近代文明こそ、ホロコーストの必要条件であった―。官僚制、合理主義、進歩主義、分類といった近代的諸要素が、暴力を独占し、社会的制約を受けない権力のもとで結びついたときはじめて、ホロコーストは可能となる。

アーレント、レヴィナス、ヒルバーグ、ミルグラムなど諸分野の先行研究を傍に、社会学の視点から近代の「裏面」を抉り、ホロコーストが近代論、文明論、ひいては社会理論に突きつけた批判は、今なお十分に検証されていないことを明るみにして思想界に衝撃を与えたバウマンの主著。文庫化に際して訳文を大幅に改訂し、著者による「二〇〇〇年版へのあとがき」を加えた。
［出版社より］


著　者｜ジグムント・バウマン
訳　者｜森田典正
出版社｜筑摩書房［ちくま学芸文庫］
定　価｜1,600円＋税
判　型｜文庫版／並製
頁　数｜497

ISBN｜9784480510211
刊　行｜2021年04月


Contents
１　序章　ホロコースト以降の社会学
２　近代、人種主義、殲滅１
３　近代、人種主義、殲滅２
４　ホロコーストのユニークさと通常性
５　犠牲者の協力を請うて
６　服従の倫理―ミルグラムを読む
７　道徳の社会学的理論に向けて
８　再考―理性と羞恥
補遺　道徳の社会的操作―道徳的行為者、無関心行動
記憶する義務しかし何を？―二〇〇〇年版へのあとがき


Author
ジグムント・バウマン　Zygmunt Bauman
1925-2017年。社会学者。ポーランド生まれ。ワルシャワ大学教授、テルアヴィヴ大学教授などを経て、７１年英国リーズ大学教授。アマルフィ賞、アドルノ賞、アストゥリアス皇太子賞受賞

Translator
森田 典正　Norimasa Morita
1956年生まれ。早稲田大学国際教養学部教授