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古いアームチェアを修理に出したところ、中から書類の束が見つかった。鉤十字の印があり、一見してナチの文書とわかるものだった。誰が、何のために隠したのか。謎を託された著者は、その行方を追う。
書類の持主は、ローベルト・グリージンガー。SS(親衛隊)将校だった。プラハの椅子職人、シュトゥットガルトに住む甥、二人の娘、遺された日記、各国の公文書館を探るうちに、その人生が徐々に明らかになっていく。
娘たちは父親がSS将校であったことを知らなかった。グリージンガーはSSに所属しつつ、法務官として仕事をしていた。彼のように一見普通の市民として生活していたSSは多くいたが、戦後の裁判の対象ではなかったため、その実態は定かではない。
第三帝国の一部として淡々と職務を果たした「普通のナチ」と、その家族。歴史から忘れられたナチの足跡が浮かび上がる。
[出版社より]
原 書|THE SS OFFICER’S ARMCHAIR
著 者|ダニエル・リー
訳 者|庭田よう子
出版社|みすず書房
定 価|4,000円+税
判 型|四六判/上製
頁 数|400
ISBN|978-4-622-09034-2
初 版|2021年11月
Contents
序章
第1章 「本物の」ナチ
第2章 アメリカから受け継いだ思想
第3章 「零時」
第4章 「戦中少年」世代
第5章 空虚な話
第6章 SSの家族
第7章 生存圏(レーベンスラウム)
第8章 スタヴィシチェ
第9章 ビール瓶
第10章 バーンホフ通りの男
第11章 ギーゼラはダンスに出かけた
終章
謝辞
写真と地図のリスト
利用したアーカイブ
原注
索引
Author
ダニエル・リー Daniel Lee
歴史学者。専門は、第二次世界大戦およびホロコーストにおけるフランスと北アフリカのユダヤ人の歴史。著書にPétain's Jewish Children(2014)がある。
Translator
庭田 よう子 Yoko Niwata
翻訳家。訳書に、ストーム『イスラム過激派二重スパイ』(亜紀書房、2016)、ゲーノ『避けられたかもしれない戦争』(東洋経済新報社、2017)、ハリントン『ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番』(みすず書房、2018)、ファン・デル・クナープ編『映画『夜と霧』とホロコースト』(みすず書房、2018)、スナイダー『目に見えない傷』(みすず書房、2020)ほか多数。
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