民主主義や法の支配が失われ、リベラルな国際秩序が失われつつある世界はどこに向かうのか?
日本を代表する知性を結集し、再び動き始めた「地理」と「歴史」で世界を理解する視座を提示。
「ポスト・マッキンダー」時代の地政学を示す。
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トランプ米大統領が進める「アメリカ・ファースト」の政策や、中国の急速な軍備増強、ブレグジットなどによって、世界政治の不透明性が増している。
そもそも冷戦後の世界は、リベラルな国際秩序が発展し、また民主主義や法の支配、人権というような普遍主義的な価値が世界に拡大してくことが想定されていた。しかしそのような楽観的な国際秩序観はいまや後退し、世界のそれぞれの地域で、力がものをいう地政学が回帰している。
地政学の視座は、戦後長い期間、日本では忘れられていた。他方で、グローバル化が進み、相互依存が進展した現在における地政学は、一世紀前にイギリスの地理学者マッキンダーが想定していたものとは似て非なるものである。
本書では、それを「新しい地政学」と称して、そのような「新しい地政学」の誕生と、それにともなう国際秩序の変化を、当代気鋭の研究者たちが様々な角度から明らかにしていく。
[出版社より]
編 者|北岡伸一・細谷雄一
出版社|東洋経済新報社
定 価|2,400円+税
判 型|四六判/上製
頁 数|424
ISBN|9784492444566
初 版|2020年02月
Contents
序 章 古い地政学と新しい地政学(北岡伸一)
<第Ⅰ部 理論的に考える>
第1章 新しい地政学の時代へ――冷戦後における国際秩序の転換(細谷雄一)
第2章 武器としての経済力とその限界――経済と地政学(田所昌幸)
第3章 国際紛争の全体図と性格――紛争解決と地政学(篠田英朗)
<第Ⅱ部 規範・制度で考える>
第4章 人権の普遍性とその濫用の危険性――人権概念の発展と地政学(熊谷奈緒子)
第5章 国際協力という可能性――グローバル・ガバナンスと地政学(詫摩佳代)
<第Ⅲ部 地域で考える>
第6章 プーチンのグランド・ストラテジーと「狭間の政治学」――ロシアと地政学(廣瀬陽子)
第7章 「アフリカの角」と地政学(遠藤 貢)
第8章 「非国家主体」の台頭と「地域大国」――中東と地政学(池内 恵)
終 章 中曽根康弘の地政学――1950年の世界一周旅行(北岡 伸一)
Author
北岡 伸一 Shinichi Kitaoka
1948年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。専門は日本政治外交史。立教大学教授、東京大学教授、国連大使、政策研究大学院大学教授、国際大学学長などを経て、現職。2011年、紫綬褒章。著書に『清沢洌』(中公新書、サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(中公叢書、読売論壇賞受賞)、『自民党』(読売新聞社、吉野作造賞受賞)など。
細谷 雄一 Yuichi Hosoya
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は国際政治学・外交史。北海道大学法学部専任講師、敬愛大学国際学部専任講師を経て現職。著書に『戦後国際秩序とイギリス外交』(創文社、サントリー学芸賞受賞)、『倫理的な戦争』(慶應義塾大学出版会、読売・吉野作造賞受賞)、『戦後史の解放(Ⅰ・Ⅱ)』(新潮社)など。
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