第一次世界大戦の《リアル》を徹底的に描き出し、『塹壕の戦争』に続いて「コミックのアカデミー賞」と呼ばれるアイズナー賞を受賞したフランスの巨匠タルディの代表作。この戦場の《リアル》を直視するところから、いま、私たちの同時代が幕を開ける。
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1914年7月に勃発した第一次世界大戦。その戦死者は全世界で1000万人にもおよぶ。本書では、ひとりの兵士による定点観測のようにして、戦地でのさまざまなエピソードが綴られ、多くの死が語られる。しかし、暗く悲惨な死者は彼らだけではない。 5年におよぶ編年史として描かれたこの物語を ページめくるたびに、われわれは本書に描かれることのなかった数多くの名もなき兵士たちの死を想起せざるをえない。タルディの筆先にかかると、そうした兵士たちの顔かたち、そして肉声にすら思いを致さずにはおれないのだ。
本書の後半を占める大戦研究者にしてコレクターのジャン=ピエール・ヴェルネによる詳細な日録と膨大な量の写真が、その殺戮現場の悲惨を補強する。
[出版社より]
「これは鎮魂の書だろうか。むしろ逆ではないだろうか。歴史には描かれない、人間の悲しみがますます濃く漂う」
――町田康[小説家/詩人/音楽家]
著 者|タルディ、ヴェルネ
訳 者|藤原貞朗
出版社|共和国
定 価|3,500円+税
判 型|A4変型判・上製
頁 数|176
ISBN|978-4-907986-13-1
初版|2016年12月
Contents
第1部 汚れた戦争(タルディ)
第2部 汚れた戦争全史 1914-1918(ヴェルネ)
訳者あとがき(藤原貞朗)
Author
タルディ
1946年、フランス・リヨン生まれ。フランスを代表するバンド・デシネ作家のひとり。リヨン美術学校、パリ装飾美術学校に学ぶ。1969年、『パイロット Pilote』誌で漫画家としてデビュー。以後、50点以上の単行本、6点のイラスト集のほか、イラストレーターとしても活躍している。1985年にアングレーム・コミックフェスティヴァルでグランプリ受賞、2011年には本作でアイズナー漫画賞(最優秀実話作品賞)を受賞するなど、国際的な名声を博している。代表作『アデル・ブラン=セックの奇妙な冒険』は2007年までに全9巻を刊行し、2010年にはリュック・ベッソン監督により映画化。2013年にはレジオン・ドヌール勲章の受勲を拒否して話題になった。
ヴェルネ
1946年、フランス生まれ。第一次世界大戦についてのスペシャリスト。コレクター、歴史家。制服、武器、新聞、戦場での日用品をはじめとする、大戦に関する膨大な資料の収集で知られる。2011年11月11日にはそれらのコレクションを中心として、パリ郊外のモーに、第一次世界大戦博物館がオープン。また、第一次世界大戦を描いたジャン=ピーエル・ジュネ監督作品『ロング・エンゲージメント』(2004年)では時代考証を務めた。本書をはじめとするタルディとの共作のほか、単著に、La Grande Guerre, Les Éditions La Boétie, 2014 がある。2015年、レジオン・ドヌール勲章を受勲。
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