「生まれてこないほうがよかった」という思想は、人類二五〇〇年の歴史をもつ。本書では、古代ギリシアの文学、古代インドの宗教哲学、ブッダの原始仏教、ゲーテやショーペンハウアー、ニーチェなど近代の文学と哲学、そして「誕生害悪論」を説くベネターら現代の分析哲学を取り上げ、徹底的に考察。人間がこの世に生まれてくることは誤りであり、生まれてこないようにしたほうがよいとする反出生主義を世界思想史の中に位置づけ、その超克の道を探っていく。反出生主義の全体像が分かる本邦初の書である。
[出版社より]
著 者|森岡正博
出版社|筑摩書房[筑摩選書]
定 価|1,800円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|368
ISBN|978-4-480-01715-4
初 版|2020年10月
Contents
第1章 「おまえは生きなければならない!」
第2章 誕生は害悪なのか
第3章 ショーペンハウアーの反出生主義
第4章 輪廻する不滅のアートマン
第5章 ブッダは誕生をどう考えたのか
第6章 ニーチェ―生まれてきた運命を愛せるか
第7章 誕生を肯定すること、生命を哲学すること
Author
森岡 正博 Masahiro Morioka
1958年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得(倫理学)。現在、大阪府立大学教授。人文諸科学を横断しつつ、自らを棚に上げない思考を展開。生命学の提唱者にして哲学者。著書に『生命学への招待』『生命学に何ができるか』(以上、勁草書房)、『生命観を問いなおす』(ちくま新書)、『宗教なき時代を生きるために』『増補決定版・脳死の人』(以上、法藏館)、『無痛文明論』『生命学をひらく』(トランスビュー)、『草食系男子の恋愛学』(メディアファクトリー)、『生者と死者をつなぐ』(春秋社)などがある。
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