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めぐりあうものたちの群像

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音楽が鳴っていた。そして人々は出会い、すれちがった。

鶴見良行『ナマコの眼』、山口昌男「『敗者』三部作」の手法を継承し発展させた独自の「連鎖的記述」から浮かび上がる、無数の生きられた時間/瞬間。12年の歳月をかけて結実した画期的な戦後史/ポピュラー音楽研究にして、瞠目すべき記録文学の誕生。

1945年8月28日、米陸軍第11空挺師団の先遣隊が神奈川県厚木飛行場に到着し、日本「本土」占領は始まった。以来、全国各地に米軍関係施設が置かれ、米軍地上戦闘部隊が「本土」から撤退する1958年まで、数百万人以上の米軍将兵たちが来日することになる。

著者はこれまで見過ごされてきた米軍将兵の滞日経験、とりわけ音楽におけるそれに注目し、精力的なインタビュー調査(日本の音楽・芸能関係者と米軍退役者、計150名以上)および文献調査(同時代の新聞、雑誌、写真、地図、回想録などの関係諸資料)をおこなった。本書には、当時の貴重な写真ほか100点を超える図版を収録している。
[出版社より]


著 者|青木深
出版社|大月書店
定 価|5,200円+税
判 型|四六判/上製
頁 数|608

ISBN|9784272520862
初 版|2013年03月


Contents
読者の方へ、謝辞とともに
凡例
日本「本土」の米軍基地所在図1945-1958
本書に登場する主な都市の市街図

前口上
 一 米軍将兵と慰問楽団――題材
 二 生きられた時間/瞬間――問い
 三 去来と交差を辿る――方法
 四 「本土」の米軍基地――地政学的概要

[本篇]

A篇
 一 「リビエラ」、海上ビル
 二 「ティーラザーキ」、富士屋ホテル
 三 有楽ホテル、マックネア劇場
 四 アコーディオン、「いく代」、落下傘降下訓練
    間奏[挿話1]イーストLAの日章旗
 五 真駒内でハワイアン、仙台でビール、福岡へ搬送
 間奏[注記1]芸能社――米軍慰問の仲介斡旋業
 六 「中井末雄と東京ハリウッド」
 七 八戸、「蛍の光」、花柳芸能社
 間奏[挿話2]復讐と昼食
 八 「日本の幻想」、『ミカド』、「ニューヨーカー/エーワン」
 九 GHQスペシャル・サービス分遣隊
 間奏[解説1]米国のカルメン・ミランダ
 一〇 日本演芸社と「ギンザ・バラエティーズ」
 一一 なぎさホテル、「ハット・メス」、エチオピア兵
 一二 「ヨコハマ・クラブ」にやって来た
 一三 ハーレムへ、礼拝へ
 間奏[挿話3]「パレイディアム」で踊った
 一四 閉鎖病棟、翁家小若連、築地の運河
 一五 第一五五駐屯地病院、「ゴゥテンバー」
 間奏[注記2]米陸軍における人種分離と人種統合
 一六 「ワルツィング・マチルダ」、「マオリズ・フェアウェル」、「シナの夜」
 間奏[挿話4]「タガタガタンタンタンタンタン」
 一七 針尾島、過越祭、渡辺はま子
 一八 「クロスロード」、コロニアル・オーケストラ
 一九 キャンプ岐阜の黒人兵たち
 二〇 板付の滑走路にて
 二一 春日原と白木原
 間奏[挿話5]「リバーサイド」に卸した酒は
 二二 若松の「アワオドリ」、中野別邸の大イチョウ、合板の弦ベース
 二三 飯山茂雄のスイング・クラブ
 二四 「鶴清」、「平野家」、北野劇場
 二五 寺嶋玉章、東京電気ビル、塩屋
 二六 大阪で戦時休暇を過ごす
 間奏[挿話6]ボビー・サチコと
 間奏[解説2]米兵相手の買売春
 二七 中川ツルーパーズ、星野みよ子、ワシントン・ハイツ
 二八 レネ・パウロと交差して
 二九 「ロッカー・フォー・クラブ」
 三〇 東京キューバン・ボーイズとザビア・クガート楽団
 間奏[注記3]米軍放送
 三一 第二九三軍楽隊、ウエスタン・ローズ、JTB
 三二 英連邦軍の将兵たち
 三三 江田島と岩国
 間奏[挿話7]鯨油、火鉢、自転車、ソロバン
 三四 熊本のプエルトリコ兵、浜野福司とレインボー、上海のウェザーフォード
 三五 「青空」と「ダイナ」、日本郵船ビル、南里文雄
 間奏[解説3]「上海帰り」
 三六 「キモノ」、「メリーゴールド」、横浜港
 三七 「フォリナース・クラブ」、「ハーレム・クラブ」、ナビル・トーター
 三八 オスカー・ペティフォード、「鈴木のトシちゃん」、「リズム社」
 三九 USOクラブ、「RAAビアホール」、マウンテン・ボーイズ
 四〇 「ヨルレイッキオー」、バンジョー、操り人形
 四一 立川の営門、ジョニー・メンドーサ、三沢の宿舎
 四二 「オアシス・オブ・ギンザ」を去来する
 間奏[挿話8]ジョージ小林とラムゼイ菱沼
 四三 野村ホテル、佐竹旅館、浮島丸
 四四 慶應義塾大学日吉校舎、「キャバレー・オリンピック」、横須賀EMクラブ
 四五 朝鮮戦争の横須賀
 間奏[挿話9]「胡蝶の舞」あるいは「浮かれの蝶」
 四六 格付審査会、ギロチンと大根、キャンプ大津
 四七 奈良と大阪で
 四八 キャンプ堺、アダム・コバチ、ダドリー・マナーズ
 四九 鍋島邸、ドリフターズ、ジョイ・シスターズ
 五〇 三信ビル、ニコライ堂、東神奈川
 間奏[挿話10]カマボコ兵舎の礼拝堂
 五一 病室慰問の「紙切り」芸、中国から来た奇術師たち、御殿場でランチェーラ
 五二 クイーン・シスターズとアリス・ヒガ

