SOLD OUT
20世紀末、つまり1989年からゼロ年代までの現代美術シーンを、中村ケンゴ、眞島竜男、永瀬恭一といった3人の作家の視点から語った書籍です。各年に起こったできごとを年表形式にまとめ、それを元に当時のアートシーンを振り返りながら、現在につながる表現の潮流や、アートマーケット、アーティスト・サヴァイバルについてなど、それぞれの体験を通して、今また新たな知見が得られないかを探ります。
さらに共著者には、80年代後半からゼロ年代にわたって『美術手帖』 の編集者としてアートシーンに関わった楠見清、「奈良美智」展など数々のキュレーションを手がける横浜美術館主任学芸員の木村絵理子、そして多彩な執筆活動、企画を行う小金沢智の3名。3人の作家とは違った立場と世代の共著者が参加するこことで、内容に厚みが増しています。
この企画は2012年に美術家・中村ケンゴの呼びかけによって開催されたシンポジウムが元になっています。同シンポジウムはメグミオギタギャラリーと横浜美術館において計2回開催されましたが、中村、眞島、永瀬の3人を核にして、メグミオギタギャラリーの回では楠見清が、そして横浜美術館の回では木村絵理子がゲスト・コメンテーターとして参加しています。なお、当時横浜美術館では「奈良美智展」が開催されており、木村はその担当学芸員でもあり、 同シンポジウムは「奈良美智展」の関連企画として位置づけられました。
書籍化にあたり、上記2回のシンポジウムの記録が大幅に加筆されております。さらに各執筆者による書き下ろしの章が加わり、20世紀末の日本の美術を知るためのコラムも充実させ、インターネット普及前夜である当時の情報を多方向から知る貴重な本になっております。
[出版社より]
編著者|中村ケンゴ
著者|眞島竜男、永瀬恭一、楠見清、木村絵理子、小金沢智
出版社|ART DIVER
定価|1800円+税
判型|四六判
ページ数|288
ISBN|978-4-908122-01-9
刊行|2015年4月
Contents
第1部 1989―2001
『20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から』
中村ケンゴ+眞島竜男+永瀬恭一+楠見清
イントロダクション
1989(平成元)年 ―バブル経済とアーティスト/美術家自身による情報発信/『眼の神殿』の影響力
1990(平成2)年 ―西高東低
1991(平成3)年 ―ポップカルチャーとアート/シミュレーショニズム
1992(平成4)年 ―ネオ・ポップの台頭
1993(平成5)年 ―街中が発表の場となっていく/演劇と編集/ポリティカル・コレクトネス/キーファーに染まる
1994(平成6)年 ―新世代コマーシャルギャラリーの登場
1995(平成7)年 ―日本文化の転換点
1996(平成8)年 ―オルタナティブな活動/視ることのアレゴリー/『ぴあ』の時代のアート
1997(平成9)年 ―日本とアジアの美術
1998(平成10)年 ―『日本・現代・美術』刊行
1999(平成11)年 ―時代の体温展/セゾン現代美術館閉館へ
2000(平成12)年 ―スーパーフラット
2001(平成13)年 ―モダニズムvsポップ/80年代からゼロ年代の絵画空間の変遷
ネクストステップ
コラム
「90年代のインディーズ・メディアと東京のアート・シーン──インターネット出現前夜のDIY的情報発信者たち」 楠見 清
「未知の空気の追体験――平成の日本美術形成史」 小金沢 智
「言葉の不在」 木村絵理子
第2部 1995―20XX
『20世紀末・日本の美術―何が語られ、何が語られなかったのか?』
中村ケンゴ+眞島竜男+永瀬恭一+木村絵理子
イントロダクション
1995(平成7)年 ―奈良美智とサブカルチャー/『モダニズムのハード・コア』
1996(平成8)年 ―「アトピックサイト」展が意味するもの
1997(平成9)年 ―大学でつくられる美術理論誌/日本美術の再評価が盛んに
1999(平成11)年 ―デパート美術館の相次ぐ閉館/美術系WEBサイトの黎明期
2000ー2001(平成12ー13)年 ―地方へと分散していくアートイベント
2002(平成14)年 ―大学における研究成果のオープン化/『芸術が終わったあとのアート』を読み直す/会田誠の表現とマイクロポリティクス/ゼロ年代のアート資本主義
2003(平成15)年 ―職業美術批評家不在の時代に/別のかたちで試みられる美術批評/誰が批評的発信をするのか/批評と共同体との関係性
ネクストステップ
コラム
「美術館建築ワースト/ベスト1? 」 永瀬恭一
「アート系ウェブサイトの黎明期」 中村ケンゴ+永瀬恭一
「載録 大丈夫、あらゆる意味で誰も頼んでないから」
「ポストモダンなコンテンポラリー/現前するコンテンポラリー」 対談:眞島竜男×中村ケンゴ
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