増補改訂 アンチ・アクション——日本戦後絵画と女性の画家
¥1,870
ふたたび遭遇する。
戦後、歴史の中で見落とされていった女性の美術家たち。彼女らを再解釈し、美術史の書き換えを行った画期的著作。補論を付して更なる復権を試みる。
ー
日本と米国の間にある文化的政治的関係をくぐり抜け、極めて先進的な表現を行った草間彌生。消費と創造への人々の関心を作品の中で両立させた田中敦子。「捺す」という技法によって特殊な作者性を主張した福島秀子。アンフォルメルとアクション・ペインティングが席捲する1950-60年代の日本において、彼女たちはそれらにどう抵抗し、自らの作品を創り上げたか——。
戦後の批評言説を再検証しながら、フェミニズム的概念「アンチ・アクション」を通して、もうひとつの美術史を記述する。サントリー学芸賞受賞作を改訂し、多田美波の実践から「ポスト・アクション」に迫った補論を付して文庫化。
[出版社より]
著 者|中嶋泉
出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫]
定 価|1,700円+税
判 型|文庫判・並製
頁 数|560
ISBN|978-4-480-51319-9
発 行|2025年09月
contents
はじめに——フェミニズム美術史に向けて
第1章 「日本戦後美術史」とジェンダー
1 美術とジェンダー——「日本戦後美術史」とアンフォルメル
2 「アンフォルメル」と戦後の批評
3 「 アンフォルメル旋風」と戦後美術の再ジェンダー化——「アンフォルメル」から「アクション・ペインティング」へ
4 日本戦後美術史のジェンダーを問うために
第2章 「アンチ・アクション」に向けて——戦後美術と女性
1 戦後美術と新人女性
2 「戦前の父」と「戦後の娘」
3 「女らしい」画家からアンフォルメル画家へ
4 批評の再ジェンダー化と戦後社会のなかの女性美術家
5 「アンチ・アクション」——フェミニズム美術史としての批評の可能性
第3章 草間彌生の「インフィニティ・ネット」――政治的に
1 「線」の変遷——「アンフォルメル以前」の一つの物語
2 「インフィニティ・ネット」へ
第4章 抽象の方法——田中敦子の「円と線の絵画」と戦後の物質文化
1「具体」と物質—— 田中の場合
2 田中の「構成」と戦後の物質文化
3 「円と線の絵画」
第5章 福島秀子の「捺す」絵画と人間のイメージ
1 福島秀子の絵画——顔と人間
2 顔の思想と戦後抽象絵画
3 捺す絵画と福島の「人」——《ホワイトノイズ》へ
補 論 多田美波の「皺」——「ポスト・アクション」の表現として
1 はじめに
2 途中の前置き——「アクション」の行末
3 多田美波と素材——アクリルとアルミニウムまでの道筋
4 新しい素材と女性の彫刻家
5 環境芸術とライトアート——ポスト・アクションの美術として
6 多田の行為と素材
7 多田美波のリンクル=皺の思想
おわりに
文庫版あとがき
Author
中嶋 泉 Izumi Nakajima
大阪大学大学院人文学研究科准教授。国際基督教大学卒業。リーズ大学大学院美術史学研究科修士課程修了、カリフォルニア大学バークレー校にて客員研究員、一橋大学大学院言語社会研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。専門分野は近現代美術、フェミニズム美術、ジェンダー理論。日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ共同代表も務める。論考に、「ニューヨークと草間彌生―― 一九五九年と一九八九年の批評から見る」『ニューヨーク 錯乱する都市の夢と現実』(田中正之編、竹林舎)所収など。
戦後、歴史の中で見落とされていった女性の美術家たち。彼女らを再解釈し、美術史の書き換えを行った画期的著作。補論を付して更なる復権を試みる。
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日本と米国の間にある文化的政治的関係をくぐり抜け、極めて先進的な表現を行った草間彌生。消費と創造への人々の関心を作品の中で両立させた田中敦子。「捺す」という技法によって特殊な作者性を主張した福島秀子。アンフォルメルとアクション・ペインティングが席捲する1950-60年代の日本において、彼女たちはそれらにどう抵抗し、自らの作品を創り上げたか——。
戦後の批評言説を再検証しながら、フェミニズム的概念「アンチ・アクション」を通して、もうひとつの美術史を記述する。サントリー学芸賞受賞作を改訂し、多田美波の実践から「ポスト・アクション」に迫った補論を付して文庫化。
[出版社より]
著 者|中嶋泉
出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫]
定 価|1,700円+税
判 型|文庫判・並製
頁 数|560
ISBN|978-4-480-51319-9
発 行|2025年09月
contents
はじめに——フェミニズム美術史に向けて
第1章 「日本戦後美術史」とジェンダー
1 美術とジェンダー——「日本戦後美術史」とアンフォルメル
2 「アンフォルメル」と戦後の批評
3 「 アンフォルメル旋風」と戦後美術の再ジェンダー化——「アンフォルメル」から「アクション・ペインティング」へ
4 日本戦後美術史のジェンダーを問うために
第2章 「アンチ・アクション」に向けて——戦後美術と女性
1 戦後美術と新人女性
2 「戦前の父」と「戦後の娘」
3 「女らしい」画家からアンフォルメル画家へ
4 批評の再ジェンダー化と戦後社会のなかの女性美術家
5 「アンチ・アクション」——フェミニズム美術史としての批評の可能性
第3章 草間彌生の「インフィニティ・ネット」――政治的に
1 「線」の変遷——「アンフォルメル以前」の一つの物語
2 「インフィニティ・ネット」へ
第4章 抽象の方法——田中敦子の「円と線の絵画」と戦後の物質文化
1「具体」と物質—— 田中の場合
2 田中の「構成」と戦後の物質文化
3 「円と線の絵画」
第5章 福島秀子の「捺す」絵画と人間のイメージ
1 福島秀子の絵画——顔と人間
2 顔の思想と戦後抽象絵画
3 捺す絵画と福島の「人」——《ホワイトノイズ》へ
補 論 多田美波の「皺」——「ポスト・アクション」の表現として
1 はじめに
2 途中の前置き——「アクション」の行末
3 多田美波と素材——アクリルとアルミニウムまでの道筋
4 新しい素材と女性の彫刻家
5 環境芸術とライトアート——ポスト・アクションの美術として
6 多田の行為と素材
7 多田美波のリンクル=皺の思想
おわりに
文庫版あとがき
Author
中嶋 泉 Izumi Nakajima
大阪大学大学院人文学研究科准教授。国際基督教大学卒業。リーズ大学大学院美術史学研究科修士課程修了、カリフォルニア大学バークレー校にて客員研究員、一橋大学大学院言語社会研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。専門分野は近現代美術、フェミニズム美術、ジェンダー理論。日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ共同代表も務める。論考に、「ニューヨークと草間彌生―― 一九五九年と一九八九年の批評から見る」『ニューヨーク 錯乱する都市の夢と現実』(田中正之編、竹林舎)所収など。