と相談のうえ、アートダイバーにて改訂版を制作し、引き続き販売を続けることとした。快く改訂版の販売を許諾してくれた三重大学出版にこの場を借りてお礼を申し上げます。 [出版社より] 著者|荒木慎也 出版社|ART DIVER 定価|2200円+税 判型|A5判変形 ページ数|256 デザイン|木村稔将 ISBN|978-4-908122-08-8 刊行|2018年2月 Contents 序 問題の所在 西洋画教育の中の石膏像 これまでの研究 本書の射程 1章 パジャント胸像とは何者なのか 2体のベレニケ胸像 「バシャント」から「パジャント」へ 2章 美の規範としての石膏像 古代美の規範としての石膏像 帝国主義と石膏像陳列場 美術アカデミズム モダニズムとデッサン 3章 工部美術学校と東京美術学校の石膏像収集 明治初期の石膏像導入 工部美術学校の石膏像 東京美術学校の『旧台帳』 海外から輸入した石膏像 石膏製作業者の登場 使われた石膏像・使われなかった石膏像 ボストン美術館の寄贈品 コレクションの不連続性 4章 芸術の本質としてのデッサン 工部美術学校の擦筆画教育 黒田清輝の石膏デッサン論 東洋の線と芸術の本質 石膏デッサンのモダニズム 石膏デッサンの規格化 教育の根幹としての石膏デッサン 5章 反・石膏デッサン言説 批判言説の源流 美術アカデミズム・リバイバル 教官と学生の対立 野見山曉治の入試改革 宮下実の石膏デッサン論 6章 美術予備校の石膏デッサン 美術予備校の登場 デッサンの神様・安井曾太郎 石膏デッサンの「デッサン」 白い石膏デッサン ポスト石膏デッサン時代 現代美術の中の石膏デッサン 21世紀の石膏デッサン教育 結び あとがき 改訂版に向けての追記 引用資料 [巻末資料]東京藝術大学絵画科油画専攻入学試験問題 Author 荒木慎也 Shinya Araki 1977年名古屋生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。2013年に博士(学術)。東京大学教養学部国際ジャーナリズム寄付講座特任助教を経て、現在は成城大学、多摩美術大学、武蔵大学非常勤講師。専門は近現代美術史、美術教育学。
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現代美術史日本篇 1945-2014
¥1,650
岡本太郎、横尾忠則、草間彌生から、村上隆、会田誠、奈良美智、チン↑ポム、カオスラウンジまで、戦後から現在にいたる約70年間の現代美術史を一気読み! 同書は2008年に初版が発行されましたが、国内外の美術愛好家からのニーズも高く、瞬く間に予定出版数は完売。今では入手困難なものとなっています。筆者自身「日本で唯一の現代美術正史」と語っていますが、戦後から現在までを満遍なくカバーする現代美術通史は、他に例がなく、多くのファンの声に後押しされるようにして今回の刊行となりました。今回の発行にいたったのは、2008年から現在に至るまでに 現代美術に新たなムーブメントが起こったからだと中ザワはいいます。カオスラウンジをはじめとした新たな表現者の活動が、中ザワ独自の循環史観によって解読された第8章があらたに加わりました。また初版で書ききれなかった箇所を全面的にもボリュームアップしており、さらに充実した1冊に仕上がりました。現代アートの初心者から、より深く知識を得たいコアなアートファンまで、楽しめる内容です。 再び、日本現代美術が海外から注目を浴びつつある今だからこそ、戦後から現代に至るまでの「現代美術史」を理解するための必読の書といえるでしょう。 [出版社より] 著者|中ザワヒデキ 出版社|ART DIVER 定価|1500円+税 判型|AB判・カラー ページ数|136 刊行|2014年11月(初版2008年1月刊) 日英バイリンガル ISBN|978-4-908122-00-2 Contents Chapter 1 1945-1954 シュルレアリスムと多様性ー敗戦後の美術状況 1a 美術家の戦争責任問題 1b ヴェネツィア・ビエンナーレへの参加 1c 「重い手」、レアリスム論争、岡本太郎 1d ルポルタージュ、密室、瀧口修造と実験工房 Chapter 2 1955-1959 前衛ー具体、九州派、アンフォルメル 2a 具体 2b 九州派 2c 前衛と地方性 2d アンフォルメル旋風 2e アンフォルメルと東洋 Chapter 3 1960-1963 反芸術ーネオ・ダダとハイレッド・センター 3a ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ 3b 読売アンデパンダン展の廃止 3c ハイレッド・センター 3d 日本のポップ・アート 3e ゼロ次元 Chapter 4 1964-1979 還元主義と多様性ーもの派、概念派、美共闘 4a 日本概念派(1)オブジェを消せ 4b 日本概念派(2)トリックス・アンド・ヴィジョン 4c もの派 4d 美共闘、ポスト概念派、ポストもの派 4e 絵画回帰 Chapter 5 1980-1984 脱前衛ー80年代アヴァンギャルドと日本グラフィック展 5a 日本のポストモダニズム: 内部と外部 5b 内部: 80年代アヴァンギャルドと新表現主義 5c 外部: ヘタうまと日本グラフィック展 5d ポストモダニズムと循環史観 Chapter 6 1985-1994 再現芸術ー関西ニューウェーブから東京シミュレーショニズムへ 6a 森村泰昌と関西ニューウェーブ 6b 東京シミュレーショニズム前夜 6c 東京シミュレーショニズム(1)村上隆と中村政人 6d 東京シミュレーショニズム(2)小沢剛と会田誠 Chapter 7 1995-2009 マニエリスムと多様性ー悪い場所、スーパーフラット、マイクロポップ 7a 快楽主義とマニエリスム 7b ひそやか系、スタジオ食堂、昭和40年会 7c 悪い場所、スーパーフラット、方法 7d 美と価値とインフラ 7e マイクロポップ、美術内美術、チン↑ポム Chapter 8 2010-2014 搾取前衛ーフクシマ前後の表現主義と反表現主義 8a 二艘木洋行と第四表現主義前夜 8b カオス*ラウンジと2010年の風景 8c フクシマ以後の表現主義的動向 8d フクシマ以後の反表現主義的動向
