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「ダダ」を自分の名とした唯一のアナーキスト詩人、陀田勘助(1902-1931)。アヴァンギャルドの担い手として鮮烈にデビューしながら、やがてその筆名と詩を捨てて、本名の山本忠平として共産主義者に転向。非合法共産党の中央委員候補として検挙されると、謎の獄死を遂げる。享年29。
細井和喜蔵、岡本潤、萩原恭次郎らとの交流から、当局による自殺との発表に対して、いまなお小林多喜二に先立つ虐殺説が根強いその死にいたるまで、謎に包まれた詩人の影を追いかけた初の伝記。定価3700円+悪税。
[出版社より]
著 者|吉田美和子
出版社|共和国
定 価|3,700円+税
判 型|四六変型判/並製
頁 数|378
ISBN|978-4-907986-59-9
発 行|2022年06月
Contents
島に居る岡本潤と俺の肖像
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第1章 「同志山忠」とは誰か
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発端―1枚の絵
「モダン東京―一九三〇年代の夢」
栃木―蔵の町の少年
本所―忠平は隅田川を渡る
荒井町の洋服屋
大手町―内務省の給仕
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第2章 陀田勘助の出発と雑誌『種蒔く人』
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開成中学自主退学事件
「啄木会」―渋民歌碑建立募金文芸講演会
1921年第2回メーデー
忠平、村松正俊と出会う
『種蒔く人』創刊
幻の二人詩誌『ELEUTHERIA』とペンネーム・ダダのこと
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第3章 詩誌『鎖』創刊
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『鎖』をめぐるさまざま
『鎖』創刊号―1923年6月
『鎖』第2号へ―1923年7月
『女工哀史』細井和喜蔵の登場
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第4章 関東大震災──亀戸事件と陀田勘助
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印半纏で走るカンスケ
亀戸事件とは何か
南葛労働協会には「支部」もあった―佐藤欣治のこと
亀戸警察署長、戒厳司令官はこう語った
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第5章 震災後を生きる
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『鎖』第3号からの再出発
「日本無産派詩人連盟展」と詩誌『無産詩人』
松本淳三の詩誌『詩を生む人』への寄稿
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第6章 岡本潤と陀田勘助──『マヴォ』における呼応
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『赤と黒』と『鎖』
小野十三郎の勘助評
『マヴォ』に呼応する岡本潤と陀田勘助
細井和喜蔵の死、渋谷定輔のこと
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第7章 ギロチン社事件と『黒旗』──アナキスト山本勘助の模索
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江東に自由労働者の組合を
労働運動社、大杉栄、岩佐作太郎
ギロチン社のテロリストたち
黒旗社結成と『黒旗』創刊―1925年11月
黒旗社パンフレット
ギロチン社事件の余波―『文芸戦線』再見
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第8章 復興局の土木人夫──『反政党運動』時代
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「黒色青年連盟」結成と銀座デモ
黒旗社時代を回想する―松田解子、菊岡久利
復興局の土木人夫
「反政党運動」―純正アナキズムとアナルコ・サンジカリズム
汎太平洋労働組合会議問題と全国自連の分裂 自協派・江西一三の回想
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第9章 アナ・ボルのわかれ──詩人たちの訣別
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『文芸戦線』の分裂
『文芸解放』創刊―文芸講演会に勘助飛び入る
隅田川のわかれ
暴力のわかれ―壺井繁治の場合
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第10章 プロレタリア美術展覧会と《同志山忠の思い出》
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東京合同労組へ、入党へ
トーマは帰れ―東京駅の騒擾
望月晴朗画《同志山忠の思い出》が描いたもの
ビラは天に向かって撒く―武田麟太郎のこと
望月晴朗という画家
プロレタリア美術とは何だったか
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第11章 検挙のあとさき
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組織者忠平の「作風」
忠平検挙へ―田中清玄「再建ビューロー」を巡って
松永伍一の「陰謀説」
なお残る不明点―南喜一と「解党派」問題
忠平以後―武装メーデーと「全協刷新同盟」
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第12章 獄窓の春、その死
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獄中詩編
死の周辺
田中清玄の証言
予審という闇
『戦旗』の在監者名簿―忠平の不在
戦後―「山本勘助追悼とぶらつく詩の会」
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参考文献
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あとがき
別丁カラー図版:《同志山忠の思い出》(望月晴朗・画)
Author
吉田 美和子 Miwako Yoshida
1945年、岩手県生まれ。東北大学文学部国文科卒業。著書に、『単独者のあくび―尾形亀之助』(木犀社、2010)、『うらやまし猫の恋―越人と芭蕉』(木犀社、2008)、『吉田一穂の世界』(小沢書店、1998)、『宮沢賢治―天上のジョバンニ・地上のゴーシュ』 (小沢書店、1997、第十三回岩手日報文学賞賢治賞受賞)『一茶無頼』(信濃毎日新聞社、1996)など。
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