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まだ時間はあるのです。
世界が終わる瞬間にはゆっくりと
たどり着くはずだから。
幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の住居で少年ナギと出会う。「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい」。そう繰り返す母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え、暴力に飲み込まれていくナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとは――。
誰かを思う気持ち、拒む気持ち、責任、放棄、やすらぎ、恐れ……。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。
第23回大山文学賞受賞作。
[出版社より]
著 者|ファン・ジョンウン
訳 者|オ・ヨンア
出版社|晶文社
定 価|1,800円+税
判 型|四六判/上製
頁 数|276
ISBN|978-4-7949-7193-7
初 版|2020年12月
Author
ファン・ジョンウン Hwang Jeong-eun/황정은
1976年、ソウル生まれ。2005年、短編「マザー」で作家活動を始める。08年、最初の短編集『7時32分 象列車』を発表すると、現実と幻想をつなぐ個性的な表現方法が多くの人の心を捉える。10年、最初の長編小説『百の影』で韓国日報文学賞を受賞。以降、12年『パ氏の入門』で申東曄文学賞、14年短編「誰が」で李孝石文学賞、15年『続けてみます』で大山文学賞、17年中編「笑う男」で金裕貞文学賞など、名だたる文学賞を受賞している。邦訳された作品に『誰でもない』(斎藤真理子訳、晶文社)、『野蛮なアリスさん』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、『ディディの傘』(斎藤真理子訳、亜紀書房)がある。
Translator
オ・ヨンア 呉永雅
翻訳家。在日コリアン三世。慶應義塾大学卒業。梨花女子大学校通訳翻訳大学院博士課程修了。2007年、第7回韓国文学翻訳新人賞受賞。梨花女子大学校通訳翻訳大学院講師、韓国文学翻訳院翻訳アカデミー教授。訳書にウン・ヒギョン『美しさが僕をさげすむ』、キム・ヨンス『世界の果て、彼女』、チョ・ギョナン『風船を買った』(以上、クオン)、イ・ラン『悲しくてかっこいい人』(リトルモア)、ハ・テワン『すべての瞬間が君だった』(マガジンハウス)、パク・サンヨン『大都会の愛し方』(亜紀書房)がある。
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