人にとっての〝おいしさ〟は、野生にとっての不幸なのか。
歴史、神話、地理学……深い学識を備えた環境人類学者が、世界各地で食用にされている野生動物をめぐる旅に出た。アフリカの密林に横行する野生肉の違法取引を追い、世界的に有名なレストラン「NOMA」で蟻を食べ、愛する人とスウェーデンの森でヘラジカを屠る——。
文明の恩恵に浴しながら天然の獣肉を過剰に追い求めた結果、私たちが得たもの、失ったものとは……。グルメの行き着く先を体当たりで探求する、思索に満ちた冒険ノンフィクション。
「美食」の先にあるものとは何か?
[出版社より]
著 者|ジーナ・レイ・ラ・サーヴァ
訳 者|棚橋志行
出版社|亜紀書房
定 価|2,200円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|376
ISBN|978-4-7505-1696-7
初 版|2021年05月
Contents
プロローグ 傷心のヘラジカ
第1部 記憶と忘却
1 香草(ハーブ)と蟻………デンマーク
2 大型動物の肉、キノコと天然ハチミツ添え………ポーランド
3 魚、ひれ、殻、はさみ………アメリカ合衆国
4 直火焼きした野鳥肉のサルミ………アメリカ合衆国
第2部 欲望の対象
5 森の狩猟肉、根菜添え………コンゴ民主共和国
6 羚羊(アンテロープ)の肉、トマトとスパイス煮込み………コンゴ民主共和国
7 野生動物の燻製肉と偽キャビア………フランス
第3部 祝宴と飢餓の季節
8 ヘラジカ肉のアンズタケ添えクリームソースがけ………スウェーデン
9 燕の巣と花………ボルネオ
10 野草………ポーランド
謝辞
訳者あとがき
Author
ジーナ・レイ・ラ・サーヴァ Gina Rae La Cerva
米国ニューメキシコ州生まれ。地理学者、環境人類学者。イェール大学林学・環境学大学院で環境科学修士号、ケンブリッジ大学で哲学修士号を取得。イェール大学大学院林学・環境学科最高の論文に贈られるウィリアム・R・バーチ賞を受賞。
環境、食、神話、歴史、地理、化学、人類学、社会、経済、伝統など広範な博学的探求心が身上。インドネシアで津波を研究し、帆船で太平洋を横断し、バラクーダの群れとのスキューバダイビングに身を投じる活動的な冒険家でもある。現在、環境科学と哲学をテーマとした独創的な学術研究とフィールドワークに取り組む。国立科学財団の大学院研究フェロー。ニューヨーク市在住。
Translator
棚橋 志行 Shiko Tanahashi
1960年三重県生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。出版社勤務を経て英米語翻訳家に。バラク・オバマ『合衆国再生 大いなる希望を抱いて』、キース・リチャーズ『ライフ キース・リチャーズ自伝』、ジェフ・パッサン『豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品』、ジェイソン・スタンリー『ファシズムはどこからやってくるか』、マシュー・ポリー『ブルース・リー伝』、エレイン・シャノン『クリミナル・イノベーション 天才プログラマーが築いた新時代の犯罪帝国』他、訳書多数。
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