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20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から
¥1,980
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20世紀末、つまり1989年からゼロ年代までの現代美術シーンを、中村ケンゴ、眞島竜男、永瀬恭一といった3人の作家の視点から語った書籍です。各年に起こったできごとを年表形式にまとめ、それを元に当時のアートシーンを振り返りながら、現在につながる表現の潮流や、アートマーケット、アーティスト・サヴァイバルについてなど、それぞれの体験を通して、今また新たな知見が得られないかを探ります。 さらに共著者には、80年代後半からゼロ年代にわたって『美術手帖』 の編集者としてアートシーンに関わった楠見清、「奈良美智」展など数々のキュレーションを手がける横浜美術館主任学芸員の木村絵理子、そして多彩な執筆活動、企画を行う小金沢智の3名。3人の作家とは違った立場と世代の共著者が参加するこことで、内容に厚みが増しています。 この企画は2012年に美術家・中村ケンゴの呼びかけによって開催されたシンポジウムが元になっています。同シンポジウムはメグミオギタギャラリーと横浜美術館において計2回開催されましたが、中村、眞島、永瀬の3人を核にして、メグミオギタギャラリーの回では楠見清が、そして横浜美術館の回では木村絵理子がゲスト・コメンテーターとして参加しています。なお、当時横浜美術館では「奈良美智展」が開催されており、木村はその担当学芸員でもあり、 同シンポジウムは「奈良美智展」の関連企画として位置づけられました。 書籍化にあたり、上記2回のシンポジウムの記録が大幅に加筆されております。さらに各執筆者による書き下ろしの章が加わり、20世紀末の日本の美術を知るためのコラムも充実させ、インターネット普及前夜である当時の情報を多方向から知る貴重な本になっております。 [出版社より] 編著者|中村ケンゴ 著者|眞島竜男、永瀬恭一、楠見清、木村絵理子、小金沢智 出版社|ART DIVER 定価|1800円+税 判型|四六判 ページ数|288 ISBN|978-4-908122-01-9 刊行|2015年4月 Contents 第1部 1989―2001 『20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から』 中村ケンゴ+眞島竜男+永瀬恭一+楠見清 イントロダクション 1989(平成元)年 ―バブル経済とアーティスト/美術家自身による情報発信/『眼の神殿』の影響力 1990(平成2)年 ―西高東低 1991(平成3)年 ―ポップカルチャーとアート/シミュレーショニズム 1992(平成4)年 ―ネオ・ポップの台頭 1993(平成5)年 ―街中が発表の場となっていく/演劇と編集/ポリティカル・コレクトネス/キーファーに染まる 1994(平成6)年 ―新世代コマーシャルギャラリーの登場 1995(平成7)年 ―日本文化の転換点 1996(平成8)年 ―オルタナティブな活動/視ることのアレゴリー/『ぴあ』の時代のアート 1997(平成9)年 ―日本とアジアの美術 1998(平成10)年 ―『日本・現代・美術』刊行 1999(平成11)年 ―時代の体温展/セゾン現代美術館閉館へ 2000(平成12)年 ―スーパーフラット 2001(平成13)年 ―モダニズムvsポップ/80年代からゼロ年代の絵画空間の変遷 ネクストステップ コラム 「90年代のインディーズ・メディアと東京のアート・シーン──インターネット出現前夜のDIY的情報発信者たち」 楠見 清 「未知の空気の追体験――平成の日本美術形成史」 小金沢 智 「言葉の不在」 木村絵理子 第2部 1995―20XX 『20世紀末・日本の美術―何が語られ、何が語られなかったのか?』 中村ケンゴ+眞島竜男+永瀬恭一+木村絵理子 イントロダクション 1995(平成7)年 ―奈良美智とサブカルチャー/『モダニズムのハード・コア』 1996(平成8)年 ―「アトピックサイト」展が意味するもの 1997(平成9)年 ―大学でつくられる美術理論誌/日本美術の再評価が盛んに 1999(平成11)年 ―デパート美術館の相次ぐ閉館/美術系WEBサイトの黎明期 2000ー2001(平成12ー13)年 ―地方へと分散していくアートイベント 2002(平成14)年 ―大学における研究成果のオープン化/『芸術が終わったあとのアート』を読み直す/会田誠の表現とマイクロポリティクス/ゼロ年代のアート資本主義 2003(平成15)年 ―職業美術批評家不在の時代に/別のかたちで試みられる美術批評/誰が批評的発信をするのか/批評と共同体との関係性 ネクストステップ コラム 「美術館建築ワースト/ベスト1? 」 永瀬恭一 「アート系ウェブサイトの黎明期」 中村ケンゴ+永瀬恭一 「載録 大丈夫、あらゆる意味で誰も頼んでないから」 「ポストモダンなコンテンポラリー/現前するコンテンポラリー」 対談:眞島竜男×中村ケンゴ