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「広小路くんの耳」より抜粋
広小路くんは
耳の後方に
もう一つずつ耳が付いている
それは人間の皮膚というよりか
白いウサギの毛のようで
とても小さいのだけれど
それがあるゆえに
彼は生きづらいらしかった
職場で
他の人には聞こえない音が聞こえる
と言う
何の音ですか?
と聞くのだが
周りの人には何の音も聞こえない
最初はみんなも何の音だろう、と
発信源を探したけれど
結局何の音だかわからないので
反応する人がいなくなった
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[出版社より]
著 者|あわやまり
出版社|七月堂
定 価|1,400円+税
判 型|A5変型判/並製
頁 数|128
ISBN|978-4879444677
初 版|2021年09月
Contents
広小路くんの耳
水玉さんと小さい子
フクロウ先輩とネイル
春風さんといちごみるく
リスのさみしさ積立て
貝充電器とハラヘリ
その日だけの時計屋
抜け殻部長
つぶれた草餅のエール
記憶クッキー
Author
あわやまり
神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部中途退学、阿佐ヶ谷美術専門学校卒業。2003年、神奈川新聞文芸コンクール 現代詩部門最優秀賞受賞。詩集に「ぼくはぼっちです」(たんぽぽ出版)、「傘から、ぽろぽろ」(志木電子書籍)、「線香花火のさきっぽ」(志木電子書籍)がある。「一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある」(PHP研究所)、「中高生とよみたい日本語を楽しむ100の詩」(たんぽぽ出版)、「小学生で出会っておきたい55の言葉」(PHP研究所)などにも詩が掲載される。
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