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空をゆく巨人

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現代美術の世界的スーパースター蔡國強と、世界最大99000本の桜を植える福島の男。夢に挑み続けるふたりの“巨人”の奇跡の実話。

福島県いわき市の実業家・志賀忠重と、中国福建省出身の世界的現代美術家、蔡國強。二人は、1980年代にいわきで出会い、数々の驚くべき「作品」を生み出してきた。砂浜に埋もれた木造船を掘り出した作品、海に導火線を置いて走らせた炎……蔡が描いたスケッチを、日頃アートに縁のない志賀らが頭と体を使って形にしていく――いわきは蔡が世界に羽ばたくきっかけとなった。

そんな二人の最大の作品が、東日本大震災後に制作した「いわき回廊美術館」だ。美術館周辺の山々では、志賀が、99,000本の桜を250年かけて植樹する「いわき万本桜プロジェクト」を進めている。原発という「負の遺産」を残したことを激しく悔いて、未来のいわきを世界に誇れる場所にするために。

二人の「巨人」の足跡を辿りながら、美術、ひいては「文化」というものの底力を問う。こんな時代だからこそ伝えたい、アートと人間の物語。読み終えたあと、一歩を踏み出す勇気が湧いてくる! 第16回開高健ノンフィクション賞受賞作。
[出版社より]


「ひとりの人間が出来ることなど、たかだか知れている。しかし、ふたりになると奇跡が起こる。中国福建省出身の蔡國強と福島県いわきの会社経営者志賀忠重。ふたりは、80年代末にいわきで出会い、数々の作品を生み出して来た。そして、蔡國強は、現代美術の世界的なスーパースターになった。ぼくは、この話を他人事として読むことは出来なかった。蔡國強と宮崎駿が折り重なった」
——鈴木敏夫[スタジオジブリ]


著 者|川内有緒
出版社|集英社
定 価|1,700円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|372

ISBN|978-4-08-781671-6
初 版|2018年11月


Contents
生まれながらの商売人―いわき・一九五〇年
風水を信じる町に生まれて―泉州・一九五七年
空を飛んで、山小屋で暮らす―サンフランシスコ・一九七六年
爆発する夢―泉州・一九七八年
ふたつの星が出会うとき―東京・一九八六年
時代の物語が始まった―いわき・一九九三年
キノコ雲のある風景―ニューヨーク・一九九五年
最果ての地―レゾリュート・一九九七年
氷上の再会―レゾリュート・一九九七年
旅人たち―いわき・二〇〇四年
私は信じたい
怒りの桜
龍が駆ける美術館
夜桜
空をゆく巨人


Author
川内 有緒 Ario Kawauchi
1972年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業後、米国ジョージタウン大学で修士号を取得。米国企業、日本のシンクタンク、仏の国連機関などに勤務後、フリーのライターとして評伝、旅行記、エッセイなどを執筆。その傍ら小さなギャラリーも運営。『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』で、第33回新田次郎文学賞を受賞。著書に『パリでメシを食う。』、『パリの国連で夢を食う。』、『晴れたら空に骨まいて』など。

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