B篇
 一 「リビエラ」、東京放送会館
 二 ジョニー・ベイカー、「東山ダンスホール」
 三 マリアノ・マウラウィン、ステイトサイド劇場
 四 ニック・ニシモトと共に
 間奏[挿話1]「たくさん二世が、入っておるね」
 五 「美松」、「グランド京都」、「カラサワ」
 六 大阪キューバン・ボーイズ、「パピー」、羽田飛行場
 七 ジェリー栗栖、引地川、船上のマンドリン
 間奏[解説1]軍事基地と朝鮮人労働者
 八 相鉄線に乗って
 九 Qいしかわと「スクールボーイ」・ポーター
 間奏[挿話2]「ブァッ、ブァッ、ブァー、バッッ」
 一〇 玉川上水、グラント・ハイツ、雅叙園観光ホテル
 一一 ブルース相田、日劇ダンシング・チーム、浅草のダンサー
 間奏[注記1]占領終結後の芸能社
 一二 「燦めく星座」、「スリーピー」、ローガン
 一三 デキシーランダーズ、富永ハル、「中央クラブ」
 間奏[挿話3]約五〇歳のおみくじ
 一四 デ・コトー、ジョー・ネズバッド、「400クラブ」
 一五 ウィリー沖山、キャロライナ・コットン、帰休地のシャワー
 一六 白雲楼、朝霞、相浦
 一七 佐世保と朝鮮戦争
 一八 「すばらしいママさん」、豊来家宝楽、三浦奈美子
 間奏[挿話4]佐世保からサンディエゴまで
 一九 「ダヒル・サヨ」を奏でて
 二〇 如水会館、明治ホテル、「ペスタナさん!」
 二一 「サクラポート」と「ニューヨーカー」
 二二 横浜中華街
 二三 「キミコ」、ジョージ島袋、アーチスト・クラブ
 間奏[挿話5]「どこ行くの」
 二四 田村大三、スティルウェル劇場、「白馬車」
 二五 日比谷公会堂、「レッド・ホット・アンド・ブルース」、伊勢丹百貨店
 二六 「オクラホマブーム」の周辺
 二七 オクタゴン劇場を去来する
 二八 芦田満とヤスシ、三井倶楽部とサンフランシスコ
 間奏[注記2]日系二世の歌手たち
 二九 ショー・トーキャンズを通過して
 三〇 「ゴメンナサイ」と「銀座カンカン娘」、日本刀とライフル
 三一 広島の地面、木川かえるの記憶
     間奏[挿話6]ジャズ漫画
 三二 呉羽栄治、ラクヨー・ホテル、キャンプ・フィッシャー
 三三 「ビッグ富士」、リトアニア、団扇太鼓
 三四 「コーヌコピア」、「アイム・ムービング・オン」、JIMMACHI STATION
     間奏[解説2]各州からの入隊者
 三五 唐辛子とジープとトルティーヤ
     間奏[挿話7]触った、食べた、見た、聴いた
 三六 カリフォルニア州兵師団の軍楽隊
 三七 トミー・モーゼス、早朝礼拝、神港ビル
 三八 神戸の色、「夏のおどり」、餅の曲つき
 三九 アーニー・パイル劇場と帝国ホテル
 四〇 リンダ・ホプキンス、志賀高原ホテル、益田シクステット
 四一 預かったレコード、鯉のぼり、桜の木の下
 四二 東京YMCA、ベイ・ビュー、「ゴールデン・ドラゴン」
 四三 アメリコ・パレーデスと交差して
     間奏[挿話8]「国境なきバラッド」展にて
 四四 「ジプシーの嘆き」とコリード
     間奏[解説3]「グレゴリオ・コルテス」と「リンゴの唄」
 四五 暁テル子、「ペティート」、ジョイ・ケイラー
 四六 太田と籠原、沢田駿吾とデンプシー・ライト
 四七 ボブ・ホープとレス・ブラウン楽団と
     間奏[挿話9]ロシア人に教わった歌
 四八 「ビラ・クラブ」、イチバン・オクテット、ドブルニン
 四九 東京會舘、ラリー・ダームス、キャンプ博多
 五〇 華族会館、グレゴリオ・パブロ、吉田正男
 五一 ウエスタン・ランブラーズ、「グランド・チェリー」、鎌倉の大仏
 五二 茅ヶ崎海岸、海軍軍楽隊、四九歳のWAC
 五三 小倉のどこかで
     間奏[挿話10]ミセス・テンダラー
 五四 ヘンリー松岡、「バタフライ」、遺体処理
 五五 別府にて
 五六 スペイン語と戦災孤児
     間奏[挿話11]ギターとアリランとステーキ

[補録]
人名索引
地名索引
建物・施設索引
事項別索引
参考文献一覧
そのほかの参考資料
取材協力者一覧

締口上


Author
青木 深 Shin Aoki
1975年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。文化人類学、同時代史、ポピュラー音楽研究。一橋大学学生支援センター特任講師、埼玉学園大学人間学部非常勤講師。

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