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時代に理解されぬまま時代を征服した織田信長。大人の賢しらさを憎み、悪評を物ともせず、合理主義に徹した少年が、長じて東の大国・今川を迎え撃つにいたる27歳までを描く。戦後7年を経た1952年に夕刊紙「新大阪」に連載した歴史長篇。
[出版社より]
「大人というものは、とかく考えが多すぎて、出来ることも、みすみすすくんで、こわしてしまう」
——織田信長(本書主人公)
「時代と全然かけ離れた独創的な個性は珍しくないかも知れぬが、それが時代に圧しつぶされずに、時代の方を圧しつぶした例は珍しいようだ。理解せられざるままに時代を征服した」
——坂口安吾
「史実と史実との間を縫って氏一流の史観を展開していく坂口氏の取り扱いはすこぶる見事である」
——井上靖(「日本読書新聞」1953年6月22日)
著 者|坂口安吾
出版社|土曜社[土曜文庫]
定 価|895円+税
判 型|文庫判
頁 数|376
ISBN|978-4-907511-51-7
初版|2017年9月
Contents
作者のことば
美濃の古蝮
大馬鹿少年
珍童独立
蝮の愛情
喧嘩と戦争
味方は蝮一匹
火の林
マムシ老残
マムシ敗れたり
マムシの死後
最悪の時
星の誕生
見損じた人々
ニセ手紙
桶狭間
Author
坂口安吾 Ango Sakaguchi
小説家。本名は炳五(へいご)。新潟市西大畑町に生まれる。幼稚園の頃より不登校になり、餓鬼大将として悪戯のかぎりを尽くす。1926(大正15)年、求道への憧れが強まり、東洋大学印度哲学科に入学するも、過酷な修行の末、悟りを放棄する。
1930(昭和5)年、友人らと同人雑誌「言葉」を創刊、翌年6月に発表した「風博士」を牧野信一に絶賛され、文壇の注目を浴びる。その後、「紫大納言」(1939年)などの佳作を発表する一方、世評的には不遇の時代が続いたが、1946(昭和21)年、戦後の本質を鋭く把握洞察した「堕落論」、「白痴」の発表により、一躍人気作家として表舞台に躍り出る。
戦後世相を反映した小説やエッセイ、探偵小説、歴史研究など、多彩な執筆活動を展開する一方、国税局と争ったり、競輪の不正事件を告発したりと、実生活でも世間の注目を浴び続けた。1955(昭和30)年2月17日、脳溢血により急死。享年48歳。小説の代表作は「紫大納言」「真珠」「白痴」「桜の森の満開の下」「夜長姫と耳男」など。エッセイの代表作は「FARCEに就て」「文学のふるさと」「日本文化私観」「堕落論」「教祖の文学」など。
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