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うちに秘めた理想への郷愁——。映画の可能性に応える詩的論理とは何か。映像の詩人がおよそ二十年に及ぶ思索を通し、芸術創造の意味を問いかける。
「それ独自の事実のフォルムと表示のなかに刻み込まれた時間――ここにこそ、私にとって芸術としての映画の第一の理念がある」。
その理念が有機的統一をもって結晶する〈イメージ〉。『惑星ソラリス』『鏡』『サクリファイス』など、生み出された作品は、タルコフスキーの生きた世界の複雑で矛盾に満ちた感情を呼び起こす。俳優や脚本のあり方をはじめとする映画の方法は、現代において涸渇した人間存在の源泉を甦らさんとする意図とともに追求された。戦争と革命の時代である二十世紀に、精神的義務への自覚を持ち続けた映画作家の思考の軌跡。
[出版社より]
著 者|アンドレイ・タルコフスキー
訳 者|鴻英良
出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫]
定 価|1,400円+税
判 型|文庫版/並製
頁 数|416
ISBN|978-4-480-51130-0
初 版|2022年07月
Contents
序 章
第一章 はじまり
第二章 芸術―理想への郷愁
第三章 刻印された時間
第四章 使命と宿命
第五章 映像について
第六章 作家は観客を探究する
第七章 芸術家の責任
第八章 『ノスタルジア』のあとで
第九章 『サクリファイス』
終 章
訳者あとがき
文庫版訳者あとがき
年譜・フィルモグラフィ
Author
アンドレイ・タルコフスキー Andrey Tarkovsky
1932-86年。ロシア(ソ連)の映画監督。ショットの中を流れる時間とそれを表現するリズムに注目し、独自の映像を創出。1984年に亡命。作品に『惑星ソラリス』『鏡』『ノスタルジア』など。映画は人間存在の精神的実在に迫れると確信しながら、映像を文明批評の水準に高めた。86年パリで客死。『サクリファイス』が遺作となる。
Translator
鴻英良 Hidenaga Otori
1948年生まれ。東京大学大学院修士課程ロシア文学専攻修了。演劇研究者。
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