死に至る病

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「死に至る病とは絶望のことである」。──この鮮烈な主張を打ち出した本書は、キェルケゴールの後期著作活動の集大成として燦然と輝いている。本書は、気鋭の研究者が最新の校訂版全集に基づいてデンマーク語原典から訳出するとともに、簡にして要を得た訳注を加えた、新時代の決定版と呼ぶにふさわしい新訳である。「死に至る病」としての「絶望」が「罪」に変質するさまを見据え、その治癒を目的にして書かれた教えと救いの書。
[出版社より]


原 書|Sygdommen til Døden
著 者|セーレン・キェルケゴール
訳 者|鈴木祐丞
出版社|講談社[講談社学術文庫]
定 価|1,150円+税
判 型|文庫判/並製
頁 数|296

ISBN|978-4-06-292409-2
初 版|2017年04月


Contents
編訳者まえおき

序 言
緒 言

第一編 死に至る病とは絶望のことである
A 絶望が死に至る病であるということ
 A 絶望とは、精神における、自己における病であり、したがって絶望は三つの姿をとりうる。絶望して、自己を持っているということを意識していないこと(非本来的な絶望)。絶望して、自己自身であろうとしないこと。絶望して、自己自身であろうとすること
 B 絶望の可能性と現実性
 C 絶望は「死に至る病」である

B この病(絶望)の普遍性

C この病(絶望)の諸形態
 A 意識されているか否かについては考慮せずに考察された絶望。したがって、ここでは総合の諸契機だけが考慮される
  a 有限性‐無限性という規定の下に見られた絶望
  b 可能性‐必然性という規定の下に見られた絶望
 B 意識という規定の下に見られた絶望
  a 絶望を絶望と知らないでいる絶望。あるいは、自己を、永遠な自己を持っていることについての、絶望的な無知
  b 自分が絶望であることを意識している、したがって、自分が何か永遠なものを包有している自己を持つことを意識している絶望。そこで、この絶望は、絶望して自己自身であろうとしないか、それとも、絶望して自己自身であろうとするか、そのいずれかである

第二編 絶望は罪である
A 絶望は罪である
 第一章 自己についての意識の移り変わり(神の前、という規定)
  付論 罪の定義が躓きの可能性を孕んでいること。躓きについての一般的考察
 第二章 罪のソクラテス的定義
 第三章 罪は消極的なものではなく積極的なものであるということ
  Aへの付論 しかしそうすると、罪とはある意味できわめて稀なものだとなりはしないだろうか?(教訓)

B 罪の継続
 A 自分の罪をめぐって絶望する罪
 B 罪の赦しについて絶望する罪(躓き)
 C キリスト教を「積極的に」廃棄し、虚偽であると宣言する罪

訳者解説


Author
セーレン・キェルケゴール Søren Aabye Kierkegaard
1813-55年。デンマークの哲学者。実存主義哲学の祖とも位置づけられ、膨大な著作と日記を残した。代表作は、本書のほか、『あれか、これか』(1843年)、『不安の概念』(1844年)。

Translator
鈴木 祐丞 Yusuke Suzuki
1978年生まれ。現在、秋田県立大学助教。専門は、宗教哲学。著書に『キェルケゴールの信仰と哲学』、編訳書に『キェルケゴールの日記』がある。

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