SOLD OUT
ゾンビを通した現代社会論の白眉。
われわれはなぜゾンビに魅了されるのか。なぜ彼らに襲われ、世界が崩壊するさまを何度も描き出してしまうのか。映画をはじめ多様なコンテンツに溢れるゾンビを、現代社会を生きる人々の欲望の徴候と捉え、カント、フロイト、アガンベン、ディディ=ユベルマン、クリステヴァなど豊富な思想的ツールを動員し、様々な切り口と角度から論じる、ゾンビを通した現代社会論の白眉。
「ゾンビは、風変わりなガイドであった。そのゆっくりとした、引きずるような足取りや、徘徊やためらいについてゆくことからわれわれは、現代をめぐる複雑で多義的なイメージを受け取ってきた。その眼に映し出すことによって、また、そのメタファーを書き換えなおすことによってさえ、ゾンビはわれわれに、とりわけ陰鬱な、ほとんどたがのはずれた世界を提示するのである。ここから、ゾンビとは流行の影響を受けたものというよりも、時代の、その問いや疑いの影響を受けたものであることがわかる。そのとき、われわれにとって身近な映画におけるゾンビの存在は、別の意味を帯びるようになる。それはいまや、気晴らしから徴候になりうるのである。」(本書より)
[出版社より]
著 者|マキシム・クロンブ
訳 者|武田宙也・福田安佐子
出版社|人文書院
定 価|2,400円+税
判 型|四六判/上製
頁 数|200
ISBN|9784409031032
初 版|2019年07月
Contents
謝辞
試みとしてのゾンビ
モチーフ
ハイチのゾンビ
一九六〇年代のゾンビ
伝染病としてのゾンビ
進化と変化
分身
現実が横滑りするとき
類似
ゾンビの内的世界
近代性の心的外傷
ワニスの下には怪物が
聖なる人間(ホモ・サケル)
懐疑と反人間主義
怪物
「死、いたるところに死が」
アブジェクト
死の否認
亡霊からゾンビへ
肉の否認
グロテスクな形象としてのゾンビ
夢見る代わりにストレスを解消すること
アポカリプス
崇高と廃墟
矛盾と理念
崇高の意味――世界の終末の反芻
好奇心とストレス解消
死の欲動とストレス解消
フィクションを通じてストレスを解消すること
開示
日本語版への著者あとがき──ゾンビと日本
訳者解説
訳者あとがき
人名索引
Author
マキシム・クロンブ Maxime Coulombe
1978年生。ラヴァル大学人文学部教授。専門は社会学、美術史。『ゾンビの小哲学』以外の著書に以下がある。Imaginer le posthumain. Sociologie de l'art et archéologie d'un vertige, Québec, Presses de l’Université Laval, 2009〔『ポストヒューマンを想像すること 芸術社会学と眩暈の考古学』〕 ; Le monde sans fin des jeux video, Paris, Puf, 2010.〔『ビデオゲームの果てしない世界』〕 ; Orlan. L'identité violente, Saarbrücken, Éditions universitaires européennes, 2010.〔『オルラン 強烈なアイデンティティ』〕
Translator
武田 宙也 Hironari Takeda
1980年生。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学、美学。著書に『フーコーの美学 生と芸術のあいだで』(人文書院、2014)、共訳書にエスポジト『三人称の哲学』(講談社選書メチエ、2011)、ウリ『コレクティフ』(月曜社、2017)がある。
福田 安佐子 Asako Fukuda
1988年生。国際ファッション専門職大学国際ファッション学部助教。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程研究指導認定退学。専門はホラー映画史、表象文化論、身体論。おもな論文に「ゾンビ映画史再考」(『人間・環境学』第25号、2016)、「ゾンビはいかに眼差すか」(『ディアファネース 芸術と思想』第4号、2017)、「呪いは電波にのって スティーヴン・キングのゾンビと「見えないもの」」(『ユリイカ』2017年11月号)、共訳書にブライドッティ『ポストヒューマン』(フィルムアート社、2019)がある。
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