積ん読の本

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本を読むよりも買うスピードが上回ったまさにその瞬間から「積ん読」は始まる。部屋の片隅に、1冊、また1冊と積み上げられる「積ん読」の山を見て、人は焦り、罪の意識を覚え、自嘲するのだ。

そもそも「積ん読」とはなにか。その言葉の歴史は意外にも古く、明治時代にまで遡る。100年以上に渡って受け継がれてきた日本の読書家たちの「伝統芸」は、今や「TSUNDOKU」として世界の共通語ともなった。

そんな「積ん読」の本質に迫るべく、ブックレビュアーの石井千湖が、斯界の本読み12人の「積ん読」事情を探るインタビュー取材を敢行。ある者は「積ん読」こそが出版界を救うものだと熱く語り、またある者は「積ん読」にこそ書物の真の価値があるのだと断言する。

写真に収められた圧巻の「積ん読」の山と、「積ん読」を語るその言葉を一読いただき、読書家諸氏におかれては、ほっとするなり、笑うなり、共感するなり、感心するなり、呆れるなりしていただきたい。
[出版社より]


著 者|石井千湖
出版社|主婦と生活社
定 価|1,540円+税
判 型|A5判/並製
頁 数|144

ISBN|978-4-391-16283-7
発 行|2024年10月


Contents
・柳下毅一郎「消費が加速すると欲望も際限なくなって積ん読が生まれる。資本主義が悪いんですよ(笑)」
・柴崎友香「一時的に滞在している本で自分専用の図書館を作ってると思えば、急いで読まなくてもいいんじゃないかなって」
・池澤春菜「新しく来た本はまず玄関に積みます」

・小川哲「積ん読がたまるばかりで。一部は箱に入れてベランダに置いてます。もう限界ですね」
・角田光代「『戦争×文学』は唯一、箱のなかにしまってある積ん読です。リタイアしたあとに全巻読破するのが夢です」
・しまおまほ「祖父の書いた『死の棘』も積ん読です」

・山本貴光「本は形のあるインデックス。だから私は積ん読がいくら増えても気にしません。むしろ積まなくてどうする」
・辻山良雄「読んだ本しか家にないということは、自分がわかっている世界しかないということ。そんなの、つまらない」
・マライ・メントライン「積ん読はドイツ語には訳せないと思います。B¨ucherstapel、本の山という言い方だったらあります」

・小川公代「信じていただけないかもしれませんけど、本って生きているんです」
・飯間浩明「“積ん読になっている本があります”というのは“毎日ご飯を食べています”というのと同じです」
・管啓次郎「本が山と積まれたときに、新しい秩序が生まれる。書店や図書館で隣り合うはずのない本が隣り合う」

積ん読の悩み相談Q&A


Author
石井 千湖 Chiko Ishii
書評家。大学卒業後に書店員となり、2004年より文芸を専門とするライターとして活動を開始。現在は新聞、雑誌、Webで幅広く活動中。著書に『文豪たちの友情』(新潮文庫)、『名著のツボ 賢人たちが推す! 最強ブックガイド』(文藝春秋)がある。

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